結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年11月17日(日曜日)

兵庫県知事選の「敗者は既存のもの」とチラシ販促の今後

ここのところ日曜日は毎週、
何らかのイベントがあって、
出かけることが多かった。

けれど今日は一日中、
家にいて体を休めた。
背中などが少し痛い。

兵庫県知事選挙が投開票された。1500x500
斎藤元彦前知事が失職して、
空席となった知事職の選挙。

ワイドショーなどで連日、
批判報道があったが、
私はこのブログでは、
一度も取り上げなかった。

斎藤前知事は9月にパワハラ疑惑などを、
内部告発された。

その告発者の局長が自殺した。

その後、県議会は、
全会一致で不信任決議をした。

斎藤知事は失職して出直し選挙に臨んだ。

告発文書によって混乱を招いたことは謝罪し、
告発者を特定して懲戒処分とした判断は、
妥当だったと主張し続けた。

若者向け施策と行財政改革の実績を主張し、
ソーシャルネットワークを積極的に活用して、
若者や無党派層の支持を広げた。

過去最多の7人が立候補し、
投票率は55.65%と前回の41.1%を、
15%近く上回った。

結果は、大方の予想を覆して、
斎藤前知事が返り咲いた。

真相はわからない。
何か不思議な現象が起こっている。

そのことが実感される。
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日経新聞の記事に対する短いコメント。
投稿者が自身で考えたことが掲載される。

加藤雅俊関西学院大学経済学部教授。
兵庫県の住民で選挙権をもっていた。
「兵庫県民は、今回の選挙は
とても難しい判断を迫られたと思います。
私は県民の一人として、
各種メディアの情報のうち何が正しく、
何が間違っているのかについて精査して、
どの候補者が知事として相応しいか
真剣に考えました」

「以前と違って、
既存のメディア(テレビ、新聞など)だけでなく、
SNSを中心としたさまざまな情報源から、
迅速にさまざまな情報を
得られる時代になりました。
社会の情報リテラシーが向上し、
メディアの偏った報道があったとしても、
それに流されることが
少なくなったのかもしれません」

「県民としてみれば、自分たちのリーダーは
自分たちで決めるという強い思いを持ち、
真剣に政治に向き合う
良い機会になった気がします」

既存のメディアと、
新しいSNSのメディア。
その闘いだった。

室橋祐貴「日本若者協議会」代表理事。
「ネットが主流化し、
若者・現役世代の支持をいかに獲得するかが
決定的に重要な時代に入りました」

「投票率は上がり、
若者の影響力が増していくのは
ずっと望んできたことではありますが、
一方で、ネット上の誹謗中傷やデマは
目に余るものも多く、
規制ががんじがらめの地上の選挙運動と
(+過度に政治的中立性を気にするテレビ)、
規制がほとんどないネット上では
全く見える風景が変わってきています」

「ネットの主流化」
しかし「誹謗中傷やデマ」

「ネットでリッチな情報が
入りやすくなってきたのは、
良い方向ではありますが、
その情報を分析するリテラシー能力は
追い付いていないと思っており、
政治教育の強化が早急に求められます」

「ネット情報を分析する
リテラシー能力」

最後に滝田洋一日本経済新聞社客員編集委員。

①SNSとリアルの共振現象は、
都知事選の石丸現象、
総選挙での国民民主の躍進を想起させます。
斎藤元彦氏には立花孝志氏が、
勝手連のような応援に入り、
YouTubeを舞台に旋風を巻き起こしました。

②印象的なのは稲村和美氏の敗戦の弁。
「斎藤氏との選挙戦のはずなのに、
何を相手に戦っているのか
わからない状況になった――」
そんな感想からは、SNSを前に
なすすべを知らぬ姿が浮き彫りに。

③今回の選挙の敗者は既成政党であり、
既成メディアでしょう。
とりわけ勧善懲悪のワイドショー政治に
不満を募らせている、SNS民の存在が
大きいことがハッキリしたと思われます。

