結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年12月10日(月曜日)

改装した東京ステーションホテルに見る「生産的な過去のもの」

Good Monday! Everyone!
[2012vol50]

2012年も第50週。
50週はなんとなく、
区切りのようにも感じられるが、
実はそうでもなく、
1年間は52週。
13週ごとのクォーター(四半期)が4回で52週。

だから50週というのは逆に中途半端。

こういったこと、よくあります。

私たちは10進法でものを考えることに慣れているけれど、
コンピュータは2進法だし、
時計は12進法。

ウィークリーマネジメントは、
7進法と13進法。
それが7×52と1日の1年間となっているから不思議。

その今週は第50週。

来週日曜日の12月16日は、
第46回衆議院総選挙。
「総選挙」は、英語ではGeneral election。
「総員改選」の意味。
日本の衆議院やイギリス下院で行われる。

480議席の総員が改選される。
それだけ重要な選挙となる。

だから、
選挙に行こう!
投票しよう!

今月の商人舎標語は、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」

現時点は「早仕掛け」の最中。
クリスマスだけでなく、
歳末も仕掛けておくこと。
もちろん年始に対しても早仕掛け。

総選挙も商売においては、
テーマ資源。

それから12月13日はすす払いの日、
転じて大掃除の日。

今週の気分は「大掃除」か。

落葉焚(おちばたき)昨日も今日も灰となり
〈朝日俳壇 安城市・稲垣雄二〉

そして、年賀はがきの受け付けは、
毎年12月15日から。
おわりも決まっている。
翌年1月7日まで。

百歳の恩師へとまづ賀状書く
〈日経俳壇 沼津・岩城英雄〉

今週はそんな年末の出来事が集中して、
歳末を盛り上げる。

この気分、忘れてはいけない。

そのうえで16日の日曜日、
総選挙。

月刊『食品商業』のロングセラー特集。
『このまま使える販促企画書』。
私が編集長のときに始めた毎月連続特集。
まだ続いている。

その2012年12月編で、
盟友の鈴木國朗さんが、
今週のライフスタイルを書いている。

「年末年始の必需品の予約や買い物を始める。
気温も下がり、何かと忙しく体調を崩しやすい。
忘年会やお疲れ様会などが開かれ、慌ただしい」

その通り。

「今日も一日、慌てず、急げ!」

結城義晴の標語。

冬という一本の木を愛しけり

〈朝日俳壇 三郷市・岡崎正宏〉

さて一昨日の夕方。
立教大学大学院・結城ゼミ3期生とそのグループで、
東京ステーションホテルへ。
その施設内の視察見学とディナー。
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東京駅丸の内のドームは今や、
観光のメッカ。
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ホテル受付は、丸の内南口から通ずるところ。
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実に丁寧にご案内くださった豊泉遼平さん。
日本ホテル㈱オペレーション部ゲストリレーションズ。
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東京駅丸の内側駅舎で営業。
ホテル部分の1915年(大正4年)完成、創業。
駅舎建物は赤レンガ造りで辰野金吾の設計。

東京駅改装後に営業を再開。
休館前に約50室だった客室が150室と増加。

丸の内駅舎は4万3000平方メートルが改装された。
ホテルは2万0800平方メートル。

駅舎の三階部分の客室通路。
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壁にゆかりの品が展示されている。
これは松本清張の『点と線』。
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清張はかつて、このステーションホテルを愛用。
部屋は2033号室だった。
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3階の小部屋に展示があって、
ドームを見下ろすことができる。
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高くて広々とした天井。
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その壁面欄間。
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見下ろすと地上部分。
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壁面には鷲のレリーフ。
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正面アーチには豊臣秀吉の兜のキーストーン。
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ここで全員で記念写真。
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その後、ロイヤルスイートルームへ。
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173平方メートル、一泊80万円。
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皆さんも、どうぞ。

