結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年07月09日(火曜日)

2024ニチリウバイヤー研修の「組織で学べ。」

2024年ニチリウグループバイヤー研修。

日本流通産業㈱が主催する。
その講師として今日と明日、講義する。

会場はホテルクライトン。
大阪の西中島南方。
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研修会場は2階の会議室。

今年は13社48名が受講。
昨年に比べて急増した。
私は今年通年のメッセージを、
「組織で学べ。」としたが、
ニチリウもいい傾向にある。
うれしいことだ。
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司会は日本流通産業の酒井幸男さん。
人事総務部部長。
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初めに酒井さんが、
日本流通産業の紹介をした。

1974年創業。

平和堂、オークワ、イズミ、さとう、
そしてライフコーポレーションなど、
リージョナルチェーン7社によって、
共同仕入れ機構として設立された。

今年6月に創立50周年を迎えた。

経営理念は
「小異を存(のこ)して大同につく」

現在、全国の19社が加盟する。
加盟社の年商総額は3兆6000万円。

オリジナルブランドの「くらしモア」は、
2020年にリブランディングされ、
扱い高も前年比8.9%増と好調だ。IMG_7258 (002)

結城義晴の講義は、
バイヤーのマーケティングとバイイング。
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バイヤーにはマーケティングが必須だと考える。

だから冒頭に、
マネジメント6つの体系を説明した。
マーケティング・マネジメントの位置づけが、
理解されねばならない。

そして、
「コロナは時間を早める」IMG_7262 (002)
トップマネジメントをはじめ、
会社全体でポストコロナの戦略を、
統一しておかねばならない。

だから「成長と膨張」を語り、
トレードオンを教える。IMG_7264 (002)

それからマーケティング・マネジメントの、
エッセンスを1時間でダイジェストする。
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マーケティングの定義から、
マーケティングの発展段階、
そしてマーケティングリサーチと、
マスマーケティング、
STPマーケティング、
マーケティングミックス。

最後に競争のマーケティング。

これ以上ないというくらいの、
コンパクトな講義。

しかしその本質は理解してもらう。
会社の外に向かって行う活動が、
マーケティングである。

昼食をはさんで、
午後は鈴木哲男講師の講義。
㈱REA取締役会長。

テーマは、
「バイヤーのための52週MD実務セオリー」と、
「ストアコンパリゾン」。
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52週MDを通じて、
組織横断的カイゼン活動をしなければならない。
鈴木講師の「52週MD」は、
「寄ってたかってやるシステム」である。
これはまさしく、
マーケティング・マネジメントなのだ。
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作演調の考え方を使いながら、
具体的な事例を交えて、
商品部の機能を解説してくれた。
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鈴木先生のストアコンパリゾンの手法は、
現場に基づいている。
だからバイヤーはすぐに、
行動に移すことができる。
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ストアコンパリゾンは、
チェーンストアが持つ優秀な、
マーケティングリサーチの方法である。

そして1日目の最終講義は、
再び結城義晴。
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パワポを使って、
コモディティ化現象を説明。
商品部はこの現代の大問題に、
対決しなければならない。

逆にそれを活かして世界一になったのが、
ウォルマートであり、コストコである。IMG_7284 (002)

さらにビッグデータの使い方、
そのさわりの部分を事例を使って指導した。IMG_7286 (002)

それから本論のバイヤーズマニュアル。IMG_7287 (002)
あっという間に講義時間は終わってしまった。

終日講義を聞きつつ、
受講生の学習を見守ってくれた田淵寿専務。IMG_7290 (002)

そして鈴木先生、
お疲れさまでした。
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講義を終えると、
受講生は8つの班に分かれて、
グループディスカッション。IMG_7295 (002)

明日の講義の後に、
グループ発表がある。

テーマは極秘。
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各グループの活発な議論を聞き回って、
時々アドバイスする。
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初日のプログラムが終わって、
19時からはレストランで懇親夕食会。IMG_7303 (002)