アメリカ合衆国のトランプ大統領の選挙でも、
同じようなことが起こったのだろう。

実に興味深い現象だ。202405_message (1)
敗者は既存政党、
既存メディア。

新しい世代の台頭は著しい。
それはよいことだ。

商売の世界でも、
それは顕著である。

既存の企業、既存の店舗。
そして既存の売り方と既存の販促。

SNSをどれだけ理解し、
どれだけ活用できるか。

「なすすべを知らぬ姿」だけは、
避けなければならぬ。

連日の斎藤元彦知事への、
既存メディアの報道が、
選挙でひっくり返される。

商売ではチラシ販促がひっくり返される。
そんな時代が来ていることが、
明らかになったのだと思う。

〈結城義晴〉

2024年11月16日(土曜日)

戸塚カントリー俱楽部の「むずかしいからおもしろい」

戸塚カントリー倶楽部。

横浜市内のゴルフコースは、
4カ所。

程ヶ谷カントリー倶楽部。
1922年、日本人用として国内初の、
18ホールのゴルフコースが生まれた。

横浜カントリークラブ。
1960年開場。
日本オープンをはじめ、
プロゴルフトーナメント開催、数知れず。

磯子カンツリークラブ。
1960年5月、18ホール・6305ヤード、
パー72で正式開場。

戸塚カントリー倶楽部。
1961年のオープン。
東コースと西コースがあって、
西コースは巨匠・井上誠一の設計。

その西コース・アウト1番ホール。IMG_7485 (002)

快適なゴルフ日和。

これまで東コースを回ることが多かった。
荒井伸也さんとは何度もランドした。
玉生弘昌さんや故斎藤充弘さんと。
髙木勇輔さんとも。

フロントの上の富士と戸塚カントリー。IMG_7486 (002)

秋の空。
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午後は西コースのイン10番。IMG_7484 (002)

2010年5月の商人舎標語。
「むずかしいからおもしろい」

会社の経営も店の運営も、
仕事も研究も、スポーツも音楽も、
極めることは難しい。

困難で、難解で、
したがって真剣に考え、行動する。
それが、面白さにつながる。

井上ひさしさんの言葉。

「むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
そしてゆかいなことを
あくまでゆかいに」

私の文章法の基本。
「難しいことを易しく。
易しいことを面白く。
面白いことをより深く」

むずかしいことへの態度。
「むずかしいことをやさしく」する。

そのために「むずかしいことをやさしく」考え、
「むずかしいことをやさしく」行動する。

商業界主幹の故倉本長治。
「やさしいことから手をつけよ」

なぜか?

そのほうが実現させやすいから。

「仕事の段取りとして、
困難なことから手をつけるのは、
うまいとはいえない」

ピーター・F・ドラッカー。
「重要なことから始めよ」

「成果をあげるエグゼクティブは、
最も重要なことから始め、
しかも、一時に一つのことだけを行う」

「成果をあげるための秘訣を、
ひとつだけ挙げるならば、
それは集中である」

私は、長治とドラッカーの言葉を、
一つのつながりで結ぶ。

「優先順位をつけて、
重要なことから始める。
重要なことを問題解決するのに、
集中的にやさしいことから手をつける」

現代社会・現代ビジネスはとても厄介だ。
重要なことが、すなわち、
難しいことばかりだからである。

けれど重要で困難なことはおもしろい。
面白いから、やり甲斐がある。

2010年に、
戸塚カントリー俱楽部でラウンドしたあと、
私は標語を言った。
「むずかしいからおもしろい」

そうしたら荒井伸也さんが、ぽつり。
「その通り。
だからゴルフは隆盛していて、
ボーリングはそれほどでもない」
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納得。

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今日もいやというほど、
納得させられた。
「むずかしいからおもしろい」

〈結城義晴〉

2024年11月15日(金曜日)

