結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2007年10月26日(金曜日)

古いルールを廃棄処分しよう

お約束をつくろう。
月曜日に提案した。

自分でつくるお約束。
お客様とのお約束。

美しい知恵によるお約束。

三方良しのお約束。

買い手良し。
売り手良し。
世間良し。

あなた良し。
わたし良し。
天も良し。

お約束を掲げる。
お約束を実行する。
お約束を徹底する。

すなわち、
厳密に、
詳細に、
継続する。

絶対に不正はなくなる。
お客様は喜んでくださる。
みんなやる気を出す。

しかし、このお約束、
会社の大方針に
沿っていなければならない。
自分が確信していなければならない。
仲間も納得していなければならない。

かつて関西スーパーが盛んに使った[決め事]という概念。
オーケーが現在、店内に掲示する公約。
ブーメランの法則のスーパークィンのお約束。

良い企業の、
良い店の、
良い時期には、
必ず、マグマのように地表に出てくるお約束。

しかし、組織腐敗のメカニズムがある。
組織は年数が経つと、腐る。
規模が大きくなると、腐る。

いや、正しくは、
腐りやすくなる。

組織の腐敗傾向という。

この組織腐敗の傾向をもたらすメカニズムのひとつが、
[ルールの複雑怪奇化]である。
一橋大学大学院教授の沼上幹さんの『組織戦略の考え方』にある。

古いルールや手続き、決め事、お約束は、
廃棄処分にしなければならない。
その上で、新しいルールや手続き、決め事、お約束をつくる。
これが、大切だ。

ルールの新陳代謝である。

古いルールや仕組みをそのまま残しつつ、
新しいルールや仕組みが、
追加的に付け加えられることが多い。

油断していると、ほとんど、これになる。
それが、長い間に積み重ねられる。
すると、ルールは複雑化してくる。

単なる複雑化を超えて、
複雑怪奇化してくる。
その複雑怪奇化に、組織内の人間は気づかない。

古いルールの迂回方法が発達する。
抜け道や裏技が開発される。
これらを開発できる人間が評価されたりする。

当人は、
会社のため、
組織のため、
仲間のために、
やっていると勘違いしている。

しかし、時に、気が弛む。
ほんの少し、自分のために抜け道や裏技を使う。
仲間にも薦める。

そのうちの数%が、深刻な不正へとつながる。

不正や不具合のいくつかが、公になると、
再発を防ぐ新たなルールがつくられる。
それにもまた、迂回方法、抜け道、裏技が生まれる。

ますます複雑怪奇化してくる。

だから、結論。

長い間に新陳代謝を失った、
古いルールを破壊せよ。
古い仕組みを改めよ。
古いお約束は引っ込めよ。

その上で、新たなお約束をつくろう。

それがトップやリーダーの仕事だ。

組織腐敗を防止するために、必要なのは新陳代謝である。

新陳代謝を阻止しようという反作用が起こることも、心しておかねばならない。

念のために。

〈結城義晴〉

2007年10月25日(木曜日)

日経BP・ホーム出版合併は損保・生保統合を意味する!

日経BPと日経ホーム出版社が合併する。
2008年7月1日。
日経BPとホームの合併記事

私も出版人の端くれ、
ある意味、歴史的な出来事だと思う。

日経BPは、ビジネス・パブリケーションを担当する。
日経ホーム出版社は、コンシューマー・パブリケーションを受け持つ。

前者は、ビジネス読者対象。
後者は、一般読者対応。

前者は、『日経ビジネス』や『日経アソシエ』を持つ。
『日経レストラン』も前者。
後者は、『日経トレンディ』など。

前者は、約年商550億円。
後者は、約70億円。
だから存続会社は、日経BPと称する。

私はこれらを保険会社にたとえる。

前者は、損害保険。
後者は、生命保険。

今回の合併は、
いわば損保と生保の統合を意味する。

出版においても損保的な媒体と生保的な媒体の垣根がなくなってきた、
あるいは壁が低くなってきた。
それが、第1の理由にして、
マクロに捉えた市場環境における理由である。

