結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年12月28日(木曜日)

「井上ひさしの作文教室」の「いきなり核心から入る」

冬季休業に入ったとはいえ、
オフィスに出てきている。

単行本の執筆だ。

そしてゴミ出しなどした。

ひとりで珈琲を淹れて、
ゆっくりと味わう。

これが年末の楽しみのひとつだ。

今年は懸案の問題を、
いくつも解決した。

その意味ですっきりした気分だ。

もちろんやり残したことは多い。
それが来年の課題となる。

『井上ひさしの作文教室』
81XTD+CfeuL._SL1500_
自宅の机のわきに、
いつも置いている。

文章の書き方は、
店のつくり方と同じだ。

痛切に感じる。

第一に、
「『いきなり核心から入る』ことが大事なんです」
これは本当に正しい。

「昨日、亭主を殴った」というふうに、
どうして殴ったかなんていうことは書かずに、
いきなり核心に入っていく。

「私はどうも亭主を殴る癖がある」
と、ポンとはじめる。

これです。

店をつくるときには、
「一丁目一番地」に、
いきなり核心の商品を並べる。

ウィンコフーズのウォール・オブ・バリュー。
両サイドに高々としたラックがそびえる。
そこにエンドの羅列のように、
飛び切りの特売品目がずらりと並ぶ。
??????????

「いきなり核心」だ。

それが店のポジショニングに貢献する。

井上。
「『雪国』の最初のところを
思い起こしながら、
書き出しを考えると、
なかなかいいと思いますよ」

「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」
71-wDdcBziL._SL1191_

お店もこれでなければいけない。

第二に、
「優れた文章書きは、
なるべく小さく千切ったものを、
相手に次々に提供していく」

夏目漱石の『草枕』の書き出し。

「山路を登りながら、かう考へた。
知に働けば角が立つ。
情に掉させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。」
8163kO2Q8JL._SL1500_

目玉商品をひとまとまりにして、
目玉価格で次々に提供していく。

夏目漱石になった気分で、
店をつくり、売場をつくる。

第三に、
「誠実さ」「明晰さ」「わかりやすさ」
――これが文章では大事なことです。

鶴見俊輔の言葉を井上ひさしは覚えている。

「誠実さ」というのは、
「人の言葉でなくて自分の言葉で」
ということになるでしょう――。

「明晰さ」とは、
「自分のものの考え方の展開とか、
自分がいま、何をやろうとしているかを、
しっかり知っている、
という意味の明晰さです」

自分の言葉で、
自分のものの考え方で。

これもポジショニングです。

文章を書くことも、
店や売場をつくることも、
ポジショニングなのです。

井上ひさしさんの言う通り。

店づくりも売場づくりも、
三つのこと。

誠実さ・明晰さ・わかりやすさ。

川端康成、夏目漱石。

彼らに店をつくらせてみたい。

あなたの年末商戦の売場は、
どうなっているだろう。

〈結城義晴〉

2023年12月27日(水曜日)

「来春の賃上げ5%台」と「おおきな木」の無償の愛

2023年のカウントダウン。
あと5日で今年が終わる。

商人舎は12月27日が仕事納め。
商人舎流通SuperNewsも、
1月4日まで冬季休載。

月刊商人舎1月号の責了日。

最後の4ページ原稿(6000字)を書いて、
表紙の特集タイトルを決め、
表紙の「Cover Message」、
巻頭の「Message of January」、
巻末の「定義集」、
そして編集後記を書いて、
今年の書き納め。