USP研究所の當仲寛哲さんとヤオコー&そよらの最新店

七五三の日。
11月15日。

7歳と5歳、3歳の子どもの成長を祝う。
とてもいい行事だと思う。

子どもは社会の希望だ。

今日、やってきてくれたのは、
當仲寛哲さん
USP研究所代表取締役所長。
Universal Shell Programming Laboratory。IMG_7478 (002)社長室の髙野主浩(かずひろ)さんが、
現在の秘書業務を担う。
入社7カ月の新人。

USP研究所は、
「ユニケージ(Unicage)」を駆使して、
情報システムを開発する。

當仲さん本人は世界を駆け巡って、
キーマンに会い、最新のシステムを研究する。
日本国内ではコンサルティングを展開しつつ、
システムを構築する。

小売業のクライアントには、
凄いチェーンが名を連ねる。

小売業はITの領域で、
「刈り取られ場」である。

なぜか。

トップマネジメントたちに、
コンピュータ・リテラシーが不足しているからだ。

それを食い止めねばならない。
この点でいつも意見は一致する。

そのUSP研究所は、
もう社員が100人を超える。

當仲さんはその若者たちを、
本気で育てようとしている。

髙野さんもその一人だ。

最後に髙野さんに本をプレゼント。
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1時間半ほど近況を聞いた。
そしてITとDXの核心をつく話となった。
最後は単行本を書いてもらうことになった。

来年は互いに飛躍の年にしよう。
最後に當仲さんと固い握手。
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さて商人舎流通SuperNews。
注目の2店舗が今日、オープン。

ヤオコーnews|
550坪・年商25億円「ヤオコー新百合ヶ丘店」11/15オープン

神奈川県川崎市のヤオコー新百合ヶ丘店。
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小田急線新百合ヶ丘駅の南口から、
南西に約 300m。

駅から店舗まで、
なんと遊歩道が直結している。

都心へのアクセスが良好なベッドタウン。
人口も増加している。

周辺は緑豊かで閑静な住宅街。
「都市景観100選」

ヤオコーにぴったりのロケーショだ。

売場面積は550坪。
初年度年商は25億円を予定。

ストアコンセプトは、
「ヤオコーの魅力で記憶に残る売場を作り
ヤングファミリーから圧倒的な支持を得よう!」

ヤオコーのフルスペックの新店。
ドル箱店舗となるに違いない。

ただし記者発表は11月17日(日)の早朝。
写真はまだ掲載できない。

一方、
イオンリテールnews|
「そよら今治馬越」11/15オープン/イオン今治店を刷新

こちらは愛媛県今治市。
1999年開業のイオン今治店の全館改装。
「そよら今治馬越(うまごえ)」としてオープン。
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そよらは現代ライフスタイルに合わせた都市型SCだ。
箱形総合スーパーをSCに転換させて、
核店舗をイオンスタイル今治馬越にした。

施設は3層で、売場面積は3941坪。

専門店数は20店舗。

各階に愛媛県初出店の店舗が入る。
1階にはサイゼリヤ、
2階には大創産業の3ブランド複合店。
つまりDAISO、Standard Products、THREEPPY。
3階は子どもの室内遊び場「The Kids」。

1階の食品売場の農産部門は、
地場野菜や果実にこだわる。
地元「しまなみ彩野菜」コーナーを新設。

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店内製造の「ピッツァソリデラ」も新設。
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ドラッグストア「グランビューティーク」、
そしてイオン薬局今治馬越店を新規開設。
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イトーヨーカ堂は結局、
「箱形GMS」の転換ができなかった。
だから食品スーパーマーケットへ、
業態の縮小展開をせざるを得なかった。

イオンリテールは、
箱形の総合スーパー業態から、
商業集積型に転換して、
柔軟な店揃えを試みた。

それが「そよら」である。

ヤオコーもそよらも、
見事にフォーマットを確立している。

つまりフォーマット戦略を成し遂げている。

それは私にとって、
嬉しいことだ。

〈結城義晴〉

2024年11月14日(木曜日)