私たちは次に高価な1泊35万円の部屋を見学。
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メゾネットタイプで、
広い応接室。
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応接セットの前で、また、
記念写真。
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4人掛けテーブルセット。
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執務デスク。
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ここで、全員、
大正時代の文豪のように気取って、
またまた記念写真。
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バスとトイレもシックで豪華。
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アメニティはブルガリで揃えてある。
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メゾネット方式の2階へ。
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階段を登るとベッドルーム。
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シモンズのベッドとみると、
寝ころびたくなる。
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窓の外にはJR路線とはとバスの群れ。
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駅舎の丸の内側に面して並ぶパレスサイド81室、
クラシックタイプ29室、
室内2階建てのメゾネット7室、
スイールーム4室、
ロイヤルスイートルーム1室、
合計150室。

最安値は23平方メートルのクラシックタイプ、
3万30円(消費税サービス料込み、宿泊税別)。
ただしルームチャージなので2人で泊まれば、
1人1万5000円。

地下1階には、スパ。
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最後に4階の朝食会場。
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これが贅沢で素晴らしい。

いまのところ、宿泊者が朝食をとるだけの部屋。
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赤煉瓦のメインダイニングの前で、
記念写真。

そしてディナーは、「ブランルージュ」。
70席と合計26席の個室3室。
その1室で、よく吟味されたフランス料理。

そして最後の記念写真。
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東京ステーションホテルを堪能した。

古いものをイノベーションによって、
新しくする。

東京ステーションホテル。
実に良くできていた。

ピーター・ドラッカー先生の言葉。
「仕事が出来る者は、集中する。
集中するための原則は、
生産的でなくなった過去のものを捨てることである」

「過去を捨てなければ、
明日をつくることは出来ない」

「あまりにわずかの企業しか、
昨日を捨てていない。
あまりにわずかの企業しか、
明日のために必要な資源を手にしていない」

生産的でなくなった過去のものを捨てる。
何が残るか。
生産的な過去のもの。
それが「文化」である。
明日につながる昨日のもの。
それが「文化」である。

東京ステーションホテルは、
その意味で「文化」そのものだ。

そんなことを感じて、
豊かな気分になってきた。
80万や35万の部屋には、
泊まることはないだろうけれど。

では、みなさん。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2012年12月09日(日曜日)

ジジとイチョウの木[日曜版2012vol50]

ジジです。
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12月にはいって、
ずいぶん、寒くなってきました。
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きのう、rikkyoで、
すごいことがおこりました。
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あさ10時ごろ。

キャンパスのイチョウの木。
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それが昼をすぎて3時ごろ。
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あっというまに、
ちってしまいました。

ちょっとかなしい。
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夕闇がせまってくると、
もっとせつない。
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キャンパスをみわたすと・・・・。
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こっちのイチョウには、
まだまだはっぱがのこってる。
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でもすごいですね。
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おどろきました。

11月24日は、
こんなに金色にかがやいていた。
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それからもっと、
暑いころ。
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思い出してみました。
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6月には、
青々としていた。
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元気いっぱい。

夏には、
イチョウもボクも、
元気だった。
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それから、5月。
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緑色がましてきた。
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もっともどると、
去年のクリスマスイブの日。
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ちってしまったイチョウのえだが、
トリミングされていました。

いま、キャンパスの主役はこれです。
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門をくぐると2本、みえる。
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モミの木。
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もうかざりつけがおわって、
夜にはライトアップされます。
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みあげると、
すごくきれい。

でも、イチョウの木は、
わきで、じっとしています。
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ごくろうさま。

らいねんも、
よろしくね。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2012年12月08日(土曜日)

「自己客観化」と「自立・自律」、そして「脱グライダー」を志向せよ!

毎日新聞の巻頭コラム『余録』。
「『選ぶ政治家がいない』
『誰がやっても同じ』
『どうせ世の中は良くならない』。
どこかで聞いた嘆きをもらす向きもあろうが、
『結果』は自らにふりかかる。
まず政治の底を固める有権者の1票だ」
まったくの同感。

どんなことになろうが、
私たちは選挙結果に責任を持たねばならない。

だから、
選挙に行こう!
投票しよう!

