結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年08月22日(金曜日)

結城義晴つれづれ日記/検査結果良し・会議は成果あり

暑さはぶり返した。

午前中は東京・御成門。

久しぶりに見る東京タワー。
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愛宕ヒルズのMORIタワー。
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公園の端にお地蔵様。
手を合わせる。
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それから芝大神宮。
20250822

こちらも久しぶり。
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芝大門センタービル。
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ここに来るのも久しぶり。
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㈱True Data。
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2008年6月に社外取締役に就任して、
もう17年が経過する。

その間に会社は大きく飛躍した。

ビッグデータマーケティングの世界で、
独自の領域を拓き、機能を生み出した。

今、欠かせないPlatformの役割を担っている。

それでもまだまだです。

今日は重要な打ち合わせ。
最近はずっとオンラインミーティングだったが、
大事な時にはFace To Face。

米倉裕之社長、
越尾由紀執行役員、
渡邊幸夫部長が対応してくれた。

成果のあるミーティングだった。

米倉さんが言い切ったが、
True Dataはブランドを誇示するよりも、
しっかりと機能を果たすことを優先する。
すばらしい。

True Dataはつねにニュートラルで、
半ばパブリックな存在です。
私は取締役会でいつもそれを強調する。

しかし今回の件は、
互いにこれからです。

よろしくお願いします。

そのあと、2時半までスペースを借りて、
自分の原稿執筆。

ありがとう。

それから東京・大手町へ。

東京駅。
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北口丸の内側のホールには美しい富士の映像。
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5分ほど歩いて大手町プレイスタワー。
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毎月の血液と尿の検査。
そして田嶼尚子院長先生の診察。

ヘモグロビンA1cは6.3%。
グルコースは129。
私の年齢なら合格。

中性脂肪88も合格、
尿酸値は4.6%でこれも良好。

毎月検査しているが、
先月の状態を維持しつつ、
ちょっと良くなっている。

この調子。

CKPが67。
筋肉量が減っている。

田嶼先生からはラジオ体操を勧められた。

ラジオ体操第一と第二を毎日、
真剣にやるだけで筋肉量は増える。

心筋梗塞の場合は逆にCKPが急増する。

適度な運動が必要だ。
スクワットをやる程度では足りない。

それでも毎月の検査と診断で得ることができる。

ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。

ありがとうございます。

そのあと横浜の商人舎オフィスに戻る。

講演のレジュメ作成と原稿執筆。

夜9時くらいまで。
それでもオフィスでの仕事は安心する。

山本恭広編集長、亀谷しづえGMと、
夜食はいきなりステーキ。

健康に心配がないので、
思い切り食べた。

今日もお仕事、
おまんまうまいよ。

平櫛田中(ひらぐし・でんちゅう)の言葉。
明治5年(1872年)生まれ、
昭和54年(1979年)没。
107歳まで生きた彫刻家。
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見習いたい、あやかりたい。

田中は続ける。
「びんぼうごくらく、
ながいきするよ」

好きな彫刻を掘って、
生きられるだけ生きる。
生涯現役。

それが公な存在となり、
大衆からも認められる。

私もそうありたい。

〈結城義晴〉

2025年08月21日(木曜日)

セブン超えの「イオン時価総額」と最後発のイズミ「ゆめイチ」

夏の高校野球甲子園大会。
準決勝の2ゲーム。

リアルタイムで見ることはできなかった。

第1試合は日大三校(西東京)が、
延長10回タイブレークで、
県立岐阜商業を破った。
14年ぶりの決勝。
スコアは4対2。

第2試合は沖縄尚学高校が山梨学院高校を、
逆転で破って夏の大会は初の決勝進出。
スコアは5対4。

決勝戦は1日空けて、
23日土曜日午前10時から行われる。

楽しみな一戦だ。

さて、日経新聞電子版の記事。
「イオン時価総額、初のセブン超え」

こういう報道は気づきにくい。

もともとは、
明治9年(1876年)創刊の「中外物価新報」。
それが中外商業新報に変わり、
戦後の1946年、日本経済新聞に名称変更した。

イオンの時価総額が今日5月21日次点で、
5兆1922億円となった。
株価が5662円まで上昇し、
上場来高値を更新。
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セブン&アイ・ホールディングスは、
時価総額5兆1765億円。
株価は1988円。
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株価は2.85倍、時価総額はわずかに、
イオンが上回った。
初めてのことだ。