「くらしモア」のビールやハイボール、
つまみなどが用意されて、
互いに乾杯。
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私も事務局の酒井さんと松吉さんと乾杯。
松吉さんは人事総務担当マネージャー。IMG_7306 (002)

少し遅れて鈴木先生も参加。
再び乾杯!
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10時半から18時半までの講義。
そして19時から21時までの夕食懇親会。
充実した1日だった。

最後に2024年の商人舎標語。
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みんなで学べ。

「まなぶ」は「まねぶ」から生まれた。
学ぶことは真似ることから始まる。
創意を尊びつつ良いことは真似よ。

商人は商売と仕事から学ぶ。
会社と上司と仲間から学ぶ。
顧客と取引先と地域から学ぶ。

話を聞いて学ぶ。
本を読んで学ぶ。
体験して学ぶ。

みんなが学ぶ。
しかし優先されるべきは、
個人が学ぶことだ。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織学習の基礎となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。

「みんなで学ぶ」とは、
「チーム学習」とは、
学んだ者同士が対話することだ。

対話を通じて、
ビジョンを共有し、
成果を最大化させることだ。

ポストコロナの2024年。
学習する組織をつくろう。
みんなで学ぼう。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織学習の力となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。

〈結城義晴〉

2024年07月08日(月曜日)

大阪出張/北新地siaの絶品料理とヒュームの「人間本性論」

Everyone, Good Monday!
[2024vol㉘]

2024年第28週。
7月2週目に入った。

小暑となり、七夕も過ぎた。

いよいよ本格的な夏だ。

午前中は家で原稿書き。
新横浜を2時過ぎの新幹線で出発。

富士山の姿が見えた。
ありがたい。
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あの頂上のあたりに、
多くの登山者がいるのだろう。

平富郎さんは今の私と同じ年に登った。
私は56歳だった。
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あれから15年が過ぎる。

富士を見るといつも思い出す。
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平さんと握手。
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新幹線はずんずん進んで名古屋を過ぎ、
いつもの伊吹山。
稲田が美しい。
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そして新大阪に到着。
暑いけれど元気です。
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ホテルに入ってから、北新地へ。

KITASHINCHI sia。
鉄板焼きのお店。

看板が出ていないのでわかりづらいが、
開店して1周年を迎え、
固定客がついてきた。
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一品目は旬の鮎とキュウリ、ナスを、
春巻きのように巻いて焼き上げた逸品。
いぶりがっこのタルタルソースでいただく。IMG_5232 (002)

イカとヒラ貝とウニのカクテル。
背の高いグラスのような器に盛りつけられて、
美しいし、旨い。IMG_5233 (002)

シェフの宮脇和也さん。
実に丁寧な仕事を目の前で見せてくれて、
何ができるのだろうと期待が高まる。IMG_5235 (002)

トウモロコシのスープに
フォアグラが入っている。
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フォアグラを少しずつ、
甘いトウモロコシスープに絡めながらいただく。
フォアグラとコーン、見事にマッチする。IMG_5237 (002)

エビは焼きながら足をとり除いていく。
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出来上がったのがこれ。
ふわふわとした甘い身と、
パリパリとしたと頭としっぽの食感。
塩でさっぱりといただく。IMG_5241 (002)

アワビが登場。
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焼き上げたアワビに肝ソース。
石の皿にアルコールを振りかけて、
温めて提供してくれた。IMG_5248 (002)

いよいよメインの田村牛。
故安倍晋三首相が、
トランプ大統領を接待したときに、
出された牛肉だ。
脂身が少なく、
肉本来のおいしさを味わえる希少牛。IMG_5251 (002)

ミディアムレアで焼き上げる。
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ナスとヤングコーンとエリンギ、ニンニクを添えていただく。
ヤングコーンはひげ付きのまま焼いた。
すべておいしかった。IMG_5254 (002)

〆はガーリックライスとみそ汁。
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最後に自家製のプリンが出て、
すべて平らげて大満足。

