結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年03月06日(水曜日)

カインズ&船井電機「包括的業務提携」のフォーマット化への貢献

Super Tuesday。
共和党はドナルドの圧勝。
15の州と地域のうち14州で勝利。

ニッキー・ヘイリー候補は及ばず。
東部のバーモント州で一矢報いただけ。
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日経新聞のFINANCIAL TIMES。
コメンテーターのジャナン・ガネシュが書いている。

米国大統領選で勝てる候補者は、
どのような人物が理想的か。

①バイデン大統領よりは保守的
②トランプ前大統領ほど突拍子もない人物ではない
③米政界の新たなスタートを象徴する若さがある
④しかし完全な青二才ではない
⑤年齢は52歳くらいが妥当

さらに、
⑥首都ワシントンで弁舌を垂れている人ではない
⑦州知事を経験した人がいい
⑧ここ数十年、大統領出身者が多く、
急成長を遂げるサンベルト地帯の州知事経験者
⑨外交問題を扱った経歴
⑩移民国家・米国にふさわしい生い立ち

「女性であること」を、
ガネシュは条件に挙げていない。

「もし出身地がサウスカロライナ州ではなく、
どこかの激戦州だったら、
これらの基準をすべて満たす
ヘイリー元国連大使」

ニッキー・ヘイリー候補の両親はインドからの移民だ。

「大統領になるために
研究所でつくりだされた候補」

こうまで絶賛したが、
ヘイリー候補は負けた。

民主党もジョー・バイデンが制覇。
米国領サモアで負けただけで、
あとは全勝。

こちらもカマラ・ハリス副大統領は、
大統領選挙に名乗りを上げられなかった。

ミッシェル・オバマも、
自ら名乗り出ることはない。

それでも、
カマラ・ハリスとニッキー・ヘイリーならば、
新しい時代に期待が持てたのに、残念だ。

これで老老対決が決まった。

月刊商人舎3月号、責了しました。IMG_4077 (002)4

いい出来栄えです。
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これまで商人舎では、
企画したことのない特集です。

表紙も特集に合わせて斬新です。

楽しみにしてください。

さて、商人舎流通SuperNews。
カインズnews|
船井電機と包括的業務提携契約を締結

ホームセンタートップの㈱カインズ。
船井電機㈱と包括的業務提携契約を締結。
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オリジナルブランドの家電を共同開発する。

カインズが本格的に、
家電を取り込む。

もともと独自開発したオリジナル商品は、
国内外のデザイン賞を10年以上連続受賞。

2007年度にSPA宣言を行った。
もっともSPAは正確には、
Specialty Store Retailer of Private Label Apparel。
衣料品プライベートラベルの専門店小売業。

「製造小売業」という意味でとらえて、
それは許そう。

カインズは2022年度までの15年間に、
オリジナル商品の売上高が約2.3倍に伸びた。

2023年秋には商品開発体制を一新。
従来の事業部やカテゴリーを超える開発をする。

その一環が家電である。

一方の船井電機。
家電製造業のディスカウンター。
1999年からウォルマートとの取引開始で、
急拡大したが、
2000年代に入って、
中国・台湾のメーカーと競合し、
収益性を落とした。

2006年には日本のヤマダ電機と、
独占販売契約を結んだりしたが、
2021年8月に非上場化して、
AV事業依存型から脱皮しようとした。

船井電機は販売力のあるカインズと組みたい。
カインズは家電分野の独自ブランドを開発したい。

両者のニーズは合致した。

オリジナル家電製品の企画開発、
製造、販売、アフターサービスを、
協力して実施していく。

今年の2024年度中に新製品を発売する。

アメリカのホームデポもロウズも、
家電は強力な核部門だ。

ロウズは白物家電では、
アメリカで一番の販売力を持つ。

カインズが米国流のホームセンターへと、
一歩脱皮を図る。

さらにカインズは2022年3月31日、
東急ハンズを買収して傘下に入れている。

これもカインズのフォーマットに貢献する。

業態からフォーマットへ。
ほかにないポジショニングを築く。

カインズが一歩先を行く。

船井電機との包括的業務提携は、
それを如実に表している。

〈結城義晴〉

2024年03月05日(火曜日)