今年はどれだけの分量を書いたのだろう。
クォリティのほうが大事だが。

デザインはいつも最高。
七海真理さん、心から感謝。

みんなで校正して、責了。

コンセプチュアルな雑誌が出来上がった。

ありがとう。
お疲れさま。
IMG_0471 (002)3

そのあといつもの中華屋で、
深夜の打ち上げ。

軽く一献。

山本恭広編集長と握手。
IMG_0470 (002)3
来年も頑張ろう。

さて、
日経新聞の社長100人アンケート。
タイトルは、
来春の賃上げ「5%台」が最多。

国内主要企業の社長・会長を対象に、
143社から回答を得た。

2024年春の賃上げ率の想定を尋ねた。
定期昇給とベースアップを合わせた賃上げ率。
「5%台」の回答が34.6%で最多。

これが今春の相場ということか。

「4%台」が19.2%、
「7〜9%台」と「3%台」が、
それぞれ15.4%。

1年前の同じ調査。
50社の回答。
「3%台」が34%で最多。
そして23年実績は「4%台」が26.6%で最多。

23年春よりも、
高い賃上げを想定している。

喜ばしいことだ。

賃上げ率を想定した企業の具体策。
ベアを「実施する」75%、
「検討中」20.8%。

ベア率は「3%台」が35%で最多、
金額では「1万円以上」が60%で最多。

95.7%の企業が賃上げの理由を、
「物価高に対応」と「人材確保」をあげた。

24年度の総人件費。
23年度より「増える」は78.4%。
増え幅は「3%台」が最多。

その分、稼がねばならない。

手厚く賃上げする人材。
「若手社員」が最多の35%、
「新入社員」32.9%、
「ITやデータの専門人材」25.2%。

「管理職」9.1%、
「シニア」5.6%、
「非正規社員」2.1%。

管理職とシニアと女性非正規社員で、
店を回している小売業やサービス業は多い。

全産業の主要企業の調査だから、
小売業の実情とはずいぶん違う。

新入社員、若手社員の離職率も高いのだろう。

それでも5%がニッポンの賃上げ相場だ。
そして総人件費は3%が平均的な増加率である。

人手不足を解消するには、
これらを上回る必要があるだろう。

楽観はできないし、
むしろ深刻な状況である。

K字型の成長と衰退が進むのだろう。

東京新聞の巻頭コラム「筆洗」
今年5月3日版。

「おおきな木」という絵本。
作者は米国シェル・シルヴァスタインさん。
日本版は村上春樹さんの訳。
81V5saOtQ7S._SL1500_

おおきなリンゴの木と少年は大の仲良し。
ところが大きくなるにしたがって
少年は木と遊ばなくなる。

青年になった少年はお金が必要になる。
木は少年に自分のリンゴを売れという。
少年はありったけのリンゴを持っていく。

大人になった少年は、
今度は自分の家がほしくなる。
木は自分の枝を切って家を造ればという。
少年はたくさんの枝を切る。

次の願いは船。
リンゴの木は自分の幹を切って造れという。
少年はリンゴの木を切り倒す。

東京新聞のコラムはこの絵本を、
「平和の実のなる憲法という木」に喩える。

「日本という少年は
そのありがたさに気づかない。
自分の都合と勝手な解釈によって、
その木をたびたび傷つけてきた」

昔のお店(たな)は、
木が店員だった。
丁稚どんと番頭さん。

店主が木のありがたさに気づかず、
自分の都合と勝手な解釈で、
木を傷つけてきた。

商業界の倉本長治は、
それを手厳しく諫(いさ)めた。

店は客のためにあり、
店員とともに栄え、
店主とともに滅びる。

これは結城義晴が㈱商業界の社長時代に、
倉本語録から発掘した三行詩だ。

店主は今、賃上げをして、
手厚く処遇しようと試みる。

しかしこの物語には、
結末がある。

時が経ち、少年は年老いて帰ってきた。
そして「疲れたので休む場所がほしい」という。
木は「切り株の私に腰をかけなさい」という。
男は腰をかけた。
木は幸せだった。

しかしここまで書くと、
憲法とは結び付かない。
だからコラムは結末を削除した。

それでもこの物語の大事なところは、
切り株になってもお役に立ちますよ、
という最後のところだ。

無償の愛である。

お店でいえば、
木からご利益を得るのは、
お客でなければいけない。

店主も店員もみんなで、
木にならなければいけない。

〈結城義晴〉

2023年12月26日(火曜日)

