結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年05月27日(土曜日)

「99%、無理だよ」から「夢は今もめぐりて」

紫陽花が咲いた。
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空気が少し湿っていて、
季節が移り替わっていくことを教えてくれる。
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昼すぎに横浜商人舎オフィスに出て、
月刊商人舎6月号の原稿執筆。

新聞の巻頭コラムが、
唱歌の「故郷(ふるさと)」を取り上げた。

朝日、毎日、中日。

「兎追いしかの山
小鮒釣りしかの川」

長野県中野市生まれの国文学者・高野辰之の作詞。

その山と川の中野市に、
似つかわしくない殺人事件。

高齢の女性二人、駆けつけた警察官二人。
凶器はサバイバルナイフと猟銃。

中野市議会議長の長男が逮捕された。

凶器を手にして、一晩、
自宅に立てこもった。

中日新聞。
「緊迫の夜、耳をつんざいたのは
水田にいるらしいカエルたちの鳴き声だった。
平和なのかと錯覚させる、その合唱」

「故郷」は歌う。
「如何にいます父母、
つつがなしや友がき」

父母(ちちはは)、友がき。
かの山、かの川。

夢は今もめぐりて、
忘れがたき故郷。

この事件。
やるせない怒りとともに、
言いようのない哀しさがある。

亡くなられた方々のご冥福を祈りたい。

朝日新聞のコラム、
「サッカー人として
三浦知良が書いている。
今、ポルトガルの2部オリベイレンセ所属。
56歳の現役。
kazu

「静岡学園を中退して
ブラジルでプロになると宣言した15歳の僕に、
サッカー部の監督は言った」

「99%、無理だよ」

いま振り返れば、至極まっとうな大人の意見。

「当時の僕はうまくいかないなんて考えもしないし、
リスクという発想もない」

「1%あるんだろ、という
無鉄砲な熱意しかなかったのだから」

「ブラジルに来てみて、
監督の言葉は正しかったかも、と
いう現実に気づく」

「自分が属したのは
16歳までで構成されるチーム。
その上に17歳のジュベニール、
そしてプロの1つ手前の18歳から20歳までの
ジュニオールのカテゴリーがあった」

「寮の6人部屋では5人がジュベニールの先輩。
体つき、技術、スピード、何もかも
自分とはレベルが違う」

「その人たちでさえ
プロになれるかは分からない」

「その一段上、またその上にあるプロは、
とてつもなく先にかすむ世界だった」

「あの時の途方のなさを、
挫折感というのかな」

挫折感を癒すのは、
「あの山、あの川」、
そして「父母、友がき」だったのだろう。

ここまで来た。
「”1%”から始まったことを思い返せば、
信じられない」

しかしカズは思う。
「ある意味で、大人になるということは
つまらないね」

「”しっかりした人間”という
足かせを自分にはめ、
なくてもいい常識やつまらないものに
とらわれがちになって」

なくてもいい常識。
つまらないもの。

「20代のころは眠る時間さえ惜しかった。
何も恐れずに”俺はできる”と
突っ走れた自分が懐かしくもある」

「許される範囲内で、
あの常軌を逸したエネルギーを
取り戻してみたいとも思う」

「”99%無理”だとみなされようが、
望むものに挑み、手にしてみたい」

「とらわれずに生きていきたい。
あの15歳のころのようにね」

夢は今もめぐりて。
〈1+99〉

今日が1ならば、
明日は99を目指す。

それがある限り、
銃や刃物に興味は向かない。

それが見つけられないこと。
言いようもなく哀しい。

〈結城義晴〉

2023年05月26日(金曜日)

Food Store Solutions Fairの「チェーンストアが地方を救う」

フードストアソリューションズフェア。
略して、FSSF。

今年のポスターが新しくなって、
刷り上がってきた。IMG_E41764

主催は日本食糧新聞社。
共催は一般社団法人 離島振興地方創生協会。
そして副主催企業が増えた。
西日本の有力チェーンストア。
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新たにご参加くださった企業。
長崎に本拠を置く㈱エレナ、
福岡の㈱ハローデイ、
瀬戸内に展開する㈱ハローズ、
岡山が本部の㈱天満屋ストア。
そして関西の雄㈱平和堂。

