結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年10月10日(月曜日)

成田からフランクフルト、デュッセルドルフへ。ヨーロッパは不景気、日本は回復基調と日経社長100人アンケート

Everybody! Good Monday!
[vol41]

2011年第41週、
10月第3週に入りました。

今日は三連休の最終日。
そして「体育の日」。

さぞかし、
日本はいい天気なんでしょう。

私はドイツのデュッセルドルフ。
こちらは雨。

「体育の日」の趣旨は、「祝日法」第2条で、
「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」

ご存知、1964年の東京オリンピック開会式の10月10日を、
体育の日の祝日とした。

いい決め方ですな。

2000年からは「ハッピーマンデー制度」適用で、
今日の10月第2月曜日となり、三連休。

「体育の日」と名付けられていれば、
国民はなぜかムズムズしてきて、
体を動かしたくなる。

それが、いい。

国民がムズムズと体を動かせば、
商売が成り立つ。

スポーツ用品が売れる、
スポーツウェアが売れる。
スポーツドリンクも売れる。
スポーツ施設が利用される。

腹が減るから食品が売れる。

すべてよし。
「風が吹けば桶屋が儲かる」
それよりも、「体育の日」があれば、
商売繁盛の方が確か。
商売している者は、
今日が終わったら、
体育の日に感謝しなければならない。

朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。

昨日の朝日新聞求人広告の欄。
広告だけれど、
女優の岸恵子さんが、
とてもいいコメント。

「まず自分をまっさらなカンバスにして、
監督が思う人物を描いていく。
その中に自分も織り込めていく」

岸さんは、「それが演技者の芸」という。

監督を「社長」や「会社」に置き換える。
するとサラリーマンの自分の在り方が見えてくる。

「それが働く者の芸」となる。

「この仕事でどうやって自分を生きるのか。
今自分はどこに立っているのか、
自分は何を求められているのか」

このあたりピーター・ドラッカー先生そっくり。

「ある役のために一度自分を空っぽにすることは、
自分を無にすることではありません」

最後のところが、すごくいい。

岸恵子さんは、映画監督のイヴ・シャンピと結婚した。
シャンピは医学博士から反ナチ地下運動家、そして映画監督。
一本芯の通った人間だったが、
その夫に影響を受けてジャーナリストや作家となった。

だから岸さんも、モノの見方に、
一本、芯が通っている。

「一度自分を空っぽにすることは、
自分を無にすることではない」

その通り。

さて日経新聞一面トップ。
「社長100人&地域500社アンケート」
四半期ごとに調査している。

現状の世界景気について、「悪化」と回答した経営者が計33.2%。
「急速に悪化」「緩やかながら悪化」「天井を打って悪化に転じた」

いま私がいるヨーロッパの景気については、
「悪化傾向」の回答が56.1%。

米国についても悪化傾向が33.0%。
さらに中国も「景気拡大が鈍化してきた」との回答が過半。

一方、国内景気には楽観的な見方が強い。
これは前向きな経営者の数が多いということで、
私は評価したい。

半年前と比べた国内景気。
「よくなった」「すでに改善の兆しが見えてきた」を合わせ6割近くが改善傾向。
3カ月後も「よくなっている」「改善の兆しが出ている」が計37.4%、
「ほとんど変化が見られない」が48.2%。

楽観的なのは悪くはない。

今月の商人舎標語、
「着眼大局 着手小局」

これに「積極前向き」が加われば、
年末までの消費経済にも明るい展望が開ける。

さて私はもう、26時間以上起きている。
成田空港周辺の日航ホテルで目を覚まして、
ジジのブログを書いた。
曇り空。
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空港でチェックインして、45番ゲートまで歩く。
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ルフトハンザのフランクフルト行きロビー。
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ごった返していた。
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欧州景気は「悪化」なのか。

ルフトハンザ711便に乗り込む。
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2階部分がファーストクラス・ビジネスクラス。
満杯。

これで景気は悪化しているのか。
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成田の滑走路は、
お盆の高速道路とまではいかないが、
ジェット機の渋滞。
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出発が30分ほど遅れた。

しかし快適な機内ライフ。
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私はアメリカでもヨーロッパでも、
機内では映画を見る、本を読む、原稿を書く、寝る。
これのどれかをしていて、結構、忙しい。
今回は、 2008年の映画『ビューティフル・マインド』を観た。

実在の天才数学者、ノーベル賞受賞者のジョン・ナッシュの半生。
監督ロン・ハワード、主演ラッセル・クロウ&ジェニファー・コネリー。
最後のシーンで、泣いた。

12時間でシベリア回り、ヨーロッパ大陸へ。

フランクフルト空港。
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ここで、関西国際空港から到着したメンバー59人と合流。
万代ドライデイリー会の昨年に続くヨーロッパ研修会。
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私を入れて総勢60名の集団。
ヨーロッパの不景気を吹き飛ばす勢いを持つ。

この研修会は、面白い。
スーパーマーケットの万代からの参加は、
いつも1人か2人。
今回は3人。

副社長の山下和孝さん、
取締役の磯田雅人さん、
取締役の阿部秀行さん。

取引先のメーカー、問屋から、
欧州食品事情を学びに集まってくる。

すぐにバス2台に乗り込んで、
アウトバーンを走る。

ヒットラーのナチスが軍事用に力を入れて完成させた超高速道路網。
バスもかなりのスピードで走行するが、
脇を次々に、小型車までが、
150キロ以上の速度で追い抜いて行く。

1時間ほどで休憩。
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ドライブイン。

中に入ると、立派なデリショップ。
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デリバーもカラフルでおいしそう。
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カウンターも混んでいた。
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コンビニエンスストアも併設されている。
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奥にテーブルやイートインスペース。
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15分ほど休憩して、
再びバスに乗り込む。
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ケルンを通り越して、
デュッセルドルフへ到着。
暗くなっていて、
しかも雨はしょぼ降り。

やっとレストランにたどり着いた。
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うまいオリジナルビールと典型的なドイツ料理の店。
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早速、乾杯。
乾杯の音頭は今津㈱社長の今津龍三さん。
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飲んで、食べて、
明日からの通訳の人々と事前打ち合わせ。

