結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2007年08月10日(金曜日)

結城義晴の出張記「イオン社長岡田元也さんのこと」

「グランドデザインはいかに?」

8月9日。
この日は、朝から、埼玉県東松山へ。
商業界埼玉同友会納涼講演会で講演。

タイトルは、
「自ら、変われ!」

栗原一博埼玉同友会会長にお迎えいただいて、
感謝。

もう3年目の、真夏の講演会。

昭和20年代の岡山県津山の
丸一履物本店・日下静夫さんの感動の商売と、
昭和30年代の福島県郡山・ベニマルさんの、
これも感動の話。

丸一履物本店は、「正札販売」の元祖の店。
しかし、残念ながらもう、存在しない。

ベニマルはご存知、
日本有数のスーパーマーケットとして、
隆々。

両者の違いは、どこにあったか。
その謎解き。

種明かしは、私の講演を直接お聞きください。
このテーマで、お話しすることもあるでしょう。

しかし日下静夫は、
現在の日本中の店の、
セルフサービスと定価販売の
グランドデザインを描いた。

懇親会を、途中で、失礼し、
羽田へ。

8月9日、羽田発17時40分発、JAL537便。
お盆も近く、ほぼ満席。

19時過ぎに新千歳に到着。

席を立とうとすると、
二つ前の列に、見覚えのある人物。

イオン社長・岡田元也さん。
元也氏と200789
(さらに…)

2007年08月07日(火曜日)

結城義晴オピニオン8‐7「イオン価格凍結宣言」

これは「コモディティリテーラー」宣言だ。

今日2007年8月7日(火曜日)から、
年末の12月31日まで、
イオンは100アイテムの必需品の、
「価格凍結」をスタートさせた。

直営の総合スーパージャスコや
スーパーマーケットのマックスバリュなど約380店で。

先の台風の直撃で、野菜は高騰。
キャベツなど2倍にも跳ね上がった売価に、
顧客の悲鳴が聞こえるよう。
もちろんこの間の、原材料費のアップで、
デフレが終焉したかといった論調が広がる。
このタイミングを捉えた「生活応援宣言」。

まさにイオンとしてはジャストミート。

イオンが断行した「価格凍結宣言」という点において、
私は大きな評価をしたい。

これはイオンがナンバーワン企業として、
自ら「コモディティリテーラー」であることを宣言したものである。

どんな国においても、ほとんど例外なく、
売上げナンバーワン小売業は、
「コモディティリテーラー」である。
コモディティグッズこそ、マスを形成する商品群である。
だから売上げ第1位となる。

考えてみると、当たり前のことだが、
それをイオンが「宣言」したわけだ。
そのタイミングが、8月7日であったことに、
私は、二重丸の評価をする。

誤解して欲しくないのは、
イオンが実行した「価格凍結」だから、
評価するということだ。
これに3800品目の「トップバリュ」を、
うまく結びつけようという手法もよし。

一方、このイオンのアクションに対して、
競争企業、競合店舗はいかに対応すべきか。

第1に、
イオンに対抗して、
「コモディティ重点型」を志向しようという企業は、
当然ながら、イオンを上回るインパクトで、
顧客の価格意識に迫るべきである。

いや、
「イオンよ騒ぐな、我はもうずっとエブリデーロープライスなり」
と、胸を張っているかもしれない。
このくらいでないと、
「コモディティリテーラー」は名乗れない。
なぜなら「コモディティグッズ」は、
価格こそ大切な価値だからである。

第2に、
「ノンコモディティ重点型」企業は、
イオンのアクション自体、
無視すべきであろう。
われ関せず、を決め込むことだ。

しかし、イオンの「価格凍結宣言」が
底流に流れる時流であることを無視せよというのではない。
コモディティグッズは淡々とご奉仕する。
ノンコモディティグッズをさらに充実させ、
豊かな暮らしを提案し続けるべきである。
わが店が、全体で提供し続けるものは、
イオンとはまったく違うのですよ、
と自らのカスタマーに無言の説得をするのである。

そのどちらでもない企業はどうするか。
自らの、基本方針を再確認すべきチャンスと捉えることだ。

「志定まれば、気盛んなり」
私が尊敬する将来性に溢れたコンサルタントが、
つい最近、私に贈ってくれた言葉だ。
この吉田松陰の言葉を、中途半端な企業に差し上げよう。

誰かが「価格凍結」すると、
全員が追随する。
かつてはこんな展開が常套であった。
だから周りを見て、
誰かの指示を待つ、という姿勢が残っているのも理解は出来る。

しかし私は、いま、
それぞれの企業が意思を明確にしなければ、
生き残ってはいけない時代になったと思う。
「自分がない企業」にはサバイバルはない。
「差異性」を表現できない店には、明日はない。

イオンは、「価格凍結」という自分らしさを、
宣言したのである。

だからイオンに対抗するには、
「自分らしさ」を「宣言しない」で表現することだと、私は思う。

ただし、価格高騰現象を、
「売上げが上がる」などと、
ほくそ笑んでいる企業や店は、
もう、市場から退場を迫られるに違いない。
これだけははっきりしている。

2007年08月06日(月曜日)