みんなで地方創生に取り組みましょう。

チェーンストアが地方を救う。
チェーンストアが日本を救う。

私は本気でそう考えている。
チェーンストアこそが、
地方を救うのだ。

今、一番大切なコンセプトだ。
よろしくお願いします。

9月6日(水)7日(木)。
インテック大阪で開催。

ご協力ください。
ご参加ください。

今日は御茶ノ水。
半年に1回の目の検査と診察。
井上眼科。

東邦大学教授の富田剛司先生が、
定年退職してこの眼科に転職した。
だから私も病院を変えた。

そして検査と診察。

眼圧はちょっと高めだった。
それでも富田先生の話を聞くと、
安心して生活ができる。

アーカイブ
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「結城義晴・燃える闘病日記」
2008年3月27日。
富田教授に執刀していただいた。
右目の手術。

その恩は一生忘れない。

だから富田先生を追いかけて、
病院に通う。

「結城さん、あなたの右目の寿命は、
あなたの命よりも長くはない」

それでもまだ見えます。
ありがとうございます。

帰りのお茶の水界隈。IMG_41673

フリーマーケットが開かれていた。IMG_41683

話は戻って、
会社のそばの料理屋。
魚金横浜。
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ランチを食べに行く。

ギンダラの煮付け。
小ぶりだけれどうまい。

顎髭の板前さんがブリをさばいていた。IMG_41613

いいねえ。
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帰宅のときに乗った東横線。
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SDGs TRAIN。IMG_41563

この特別列車の運行は、
2023年4月から2026年3月末まで。

東急グループと、
阪急阪神ホールディングス㈱の協働。

テーマは「アクション」と「共創」だが、
とくに「共創」というのがいい。

共に創る。

2022年4月1日から東急線全線で、
実質CO2排出ゼロの電力に置き換えて運行。

偶然でも、この電車に乗ると、
得したような気分になる。

今回、FSSFに参加してくれた平和堂。
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平松正嗣社長を中心に、
「地域共創」の理念を掲げる。
hiramatu

平和堂と滋賀県も、
東急と阪急阪神も、
「共に創る」

考えてみると、
富田剛司教授と結城義晴の共創が、
私の右目を再生させた。

共創が地方を救う。
共創が日本を救う。

私も救ってもらった。
心から感謝。

〈結城義晴〉

2023年05月25日(木曜日)

セブン&アイ井阪隆一社長の続投とイトーヨーカ堂の商いの論理

セブン&アイホールディングスの株主総会に、
数多の注目が集まった日だ。

ありえないことだが、
井阪隆一代表取締役が、
株主提案に沿って退任させられるか否か。

早朝から井阪さんの周辺には、
取材陣がたむろし、
東京四谷のセブン&アイ本社前には、
カメラの放列があった。

第18回定時株主総会が、
この本社で開催されたからだ。

午前9時に受付を開始し、
10時に総会が始まった。
個人投資家を中心に、
昨年より181人多い436人が出席した。

商人舎流通SuperNews。
セブン&アイnews|
株主総会で井阪隆一社長再任/バリューアクト提案否決

予想通り会社側の提案が賛成多数で可決した。
井阪隆一社長を含む取締役15人の選任議案である。
これによって井阪社長の続投が確定した。
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「物言う株主」の提案は否決された。

セブン&アイの株主構成。
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7万4745人の株主がいる。
株式数は8億8644万1983株。

そのうち機関投資家が32.7%。
外国法人等は33.0%。
個人・その他は株主数は多いけれど、
保有株式は11.0%だ。

そして4月6日段階の大株主。
⑴日本マスタートラスト信託銀行13.7%
⑵伊藤興業 8.0%
⑶日本カストディ銀行 5.9%
⑷SMBC日興証券 3.9%
⑸SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT 2.4%
⑹伊藤雅俊 2.2%
⑺日本生命保険 2.0%
⑻VALUEACT CAPITAL MASTER FUND1.9%
⑼三井物産1.8%
⑽日本証券金融 1.6%