㈱アドバンスの磯田雅人社長ご夫妻と
㈱今津の今津龍三会長ご夫妻が、
近くで会食していたと言って、
立ち寄ってくれた。

全員で、写真。
私の隣から磯田ご夫妻、今津ご夫妻、
JTBの小阪裕介さんと亀谷しづえGM。IMG_5249 (002)

谷口梓シェフと宮脇シェフ。IMG_7246 (002)
いい店だった。

大阪の暑さも忘れるほどだった。

朝日新聞「折々のことば」
第3137回。
人間は……
諸対象について判断するのに、
その内在的な価値からではなく、
比較によって行なうのが常である。
(デイヴィッド・ヒューム)

「一方の手を温め、片方の手を冷やしておくと、
同じ水が冷たくも温かくも感じられるように、
激痛の後に続く軽い痛みは快くさえ感じられ、
軽い痛みの後に続く激痛は、
『二倍つらく不快なもの』になる」

「人の判断はそうした力学に支配されている」

『人間本性論』第2巻「情念について」から。
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1711年生まれ、1776年没。
スコットランドの哲学者。

高校の倫理社会の上田先生が、
ジョン・ロックやフランシス・ベーコン、
トマス・ホッブズの次あたりで、
ヒュームを教えてくれた。

代表的な経験論者であり啓蒙思想家。

たとえ話がとてもいい。
激痛の後に続く軽い痛み、
軽い痛みの後に続く激痛。

最近の料理は柔らかすぎる気がする。
柔らかい肉がイコール美味しいとなる。

しかし一方の手を温め、
片方の手を冷やしておくと、
同じ水が冷たくも温かくも感じられる。

料理の極意もここにある。

siaの美味しい鉄板焼きを経験して、
それを感じた。

二人のシェフにもそれを伝えた。

二人ともよくわかっていた。

ご馳走様。
ありがとう。

では、みなさん、今週も、
丁寧に仕事を。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年07月07日(日曜日)

東京都知事選と将棋王位戦とクスリのアオキの小型企業買収

七夕。
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梅雨前線が九州付近を北上し、
九州は午前を中心に所々で激しい雨だった。
一方、高気圧圏内の近畿から北海道は、
晴れた所が多くて、厳しい暑さだった。

猛暑日は全国62地点で、今年最多となった。

暑い暑い織姫と彦星の逢瀬の日だった。

東京都知事選挙。
現職の小池百合子知事が圧勝。

この選挙はこれまで、
現職が負けたことがない。

東京という世界有数の先進都市は、
以外にも保守的なのか。

それとも圧倒的に人口が多いところは、
統計的には保守に傾くのか。

両方だろう。

石丸伸二前広島県安芸高田市長が、
蓮舫立憲民主党参議院議員を凌いで、
第2位に入った。

知事選挙で銀メダルは、
何の意味もないが、
広島から国政選挙に出馬するだろう。

その実績はつくった。

徹底したSNS選挙運動は、
時代を変えるに違いない。

第65期将棋王位戦第1局。
2日制の2日目。

藤井聡太七冠(21歳)に渡辺明九段(40歳)が挑戦。
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後手の渡辺が研究の成果を見せて健闘。
わずかにリードしつつ膠着状態が続いた。

15時44分、「千日手」となって、
30分後に先手後手が入れ替わって、
差し直し。

持ち時間は渡辺が2時間以上、
藤井は1時間ほど。

こちらも渡辺が先手での研究の成果を見せて、
堂々の差し回し。

AIの評価は渡辺99%、
藤井1%というところまで追い込んだ。

藤井はいつものように、
後悔の表情を見せつつ、
難解な局面に持ち込んだ。

解説の鈴木大介九段は、
完全に渡辺の詰め筋を読み切ったが、
当の渡辺はその筋が見えず、
世紀の大逆転となった。
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感想戦でそれが判明した。
渡辺は正直に「見えていなかった」と発言。

しかし藤井聡太を相手に、
二局も将棋を指して、
渡辺の頭は疲労困憊だったに違いない。

局後、おーいお茶を飲む渡辺九段。
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終局後は二人とも、
敗者のようだった。