9チームに分かれて、
世界最大の食品メッセ「アヌーガ」を回る。
その9チームに一人ずつ通訳をつける。

展示者と密なコミュニケーションを図り、
商談を成立させ、売れる商品を持ってくるのが目的。
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だから交流は盛り上がった。

デザートの前に、
全員が一人ずつ自己紹介と決意表明。

全員がミッションをもって、
この研修会に臨む。

いい夕食会だった。

食事が終わったら、ホテルへ。
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こじんまりしているが、
快適なホテル。
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私の部屋は202号室。

シャワーはあるがバスタブはない。
ここで4日間、アヌーガを学びつくし、
欧州景気と日本景気に、
ほんの少しでもいい、
風穴を開けたい。

そのための志がほしい。

日本の皆さんも、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年10月09日(日曜日)

ジジの子守歌[2011日曜版vol41]

ねんねん ころりよ
おころりよ
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ぼうやは よい子だ
ねんねしな
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ぼうやの おもりは
どこへいった
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あの山 こえて
里へいった
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里の みやげに
なにもろた
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でんでんたいこに
しょうのふえ
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ねんねん ころりよ
おころりよ

<『ジジの気分』(未刊)より>

[追伸]
ジジが子守歌を聴いているうちに、
ドイツ・フランスへ旅立ちます。

ヨーロッパ・レポート、
ご期待ください。

2011年10月08日(土曜日)

[帰国後の米国報告]その3・テスコのフレッシュ&イージー北カリフォルニア第1号店のイノベーション

秋空が、いい。

日経新聞夕刊に、
囲碁女流棋士の小林千寿(ちず)さんが書いたエッセイ。
「秋空に想う」

「秋の空が青く高くなってきた。
私は空に浮かぶ雲を見るのが
子供の頃から好きだった」

「小さいとき、年子の弟3人と、
雲を見ながら口々に『あれが犬で、あっちがキリン』
『アッ!犬が伸びて蛇になっちゃった!』などと
騒いでいたのを覚えている」

この弟たちのひとりが、
小林覚(さとる)9段。
10歳までの子供が、
「形」に関する感性を持っている。

千寿さんは、この子供の感性を評価する。

「澄んだ青空と白い雲を見ながら
心を子供の頃のように遊ばせるのは心地良い。
秋空は『空想の時間』に我を忘れさせてくれる」

秋空が、いい。

今日は、朝から池袋の立教大学キャンパス。
天気がいいこともその理由だろうが、
キャンパスには生き生きした感じの学生が多い。

結城ゼミの、それぞれの発表をしてもらって、
演習指導したあと、
午後、成田日航ホテルへ。

あの秋空に飛び立って、
明日はヨーロッパの空へ。
飛んでいる間も私にとっては、
「空想の時間」。

それがうれしい。

さて、10月1日の大阪版の夕刊を送っていただいた。
大阪朝日新聞と産経新聞。

朝日は一面トップに「就職遠きにありて」のタイトル。
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産経は社会面に「関西から東北復興誓い」の見出し。
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この日朝から、スーパーマーケットの㈱万代が、
106人の学生採用者の内定式を行った。

その中に震災地の宮城、福島の7人が含まれていた。

「雇用の場こそが生活の基盤になる。
大きくなくても企業ならではの採用をしよう」

万代の加藤徹社長の考え。

特別採用枠を設け、動き出したのが5月。
役員らが仙台に出向き、7月に選考会を開いた。
そして男女7人を内定。

石巻専修大学の学生・佐藤元基さん。
「被災しながらも屋外に陳列棚を並べて商品を売るスーパーに感銘を受け、
『人の生活に必要不可欠な販売の仕事に携わりたい』」
佐藤さんはメーカーから小売業に志望を変えて、万代に決めた。

被災地の学生の言葉は、頼もしい。
企業にとっても辛抱強くて力強い戦力になるに違いない。

さて、とびとびになって恐縮だが、
『帰国後の米国報告』その3は、
フレッシュ&イージー・ネイバーフッド・マーケット。
テスコがアメリカで展開する小型スーパーマーケット。
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この店は北カリフォルニア第1号店。
店舗面積は1万平方フィート(約280坪)。
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アメリカでは、まだまだ400店に向けて、
出店攻勢を続けている。
そして少しずつイノベーションの効果が、
表れ始めている。

一方、日本からの撤退が発表されたのは、
夏の終わりの8月31日。

テスコはイギリス第1位の小売業で、
日本とアメリカ以外では、無類の強さを発揮。

『FORTUNE』のグローバル500では、
世界第1位の小売企業で、アメリカ第1位は、ウォルマート。
総合スーパー(ハイパーマーケット業態)のスーパーセンターを主力とする。

第2位は、フランス第1位のカルフール。
こちらもハイパーマーケットを中核とする。

小売業世界第3位は、アメリカのドラッグストアのCVSケアマーク。
その次の4番目に、テスコが入ってくる。

そのテスコは、スーパーマーケット企業で、
この面で、ウォルマート、カルフールとは異なる経営戦略を採用。

14の国・地域で、2665店舗を展開。

日本への進出は、2003年7月。
食品の卸売業と小売業を兼業していたシートゥーネットワーク㈱を、
買収しての参入。

アメリカでは、2007年11月、
直営で、しかも小型店で進出。

テスコの小型店に火をつけられて、
アメリカでは、「小型店開発ブーム」が巻き起こった。

セーフウェイは「ザ・マーケット」を開発、
ウォルマートは「マーケット・サイド」のバナーを創作。
ウォルマートはさらに、今年、
「ウォルマート・エクスプレス」を本拠地アーカンソーに出店。