Fast Retailingの「Peace For All」と商人舎の「何を伝えるか」

東京・小平。

第一屋製パン㈱の取締役会。
パン工場のパンの香り。
それはたぶん、地域に貢献している。
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人事制度の改革に関して議論した。

武蔵野線、南武線、東海道線を乗り継いで、
横浜に戻った。

そして整骨院に寄って、
診断と治療。

左膝を打って打撲。
左鼠径部に痛みもある。

治療してもらって、
ずいぶんよくなった。

さて昨日はオンライン記者会見。

㈱ファーストリテイリング。
「LifeWear=新しい産業」説明会。fastre_pp0

メディアとアナリスト向けに、
定期的に開催されている。

東京ミッドタウンのカンファレンスルームから、
ZOOMによるオンライン配信で実施された。
商人舎オフィスでオンラインで視聴。

ファーストリテイリングは、
絶好調の経営と運営の中で、
ビジネスモデルの転換を目指している。
それは「事業成長とサステナビリティ」の一致である。

そこで「LifeWear = 新しい産業」を掲げて、
2017年8月期から全社改革「有明プロジェクト」を推進する。

その取り組みが説明された。

商人舎流通SuperNews。

ファストリnews|
「LifeWear=新しい産業」を柱に成長とサステナの両立図る

第4回となる今回は3名が説明者。
柳井康治取締役グループ上席執行役員、
田中大グループ執行役員、
新田幸弘グループ執行役員。

最初は柳井取締役。fastre_yanai
柳井正会長兼社長の次男で、
2001年、三菱商事㈱入社。
2009年、英国のプリンセス出向。
2012年9月、ファーストリテイリング入社。
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チャリティTシャツプロジェクトは、
「Peace For All」とネーミングされている。
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100万点のヒートテック・エアリズムを、
難民や子ども、災害被災者などに寄贈する。
この社会貢献の取り組みについて説明した。fastre_pp1

田中グループ執行役員は、
サステナブルと商品開発の両立への取り組みを発表。fastre_tanaka

全世界から収集した年間3140万件の顧客の声、
カスタマーセンターに集まった意見、
オンラインストアの商品レビュー、
店舗スタッフの声。

それらを新商品の開発や改良に活用する。

キーワードは、
「無駄なものはつくらない、運ばない、売らない」

トヨタ生産方式と同じだ。fastre_pp03
独自素材の「スフレヤーンニット」、
それからブラトップ、パフテックなどが、
事例として紹介された。

新田執行役員は、
環境への取り組みを説明した。fastre_nitta
店舗と主要オフィスで、
温室効果ガスの削減を実施する。

2023年8月期には、
2019年度比で69.4%の削減を達成した。

「2030年度8月期までの目標は90%削減」だが、
順調に進捗している。

服のリペア・リメイクサービスは、
「RE.UNIQLO STUDIO」とネーミングされている。

2022年にスタートし、
2024年10月までに、
22の国・地域で51店舗の展開となった。

また2023年10月から、
古着販売の実験を始めた。
2024年10月から、
ユニクロ前橋南インター店でも販売開始。
現在、ユニクロ世田谷千歳台店、
ユニクロ天神店と併せて、
3店舗で展開中だ。

3人の説明が終わると質疑応答。

商品本部の松崎里美ウィメンズMD部長も加わる。fastre_qa
古着プロジェクトの課題について問われた。

柳井執行役員。
「古着の購入者自体がまだ少ない。
店舗を通じて発信を強化していく」。

各国の気候や嗜好によって、
どのようなMDの違いがあるのか。
松崎部長はシンプルな回答。
「着心地の良さを求めるという本質に違いはない」
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これがアパレルの本質だ。