朝日新聞の巻頭コラム『天声人語』。
〈この子らに戦(いくさ)はさせじ七五三〉水野李村(りそん)
「国を守る決意もいいけれど、
戦没者の悔しさを思い、
孫子の顔を浮かべての一票も悪くない」

憲法9条を変え、
自衛隊を国防軍にする。
そんな主張に反論する。

今日は真珠湾攻撃の日。
1941年12月8日。
それから71年経った。

国民も政治家も、
朝日、読売、毎日の大新聞も、
得体のしれないものに引きずられた。
アイデンティティを失った。

私は今日、
いつもの土曜日のごとく、
東京・池袋の立教大学。
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銀杏の葉が落ちて、
もうすぐ丸裸。

それでも銀杏は天に向かって、
すっくと立っている。

午前中から結城ゼミ。
ゼミ生は全員、修士論文・調査研究レポートに邁進中。
提出日は来年1月11日。
私もこの日が実質的な正月。

それまで無呼吸泳法。

今日も個別指導。
武藤麻代さんは、
自分の研究を白板に書いて整理。
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すごくいい研究が進んでいる。
全員の研究、ほんとうに楽しみだ。

私の信条は変わらない。
「邪魔をしないこと」
人間や組織や会社が伸びていく。
その障害物になったり、
方向性を捻じ曲げたりは、
絶対にしない。

指導にエゴイズムは禁物だ。

大学院生も、
会社の部下も、
指導先も。

「邪魔をしない」し、
「脱グライダー」であることを求める。

だいいち、
ひきずられつつ、
教えられたまんまをやるなんて、
生きている意味がない。
会社ならば経営している価値がない。

昨日の日経新聞の経済コラム『大機小機』。
タイトルは「外から日本を見ると」。

「自分が外国の日本経済研究者だとしよう。
自分は日本経済のかじ取りについてどう考えるだろうか」
これがコラムニスト隅田川氏のスタンス。

「第1に気になるのが財政であろう。
日本の財政は先進国中最悪の状態だ。
消費税の引き上げが決まったとはいえ、
それだけでは2020年度に基礎的財政収支を黒字化」できない。

「このままでは、いずれ
金利の暴騰やインフレなどの大混乱をもたらしかねない」。

「ところが、現実の日本では、選挙があっても、
消費税引き上げ後の財政再建について議論する政党は皆無である」。

「第2に環太平洋経済連携協定への対応ぶり

「今後は成長著しいアジア地域との連携を
強化していくことがほぼ必然の対応であり、
TPPのような機会があったら、
日本は真っ先にこれに加入し、
これをテコに更なる発展を目指すはずだと考えるだろう」

「ところが、日本ではTPP交渉への参加をめぐって
延々と議論が繰り返され、一向に明確な方針が出ない」

「第3に人口変化への対応が重要」

「先進国中で高齢化比率が最も高く、
生産年齢(15~64歳層)比率が最も低い国となる」

「生産年齢人口が減れば、
労働力不足が成長を制約するだろうし、
負担者である働く層が減り、
受益者である高齢者層が増えれば、
現在のような年金・医療・介護などの社会保障システムを
維持していくことは難しくなる」

「ところが日本では、
外国人労働力の受け入れには消極的であり、
社会保障給付の抑制策はほとんど実行されていない」

コラムニストは、『外から日本を見るとどう考えるか』の発想を勧める。
つまり「自己客観化」の方法である。

この国への警告はそのまま、
人間に当てはまる。
会社にも当てはまるし、
店にも事業部にも適用できる。

私たちは「自立」していなければならない。
つまり自分で立って、自分で物事を行うことだ。
さらに私たちは「自律」しなければならない。
自らをコントロールすること。

「自立と自律」。
それが自己客観化のために必要だ。

そのために必須のことは、
「外から自分を見て、考えること」だ。

外部の人に助言を求めるもよし、
ベンチマークする企業や店を見るもよし。
海外を訪れるもよし。

ただし、助言を求める外の人や、
ベンチマークする対象、
海外の企業や店は、
よく吟味されていなければいけない。

これを間違えると、
反対の方向に行ってしまう。

そしてその時、
「自立と自律」が不可欠だ。

私の言葉でいえば、
「脱グライダー」であること。

グライダーのように、
ロープで引っ張ってもらい、
エンジンなしで空を浮遊することは、
いま、最も避けなければいけない愚行だ。

なぜならば今こそ、
「ポジショニング戦略」が、
不可欠だからである。
ポジショニングとは、
自己客観化なしにできるものではない。

では、良い週末を。

〈結城義晴〉

2012年12月07日(金曜日)