だからこそアメリカのフレッシュ&イージーの動向には、
目が離せない。

しかし現状は、いまだ164店舗。
黒字化もしていない。

それでも現地企業のCEOは、
「400店を突破すれば、
損益分岐点をクリアできる」
と意気軒昂。

だからこそ、この北カリフォルニアのサンフランシスコ郊外に、
新たな商勢圏を求めて、進出した。

視察の前にインタビュー。
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ストア・マネジャーのマット君が、
元気に答えてくれた。
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入り口を入るとすぐに、かご盛りのバゲット。
フレッシュ&イージーも陳列が洗練されてきた。
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反時計回り・左回りの客動線で、初めに青果売場。
入ってすぐにプロモーション平台でかぼちゃを販売。
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常温野菜はクレートをそのまま多段で並べて売る。
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これがテスコの特徴。
バナナ売場は狭い店ながら広いスペース。
よく売れているのがわかる。
1ポンド23セント。
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ロメインレタス、キャロット、パプリカなどのサラダ野菜は、
パック詰め。
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カット野菜やサラダ野菜はカップ入りや袋入り。
青果はどんどん加工食品化している。
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それがオペレーションコストを引き下げる。
この考え方は、トレーダージョーと全く同じ。

もちろんアルディも同様。

アメリカでは小型スーパーマーケットの成功をもたらすのは、
リミテッド・アソートメント(限定品揃え)&ローコスト経営。

青果売場の奥壁面は、
フレッシュ&イージー・キッチンと名付けられた
コンビニエンス・フードとデリ売場。
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スープ、ピザ、パスタ、サラダなどが並ぶ。
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エスニックフーズの焼きそば。
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デリ部門に続くのが、デアリー売場。
ミルクなどの乳製品が冷蔵ケースで販売されている。
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コンビニエンス商品の売場には、
「new」の青いスポッターがつけられて、
積極的に新製品が投入される。
この面ではまさに「試行錯誤」。
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しかしそれがテスコの意気込みをよく表している。

機内食のようなキット。
電子レンジで温めるだけで食べられる。
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「new」を集めたコーナーだが、
ハイ・フラクトーズ・シロップやトランスファット、
さらにどぎつい着色料を使わないスナックを、
開発していることを明言している。
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レジ前には、そういった開発商品の「特売」コーナーがある。
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安全・健康で、なおかつ安い。
まさに「オクシモロン」のコンセプト。
だから試行錯誤。
すぐにはうまくいくはずはない。
だから模倣がかなわない。

それがアメリカ・テスコの狙い。

精肉部門も、
この地域初お目見えの店舗にしては、
本当によく売れている。
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真ん中の段は、寿司。
最下段はキット商品。
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安全・健康・廉価の上に、
「簡便」まで欲張る。

卵も、安全・健康・廉価。
だからよく売れている。
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冷凍素材売場はセミ多段。
ポテト、ベジタブルなどなど。
上段は日用雑貨。
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この店は焼き立てパンを、
1日に3回店頭に並べる。
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それも売り物。
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主通路の真ん中には、
エブリデーロープライスのトルティーヤ、98セント也。
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ワイン&リカーのアイル。

右手ワイン売場は、
上から二段目の10%割引の赤いスポッターと、
最上段、下から2段の青い「new」のスポッターが並ぶ。
新製品をどんどん投入しつつ、
旧製品は売り切っていく。
つまり回転率を高めつつ、
その中からこの地域での売れ筋を探る方策。
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左の冷蔵ケースでは、
ビールなどを冷やして売る。

小型店テスコの面目躍如の売り方。スナックなどは、ラック陳列。
こちらもプライベートブランドばかり。
健康的で安い。
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調味料のPB、値付けがうまい。
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価格ラインは、1ドル99、2ドル29、
3ドル99、4ドル29。
面白い値付け。
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1ドル99と2ドル29の30セント違いと、
3ドル99と4ドル29の30セント違い。

分かりやすくて、
比較しやすいプライス設定。

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売場の中にマネジメント・デスク。
折り畳み式。
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チェックスタンドはすべてセルフレジ。
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しかしレジのうしろには必ず2人のオペレーターがついていて、
迷ったり、困ったりしている顧客には、すぐにケアする。
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出口の特売スペース。
ここにずっとコカコーラやネスレなどナショナルブランドが並んでいた。
しかしいま、フレッシュ&イージーのPB(左)と、
ハロウィン・ポップ・ソーダのプロモーション・アイテムが大量陳列。
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テスコのフォーマットが定着してきた証拠。

ストアロイヤルティが確立されていないときには、
ナショナルブランドでストアロイヤルティの代役をさせる。

しかしすこしずつ店の信用ができてきたら、
プライベートブランドで、サービスする。
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いかがだろう。

日本から撤退した改革のなかったテスコ。
フレッシュ&イージーのイノベーション。

アメリカのテスコは本気だ。

では皆さん、良い三連休を。
「体育の日」まで、秋空を楽しみたい。

<結城義晴>

2011年10月07日(金曜日)

セブン&アイ鈴木敏文会長の「消費は底堅い」とキャッシュバックセールを「きっぱりやめた」発言

いい気候が続きます。
日本に生まれ育ってよかった。

つくづくと思います。

月曜日にアメリカから帰ってきて、
毎日、横浜の商人舎オフィスで仕事し、
来客を迎える。

そして夕方、出かける。
そんな日々が、4日ほど。

明日は、池袋の立教大学で結城ゼミ。
そのあと、成田に泊まり込んで、
明後日の日曜朝早く、
ドイツ・フランクフルトへ旅立ちます。

だからこそいっそう、
この日本の秋を楽しみたい。
秋の空気をいっぱいに吸い込んでおきたい。

そんな気分です。

日経新聞朝刊に、
鈴木敏文さんご登場。
㈱セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO。
鈴木さんのぶれないものの見方、経営の姿勢、
いつもいつも勉強になる。

イオンがマルナカの買収をしたことに関して。
「相乗効果があり、お互いに気があえば実行する。
ただ自分たちで伸ばすのが基本で、
無理に買収して規模を拡大する考えはない」