小売業トップはファーストリテイリングで、
時価総額15兆5387億円、
株価は4万8980円。

図抜けている。

時価総額は[株価 × 発行済株式数]
上場企業の企業価値を端的に表す指数だ。

イオンの株価上昇の理由は、
⑴業績
25年第1四半期(3〜5月期)の営業利益は、
18%増の562億円、最高額を更新。

イオンnews|
第1Q営業収益2兆5669億円/過去最高収益も最終純損失

⑵グループ再編の期待
首都圏と近畿圏でスーパーマーケットを再編する。
首都圏はSMLHに、近畿圏はダイエーに。

イオンnews|
首都圏はUSMH・近畿圏はダイエーにSupermarketを統合

2月にはイオンモールとイオンディライトを、
完全子会社にすると発表。

12月にウエルシアホールディングスと、
ツルハホールディングスが経営統合する。

この2つの期待が株価を押し上げた。

かつては両者には5兆円超の差があった。
このところの約20年間の平均でも、
2兆円程度の差があった。

しかしこの7月以降、状況は一変した。
イオンは株価が27%高と高騰。
セブン&アイは14%安、
ファストリも1%安。

その社会貢献度の高さに比べて、
イオンの収益性は高くはなかった。
それが改善されている。

逆にセブン&アイは、
アリマンタション・クシュタールの一件などがあった。

故伊藤雅俊さんは、
「誠実な商い」を言い続けたが、
一方でいつも時価総額を気にかけていた。

それが逆転してしまった。

しかし株価は移り気だ。
この先どうなるかはわからない。

イオンも油断はできない。

やるべきことをやる。
株価と時価総額はその結果だ。

さてさて商人舎流通SuperNews。

イズミnews|
新PB「ゆめイチ」9/11から発売/50アイテムでスタート

イズミが9月11日(木)から、
新しいプライベートブランドを売り出す。
その名も「ゆめイチ」izumi-pb1

3種類。
コンペティティ部ブランドの「プライス」
エコノミーブランドの「レギュラー」
クオリティブランドの「プレミアム」
アイテム数は当面プライス48アイテム、
レギュラー2アイテムの計50。
プレミアムは順次発売する予定。

「最後発のPBだから最高のPBを目指す」
その心意気や良し。

ステートメントは、
「地域を知る私たちだからこそつくれるものを。
経験豊富なバイヤーが自信を持ってお届けできるものを。
メーカーだけでは決して生み出せないものを。
誰もが手に取りやすい価格帯のものを。」

先日のニチリウバイヤーセミナーにも、
イズミから参加してくれた。
そして班別の発表のときにも、
各チームをイズミのバイヤーがリードした。

楽しみな商品開発だ。

「最後発だから最高を目指す」

後発の優位性。
それは後進の先進性でもある。

1978年8月20日、ダイエーが、
日本初のノーブランドを発売した。
ホワイトブランド、ゼネリックと呼ばれた。

私が商業界に入社して、
1年経過したころのことだった。

イトーヨーカ堂もジャスコも、
ニチイもユニーもすぐに、
次々にノーブランドを開発した。

西友が無印良品をリリースしたのは、
一番遅くて1980年だった。

西友は堤清二さん、上野光平さんを中心に、
「異なるポジショニング」のノーブランドをつくった。

後発の優位性を活かした。
後出しジャンケン負けるべからず。

そして今やMUJIしか残っていない。

「ゆめイチ」がそうなれるか。

最後発だから最高を目指せ。
ガッカリさせないでくれ。

〈結城義晴〉

2025年08月20日(水曜日)