日経MJ結城義晴寄稿「ウォルマート、年末商戦の心得」の全体最適

今日、夕方の5時18分、
東北から関東にかけて強い地震。

青森、岩手、宮城、茨城、栃木の各県で震度5弱、
横浜でも震度4。

震源は三陸沖、
震源の深さは約10キロ。
マグニチュード7.3と推定された。

「またか」

私は横浜の商人舎オフィスにいたが、
ゆったりとした横揺れから始まって、
昨年3月の無気味な地震を思い出した。

5時53分、宮城県金華山沖で0.2メートル、
6時2分、宮城県石巻市鮎川で1メートルの津波が観測された。

NHKは津波発生地区に対して、
「避難してください」と命令口調を繰り返した。

私は、この対応に、
ちょっと安心した。

しかし、いつ、再び来るかわからない。
そのことに対しては、
あの3・11を忘れないと同時に、
絶対に気を緩めてはいけない。

さて、今朝の日経MJをご覧になった方はいるだろうか。
14面『マーケティング・スキル』の欄に寄稿した。
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タイトルは「ウォルマート、年末商戦の心得」

日経新聞消費産業部の竹蓋(たけふた)幸広さんが、
タイトルをつけてくれた。

私は担当編集者に完全に委ねる。
新聞も雑誌も、全体があって、個々の記事がある。
全体最適が何よりも大事だと考えるからだ。

いい記事になった。
感謝したい。

今日の昼ごろには、
日経MJデスクの白鳥和生さんから電話。
消費産業部次長。

私の寄稿に対するお礼の言葉。

丁寧な対応に、ここでも感謝。

月に1回くらい、寄稿していこうと思う。
ご愛読を願っておきたい。

その今日の日経MJ。
一面は「ライフネット生命」の特集記事。
2008年開業のインターネット専業の生保。
現在、快進撃。

11月の契約件数15万件を突破。
これ、私が主張する「フォーマット化」の現象。
生保業態にも新しいフォーマットが誕生している。

立教ビジネスデザイン研究科サービスマーケティングの課題、
ザキヤマ君はこの記事をもとにレポートを書けば、
いい成績が収められるに違いない。

ライフネット生命は、
「正直さ」すなわちオネスティと、
「顔の見える経営」に徹した。

私のサービスマーケティングの授業そのもの。

日経MJ2面の「マーケティング八塩圭子ゼミ」。
テーマは「選挙投票と購買行動」。
ヘンリー・アサエルの「購買行動類型」を、
今回の衆議院選に当てはめた。

アサエルは消費者の購買行動によって、
製品を4タイプに分類。
座標軸は、
第1に「関与水準(消費者と製品の関わり合いの程度)」、
第2に「ブランド間の知覚差異」。

これで4つのタイプのマトリックスができる。

八塩さんは、関与水準が低くて、差異がない領域の、
つまりコモディティ領域を、
今回の日本の12政党乱立にたとえる。
「慣性型購買行動」の対象となる領域。
だから「政党も今まさにコモディティ―となってしまっている」。

面白い視点だし、
マスコミ受けしそうな切り口。

政治にも行政にも、
マーケティングは必須。

日経MJ最終面には、
「選挙の師走 消費走らず?」の記事。
編集委員の田中陽さんが健筆をふるった。
「選挙があるとその時期は消費が弱くなる」
このジンクスの検証。

結論は、
「景気の不透明感、ボーナス減に選挙のジンクスも重なり、
今年の師走商戦は流通業界にとって厳しい展開が予想される」

日経MJの5面「総合小売り」欄。
「西友、より安い食品の新PB」の記事。
これは10月2日の日経本紙一面のイオンの「格安PB」の記事と同意。
つまり「コンペティティブブランド」のこと。
私流にいえば「競争的・闘争的ブランド」。