この上位10者で43.4%を占める。

⑵の伊藤興業は、
創業の伊藤一族の資産管理会社だ。
この会社を仕切っているのは今、
伊藤さんのご長女の山本尚子取締役だと言われる。

⑹は4月6日段階ではまだ、
伊藤雅俊さん個人になっている。

合わせると10.2%になる。

問題の⑻VALUEACTは1.9%の保有で、
8番目に多い株主だ。

バリューアクトの提案が、
機関投資家と外国法人に支持されれば、
32.7%+33.0%=65.7%

しかしそんなことはあり得ない。

バリューアクトは、
「物言う株主」が物を言ったことの実績を示した。

彼らはそれでいいのだろう。
存在感は増したし、
知名度が上がった。

その主張が正当だったか否かが、
これから評価されることになる。

セブン&アイの経営陣が、
バリューアクトに勝ったかといえば、
それはない。

経営陣も取締役会も、
ひどく傷ついたと思う。

年商11兆8000億円で過去最高を更新した、
日本最大の小売業が、
一部ではあるものの株主から、
社長の首を要求された。

それに対して、
なりふり構わず言い訳をした。

そんな、印象が残った。

結局のところ、
会社提案の取締役15名全員が選任された。

だがしっかりした議論をするのに、
15人は多過ぎると思う。

その取締役会が声明を発表。
「多くの株主の皆様が、
この一年をかけて当社が取り組んできた
ガバナンス体制の変革を評価してくださっており、
また当社の堅調な業績の元となっている
コンビニエンスストア事業に今後
注力していくという当社の成長戦略を
ご支持いただいていることを嬉しく思います」

「コンビニ事業に注力」する成長戦略は、
バリューアクトも同じだ。

その注力の仕方をどうするか、
誰にそれをやらせるか。

ここで互いに正反対の見解となった。

「当社取締役会は価値創造に向けた
あらゆる可能性を排除せず、
独立社外取締役のみで構成される
戦略委員会を通じて、
客観的な分析・検証を継続的に実施し、
事業の変革を加速させてまいりたいと
考えています。」

「独立取締役の戦略委員会」が、
「事業の変革を加速」させる。

これもどこか、変な感じがする。

つまり経営者がやや、
責任を放棄しているように見える。

戦略は戦略委員会。
執行は経営陣。

そんなことはありえない。

株主からの質問のひとつ。
「セブン-イレブンとイトーヨーカ堂の、
相乗効果がわかりにくい」

これは的を射た意見だ。

そのことは、
月刊商人舎4月号に書いた。
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ドキュメント「セブン&アイの行方」202304_contents-448x596

「工業論理」×「商人論理」で考えを改めよ
〈結城義晴〉
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「バリューアクトが突きつけた
要求の背景にあるのは、
このマクドナルド級の
グローバルチェーンの構築である」

それができるのは、
世界中を見渡しても、
セブン-イレブン以外にない。

「このとき、
イトーヨーカ堂を首都圏に集中させ、
食品に専念させて、
ヨークと統合させることなど、
視野に入ってはこない」

「世界企業であるためには、
インダストリアリズムの思想が欠かせない。
つまり工業化の思想である」

「イトーヨーカ堂は
現在の人材と資産を最大限に活用して、
生き残りさえすればいい。
商人の論理、商いの論理である」

イトーヨーカ堂の営業収益は、
2023年2月期で7293億円。
前年に対して31.7%減だが、
それでも総合スーパーで日本第3の規模がある。
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商いの論理に徹して、
現場の力を信じつつ、
彼らに仕事を任せれば、
まだまだ生き残ることはできる。

それを信じることだ。

〈結城義晴〉

2023年05月24日(水曜日)