「コールドムーン」と恵方巻予約販売の開始時期

新年へのカウントダウンが始まった。
今日から数えて7日間で、
2023年が終わる。

今宵から明朝、
2023年最後の満月となる。
「コールドムーン」
寒月。

太陽が西に沈むと同時に、
美しい姿で東から昇ってくる。

「ロングナイツ・ムーン」とも呼ばれる。
冬至のころの長い夜の月の意味。
北欧では「ムーン・アフター・ユール」。
ユールはスウェーデン語のクリスマス。
Christmasのあとの月。
「オーク・ムーン」の呼び方もある。
楢の木の満月。

1年で最も高く昇る満月である。
つまり一番小さい満月だ。

しかし月を眺める余裕もない。
最終締め切りが迫っている。

今月はこの本を使った。
IMG_0458 (002)3
1月号を楽しみにしてください。

さて商人舎流通SuperNews。

セブン-イレブンnews|
特別感のある商品から定番まで「恵方巻」予約受付開始
seven1226-01

12月25日のクリスマスから、
恵方巻の予約を受け付ける。

いいタイミングだと思う。

洋が終わった時に、
和のイベントに入る。

ライバルはどうかと思ったら、
ファミマnews|
「なだ万」「肉山」監修の恵方巻など10種/12/21予約開始
23FM恵方巻_レジ液晶_231207_早割+OL
マーケットリーダーに先駆けて、
21日からスタート。

SuperNewsを遡ってみると、
フジnews|
「フジの恵方巻」12/26から受け付け開始

エムアイフードnews|
恵方巻受注12/20受注開始、豪華海宝巻4580円など

ライフnews|
贅沢志向の「2024年恵方巻」予約販売スタート

イオン北海道news|
バラエティ豊かな「イオンの恵方巻」など1/1~予約開始

東武ストアnews|
2024年恵方巻の受注12/18から開始

イオンnews|
2024恵方巻予約開始/1万円の予約限定から498円まで

イトーヨーカ堂news|
2024年「恵方巻」の予約受付12/1から開始

早仕掛けの一番乗りは、
イトーヨーカ堂だった。

一番多いのが12月20日。

さて、どの時期がいいのか。
セブン-イレブンのクリスマスというのは、
なかなかタイミングがいいと思うし、
イオン北海道の1月1日もいいじゃないかな。

「早仕掛け・際の勝負」

実際の予約は際になる。

日経新聞夕刊「あすへの話題」

日本大学理事長の林真理子さんが、
ずっと連載を書いていた。

日大は今、アメフト部を廃部にする問題で、
大騒動の最中にある。

学長も副学長も辞任した。

そのなかで理事長は、
当事者中の当事者である。

休載にすればいいのに、と思っていたが、
林さんは続けた。

そして今年最後の回で、
終了ということになった。

「この連載も今日が最後だ」

「私への非難でかなりあったのが、
『平然とエッセイを書いて』
というものである」

そうだろうな。

「私としては一度引き受けた仕事を
ちゃんと成し終えるのは、
プロとして当然のことだと思うのだが……」

理事長の仕事は「プロとして」ではないのか、
とも考えられる。

この最後の連載に自分で書いているが、
講談社エッセイ賞の選考委員をしていた。
同じ選考委員の井上ひさしさんの名言。
「エッセイはすべて自慢話である」

それに従うならば、理事長職として、
若者の将来を奪う決断をするときに、
自慢話のエッセイを書いていてはいけない。

林連載はエッセイについて言って終わる。
「小説よりもはるかに自分を前面に押し出し、
読者に好悪を問う」

「しかしエッセイは実は
小説よりもずっと虚をつく。
この加減が面白く難しいのである」

残念ながら、
今、この時の、林真理子の、
エッセイの終わり方としては、
最低だ。

さっさと休載して、
理事長の仕事に邁進し、
苦しい決断をしても、
自分の意思を貫徹し、
そして時期をおいてから、
許されるならば、
再開すればよかった。
(その廃部の決断も間違っていると思うが)

このエッセイの終わり方自体、
正常な判断ができる心理状態にないことを、
示している。

ものを書く者として、
ものを書くことには、
命を懸けなくてはいけない。

私はそう思う。

〈結城義晴〉

2023年12月25日(月曜日)

「ネットスーパーと惣菜」の発達普及はデジャヴだ!