「知」の産業革命のあとに「知」の流通革命が起こる。

3月5日。March 5。
Super Tuesday。

大統領選挙の党公認候補を決める、
州の予備選・党員集会が集中する日。
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今年は民主党が16州・地域、
共和党は15州。

どちらも総代議員のほぼ3分の1が決まる。

今、81歳のジョセフ・ロビネット・バイデンと、
77歳のドナルド。

アメリカの将来は明るくない。

朝日新聞「折々のことば」
毎朝、必ず見る。

第3018回。
私は私なりに生きていきたい。
(小山さん)

「何の保障もない餓死寸前の日々。
理不尽な暴力に晒(さら)され、
身の竦(すく)む毎日」

「東京で長く野宿生活をする女性は、
恵み施しあっても、つるまないし、
干渉も深入りもせずに生きてきた」

「瞼(まぶた)が腫れるほど泣き叫ぼうとも、
誰にも頼らず手なずけられもせずに、
対等でいたいと言い切る」

「小山(こやま)さん」と呼ばれた、
ホームレスの女性。
2013年に亡くなるまで公園で暮らし、
約80冊のノートを遺した。
膨大な文章が書き綴られていた。
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「働きに行きたくない。仕事がかみあわない。もう誰にも言えない。私は私なりに精いっぱい生きた。(…)私にとって、大事なものは皆、無価値になって押し流されていく。」
(1991年11月7日)

「雨がやんでいたのに、またふってくる。もどろうか。もどるまい。黄色のカサが一本、公園のごみ捨て場に置いてあった。ぬれずにすんだ。ありがとう。今日の光のようだ。」
(2001年3月18日)

「駅近くに、百円ちょうど落ちていた。うれしい。内面で叫ぶ。八十円のコーヒーで二、三時間の夜の時間を保つことができる。ありがとう。イスにすわっていると、痛みがない。ノート、音楽と共にやりきれない淋しさを忘れている。」
(2001年5月7〜8日)

私なりに生きていく。
それがいちばん、いい。

二十四節気の「啓蟄」
冬籠りの虫が這い出るころ。

外は冷たい雨だが1日中、
横浜商人舎オフィスで原稿執筆。

お昼はセブン-イレブンで、
サンドイッチを買ってきてもらって、
パソコンに向かいながら頬張る。

小山さんには申し訳ない気もする。

誰かの役に立てばいい。
そんな気持ちで原稿を書いている。

私は私なりに生きていく。

日経新聞「大機小機」
タイトルは、
「知の産業革命と日本」

「日経平均株価が連日で最高値を更新し、
4万円台に乗せた。
明るいニュースだが、
手放しには喜べない」

同感だ。

コラムニスト癸亥さんは、
「世界経済を観察する」

「バブルが崩壊した1990年代は、
インターネットが産業に革命をもたらした」

「現在はAIが、
新たな革命をもたらそうとしている」

産業に革命をもたらした本質とは何か。

英国に始まった産業革命。
「コアは“力”だった。
機械力が人力に置き換わっていった。
蒸気機関や内燃機関がその象徴」

「これに対し、
現代の産業革命のコアは、
“知”にある」

ピーター・ドラッカーが指摘した。
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「デバイスが人知を補完するようになり、
情報通信の高度化が
知の伝達と統合を爆発的に加速させている」

「資本主義ならぬ『知本主義』である」

これもドラッカーが見抜いていた。

「さらに知力が機械力を支配しつつある。
ロボットがその象徴となろう」
他方、知力が暴発しかねないため、
その制御が重要課題となっている。

この産業革命に対し、
日本はどう向き合ってきたのか。

「多分、現代版産業革命の本質を
看過している」

拙著『チェーンストア』は、
産業革命と流通革命を描いた。
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流通革命は必ず、
産業革命のあとに起こった。