結城義晴の新刊本キックオフと[万代渋川店]の定点観測

早起きして、
連載の原稿を書いた。
ゆっくりと眠った後の朝の時間の執筆は、
実に快適に進む。

午前中は10時から、
㈱True Dataのオンライン取締役会。

着々と新しいビジネスをつくっていて、
事業は好調に進捗している。

ゼブラ企業を目指して、
社会貢献と利益とを両立させる。

両利きの経営であるし、
トレードオンである。

昼過ぎに終わって、
横浜商人舎オフィスに出社。

午後2時に二宮護さん、来社。

もう50年の付き合いになる。
学生時代の後輩で、
フリーの編集者。

奇しくも誕生日が同じで、
一つ年下。
心から信頼できる人物だ。

学生時代には一緒にバンドを組んだ。
2011年12月には、
「ふたりのビッグショー」で共演した。

日本実業出版に入って編集長となり、
プロの編集者になった。

私の単行本は、
何冊も編集してくれている。

今日は二つの仕事をお願いした。
その一つが私の新しい単行本だ。

9月初旬の発刊だ。

いよいよ始まった。
2カ月余りの時間をかけて執筆し、
1カ月で編集、印刷する。

ご期待ください。
結城義晴のライフワークの一つとなる本です。

打ち合わせが終わってからも、
昔の仲間のことを話し合った。

定年退職した後、
行政書士の資格をとって開業した先輩。
すごい。

市会議員になった先輩は、
プロのミュージシャンだった。

みんな元気で、
亡くなった人はいない。

ありがたいことだ。

二宮さんと私はいまだ現役。
できる限り、続けたいものだ。

さて、昨日の万代知識商人大学。
講義の日のランチは、
本部の下の「渋川店」を定点観測する。
そしてお弁当や惣菜を購入して、
それを食べる。

万代カレッジの私の楽しみの一つ。

その万代渋川店。
旗艦店のひとつ。
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農産部門の一丁目一番地。IMG_41282

この大玉の新玉ねぎが凄い。
1玉38円、3玉98円。
来店客はほとんどが買っていた。
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商人舎の亀谷しづえGMは、
わざわざ購入して持ち帰った。

レタスも瑞々しい大玉。
良い商品だ。
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葉物売場も鮮度感にあふれている。IMG_41303

トマトの平台。IMG_41313

水産部門が万代の核部門だ。
縮小トレンドの分野で強みを発揮する。
それが模倣困難性となる。IMG_41323

コーナーではいつもお買い得品が提供される。IMG_41233

平台ではザル盛り。IMG_41223

旬のスルメイカ。
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6月1日は恒例の「大創業祭」だ。
朝8時から開催される。IMG_41333

店舗奥主通路の中央に惣菜売場がある。IMG_41343

昼時の売場には、
魅力的なアイテムがずらりと並ぶ。
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見ているだけで食欲がわいてくる。IMG_41363

私はこの「自慢の焼肉重」を買った。IMG_41183

8期生には全員に、
この唐揚げ弁当が配られた。
ボリューム感満点だ。

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「たまてばこ」弁当も楽しい。IMG_41203

精肉売場には「よろず牛」が並ぶ。
万代の「万」にかけたネーミングの独自ブランド。IMG_41373

店舗左翼が日配品売場。IMG_41393

最後のコーナーが平台のパン売場。
いつもインパクトのある企画が行われている。
今日は「大均一祭」で108円のパンが並ぶ。
関西随一の売上げをつくる。IMG_41403

そしてこの渋川店から、
セルフレジが実験導入された。IMG_41423

万代渋川店は必ず進化している。
商品も売り方もサービスも、
そして人も。

進化を止めないこと。
ゴーイング・コンサーン。

小売業やチェーンストア、
スーパーマーケットにとって、
何よりも大切なことは、
「日々進化」である。

そのためには、
現場の緊張感が欠かせない。

楽しい売場でいつも新しい。
そのうえで緊張感が保たれている。

顧客はそんな店を支持する。
「日々進化」の店。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2023年05月23日(火曜日)

万代知識商人大学第8期ヒューマンリソースマネジメント講義

昨日、大阪に入って、
定宿のシェラトン都ホテル大阪。

朝食は2階の日本食うえまち。
この朝定食には板前さんの気合がこもっている。
絶対に手を抜かない。
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この朝ご飯をいただくために、
このホテルを定宿にしている。

ゆっくりと食事をして、
東大阪市の渋川に向かう。

㈱万代本社。
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隣接する2階建ての会議棟が、
万代知識商人大学の、いわば校舎だ。
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2015年に始まったこの企業内大学も、
第8期となる。