Everybody! Good Monday!
[2023vol52]

2023年最後の第52週。
12月第5週。

この1週間で今年が終わる。

暖かい初冬だが、
銀杏の木には一枚も葉がない。IMG_0456 (002)3

すっくと天に向かっている。IMG_0455 (002)3

先週の金曜日22日は、
冬至だった。

忙しく編集の仕事をして、
夕方、千葉県の君津に出かけた。
拡大令和名人会の前夜祭が開催された。

だからすっかり冬至を忘れた。

このブログを書き始めてから16年。
珍しいことだった。

やはり暖冬が冬至を忘れさせたとしか、
考えられない。

日本海側では大雪が降っているのに、
太平洋岸では暖かい。

これは間違いなく、
地球温暖化の影響だと思う。

温度計による気温の観察と記録は、
1850年頃から始まった。

国連の気候変動に関する政府間パネル、
IPCCと略される。

その第6次評価報告書に示された。
「温室効果ガスを多く排出し続けると
世界の平均気温は産業革命前と比べて
2021~40年の間に1.5度以上
上昇する可能性が非常に高く、
排出量を低く抑えても
1.5度を超える可能性がある」

この「産業革命以前」とは、
温度計による正確な記録をもとにしている。

産業革命以降でも実は、
大規模な地球温暖化は起こっている。

第1回は1910年から1945年。
第1次世界大戦も第2次大戦も、
この温暖化のときに勃発している。

第2回は1976年から2000年の間だ。

1978年、イラン・イスラム革命
1986年、チェルノブイリ原子力発電所爆発事故
1989年6月、中国の天安門事件
1989年11月、ベルリンの壁崩壊
1990年、イラクでの湾岸戦争
1991年、ゴルバチョフ-エリツィン革命とソ連崩壊
1993年、ヨーロッパ連合(EU)発足

この温暖化のときにも、
次々に世界的な事件が起こった。

そして2001年9月11日、
アメリカ同時多発テロ事件。

それから23年、現在の温暖化の中に、
ウクライナ戦争とパレスチナ紛争がある。

そしてそれら自体が、
さらに温暖化を進める。

来年は少しでいいから、
静まってほしいものだ。

今週は月刊商人舎1月号の最後の編集。
12月27日の水曜日にすべてを責了する。

師走の忙しさはいつものこと。

商人舎は12月28日から、
冬季休業に入る。

私はそのあとも年末商戦をウォッチする。

さて商人舎流通SuperNews。
イオンモールnews|
「イオン超!初売り」1/1から全国のイオンモールで開催
aeonmall_20231222_01
イオンモールは元日に「超! 初売り」をする。
全国のイオンモールで800以上のイベントを開催。

