結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年10月09日(月曜日)

ノーベル平和賞受賞ナルゲス・モハマディの「地平線と未来」

Everybody! Good Monday!
[2023vol㊶]

2023年第41週。
10月第2週。

今日の月曜日は、
ハッピーマンデー制度で、
スポーツの日の祝日。

しかし全国的に曇天で、
太平洋岸と関西は雨。

昨日、スポーツをしたので、
今日は休養。

急ぐ原稿執筆はない。
いや、『チェーンストア』後編は、
もう執筆日程も決めた。

そのプレッシャーはいつもある。

COVID-19パンデミックが始まって、
世界中が閉塞された状態になった。

私も講演の仕事など、
ほとんどなくなった。
取材やインタビューもできなかった。
雑誌は発刊し続けたけれど。

そこで本を書くことを決意した。

2020年から構想して2021年4月に、
『コロナは時間を早める』を書いた。

2022年はちょっと一休みのつもりだったが、
出版社からの要請があって書き直した。
新装版『店長のためのやさしいドラッカー講座』

そして今年2023年9月に、
商人舎15周年に向けて、
『チェーンストア――産業ビジョン』を上梓し、
2024年のはじめに、
『チェーンストア――戦略マネジメント』を刊行する。

本当にありがたいことだ。

本を書く環境、本を出す状態。
読者の皆さんの反響。

それが私の周辺にある。

ありがたい。

この気持ちを忘れてはいけない。

明日から、
ダラス・ニューヨークを訪れる。
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最も発展しているエリアがダラス。
最も尖がっているスポットがニューヨーク。
その両地域を一気に駆け巡る。

モチベーションは上がる。
イマジネーションは広がる。
そしてイノベーションのヒントは数多。

その「ニューヨークタイムズ」
10月6日の記事。

今年のノーベル平和賞受賞者を記事にした。
ナルゲス・モハマディさん。
〈ノルウェー・ノーベル委員会〉
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イランで最も著名な人権活動家。
女性の権利を主張して、
政府の弾圧と戦ってきた。

彼女は現在、テヘランのエヴィン刑務所で、
懲役10年の刑を受けて服役している。
「反国家プロパガンダを広めた罪」

51歳のモハマディさん。
刑務所内からもイラン政府を、
率直に批判してきた。

そのモハマディさんの、
ニューヨークタイムズへの書面声明。
「私の人権擁護活動に対する
世界的な支持と評価のおかげで、
私はより決心し、責任感が増し、
情熱が増し、希望が持てるようになった」

「私はまた、この認識によって
イラン国民が変化を求めて抗議活動を
より強力かつ組織化することを願っています」

「勝利は近づいています」

モハマディさんの夫タギ・ラフマニさんと、
16歳の双子の子供アリさんとキアナさんは、
フランスに亡命中。
彼女は8年間子供たちに会っていない。

夫のラフマニさん。
「これは、不当な法律が存在する社会で
何十年もイランの変化を求めて闘ってきた
すべての人権活動家にとっての賞でもある」

イラン人女性はこれで2人、
ノーベル平和賞を受賞した。

一人目は人権弁護士シリン・エバディさん。
モハマディさんの長年の指導者だ。

モハマディさんは1972年、
イラン中部の都市ザンジャーンで、
中産階級の家庭に生まれた。

イランのガズヴィーンの大学で物理学を学び、
そこですぐに活動に参加し始めた。

イランの知識界で著名な夫とは、
夫が教える地下授業に参加したときに出会った。

夫婦は結婚生活のほとんどを、
刑務所に出入りすることで過ごしている。

今年初めの英国紙タイムズのインタビュー。
モハマディさんが語る。
「刑務所の壁が高くて近くて
視界を遮っているにもかかわらず、
私は地平線と未来に
目を向け続けなければ
なりません」

どんなに壁が高くても、
地平線と未来に目を向ける。
そうしなければ、
生きてはいられない。

私たちもそれをしよう。

ニューヨークが、ダラスが、
私たちを待っている。

私たちも地平線と未来に目を向けよう。
そうしなければ、
生きてはいられない。

では、みなさん、今週も、
地平線と未来に目を向けよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年10月08日(日曜日)