延べ240人ほどの修了生を輩出。
幹部候補生を養成する。

だから万代の取締役会が、
総出で講師を務めてくれる。

今期も修了生から2人の取締役が誕生した。
和久正樹さんと吉田秀史さん。

今日は第8期の第2講。
ヒューマンリソースマネジメント。

1階の大ホールには、
店長やバイヤー、チーフなど、
選抜された30名が集う。
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午前中は結城義晴の3講座。IMG_49433
初めに人間力の経営。
心の力、頭の力、技の力。
その掛け算の力。

ヒューマンリソースの本質を、
万代向けに結城義晴流に組み立てる。

最初に人材マネジメントの3段階。
ホップ・ステップ・ジャンプ。

現代は、
Strategic Human Resource Managementの時代だ。
戦略的な人的資源経営である。

そしてマネジメント理論の歴史。

重要だけれど難しいことを学ぶとき、
歴史から入るのがいい。

歴史には面白いことが盛り込まれていて、
その変遷を知ることによって、
そのテーマの今日的な問題点が浮かび上がる。

マネジメントの理論以前は、
勘と経験、気合と根性の時代だった。

そこにアダム・スミスの分業論が登場する。
それからフレデリック・テーラーの科学的管理法、
さらにヘンリー・フォードのフォーディズム。
そのなかで、「3S」の概念が生まれる。
単純化・専門化・標準化である。
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1908年にヘンリー・フォードは、
オートメーションシステムを考案して、
T型フォードを量産した。

そのフォード一世は、
牛肉の解体処理工場の流れ作業を見て、
オートメーションラインを開発した。

牛肉の解体処理の工程を、
身振り手振りで説明する。

私は26歳のときに、
アメリカに2週間滞在して、
バーチカルに牛肉産業を学んだ。

フィードロットから解体処理のパッカー、
そしてスーパーマーケットとレストラン、
家庭にまで入り込んで、
最後の消費局面を体験した。

パッカーのカッティングセミナーでは、
自分の手で枝肉を卸した。

それと同じ工程をフォードが見ていた。
感慨深い。
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フォーディズムのあとは、
アンリ・ファヨールの管理過程論。
それが現代のMTP理論につながる。

しかしファヨール後に、
人間関係論や行動科学が登場して、
ヒューマンリソースの観点から、
経営管理は大きく現代化していく。

そしてドラッカーとミンツバーグが、
その到達点なる。

しかし日本のマネジメント教育は、
古典的規範論とも言われる、
ファヨールを踏襲したものだ。

そこに問題がある。

ドラッカーもミンツバーグも、
ハーバート・サイモンも、
厳しく批判している。

安易に陥りがちなマネジメント、
日本のチェーンストア理論のマネジメント。
それを改めるために、
こういった歴史を紐解く。

その上でドラッカーのマネジメント論を、
「使う観点」から解説していく。

午前中の最後は、
「責任の組織化」である。

事例を交えながら、
ここまで一気に講義した。IMG_49563

昼食後は、
河野竜一取締役人事担当の講義。
「労務管理の基本」。IMG_49603

労務管理の義務と責任、
労働安全衛生、労災問題について、
豊富な事例を提示しつつ講義してくれた。

河野さんの講義は、
論理的で丁寧でわかりやすい。

商人舎のミドルマネジメント研修会に、
ゲスト講師として迎えたいほどだ。IMG_49643

8期生の平均年齢は37歳である。
全員がミドルマネジメントだ。
労務管理の大切さを実感したのだと思う。IMG_49673

河野さんの講義は毎年、進化している。
それが何よりいい。
ありがとうございました。IMG_49693

夕方は再び、結城義晴の2時間講義。
ドラッカーの「自己管理による目標管理」から、
コミュニケーションとリーダーシップまで。
私の講義は「ドラッカーの使い方」である。IMG_49423

さらにリーダーシップでは、
デール・カーネギー、
ジョン・マックスウェルなどなど。
一番わかりやすいところを説明する。

最後はケン・ブランチャード。
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ブランチャードは、
リーダーシップのスタイルを4つに分類した。
指示型、コーチ型、援助型、委任型。
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自分自身はどのタイプか。
手を挙げてもらった。
圧倒的に多かったのは、
コーチ型と援助型だった。
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しかしブランチャードの4スタイルを学んで、
部下の成長段階に合わせて適用すると、
より良いリーダーシップが発揮できる。

