結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年01月02日(火曜日)

「令和6年能登半島地震」と「イオン7%賃上げ」報道

三が日は年賀状。
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新年のお祝い気分を覆すように、
「令和6年能登半島地震」が起こった。

心からお見舞いを申し上げたい。

石川県能登地方で最大震度7の揺れ。
マグニチュードは7.6。

この地方では2018年ごろから、
地震回数が増えている。
2020年12月からは活動が活発化して、
能登群発地震と呼ばれている。

2021年7月からは、
さらに活動が活発になり、
昨2023年5月5日には、
最大震度6強の地震が起こった。
マグニチュードは6.5。

それが1月1日に最大化した。

今後も広範囲に活発な地震活動が続く。

北陸の小売業の皆さん、
頑張ってほしい。

スーパーマーケットも、
ドラッグストアもコンビニも、
自らの安全を担保しつつ、
役割を果たしてほしい。

とくに㈱どんたくは、
この能登半島のローカルチェーンだ。
13店舗を経営する。

㈱バローと業務提携をしているが、
こういったときにこそ、
その関係は心強い。

頑張ってほしい。

さて1月1日の日経新聞一面。
「イオン、パート7%賃上げ」

昨年も賃上げ7%をいち早く発表して、
それを実施したイオンだが、
今年の元旦の日経一面記事でも、
今春の7%賃上げを公開することになった。

これはイオンの広報のヒットだ。

国内企業最多の40万人のパートタイマー。
日本の非正規雇用の約2%を占める。

パートのグループ平均時給は現在1070円。
それが75円程度の引き上げとなる。

イオングループ労働組合連合会は、
その非正規雇用者が組織されていて、
これも国内最大だ。

「年収の壁」にも対応する。

政府は昨23年10月に、
「年収の壁・支援強化パッケージ」制度を始めた。
これを活用し、なおかつ手当を出して、
保険料の負担を緩和する。

短時間で働く従業員にも、
ボーナスや子育て支援金などを支給する。

これはグループ会社にも適応される。

正社員は約10万人だが、
彼らの賃上げも前年超えで調整する。
定期昇給やベースアップを含む、
グループ平均の前年実績は4.85%だったが、
これを上回って、7%に近づける。

記事にはイトーヨーカ堂との比較が出ている。
23年の春季労使交渉で妥結した賃上げ率は、
パートで3.07%、正社員で2.01%だった。

イオンはパートが7.09%、
正社員が4.85%だった。
40万人のパートと10万人の正社員。

イオンにやられた、
と感じる経営者もいるかもしれない。

しかしイオンが他産業に先駆けて、
小売業、流通業、チェーンストアは、
賃上げに積極的であることを示した。

むしろそれを追い風にすることを、
考えて、対応したほうがいい。

それだけのインパクトのある記事だったと思う。

それにしても能登半島地震。
お見舞い申し上げたい。

〈結城義晴〉

2024年01月01日(月曜日)

2024年、あらためて毎日更新を宣言します。

2024nengajou
あらためて2024年12月31日までの、
毎日更新を宣言します。

初心に戻って366日、書き続けます。

ご愛読、よろしくお願いします。

Again, Everybody, Good Monday!
[2024vol➀]

2024年は元日が月曜日。
つまり第1週の第1日が月曜日。

これからの52週間が2024年です。

この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯。
〈倉本長治〉
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今年のMessage。
それは[Message of January]でもあります。

みんなで学べ。

「まなぶ」は「まねぶ」から生まれた。
学ぶことは真似ることから始まる。
創意を尊びつつ良いことは真似よ。

商人は商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ。

話を聞いて学ぶ。
本を読んで学ぶ。
体験して学ぶ。

みんなが学ぶ。
しかし優先されるべきは、
個人が学ぶことだ。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織の学習の基礎となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。

「みんなで学ぶ」とは、
「チーム学習」とは、
学んだ者同士が対話することだ。

対話を通じて、
ビジョンを共有し、
成果を最大化させることだ。

ポストコロナの2024年。
学習する組織をつくろう。
みんなで学ぼう。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織の学習の力となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。
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――ポストコロナ時代に入った。
トレードオンを成し遂げねばならない。
両利きの経営であり、両利きの運営である。