今、「知」の産業革命が起こっている。
ならば「知」の流通革命も起こってくる。
いや、起こっている。

現代版産業革命を看過した日本政府は、
既存企業の保護政策を維持する。

「輸出企業が円高を嫌うため、
政府には円安バイアスが強い」

これは重大な問題だ。
円安が今、日本をだめにしているのに。

「さらにバブル崩壊以降、
企業の経営破綻を防ぐため、
極端な金融緩和政策を打ち出してきた」

これもまだ継続されている。

「これらに安住した多くの企業は
事業部門の整理と新規集中投資を怠った」

「既得権益にすがる動きも根強い」
これが深刻だ。

「大企業の従業員は
年功序列と終身雇用に張り付いている」

「医師、弁護士、会計士などの
知力を主とする職業こそ、
現代版の産業革命を活用して
新たなステージに進めるはずなのに、
既存の資格に拘泥している」

「国民や企業は、
革命のただ中に放り込まれている事実を
十分に認識し、行動すべきである」

知の産業革命のあとに、
知の流通革命が起こる。

私の確信である。

〈結城義晴〉

2024年03月04日(月曜日)

「1200食のマーケティング」と「良く噛んで食べる」

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑩]

2024年第10週。
3月に入って第2週。

月刊商人舎3月号の追い込み入稿。

昼過ぎに黒田節子先生から、
突然の電話をいただいた。

驚いた。

89歳になられた。

それでもお元気な声は、
まったく変わらない。

マーケティングの世界では、
良く知られた先生だ。

その著書の三部作。
『食卓革命』(1984年、日本経済新聞社刊)
『1200食のマーケティング』(商業界刊)
『売り方革命』(1990年、有斐閣刊)

私は商業界刊の2冊目にかかわった。
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「あの頃、私、
働きすぎちゃったのよ」

そう、おっしゃった。
その後はヨーロッパに通い詰めた。
やり残したことを、
やりつくすように。

そして黒田先生は今、藤沢在住。

積もる話が溜まっている。

来週、さっそくお会いすることにした。
うれしい限り。

2010年10月の商人舎標語。
タイトルは、
「良く噛んで食べる」

――日本人は1年間に1200回食事する。
朝昼晩の食事以外に、
間食、夜食、つまみ食い、おやつなど、
すべて含めると365日で1200回になる。

それが黒田節子著、
『1200食のマーケティング』の根拠となった。

この1200食をすべて、
「良く噛んで食べる」

するとすべてが良い循環に変わる。

拙著『メッセージ』から。
「良く噛んで食べる」

人間ドックに入って出てきたら、
金属疲労のごとく、
いっせいにチェックが入れられた。
全身疲労の四十九歳。

要は、
体重を減らせ、
痩せろ、
節制せよ。

そこで、考えた。
「良く噛んで食べる」
これに徹しよう。
そうすればすべて上手くいく。

まず消化がよくなる。
胃腸の負担が軽くなる。
歯が丈夫になる。
顎も発達する。

食べ物の味が分かるようになる。
食べる時間は長くなるが、総体的に量が減る。
量が減れば、少しだけお金もかからなくなる。
その分、美味しいものを食べようと努力する。

うん、
すべてよくなる。
健康になるはずだ。
しかし困った。

「良く噛んで食べる」とは、
いったいどうすることなのか。
そこで再び、考えた。
「心の中で数えながら噛む」

最低40回、あるいは48回。
この習慣をつける。

「いち・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「に・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「さん・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「し・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」………

このくらいで、たいていのものは、
心地よく口の中から消えていく。
きちんと噛むために、適当なかたまりを、
順序よく口の中に入れるようになる。

食物の堅さにも、
関心を払うようになる。
すべてよくなる。ときどき、
舌や唇を噛んでしまうこともあるが。

しかしみたび、考えた。
この私の「食べるマニュアル」は、
果たして、
食事時だけのものなのか。

実は、これが何にでも使える。
事実も、問題も、「良く噛んで食べる」
苦情も、報告も、「心の中で数えながら噛む」
目がさめている限り、何でも。

「いち・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「に・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「さん・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「し・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」………
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49歳の販売革新編集長のときの巻頭言です。