最後は、ドラッカーの2つの実践法。
「時間管理」と「フィードバック分析」。

いずれも世界的に有名な方法だ。

この講義の中で、
月刊商人舎2018年2月号を紹介した。
サミットストア王子桜田通り店の、
君和田貴信店長の物語。
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第8期生諸君は、
この記事を読んでほしい。

「君和田店長は1時間を
20分単位に区切って行動する。
00分から20分間は売場チェック、
20分から40分までは
チェックした後の指示業務、
40分から00分までは店長としての
事務作業やミーティングの資料づくりに充てる。
それを1日繰り返す」

1時間を3つに割って行動する。
ここがいい。

ヒューマンリソースマネジメントの講義は、
5時半にすべての講義を終了。

講義を終日聴講してくれた和久正樹さんが、
取締役店舗運営部部長として、
取りまとめの講話をしてくれた。
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現場に即した厳しい指摘があった。
すべての店舗運営をより良くしたいという、
意気込みが溢れていた。
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最後の最後は阿部秀行社長の講和。IMG_50023

阿部さんはいつも社員に対して、
わかりやすい言葉遣いで、
万代イズムを語る。

それはもうアベイズムとなっている。

人間産業のスーパーマーケットの中で、
万代は圧倒的な人間企業である。IMG_49973

3人で腕を組んでポーズ。IMG_50073
万代知識商人大学第8期第2講。

私は5時間、熱を入れて講義した。
疲れ切ったが、心地良い。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2023年05月22日(月曜日)

広島サミット後の世界の「小売りサービス業が日本を救う」

Everybody! Good Monday!
[2023vol㉑]

2023年第21週。
5月第4週。

アメリカから帰国して、
1週間が過ぎた。

ご覧の商人舎公式ホームページで、
結城義晴のブログ[毎日更新宣言]のタイトルの、
右下にあるボタンが、
「1週間分をまとめて読む」です。
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ここを押すと、それこそ、
1週間のブログが新しい順に出てきて、
振り返ることができる。

便利です。

G7広島サミットが閉幕した。

ウクライナへの武器支援は、
すぐにでも行われて、
これは成果を上げた。

しかし様々な問題には、
すぐに手が打たれるのだろうか。

日経新聞巻頭コラム「春秋」

「リーダーたちが広島で直に
犠牲者を悼んだ光景が、
世界の記憶に残るのも確かだ。
核廃絶への新たな起点としたい」

「きょうから”広島サミット後”の世界だ。
岸田首相がギアをあげるのを見たい」

そのギアが、
衆議院解散選挙であるとしたら、
それは本末転倒だ。

世界中の人々の意識は、
核廃絶に向けて進んでいくのだろうか。

「広島市民」の考え方を、
共有できるのだろうか。

小売業やサービス業は、
核兵器のない社会でこそ、
その機能を存分に発揮することができる。

15年前、
商人舎発足の会の記念講演で、
私は訴えた。
「小売りサービス業が日本を救う」

今も、その考えに変わりはない。

心から平和を祈念するものだ。
そしてそのことに貢献したいと思う。

今日は商人舎オフィスに出て、
ランチのあと新横浜へ。

新幹線に乗って西へ向かう。

残念ながら富士山を見ることなく、
富士川を渡る。
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しばらくすると浜名湖。IMG_40953

名古屋を超えて関ヶ原を過ぎると伊吹山。

一度、登ってみたいと思った。IMG_40963

新大阪に着いて、
定宿のシェラトン都ホテル大阪へ。
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外国人顧客が増えている。
これに中国人の団体が加わったら、
いったいどうなるのだろうか。

ホテルに隣接した近鉄百貨店の「美濃吉」。
創業300年、この店は開業20周年。

㈱万代のトップの皆さんと交流。
万代知識商人大学の前夜食事会。IMG_49283

美濃吉のコースのはじめは、
兜の器と菖蒲の葉。IMG_49263
存分に懐石を楽しんで、
適度に焼酎を飲んだ。

アメリカ流通業の大きな変化、
日本のスーパーマーケットの経営、
新しいプライベートブランドの開発、
経営における人事の重要性、などなど、
多岐にわたる話し合い。

楽しいことこの上ないし、
私もとても勉強になる。

互いに信頼し合っているから、
話題はどんどん深まっていく。

いずれまた「万代スタディ第2弾」を、
つくろうかという話も出た。
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阿部秀行社長と両取締役。
和久正樹さんと河野竜一さん。IMG_49323