しかし、大きな要因は、出版業界の構造不況にある。

日本のパブリケーション・ビジネスは、1996年をピークとしている。
業界年商、2兆6563億円。
私が、商業界で取締役に就任した年である。

私は、『食品商業』の編集長として、絶好調の時期であった。

その後、日本の出版界は、シュリンクし続ける。
2兆1525億円と、この10年間で、18.97%の減少。

とりわけ月刊誌や週刊誌という雑誌部門はひどかった。
だから企業として、利益をより多く出すために合併し、
不採算の構造をリストラする。

これが、今回の日経グループ内の「損保と生保の合併」の第2の理由。

第3の理由は、雑誌の流通チャネルの変貌。
ホームは、取次⇒書店という既存の流通チャネルを通した販売方法。
BPは、それを通さずに読者に届ける直販方式。
つまり問屋・小売店無用論に基づく。

書店が潰れている。
出版の販売アウトレットが消失している。
だから売れなくなっている。

雑誌においても、書籍においても、流通チャネルが激変しているのだ。

そして、第4の理由が、インターネットの急速な普及。
特に雑誌を買って、読む読者が減って、
インターネットに移っているのだ。
だから新日経BP社は、『日経トレンディネット』を開設した。

私は、2002年から2003年にかけて、
日経BP社と、正面から闘った経験を持つ。

同社が、商業界のドル箱『食品商業』に対して、
競合を仕掛けてきたのだ。
『日経食品マーケット』という名の月刊誌の創刊であった。

私は、専務取締役として、陣頭指揮に立った。
そして闘いつつ、代表取締役社長に就任した。

みんな良く闘ってくれた。

1年後、『日経食品マーケット』は休刊した。
出版業界では、店舗閉鎖を意味する。

その日経BPの、日経ホーム出版社との合併。
出版における「損保と生保の統合」。

時代は、大きく変わっている。
私が、自分の人生において深く関わった
出版業においても、
商業においても。

<結城義晴>

2007年10月24日(水曜日)

磯見精祐さんを悼む

10月23日、12時から、
磯見精祐(いそみまさすけ)さんの告別式が、
執り行われました。
鎌倉、浄土宗の名刹「長谷寺」。
ここは磯見家の菩提寺で、代々のお墓があります。
磯見精祐氏告別式1
秋晴れの、すっきりとした日。
磯見さんは、最後まで磯見さんでした。
磯見精祐氏告別式2
76歳とはいえ、現役の執筆者が逝去されることは、
極めて珍しい。

お亡くなりになる前の日にも、
論理的に、整然と、お話されたとかで、
磯見さんならでは、と感心させられました。
今後も、ずっと健筆を振るって欲しかった。
私は、本当にそう思いました。

慶応大学を卒業され、東宝入社。
奥様のたま子さんは、その東宝の女優さんでした。
その後、流通業界へ転進され、
グリーンスタンプ、西友ストアー(当時)、ユニーで要職を歴任。
ダンディーで、ヒューマニストで、正義感が強い読書家・批評家。
ニコニコ微笑みながら、ズバリ、言うことは言う。
とりわけ経営トップには辛口。
磯見精祐氏告別式3

西友時代、ずっと磯見さんの上司で、
尊敬の的だったはずの故上野光平先生は、
63歳で逝かれました。
西友の実質的な創業者。
初期のチェーンストアで、
ビッグになった企業の中の、
最初の専門経営者。
そして流通産業研究所所長・理事長。
類まれなる文章家・読書家。

その最後の病床。
上野さんは、語りました。

「わたしは少しもたじろがない、
たとえ死が訪れようとも、
やりたいことはやった、
これだけやらせてもらって
幸せだった」

磯見さんは、
上野光平を追い続けていました。

死の床でも、
上野さんの「少しもたじろがない」という言葉を、
噛み締めていたに違いありません。

私が、磯見さんと再会したのは10年ほど前だったと思います。
磯見さんが、現役引退され、
㈱商業界会館をお尋ねくださったのです。

以来、ほぼ毎月1回、商業界会館3階クラブ室で、
2時間あまりのディスカッションの時間を共有してきました。
そして、自然に磯見さんは経営評論家として、
商業界が発刊する雑誌の常連執筆者となっていったのでした。

その間、磯見さんは、
杉山昭次郎先生を座長とする「杉山ゼミ」を興し、
自ら事務局長の役目を担ってくださいました。
このゼミから『ヤオコー・スタディ』という未刊の労大作も誕生しました。