私は今も、気がついたら、
心の中で数を数えている。

それが自制となる。
我慢となる。
それが熟考につながる。

黒田節子先生の電話から、
ここまで来てしまった。

ありがとうございました。

今週は、月刊商人舎の最終入稿。
そのあとは単行本の執筆。

さて日経新聞本誌の一面の右片隅に、
「格安店の出店加速」

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。
長いネーミングだなあ。
略してPPIH。

「格安が売りの“ドン・キホーテ”などの出店を
2024年6月期に前期比5割増やす」

「ディスカウント型の食品スーパー“ロピア”も
25年2月期に前期比3割増の20店出す」

「ハレの日などには高額品を買う一方、
生活必需品は節約する選別消費が
一段と強まっていることに対応する」

私の言う「享楽円と禁欲円」である。

PPIHは23年6月末に国内486店舗を抱える。
6月末までに25店舗以上を新規に出す計画。
出店ペースは前期の16店の1.5倍。

「3月中旬にはダイエー成増店跡地に、
都内最大級の店舗を開く。
24年末には高知市に新店を開業し
ドンキの全都道府県出店を達成する見通し」

一方、OIC(オイシー)グループ。
傘下には「ロピア」や「アキダイ」、
そして上場企業の「スーパーバリュー」。
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「25年2月期にロピアを
前期比3割増の20店出す計画」

イトーヨーカ堂の北海道・東北の店が含まれる。

「神奈川地盤ながら全国に約90店あり、
32年2月期までにはさらに
300店規模に増やしたい考えだ」

ドンキをダシにして、
ロピアとOICグループを、
新聞一面でお披露目する。

そんな印象の記事だ。

こんな記事も、
よく噛んで食べる。

そうすると、裏側が見えてくる。
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では、みなさん、今週も、
よく噛んで食べよう、何でも。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年03月03日(日曜日)

桃の節句の「ひな人形が怖い」と「自分の頭で考えろ!」

桃の節句。
上巳(じょうし)の節句という。

「上巳」は上旬の巳(み)の日の意味。
巳は十二支のヘビ。

だからもともとは、
3月上旬の巳の日の節句だった。

それがぞろ目の3月3日となった。

1月7日が人日(じんじつ)の七草の節句。
5月5日が端午(たんご)の菖蒲の節句、
7月7日が七夕(しちせき)の笹の節句。
そして9月9日が重陽(ちょうよう)の菊の節句。

草花の節句が1年に5回ある。

日本らしくて、とてもいい。

日経新聞巻頭コラム「春秋」が、
人形工房「ふらここ」のひな人形を紹介。
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まるっこい輪郭につぶらな瞳。
みな「赤ちゃん顔」。

㈱ふらここの代表取締役は原英洋さん。
創業は2008年。

「ひな人形が怖い」
顧客が漏らした一言。

原さんの両親はともに人形師。
家業を継いで働くうちに、
気がついた。

ひな人形を選択する主体が、
祖父母から若い両親に変わった。

豪華絢爛よりかわいい系が好まれる。

そこでたどり着いたのが赤ちゃん顔のひな人形。
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職人たちは「迎合するのか」と大反対。
やむを得ず新しい会社をつくった。
以来、売上げは伸び続けた。

「子どもの健やかな成長を
願う気持ちは普遍。
時代に合わせて変化しつつ、
文化を次世代につなぐのが
役目だと思っています」

ふらここの社員は、
原さんをのぞく33人すべてが女性。
子の有無にかかわらず、
働きやすい職場づくりにも心を砕く。

いいコラムだ。

桃の節句も変わる。
時代は変わる。

ふらここの兜と5月人形。
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それでいい。

仕事や商売は、
時代とともに変わる。

もちろん人間国宝の人形もいい。

両方あるのが豊かさであるし、
ビジネスチャンスは、
どちらにもある。

私はやはり爺の世代なのだろう、
オーソドックスなひな人形が好きだが。

さて、朝日新聞「天声人語」

朝日が大嫌いな人もいるし、
なんとなく好きな人もいる。

私は文章ひとつずつ、
是々非々で見ている。

「クレタ人は常に嘘をつく」とクレタ人が言った――。
有名なパラドックスだ。

発言を本当だと仮定すれば、
そう言ったクレタ人自身が必ず嘘をつく。
したがって「クレタ人は常に嘘をつく」との発言も、
本当ではなくなって、
はじめの仮定と矛盾する。