しかしトレードオンは、
トレードオフのようにはいかない。

この難問に立ち向かうにあたって、
学ぶ組織をつくらねばならない。
学習する組織体質にしたい。

個人が学習することによってのみ、
組織は学習する。

ただし個人が学習したからといって、
必ずしも学習する組織にはならない。

個人の学習が組織の学習となるためには、
ビジョンの共有が必須である。

さらに頻繁で濃密なダイアローグ(対話)が、
必要である。

学んで、動く。
動いて、考える。
そしてまた学ぶ。

では、みなさん、今週も、今年も。
学んで、動いて、考えよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年12月31日(日曜日)

商人舎「原稿大賞・特集大賞」発表とロピアの店舗巡りに感謝。

2023年も大晦日となった。
最後の日。

1年間、ありがとうございました。

2023年月刊商人舎を12冊つくった。
そのうちから自分で選ぶ賞。

昨日は、表紙大賞。
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そしてMessage大賞。
[Message of October]
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そして大晦日には、
[原稿大賞]発表。

ジャジャーン。

9月号から、
[特別研究]ベルクのクルベが来た!!
超優良企業が「限界に挑戦」して開発した
新フォーマットの出来栄えスクリーンショット 2024-01-01 014741
ベルクが挑戦した新フォーマット。
「ベルクのクルベ」

そのリード文。
「㈱ベルクが7月29日、群馬県高崎市に新フォーマットの「CLBE(クルベ)江木店」をお披露目した。CLBEとは「Challenging the Limits of Belc」の頭文字をとったバナー名だ。「ベルクの限界に挑戦」をコンセプトにする。そのベルクの挑戦はどこまで進んだのか。オープン4週目、1カ月後の8月21日(月曜日)に商人舎クリニックチームが訪店した。さらに9月2日土曜日に再度訪問した。そこから見えてきたクルベの実態と挑戦の狙いを分析し、診断する」

丁寧に観察し、5つの課題を挙げた。
執筆者は記していないが、
実は亀谷しづえ商人舎GM。

いい原稿だった。

それからどの号の特集が一番良かったか。
[特集大賞]

1月号特集は、
「23両利きトレードオン」
チェーンストア産業全体の潮流をつくった。
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多くのコンサルタントの皆さんが、
合言葉のように「トレードオン」を語り、
その内容を深めてくださった。

いい特集だったと思う。

2月号特集もよかった。
年末年始の「凄い売り」
「享楽円Merchandising」と「ハレの方程式」を、
はじめて明らかにした。
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6月号「前橋が熱い!!」
ジョイホンパーク吉岡とユニクロ・ロゴ・ストア前橋南登場の意義
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商人舎得意のクリニック特集。
よかった。

11月号「OK 銀座とWegmans NYC」
〈一等地2層店舗の深掘り研究〉
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商人舎でしかできない特集だ。
日米スーパーマーケットの比較研究。

しかし、しかし、
それらを抑えて[特集大賞]は、
ジャジャーン。

23US Retail大写真集
ポストコロナの店舗アルバム In San Francisco
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3年ぶりにアメリカを訪問。
それを大写真集で特集した。

46年間も経営雑誌編集をしていて、
写真集は初の試みだった。

これが特集大賞。
再読をお薦めしたい。

さて今年の最後の最後も店回り。

近場の横浜・港北ニュータウン。
そのノースポート・モール。IMG_07903

ロピア・ノースポート・モール店。
2019年3月オープン。
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開店前の状態を見に来た。
9時20分。
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売場はほぼ出来上がっていて、
整然としている。
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オペレーションが安定してきて、
年末といってもバタバタすることはない。
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「肉のロピア」は顧客を待っている。
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10時少し前に開店すると、
モールの駐車場側から、
顧客が押し寄せる。
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あっという間に主通路は込み合ってくる。IMG_08213

モールのコンコースにも続々と顧客が押し寄せる。IMG_08153

年末の爆発的売りは、
日頃の商売の総決算だ。
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福島道夫さんが案内してくれた。IMG_E08283

センター南に移動。

そのTOKYU S.C.
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ロピア港北東急SC店。
2011年オープン。
ロピアの大躍進の基礎となった店だ。IMG_08293

2022年9月23日に、
リニューアルオープン。
青果・鮮魚・精肉のそれぞれの部門が、
ワンウェイコントロールとなった。IMG_08333

年末にはそれが特に奏功する。
顧客にとっては買いやすい。
店にとっては売りやすい。
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年越しそば用の天ぷら、かき揚げ。IMG_08483