「膨張と拡大は異なる」
学習院大学院長だった故田島義博先生の言葉を思い出す。

鈴木さんが言う「無理にして規模を拡大する」ことを、
「膨張」といい、
「「相乗効果があり、お互いに気があえば実行する」ことを、
「拡大」という。

基本は「自分たちで伸ばすこと」

これはアメリカでも定石。

その鈴木さん、
ちょっと優しくなった気もする。
この記事の最初の発言。
「消費は底堅い」
心強い。
「9月以降もこの状況は続きそうだ」

結果として、
「通期の営業利益は上振れして、
過去最高益の更新も視野に入った。
努力して最高益を達成したい」

景気のいい話。

セブン&アイが好調なら、
他社が不調の言い訳はできない。

そのセブン&アイ・グループ内で好調なのは、
コンビニのセブン-イレブン。

とりわけ、プライベートブランド『セブンプレミアム』がいい。
「5月末から約1000品目を刷新した」
セブン-イレブンの9月の実績。
「たばこを除く商品販売は4.5%増で、
食品やPB商品が伸びた」

イトーヨーカ堂の改善も進む。
その最大の要因は、過去の成功体験を捨てたこと。
「昨年12月以降、キャッシュバックセールを
きっぱりやめたのが大きい」

「きっぱりやめた」の発言がいい。

現金返還のセールでイトーヨーカ堂は、
年間数十億円を使っていた。

それを止めた。

鈴木さんご自身が発想し、成功した企画。
なかなかやめられなかった。

それを「きっぱりやめた」

いま、「きっぱりやめる」ことは、
どんな企業にとっても必要だろう。

ウォルマートは、
プロジェクト・インパクトを、
「きっぱりやめた」。

しかし「プロジェクト・インパクト」にも、
大きな意味があった。

だからそれを止めた後の売り場は、
元に戻ったわけではない。
一段と進化を果たしたと考えるべきだろう。

イトーヨーカ堂のキャッシュバックセールも、同様だ。

「きっぱりとやめた」
良い響きがする。

昨日は夕方から、
東京・池袋のサンシャイン60。
西友の本部もこの高層ビルに入っていた。

その59階の展望レストラン「天空の庭 星のなる木」。
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気持ちよく出迎えてくれたのは、
巣鴨信用金庫の面々。

田中実さんの出版記念パーティ。
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『実践ホスピタリティ入門』(金融財政事情研究会刊)

おめでとうございます。

入り口でも、ウェルカムボードが迎えてくれた。
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田中実さんの実質的な2冊目の本の出版を祝う人々が、
100人ほども集まった。
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田中さんは元巣鴨信用金庫常務理事。
同金庫は金融機関として、
サービスを超えたホスピタリティを提供し続ける。
そのプロセスで重要な役割を果たした、いわば立役者。
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現在はCS・ホスピタリティ実践研究所代表。
㈱国際ホスピタリティ研究センター研究ディレクター。
そしてコーネル大学RMPジャパン講師。
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の私の講座でも、
毎年、ゲスト講師をお願いしている。

いつもいつも、ホスピタリティの本質を、
丁寧に、実例豊富に語ってくださる。

全員で乾杯。
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乾杯と同時に、窓の覆いが取り払われると、
59階から見下ろす東京の夜景が現れた。
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参加者全員を田中さんご自身が紹介し、
ゲームなどで楽しみつつ、
人的ネットワークのコミュニケーションを深めた。

私の隣の席は、
法政大学経営学部市場経営学科教授の木村純子さん。
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並んでゲームに参加。

田中さんらしいbook party。
ホスピタリティにあふれていた。

最後に全員で記念写真。
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この後、田中さんからのご指名で、
私が締めご挨拶と手締めの音頭。
一本締めで決まった。

おめでとう、
ありがとう。
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田中さんのご活躍を祈念したい。

<結城義晴>

2011年10月06日(木曜日)

[帰国後の米国報告]その2・スプラウツ・ファーマーズマーケット「ベジタリアン&シンパのための大型八百屋」の新フォーマット

昨日10月5日、
このホームページのページビュー数は、
過去最高でした。

1日9272の金字塔。

ありがとうございました。

次の目標は10000。
1万です。

さて、昨日、スティーブン・ポール・ジョブズ逝去。
1955年2月24日生まれ、2011年10月5日没、
享年56。

米国アップル社会長。
ビジネス用パーソナルコンピュータで、
世界最初の成功を収めた。

米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、
ジョブズと同じ1955年の10月28日生まれ。

はじめて会った30年前から、
同志であり、好敵手であり、友人であった。

インターナショナル・ビジネスマシン社、
すなわちIBMが牛耳っていた情報の世界を、
ふたりは完全に塗り替えた。

『狂おしいほどに誇らしい』
ゲイツはジョブズに、
この言葉を贈った。

”The Gates Notes”
ビル・ゲイツが書いているブログ。
そのOctober 05, 2011には、以下の文章がある。

I’m truly saddened to learn of Steve Jobs’ death.
スティーブ・ジョブズの逝去を知って、
私は本当に悲しんだ。

Steve and I first met nearly 30 years ago,
and have been colleagues, competitors and friends
over the course of more than half our lives.
最初に彼と会った30年前から、
私たちは自分の人生の半分以上を、
同志として、好敵手として、友人として生きてきた。

For those of us lucky enough to get to work with him,
it’s been an insanely great honor.
幸運にも彼とともに仕事をしてきた私たちにとって、
それは『狂おしいほどに誇らしい』ことだった。

I will miss Steve immensely.
非常にさみしい。

こんなライバル、
うらやましいかぎり。

スティーブン・ジョブズ氏のご冥福を祈りたい。

さて、日本では、
政治資金規正法違反罪に問われた小沢一郎被告の初回公判。
無罪を主張し、「この裁判は打ち切るべきだ」と罪状認否。

意外にスピーディに審議が進む予定だが、
それでも来年3月ごろには結論が出る。

一方、ポール・クルーグマン博士が来日している。
現在、プリンストン大学教授で、
2008年ノーベル経済学賞受賞。
日本経済新聞記者に語った。
「今後、世界は、
50%以上の確率で景気後退に陥るだろう」

最大のリスク要因は「欧州の金融不安連鎖」。
そのうえで、米国の方は、
「オバマ政権が財政政策に動きにくい」と悲観的な見方。
「米欧の景気は後退しそうだが、
新興国は減速してもなお成長し続けるので、
世界全体で見れば緩やかな後退にとどまる」