それだけ凄い対局だった。

最後に商人舎流通スーパーニュース。

クスリのアオキnews|
ムーニー(香川県・7店)、木村屋(千葉県・4店)をM&A

㈱クスリのアオキホールディングスが、
またまたスーパーマーケット2社を買収した。
クスリのアオキ②

千葉県市原市の有限会社木村屋(木村等社長)。
1987年8月創業。
スーパーマーケット4店舗を展開し、
2024年2月期売上高62億7100万円、
経常利益6300万円。

さらに香川県高松市の㈱ムーミー(村上達也社長)。
こちらはスーパーマーケット7店舗、
2023 年7月期の売上高60億3000万円、
経常利益6900万円。

クスリのアオキの2024年5月期売上高は、
4368億7500万円、前年比15.3%増。

日本小売業ランキングでは、
47位から39位に躍進した。

ドラッグストアランキングでも、
クリエイトSDを抜いて第6位。

60億円級の2社、11店舗が加わる。

コロナ禍の2020年6月、
㈱ナルックスを買収して子会社化。
石川県金沢市の5店舗。

同10月、㈱フクヤを同じく買収。
京都府北部の舞鶴市、宮津市で、
スーパーマーケット8店舗を経営。

2021年5月、
有限会社サン・フラワー・マリヤマを買収。
石川県輪島市で2店舗をもつ。

同6月、㈱スーパーマルモから、
スーパーマーケット事業を継承して、
ナルックスに組み込んだ。
茨城県土浦市で7店舗展開。

2022年3月、㈱一二三屋を吸収合併。
福島県いわき市で4店舗。

2023年3月、㈱ホーマス・キリンヤと、
その傘下の㈱フードパワーセンター・バリューを買収。
岩手県と宮城県で6店舗運営。

さらに同12月、
㈱三崎ストアー(石川県金沢市)から、
スーパーマーケット3店を譲受。

今年3月、㈱サンエー(新潟県糸魚川市)から、
スーパーマーケット2店を譲受。

小規模スーパーマーケットの経営が、
苦境に陥っている。

だから売り手と買い手のニーズが合致して、
買収しやすい条件は整っている。

しかしこれだけの条件の悪い店を買い取って、
そのマネジメントはどうするのか。

懸念はある。

ただし競争力のないスーパーマーケットも、
ドラッグストア併設型に転換するから、
大きく蘇る可能性がある。

それが都合48店舗となった。

まだまだクスリのアオキの買収は続く。
小規模小型のスーパーマーケットが、
この指とまれで、
参集するかもしれない。

コロナは時間を早めた。

その対象となる企業は、
少なくはない。

〈結城義晴〉

2024年07月06日(土曜日)

「民主主義の多数決」を考察しつつ「暑中」お見舞い申し上げる

二十四節気の小暑。
「しょうしょ」と読む。

梅雨明けが近づき、
暑さが本格的になるころ。
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明日は七夕。

暑中見舞いを出す時期は、
小暑が過ぎて立秋までの間。

毎月トップの皆さんにレターを送っている。
7月の冒頭のあいさつは、
「暑中お見舞い申し上げます」とした。

小暑はまだ梅雨の間だが、
暑い、暑い。

今日は一歩も外に出なかった。

暑中、お見舞い申し上げます。

さてイギリスでは、
下院の総選挙が行われた。

二大政党制のイギリスだが、
野党だった労働党が、
6割を超える議席を獲得して圧勝。

労働党キア・スターマー党首が、
首相に就任した。

14年ぶりに保守党から政権を奪還。

トニー・ブレアが1997年から2007年まで、
ゴードン・ブラウンがさらに2010年まで、
労働党党首として首相に就任していた。

それ以来だ。

毎日新聞巻頭コラム「余録」
スターマー評。

「スターマー氏は派手なパフォーマンスをせず、
“退屈”とすら評される堅実さが持ち味だ」

「経済成長重視の中道寄り路線を掲げ、
産業国有化の公約取り下げなど
党の左派色を修正しての勝利だ」

これは日本の野党にも必要だろう。

「結局、保守党政権の14年は
欧州連合(EU)からの離脱を巡る迷走と、
その後遺症に終始したということだろう」

「ジョンソン元首相のスキャンダルや
50日で終わったトラス政権など、
混乱も続いた」

一方、「6人のレームダック」の話。
原語は「足の不自由なアヒル」。
それが「死に体の政治家」の意味で使われた。

今年の6月13日と14日に、
イタリアのプーリアで開催されたG7サミット。
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先進7カ国の首長とEUの大統領&委員長で9人。