大人気のピザ各種。IMG_08473

菓子売場は楽しい。IMG_08623

亀谷しづえGMも加わって、
三人で写真。
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朝は雨模様だったが、
それも上がっていい大晦日商戦となった。
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福島さんとロピアのみなさんに感謝したい。

「享楽円マーチャンダイジング」は、
年末の「凄い売り」のなかで、
十二分に機能を発揮していた。

今年も多くの店を巡った。

私は店から多くの着想を得た。
店から元気づけられた。

多くの人と話をし、考えた。
そして語り、書いた。

来年もそれは続く。

では、1年のご愛読を感謝しつつ、
[2023年毎日更新宣言]を終了する。

朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2023年12月30日(土曜日)

2023年月刊商人舎の「表紙大賞」と「Message大賞」発表。

2023年カウントダウン。
あと2日。

12月30日は、
小晦日(こつごもり)

12月31日が大晦日
「おおみそか」と読むのが普通だが、
「おおつごもり」ともいう。

その小晦日。

今年も月刊商人舎を12冊つくった。

どの号も全力を挙げて編集した。
最後に勝手に、
いくつかの賞を発表しよう。

はじめに今年の[表紙大賞]

ジャジャーン!!

12月号。
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シュールですねえ。
小売業の経営雑誌の表紙とは思えない。
けれどすごくインパクトがある。

受賞者はもちろん七海真理さん。
商人舎のデザイナー。

二番目に今年の[Message大賞]
自分で書いていて、
自分で選ぶ。

1月号の「両利きの歌」もよかった。
6月号の「決算、決算、また決算」も面白い。
9月号の「商売は値段をつけることだ。」もいい。

しかし、ジャジャーン!!

[Message of October]
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「商売が救うもの」

商売は顧客を救う。
顧客の日々の生活を支え、
有事のときには命さえ救う。

商売は生産者を救い、
製造業と卸売業を救う。
小売業が販売することで収益は還元される。

商売は店を救い、会社を救う。
店が繁盛し利益を上げれば会社は発展する。
従業員もその家族もそれによって養われる。

商売は日本経済を救い、
日本の民主主義社会を救う。
資本主義社会も共産主義社会も商売が救う。

しかし商売が救うものは、
何よりも商売をしている人間である。
働く者であり、経営する者である。

ヨークベニマル創業者の大髙善雄は、
戦前の腕利き新聞記者を辞して、
野越え山越えの商売を始めた。

ニチイ創業者の西端行雄と春枝は、
小学校の熱血先生を辞めて、
戸板商売から再出発した。

ヤオコーの川野幸夫は、
弁護士になる夢を捨てて、
スーパーマーケットに身を投じた。

商売はそれを為す者を救う。
それに真剣に立ち向かう者を救う。
商売はそこに働く者を救う。

商売は顧客を救う。
商売は社会を救う。
そして商売は人間を救うのだ。
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自分で選ぶのも気恥ずかしいが、
自分で一番好きなMessageです。

ではどの原稿が一番良かったか。
原稿大賞。

それからどの号の特集が一番良かったか。
特集大賞。

ん~、これらは困る。

おおいに困るから、大晦日に発表しよう。

さて糸井重里さんにも、
お世話になった。

ほぼ日刊イトイ新聞の巻頭エッセイ。
毎日更新の「今日のダーリン」
私も毎日読んでいて、
何度も引用させていただいた。

その12月27日版。
「なにをすればうまくいくのか?」

「これがわかってさえいれば、
たいていの人は努力もできる」

「うまくいくためになにをすればいいか」

「わかってさえいれば、
人はあんまりさぼったりしなくなる」

そのとおり。

「一流の選手たちが、
練習熱心なのは、その練習が、
どういう効果をもたらすかを想像して、
その成果をみながらやっているからだ。
じぶんの成長のプロセスが
おもしろくなっているのだ」