みんな、書かれたものを読むのではなく、
自分たちがやっていることを、
話したくて仕方がない、といった印象だ。

オンラインでもそれが伝わる。

私は1989年に㈱商業界で、
食品商業編集長となった。

そのときに山本浩史先生が、
名古屋からわざわざ、
麻布台の会社の編集部の席までやってきて、
編集フロアのみんなに聞こえる声で、
私に向かって言った。

「結城君、編集長就任おめでとう。
いい雑誌をつくってくれたまえ。
しかし売れる雑誌をつくることよりも、
何を伝えるかのほうが大事だ。
それを忘れないでほしい」

私はその言葉を忘れない。

その後、雑誌は会社の歴史の中でも、
一番売れるようになった。
記録を残した。

しかし「何を伝えるか」を私は考え続けた。

ユニクロもファーストリテイリングも、
「売れる服」をつくるだけでなく、
それによって何をするかが大事だ。

「たった1枚のTシャツにも、
平和のためにできることがある」

今月の月刊商人舎もお陰様で好評だ。
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執筆の先生方にもお褒めの言葉をいただいた。

島田陽介先生。
「流通業関連ジャーナリズムが、
かつてない沈滞に陥っているいま、
『商人舎』は一縷(いちる)の灯(あか)りです」

井坂康志さん。
「見事な編集の技量が発揮されており、
大変感銘を受けております」

ありがとうございます。

それは私たちが「何を伝えるか」を、
本気で考え続けているからだ。

柳井正さんやその仲間たちと一緒だ。

〈結城義晴〉

2024年11月13日(水曜日)

創業家によるセブン&アイMBOと「会社は誰のために」

セブン&アイ・ホールディングス。

事態は小説のように転換する。
月刊商人舎11月号。
「会社は誰のためにあるのか?」
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セブン&アイを事例にして、
考察し、解明を試みた。

セブン-イレブン・コーポレーションと、
ヨーク・ホールディングスとに、
分けられる予定だった。

そこへまた一つの新しい局面が生まれた。

新聞各紙が報じた。
商人舎流通SuperNewsも。

セブン&アイnews|
伊藤順朗副社長と伊藤興業からの提案を「受領」と発表

主役は伊藤順朗セブン&アイ代表取締役副社長。

創業家の管理会社「伊藤興業㈱」代表取締役であり、
ヨーク・ホールディングスでも代表取締役だ。

その伊藤興産がセブン&アイに「買収提案」をした。

ご承知のようにアリマンタシォン・クシュタールも、
すでに買収提案をしている。

そこでカナダの会社に買収されるよりも、
創業家がマネジメント・バイアウト(MBO)をして、
株式の非公開化を果たすことによって、
防衛しようという考えだ。

このとき株式公開買い付け(TOB)が行われる。

思い切った策である。

全株式を取得した場合の買い付け総額は、
6兆円以上、10兆円をこえるかもしれない。

今年の1月15日に、
大正製薬ホールディングスでは、
創業家の上原茂副社長が代表を務める大手門㈱が、
同じようにMBOを完了した。

3月18日の臨時株主総会では、
株主の84.89%が賛成した。

そして4月9日、
東証スタンダード市場の上場廃止となった。

伊藤興産はこれと同じ選択をするようだ。
ただし大正製薬は7100億円ほどだった。

セブン&アイは、
伊藤興産を中心に伊藤忠商事、
そしてメインバンクの三井住友銀行、
さらに三菱UFJ銀行、みずほ銀行の、
メガバンク揃い踏みで融資して、
10兆円を超えるTOBとなりそうだ。

日本の金融機関が挙げて、
セブン&アイを守ることになる。

まだ、推測の域の話だ。

伊藤興業はセブン&アイの株式の8.2%を保有し、
信託銀行の日本マスタートラスト信託銀行㈱に次ぐ、
第2株主である。

商人舎11月号の特集で私は、
伊藤興産はヨーク・ホールディングスに対して、
資本投入するのだろうと書いた。

しかしそれは違っていたようだ。

伊藤順朗さんはその上を考えていた。

私は書いた。
「この会社にはオーナーシップ経営が
求められている」

「この会社」とは、
ヨーク・ホールディングスだ。

それは私の確信である。

ただし、セブン-イレブンまですべて、
非公開とするようだ。

株式市場からの資金調達を受けずに、
セブン-イレブンの世界戦略は果たせるか。

スティーブン・デイカス取締役会議長。
セブン&アイの特別委員会委員長を兼務する。

「当社の特別委員会および取締役会は、
価値最大化に向けて、
各関係者との対話を継続するとともに、
当社株主およびその他のステークホルダーの
利益の最大化に向け、引き続き取り組む所存」