イオンにつづいて、ウォルマート西友も、
コンペティティブブランドを強化する。

ウォルマートはアメリカでは、
この競争型を「サムズ」ブランドで対応している。
そう、メンバーシップホールセールクラブのバナーと同じ。
日本では「みなさまのお墨付き」と命名。
これは、日本的で、すごくいい。

このページは左上に、
「イオン、北関東最大級モール」の記事。
イオンモール水戸内原オープン。
店舗面積8万㎡。

この面の下段では、
カコミ記事の『ハッスル店長』。
ここにはイトーヨーカドー鷺宮店長・長島義彦さん登場。
「従業員による接客と挨拶の徹底」を掲げる。
大久保恒夫流だ。
「まずは店長が率先垂範。
パワーがいると思うが、
明るい笑顔で乗り切りたい」
店長のコメントはどんなメディアのどんなコメントもいい。

だから私は店長が大好きだ。

今日の日経MJ。
とてもいい。

私は立教大学院の講義で、
前期・後期ともに、参考文献を日経MJにしている。
いま、業界マスコミに最も求められることは、
ニュースの鮮度と見識である。

その意味で日経MJは最も価値あるメディアだと思う。

さて、日経本紙では、
一面に「セブン&アイ、PB売上高1兆円に」の記事。
実は私、昨日からこの情報を得ていた。

セブン&アイ・ホールディングスが2015年度に、
セブン・プレミアムの売上高を現在の2倍に引き上げる。
2012年度は前年度比17%増の4900億円。
全体の約8%。

2015年度には14~15%に高まる。

この実現に向けて、
「既存商品より価格帯の高い商品」、
すなわちクォリティブランドを増やす。

「大手食品メーカーや有名な外食店と組み、
高品質の原料にこだわったPBの品目数を
現在の10品程度から3年で300品に拡充」
現在の10アイテムアは論外。
300で一人前。

こちらはこちらで頑張れ。

プライベートブランドの分類は4つ。
①エコノミーブランド。
これは大半のトレード・オフによる商品。

②クォリティブランド。
セブン&アイが取組む。

③ライフスタイルブランド。
イオンの「トップバリュレディミール・トップバリュ共環宣言」
「トップバリュグリーンアイ ・トップバリュヘルシーアイ」などなど。
しかし売れないのが悩みの種。

④コンペティティブ・ブランド。
イオンのトップバリュベストプライスと、
西友の「みなさまのお墨付き」。

やっと複数社で分類のラインナップが揃ってきた。

説明しやすいし、議論しやすい。

もう、十把一絡げで、
プライベートブランドを、
「いいの悪いの」
「やるべきだの駄目だの」と、
論じる時代は終わっている。

〈結城義晴〉

2012年12月06日(木曜日)

三井物産米国トップセミナー同窓会と流通セミナー野中郁次郎講義

新聞各紙、こぞって、
第18代目中村勘三郎の早世を悼んだ。
それだけでもう十二分に、
追悼の意は評されただろうが、
それでも、惜しい。

合掌。

さて日経新聞電子版に、
「コンビニ伸長が映し出す『大無党派層』誕生」
日経新聞編集委員の中村直文さんの記事。

「衆院が解散された直後の11月下旬、
コンビニエンスストア大手のファミリーマート本部に、
店舗オーナーから電話があった」

店頭に選挙ポスターを張らせてほしい、
候補者からの要請。

しかし本部側は、
「我々は政治に中立です。
お客様から特定の候補者や政党に
肩入れしているととられてしまうので、
おすすめはできません」

当然のことだ。

政治と宗教には中立、関与しない。
それが商売の鉄則。
「実際、国内のコンビニで、
候補者のポスターが張られるケースはこれまでない」

「コンビニ数は今年10月、
初めて5万店を突破した。
年間の来店客数となると140億人を超えた」

「それほど国民になじんだ施設ながら、
政治の臭いはない」

店は公器だ。
だからこそ、
特定の政党や特定の政治家に、
偏らない。

「政治的に中立と言うより、
政治にかかわらないコンビニは消費生活の中心で、
拡大する単身世帯の受け皿になっている」
それが無党派層に重なる、と、
中村さんは言う。

「特定の政党を支持しない無党派層は、
冷戦下の『5年体制」』崩れた90年代の前半から、
次第に選挙結果を左右する存在として注目されてきた」

「コンビニの店舗数もその頃から倍増し、
少子高齢化が進んできた過去10年でも
1万店ほど増えている」

「16日投開票の衆院選に
12党もの政党が候補を擁立したのも、
コンビニ的社会構造が
全国から地方にまで広がったことと符合する」

「大無党派層の誕生とコンビニの伸長は、
政治を映す鏡でもある」

編集委員・中村直文さんの観察。
なかなかに面白い。

店は政治と関係しないが、
そこで働く人たちは、
有権者の責任と義務を果たさねばならない。

選挙に行こう!
投票しよう!