糸井さんもいうけれど、
「なにをすればうまくいくのか?」を、
わかっている人は、
多くはない、いや、少ない。

「ひたすら走る」
ただただ「苦痛に耐える」
「毎日スイングを千本ずつ繰り返す」

「ことわざみたいに
覚えている方法をやっていても、
おそらく妙な我慢強さが
育ってくれるばかりだろう」

「コーチがいないと、
無駄な回り道をすることもありそうだ」

そう、コーチは必要だ。

「先に知っている人の方法や、
知識、知恵、想像力、
そういったものを教えてもらうだけでいい」

ただし、コーチにも、
良いコーチ、悪いコーチがいる。

糸井さん。
「これは、スポーツの話のように
読まれるかもしれないが、
たいていの領域で
共通していることだと思う」

実に、同感だ。

仕事がうまくいくために、
なにをすればいいか。

糸井さんのいた広告の世界では、
「100本コピーを書け」と教えられた。

しかし「100本も書こうとすると、
数を揃えるための要領を覚える。
よくある言い回しを
機械的に当てはめていったりもする」

糸井さんは断言する。
「これではうまくなったようなふりはできても
まったくうまくなってはいないのである」

そう、そう。

数を繰り返しても、
うまくなるわけではない。

では、どうするか。
「考える、人に聞く、
仮説を立てて試してみる、
本を読む、
うまい人のまねをする、
などいろいろな方法がある」

真似をする。
考える。
人に聞く。
考える。
いい本やいい雑誌を読む。
考える。

「考える」が挟まっている必要があると思う。

「たいていの一流の人たちは、
それをいつも探している。
たぶん、それを向上心と
呼ぶのだろうと思う」

「向上心」だけでは片づけられないが。

大谷翔平も山本由伸も、
いつも考えている。
なにかを変えている。

練習のやり方がユニークだ。
そして考えている。

糸井さんの結論。
「一芸に秀でる」人は、
うまくいく方法を
探すのがうまい。

そう、なんでもかんでも、
うまくいかそうとするのはよくない。

まずは「一芸に秀でる」ために、
「一芸」を選ぶ。
これは人生のポジショニング戦略だ。

そして秀でるための方法を、
一心に探し続ける。

来年もそうありたい。

〈結城義晴〉

2023年12月29日(金曜日)

伊集院静と石川啄木・坂口安吾の「ふるさと」

2023年のカウントダウン。
あと3日。

来年の2024年は昭和99年。
2025年が昭和100年となる。

最近、よく使われる。

日経新聞は元旦から連載を始める。
「昭和99年 ニッポン反転」

多分に期待を込めた企画だろう。
昭和27年生まれとしては、
大いに気になる。

まだあの時代を引きずっている。
昭和は故郷のような印象だ。

日経新聞の巻頭コラム「春秋」

「故郷は黙って、そこにある」
亡くなった伊集院静さんの言葉。

コラム。
「帰省のコピーのようだが、
自身はめったに帰らず、
郷里を憎んでいた」

「移民の家族は冷たくされ、
父は土地の人とやり合い、疎まれた」

「だが、後年、父の言葉に驚かされる。
『やさしい土地、やさしい人たちだった』」

「人間は依(よ)るべき所がないと
生きていけない。
そう父の思いを感じた」

「頼ろうが、嫌おうが、
デンと黙って存在し、
『故郷を捨てる』とわざわざ
言わねばならぬほどの引力を持つ」

『大人のカタチを語ろう。』に、
移ろう望郷の念がつづられている。
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「この年末年始に帰省する人は2割もいない」
少ない。

「帰る里のない人も増えたのか。
長きにわたる東京一極集中を思う」

伊集院さんは東京に出るとき、
母にこう言って送り出された。
「自分をきちんと見つけられる土地に出逢えたら、
そこで生きていきなさい」

居場所こそがふるさとなのか。
住めば都か。

母の言葉は伊集院の身体に生き続ける。
そして旅先である人に巡り合う。
その人は言う。
「ずっと本当の故郷を探す旅をしている」

かっこいい話だ。
伊集院静らしい。

コラム。
「それぞれの、ふるさとを想う年の瀬である」

私はこのコラムを読んだとき、
二人の言葉を思い出した。

石川啄木は歌を詠んだ。
ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山は
ありがたきかな

そのまんまの歌だ。

一方、坂口安吾は短文を書いている。
それが詩碑となっている。

砂丘の松林に置かれる寄居浜安吾碑。
発起人は尾崎士郎や壇一雄ら。
昭和32年6月の建立。

ふるさとは 語ることなし
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安吾は色紙を三枚書いた。
「雪も新潟の雪は
変に親切すぎる」