「緩やかな後退」
これが世界の趨勢という意見。

クルーグマン教授は、米国の「日本化」も指摘した。
「金融危機のただなかにあった1998年の日本のようなもの」

さらに今現在の日本については、
「デフレから脱却できずにいることから、
実質金利が高くなっている」

実質金利とは、
「名目金利から物価変動率を引いた」金利。

「米国がゼロ金利政策をとるようになったなかで、
実質金利の高い円に上昇圧力がかかりやすくなっている」

緩やかな後退の中で、
円高もとどまらない。

これがポール・クルーグマンの見解。
この見方をベースにして、
「最悪を覚悟して、
最善を尽くす」

その具体的な方法は、
今月の商人舎標語。
「着眼大局 着手小局」

つまり、
①小さく始める
②ゆっくりと進める
③常に改善する

この姿勢。

さて、[帰国後の米国報告]第2弾。
スプラウツ・ファーマーズ・マーケット。
Sprouts Farmers Market
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本社所在地はアリゾナ州フェニックス。
CEOはショーン・ボニー(Shon Boney)
ホームページもある。

http://sprouts.com

21世紀に入って、2002年創業。
これもコーネル大学ビル・ドレイク教授が言うセオリー。
「インディペンデント企業の優位性」を地で行く会社。

要は家族経営・オーナーシップ企業

店舗数は61店舗(2011年6月現在)。
アリゾナ州 15店舗
カリフォルニア州 22店舗
コロラド州 9店舗
テキサス州 15店舗

経営理念は、
“アメリカ人の健康と長生き、そして節約のお手伝いをします”
店頭にはミッション・ステートメントが掲げられている。
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核となる価値提供は五つ。
①顧客価値
これが基本。

②ユニークネス
そのための先進的な創造性とイノベーション。

③integrity(真摯さ)
ドラッカー先生の最も重要視すること。

④loyalty
家族に、友人に、仲間に、顧客に。

⑤FUN
仕事と喜びを同時に実現する。

店舗に入ってみよう。
まず、1000坪ほどの広くて高くて簡素な建物。
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正面奥に、青果部門の売り場がデンとしつらえらえている。
これがこの「ファーマーズマーケット」フォーマットの特徴。
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ど真ん中は、このカラコンのきいた前進立体陳列。
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壁面の葉物を中核として、売場の前には、
腰高の平台がズラリと並ぶ。
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果物、根菜など、丸モノ関係が、
1コ売りで美しく陳列されている。
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果物のカラーリングはみごと。
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大ぶりのキャベツなどは、
一段低い平台。
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平台のアイランドには、
秤がセットされて、
顧客は自分で重量を測ることができる。
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トウモロコシの特売には顧客が殺到している。
自分で皮をむいて持ち帰る。
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この店舗中央のプロデュース売り場が、
ファーマーズ・マーケットの最大の特徴。

さて、入り口を入ったところには、
右手にハロウィンのプレゼンテーション。
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野菜・果物が核となる店だけに、
ハロウィンのカボチャのアピールは、
店の生命線。
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入り口を入ったすぐ右手は、
ドライフルーツが並んでいるが、
壁面には「フレッシュ・フラワー」のパネル。
ここには生花が並んでいたが、
売れないのでドライものの売り場に変えたものとみられる。
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ハロウィンの出迎えプレゼンテーシュオンの奥には、
ベーカリー。
インストアの焼き立てパンが並ぶ。
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パンから対面のデリカテッセン売場へと続く。
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対面惣菜デリ売場の前には、
平オープンケースのデリ売場。
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アメリカ人の生活の中で、
意外にもデリは幅広い。
もちろん日本ほどではないが。
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対面の惣菜売り場を「サービスデリ」と称し、
セルフサービスのデリ売場と区別して管理する。
人件費が大きく違うからだ。

デリ部門に続いて、店舗右翼は「ミート&シーフード」部門。
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こちらも対面の精肉・鮮魚部門とセルフの売場は、
完全に分かれている。
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この店全体が健康志向で貫徹されているから、
魚は充実しているし、精肉もオーガニック素材が揃う。

その前に、パスタのエンド。
パスタは健康食品。
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「健康を安く」がこの店のコンセプト。

パスタの島陳列の店舗中央側に、
ワインの島陳列売り場。
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デリ、肉、パスタ、ワインと、
コーナーの連続性がある。
これも店舗右翼。
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店舗中央のレジの真後ろ、
そして青果部門の手前が広大なバルク売り場。

そしてバルク売り場にコーヒー・コーナーがある。
題して「グルメ・コーヒー」。
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バルク方式は、顧客が好きな量を自分で選ぶことができる。
これは一人ひとりのカスタマーにとって究極の節約となる。
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コーヒー売り場のエンドには、
必ず、無料の試飲コーナーが設けられている。
これは必須。

トレーダージョーでもホールフーズでも、
コーヒーの無料試飲は必須。
覚えておいてほしい。

店舗中央レジ寄りのスペースは、
穀類売場といってよいバルクコーナー。
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この店は3分の1ずつに分割することができる。
中央の3分の1は、青果と穀類。
すなわち植物関連。
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ここが店の中心。

アメリカのスーパーマーケットは、
バルク販売を積極的に展開する。
それは顧客に安さを提供するためだ。
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これでもかとバルク販売。
顧客の間にもルールがあって、
異質物を混入させる不届き者はいない。
そんな顧客はこの店にやってこないし、
そんな顧客をむしろ排除しているのが、
ファーマーズマーケットということになる。

バルク・アイランドには、
四隅に樽などが配置されている。
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バルク売場の隣が、
ドライグロサリーの島陳列。
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そして店舗左翼手前は、
これも広大なバイタミン・ショップ。
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写真にはないが、この右手は、
店の奥正面に向かって、
冷凍食品や加工食品、卵の売り場となる。

そして店舗左手に対面のコンサルティングサービスコーナーと、
書籍コーナー。ここには健康関連書籍がしっかり品揃えされている。
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レジはさりげないホスピタリティにあふれている。
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いかがだろうか。
スプラウツ。
ファーマーズマーケットのフォーマット。
スーパーマーケットの業態に違いない。
食生活を中心にした内食材料提供業だ。

