2020年3月の標語

「いつもの生活を続けよう」

昨2019 年12 月に中華人民共和国湖北省武漢市を感染
源として発生した新種のコロナウイルスが、ヨーロッパ中
世のペストのごとく世界を駆け巡り、現代社会に大打撃を
与えている。

世界保健機関(WHO)は2 月11 日に、この新型コロ
ナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19(coronavirus
disease 2019)」と定めた。
そしてこのCOVID-19 の発生と感染拡大は日本経済に
打撃を与えた。国民の生活様式を変えた。消費や購買に
も変容を迫った。「巣ごもり消費」が顕在化した。

アルベール・カミュはフランスのノーベル文学賞作家
である。代表作は第1 作の『異邦人』、そして第2 作の『ペ
スト』。その『ペスト』の中にある( 宮崎嶺雄訳)。

「天災というものは、事実、ざらにあることであるが、
しかし、そいつがこっちの頭上に降りかかってきたときは、
容易に天災とは信じられない。この世には、戦争と同じく
らいの数のペストがあった。しかも、ペストや戦争がやっ
てきたとき、人々はいつも同じくらい無用意な状態にあっ
た。」

しかしいったんペストが認識されると、人々はパニック
に陥る。
「十人も死亡者が出ると、もう、世界の終わりって騒ぎだ。
そんなことじゃないんですよ、今必要なのは」

その通りだ。パニックに陥った瞬間、ペストもコロナも
人災となる。

小説の中では、ペストは突然、思いがけなくも退潮し
ていく。しかしカミュは、主人公に最後に語らせる。

「ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないもの
であり、( 中略) おそらくはいつか、人間に不幸と教訓を
もたらすために、ペストがふたたびその鼠どもを呼びさま
し、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差向ける日が来
るであろうということを。」

ペストという名ではなく、戦争という名で何度も
やってきたし、冷戦という名で訪れた。そして今、新型コ
ロナという名でやってきた。カミュの予言通りだ。

イタリアはミラノのアレッサンドロ・ヴォルタ高校。
イタリアは中国・韓国と並んで、米国から渡航禁止区域に指
定された。日本同様に学校は臨時休校となった。

ドメニコ・スキラーチェ校長は、同校のホームページに
「ヴォルタ高校の生徒へ」と題したメッセージを書いた。

イタリアの文豪マンゾーニは、国民的文学作品『いい
なづけ』で、1630 年のペスト流行の様子を描写した。校
長はこのマンゾーニを引用して語り掛ける。

「そこには外国人への恐怖、感染源のヒステリックな捜
索、専門家への軽蔑、デマ、ばかげた治療法、必需品の
盗難……すべてのことがあります。これらはマンゾーニの
小説からではなく、今日の新聞から出てきたかのようです」

「冷静さを保ち、集団のパニックに巻き込まれないこと。
予防策を講じたうえで、いつもの生活を続けてください。
せっかくの休みだからこそ、散歩をしたり、良い本を読ん
だりしてください。体調に問題がなければ、家に閉じこもっ
ている理由はありません」

「この手の危機に打ち勝つ際の最大のリスクについて
は、マンゾーニやボッカッチョが教えてくれています。そ
れは社会生活や人間関係の荒廃、市民生活における蛮行
です。見えない敵に脅かされた時、人はその敵があちこち
に潜んでいるかのように感じてしまい、自分と同じような
人々も脅威だと、潜在的な敵だと思い込んでしまう、それ
こそが危険なのです」

「合理的な思考で私たちが持つ貴重な財産である人間
性と社会とを守っていきましょう。それができなければ、
本当に“ペスト”が勝利してしまうかもしれません」

「学校で待っています。ドメニコ・スキラーチェ」

冷静さを保ち、集団のパニックに巻き込まれない。予
防策を講じたうえで、いつもの生活を続けよう。仕事に邁
進しよう。散歩をしたり、良い本を読んだりしよう。合理
的な思考で、人間性と社会を守っていこう。今日も明日も、
いつもの生活を続けよう。

劇作家・演出家・役者の野田秀樹が3 月1 日、自身の
ブログ「野田地図」に書いている。タイトルは「意見書
公演中止で本当に良いのか」。

「演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です。ひとたび
劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、そ
れは『演劇の死』を意味しかねません」

「劇場公演の中止は、考えうる限りの手を尽くした上で
の、最後の最後の苦渋の決断であるべきです。いかなる
困難な時期であっても、劇場は継続されねばなりません」

野田の言う「劇場」は、子どもたちと教師にとっては「学
校」である。経営者にとっては会社であり、労働者にとっ
ては職場である。
そして商業人にとっては「店」である。
いかなる困難な時期であっても、劇場も学校も、会社も職
場も、そして店も継続されねばならない。

〈結城義晴〉

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