「コタツはガサツで
親切すぎて
イヤなものだが
あたらぬわけにもいかぬ
悲しい新潟」

そのあとに、
「ふるさとは
語ることなし」

いかにも安吾らしい。

三番目を選んだのは檀一雄だ。
無頼派の仲間だった壇も、
「らしい」と選んだのだろう。

ありがたきかな、の啄木。
語ることなし、の安吾。

それでも、
「故郷は黙って、そこにある」

年の瀬には私も、
ふるさとを思う。

君も、あなたも、
ふるさとを思うがいい。

今の若い人たちには、
その故郷にスーパーマーケットがあるのだろう。
ドラッグストアやコンビニがあるのだろう。

それらをひっくるめて、
ふるさとなんだろう。

そんな店には、
この年末年始、
活躍してもらいたいものだ。

ふるさとらしさを満載にして。

それにしても2割しか、
帰省しないのか。

それでも、
故郷は黙って、そこにある。

〈結城義晴〉

2023年12月28日(木曜日)

「井上ひさしの作文教室」の「いきなり核心から入る」

冬季休業に入ったとはいえ、
オフィスに出てきている。

単行本の執筆だ。

そしてゴミ出しなどした。

ひとりで珈琲を淹れて、
ゆっくりと味わう。

これが年末の楽しみのひとつだ。

今年は懸案の問題を、
いくつも解決した。

その意味ですっきりした気分だ。

もちろんやり残したことは多い。
それが来年の課題となる。

『井上ひさしの作文教室』
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自宅の机のわきに、
いつも置いている。

文章の書き方は、
店のつくり方と同じだ。

痛切に感じる。

第一に、
「『いきなり核心から入る』ことが大事なんです」
これは本当に正しい。

「昨日、亭主を殴った」というふうに、
どうして殴ったかなんていうことは書かずに、
いきなり核心に入っていく。

「私はどうも亭主を殴る癖がある」
と、ポンとはじめる。

これです。

店をつくるときには、
「一丁目一番地」に、
いきなり核心の商品を並べる。

ウィンコフーズのウォール・オブ・バリュー。
両サイドに高々としたラックがそびえる。
そこにエンドの羅列のように、
飛び切りの特売品目がずらりと並ぶ。
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「いきなり核心」だ。

それが店のポジショニングに貢献する。

井上。
「『雪国』の最初のところを
思い起こしながら、
書き出しを考えると、
なかなかいいと思いますよ」

「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」
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お店もこれでなければいけない。

第二に、
「優れた文章書きは、
なるべく小さく千切ったものを、
相手に次々に提供していく」

夏目漱石の『草枕』の書き出し。

「山路を登りながら、かう考へた。
知に働けば角が立つ。
情に掉させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。」
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目玉商品をひとまとまりにして、
目玉価格で次々に提供していく。

夏目漱石になった気分で、
店をつくり、売場をつくる。

第三に、
「誠実さ」「明晰さ」「わかりやすさ」
――これが文章では大事なことです。

鶴見俊輔の言葉を井上ひさしは覚えている。

「誠実さ」というのは、
「人の言葉でなくて自分の言葉で」
ということになるでしょう――。

「明晰さ」とは、
「自分のものの考え方の展開とか、
自分がいま、何をやろうとしているかを、
しっかり知っている、
という意味の明晰さです」

自分の言葉で、
自分のものの考え方で。

これもポジショニングです。

文章を書くことも、
店や売場をつくることも、
ポジショニングなのです。

井上ひさしさんの言う通り。

店づくりも売場づくりも、
三つのこと。

誠実さ・明晰さ・わかりやすさ。

川端康成、夏目漱石。

彼らに店をつくらせてみたい。

あなたの年末商戦の売場は、
どうなっているだろう。

〈結城義晴〉

2023年12月27日(水曜日)

「来春の賃上げ5%台」と「おおきな木」の無償の愛

2023年のカウントダウン。
あと5日で今年が終わる。

商人舎は12月27日が仕事納め。
商人舎流通SuperNewsも、
1月4日まで冬季休載。

月刊商人舎1月号の責了日。

最後の4ページ原稿(6000字)を書いて、
表紙の特集タイトルを決め、
表紙の「Cover Message」、
巻頭の「Message of January」、
巻末の「定義集」、
そして編集後記を書いて、
今年の書き納め。