私は特定の政党や政治家をお勧めしはしない。
しかし選挙という行為は強くお勧めしたい。

期日前投票は、
明日でも明後日でも可能だ。

国民として選挙結果に責任を持つためにも、
傍観者でいてはいけない。

無党派層はいいが、
棄権はいけない。

選挙に行こう!
投票しよう!

今日午後は、大手町にある三井物産㈱本社。
前半は、米国視察トップセミナーの同窓会。
後半は、三井物産流通セミナーと懇親会。

米国視察トップセミナーの同窓会は
本店12階にある会議室IT-12号室。
エレベーターで12階に上がると、告知の張り紙。
なぜなら広いワンフロアに会議室がずらっと並んでいる。
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廊下には、同窓会会場の告知。
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会場前には、立派な告知ボード。
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三井物産トップセミナーには、
今夏8月23日から1週間、
経営トップ35名が参加した。
ダラス・ニューヨークを巡っての視察。

そのメンバーが4カ月ぶりに集まって、
懇親をしようというのが今回の趣旨。
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進行は、食品流通部事業推進室の島方正弘さん。
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はじめにアメリカツアーにも同行した
食品流通部長の中山裕之さんがあいさつ。
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そして、コーディネーターを務めた私が
挨拶を兼ねて研修総括として、
40分ほど講義した。
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8月以降、11月までに、
私は都合4回アメリカを訪れている。
その4回の視察で感じたアメリカ小売業の変化を、
整理し、報告した。
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視察当時の写真を紹介しながら
記憶をたどってもらい、解説する。
するとみんなの理解が進む。
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さらにアメリカ市場の変化、
小売業のマーケティング戦略の潮流、
日本の市場で取り組むべきことを私なりに提示。
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短時間ではあったが、ご清聴を、感謝したい。

前半のまとめは加工食品営業部長の堀田安紀さん。
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そして、後半の流通セミナー会場へ。
場所は、地下の多目的ホール。

三井物産食品メーカー会定例のセミナー。
取引先メーカーの経営幹部が300名を超えて集まった。
さらに小売業の経営トップも参加。
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セミナーに先立ち、
食品メーカー会会長の小畑一雄さんがあいさつ。
東洋水産㈱社長。
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「被災地の東北をまわったが、
いまだ復旧・復興のスタートについたばかり。
しかし地元には気力、勇気がみなぎっている。
12月は食品業界にとって大切な時期。
中長期の方向を見失わず、
着実に命題をクリアーしていくことが大切」

そして、野中郁次郎先生のセミナー。
一橋大学名誉教授。
テーマは「日本企業にいま大切なこと」
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まったく偶然のことながら、
日経新聞最終面の『交遊抄』で、
富国生命保険社長の米山好映さんが、
「暗黙知の師」と題して野中先生のことを書いた。

「会ってみたいとの思いが成就したのは1990年ごろ、
経済同友会の会合でだった。
以来、約20年にわたり先生の研究会に参加している」

野中先生の言葉。
「大ぼらを吹かないと人間は駄目だよな」
「すぐ使えるハウツーのような知識はあまり役立たない」

『交遊抄』そのままに、
野中先生の講演が始まり、約1時間半、
持続可能なイノベーション企業に必要なリーダーシップと、
その組織の在り方が提示された。
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理想主義・演繹法のプラトンと
実践主義・帰納法のアリストテレス。
今どちらの哲学が大事なのか。
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共感・共振・共鳴の経営、
共感・共振・共鳴の顧客との関係づくりの重要性。
暗黙知を形式知として形にし、
さらに実践知にする。
そのための考え方。