パラドックス。

この後は朝日らしく、
「センセイたちの発言は、
本当だと仮定しようか」

政治倫理審査会に出た安倍派の幹部たちの発言。

「パーティー収入の還付金が
政治資金収支報告書に記されていないとは
知らなかったと口をそろえた」

「とすると2022年、
安倍晋三会長の言葉は、
うわの空で聞き流したのだろう」

このとき安倍元首相は、
「不透明で疑念が生じかねない」と、
還流をやめる方針を決めた。

「のどから手が出るほど欲しい
政治資金が削られる」

「不透明とは? とたださぬはずがない」

その後、還流継続に方針は一転した。

「それでも不記載を知らなかったとすると、
派閥の会計を担った事務職員もずいぶんだ」

「違法行為であるとただ一人知りながら、
幹部には黙っていたことになる」

コラム。
「いやいや、全体に無理がある。
きっと最初の仮定が違うのだろう」

「センセイたちの発言をたどると
矛盾につきあたる。
政治不信が払拭されるどころか
深まった感さえある」

クレタ人は嘘つきか。
センセイたちは嘘つきか。

あのパラドックスは、
論理のあそびの世界だから面白い。

商人舎2018年10月号特集。
「嘘つき!?」マーケティング9bd2fad8293a7760d46763f58363c11d-448x645

会心の特集だった。

[Message of October]
自分の頭で考えろ!

デジタル時代に、
情報があふれる。
膨大なデータが手に入る。

定量調査情報はビッグデータ化する。
定性データもSNSなどから氾濫する。
両者はデジタル化し融合するかに見える。

その結果として、
人間の感情や顧客の心理も、
データ化することができると過信する。

そこに虚が生まれる。
短絡が起こる。
誤謬が生じる。

しかし私たちは記号化された情報を、
素早く、賢く、的確に読み取って、
有益なマーケティングをせねばならない。

そのためには自分の目で見て、
自分の耳で聞く。
そして自分の頭で考える。

それなくしては、
データという間接情報は活かせない。
伝聞情報は使えない。

とりわけ顧客商売のデータ活用は、
最後の最後の最後に、
人間のコミュニケーションが必須となる。

そのうえで自分の頭で考える。
複雑なデータをシンプルな脳で読み解く。
自分の頭で考え続ける。
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今、日本の国会で行われている政倫審。

これも私たちが、
自分の頭で考えて、
結論を出さねばいけない。

そのパラドックスを見極めねばならない。

〈結城義晴〉

2024年03月02日(土曜日)

「金をつくるよりも 幸せをつくる」ことの夢想

今年の桃の節句は日曜日だ。

2歳と0歳の孫娘がいる。
2歳のほうは雛祭りを楽しみにしている。
毎日、おやつは雛あられで、
それをボリボリ、音をさせて食べている。

彼女たちの将来の可能性は無限だ。

しかし彼女たちの未来社会に、
それほど明るい展望はもてない。

自分自身で切り拓いていくしかない。
そうあってほしいと思う。

小さい春が見える。

小唄。
「梅は咲いたか
桜はまだかいな♪」
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沈丁(じんちょう)の香の石段に佇(たたず)みぬ
〈高濱虚子〉
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久しぶりに日経新聞「大機小機」
コラムニストは四つ葉さん。