私はそのステークホルダーに関して、
「従業員=株主、顧客=株主」の提案をした。
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井坂康志氏は、
11月号の「経営哲学の視点から考察する」で、
指摘した。
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「そもそも経営とは二極性をはらんでいる。
異質なもの同士が一つの企業の中にあるのは
現実を見るなら普通のこと」

「そもそも企業とは生き物であるから、
矛盾・葛藤を内部にはらんでいて当然である」

私はそれを「特集のまえがき」で、
「産業論理と商人論理」と呼んだ。
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イトーヨーカ堂から発した会社、
セブン&アイ・ホールディングスは、
すべてを包含して「時代の子」である。

だからこそ、
「会社は誰のためにあるのか?」のテーゼが、
ますます重要になってきた。
そのことを考え続けねばならない。

頑張れ。

〈結城義晴〉

2024年11月12日(火曜日)

ヤオコー「中間好決算」とアオキスーパーの全店「座るレジ」

昨日のぞろ目の11月11日。

午後4時から、
㈱ヤオコーの第2四半期決算記者会見。

東京都中央区のベルサール八重洲。
2階の会見場には30人弱の記者が集まった。yaoko-kessan
出席者は川野澄人社長と、
上池昌伸専務取締役管理本部長。

商人舎流通SuperNews。

ヤオコーnews|
第2Q営業収益3595億円17.9%増・経常利益209億円8.0%増

営業収益3595億円17.9%増、
営業利益213億円9.6%増、
経常利益209億円8.0%増。

業界のトレンドは増収減益だが、
さすがヤオコーは増収増益。

商人舎11月号流の「通信簿」にすると、
A+、あるいはSとなる。
スクリーンショット 2024-11-13 015157
ヤオコー、エイヴィが順調である上に、
せんどうを連結子会社にしたことで、
大幅な増収になった。

既存店売上高は6.3%増。
客数3.5%増、客単価2.6%増、一品単価3.2%増。

ヤオコーが重視する点数PI値は0.6%減。
客数100人当たりの買上点数である。

既存店売上げについては
日本スーパーマーケット協会との比較をする。
ヤオコーは協会加盟企業の平均数値に対して、
毎月3~5%上回っている。

川野澄人社長は期中の取り組みについて、
スライドを使って淡々と説明した。yaoko_kawano11

グループ店舗数は234店舗。
せんどうの25店舖が加わった。

上期はヤオコーが4店舗を出店。
通期ではエイヴイを含めて9店舗を出店する。

質疑応答では、
設備投資が増加傾向にあることを問われた。
川野社長はきっぱりと答えた。
「もっとコストは抑えたいが、
新店は必要な投資です。
だから既存店で稼いでいきます」

南北政策の進捗や生産性改善の成果などを語った。

通期の営業収益は7070億円14.1%増、
営業利益314億円7.1%増、
経常利益305億円5.6%増。

36期連続の増収増益は確実だ。
素晴らしい。

それから、
アオキスーパーnews|
「レジ専用イス」11/5全店への設置完了

㈱アオキスーパーの「レジ専用イス」。
7月から導入を始めていたが、
11月5日(火)までに52店舗全店への設置を完了。
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月刊商人舎8月号で取り上げた。
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アオキスーパーとベルクは、
「レジは立ち仕事」という固定概念を排して、
「座りながらのレジ仕事」や、
「待機中にちょっと座る」など、
選択肢を増やす。

