結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年09月10日(月曜日)

ダイエー55周年のときの「良い品をどんどん安く」と艱難・忍耐・練達

Everybody! Good Monday!
[2012vol37]

2012年も第37週。
9月も第3週に入りました。

まだまだ残暑はありますが、
これは秋の暑さで、
夏の残暑ではない、と思っていたら、
同じことを感じている人がいた。

残暑とは秋の暑さと又違ふ
〈朝日俳壇より 東かがわ市・桑島正樹〉
20120910135613.jpg

そして、秋本番に向かう。
万物の息のととのふ九月かな
〈朝日俳壇 岩沼市・佐藤久子〉

何だか力が湧いてくる。

2月はもちろん、7月、8月と忙しかったが、
9月の結城義晴、意外にのんびり。

だからこそ「万物の息がととのふ」には、
感じ入ること多し。

こんな観察もあった。
日々悔いを残さず生きむ秋の蝉
〈日経俳壇より 山形・松山智美〉

明星大学経営学部准教授の児玉桜代里さんは、
立教・結城ゼミ第2期生の才媛だが、
facebookで引っ繰り返ったセミの亡骸を、
クローズアップ写真で示して、
「セミファイナル」
とやって、ウケた。
(facebook利用者しか見られませんが。)

これも夏の終わりの一こま。
ああ、夏は終った。

幸せも一様ならず
不幸中の幸いこそが或いは最高

〈日経歌壇より 船橋・池上正宏〉

「それぞれの秋」というドラマがあったが、
一様でない「それぞれの幸せ」を求めて、
秋を生きる。

それがいい。

さて商人舎ホームページの巻頭告知。二つ。
第1は秋のUSA視察研修会スぺシャル・コース。
残りは5席ほどです。
10月30日からの6泊8日。
ダラス・ワシントンDC・ニューヨークの最高のコース。

第2は第2回商人舎ミドルマネジメント研修会。
こちらは11月13日から15日。
2泊3日の完全合宿制。
内容はさらに充実します。
ぜひ、お早目のお申し込みを。

さて、朝日歌壇より、一首。
「うどん屋の角」で知らるるうどん屋の
閉じたるのちも「うどん屋の角」

〈長岡市・国分コズエ〉

商売における店名、社名は、
実は長続きする。
店はなくなっても、
人々によって呼称に残ったりもする。

私は横浜育ち、それも横浜駅のそば。
だから「ダイエーの脇のおでん屋」などと言ったりする。

各紙朝刊は今日は休刊だが、
昨日の日経新聞の「経済史を歩く(17)」は、
編集委員の田中陽さんが、
「ダイエー誕生(1957年)」を書いてくれた。

イントロダクションがいい。

「よい品をどんどん安く」。
わかりやすいメッセージを発し、
戦後の貧しい時代を知る庶民の
「豊かになりたい」という欲望を捉えて急成長したダイエー。
大手メーカーや役人に立ち向かう創業者の中内功を
「闘う商人」と呼ぶこともあった。
同社が光り輝いた昭和、
苦境にあえいだ平成は
日本経済と二重写しだ。

まず昭和の、ダイエーの誕生。
1957年(昭32年)。
大阪千林の97平方メートルの小さな店。
「主婦の店ダイエー薬局」が誕生。

薬や菓子が約半値で並び、
沿線一帯から客が押し寄せていた。

「良い品をどんどん安く」の真骨頂。

経済復興と大量生産技術の確立。
購買意欲の高騰と「消費は美徳」の考え方。

これを支える「一億総中流の舞台装置」。
それがダイエーだった。
創業15年後の1972年。
百貨店の三越を抜いて売上高日本一に。

第2段階は土地本位制。
中内功著『わが安売り哲学』には記されていた
「土地の利用は無から有を生じさせる力をもつ」。

しかし。

平成バブル崩壊でデフレに突入。
規制緩和も進み経営環境が激変した。
「何でもあるのに買いたいモノがない」。
消費の潮目も変わった。

そして1995年の阪神大震災。
さらに2000年前後の会計制度変更。

2001年、中内さんの退陣。
その後、2004年産業再生機構入りし、
営業はずっと低空飛行。

中内さんは2005年83歳で逝去。

そのダイエー。
9月23日に創業55周年の日を迎える。

「良い品をどんどん安く」と「土地本位制」。
前者の思想はまだまだ生きている。
その主旨を継ぐ企業が陸続と現れている。

後者は故渥美俊一先生も支持する考え方だったが、
これは完全に瓦解。

歴史の教訓。
「うまい話は続かない」

田中陽さんの文章。
簡潔にして的確。
是非読んでおいてください。

昭和と平成の明と暗が、
よく理解できる。

私は現在、ダイエーOBの人たちとの交流が多い。
現在のダイエーOB会長は玉置富貴雄さん。
東武ストア元社長。
昭和43年ダイエー入社で、
食品畑を歩き、取締役。
その後、㈱丸紅に移り、
現在もその相談役。

OB会長は玉置さんから藤原謙次さんにバトンタッチされる。
藤原さんは、昭和44年ダイエーに入社、
取締役フーズライン商品本部長、
㈱ローソン社長など歴任。
その後、㈱ファンケル社長、会長就任、
現在、㈱カカクコム取締役、㈱デジタルガレージ取締役など。

ダイエーは、ずっと「低空飛行」中。
しかし中内さんは経営者を数多く育てた。

そのカギを握るのは、
「試練を与えること」。
経営者やトップマネジメントは、
試練でしか育たない。

「艱難が忍耐を生み出し、
忍耐が練達を生み出し、
練達が希望を生み出す。
この希望は失望に終わることがない」

『新約聖書・ローマ人への手紙5章』
これです。

艱難、忍耐、練達から生まれた希望は、
決して失望に終わらない。

ダイエー出身の経営者のみなさん、
とにかくしつこいし、諦めない。

艱難、忍耐、練達を、
ダイエー時代に経営しているから。

しかしこの教育と自己育成。
全ての人に必要だ。

一様でない幸せ、それぞれの幸せがあるが、
それは練達の域に達する幸せであってほしい。

「万物の息がととのう秋」に入った。

7月8月と不振が続いた。
いま、「艱難・忍耐・練達」のとき。
そこから希望を持ち続ける時。
この希望は、失望や絶望には終わらない。

ただし今月の商人舎標語は明るい。
「今日もお仕事、
おまんまうまいよ」

では、みなさん。
Good Monday!

<結城義晴>

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