タイトルは、
「株最高値でも縮む日本経済」

日本がGDPでドイツに抜かれた。

2023年の名目GDPはドイツが4.5兆ドル、
日本は4.2兆ドル。

ドイツは就業者数が日本の6割、
労働時間は8割にすぎない。

日本の生産性が低すぎるのだ。

第1位の米国は25兆ドル、
第2位の中国は18兆ドル。

大差がついている。

しかも日独の3位4位集団は、
近い将来に5位のインドに抜かれる。

「経済大国」の看板は、
降ろした方がいい。

「世界第2位の経済大国」だった頃の意識が
抜けきれていない。

コラムニスト。
「日経平均株価は史上最高値でも、
世界の時価総額に占める日本株比率は
6%程度である」

そして海外から見た日本像。

「安くて安全で遊びに行くには適し、
美食とサブカルチャーは人気。
警戒感もさほど持たれていない」

「ただし学びに行くには
大学のレベルが高くなく、
稼ぎに行くには
賃金が魅力的でない」

「まずはそんな等身大の自画像を
直視することから始める必要がある」

同感だ。

コラムニストは過去を懐かしむ。
そしてコラムニスト自身が、
等身大の自画像を直視できていないようだ。

「1990年代前半、日本経済は
世界の6分の1程度のシェアを有していた」

「当時の日本は良くも悪くも影響力があり、
若くして大きな舞台を踏めた」

私にもささやかながら、
そんな体験がある。

「円高を生かして海外体験を積むことも
容易だった」

1ドル70円台のころの海外旅行は、
天国のようだった。

「今では国家の存在感が低下し、
円安定着で海外留学へのハードルも高い」

「次世代の政官財のリーダーを
どう育成するのか。
これをおろそかにすると、
日本はますます埋没するだろう」

コラムニストは。
やはり従来型のエリートだ。

政官財に限らず、
スーパーマーケットのチーフたちが、
弾丸で海外を体験するのもいい。

「スポーツ界では、
世界で活躍する“若くて強い日本人“が
数多く登場している」

「それが何かヒントにならないか、
と夢想している」

大谷翔平、井上尚弥、羽生結弦。

音楽家やミュージシャンだって、
画家や彫刻家や建築家だって、
明治、大正、昭和と、
日本が貧しい発展途上国のころ、
自分で世界を切り開いた。

むしろ政官財の人間のほうが、
税金で「お国がかり」で海外体験をした。

その時代は終わった。
懐かしむことはない。

重厚長大から、
軽薄短小へ。

レース型競争から、
コンテスト型競争へ。

経済大国から、
おいしくて、たのしくて、
心豊かな国へ。

金をつくるよりも、
幸せをつくる。

そんな夢想のほうが、
未来的である。

そしてそのほうが、
長い目で見れば金を稼げる。
模倣困難な経済性を構築できる。

いわゆる経済大国は、
模倣されやすい。

中国がそれをしたし、
インドもそれをする。

ブラジルだって、
アフリカだって。

日本らしさ、
そのユニークさ。
幸せをつくる仕事。

それは新しくてのびやかな、
小売業やサービス業の時代でもある。

大谷翔平の結婚の発表も、
みんなが新しい夢に期待しているからこそ、
これだけ盛り上がるのだ。

孫娘たちも、
幸せをつくることに、
一生をかけるのだろう。

それを願いたい。
明日は雛祭りだ。

〈結城義晴〉

2024年03月01日(金曜日)

「政倫審」の「弁明の機会」と「嘘をつく店」

一月、往ぬる、
二月、逃げる。
三月、去る。

いよいよ弥生。

商人舎Basicコース。
イン・ラスベガス。
5月8日~14日。
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募集を始めたらすぐに、
ありがたいことに、
満員御礼。

すみません。
JTBにお願いして、
目いっぱい、枠を増やしましたが、
ホテルもバスも満杯、満席。

かつてはバス2台、3台の研修もやりました。
しかしそれはどうしても、
研修の中身が薄くなるので、
やめました。
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秋の商人舎US研修を、
急いで企画しています。

ご期待ください。

1月と2月にニューヨークに行って、
結構、忙しかった。
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3月は執筆の季節です。
単行本がひどく遅れてしまった。

昨年から正月にかけて、
猛ダッシュで書いて、
それからニューヨークへ、
と考えていたのですが、
その猛ダッシュができず、
3月に入ってしまった。

一月、往ぬる、
二月、逃げる。

実感しています。

三月、去る。

そうならないよう、
気持ちを引き締めて、
この1カ月をやり抜きます。

私の会社のデスクに掲げている、
ジャン・ジャンセン。
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これを眺めながら頑張ります。