UAゼンセン「流通産業労使トップフォーラム」の技術と精神

商人舎バイヤーセミナー。
バイヤーセミナー
続々、ご参加の申し込みが寄せられています。

9月24日(水)・25日(木)。
東京・晴海。

講師は結城義晴、鈴木哲男、
そして中村徹。

バイヤーにとって必須の知見と技術、
そしてバイヤーの心構えと精神を、
徹底的に伝授します。

ご参加を募ります。

さて、午前中はオンライン会議。
㈱True Data取締役会。
お陰様で、
ビッグデータマーケティングの
トップ企業。

たっぷり3時間近く。

いつものことだが、
きちんと意見を言って、
互いに議論をする。

若い会社だけれど、
いい社風が育まれてきている。

それから千葉の新浦安へ。

JR駅前の浦安ブライトンホテル東京ベイ。
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暑さが戻ってきたけれど、
やってきました。
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2025流通産業労使トップフォーラム。
毎年夏の恒例。
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私は2013年にこの流通部会で、
「産業政策」作成のお手伝いをした。
だからいつも呼んでくださる。

開会あいさつは、
UAゼンセン会長の永島智子さん。
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労使 トップフォーラムだから、
経営者と労働組合のトップが、
一緒に参加する。

その労使の皆さんと交流。

イオンリテール㈱の古澤康之社長と、
中央執行委員長の泉澤匡範さん。
イオンリテールワーカーズユニオン。IMG_7978 (002).jpg2
古澤さんとは改めて対談することになった。

イオン北海道㈱の青栁秀樹社長。
激戦の北海道の競争が話題になった。IMG_7998 (002).jpg2

小鷲良平さんは、
イトーヨーカドー労働組合中央執行委員長。
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私のブログなどよく読んでくれているらしいが、
現在のような状況では労働組合の役割は重い。

頑張ってほしい。

㈱ベルジョイス会長の小苅米秀樹さん。
コーネル大学RMPジャパン伝説の一期生。IMG_7981 (002).jpg2
ITへの取り組みの話をしてくれた。

それからそれぞれの企業が、
どんな問題を抱えているのか。
何を問題視しているのか。

家業から企業への経営問題なのか、
マーチャンダイジングの問題なのか、
物流や情報の問題なのか、
人手や人材の問題なのか。

その問題点の仕分けをしなければならない。
そんな話もした。

私は三菱食品の故廣田正さんの言葉を思い出した。
「どんな会社も企業の規模や業容に応じて、
かかる病気は同じなんですよ」

㈱オークワ執行役員人事総務本部の飯田昇本部長。
来年1月の講演のテーマについて打ち合わせをした。
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㈱平和堂執教育人事部の永井敬一執行役員部長。
永井さん、貫禄がついた。IMG_7984 (002)

ハイライトはこの人。
田村まみ参議院議員、
UAゼンセン政治顧問。
先の参議院選挙には、
国民民主党比例区公認候補として立候補し、
20万5331票を得て党内1位で再選した。
おめでとう。
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中締め挨拶は桂義樹さん。
UAゼンセン常任中央執行委員流通部門事務局長。IMG_7990 (002).jpg2

一丁締め。
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労使が集うフォーラム。
経営者の皆さんが例外なく、
労働組合を重視していることが印象的だった。

チェーンストアの技術と精神は、
労使が共有し、高めていくものだ。

フォーラムが終わってから、
駅の反対側の商業集積へ。
イオン新浦安ショッピングセンター。IMG_4981 (002).jpg2

1990年7月、
ショッパーズプラザ新浦安として開業。
核店舗はダイエーだった。

2016年、イオンリテールに営業権が承継され、
イオン新浦安店がオープン。

2017年、イオンスタイルとして改装オープン。
2020年4月、さらに大幅なリニューアルで、
現在の業容となった。

隣接して専門店集積型の商業ビルMONA。
こちらにはピーコックストアが出ていた。IMG_4982 (002).jpg2

2020年8月30日、
「@フローズン」開業。
424㎡(128坪)の冷凍食品専門店。
約1500品目の冷凍食品の店。
売場面積、品目数とも日本最大級だった。IMG_4983 (002).jpg2
月刊商人舎2020年9月号でスタディした。