ラグビーWorld Cup日本の惜敗とジャック・ニクラウスの言葉

サッカーワールドカップ2023。

1次リーグプールD 。
日本代表はここまで2勝1敗。
イングランドに大敗して、
チリとサモアに快勝した。

アルゼンチンと日本が2勝1敗で並んで、
決勝トーナメントに進むための決戦。
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ワクワクしながら見ていた。
主将でナンバー8の姫野和樹は、
国歌斉唱で武者震いしながら、
涙を流していた。
その姫野も活躍した。

スタンドオフの松田力也も、
ゴールキック、ペナルティキックと、
ゲームメークで役目を果たした。

姫野も松田も帝京大学の同期。
大学選手権で9連覇に貢献した。

スクラムハーフの齋藤直人は、
実にいい働きをした。

桐蔭学園のとき、
全国高校ラグビーで準優勝。
早稲田に入学すると、
4年で主将になって、
全国大学選手権で優勝し、
大学日本一となった。

その闘志は見事にゲームに生きた。

プロップの稲垣啓太は、
関東学院で主将だった。
笑わない男も、
スクラム、タックルで、
黙々と仕事をした。

フッカーの堀江翔太も、
帝京大学で主将だった。
レゲエ風ドレッドヘアの最年長。
スクラムの真ん中で頑張ったし、
ラインアウトのスロワーとしても秀逸だった。

バックスの中村亮土も、
帝京大学の主将で5連覇を担った。

私は大学ラグビーのファンだが、
その大学時代に主力として活躍し、
いずれもリーダーシップをもつ、
人柄のいい選手が参集している。

それでも日本は、
アルゼンチンに惜敗した。
27対39。

終始リードされて、
アルゼンチンが一枚上であることを、
思い知らされた。

よく闘った。
しかし大胆な若返りを図って、
再出発だ。

4年後の開催国はオーストラリアである。

しかしこのフランス大会で、
強豪のオーストラリアは、
ウェールズとフィジーに負けて、
1次リーグで敗退した。

史上初の屈辱だ。

前の日本代表のエディ・ジョーンズ監督が、
その責任を果たせなかった。

ニュージーランドも、
1次リーグでフランスに波乱の敗北。

フランスが優勝候補の筆頭に上がってきた。

ジャパンは出られないけれど、
ワールドカップラグビーは、
決勝トーナメントが面白い。

準々決勝のゲーム開催のとき、
私はニューヨークにいて、
試合を見ることができるかどうかわからない。
〈時事通信提供〉
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14日がウェールズvsアルゼンチン、
アイルランドvsニュージーランド。
15日がイングランドvsフィジー、
フランスvs南アフリカ。

ずばり予測すると、
アルゼンチンとニュージーランド、
イングランドとフランスが残るか。

アイルランド対ニュージーランド、
フランス対南アフリカ。
この準々決勝は、
今大会の大勝負だ。

ちなみに世界ランキングは現在、
1位 アイルランド
2位 フランス
3位 南アフリカ
4位 ニュージーランド
この4強が準々決勝でぶつかる。

以下、
5位 スコットランド
6位 イングランド
7位 ウェールズ
8位 フィジー
9位 アルゼンチン

アルゼンチンがベスト8に残ったのは、
凄いことだ。

10位 オーストラリア
11位 イタリア
12位 日本

ラグビーは波乱のないスポーツだと言われる。

日本代表が準々決勝に残る難しさは、
このランキングが示している。

よくやった。

次の若い力に期待しよう。

私はホームコースでゴルフ。
単行本『チェーンストア』を書き上げて、
それから月刊商人舎10月号も仕上げた。

だからスポーツの日に向けて、
身体を動かす。

秋空と雲。
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名物の13番ホール。  IMG_73153

雲はどんどん広がっていく。
快適なゴルフ日和。
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ジャック・ニクラウス設計。IMG_73283

そのニクラウス像もハロウィン風に飾られた。IMG_73293

ゴルフ用のバットを、
ゆっくりと振る。
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これがいい練習になる。

アメリカ出張の際にも、
持って行きたいくらいだ。IMG_E73333
1日、ゴルフラウンドして、
身体はいい状態になった。

ジャック・ニクラウスの言葉。
「ゴルフでは、
良い人柄と良いスイングしか
役に立たない」

ラグビーも同じだ。

来週はダラスとニューヨークです。

〈結城義晴〉

2023年10月07日(土曜日)