さて、政倫審。
政治倫理審査会。

政治家の倫理を審査するために、
日本の国会の両院に置かれる委員会組織。
地方議会にも政倫審はある。

「政治家の倫理」が、
審査されなければならない。

それ自体、ひどい状態だ。

今、日本の、自由民主党の、
国会議員たちの倫理が、
地に落ちているということだ。

何かが明らかにされることは、
はじめから期待できない。

政倫審には「嘘」が許される、
という印象すらある。

だから罰則の伴う証人喚問にしようと、
野党は意気込む。

しかし政治家も経営者も、
学者もジャーナリストも、
弁護士も裁判官も、
部長も店長も、
一人の社会人も、
一人の顧客も、
嘘をついてはいけない。

ところが堂々と政倫審が開かれ、
弁明の機会と称して、
嘘をつく機会が与えられる。

まことに滑稽な話だ。

追求が足りなかった。
その通りだ。

しかし表情は怖い。
しっかり見ていると、
嘘をついている顔はわかる。

そしてこの顔を、
私たちが選んでしまったことに、
自己嫌悪すらいだくことになる。

嘘のない社会にしましょう。
嘘のない会社にしましょう。
嘘のない店、嘘のない売場、
嘘のない仕事にしましょう。

すべてに嘘がない。
そんな聖人君子であることはできない。
その必要もないかもしれない。

しかし一番大事なことに対してだけは、
嘘はいけない。

政治家ならば政治であり、
経営者ならば経営であり、
商人ならば商売であり、
社会人ならば仕事である。

自分ならば、
自分に嘘をつくことであり、
人生そのものである。

結城義晴著『Message』より。
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嘘をつく店

「この店は滅びる」
倉本長治は言い放った。
よほど腹が立ったのか、
それともひどく悲しかったのか。

私も近頃、
そんな気持ちになることがある。

客を平気で待たせる店。
買いたい品が見つかりにくい店。
欲しいものが品切れしている店。
買った商品が傷んでいる店。
きたない店。

一番いけないのは、
嘘をつく店。

「安い」と「良い」とは、
突き詰めると同じことだ。
品質が同等で価格が低い状態を
「安い」といい、
価格が一定で品質が高い状態を
「良い」という。

ただし、「安い」も「良い」も、
嘘をつかない店でのことだ。

客を待たせない店、
分類と陳列の整った店、
欠品のない店、
品質のしっかりした店、
きたなくない店、でのことだ。

「安いよ、安いよ」と
大声を張り上げている者にかぎって、
嘘つきの店がある。
きたない店が多い。

そしてこんな店には、
「買物の得」はあっても、
「生活の得」はない。

「暮らしの得」を提供する店を、
「デスティネーションストア」と表現する。

競争はやがて、
賢い消費者を
多種多数、誕生させる。
逆に、競争者自身は
多産多死の状態に陥る。

しかし、それは
良いことなのだと思う。
進化を意味するのである。
だから私もこう言い切ろう。

嘘をつく店など、滅びてしまえ。
永遠に、この地上から無くなれ。

〈結城義晴〉

2024年02月29日(木曜日)