一方のイオンスタイル新浦安。
1階は食品売場とドラッグストア。IMG_4984 (002).jpg2

1階は衣料品フロア。
TVC(トップバリュ・コレクション)の売場。
ずいぶんよくなった。
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3階はハードラインの売場。
ホームコーディ。
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そしてキッズ・リパブリック。IMG_4988 (002)

ダイエー時代は碑文谷店と並ぶ看板店舗だった。
現在も繁盛しているし、
イオンリテールの実力が発揮されている。

「ホッケースティックの関係」のごとく、
もう一歩、満足のレベルが上がれば、
飛躍的な成果が得られる。
そのもう一歩がほしい。
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倉本長治は『商店経営の技術と精神』を著した。
渥美俊一は『商業経営の精神と技術』を刊行した。
ゴーストライターが結城義晴だった。

商人舎バイヤーセミナーは、
そのバイイングの「技術と精神」を研修する。
倉本・渥美の遺志を継ぐものだ。

〈結城義晴〉

2025年08月19日(火曜日)

夏の甲子園準々決勝の激戦とミニストップ「消費期限偽装」

第107回全国高校野球選手権。
夏の甲子園。

毎年書いているが、
準々決勝が一番面白い。

ベスト8の対戦。
いずれも3回戦まで勝利したチーム。
その前に地方大会で一度も負けずに来た。

その8強が出揃って、
4試合が行われる。

その熱戦が1日で展開される。

郷土のチームを応援したり、
居住している地域の学校を支援したり、
自分と紐づいているのがとてもいい。

第1試合は山梨学院高校が猛攻で11点を挙げ、
昨年の夏の覇者京都国際高校を破った。

第2試合は東京都の東西対決。
日大三校が関東第一高校に5対3で勝った。

第3試合は追いつ追われつの好ゲーム。
県立岐阜商業が優勝候補の横浜高校を、
延長11回にタイブレークのサヨナラ勝ち。

私は延長の攻防をハラハラしながら見ていた。
残念ながら横浜は負けた。

第4試合はこれも優勝候補の東洋大姫路高校を、
沖縄尚学高校が2対1の投手戦を制した。
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いずれの試合も前評判が覆された。
それだけ実力均衡の面白い戦いだった。

準決勝は1日空けて21日(木)。
日大三校(西東京)—県岐阜商、
沖縄尚学—山梨学院。

楽しみなゲームだ。

県岐阜商の横山温大(はると)右翼手は、
生まれつき左手の指がない。
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米国大リーガーには、
ジム・アボットという投手がいた。
先天性右手欠損のハンディを負いながら、
1989年から99年まで活躍した。

横山選手はアボットを目標に研鑽を摘んで、
山梨代表チームのレギュラーとなり、
今日も大活躍でベスト4に進んだ。
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何かが起こりそうな気配だ。

さて、悪いニュース。
ミニストップの消費期限偽装。

日経新聞が丁寧に取材して報じた。

イオンのコンビニ・ミニストップの23店で、
弁当、惣菜の「消費期限偽装」が判明した。
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6月下旬、委託先の定期検査で、
消費期限を記したおにぎりのラベルが、
二重に貼られているのが見つかった。

調査すると8月16日時点で、
7都府県の23店で偽装が確認された。

店内厨房での調理後すぐに、
消費期限を記したラベルが貼られる。
ところが一定時間をあけてから貼付していた。
売場に一度並べた商品のラベルを、
付け替える問題も判明した。