しかし従来のスーパーマーケットのセオリーを、
完全に無視している。

この店のフォーマットを、私は、位置付ける。
「大型八百屋+自然と健康コンセプト+便利なもの」

スーパーマーケット業態が多様化し、
営業形態が分化し、その一つが、
ファーマーズマーケットのフォーマットとなった。

ファーマーズマーケットというだけあって、
できるだけ地元農家から仕入れをする。
つまりは「地産地消」。

そして当然ながら、
オーガニック食品やビタミン剤・サプリメントなどの品揃えは、
他の追随を許さない。

これを超えるのは2社だけ。
ホールフーズとトレーダージョー。

いまや健康、安全のジャンルは、
この3者といってもよいくらい。

そして私はこの店を別名で呼ぶ。
「ベジタリアン・スーパーマーケット」

アメリカ人には菜食主義者が多い。
いわゆる「ベジタリアン」。

ホールフーズやトレーダージョーは、
ベジタリアンの店というほどまでに特化はしていない。

もっと大衆的だ。
だから大人気の店となる。

しかし大人気ではなくとも。
ベジタリアンとそのシンパ向けに特化すると、
存在の意義が出てくる。
それがファーマーズマーケットである。

だから野菜・穀類売場が、
店の中央にデント構える。

両サイドは、青果・穀類主義者にとって、
サブカテゴリーでよい。

それが肉であり、魚であり、デリであり、冷食である。

いかがだろうか。

このスプラウツ、今年後半に、
ヘンリーズ・ファーマーズマーケットと合併した

そして95店舗のチェーンストアとなった。
もう100店舗は間近。

ファーマーズマーケットのフォーマットの完成も、
間近となった感がある。

私は「業態」の概念だけでは、
どうも説明できない段階に来ていると考えている。
それを説明するに都合の良いのが、
ファーマーズマーケットだ。

ホールフーズ300店、
トレーダージョー350店、
そしてスプラウツ・ファーマーズマーケット100店

健康、安全、安心をコンセプトにしたフォーマットのイノベーションこそ、
アメリカの現段階とみることができる。
(ブログアップ時間はギリギリだけれど、まだまだ明日に続きます)

<結城義晴>

2011年10月05日(水曜日)

イオンによる中四国のマルナカ/山陽マルナカ買収劇の意味

「イオン、マルナカを買収」
今日の午後からインターネットで流れた衝撃のニュース。
日経新聞は夕刊一面トップで扱った。
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始まりは昨2010年8月11日の日経のスクープ。
このブログでは翌12日に取り上げた。

「イオンとマルナカ、包括的業務提携」

イオンは2010年度決算では、
セブン&アイ・ホールディングスに次ぐ日本第2位の小売業。

イオンは食品スーパーマーケット業態の、
ナショナルチェーン展開に力を入れていて、
北海道から九州までに子会社のマックスバリュ各社を配し、
カスミ、ベルク、いなげや、マルエツ、光洋などに資本参加。

2010年度の売上高と店舗数は、
マックスバリュ西日本 2444億円・161店
マックスバリュ東海     1564億円・90店
マックスバリュ九州     1189億円・111店
マックスバリュ中部     1184億円・88店
マックスバリュ東北      908億円・89店
マックスバリュ北海道    775億円・74店

持ち分法適用会社は、
マルエツ    3322億円・255店
カスミ        2186億円・139店
ベルク        1116億円・66店

資本提携企業は、
いなげや    2199億円・125店

そこにマルナカと山陽マルナカが加わる。
中四国最大のスーパーマーケット企業グル-プ。

香川に本拠を置く四国のマルナカと、
岡山に本部を持つ中国地方の山陽マルナカ。
両者で瀬戸内リージョナルチェーンを構築。

マルナカ       2068億円・139店
山陽マルナカ    1241億円・72店

これらをトータルすると、
イオン・グループのスーパーマーケット群は、
売上高が合計2兆0196億円、
総店舗数1409店となる。

しかしアメリカを見ると2010年度で、
クローガーの売上高821億8900万ドル、
1ドル100円換算で8兆2189億円。
総店舗数は3605。
宝石店チェーンの売上げも含んでいるが、
ほぼスーパーマーケットといってよい。

一方、セーフウェイは、売上高410億5000万ドル。
4兆1050億円、期末店舗数1694。

為替換算で1ドル76円とみると、
クローガーが6兆2463億円、
セーフウェイは3兆1198億円。

購買力平価で1ドル120円とみると、
クローガーは9兆8628億円、
セーフウェイは4兆9260億円。

人口はアメリカが3億人を超え、
日本が1億2700万人だから、
イオンも頑張っていることになるが、
1店当たり売上高で比較すると、
小型店が多いのが日本の特徴となるか。

買収の目途は11月。
多くの人が関心を持つ買収額は、
「400億円強」という報道が日経、
ロイターは「400億~500億円」と伝える。

さらにマルナカ・グループの約500億円の負債も、
イオンが肩代わりする。

マルナカ社長は、中山芳彦さん、
山陽マルナカ社長は、
その長男でマルナカ専務の明憲さん。

マルナカ・グループはいわばオーナーシップ経営で、
創業家などがほぼ全株式を所有する。

イオンは自己資金でその全株式を買い取って、
100%子会社とするが、
現経営陣は残って、
店名も「マルナカ」を変えない方針のようだ。

イオンは四国と岡山近辺の、
比較的弱い地域の店舗網を密にすることができる。
現在、四中国地方のイオングループは、
店舗数が360強に増加し、出店数トップ、
売上高も三番手からトップに躍進する。