米国メディアのPOLITICOが報じた。

このG7は、
「史上最も弱い指導者の集まり」であり、
イタリアのジョルジャ・メローニ首相以外は、
「レームダックだ」、と。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領、
イギリスのリシ・スナク首相。
ドイツのオラフ・ショルツ首相、
カナダのジャスティン・トルドー首相、
アメリカのジョー・バイデン大統領、
そして日本の岸田文雄首相。

余録。
「スナク英首相の退陣で、
さっそく退場者が出た」

「米国のバイデン大統領は討論会の失敗で、
大統領選の候補交代論に直面」

「内閣支持率が低迷する岸田文雄首相は
秋の自民党総裁選への出馬を
まだ表明していない」

スナク44歳、マクロン46歳、
トルドー52歳、
ショルツと岸田が66歳、
そしてバイデンが81歳。

あっちでもこっちでも、
老いも若きも、
為政者たちは危機的な状況を迎えている。

フランス総選挙の決選投票は明日7月7日。
極右政党が躍進している。

一方、日本では、
東京都知事選が同じく7月7日。

世界中が政治の季節だ。
けれどその世界の政治が、
ことごとく大停滞している。

独裁以外の政治は基本的に、
多数決で為政者が決まる。

そして政治家はこの多数決を得るために、
全精力を傾ける。

ここに問題があると思う。

もし企業の経営の場合も、
多数決でトップを決めるとしたら、
多分、混迷を極めるに違いない。

オーナーシップ経営に強みがあるのも、
多数決ではないからだ。

それを政治に持ち込んでいるのが、
習近平であり、プーチンであり、
金正恩である。

これでは民主主義はかなわない。

したがって多数決の民主主義においては、
圧倒的に支持を集めるトップでなければならない。

そんな為政者の登場が待たれる。

ブレーズ・パスカルの『パンセ』
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「力のない正義は無力である。
正義のない力は暴君である」

「力のない正義は反対される。
なぜなら、いつの時代でも
悪人というものがいるからだ」

「正義のない力は非難される」

「したがって正義と力は、
一緒にしておかなければならない」

「そのためには、
正しいものが強いか、
力のあるものが正しいか、
どちらかでなければならない」

今、世界の政治は、
このどちらでもない。
「レームダック」だからである。

そこに不幸がある。

商売の世界も、
経営の世界も、
良い経営は同じである。

正しいものが強いか、
あるいは強いものが正しいか。

チェーンストアにおいても、
製造業や卸売業においても、
成長している企業は、
必ずそのどちらかである。

〈結城義晴〉

2024年07月05日(金曜日)

離島振興地方創生協会総会と「希少性」の現代価値

毎日のように、
この夏の最高気温を更新している。

横浜の新子安駅から京浜東北線に乗って、
東京の新橋へ。

そこからゆりかもめに乗り込む。
東京湾に架かるレインボーブリッジ。
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台場海浜公園のフジテレビ本社。IMG_5146 (002)

そしてお台場のホテル。
グランドニッコー東京台場。IMG_5150 (002)

離島振興地方創生協会。
略して、「離創協」。
その定時総会と懇親会。IMG_7208 (002)

懇親パーティーでは冒頭に、
理事・幹事・顧問の皆さんが壇上に上がって、
一人ひとり紹介される。IMG_7168 (002)1

ずいぶん多くの人たちが参集した。IMG_7182 (002)

理事長の千野和利さんの挨拶。IMG_7175 (002)