ミニストップは改善策が整うまでの期間、
全店で当該の店内調理品の販売を止める。

プロセスセンターやセントラルキッチンでは、
商品は厳格な管理下で加工される。

しかし店内調理品はそこが甘くなりやすい。
さらに消費期限が短い。

ミニストップではセンター製造のおにぎりは、
消費期限が約1日だが、店内調理品は8〜10時間だ。

消費期限を過ぎると、
自家消費するか、廃棄される。

店内調理品は2割以上粗利益が高い。
加盟店は売れれば儲かるが、
廃棄のリスクも大きい。

だから消費期限の偽装が起こった。

2020年の公正取引委員会の調査では、
コンビニ1店あたりの営業費は年2299万円。
そのうち2割の468万円が廃棄ロスである。

ミニストップの営業への影響は大きい。

コンビニ業界で、
営業収益5番手、店数4番手のチェーンだ。
202506_gyotai-ranking3しかも営業損失、経常損失が出ている。

偽装事件などが起こる場合、
他の面でも問題は隠蔽されていることが多い。

何よりも襟を正して、
すべて真っ正直に対応しなければならない。

インテグリティとは真っ正直のことだ。

さて糸井重里のエッセイ「今日のダーリン」
「『かっこいい』の勃興と衰退」

ふだん、あんまり使う機会は減ったけれど、
ぼくは「かっこいい」という
ほめことばを使っている。
語源としては「格好良い」なのだろうが、
それとはちょっとちがう感覚である。
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ぼくが18歳になるくらいまで、
じぶんの周辺に、このことばはなかった。
少なくともぼくは言ったことがなかったし、
友人たちも「かっこいい」という、
ことばのない生活をしていた。

はじめて聞いたのは、
高校の同級生Kくんの甥である
小学生男子が、Kくんがなにかをしたときに、
すかさず「くーちゃん、かっこいいーっ!」と、
叫んだときだった。
ぼくは、その場にいたのである。

その「くーちゃん、かっこいいーっ!」が、
ぼくにはものすごい「絶賛」のことばに聞こえた。

「かっこいい」ということばが、
かっこよかったのだ。

ぼくの生活のなかに、
それを取り入れるようになったのは、
それから徐々にだったけれど、
いつのまにか、「かっこいい」抜きで
生きていくことができなくなった。

いまでも、
ぼくの価値観のかなり大きな部分を
「かっこいい」という感じ方が、
占めていると思う――。

私も同じ世代、
同感だ。

――ぼくらよりも、
もっと年上のお兄さんたちは、
石原裕次郎を象徴とする、
「イカす」という表現を多用していたけれど、
ぼくらの世代からは「かっこいい」が
どんどん勢力を増していった。

しかし、いま思うのは
「かっこいい」という価値観は、
少しずつ衰えてきているんだろうなということだ。

「イケてる」とか「エモい」とかが、
新興勢力なのかな。

女性は「かわいい」とか
「おしゃれ」とか、かなぁ。

「かっこいい」の使用頻度は減っても、
おそらく、ぼくは「かっこいい」と、
言い続けそうです――。

県岐阜商の横山右翼手、
無心のプレーは「かっこよかった」

ミニストップの23店、
偽装の儲けを狙うのは、
ひどく「かっこわるかった」

無私と利他こそ、
かっこいい。

〈結城義晴〉

2025年08月18日(月曜日)

PPIHとトライアルホールディングスの6月増収増益決算

Everyone, Good Monday!
[2025vol㉝]

2025年第34週。
8月第4週。

8月もあと2週間。
このお盆休みの後の感じは、
なかなか、いい。

商売をやっている人たち、
イベントなどにかかわる人たちは、
これから休暇をとったりするだろう。

それも、いい。

暑さはぶり返した。

今週の私のスケジュールは、
もう月刊商人舎9月号の入稿。
それから機関誌連載の執筆。

それにいくつかのアポイントが入っている。

午後になって、
商人舎オフィスの隣の美容室メゾンへ。

誕生祝いとして突然、
編集部のみんながプレゼントしてくれた。

ヘッドスパ。
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はじめに頭皮を、
オイルマッサージしてくれる。
次に念入りにシャンプーし、
最後に肩を揉んでくれる。
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最高の気分だ。

ほんとうにありがとう。

さて夏季休業でお休みしていた、
商人舎流通SuperNews。
一挙に29本のニュースを掲載。

その中で2社の本決算。

PPIHnews|
年商2兆2468億円7.2%増・経常利益6.6%増の増収増益

㈱パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。
6月末の連結業績。
売上高2兆2468億円、前年比7.2%増。
営業利益1623億円、15.8%増、
経常利益1585億円、6.6%増。