トップマネジメントリレー対談【3】アークス社長横山清さん

「72歳の革命家」【第3回】結城義晴の述懐

横山清さんは、
ジャーナリストとしての結城義晴に、
「クリティカル・マス」というテーマ資源を与えてくださった、
私の恩人だ。

話をしているといつも、
その「人間力」のようなものに圧倒されてしまう。
人間としての器は、
北海道からはみ出てしまうほどに大きな横山さんが、
北海道で小売商売をやっているものだから、
「クリティカル・マス」が見えてしまったのに違いない。

それを私は、
「範囲の経済」と「コモディティ概念」に結びつけて、
商業マーケティングの理論構築に腐心している。
たぶん私のライフワークのひとつになると感じている。

それほど私は、横山さんに恩を受けた。

「正規軍は勝たなければ負けである。
ゲリラは負けなければ勝ちになる」私の著書『メッセージ』の言葉は、
実はお断わりしつつ、
塩野七生さんから借りて、
流通業の競争を語ったものだが、
横山さんはとても気に入ってくれた。

「日本のスーパーマーケット業界はこれまでローカルチェーン天国だった」
これも私の言葉に、俊敏に反応してくれた。

ジャーナリストとしての私は、
いつしか横山清という鋭い読者の目を意識し始めていた。
逆にジャーナリストとしての私は、
イノベーター横山清をいつも注目するようになった。

「私たちは最初に地獄を見た」
「16%の荒利で、3%以上の税前利益を出す店を、
20店舗以上つくることができた。
これは極めて先進的な体験でした」
「そよ風のようだけど、
毎日吹き続けるようなイノベーションが必要だと思う」

今回は横山さんから、実に率直な言葉が漏れた。
それは、横山さん自身が経てきた道と、
これから日本の商業が経験するだろう道程とを、
つなぐもののように思えてならない。

「八ヶ岳連邦経営」
「新北海道価格のNHK」
そして極めつけの「大夢(タイム)」

ビジョンを的確な言葉にする知性とユーモア。
若くして北海道大学の名寮長を務めた根っからのリーダーシップ。
さらに世間に逆流し続ける反骨精神。

「イノベーションというよりは、
レボリューションに近いものが来ると思う」

イノベーター横山清は、もしかしたら、72歳にして、
革命家になりかけているのかもしれない。

<㈱商業界社長 結城義晴>

2007年08月01日(水曜日)

結城義晴オピニオン2007・8・1「世界的メディアのM&A」

「コモディティは情報においても寡占化される」

 

アメリカのダウ・ジョーンズ社が、
世界的メディア・ニューズ社に買収される。
ウォルストリート・ジャーナルを発刊し、
「ダウ平均株価」で有名な、あの経済新聞社である。

買収する側のニューズ社は、
メディア王といわれるルパート・マードック率いる複合コングロマリット。
アメリカ・イギリス・オーストラリア等の
新聞社やテレビ局、映画会社などを傘下に治めている。

このニュースを知って、
私は、「コモディティは寡占化される」という私自身の立てた仮説を、
再認識させられた。

情報にもコモディティとノンコモディティがある。
ほとんどの消耗品的な情報は、コモディティである。
どのメディアの情報も、同質化していれば、
それはコモディティである。
どのメディアから受け取っても、さして変わらないものであれば、
それはコモディティである。
そしてコモディティ的情報は、いくつかの極に集中し、
やはり寡占化の方向で、収斂していく。

情報の受け手は、同じ情報ならば、
どこから入手してもかまわない。
ダイソーの老眼鏡を、
部屋ごとに用意している高齢者家庭のようなものである。
しかしその老眼鏡は105円でなければならない。
そして105円であればダイソーである必然性はない。
ただし105円の、品質のしっかりした老眼鏡を、
製造し、販売する機能を持つ者は、限られてくる。

地域の異なる情報提供というサービスなどは、
M&Aによって、資本の集中が図られる。
「情報の質」という報道現場からの声は、
ノンコモディティ情報を、
いかに継続入手し、継続発信できるか、
という現場の危機感から発せられたものだ。

ネット上でもコモディティ情報は氾濫している。
これらは確実に「クリティカル・マス」を突破したメディアに、
寡占化されていく。 

それがこのニューズ社によるダウ・ジョーンズ買収の本質である。

してみると、新聞やテレビによる情報とは、
アメリカにおいてももはや20世紀的な、
コモディティ情報ということになる。

ノンコモディティ情報は、
きわめて専門性の高い知識によって出来上がる。
個性あるオピニオンである。
差異性に輝く切り口を持った提案である。
情熱に満ちた愛である。

<㈱商業界社長 結城義晴>

2007年07月30日(月曜日)