実にいいことだ。

さて今日は朝9時半から、
オンライン会議。

㈱True Dataの臨時取締役会。
第25期中間決算短信を承認した。

それから商人舎オフィスに出社。

夕方、東京・久が原の㈱寺岡精工本社へ。
1階の展示場。
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年代物の製品が並ぶ。
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1973年に発売して、
大ヒットした電子料金秤「DIGI」(デジ)。IMG_7459 (002)

創業者たちの胸像。
初代の寺岡豊治さん(左)と、
二代目の寺岡武治さん(右)。IMG_7460 (002)
世紀の発明家たちだ。

それから1時間半くらいのミーティング。
私はピーター・ドラッカーの話をした。

お疲れ様でした。
ありがとうございました。
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この後、商人舎側で打ち合わせと食事。

二宮護さんが加わってくれた。
上の写真の左端。

私の大学の後輩で、
二人でバンドの真似事をやっていた。

だから大久保恒夫さんとの、
「二人のビッグ・ショー」のときにも、
二宮さんは出演してくれた。
??????????

不思議なことに誕生日も一緒だ。

そして同じような仕事に就いた。

私の単行本は何冊も編集してくれた。
『メッセージ』(商業界刊)
『小売業界大研究』(産学社刊)
『コロナは時間を早める』(商人社刊)
『チェーンストア』(商人社刊)

学生時代から「相棒」だったが、
今も単行本に関しては相棒だ。

互いに元気で仕事を続けたいものだ。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年11月11日(月曜日)

商人舎11月号特集「会社は誰のためにあるのか」と野渡毅之新社長

Everyone, Good Monday!
[2024vol㊻]

2024年第46週。
11月第3週。

月刊商人舎11月号発刊。
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表紙デザインは七海真理さん。
そのハトの意味は?

わかりますよね。
202411_cover-page

[Cover Message]
日本最大の小売企業セブン&アイ・ホールディングスが買収をかけられている。日米のコンビニの経営状態も芳しくはない。会社は苦境にある。イトーヨーカ堂のハトは荒海の中で、ノアの箱舟に乗れるのか。セブン&アイは多くの傘下企業を三つに分割して乗り切ろうと考えている。世界に冠たるコンビニのセブン-イレブン・コーポレーションと、イトーヨーカ堂やヨークベニマルを中核とするコングロマーチャントのヨーク・ホールディングスと、セブン銀行の金融関連企業とに。
この状況は「会社は誰のためにあるのか?」というテーゼを考察する材料として最適である。買収しようとする者にとって会社は、売り買いの対象たる「商品」である。経営する者にとって会社は、マネジメントし、社会貢献する「組織体」である。働く者にとって会社は、収入を得つつ人生を全うし、働きがいや生きがいを見つけ出す「職場」である。顧客にとっては、生活を支えてくれる「店」である。そんな多様な存在である会社とは何か。誰のためにあるのか。

目次。
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Message of November。
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前略 ヨーカ堂のみなさんへ

会社は大変なことになっていますね。
ご心労、お察しします。
それでもお客さまのために、
毎日の商いを怠りなく続けてください。
お願いします。

みなさんの会社の創業者・伊藤雅俊さんには、
私自身、大変お世話になりました。
勉強もさせていただきました。

1979年、伊藤雅俊さんが、
日本チェーンストア協会第三代会長のときに、
私は密着取材をしました。
そして一冊丸ごとの「販売革新別冊号」をつくりました。
「チェーンストアフェア’79全記録」というタイトルでした。

この中で伊藤さんは求めている人材像を語りました。
第1は人間的な温かみがある人。
第2は地道に物事に取り組み、真正面から挑戦できる人。
第3に誠実で正直な人。
伊藤さんは付け加えました。
「チェーンストアを別の言葉で言えば信用業です」

