結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年12月09日(水曜日)

コーネル・ジャパン第二期12月講義は結城義晴・荒井伸也・矢作敏行の理論編

日本経団連会長の御手洗冨士夫さんの発言。  
タイ、シンガポール、ベトナムを訪問中、
随行記者団の取材に対して日本の国内景気を展望。
日経新聞に掲載されているが、
ここに少しだけ夢が感じられる。

「日本の国内景気も来春以降、緩やかに回復する」
「アジアをまわると回復の足取りが力強い」
「日本も密接な関係があるため、
V字回復ではないが来春から段々とあがる」

御手洗さんはご存知、キャノン会長。
だから輸出に展望を見出す。

日本の景気も、まず輸出が伸びて、
国内経済が活性化し、
それがやがて雇用や賃金に反映され、
内需につながる。

「来春以降、緩やかな回復」  

そんな希望を持って、仕事に臨みたい。

もちろん景気が少し回復したからといって、
すべての店にその恩恵がもたらされるわけではない。

「厳しさに学べ」を貫いてきた企業や店に、
好況はより多くのご利益を提供する。

さて、イオンが米国の子会社タルボットを売却する。  
岡田元也社長は、かつて、
タルボット社長からトップマネジメントのキャリアを始めたから、
忸怩たるものがあるだろうが、
最後の決断をした。

この意思決定は、正しい。

ピーター・ドラッカーが、初対面の時に
ゼネラルエレクトリック社長のジャック・ウェルチに言った言葉。
「あなたにとってドキドキワクワクする仕事はありますか。
あなたにとってドキドキワクワクする仕事はどれですか。
ドキドキワクワクする仕事だけしなさい。  
それ以外は他人に任せなさい」

これがジャック・ウェルチの「選択と集中」戦略になった。

一方、西友が「円高還元セール」を始めた。
合計約150品目の輸入商品を最大50%の値下げ。
この商人舎ホームページのトップに流れている流通ニュースの最新記事。
今日12月9日から1月3日まで。
ご存知、世界最大の小売業ウォルマート傘下で、
収益性の抜本改革に取り組む西友。

しかしウォルマート西友の「円高還元セール」には、
ウォルマートのグローバル調達網活用によって、
パワーとリアリティがある。

昨日から、コーネル大学RMPジャパンの12月講義。  
冬晴れの東京・市ヶ谷、法政大学ボアソナードタワー。              
1
その25階が、私たちの教室。
2
12月の最初の講義は結城義晴。
「チェーンストア経営概論」  
3
ゴドフリー・レブハーの『チェーンストア』(商業界刊)と、
渥美俊一先生の『商業経営の精神と技術』(同)、
さらに『21世紀のチェーンストア』(実務教育出版)などから、
チェーンストアの本質と社会的任務などをレクチャー。
4
1940年、JCペニー社長のアール・C・サムズが、
「買物街の解放」という報告書を書いた。
ここにチェーンストアの社会的機能19項目が上げられている。
(1)チェーンストアは、生活水準を向上させる。
(2)チェーンストアは、小さな町々の事業並びに購買力を保全する。
(3)チェーンストアは、地方的企業の所産である。
(4)チェーンストアの株式の所有は、広く分散されている。
(5)チェーンストアの本社事務所は、国内至る所に配置されている。
(6)チェーンストアには、兼任経営が存在しない。
(7)チェーンストアの賃金給与は、割高である。
(8)チェーンストアは、社員が定着する。
(9)チェーンストアは、町に資本を持ち込むものである。
(10)チェーンストアの支払う賃貸料は割高である。
(11)チェーンストアは、市場を拡大し、また、農民所得を増大させる。
(12)チェーンストアは、市や町の繁栄に寄与する。
(13)チェーンストアは、すべての小売業に対し、高い標準を設ける。
(14)チェーンストアは、災害救助の要請に応じる。
(15)チェーンストアは、一層多額の税を納めている。
(16)チェーンストアは、小売業の廃業率の高いことに関しては、大きな要因とはならない。
(17)チェーンストアは、少年たちによい機会を与える。
(18)チェーンストアは、競争相手のためにも機会を大きくする。
(19)チェーンストアは、消費者に対する機会均等をもたらす。

ちょっと古いが、この中に、
チェーンストアのあり方が網羅されている。

私の考え方は、チェーンストア経営においても、
「原理原則を補助線として使う」
そう、ドラッカー先生のご指摘通り。

熱心に聴いてくださって、
ここらから感謝。
5

第二講義は、荒井伸也首席講師。
「スーパーマーケット原論その2」  
6
荒井先生は、
サミット㈱時代の改革の経験をもとに、
顧客行動から見た業態論、
そして秀逸のスーパーマーケット経営論を展開。

この講義は、コーネル・ジャパンの目玉商品。
7
荒井先生の講義は、スーパーマーケット経営を、
他産業でも通用する理論の積み重ねで解き明かす。

これがその秀逸さの理由。
だから誰にでも理解できる。

第3講義、第4講義は矢作敏行法政大学教授。  
コーネル大学RMPジャパン主任講師。
テーマは「小売イノベーション論1と2」  
8
矢作先生は、小売業における学者として日本第一。
そしてご自分のテーマ、「小売業のイノベーション」
エッセンスを180分通しで語っていただく。

コーネル流に学生への質疑応答を加えて、
参加型の講義を展開してくださった。

矢作先生の持論が展開された。

「持続的な競争優位性」をつくり出すために、
「模倣できない中核的な組織能力の保有」が不可欠となる。
9
後半はコンビニエンスストアとスーパーマーケットの比較事例研究。
セブン-イレブンとヨークベニマルの分析。
深くて狭いイノベーションと広くて浅いイノベーションと、
矢作先生は整理する。
前者の典型がセブン-イレブンやユニクロ、
そしてヨークベニマルやヤオコー。
後者が百貨店や総合スーパー。

当然ながら深くて狭いイノベーションこそ、
模倣できないコアコンピタンスをつくりだす。

最後に矢作先生は、
クリステンセンの「イノベーション・ジレンマ」を紹介。
「イノベーションを起こした優秀な企業ほど、
自らの顧客に深く適応し、高度な企業モデルを構築する結果、
自己の顧客欲求以外の新しい顧客欲求に対応できなくなる」  

(矢作敏行テキストより)  

以って自戒とすべし。

今日までの講義が理論編。

明日から具体的経営技術論。
お疲れ様。

講義終了の午後7時には、
外は暗くなっていた。
10

その後全員で銀座へ。
忘年会会場は「リストランテ・ヒロ」
11
最初に副学長の乾杯のスピーチ。
12

とびきり旨いイタリアン・フルコースと、
シャンパン、ワインを堪能。
14

最後は、荒井首席講師の締め。
15
お疲れ様でした。

解散はもう11時に近かった。

コーネル・ジャパン第二期生、
どんどん団結力がでてきた。

忘年会の交流だけでも、
その真摯さが伝わってくる。

楽しみなコーネル・ジャパン第二期ではある。

<結城義晴>  

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