三が日を休業にするチェーンも増えている。
2日まで休業も、元日休業もある。
4日まで休業のロピアやエイビイのような例もある。

365日24時間営業貫徹のハローズも健闘している。

それぞれの考え方でいいと思う。

もう一つのニュース。
「ネットスーパー」と検索すると、
ズラッと出てくる。

平和堂news|
ネットスーパー導入1年/販促施策で注文・売上げ増加
20231225heiwado

いなげやnews|
狛江東野川店・江戸川船堀店で「いなげやネットスーパー」開始

ベイシアnews|
「Foods Park 太田丸山店」ネットスーパー開始12/26

楽天news|
楽天ネットスーパーを完全子会社化、西友は店舗出荷型スーパーに

サミットnews|
氷川台駅前店で「ネットスーパー」開始/先行募集開始

MrMax news|
ネットスーパーとアプリを統合/「即配サービス」12/6開始

アークスnews|
Amazonネットスーパーアークス12/7/札幌と北広島の一部

トライアルカンパニーnews|
DSTE社と事業契約締結ネットスーパー開始

利益は出ないけれど、
顧客の要望は増えている。

アメリカを見るとわかるが、
必須の機能となる。

この状況は1980年代と似ている。
温暖化のときだ。

惣菜部門を設けるか否か。

惣菜は赤字だから、
直営ではやらないほうがいい。
当時はそんな考え方が主流だった。

しかし現在は、
惣菜で利益は十分に出ているし、
「18%の構成比」などの例もある。

ネットスーパーも、
10年、20年が経過すれば、
当たり前に利益が出るようになるだろう。

ネットスーパーと惣菜マーチャンダイジング。
私にとってはデジャヴだ。

目の前の利益に固執して、
機会を逃す。

それは会社の衰退を意味する。

もちろんウォルマートはネットで伸びているが、
トレーダー・ジョーはまだリアルしかやらない。

それぞれでいい。

では、皆さん、最後の週も、
それぞれの強みを活かすのがいいのだ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年12月24日(日曜日)

クリスマスイブの「叱咤や批判で変わる人はいない」

クリスマスイブ。
IMG_04453

東京・自由が丘の商店街。IMG_04463

クレープ屋は結構流行っている。IMG_04473

いつもの花屋。
モンソーフルール。IMG_04433

この一角はパリの街角のようだ。IMG_04373

ベンチに座って本を読む人もいる。IMG_04333

暖かいクリスマスイブ。IMG_04343

花屋のクリスマスツリー。
IMG_04353

店頭はカラフルなクレヨンケースのようだ。
しかし590円を中心に390円、490円の品揃え。IMG_04383

サンタクロース。
IMG_04403

店内の主役は赤い薔薇。IMG_04423

Christmas Eve。

世界中の人たちが、
パレスチナとウクライナの平和を願っている。

朝日新聞「折々のことば」
今日の第2948回。

叱咤(しった)や批判で
変わる人はいない
〈斎藤環(たまき)〉

「患者と家族がどう変わるかは、
周囲の判断の”正しさ”とほとんど関係がない」

「医療チームとオープンに対話する中で、
患者と家族がいろんな意見を
自分たちについての”噂”として聞けることが、
自主的な選択に必要な”余白”となる」

「それは”断る余地”のある依頼のほうが
受け容(い)れやすいのと同じだ」

『オープンダイアローグがひらく精神医療』から。81u7m2Z--PL._SL1500_ (1)

斎藤環は筑波大学大学院修了の医学博士。
同大学医学医療系社会精神保健学教授、
オープン・ダイアローグの専門家。

そのオープン・ダイアローグは、
「開かれた対話」によって、
統合失調症に治療的介入をする手法。
フィンランドのケロプダス病院で、
1980年代から実践されている。

総合失調症は、
精神障害の一つで、
5つの症状がある。
➀妄想
②幻覚
③思考障害
④まとまりのない行動
⑤陰性症状

⑤の陰性症状は、
無表情、うつ病、活動低下、会話の鈍化、
社会的ひきこもり、自傷行為などの症状。

オープン・ダイヤローグは、
専門医療チームが、
患者および家族と、
開かれた対話を繰り返すことで、
治療する手法だ。

何事にも開かれた対話が有効である。

ウラジーミル・プーチンを、
叱咤しても批判しても、
彼は変わらない。

それはベンヤミン・ネタ二エフも同じだ。

平和のためには、
開かれた対話が繰り返されるしかない。

そして「断る余地のある依頼」こそが、
受け入れられやすいことを知るべきだろう。

店で顧客に何かを提案する。
何らかの商品、何らかのサービス、
何らかの生活、何らかの価格。

それは断る余地のある依頼である。

だから断る意思をもったときには、
顧客は買わないで立ち去る。
商売とはそういうものだ。

しかし押しつけがましく、
断る余地をなくした独りよがりの依頼は、
受け入れられないばかりか、
店から足を遠のかせる危険性をはらむ。

店は顧客との開かれた対話の場である。

ユヴァル・ノア・ハラリ。
「人間の愚かさの、
治療薬となりうるものの一つが
謙虚さである」
6147cdefa3d30a5c2fb5fab32425f111-448x244

断る余地のある依頼には、
この謙虚さが込められている。

平和のためには、
互いの謙虚さが欠かせない。

叱咤と批判では、
人は変わらない。
問題は解決しない。

私はキリスト教徒ではないが今日は、
Merry Christmas!