伊藤さんはお取引先との四つのルールを、
社内に徹底しました。
⑴ 対等の立場
⑵ 約束は必ず守る
⑶ 接待は受けない
⑷ 返品しない

今も、これからもイトーヨーカ堂にとって、
とても大切なことです。

東日本大震災のあと、
伊藤さんとお話ししました。
「潮目が変わりました」

どういう潮目の変化ですか?
「自分たちの力が及ばないところで、
大変化が起こります」

すると新型コロナが世界を席巻しました。

預言者のような伊藤さんでした。

今、イトーヨーカ堂にも、
自分たちの力が及ばないところで、
大きな変化が起こっています。

その変化にも誠実に、正直に、
真正面から挑戦してください。
そして温かい商人でいてください。

伊藤雅俊さんのご遺志を継いでください。
ご健闘を祈ります。
いつまでも応援しています。 草々

結城義晴
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特集はセブン&アイをケーススタディとして、
「会社は誰のためにあるのか?」を考察した。

井坂康志さん、島田陽介さん、
そして小島健輔さん。

それぞれに深い考察を展開してくださった。

結城義晴が書いたのは、
[特集のまえがき]
「産業論理の会社と商業論理の会社」

[特集のあとがき]
「会社を顧客と従業員のためとするには」

是非、読んでください。

それから特別企画。
チェーンストア半期の通信簿
中間決算の成績に岡目八目で
「S・A・B・C・D」をつける。
悪しからず。

これまでストレートに、
成績をつけたことはなかった。
決算特集や中間決算特集で、
それなりのことを書いても、
はっきりと、きっぱりと、
この会社はSだ、こちらはDだ、
などとは書かなかった。

それをやった。

「勝手な通信簿で、悪しからず。
しかし通信簿は奮起を促すためのもの。
了解してほしい」

そして特別研究。
小売業「DX」NOW!
「後進の先進性」を活かす商売のヒント

デジタル・トランスフォーメーションは、
急速に進んだ。

それでも日本は、そして日本の小売業は、
まだまだ遅れている。
そこで「後進の先進性」「後発の優位性」を活かして、
商売と仕事の変革を成し遂げることができる。

その最近のチェーンストアのDXのネタを網羅した。
資料的な価値もあります。

今月も提案性の強い雑誌となった。

先生方、デザイナーの皆さん、
そして編集部のみんな、
ありがとうございました。

さて今日は 午前中に来客。
お会いしたのは、
11月11日11時となった。

ユースキン製薬㈱の野渡和義会長、
そして10月25日の株主総会で、
代表取締役社長に就任した野渡毅之さん。
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ほんとうにおめでとうございます。

未来は明るい。

伝統の基幹商品「ユースキン」
ハンドクリームとして圧倒的な人気だ。y120_001.jpg2
そこに新しい柱が加わった。
「yuskin hana」だ。
hana_la_03_001.jpg2
れらが牽引して、
過去最高の売上高と最高益を出した。

野渡会長は聖光学院中学・高校の、
器械体操部の3年先輩。

ほんとうにあこがれの先輩だったし、
大変お世話になった。

その野渡先輩は39歳で社長になった。
それ以来、75歳の今日まで、
36年間、トップの座を守り、
会社を成長させてきた。

毅之新社長も39歳。

大いに期待しよう。

私はインディペンデントな、
ファミリービジネスがいいと考えている。

小売業に辣腕の専門経営者がいる会社もいい。
しかし非上場のオーナーシップ経営も強い。

ユースキン製薬はそんな会社である。

いいバトンタッチができて、
野渡先輩も穏やかな顔つきだった。

最新刊の『チェーンストア』をプレゼント。
「野渡毅之様 恵存」IMG_8871
恵存」の意味は、
「お手元に置いていただければ幸いです」

そして筆で言葉を書いた。
「心は燃やせ 頭は冷やせ」
“Cool Head, but Warm Heart”IMG_8876

30代の若い社長。
それだけで、いい。

あとは「艱難が商人を鍛える」
イトーヨーカ堂の人たちも。

では、みなさん、今週も、
艱難を喜びとしよう。

Good Monday! 

〈結城義晴〉

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結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

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