阪急百貨店で10年、
阪急オアシスで18年、
そしてこの離創協で5年。

千野さんの情熱と行動力で、
正会員74社、賛助会員84社の協会となった。
そのうえで離島の産物を、
販売する仕組みが出来上がりつつある。IMG_7177 (002)

長崎県知事の大石賢吾さんが、
激励の挨拶。
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精神科医で県知事の41歳。
五島列島出身で実家は養鶏場。

離島振興と地域創生を知事として推進すると表明。IMG_7185 (002)

乾杯のご挨拶は、
三菱食品社長の京谷裕さん。
最近は様々な会合で挨拶をする。
人気の語り手だ。
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それは京谷さんが率直であって、
しかも的確なスピーチをするからでもある。

そして乾杯。
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㈱ヤオコー会長の川野幸夫さん。
浦和高校の後輩の皆さんと、
会話が弾んだ。
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その浦校後輩の舘逸志さん(左)と末松広行さん(中)。
舘さんはいま埼玉大学経済学部客員教授、
末松さんは東京農業大学特命教授。
日本標準産業分類で、
食料品スーパーが戸籍を得たが、
お二人が力を貸してくれた。IMG_7198 (002)

長崎の人たちが登壇して、挨拶。
五島市長の野口市太郎さん。IMG_7206 (002)

離創協に関係する地方の人たちが、
次々に登壇して活動を報告した。

離創協の映像も流された。

そのなかで、
「恵(めぐみ)の離創協」と言った人がいた。
その通りだと思った。

この協会は社会に恵をもたらす。

垣添直也さんは、
マリン・エコラベル・ジャパン協議会会長。
水産業界の重鎮の㈱ニッスイ元社長。
水産に関することは何でもご存知。
今度、インタビューすることになった。
よろしくお願いします。IMG_7209 (002)

それから遠藤正敏さんは、
離創協の理事で元㈱いなげや会長。
私と同年で親しくさせていただいている。IMG_7217 (002)2

中締めは万代社長の阿部秀行さん。
この離創協を通じて、
年間3億円以上のイベント販売をしている。

言いにくいことをズバリと言って、
拍手喝さいを浴びた。
さすがに阿部さんだ。
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その阿部さんと、
いつものツーショット。IMG_7219 (002)2
お疲れさまでした。

最後は千野和利さん。
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固い握手。

千野さんは私の師匠だ。
その考え方、動き方、
見習うことばかりだ。

ありがとうございました。

暑い暑い東京から横浜商人舎オフィスに戻る。
『セルコレポート』が届いていた。
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表紙は井原實理事長の写真。

私の連載は「艱難は商人を鍛える」
自分のことを書くシリーズの最終回。
「押す力と引く力」IMG_5155 (002)
ご愛読のほど、お願いします。

今日の「折々のことば」
もちろん朝日新聞一面コラム。
第3136回。
鷲田清一さんの編著。

私たちは、豊かさの中から
稀少性(きしょうせい)に満ちた社会を
創り出してきたのである。
(ニコラス・クセノス)

「物資の欠乏や不足を意味する稀少性は、
貧しい社会でなく豊かな社会が、
市場で商品を回すために生みだしてきた」

希少性は「scarcity(スケアシティ)」。
もともとは「必需品の欠乏、不足」の意味。

豊かな社会だからこそ、
希少性が価値を持つ。

「人々はその中で己に固有の存在を
確証するためにモノを求めるが、
そのことで自分がいつも
欠損状態にあると感じ、
モノへの欲望を不断に
駆動させなければならなくなった」
『稀少性と欲望の近代』から。
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離島の商品や地方の産品は、
この現代のscarcityのなかで、
大きな可能性をもっているのだと思う。

〈結城義晴〉

2024年07月04日(木曜日)

クスリのアオキの「20日締め決算」と米国超高級百貨店の経営統合

この夏一番の猛暑。
アロハ姿です。

その暑さの中で、
月刊商人舎7月号、
責了しました。

すべて終わったので、
写真を撮りましょう。
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はい、お疲れ様。
私は[Message of July]のゲラを持って。
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広告は㈱寺岡精工です。
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ありがとうございます。