FTガネシュ記者の「もしトランプが再選されたら???」

10月の三連休。
土日曜とハッピーマンデーのスポーツの日。

日経新聞掲載のFINANCIAL TIMESの記事。
「トランプ再選 米中緩和も」
コメンテーターのジャナン・ガネシュ記者が、
痛快にトランプ前大統領をこき下ろす。

イギリス生まれの政治ジャーナリスト。

「もし第2次トランプ政権が誕生したら」
そうならないことを願うものだが、
ガネシュの物言いは、面白い。
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「前大統領は結局のところ利己的な人間だ」

「自分の都合で政策を振り回し、
“世界などどうにでもなれ”と外交を軽視し、
米国を内向きにさせるかと思えば、
“世界に我々の強さを思い知らせてやる”と
やたら強気の外交姿勢をとるような人物だ」

その通り。

「トランプ政権が再び誕生すれば、
ロシアに対する制裁の
規模縮小や緩和に動くだろう。
ウクライナへの物資の輸送ペースは
鈍る公算が大きい」

「これらは
“米国第一”主義を実行しているとして
正当化されるだろうが、
実際のところ逆の効果を生むことになる」

「1990年の第1次湾岸戦争以降、
ウクライナ支援ほど米国の存在感を
国際社会で高めたものはない」

それは確かだ。

「米国から武器の供給を受ければ、
世界3位の軍事費を誇るロシアの侵攻を
食い止め続けられると
世界に知らしめたからだ」

たとえばベトナムはこの9月、
「米国との外交関係を
中国と同格の最上位に引き上げた」

ウクライナ支援のリーダーとなることで、
アメリカは世界のリーダーの地位を取り戻した。
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しかし厄介なことに、
「ナショナリストは誰よりも
国益を見極めるのが下手だ」

「ナショナリスト」とはトランプらのこと。

「よってトランプ前大統領も
その取り巻き議員らも
ウクライナを見捨てるだろう」

これは避けたい。
つまりトランプ再選は困る。

「安全保障面では
北大西洋条約機構に加えて、
韓国や日本との2国間協定」が、
その矛先となるだろう」

これはアメリカの地位に、
致命的な影響を与える。

「経済面では当然、
世界貿易機関(WTO)が攻撃対象となる」

これも困った事態を招く。

そこでトランプ再選の場合、
「世界が驚くような展開は1つしかない。
ただ、その1つは最も重要な意味を持つ」

中国問題だ。

「中国に対する前大統領の不満は、
あくまで経済的なものに限られていた」

それは台湾問題に表れている。
「トランプ前大統領の関心が、
いかに狭いかといえば、
半導体生産の”ビジネスを我々から奪った”
というふうにしか台湾をみていない」

「哀れなほどに凡庸で、
お金でしかものごとを考えられない男について、
その支持者も敵対者も
様々な幅広い発想を常に持っている人物だ
などと思い込んでいる」

「また、彼はとにかく
集中力が持続しないため、
行政府内に存在する筋金入りの
対中強硬派に対するコントロールを
徹底させられない可能性もある」

こんな酷い前大統領だが、
第2次トランプ政権が誕生したら、
「驚くべき展開は
米中のデタント(緊張緩和)を
もたらすかもしれないという点だ」

ん~。
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世界にとっては米中デタントよりも、
それ以外の打撃の方が悲劇的に大きすぎる。

賢明なアメリカ合衆国国民が、
世界全体のことを考えてくれることを、
プロテスタントの神に祈りたい。

ガネシュ記者は、
「エコノミスト」から「FT」に移籍して、
2018年6月にロンドンからワシントンに移った。
英国政治を厳しく評論し、
今度はアメリカの政治の論評をしている。
著書は『The Austerity Chancellor』など。

日本の政治ジャーナリストにも、
ガネシュレベルのユーモアと鋭さが欲しい。

流通ジャーナリストにも、
ユーモアと鋭さが望まれる。

私自身も例外ではない。

〈結城義晴〉

2023年10月06日(金曜日)

紀文食品「保芦将人 お別れの会」と「余人をもって代えがたし」

東京の虎ノ門ヒルズタワーがオープン。
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地下鉄日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」は、
2020年6月6日に開業した。

神谷町と霞が関の中間点の駅で、
便利になった。

その駅の上に森ビルがタワーを建てた。

私は地下鉄駅から歩いて、
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「保芦将人お別れの会」
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㈱紀文食品前代表取締役会長。
今年6月11日にご永眠。
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生前は私もたいへんお世話になった。