そのことでさらに、
バイイング力がアップし、
商品調達力の強化を図ることもできる。

さらに11月に買収が完了すると、
2011年2月期連結売上高で、
セブン&アイ・ホールディングスを抜いて、
日本小売業トップになる見通し。

きわめてドライな言い方だが、イオンにとって、
「年商3300億円、210店舗の買い物」は、
ひどく安い。

イオンの大型M&Aは、
ダイエーと資本・業務提携した2007年以来。

負債を含む買収総額は、
ダイヤモンドシティの1663億円に次ぐ。

日経の記事は背景もよく抑えている。
マルナカが首都圏の「マルエツの約2%の株式を保有」。
そして「マルエツの筆頭株主は約32%を持つイオン」。
この買収によって、
イオンによる「マルエツの持ち株比率は、
間接的に3分の1を超える」。

「イオンは首都圏のカスミ、いなげや、ベルクにも出資しており、
今後、資本面を含めた関係強化に動くとの見方も出ている」

さらに、「山陽マルナカは今年6月、
独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で、
約2億円の課徴金納付と排除措置を命じられた」

イオンは人材を配置して、
コンプライアンスの徹底を図る。

今年、マルナカは創業50周年を迎える。

経営に関しては、
長男で専務の中山明憲さんへの「社長交代」が表明されている。

イオンの100%子会社になったとしても、明憲さんは、
現㈱マックスバリュ中部会長の中西進さん(元フレックス社長)らと、
同じようなルートを歩むに違いない。

もちろん本人次第。
一番プレッシャーを感じているに違いない。
頑張ってほしいものだ。
マルナカという会社にとっても、
世代交代が促進され、
私は「是」とみる。

私は1年前のブログで書いている。
「この包括的業務提携の意義は大きい」
それが一段と大きくなった。

「第一に、食品スーパーマーケットの業務提携であること。
イオンはスーパーマーケットに最大の力を入れている。
だから全国の食品スーパーマーケットに大きなインパクトを与える」
9月22日のブログで、セブン&アイによる近商ストアへの3割出資を報じた。
全国的には、こういった事例が促進されるだろう。
すこしずつ、アメリカの例に倣うことになりそうだ。

もちろんインディペンデント・スーパーマーケットには、
サバイバルの道が狭くなったわけではない。
大いに開けている。

コーネル大学ビル・ドレイク教授の言うがごとし。
「インディペンデントの優位性」
パブリックスもHEBも、
ウェグマンズもナゲット・マーケットも、
インディペンデントで十二分の仕事をしている。

トレーダージョーは、
ドイツ系資本のアルブレヒト・ファミリー傘下で、
感動的な店舗運営を続けている。

「第二は、中四国エリアの『クリティカル・マス』突破を狙っていること」
これは明らかだし、イオン自身のサバイバル戦略のひとつでもある。

この1年の間に、私は、
マルナカの店を何度か視察したが、
イオンのプライベートブランドが、
ほとんど並んでいないことが気になった。

業務提携とは異なる動きがあるのかと思った。

1年前のブログの終わりの方に書いている。
「マルナカよ、お前もか!」ではない。
「これも一局」である。

だから私の見解は変わらない。
「少なくともアメリカのクローガー方式を採用すべきだ。
間違ってもアルバートソン型に至ってはいけない」

当面は「マルナカ」の店名で、
明憲さんが社長の役目を果たすという方針だから、
これはクローガー方式を表明している。

その後は、しかし、
現マルナカはマックスバリュ四国となり、
現山陽マルナカはマックスバリュ西日本となる可能性もある。

「それもまた、一局」だとは、思う。

<結城義晴>

[追伸]
『帰国後のアメリカ報告』は本日、休載します。
明日に続きます。

2011年10月04日(火曜日)

[帰国してからの米国報告]その1・ホールフーズ「小さな、継続的イノベーション」の悲観と楽観

「悲観の中で生まれ、
懐疑の中で育ち、
楽観の中で成熟する」

米国の「相場の格言」。

しかし、こんな意見もある。
「世界景気には緩やかな不況か、
厳しい不況しか残されていない」

ニューヨーク大学ルービニ教授。

一方、米資産運用会社ピムコのビル・グロス最高投資責任者。
「世界の政策当局者がもし構造問題の解決に注力できれば、
不況を何とか回避し、
ニューノーマルにおける成長が可能になるかもしれない」
<日経新聞「ウォール街ラウンドアップ」から>

帰国して、1日。
旅の疲れをとりつつ、
執筆、テキストづくり。

次と、次の次が、控えている。

悲観論と楽観論。
その間の懐疑論。

どうも現時点では、
悲観論一色のようだ。

穏やかな不況か、
厳しい不況か。

「最悪を覚悟して、
最善を尽くす」

しかし、日本には、いいニュースもある。

新車販売に回復の兆し。
東日本大震災の影響に限らず、
1年間、落ち込んでいた。

9月の軽自動車を含む国内販売台数。
前年同月比2.1%減の46万2192台。
13カ月連続マイナス。

だが、下げ幅が少なくなったし、
46万台も売れている。

8月は前年同月比でマイナス22.4%。
大幅に縮小。

普通車はプラス1.77%で、
これが31万3790台。

こちらは13カ月ぶりの増加。

トヨタ自動車が0.7%増、
マツダが8.4%。

全滅ではなく、どこかが良い。

「どこかで春が」なんて童謡もあるくらいで、
どこかが良くなれば、風は吹く。

ヨットなど、
まったく風がないなぎの状態でも、
操作次第で前に進む。

風があれば御の字。

穏やかな不況か、厳しい不況か、とはいっても、
特に小売りサービス業は、
操作次第。

アメリカの絶好調組の実態を写真で紹介しよう。
今日はホールフーズ・マーケット。
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言わずと知れたオーガニック・スーパーマーケット世界第一。

2010年度の売上高90億0600万ドル。
いつものように1ドル100円換算すると、
9006億円にもなる。
売上高の伸び率は12.1%。
既存店の伸び率も7.1%。

純利益は2億4600万ドル、246億円。
この伸び率は67.3%とV字改革。
リーマンショックから完全に立ち直った。

期末店舗数も299まで伸びた。

渥美俊一先生の口癖。
「200店つくらなけりゃ、
チェーンストアじゃない」

ホールフーズはもう300店に手が届く。

店頭はハロウィン一色。
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その徹底ぶりがすごい。
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入り口を入ったところに、each(1コ)99セントのリンゴ。20111004200449.jpg