現在は、「商業経営問題研究会」となって、
毎月1回の研究会が開催されています。
今後は、ユニー時代の後輩の高木和成さんが、
磯見さんに代わって、
この会を継続発展させてくださいます。

磯見さんの研究対象は、チェーンストアのマネジメント。

磯見語録。

「企業は、目的達成のために人の働きが組織化されたものであり、
人の働きの動因は『仕事のやりがい』であり、
その源泉は組織行動目標への共感である」

私は、磯見さんから、
「マス・カスタマイゼーション」の概念を教わりました。
それを、私は苦心惨憺のうえ、
「特定多数のマーケティング&マネジメント」と名づけました。
さらに、この概念が、商品面では、
「コモディティとノンコモディティ論」へと発展しつつあります。

いわば、私のライフワークの一つに啓示を与えてくださった人こそ、
磯見さんなのです。

磯見さんからの、私宛の最後のメール。
「結城義晴様 
われわれの間で話し合っているうちに
『結城さんに感謝する会』になりました。
結城さんのことですから、
業界団体、大企業を網羅する『結城さんを励ます会』が
開催されると思っておりますので、
われわれはまずささやかでも、
われわれの気持ちをあらわす『感謝の会』にしようということにしました。
その日取りはこれまでのやり取りで
10月19日(金)にさせていただくことにしました」
(2007年9月27日 16:25)

磯見さんのご入院で、この会は延期となりましたが、
最後まで、そのことを気にかけてくださったようで、
私への書きかけのお手紙が、絶筆となりました。

そして「感謝の会」予定の日の翌日、
磯見さんは、逝かれたのでした。

ご冥福をお祈りします。

私はご霊前に誓いました。
いつか、磯見さんのスタイルで、
私が唱えている「商業の現代化」を論理化することを。

合掌。

<結城義晴>

2007年10月23日(火曜日)

ウォルマートが西友をTOBで100%完全子会社にする

「ウォルマートが日本から撤退する」

この噂は、何度も、
さまざまな人によって、語られた。

しかしそこには、
多分に、感情的な要素がこめられていた。

あるいは、敵対的意図をこめて。
あるいは、期待をこめて。

しかし、私は、ずっと言い続けている。

「本体の業績が極端に悪化しない限り、撤退はない」

これ、私の読み。

昨22日、ウォルマートは、記者会見を開いた。
シニアバイスプレジデントのブレット・ビックス。
西友CEOエドワード・カレジェッスキー。
そして、「株式公開買い付け(TOB)で、完全子会社化する」
と発表。

「従業員と取引先に安心してもらえる」
こう、目的を語る。

つまり、本腰を入れているんだぞ、
という意思を示すために、完全子会社とする。

重要なことだ。

今回、約1000億円の投資。
これまで、1470億円を西友に使っている。
従って、総額2470億円。

しかし、1999年に、ウォルマートが、
イギリスのアズダを買収したときには、
100億ドル(当時の価格で1兆3000億円)が投資された。
すぐにアズダは、セインズベリーを抜いて、
イギリス第2位に躍り出た。

安く買って、価値を高くする。

これが商売の基本だが、
ウォルマートはそれを、やろうとしているだけである。

現在、ウォルマートにとって、
国際部門は、もっとも収益の伸びが良い部門である。

米国内は、ご存知、
スーパーセンターの「飽和」に向かって突き進んでいる。
新しいフォーマットも固まっていない。

だから、国際部門のうち、世界第2位の市場である日本は、
ウォルマートにとって、極めて重要なのである。

日本は、「自助努力」によって、成功することのできる市場。
彼らは、そう考えている。

現在、ウォルマートが成功している国。
カナダ、メキシコ。
北米大陸の両隣。
そしてイギリス。
流通先進国。

もう一つの先進国は、日本。
だから日本に、活路を求める。

しかも、コストコは日本で着々と、
成功を収めている。

「自助努力」が不足している。
こう、考えている。

 

しかし、投資の仕方としては、極めてまずい。

アズダのときのように、一挙に1兆円の投資くらいがいい。
小出しにしてきた日本のやり方は、上手くはない。

今回、通算2479億円の投資で、
全株式を買い取ろうというのだから、
安い買い方だったのかもしれないが、
価値を高める買い方ではなかったと思う。

西友の劇的改革は、これから本格化する。

感情的にはならず、
敵対的意図もこめず、
期待もこめず、
市場の立場から、
顧客の立場から、
西友を見ていかねばならない。

<結城義晴>

2007年10月22日(月曜日)

仕事の「お約束」をつくろう

Everybody! Good Monday!