〈結城義晴〉

2023年12月23日(土曜日)

2023年最後のゴルフ令和名人会、感謝。

ゴルフ令和名人会。

1989年、平成元年、
結城義晴は食品商業編集長に就任した。

そのとき執筆者の先生方が集まって、
就任祝いのゴルフコンペを開いてくださった。

白鷗カントリークラブ。

懐かしい。

安土敏さんも、杉山昭次郎先生も、
元気にラウンドした。

そのときの主要なメンバーが、
これで終わらせるのはもったいないと、
毎月、一緒にゴルフを楽しむことにした。

最初のメンバーは、
故小森勝さん、浅香健一さん、
鈴木國朗さん。

最初は迷人会と称した。
私はこの迷人会のおかげで、
ゴルフが上達した。

箱根でも厚木でも、
何度もプレーした。

私が好きだったコースは、
小田原藤沢ゴルフクラブ。
それから若洲ゴルフリンクス。

上達してくるといつの間にか、
名人会と称するようになった。

小森さんが亡くなって、
土井弘さんがメンバーとなった。

そして平成から令和に変わると、
令和名人会と称することにした。

浅香さんが引退し、
土井さんも昨年で引退した。

コロナ禍でこの4年間、
毎月のラウンドはできなくなった。

そのかわりにメンバーを拡大して、
年に1回か2回、
拡大名人会を開催する。

今年最後の拡大令和名人会。
3組12人が参集してくれた。

金曜日の夕方、
前夜祭が開催された。

千葉県君津のZACK。IMG_03583

みんな、仕事を片付けてから参集。
まずは乾杯。IMG_03753

初参加の前田直彦さんがあいさつ。
ブルーチップ㈱の取締役。
2日前にベトナムから帰国したばかり。
ベトナムの事業が新たな段階を迎えた。IMG_03773
前田さんは「初参加の優勝」を宣言した。

白石純一郎さんは、
熊本から駆けつけてくれた。
菓子問屋の㈱白石社長。 IMG_03783

そしてメンバーの組み合わせ発表。
厳正な抽選で決定した。IMG_03813

そのあと長い長い懇親。
コロナに感染したことのない人が、
12人中5人もいた。

不思議なことだ。

そのうちの鈴木さん。
7回もワクチンを接種した。
「それなら体中にワクチンの菌が回って、
感染したも同じじゃないか」

その通り、一同爆笑。IMG_03823

懇親会は盛り上がって、
3時間。

一同、ホテルに帰って、
ゆっくり休んだ。IMG_0420

翌朝、7時半。
上総モナークカントリークラブ。

朝の挨拶とルールの確認をした。IMG_07163

そして記念写真。
11人並んでいるが、
カメラマンは亀谷しづえ商人舎GM。IMG_07173

朝は寒かったが、昼はいい天気で、
絶好のゴルフ日和。

各自奮闘して、
ラウンドは終わり、
風呂に入って表彰式。IMG_07293

最初に主催者、挨拶。IMG_07283

ブルーチップ社長の宮本洋一さんも、
挨拶。IMG_07313

司会とプレゼンターは、
ディフェンディングチャンピオンの鈴木さん。IMG_07333

賞のない4位から名前を呼んで、
ブービー賞を発表。

そしていよいよ優勝者。
新ぺリア方式で競った。

写真の土橋和人さんではない。IMG_07343

優勝は前田直彦さん。IMG_07363

なんと前夜祭で宣言した前田直彦さん。IMG_07393

そして歓喜のスピーチ。IMG_07423

準優勝は宮本プロ。IMG_07443

3位には新谷千里さんが入った。
初入賞で嬉しそうだった。IMG_07483

ドライビングコンテストで、
2個を稼いだ白石さんも感謝のスピーチ。IMG_07493

最後の最後に再び挨拶。
ちなみに私は4位だった。IMG_07513

全員立ち上がって、
一本締め。
よーっ。IMG_07523

シャン。IMG_07533

来年もよろしく。

帰りのアクアライン。
富士が夕日に映えてきれいだった。IMG_04163

ベイブリッジからも、
夕焼けの富士山が見えた。IMG_04283

まだまだゴルフは上達したい。
本当にそう思った。

一生精進する。
仕事もゴルフも。

名人会のおかげだ。
ありがとう。

〈結城義晴〉

2023年12月22日(金曜日)