デザイナーの七海真理さんから、
印刷所に回って、5日間で刷り上がり、
製本が終わります。

楽しみです。

商人舎流通スーパーニュース。

クスリのアオキnews|
’24年商4369億円15.3%増・経常利益5.1%増

㈱クスリのアオキホールディングス。
決算期は5月。
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その連結業績の期間は、
2023年5月21日~2024年5月20日。
20日締め。

ウエルシアホールディングスは、
2023年3月1日~2024年2月29日。
月末締め。

マツキヨココカラ&カンパニーは、
2023年4月1日~2024年3月31日、
月末締め。

ツルハホールディングスは、
2023年5月16日~2024年5月15日、
15日締め。

まだまだ20日締めや15日締めの企業がある。

長年の習慣で続けているのだろうが、
月末締めにしたほうが、
何かと便利なのではないか。

余計なお世話だけれど。

ツルハはウエルシアとの経営統合で、
おそらく月末締めになるだろう。

それがいい。

クスリのアオキの売上高は、
4368億7500万円。
前年比15.3%増。

日本小売業ランキングでは、
47位から39位に躍進する。
202406_ranking

ドラッグストアランキングでも、
クリエイトSDを抜いて第6位。
202406_Drugstore_Ranking (1)

営業利益185億6900万円で21.4%増、
経常利益201億0100万円で5.1%増。

営業利益率4.3%、経常利益率4.6%。

ドラッグストアは年間に、
45店舗を新規出店した。
ドラッグストア併設調剤薬局は、
70薬局を新規開設。

さらにM&Aでスーパーマーケット10店を獲得。

グループ店舗数は、
ドラッグストア936店舗、
内、調剤薬局併設594店舗、
調剤専門薬局6店舗、
スーパーマーケット11店舗。
合計で953店舗。
次の年度は1000店体制となる。

躍進が進めば進むほど、
M&Aの可能性も高くなる。

いつも言うけれど、
成長と膨張は異なる。

故田島義博著『成長と膨張』

「規模拡大は、
成長によってももたらされるが、
膨張によってももたらされる」

「外見的には同じような規模拡大も、
成長と膨張では、全く意味が違う」

「すべての規模拡大が、
規模経済を結果するとは限らない」

「企業が膨張ではなく、
本当の成長をしているとしても、
成長そのものが、
成長阻害要因を生むことによって
成長を制約するようになる」

そこで重要な3点。
第1に規模拡大には成長と膨張があって、
膨張であってはいけない。

第2に規模拡大は、
規模の経済を成果とするだけでなく、
規模の不経済を生むことがある。

そう、規模が大きくなることは、
規模の不経済を生む危険性をはらむ。

さらに第3に、
きちんとした成長そのものが、
成長阻害要因を生んで、
成長を制約することがある。

成長しているときこそ、
膨張か否かを強く自覚しなければならない。

一方、米国百貨店。
日経新聞が報じた。

「米高級百貨店サックス、同業を買収へ」

サックス・フィフス・アベニュー。
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親会社はハドソンズ・ベイ・カンパニー。
カナダに本拠を置く多国籍小売業。
百貨店はハドソン・ベイ、
ディスカウントストアのゼラーズ、
さらにホームアウトフィッターズを展開。

そのハドソン・ベイが、
ニーマン・マーカスを買収した。
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どちらも超高級百貨店。
買収額は26億5000万ドル(約4200億円)。

合併して新会社をつくる。
「サックス・グローバル」

アマゾン・コムやセールスフォースが出資。
物流やAIなどのノウハウを共有する。

もちろん店名を変えたりはしないと思う。

それでも超の着く高級百貨店も、
どんどん経営統合していく。

サックスとニーマン・マーカス。

ここでも膨張であってはならない。

何しろ会社は、
大きくなるほどに、
経営が難しくなるのだから。

〈結城義晴〉

2024年07月03日(水曜日)