今年はどれだけの分量を書いたのだろう。
クォリティのほうが大事だが。

デザインはいつも最高。
七海真理さん、心から感謝。

みんなで校正して、責了。

コンセプチュアルな雑誌が出来上がった。

ありがとう。
お疲れさま。
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そのあといつもの中華屋で、
深夜の打ち上げ。

軽く一献。

山本恭広編集長と握手。
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来年も頑張ろう。

さて、
日経新聞の社長100人アンケート。
タイトルは、
来春の賃上げ「5%台」が最多。

国内主要企業の社長・会長を対象に、
143社から回答を得た。

2024年春の賃上げ率の想定を尋ねた。
定期昇給とベースアップを合わせた賃上げ率。
「5%台」の回答が34.6%で最多。

これが今春の相場ということか。

「4%台」が19.2%、
「7〜9%台」と「3%台」が、
それぞれ15.4%。

1年前の同じ調査。
50社の回答。
「3%台」が34%で最多。
そして23年実績は「4%台」が26.6%で最多。

23年春よりも、
高い賃上げを想定している。

喜ばしいことだ。

賃上げ率を想定した企業の具体策。
ベアを「実施する」75%、
「検討中」20.8%。

ベア率は「3%台」が35%で最多、
金額では「1万円以上」が60%で最多。

95.7%の企業が賃上げの理由を、
「物価高に対応」と「人材確保」をあげた。

24年度の総人件費。
23年度より「増える」は78.4%。
増え幅は「3%台」が最多。

その分、稼がねばならない。

手厚く賃上げする人材。
「若手社員」が最多の35%、
「新入社員」32.9%、
「ITやデータの専門人材」25.2%。

「管理職」9.1%、
「シニア」5.6%、
「非正規社員」2.1%。

管理職とシニアと女性非正規社員で、
店を回している小売業やサービス業は多い。

全産業の主要企業の調査だから、
小売業の実情とはずいぶん違う。

新入社員、若手社員の離職率も高いのだろう。

それでも5%がニッポンの賃上げ相場だ。
そして総人件費は3%が平均的な増加率である。

人手不足を解消するには、
これらを上回る必要があるだろう。

楽観はできないし、
むしろ深刻な状況である。

K字型の成長と衰退が進むのだろう。

東京新聞の巻頭コラム「筆洗」
今年5月3日版。

「おおきな木」という絵本。
作者は米国シェル・シルヴァスタインさん。
日本版は村上春樹さんの訳。
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おおきなリンゴの木と少年は大の仲良し。
ところが大きくなるにしたがって
少年は木と遊ばなくなる。

青年になった少年はお金が必要になる。
木は少年に自分のリンゴを売れという。
少年はありったけのリンゴを持っていく。

大人になった少年は、
今度は自分の家がほしくなる。
木は自分の枝を切って家を造ればという。
少年はたくさんの枝を切る。

次の願いは船。
リンゴの木は自分の幹を切って造れという。
少年はリンゴの木を切り倒す。

東京新聞のコラムはこの絵本を、
「平和の実のなる憲法という木」に喩える。

「日本という少年は
そのありがたさに気づかない。
自分の都合と勝手な解釈によって、
その木をたびたび傷つけてきた」

昔のお店(たな)は、
木が店員だった。
丁稚どんと番頭さん。

店主が木のありがたさに気づかず、
自分の都合と勝手な解釈で、
木を傷つけてきた。

商業界の倉本長治は、
それを手厳しく諫(いさ)めた。

店は客のためにあり、
店員とともに栄え、
店主とともに滅びる。

これは結城義晴が㈱商業界の社長時代に、
倉本語録から発掘した三行詩だ。

店主は今、賃上げをして、
手厚く処遇しようと試みる。

しかしこの物語には、
結末がある。

時が経ち、少年は年老いて帰ってきた。
そして「疲れたので休む場所がほしい」という。
木は「切り株の私に腰をかけなさい」という。
男は腰をかけた。
木は幸せだった。

しかしここまで書くと、
憲法とは結び付かない。
だからコラムは結末を削除した。

それでもこの物語の大事なところは、
切り株になってもお役に立ちますよ、
という最後のところだ。

無償の愛である。

お店でいえば、
木からご利益を得るのは、
お客でなければいけない。

店主も店員もみんなで、
木にならなければいけない。

〈結城義晴〉

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