商人の知恵比べの月。
こう位置づけて、スタートした2007年10月。
しかし喧伝されるのは、それに反することばかり。

ミートホープに端を発するかのように、
赤福、比内鶏など、続出。

でも先週、ある地方卸売業の社長に言われた。
「結城先生、
日本の流通業、
いったいどうなるのですか。
こんなに大手の横暴があっては、
私たち生きていけない」

「大手の横暴」
「優越的地位の乱用」
これはいけない。

具体的な事実が上がってきたら、
このブログでも、
問題にしましょう。

しかし自分のことを考えると、
「貧すれば、鈍す」になってはいけない。

「貧すれば、鈍す」
悲しいことです。
恐ろしいことです。

美しい知恵比べと醜い知恵比べ。

美しい知恵は、ジワーッと浮き上がってきて、
真のネットワークをつくっていく。

醜い知恵は、隠そうとしても、必ず、
いつか、表面化する。
隠している時間が長くなればなるほど、
判明したときには重大になる。

食品スーパーマーケットでも、
かねてから、生鮮食品の「リパック」が、
問題視された。

現在はそんなことはないだろうが、
「貧すれば、鈍す」になりかねない。

では、どうするか。

お約束することです。

小売業のお店ならば、お客様と。

卸売業や製造業ならば、お取引先と。
その先のお客様と。

社長ならば社員と、
部長ならば部員と。

店長ならば、店舗の仲間と。
アソシエーツと、
コリーグと、
フェローと。

お約束を、考える。
お約束を、箇条書きに文書化する。
お約束を、仲間に知らせ、納得してもらう。
お約束を、繰り返し、声に出す。

別に会社がやらなくとも、
自分の部署でやればいい。

自分がリーダーとなっているところで、
お約束を明文化する。

キャッチフレーズを考えれば、なお、気が利いている。

志を、定める。
志を、公開する。
志を、共有する。

これを、クレドをいう。
マニフェストという。

ウォルマートには独特のルールや標語があります。

例えば、有名な「サンダウンルール」
<日が暮れるまでに解決せよ>

そして「10フットルール」
<10フィート以内にお客様が近づかれたら、挨拶しよう>

こんなのもある。
「イート・ワット・ユア・クック」
<自分で調理したものは自分で食べよ>
⇒<自分で始めた仕事は、自分でやり遂げよ>

これらは決して、上の方から、
押し付けられたものではない。

下から、横から、
時には上からも、
湧き上がってきたものです。
サム・ウォルトンは、推奨しました。
“Force ideas to bubble up!”<アイデアを沸き立たせよ>

会社の中に、様々な、独特のお約束がある。
それらがすべて、会社の大方針とつながっている。

お約束が、「個」を守る。
お約束を「個」が守る。
お約束が、「全体」を守る。
お約束を「全体」が守る。

社会のルールと同じことです。
憲法と同様です。
私たちは、ルールや法律を守る。
だから私たちは、ルールや法律に守られている。

ここで私がお勧めする、私たちの「お約束」は、
自分でつくることが出来る。
ここがよいところ。

しかしこの「お約束」も、
美しい知恵であることに、
違いありません。
醜い知恵は、ご免です。

Everybody! Good Monday!
「お約束」をつくろう。

<結城義晴>

 

訃報です。

磯見精祐(いそみ まさすけ)さん。享年76。
経営評論家。㈱商業界『販売革新』『食品商業』常連執筆者。
10月20日午後11時25分、間質性肺炎のため、ご逝去。
通夜は、10月22日(月曜日)午後6~時7時。
告別式は、10月23日(火曜日)午後12時~1時。
喪主 磯見たま子(妻)さん。
通夜と告別式の場所は、長谷寺(鎌倉市長彌3-11-2、電話0467-22-6300)。