サミットららテラスHARUMI FLAG店とイトーヨーカ堂木場店

一月、往ヌル、
二月、逃ゲル。

糸井重里さんのほぼ日刊イトイ新聞。
「4年に一度の2月29日」の1日を、
「“おまけ”みたいなものだと気づいて、
安息日にしてみましょう」と決めた。

「いつもとちがう一日なのだから、
いつもとちがうことをしてやりましょう、
と決めた」

それは「さぼる日」と名付けられて、
恒例の行事になった。

だから糸井さんも社員も、
どうさぼるかを工夫する。

いいなあ。

㈱商人舎もやりたいが必ず、
月刊誌の最終締め日に重なる。

4年に1度だら、
やってみましょうよ、という人は、
出てこない。

みんな必死で原稿と格闘している。

今日は東京・晴海。

ららテラスHARUMI FLAGのプレオープン。
IMG_39864

東京オリンピックの選手村だったエリア。
三井不動産が早くから手当てして、
街づくりを行った。

巨大マンションを建て、
ショッピングセンターをつくる。IMG_29654

その三井ショッピングパークが、
ららテラスHARUMI FLAGだ。

午前10時からショッピングセンターの記者会見。IMG_38604

若林瑞穂三井不動産商業施設本部長と、
牛河孝之商業施設本部 アーバン事業部長。

初年度の売上高目標は50億円、
来館者数240万人。

売上高は控えめな数字だ。

午前中、マスコミは館内の写真撮影。

核店舗はサミットストア。
マツモトキヨシ、ダイソーなどが入居。

そして12時から、
サミット㈱の記者会見。IMG_E39924
服部哲也代表取締役社長、
それから星野郁夫、岡田崇両常務取締役。

岡田さんが丁寧な説明をしてくれた。

そのあと、司会者。
「今の説明を受けて、
服部社長、どうぞ」

服部さん。
「どうぞと言われても、
全部説明されてしまった(笑)」

「この近隣で育った子供たちに
この店があって良かったと
言ってもらえるような存在になりたい」
IMG_39954
凄くいい。

服部さんの誕生日は、
戸籍上は3月1日になっている。
しかし実際は2月29日生まれ。

おお、もう還暦か。

4年に1度しか誕生日が来ない。
それはかわいそう。
両親が3月1日にして届け出た。

この話が一番、面白かった。

もちろん店は素晴らしい。

よくできた売場、
新しい工夫も多数。

幹部も現場も相当に努力した。IMG_40384

青果部門から入るが、
実にきめ細かくつくられている。 IMG_29624

鮮魚から惣菜、精肉、冷凍食品まで、
右壁面沿いにワンラインで通す。
IMG_38734

これがいい効果を発揮している。

どん詰まりが冷食売場。IMG_29614

最後に惣菜、ベーカリー。
ピザはホールで販売される。IMG_29514
店内サインやPOPが刷新され、
いたるところに現場の神経が行き届いている。

ただし、一つだけ感じたことがある。

帰りに岡田常務に伝えた。

それは月刊商人舎3月号に書こうか。
やめとこうか。

今、考慮中。

ららテラスHARUMIから、
タクシーで木場へ。

イトーヨーカドー木場店。IMG_29784

同社の誇る巨漢店舗。
大規模なリニューアルが施されて、
昨2022年3月25日グランドオープン。IMG_29774

しかし、はっきり言って、
その改装効果は薄い。

内装、什器などを新しくして、
テナントなどを入れ替えた。

それでも刷新されたイメージがない。

食品フロアは一番奥にある。
吸引力のある部門を奥において、
各売場の回遊性を高めようとの意図だ。

しかし逆に食品を買う顧客には不便だ。IMG_29704

セブンプレミアムの島陳列が、
館内のコンコース沿いにある。IMG_29714

私の目的は2階。
アパレルゾーン。

IMG_29734

㈱アダストリアが、
「Found Good」のブランドで、
平場にショップを展開した。
アパレル業界では、
「話題騒然」だとか。

それを見に行った。

その内容は、
これも月刊商人舎3月号で、
業界第一人者のコンサルタントとともに、
分析しよう。

㈱イズミが先行的に、
アダストリアとコラボレートした。

イトーヨーカ堂はそのあと、
工夫を加えてショップ展開を図る。

さて、出来栄えは。

ショッピングセンターや店舗のリニューアル。
一番大切なのは何か。

それは人心の一新だ。

仏つくって魂入れず。

昔から言われることだ。

店舗リニューアルは、
売場の人たちの元気とやる気が、
刷新されねばならない。

残念ながら、
それが見られない。
感じられない。

日経新聞が報じた。
1月から早期退職希望を募った。
その退職者数は、
正社員で700人だとか。

店舗リニューアルをしても、
片方で人員削減を意図していたのでは、
元気もやる気も出ない。

仏をつくって、
魂もいれてほしい。

切に願うものだ。

〈結城義晴〉

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