増収増益。

営業利益率7.2%、経常利益率7.1%。
guide_message_img04 (1)
「顧客最優先主義」をベースに、
「現場主義」と「個店主義」を標榜する。

つまりアンチチェーンストア主義。
いや、脱古典的チェーンストア方式。

その企業が日本小売業第5位にある。
202506_ranking1-10

国内事業は売上高1兆8961億円(7.5%増)、
営業利益1581億円(15.7%増)。

北米事業は2594億円(5.1%増)、
営業利益22億8300万円(33.7%減)。

アメリカの競争は厳しい。

アジア事業は売上高912億円(7.1%増)、
営業利益19億円(前年は1億4600万円)。

2025年6月末時点のグループの総店舗数は、
国内655店、海外124店の合計779店となった。

一方、
トライアルnews|
’24年商8038億円12.0%増/経常利益222億円12.2%増

㈱トライアルホールディングス。
こちらも6月期の連結決算。
売上高8038億円、前年増減率12.0%増、
営業利益211億円(10.2%増)、
経常利益222億円(12.2%増)。
当期純利益117億5200万円(2.7%増)。

ただし営業利益率2.6%、経常利益率2.8%。

PPIHほどの収益性はない。

期末店舗数は352店舗。

リテールAI事業は、
売上高9億8500万円(7.4%増)、
セグメント利益5500万円。

まだ売上げや利益に占める比率は低い。

西友を今年7月1日から傘下に入れたので、
今回の決算には加算されていない。
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西友が含まれる2025年度の業績見通しは、
売上高1兆3225億円の64.5%増で、
5187億円の純増。

営業利益は254億円(20.3%増)で44億円増の計画、
経常利益は139億円(37.4%減)で83億円減。
当期純利益は50億円で67億5000万円減。

経常利益と純利益は減ずる。

6月号のニッポン小売業番付では、
トライアルは6月決算なので22位だった。202506_ranking21-30_

しかし今回の連結決算で、
サンドラッグを抜いて第17位に入る。202506_ranking11-20

さらに来年6月の決算ではトップ10に食い込む。
ヤマダホールディングスに次ぐ第7位。

ただし今回の西友のM&Aが、
成長なのか膨張なのか。

それは革新性と収益性によって、
証明されることになる。

故田島義博先生の定義では、
「成長」とは技術が革新され、
マネジメントの質が高まり、
その結果、会社が大きくなること。

「膨張」とは、
革新はないけれど、売上げが増え、
会社が大きくなること。

大きくなるほどに経営は難しくなる。

どんな会社もマネジメントの質を高めて、
成長しなければならない。

では、皆さん、今週も、
1ミリでも成長しよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2025年08月17日(日曜日)

ルーマニア大統領ニクショル・ダンの「戦略的沈黙」

お盆連休最後の日曜日。

酷暑、猛暑で、
あちこちで40℃を超えた。

その暑さもちょっと弱まった。

子どもたちの夏休みは続く。
大人たちは職場に帰っていく。

私は一日中、休養。
今年の夏は体に堪えた。

それでもゴルフをする。
それが心地よい休養につながる。
ありがたい。

日経新聞に掲載される「FINANCIAL TIMES」
外国人編集者アレック・ラッセル氏が書く。
「ポピュリストはこう破る」 ru-mania

「トランプ米大統領は絶好調だ。
チリから日本まで、
各国の置かれている状況は異なっても、
ポピュリズムの警告音が鳴り響いている」

「では、どう対応すべきなのだろうか」

筆者は「ブカレストへ行け」と言う。

「枯れた中にも味わいがある
ルーマニアの首都で、
ポピュリストに対抗する方法を
今一度学ぶことができる」

ルーマニアは東欧の共産主義体制の崩壊後、
民主化と自由市場経済への移行では
最も遅かった国の一つだ。

ところが、ここ30年間は、
中道左派と中道右派が交互に政権を運営し、
目立った成果は出せなかった。

縁故資本主義がはびこり、
EUへの加盟で得られると思っていた
恩恵への幻想も消えた。

愛国主義の伝統が根強く、
ロシア製ボットによる情報操作が
盛んな土地柄でもあり、
5月の大統領選挙で
ポピュリストが優勢となっても
驚きはなかった。

ただ、実績をひっさげた
物静かな頭脳派が登場したことで
予想外の展開が訪れた。

5月のやり直し選挙は、
当時ブカレスト市長で数学の博士号を持つ
ニクショル・ダン氏が制した。
国際数学オリンピックで二度の優勝を果たした数学者だ。
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ポピュリストの台頭で
途方に暮れている指導者たちは、
彼の人柄と功績から、
重要な教訓をいくつも学べる。