私は、故上野光平先生の流通産業研究所時代から、
磯見さんにお世話になりました。
グリーンスタンプ、西友、ユニーと参謀的なお仕事を重ねられ、
その後、経営評論家としてご活躍。
「マス・カスタマイゼーション」の概念や、
『商売十訓』の中の「イノベーション」は
「創意を尊びつつ良いことは真似よ」であることなど、
私は、得がたいご教授を受けました。
心より、ご冥福を祈ります。
合掌。

2007年10月21日(日曜日)

ジジの成長 [日曜版]

こんなに
大きく
なりました。

ただ
それだけ。

 

もっと
大きく
なるのでしょうか。

じぶんでも
わからない。

でも
ちょっと
うれしいかな。

<『ジジの気分(未刊)』より>

【生まれてから10カ月後の12月13日】
2006 12 113
はじめての
冬。
寒かった。
でも、
ふかふかだから
だいじょうぶ。

 

【1年と2カ月経ちました。2007年5月6日】
ジジ2007年5月6日
春です。
いい天気。
ごきげんです。

【そして今日、10月21日】
ジジ2007年10月21朝
あさのごはんのあと。
満腹。
冬に向かって、
太ります。

だから、
おとうさんがかえってくると
今日もまた、
銀色のゴミ箱の上に、
のぼります。

このときは、
ちょっとだけ、
からだを
小さくします。
ジジゴミ箱の上

そして、
アイ・コンタクト。
これが、
ポイントです。

2007年10月20日(土曜日)

競争相手は誰ですか

「メトロキャッシュ&キャリー・ジャパンの競争相手は誰ですか」

ちょうど5年前、
私はCEOのドクター・ハンス・ヨアヒム・クァーバーに尋ねた。
代わって日本社長のアントン・クナイフが答えた。

 

「競争相手はありません」
          ●
キャッシュ&キャリーというフォーマットは日本には存在しない。
業者向け会員制現金卸しのワンストップショッピング業態の完成型は,
日本にない。
だから直接のコンペティターは今のところ日本には見当たらない。
これが彼らの回答であった。

しかし、顧みるとこれは、
既存の食品現金問屋の群れを、
侵略対象としていることを意味する。
視野を広げると,
「食品問屋すべてを競争相手にする」との宣言でもある。

年間100兆円を扱う日本食品卸売業界の
「業態化」の未整備状況を突いているとも判断できる。
          ●
それにしても「コンペティターはいない」とはよく言ったものだ。

正直に言おう。

私は常に、自分の競争相手を見つけ出し、
密かにライバル心を燃やしつづけてきた。

生まれてからずっと。
そして今も。

それが私の生きるエネルギーだったように思う。

最初は仕事の同僚、先輩。
次は隣の部署の人間。
その次は他社の同業者。
その次は一流の先達たち。

同じ道を走っている者を、
次々にコンペティターにして、
追いつき追い越せと、自らを叱咤する。
それが自分を成長させる。
良い仕事に結びつく。

巨人なら阪神。
早稲田なら慶応。
矢吹丈なら力石徹。

小さな時から、
始めから、
強い好敵手が存在するほど、
両者の競争の舞台となるマーケットは爆発する。
拡大する。
           ●
「競争相手は誰ですか?」⇒「お客様」 

「競争相手は誰ですか?」⇒「自分自身」

私には、これらの答えに、
ある種の意図が感じられてならない。

それ自体美しく聞こえるが、
結果として市場の縮小を誘導する発想のようにも思える。

かといって「競争相手は目前の同業者」という現実が、
私たちの前に大きく横たわっていて、
「競争相手は存在しない」というメトロの発言との落差を,
私たちに自覚させる。

だから、私の結論はいつもこの言葉にたどりつく。

「戦略上はすべての敵を蔑視せよ。
戦術上はすべての敵を重視せよ」

           ●
改めて、あなたに問おう。
「競争相手は誰ですか?」
「あなたは競争相手のことをどれだけ観察していますか?」
「どれだけ知っていますか?」
「あなたは競争相手を通して、
自分の本質をどれだけ理解していますか?」

「あなたには真の競争相手がいますか?」

あなたも、
わたしも。

競争相手を、
どこの、
誰に、
設定しているか。

それによって、
自分の志が、
判明する。
自分自身のこれからの生き方が、
見えてくる。

<結城義晴>

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