この店は青果部門だけ、
ワンウェイ方式で誘導するが、
左手はジュースやカットフルーツ。
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平台で奥に誘導する。
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入り口右手には、花売り場。
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これはアメリカのスーパーマーケットの定石。
日本でも本格的にイノベーションを図るべき。

中央平台手前に並ぶのは、
オーガニック・マンゴー。
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右手壁面は多段ケースで、
ピーマンやパプリカがカラーコントロールのお手本のよう。
上段はペッパー。
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「アンディ・スコア」の啓もうにも力が入る。
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右手のコンセプト・ボード。
オーガニックとは何か、
ローカルとは何か、
アンディ・スコアとは何か。
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ホールフーズのパネルには、
深い深い意味がある。
思いつきの内容ではない。

「地産地消」のLocal(ローカル)のパネル。
ホールフーズはファミリー・ファームをサポートする。
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左翼壁面はホールフーズ自慢のオーガニック野菜売場。
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平台の前面はアーティチョーク。
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平台にはアスパラガスとトウモロコシ。
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左が赤いトマト、中央が緑と黄色のレモン、
右が深緑のアボカド。
これをカラーコントロールという。
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ホールフーズのバナナ売り場。
左から黄色、青と、食べごろが違う。
それをお知らせしている。
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バナナが「フェアトレード」であることを訴えている。
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「Quality & Convenience」と訴求されたカット野菜のコーナー。
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左上からオレンジジュース、
左下は卵、
真ん中からサラダ葉物。
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そして朝食の提案。
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フレッシュ・ディップとカットフルーツ。
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真ん中は「オーガニック・ココナツ・ウォーター」。
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バケツに盛られた根菜類の島陳列が青果部門の最後にくる。
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この一角が新設された「ドライフルーツ・デポ」。
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「100%オーガニック・ビーガン・フード」と看板がある。
「べーガン」とは純粋ベジタリアンのこと。
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ドライフルーツが大量に保管された、まさに「デポ」。
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上段はパックに入ったドライフルーツ。
最下段はバルク販売。
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対面方式の鮮魚売り場。
これほどの品ぞろえも鮮度も、
他社にはない。
「シーフード・マーケット」と名付けられている。
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切り身はトレー陳列。
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フレッシュ・フィッシュは敷き詰められた氷の上に並べられている。
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真ん中の青い帯には、
「MSC」など環境・安全の説明。

対面売り場の鮮魚とシーフード・スープバー。
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青果部門と鮮魚部門の間に、
北米伊藤園の「ティーズティ」のペットボトルのアイランド。
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シーフード・マーケットの前には、
イートインの店内レストラン。
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ぐるりと囲むように、
テーブル席が設けられている。
この時、テーブルと椅子の位置が、
通行する顧客の目線よりはるかに高い。
それが大原則。
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Dairyは乳製品の売り場。
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大量のプライベートブランドが並ぶ。

ケージ・フリーなどが主体となった卵売り場。
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そして店舗中央壁面の精肉対面売り場。
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最近の工夫、
ガラスのRケースにペインティングしてアピール。
「Local Beef」
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飛び切りの豚肉、鶏肉売り場も商品は縦陳列。
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質問すれば必ず丁寧に答えてくれる。
試食を頼めば、快く提供してくれる。
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これもガラス・ペインティングされた自家製ソーセージ。
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対面に多段ケースのロテサリーチキン。
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生パスタ・ショップ。
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これだけ集めると他の追随を許さない。
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ワインショップにつながる。
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精肉とチーズ、デリとにまたがっているワインショップ。
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ワインショップを抜けると店舗右翼のサービスデリのコーナーへ。
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真っ先に目に飛び込んでくるのが、
円形の寿司コーナー。
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チーズ売り場も広大で幅広い品揃え。
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「The ABC’s」と名付けられたショップ。
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その真ん中の売り場。
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量販するチーズは2種類。
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サンドイッチ用のハム売り場。
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大皿盛りのデリ。
オーガニック素材で調理されている。
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ビストロメニュー。
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注文に応じてサンドイッチをつくってくれる。
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続いてピザの対面売り場。
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最後はナチョス(Nachos)の対面コーナー。
これにも人が集まっている。
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サービスデリの中央にはバーが並ぶ。
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サラダバー。
もちろんオーガニック野菜を使っている。
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温野菜のバー。
こちらもオーガニック主体。
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メニューはこんな感じでカラフル。
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デリとスープバー。
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ホールフーズの青果売り場を見て、
「ロスはどのくらいあるのか」との質問が多い。
大半はデリとして商品化するから、
ロスはほんのわずかとなる。

入り口近くにケーキ売り場。
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そして当然ながらバゲット。
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インストアベーカリー。
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クッキー売り場。
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中通路を戻ると、ゴンドラエンドは高い。
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人がついてジュース販売。
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ワインショップのエンド。
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チーズが関連販売されている。
スキンケアも健康志向。
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そしてリーチインケースの冷凍食品。
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リーチインケースの通路には、
1品大量の島陳列。
リーマンショック以降、
スーパーマーケットの原則回帰。
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大量陳列のエンド群。
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エンドはペットフード。
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これも伊藤園の「ティーズティ」のエンド。
伊藤園の売り込みはすごい。
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青果部門の裏側に戻って、
バルク売り場。
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レジはいつも混んでいるが、
顧客を待たせない。
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右翼入り口付近が人の出入りが激しい。
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店舗入り口横に料理教室。
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キッチンがあり、調理道具とテーブルが並んでいる。
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ホールフーズはこの2年ほどで、
すっかり元気を取り戻した。

悲観論から楽観論へ。
そのイノベーションの推移を私は見てきた。

それは小さな継続的な改善の繰り返しと積み重ねだった。
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小さな変化を見逃してはいけない。
小さな改革を見過ごしてはならない。

自分のイノベーションへの挑戦を考えれば、
それはすぐにわかる。

小さなことの継続、積み重ね。

それが悲観を楽観に変えてくれる。
(明日につづきます)

<結城義晴>

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