新しい日本銀行券発行日の福沢諭吉と渋沢栄一

瑠璃茉莉。
IMG_5130 (002)

紫陽花に似ている。
IMG_5131 (002)

紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘
〈正岡子規〉

1日がかりで7000字の原稿を書いた。
ずっと考えていたことを、
整理できたと思う。

表紙のCoverMessageもできた。

満足な一日だった。

7月3日。
新しい日本銀行券の発行。

1万円札の顔は渋沢栄一。
日本の資本主義の父。
約500にも及ぶ企業を設立した。
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5千円札は津田梅子、
6歳で渡米した日本初の女子留学生、
帰国してから女子教育の先駆者となった。
津田塾大学の創始者。

千円札は北里柴三郎、
近代日本医学の父。
破傷風菌の血清療法を開発、
ぺスト菌も発見した。

日本のお札はよくできている。

アメリカのドル札は、
全部サイズが一緒で困る。

朝日新聞「天声人語」

目の見えないレイ・チャールズは、
若い時にそれで騙されそうになった。
1ドル札を渡されて5ドルだと嘘をつかれる。

以来、ギャラなどは全部、
1ドル札でもらうことにした。
あだ名は「ミスター・1ドル札」となった。
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日経新聞「春秋」

「改刷は偽造防止が主目的だ」
改刷は2004年以降20年ぶり。
「顔」が変わったのは1984年以来40年ぶり。

紙幣の発行残高は約120兆円。
そのうち、半分の約60兆円がタンス預金。

それが消費に回れば、
どれだけ経済が回るか。

キャッシュレス化が進む中の改刷。

日本のキャッシュレス比率は約4割、
中国や韓国は8~9割超。

日本政府のキャッシュレス比率目標は8割。

新札発行はそれにブレーキをかけるか。

現金決済のインフラの維持コストは年2.8兆円。
これは国のコスト。

一方、民間の経費もかかる。
新紙幣発行でATMや券売機の改修は必須。
コスト高に苦しむ中小飲食店などでは、
対応済みは半分程度にとどまる。

私はいつも福沢諭吉を10枚見当で、
財布に入れている。

一挙に使うことはない。

若いころは3枚くらいだったか。
それから5枚くらいになった。

編集長のころ部下の編集部員に言っていた。
「1000円×年齢は絶えず持っていること」

年を取って10枚入れていると、
減ることがない気がする。

不思議だ。

クレジットカードを使う機会が、
圧倒的に増えたからだろうか。

このままでいくと、
私の福沢さんは渋沢さんに変わることはない。

その福沢と渋沢のエピソード。
毎日新聞「余録」

「官尊民卑の気風最も盛んなる世の中に」
「初志を貫いてついに今日の地位を占め、
天下一人として日本の実業社会に
渋沢栄一あるを知らざるものなし」
福沢諭吉の渋沢評。
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5歳年下の渋沢は初対面の際、
「いっぷう変わった人」と感じた。

大隈重信邸で将棋を指した。

福沢。
「商売人にしては割合強い」

渋沢。
「へぼ学者にしては強い」

つかず離れずの関係だった。

福沢の主張。
「実業界と政界を同列に扱うべきだ」

渋沢は大いにうなずいた。
私も同感。

そこで福沢は「官尊民卑」の言葉を広めた。
官が尊ばれ、民が卑しめられている。

渋沢も嘆いた。
「官にある者ならば
いかに不都合な事を働いても
大抵は見過ごされてしまう」

時代は変わった。
「民尊官卑」とまではいかないが、
官になりたがらない若者が増えた。

それでもいまだ官尊民卑はある。
士農工商と同じだ。

古い意識はなかなか消えてはいかない。

コラム。
「主役交代を機に民の力で
円の価値が十分に発揮される時代が
来ないものか」

それしかないと思う。

福沢や渋沢と、
将棋を指してみたかった。

角換わりの現代戦法を使ったら、
二人とも驚くだろう。

執筆原稿に満足して、
そんな大それたことも思った。

〈結城義晴〉

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