和久さんは今期から、
取締役に昇格して店舗運営担当。

万代知識商人大学8期には、
ずっと参加して講義もしてくれる。

よろしくお願いします。

最後の最後はいつものように、
阿部さんとツーショット。IMG_49353
明日は万代知識商人大学の講義。
「ヒューマンリソースマネジメント」

私が5時間講義し、
河野さんが2時間半語る。
そして和久さんと阿部さんが講和してくれる。

私の今年のタイトルは、
「人間力による経営」

人間力経営とは、
心の力、頭の力、技の力の、
三つの力の「掛け算の力」である。

いまから力がこみあげてくる。

では、みなさん、今週も、
日本を救おう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年05月21日(日曜日)

ゼレンスキーの「平和は今日、さらに近づく」

「平和は今日、さらに近づく」
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領。

フランス空軍の政府首脳専用機で、
サウジアラビアから日本に到着。
エアバスA330-200型。

アラブ連盟の首脳会議に出席したあと、
5月19日、極秘にフランス機に乗り込んだ。

日本到着後、広島市内へ向かうBMWの中で、
ツイッターでつぶやいた。
日本到着後の第一声。
20230521g7summit_ukraine01
ウクライナの平和への一歩に、
日本で行われているサミットが貢献する。

G7広島サミットが終了して、
岸田文雄総理が議長国記者会見を行った。
20230521kaiken01
そのスピーチから。

「今日こうして、人類の生存を信じ、
平和を希求し、広島に集う、
各国のリーダーたち、世界のメディア、
明日を担う若者や子供たち、
そして先の大戦を知る皆さん、
我々は皆、”広島の市民”です」

「世界80億の民が全員、
そうして”広島の市民”となった時、
この地球上から、
核兵器はなくなるでしょう。
私はそれを信じています」

この「広島の市民」という表現は、
とてもよかった。

「長崎の市民」でもあってほしい。

「夢想と理想は違います。
理想には手が届くのです。
我々の子供たち、孫たち、子孫たちが、
核兵器のない地球に暮らす理想に向かって、
ここ広島から、今日から、
一人一人が広島の市民として、一歩一歩、
現実的な歩みを進めていきましょう」

そう、一人一人、一歩一歩。

「1945年8月6日午前8時15分。
77年と9カ月の月日を経て、
我々G7の首脳はこの地に集いました」

「時を隔てた広島の声と祈りを
我々は今、共に聴いています。
力による現状変更のための核兵器による威嚇
ましてやその使用はあってはなりません」

「”核兵器を使わない、核兵器で脅さない”
人類の生存に関わるこの根源的な命題を、
我々は今こそ問わなければなりません」

核兵器を使わない。
核兵器で脅さない。

そのとおり、まさに正論。
しかし正論は言葉で終わることが多い。

2021年1月22日、
核兵器禁止条約が発効した。
核兵器の開発、保有、使用を全面禁止する、
初の国際法規である。

世界の50カ国・地域が批准した。

しかしアメリカ、イギリス、フランス、
そして中国、ロシアの国連常任理事国、
そして核保有五大国は参加していない。

日本も韓国も、
アメリカの核の傘の下にあるという理由で、
参加していない。

中国や北朝鮮との緊張関係は増しているから、
当面、参加することは考えられない。

しかし、
核兵器を使わない。
核兵器で脅さない。

この岸田発言は、
核兵器禁止条約への一歩となる。

それは夢想ではない。
理想には手が届くのだから。

口先だけのものとしてはいけない。
ビジョンで終わらせてはいけない。
行動が伴わなければならない。

それが東京・渋谷生れながら、
広島出身の家系で、
広島を選挙区とする岸田文雄の責務だ。

平和は今日、さらに近づいたのだから。

〈結城義晴〉

追伸。
小売業は平和産業です。
岡田卓也さんのコンセプトに、
私も同感するものです。
核兵器とは正反対のところに位置する。
だから私たちは、
核と平和に敏感でなければならないと思います。

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