結城義晴のオピニオン「2007・7・29参議院選挙」

「勝利とは、たいていの場合、相手から恵んでもらうものである」

昨7月29日の参議院選挙において、
民主党大勝、自民党惨敗の結果が出た。
さまざまな業界に関係する自民党参議院議員も、
束ねて、落選。
しかし、勝った民主党にも、
勝因らしきものは見当たらない。
与党が、自ら転んだだけである。

「勝利とは、たいていの場合、自ら勝ち取るものではない」
「相手から恵んでもらうものだ」
今回の参議院選挙、まさしくこの言葉どおりであった。
だとしたら、民主党にも自民党にも、
自ら変わることが望まれている。
どちらが、国民のために、
自らを変えることができるか。
それを国民が見ている。
変わらなければ、やがて滅びる。

だから「安部総理の続投」に関しても、
それが自民党を変えることに、
直結しているか否かによって、
審判を下されるに違いない。

小泉純一郎前首相は、「変える」と唱え続けて、
名宰相の名を欲しいままにした。

店も会社も、自ら変わらねばならない。
変わり続けねばならない。
これを「イノベーション」という。
私自身も。

<㈱商業界社長 結城義晴>

2007年07月29日(日曜日)

トップマネジメントリレー対談【2】菱食・廣田正さん

「廣田の前に廣田なく、廣田の後に廣田なし」
【第2回】 結城義晴の述懐

私は心からこう思っている。廣田正さんご自身はもちろんこんなことは死んでも言わないし、菱食という会社も絶対にそんな言葉を使う会社ではないけれど、結城義晴が勝手にそう思っていて、自分が編集人を務めている雑誌で勝手にそう言うのだから、お許しいただこう。
それほどに日本の食品産業、食品卸売業に対して、廣田正の与えたものは、大きくて深い。

廣田さんが入社したときの会社の規模が、52年後の今、1400倍。菱食が合併したときから28年経過した今、純資産勘定は53倍。それこそスーパーマーケットよりもはるかに地味なビジネスの社会的地位をここまで高めた功績は、計り知れない。
「食品卸売業の仕事を通じて社会に貢献していく」という志に感銘を受けた。それがライフワークとなった。そして常に透徹した眼で、仕事と市場を見続けてきた。
だから小売業に対しても、製造業に対しても、総合商社に対しても、見解や発言がぶれることはない。
世界的視野といったらよいのか、そんなものが廣田さんにはある。私たちが心して、廣田さんから学ばねばならないところだ。

私が印象に残っているのは、日本中が中国に注目し始めたとき、廣田さんは『ベルリンの壁が崩れた問題』と喝破していたことだ。すなわち共産主義の崩壊こそ、より大きな現象で、それが世界経済、日本産業に与える影響が続くという見解である。これは、正しかった。

「50人の会社がかかる病気、100人の会社がかかる病気。幼年期・少年期・青年期に(人間が)かかる病気がそれぞれありますが、あれと全く一緒」――名経営者は経験をつんだ名医であることが、この言葉に表れている。
現在、あらゆる業種・業態で進んでいる合併に関しても、「一番大事なのは共通言語」。なるほど、なるほど。

大手小売業に対して、私はあえて苦言を求めた。これも私の責任と権限において。
「本当は消費者の代わりに小売業さんが決めているから小売業さんに(価格)決定権があってしかるべきということであって、その向こうに消費者がいるということを、ややお忘れになった企業があったのではないか」
廣田さんに拍手。スタンディングオベーション。拍手鳴り止まず。

大きかろうが小さかろうが、中くらいだろうが、「奢れる小売業、久しからず」。
廣田正のこの言葉、終世、忘るべからず。
やはり、小売業に対する指摘でも、「廣田の前に廣田なく、廣田の後に廣田なし」だった。
これは、私の責任において、何度でも言いたい気分だ。

会社概要
社名:株式会社菱食
事業内容 加工食品卸売業を主業務として、缶詰類、調味料類、麺・乾物類、嗜好品・飲料類、菓子類、冷凍・チルド類、酒類、その他の販売。
売上高 年商1兆2875億円(平成17年12月期連結)
資本金 106億3029万円(平成18年10月1日 現在)
従業員数 2505人 (平成18年10月1日 現在)

2007年07月29日(日曜日)

トップマネジメントリレー対談【1】いなげや社長 遠藤正敏さん

「人財開発と経費構造改革から着手、まことに的確」
【第1回】結城義晴の述懐

 第1回のトップバッターは、いなげや社長の遠藤正敏さん。私とは同い年で、すぐに意気投合。
そのいなげやは、東京を中心にしたスーパーマーケットとして100店舗を超え、現在、130店、年商は2300億円。しかし1991年が経常利益のピークで、長く低迷が続く。15年間も、利益予算を達成することがなかった。「環境変化への対応がなかった」と遠藤さんは総括する。それでも多摩地区という豊饒なマーケットにドミナントを築いてきた、その歴史的成果に支えられて、いなげやには力が残る。
低迷を脱する手立てとして、社長になった遠藤さんは、まず人財開発部を作った。
これ、正しい。

(さらに…)

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