慶応ボーイのダンディな方で、
紀文の創業者・保芦邦人氏のご長男として生まれ、
厳しく育てられた。

創業者は本当に仕事に厳しい人だった。

慶応義塾大学法学部政治学科を卒業し、
㈱紀文に入社して取締役になると、
若いころからマーケティングを模索した。

紀文は日本の食品メーカーにおいて、
マーケティングに優れていると評価されている。

その紀文にマーケティングのDNAを植え付けのは、
保芦将人さんだった。

40歳で社長に就任し、
家業を企業に転換させた。

逝去される前に、
2020年に東証一部上場。

しかし私は保芦邦人創業者の情熱が、
紀文食品の強い原動力になっていると感じる。

将人社長、会長は、
その原動力にエクセレントな要素を加えた。

それが紀文食品の特長だ。

ゴルフの腕も一流だった。
アマチュア時代は日本のトップレベルで、
紀文レディースクラシックを主催した。

2018年、創業80周年記念式典のとき、
二つの夢を語った。

第1が海外市場への真の挑戦。
これは大いに可能性があると思う。

第2が「全社員が商品開発者になること」
これはとてもいい夢だ。

食べものの仕事は、
誰にも商品開発者の資格がある。
保芦さんはみんなが開発することを、
強く望んでいた。

素晴らしい。

心からご冥福を祈りたい。

お別れの会では多くの経営者に会った。
川野幸夫さんも、
大髙善興さんも。

井出武美さんにもお会いした。

田尻一さん、平野実さんとは、
一緒に献花した。

加藤勝正さん、三科雅嗣さんとも、
話をした。

暑い夏が終わったと思った。

私はその後、一度、
横浜商人舎オフィスに戻った。

3時から若者がやってきた。
事業を始める相談。

その心意気やよし。

しかし「自分の顧客」がなければ始まらない。
ピーター・ドラッカーも言っている。
「顧客から始めよ」

これは私自身の経験でもある。

「君の顧客は誰か」

そしてまず、
「顧客をつくれ」

その顧客を一人ずつ増やしていけ。

そのあと、自由が丘。
いつもの花屋。
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ハロウィンのプレゼンテーション。IMG_72973

朝日新聞「折々のことば」
第2872回。

自分は余人をもって
代えがたい人間だと思うな

/そう思わせてもいけない
(ドナルド・ラムズフェルド)

「自分が不慮の事故に遭っても
混乱なく次の人に交代できる組織、
要は自分がいなくてもやっていける組織を
作るのがリーダーの責任だ」
(『ラムズフェルドの人生訓』から)
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米国元国防長官。

「それに自分がいなければ
仕事が回らないと思い込めば、
大切な人との個人的な関係も
つい犠牲になる」

「重要なのは”人”でなく
あくまで”職務”と心得るべし」

「自分は余人をもって
代えがたい人間だと
思わせてもいけない」

ここがいい。

〈結城義晴〉

2023年10月05日(木曜日)

「商売が救うもの」と井上ひさしの「作文の秘訣」

月刊商人舎10月号、責了しました。IMG_7274

お疲れ様。
ありがとう。
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楽しみにしてください。
いい雑誌です。

だから出来立ての巻頭のMessageを、
公開してしまおう。

10月の商人舎標語でもある。

[Message of October]
商売が救うもの

商売は顧客を救う。
顧客の日々の生活を支え、
有事のときには命さえ救う。

商売は生産者を救い、
製造業と卸売業を救う。
小売業が販売することで収益は還元される。

商売は店を救い、会社を救う。
店が繁盛し利益を上げれば会社は発展する。
従業員もその家族もそれによって養われる。

商売は日本経済を救い、
日本の民主主義社会を救う。
資本主義社会も共産主義社会も商売が救う。

しかし商売が救うものは、
何よりも商売をしている人間である。
働く者であり、経営する者である。

ヨークベニマル創業者の大髙善雄は、
戦前の腕利き新聞記者を辞して、
野越え山越えの商売を始めた。

ニチイ創業者の西端行雄と春枝は、
小学校の熱血先生を辞めて、
戸板商売から再出発した。

ヤオコーの川野幸夫は、
弁護士になる夢を捨てて、
スーパーマーケットに身を投じた。

商売はそれを為す者を救う。
それに真剣に立ち向かう者を救う。
商売はそこに働く者を救う。

商売は顧客を救う。
商売は社会を救う。
そして商売は人間を救うのだ。
〈結城義晴〉
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井上ひさしさんの文章の書き方。
かつてこのブログで紹介した。
朝日新聞「折々のことば」
第1324回。

