結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年12月18日(金曜日)

ヤオコー川野幸夫会長の「安売り大会の年」に食品卸売業好調の理由

日経新聞一面のシリーズ「デフレと闘う(中)」  
ファーストリテイリング柳井正会長兼社長の言葉から始まる。
「最後は0円になるんじゃない?」  
ジーンズの値下げ合戦。

そのとおり、ジーンズメイトは4店舗のオープンセールで、
1600本のブランド品をただで配ったと、この記事は報じる。

これが事実だとすると、
もう、おしまい。

倉本長治の言う「不況は商人を鍛える」とはいかない。

朝日新聞ではヤオコー会長の川野幸夫さんが語っている。
日本スーパーマーケット協会会長になると露出度も格段に上がる。

「安さだけがお客様のニーズではない」
さらに、続ける。
「今年は『安売り大会』の1年だった。  
今後は知恵を出し、
付加価値の高い商品やサービスを、
提供していくことが大事だ」

12月13日の日経MJの「底流を読む」
日本経済新聞社編集委員の田中陽さんが書いている。
「今年11月、高値更新したり、上値の軽い展開の銘柄があった」
やはり株式の専門新聞らしい表現。

それは、加藤産業、菱食、伊藤忠食品。  
そう、食品卸売業。

これらの企業の9月期決算など見ると、
いずれも良い成績。

「デフレ⇒小売りからの圧力⇒卸売業の利益低下」
そうではなかった。

田中さんは、理由を考察している。
「ナショナルブランドは儲かる」  

卸売業は、
ナショナルブランドのマージンミックスと、
売場提案、売り方提案で、
利益を上げている。

田中さんは、結論する。
「NBとPBとの新しいバランスを、
築き上げる時が来ている」  

小売業や卸売業、
そしてメーカーも、
利益の源泉となる技術は、
「プロフィット・ミックス」である。  

経営の本質は、ここにある。

とりわけ卸売業は、
それが社会的機能であるとすら、
私は思う。

デフレと闘うなんてことを過剰に意識しなくとも、
本来の仕事を果たし、
本来の利益創出の技術を駆使すれば、
現状を克服できる。

もちろん、この仕事と技術は、
これまでと同じではないし、
「鍛えられた技術」でなければいけないが。

さて昨日は、立教大学池袋キャンパス。
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産官学共催の「としま公開ビジネス講座」。
この中の、産は巣鴨信用金庫、
官は東京都豊島区、
そして学は立教大学大学院ビジネスデザイン研究科。
場所は、8号館8202教室。
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広報コピーは、以下のようになっている。

「としま公開ビジネス講座」は、
豊島区を地元とする「立教大学」および「巣鴨信用金庫」と、
「豊島区」の産学官が一体となり、
地元中小企業を支援する目的で、
前期と後期の全6回のセミナーを開催しているものです。
質疑応答の可能な勉強会形式でのセミナーで、
大学と地元中小企業との連携を強化することを目的としています。

私は、そのトリとなる第6回目の講師。
テーマは「中小企業のサービス・マーケティング」

これまでのテーマと講師は以下。

第1回 5月27日(水) 18:30~20:00
「中小企業の事業承継戦略」
講師:岸本光永(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授)

第2回 6月18日(木) 18:30~20:00
「中小企業のマーケティング戦略」
講師:笠原英一(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授)

第3回 7月16日(木) 18:30~20:00
「中小企業の経営戦略」
講師:大久保隆弘(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授)

第4回 10月 8日(木) 18:30~20:00
「中小企業の知財戦略」
講師:柴田徹(株式会社ビズ・ビタミン代表取締役社長)

第5回 11月 12日(木) 18:30~20:00
「中小企業の事業承継と税制」
講師:高山昌茂(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授)

私のテーマにはサブタイトルがついている。
「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」  

ご存知、故倉本長治商業界主幹の言葉。

サービス・マーケティングの根底にあるのは、
顧客満足と従業員満足の両立であることは間違いない。

ピーター・ドラッカー先生は、言っている。
「サービスこそ、産業の米である」  
私はまず、中小企業の範囲を明確にするところから入った。
中小企業基本法第二条に示されている。
ちょっと面倒だ。
業種別に範囲が違うからだ。

①製造業、建設業、運輸業その他の業種
⇒資本の額(資本金)又は出資の総額が3億円以下の会社、
 並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

②卸売業
⇒資本の額又は出資の総額が1億円以下の会社、
並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

③サービス業
⇒資本の額又は出資の総額が5000万円以下の会社、
並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

④小売業⇒資本の額又は出資の総額が5000万円以下の会社、
並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

別に、この範囲の会社以外は大企業かといえば、
まったくそれは当たらない。

しかし「中小企業のサービス・マーケティング」ならば、
これは大事な範囲となる。

その後、 講義は進んだ。
「すべてのビジネスがサービス業化しなければならないこと」
そのために「お客様の声を聞くこと」
「ロイヤルカスタマーづくりに邁進すること」
そして「カスタマー・サティスファクション」
「エンプロイー・サティスファクション」
「お客様のために いちばん大切なこと」

最後に二つほど質問。

こういった講座に勉強に来る人は、
いくつかに分かれている。

困っている人、
向学心に燃えている人、
自分の事業の成果や政策の是非を確認に来る人。

最後の人が、質問をすることが多い。

とても良い質問で、
私も勉強になった。

ご清聴とグッド・クエスチョンに、心から感謝したい。

講義が終わって、自分の研究室に戻る。
そして後片付けや土曜日の講義の準備。
立教のキャンパスは美しい。
心が和まされる。

今、その中心は、クリスマスツリー。
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池袋に足が向く人は、ぜひ立ち寄ってください。

名物のクリスマスツリーがお待ちします。

<結城義晴>  

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