第1は「実績による信用」だ。

ダン大統領は言う。
「ルーマニアでは国や当局への
信用がないためにポピュリストが選ばれる」

「腐敗や不公平が眼前で起きている。
国民からの信用回復が唯一の目標だ」

ダン氏は、
「政府が地道に役目を果たせば、
有権者が覚えていてくれるかもしれない」

ブカレスト市長時代には、
一般市民を代表して住宅建設会社と渡り合い、
暖房システムの刷新を主導した。

派手さには欠けるが、
計り知れない価値のある目的を果たした。

今後、大統領として、
EUで最も深刻な財政赤字の縮小に取り組み、
「ねじれ議会」の下で歳出削減策への支持を
取りつけなければならない。

ここでもダン氏は、
ブカレスト市の財政運営での実績を例に挙げる。
市長就任時には予算の4分の3が
公債の元利払いに費やされていた

「私が1年半かけて債務返済計画を改めた」
現在、市の財政再建は順調に進んでいる。

第2は「静かな語り口」

「社会が二極化していても、
他者への礼儀を心がけてきた」

「私が試みるのは対話だ。
市民は自分たちが注意を向けてもらえない
という感覚を抱えていた」

耳をそばだてる必要があるほど
静かな話し声のダン大統領。

しかし言い負かされないすべは身につけている。

「大統領選に向けた討論会では、
対立候補の公約に財源の裏付けがなく、
予算を手当てできる見込みもないと論破した」

ポピュリストへの迎合を潔しとしない一方で、
自陣営を敵に回すこともいとわない。
最近ではヘイトスピーチ対策法案が、
行き過ぎだとして異議を唱えた。

第3に「沈黙」という手段をうまく使う。
「15~20秒の間を置いてから
質問に答え始めることで有名だ」
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トランプをはじめとするポピュリストたちは、
デジタル媒体を駆使して成功している。
だから発言をためらうことは、
間違いのようにみえる。

「しかしダン大統領の思慮深さは、
ライバルたちの騒々しさと
対極をなすものとして貴重だ」

結論。
「成果を残し、敬意を表し、
ポピュリストに踊らされず、
戦略的に黙る効果を忘れないことだ」

実に面白い。

絶大なる信頼や信用を基本にして、
静かな語り口と沈黙。

私は断然、こちらが好きだ。

〈結城義晴〉

2025年08月16日(土曜日)

セブン&アイ伊藤順朗Interviewの「破壊的Innovation」

盆の明け。

夏の甲子園高校野球は真っ盛り。
連日、いい試合が展開されている。

日経新聞電子版に、
伊藤順朗さんが登場。
今、セブン&アイ・ホールディングス会長。
もちろん故伊藤雅俊さんのご次男。
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日経の単独インタビュー。