作文の秘訣を一言でいえば、
自分にしか書けないことを、
だれにでもわかる文章で書く
ということだけなんですね。
〈『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』より〉

「自分がいちばん大事に思っていること、
辛いこと、嬉しいことを書く。
一人ひとり少しずつ違う、
“その違うところ”を平明に書く。
いい文章はそのことで人の心を動かす」
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雑誌も単行本も、
私はいつもこの心構えで書く。

仕事のレポートでも、
手紙やメールでも、
それは同じこと。

POPやショーカードの文章も、
同じです。

むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
そしてゆかいなことを
あくまでゆかいに

これも井上さんの座右の銘。
忘れてはいけない。

〈結城義晴〉

2023年10月04日(水曜日)

「アークスネットスーパー」のアマゾン・コムとの協業の今後

「セルコレポート」が届いた。IMG_7266 (002)3

私の連載は「艱難は商人を鍛える」
その第十八回。
「伽藍洞の産業 チェーンストア」IMG_7269 (002)3
近著『チェーンストア』のまえがき。

「経営を担う人たち、
現場で働く人たちは、ともすると
チェーンストアという仕事の
意義を見失っている。
現状に安住している。
このビジネスにさらに大きな夢を
描くことができないでいる」

「スケールは大きくなったけれど、
そして豊かな未来があるにもかかわらず、
みな、目の前の仕事に追われている。
厳しく言えば伽藍洞の産業に向かっている」

「伽藍洞の産業」とは、
図体はある程度大きくなったけれど、
中身はガランとして、
内実が伴わない産業」

そうなってはいけない。

それが私の『チェーンストア』執筆の動機だ。

今日は1日、原稿執筆。

書きあがると、
デザイナーの七海真理さんに送る。

すると、すぐに、
驚くようなデザインが上がってくる。

楽しみにしてください。

10月号は10日発刊です。

さて商人舎流通スーパーニュース。
アークスnews|
アマゾンプライム会員向けネットスーパー’23年冬スタート

アマゾンのプラットフォーム上に、
「アークスネットスーパー」が開設される。

今冬に札幌市・北広島市の一部地域からスタート。

対象はAmazonプライム会員。

アークスのサービス拠点店舗から、
約9000アイテムの商品を配送する。

最短2時間での配送。

アークスは、
北海道・東北地域を中心に拡大の予定。

アマゾンは2019年に、
ライフコーポレーションと協業を始めた。

2019年9月12日の報道。
ライフnews |
食品スーパー初のアマゾンPrime Nowサービス都内で開始

ライフが初めての協業相手だった。
コロナ禍まえの4年前。

このときは東京都内の新宿区、板橋区、
練馬区、北区、中野区、豊島区、杉並区の7区だった。

配送時間は12時~22時で、
当日または翌日の配送。
2時間単位で時間指定ができた。

その後、東京都全域から神奈川県にエリアが拡大された。

そして2021年6月30日。
アマゾンnews|
Amazon.co.jp上にバローのストアが6/30オープン

スタート時点のエリアは、
愛知県の名古屋市と清須市。
当日または翌日の12時~22時に、
2時間単位で時間を指定できた。

こちらも順次、東海地区に拡げられた。

さらに2022年3月2日。
成城石井news|
Amazonプライム会員向けサービス都内一部地域で開始

東京都の世田谷区、目黒区、杉並区、品川区、
そして大田区、渋谷区。

成城石井ならばライフとエリアが重なっても、
顧客にとって問題はない。

成城石井は現在、
東京都11区4市、神奈川県2市、愛知県3市で、
アマゾンネットスーパーを展開中だ。

そしてこの冬に北海道で、
アークスとの協業が始まる。

アマゾンが自分で展開するのが、
「Amazonフレッシュ」だが、
こちらは日本では2017年にスタートした。

アメリカではその10年前の2007年に始まった。

さて、このアマゾンとの協業。
どう考えるか。
どう広がるか。

アークスとバローと㈱リテールパートナーズ。
新日本スーパーマーケット同盟が、
2018年12月25日に資本業務提携して誕生。
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奇しくもアマゾンとの協業を、
バローとアークスが行った。