イオンの「2024年問題」対策と左手のピアニスト

日本経済新聞朝刊一面トップ。
「イオン、物流網を再構築」

イオン㈱の「2024年問題対策」
自社トラックの総輸送距離1割減。

来年4月から改正労働基準法が適用される。

トラック運転手の時間外労働は、
年960時間に制限される。
1カ月80時間、1週20時間弱。

これへの対応をどうするか。

イオンの改革で使われるのは、
AIを活用して最適ルートを割り出す、
配車システムだ。

イオンの約3300店舗。
国内全体の総合スーパーと食品スーパーの1割強。
それらの店に出入りするトラックは、
年間150万台になる。

この改革はそのうちの約15万台分を減らす。

センターからイオン全店までの、
年間トラック輸送距離は2億8000万kmである。
地球約7000周分。

その輸送距離は年間で最大2800万km減少する。

二酸化炭素排出量も約1割抑制される。

センターでの商品仕分けから積み荷の配置まで、
様々な作業の効率化も進める。

たとえば、
「運転手が店の倉庫から陳列棚まで
荷物を運ぶ作業をやめて、
荷物を下ろすだけにする」
こんなことをさせているのかとも思うが、
これで作業時間は1割減る。

納品面の改革も進める。
現在は朝と昼の納品時間が固定されている。
だからトラック積載率は5割から8割になる。

しかし改革後は、
トラックが満載になってから順次配送する。
こうすれば積載率はほぼ100%まで高められる。

九州や北海道などリージョン別に、
グループ各社が協力して共同配送にも取り組む。

長距離貨物輸送を、
トラックから鉄道や船に変える。
「モーダルシフト」の進捗である。

NX総合研究所の調査。
輸送需要に対して業者などが運べる能力は、
卸売・小売業、倉庫業で9.4%不足する。

日本の物流業界では、
トラック事業者の99%を中小企業が占める。

政府は11月の補正予算で、
「モーダルシフト」を支援する姿勢を打ち出している。
官民一体となった取り組みは必須だ。

イオンがその先鞭をつける。
意義のあることだ。

しかしまだまだ改革の余地は多い。
常識や慣習を打ち破って、
小さなイノベーションを積み重ねなければならない。

日経新聞夕刊。
「あすへの話題」

よく読むコラムだ。
そのなかで、
京都大学教授の根井雅弘さんの文章は好きだ。

タイトルは「左手のピアニスト」
舘野泉さん。
51hFz81XqJL._AC_

舘野さんは65歳のとき、
フィンランドでコンサート中に
脳溢血(いっけつ)で倒れ、右
半身が麻痺してしまう。

医者からはピアニストとしての再起は
不可能と宣告された。

ところが、右手の自由を失っても、
舘野さんは懸命にリハビリに専念し、
あるきっかけで
左手のピアニストとして復活を遂げる。

舘野さんの息子さんが、
1枚の譜面をそっと置いて行った。
イギリスの作曲家フランク・ブリッジ。
第1次世界大戦の戦場で
右手を失った友人のために曲を作った。
ピアノは両手で弾くものという
固定観念にとらわれていたら、
いつまでも復帰できなかったに違いない。

しかし、舘野さんは違った。

それ以来、多くの作曲家が舘野さんのために
左手用の曲を作ってくれるようになった。

2024年問題にも、
左手のピアニストの姿勢が求められる。

プロのピアニストの中には、
自分の好きなピアノや調律について、
けっこう口うるさい人も少なくない。

だが舘野さんは、招聘されれば、
世界のどこであろうと、
条件がどうであろうと、
音楽愛好家のためにピアノを弾いてきた。

「自分のため」ではなく、
「誰かのため」に仕事をするときの方が
力が出るのだ。

左手のピアニストの言葉は、
2024年問題にこそ、
当てはまる。

ありがたい。

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2025年7月
« 6月  
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.