カナダのアリマンタション・クシュタールから、
ずっとM&Aを迫られていた。

そのACTが撤退を表明した。

そのATCに対してずばり、
「正直言って誠実な会社とは
思っていない」

はっきり言った。
いいと思う。

その声をセブン&アイの全従業員が聞いている。
金融関係も取引先も注目している。

「M&Aで規模を追求してきた会社」と評価し、
理由も語った。

「買収した多くの店舗が、
そのままの形で運営されている」

その通りだ。

「仮に同社がセブン&アイを買収したとしても、
店舗を成長させられなかった」

セブン-イレブン・インクのほうが、
店舗の革新性においても勝っている。

ACTは1980年にカナダ東側のケベック州で、
コンビニの「クシュタール」(Couche-Tard)として開業。

ケベック州はフランス語圏で、
Couche-Tardは「夜更かし」といった意味だ。

その後、アメリカのコンビニチェーンを買収し、
2003年にはサークルKを傘下に入れた。
サークルKは当時、全米3位だった。

ACTは現在、アメリカで第2位のコンビニチェーン。

伊藤さんが指摘するように、
コンビニ業態として目立ったイノベーションはない。

私もACTに買収されなくてよかったと思う。
なにしろセブン-イレブン・インクは、
全米トップのコンビニチェーンである。

しかし日本のセブン-イレブン・ジャパンは、
成長が鈍化している。

伊藤さん。
「ACTは今は手をおろしたが、
業績が上がらなかったらまたやってくる」

そのうえで、
「市場の変化に対応できないと生き残れない。
チャレンジ精神と失敗から学ぶ姿勢を取り戻す」

その通りだ。

「基本の徹底と変化への対応」が、
イトーヨーカ堂時代からずっと、
セブン&アイの在り方だ。

セブン-イレブン・インクは、
米国市場での新規株式公開を計画している。

伊藤さん。
「企業価値をしっかりとつけ、
一部株式の売却で得られる資金を
株主還元や新規投資に充てていく。
その意味で上場は必要だ」

上場後もセブン&アイが「過半の出資を維持する」

その意味で米国セブン-イレブン・インクは、
セブン&アイ存続のための企業と位置づけられている。

一方、24年10月に社名を変更すると発表した。
「セブン-イレブン・コーポレーション」

日米と世界のセブン-イレブンだけの会社。

伊藤さんは語る。
「私から社名変更の検討をやめようと言った」

ACTによる買収提案への対応を優先するため。
社名変更はそれに伴ってコストもかかる。

社名変更は引き続き検討しているようだが、
「優先順位は低い」

ヨーク・ホールディングスは、
イトーヨーカ堂、ヨークベニマルなど、
約30社で構成される。

9月に米国のベインキャピタルに売却される。

セブン銀行も非連結化されているから、
セブン&アイは9月からコンビニ事業に集中する。
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順朗さんは1990年に最初に入った会社が、
セブン-イレブン・ジャパンだった。

だから順朗さん自身は本業に専念することになる。
それはとてもいいことだろう。

ヨーク・ホールディングスには、
順朗さんが一部出資している。

コンビニ展開で世界を目指すセブン&アイ。
傘下にセブン-イレブン・ジャパンと、
やがて米国上場するセブン-イレブン・インクがある。

ヨーク・ホールディングスは、
他の資本のもとで再出発する。

まあ、そんなことがはっきりしたインタビューだ。

私はヨーク・ホールディングスの中の、
イトーヨーカ堂の再生は困難を極めると思う。

ヨークベニマルは順調だ。

ただしそれらは新しいオーナーのもとでの仕事となる。

問題は競争的飽和状態を迎えている、
日本のコンビニをどうするか。

鈴木敏文さんは「飽和はない」と言い切った。
この考え方を基本として、
未知なる独自の世界を切り拓いていくか。

いや、コンビニ業態の「鼎占」の中で、
どう、トップチェーンの地位を維持していくか。

今のところ後者の考え方のようだが、
それでいいのか。

世界のどんな業態でも、
歴史的に鼎占状態は長く続く。

そのあとに「複占」が訪れる。
複占は意外に長くは続かない。

日本のコンビニのその鼎占を維持していくにも、
持続的イノベーションが求められる。

鈴木流の破壊的イノベーションにも、
挑戦してもらいたいとも思う。

クレイトン・クリステンセンは教えた。
「偉大な企業は、
すべてを正しく行うが故に失敗する」
Innovationジレンマ

「イノベーションのジレンマ」とは、
業界のトップ企業が、
技術や市場構造の破壊的変化に直面した際に、
市場のリーダーシップを失ってしまう事象だ。

セブン&アイは鈴木敏文氏の辞任によって、
その優位性を失ったと思われているが、
もしかしたらこの会社は、
破壊的変化に直面していたのかもしれない。

いや、直面していたのだ。

だからこそ持続的イノベーションとともに、
今、破壊的イノベーションが必須だと思う。

やっとそれに対応する状況が生まれた。

伊藤順朗さんのインタビューが、
そのきっかけになるといいのだが。

〈結城義晴〉

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