リテールパートナーズの動向が注目される。

まったくの憶測でしかないが、
リテールパートナーズの田中康男社長は、
利益が見込めない事業はやらないと思う。

本当に勝手に書いてしまって申し訳ないが、
リテールパートナーズが、
アマゾンに加わったら、
ネットスーパーは一気に過熱する。

面白いことになってきた。

顧客への利便性提供とともに、
利益が出せるか否か。

私も注目したい。

〈結城義晴〉

2023年10月03日(火曜日)

「産業革命・流通革命」と速水融教授の「勤勉革命」

横浜商人舎オフィスは、
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15周年を記念して、
お送りいただいた。

これは日本リテイリングセンターから。
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ありがとうございました。

それから日本食糧新聞。
『チェーンストア――産業ビジョン』の、
いい書評を書いて、掲載してくれた。IMG_7254 (002)3
今野正義会長から新聞をお送りいただいた。
心から感謝します。

次々に注文が入っています。
商人舎スタッフは発送に追われています。
けれど、喜ばしいことです。
ありがとうございます。

商人舎へのお申し込みは、
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[目次]は、
第一章 「一粒の麦」のチェーンストア
第二章 1.0 と 2.0、そして3.0 と4.0
第三章 「産業革命」なしに「流通革命」は起こらない
第四章 日本の産業革命とチェーンストア1.0
第五章 「流通革命」とチェーンストア2.0
第六章 ダイエーのチェーンストア2.0
第七章 業態チェーンストア
第八章 チェーンストア3.0 の時代
第九章 マーケティングとチェーンストアの関係

最後の九章は、
チェーンストアとマーケティングとの関係を、
考察しました。

自分でも面白い視点だと思います。

栗原一博さんから、
メールでお便りをいただいた。

㈱ダスキンくりはら社長。
商業界同友会のチューター。
商人舎発足の会では、
発起人に名を連ねてくださった。

「正統な視座でのご活躍に敬意を表します」
ありがとうございます。

栗原さんが教えてくれたのは、
速水融という経済史学者のこと。
栗原さんの恩師。
〈日本学士院ホームページより〉
Hayami_Akira

その速水先生が提唱したのが、
「勤勉革命」。

流通革命は、
産業革命のあとに起こる。

私は『チェーンストア』の主題の一つにした。

その産業革命の前に勤勉革命があった。
そのあと産業革命が起こった。
そんな話を栗原さんは教えてくれた。

その通りだと、私も思った。

「速水先生は、
諏訪地方の宗門人別帳の実証的な研究から、
江戸時代の人々の生活を
くっきりと浮かび上がらせたのです」

「当時はマイナスの評価が多かっ た、
江戸時代こそが、
明治以降の離陸を可能ならしめたことを
証明したのです」

それを実証的な研究で明らかにした。
凄い研究者だ。

「産業革命は機械化ですが、
むしろ機械を捨てて、と言うか、
牛や馬を捨てて、
手作業で丁寧な農業を行うことで、
日本の耕作面積当たりの生産量が増え、
日本人の勤勉道徳も生まれた」

商売の世界では、
鈴木正三、石田梅岩から、
倉本長治に通じる「勤勉道徳」である。

私の商業の現代化は、
産業革命と流通革命による近代化と、
勤勉革命の理論を、
包含したものだと思った。

故C・W・ニコルさんから、
直接、ヒントをいただいた。

そして私は考えた。
「商業は森である」

森の大きな木は大企業、大きな店。
小さな木は小企業、小さな店。
森には雑草も生えていれば、
一輪の百合の花も咲いている。

すべてが森として必要な植物だ。

だから森には動物がいる。
様々な生物がいる。

その商業という森が、
荒らされているとしたら、
人の手によって再生されねばならない。
生きた森でなくてはならない。

商業を荒廃した森にしてはいけない。
伽藍洞の産業にしてはいけない。

㈱商業界は自己破産したが、
倉本長治の遺志を継いで、
人間の手によって、
荒廃した森を生き返らせる。

それが商業の現代化である。

栗原さん、ありがとうございました。

私は1日中、オフィス。
自分の原稿書きと入稿。

黙々と一字一句を、
一行一行を積み重ねる。

それが私の仕事だ。

物書きとは地味な仕事だ。
執筆は勤勉さなしには遂行されない。

それを続けていこう。

〈結城義晴〉

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