The Wise Leaderの必要性。
その能力とは何か。
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ドラッカー、シュンペーターから、
ポーター、ハイエクまで、
それぞれの思想をきっぱりと位置づけ、
脳にとって刺激的なセミナーだった。

「究極の価値は勇気によって創り出される」


「身体化された心」

「Mind & Body」
「Thinker と Doer」
そして「知的体育会系」
野中先生の結語はすべて、
「オクシモロン」(撞着語法)だった。

そして場所を移しての懇親会。
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ここからは懇親の写真を紹介しよう。

メーカー会会長・東洋水産社長の小畑一雄さん。
右は、常務取締役の今村将也さん、即席麺本部長。
この時期に「マルちゃん正麺」が絶好調。
マーケティングの面白さについて語りあった。
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㈱コノミヤ社長の芋縄隆史さん。
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㈱阪食からは常務の松元努さんが参加。
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芋縄さんと松元さん、大阪組の二人は、
そのあと、連れ立って会場を後にした。

㈱セルバ社長の桑原孝正さん。
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㈱京急ストア常務の上野裕さん。
コーネル・ジャパン「伝説の1期生」。
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そのコーネル・ジャパン第1期に、
事務局長を務めた大高愛一郎さん。
現在、三井物産勤務。
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そして流通セミナーの司会も務めた中山裕之さんと、
食糧本部穀物物流部長の松本裕之さん(右)。
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お世話になった三井物産のみなさんと記念写真。
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左から、三井食品執行役の稲田雄司さん(コーネル・ジャパン2期生)、
三井物産九州食料部食品室長の和田幸成さん、
「ルミエール」の三角商事㈱社長の三角勝信さん、
物産食品流通部長の中山裕之さん、
同大阪支社の小林将人さん(コーネル・ジャパン3期生)。

最後は堀田安紀さん。20121206204843.jpg
堀田さんは懇親会の司会まで担当し、大活躍。
お疲れ様でした。

しかし野中郁次郎の「オクシモロン」、
頭に残った。

〈結城義晴〉

2012年12月05日(水曜日)

ユニクロのスピード、ジャパネットのシンプルさ、万代DD会の戦略総括

第46回衆院選の公示後、
立候補者総数は1504人で確定。
小選挙区と比例代表の重複立候補分が含まれるが、
過去最多の立候補者数。

総定数480に対する競争率は3.13倍。
300小選挙区の立候補者も1294人、
こちらは4.31倍。

立候補者が確定した段階で、
期日前投票が可能となる。

日経新聞の『きょうのことば』は、
「期日前投票」。

「旅行や仕事、冠婚葬祭などで投票日に選挙に行けないとき、
公示日や告示日の翌日から投票日の前日までの間に
市区町村が指定する期日前投票所に行って
事前に投票できる制度」

期日前投票ができる有権者の条件は、
公職選挙法48条の2に示されている。
①職務若しくは業務又は総務省令で定める用務に従事すること。
②用務又は事故のためその属する投票区の区域外に
旅行又は滞在をすること。
③疾病、負傷、妊娠、老衰若しくは身体の障害のため
若しくは産褥にあるため歩行が困難であること
又は刑事施設、労役場、監置場、少年院
若しくは婦人補導院に収容されていること。
④交通至難の島その他の地で総務省令で定める地域に居住していること
又は当該地域に滞在をすること。
⑤その属する投票区のある市町村の区域外の住所に居住していること。

小売りサービス業の店舗で働く人々は、
①の「職務若しくは業務に従事しているもの」にあたる。

手続きは、まず、
自分の期日前投票所に出かける。
その受付で宣誓書の用紙を受け取る。
投票日に自分が投票所に行けない理由を
宣誓書上で選択して受付に提出。
その後、免許証やパスポートなどで本人であることを確認。
選挙人名簿と対照。
投票用紙を受け取って、
通常の投票と同じように記入をして投票箱に投函。

私も期日前投票をしたことがあるが、
いたって簡単。
精神的な負担を感じるものは、
一切ない。

投票日の投票所は、
たいてい近くの小学校などで、
便利な近隣に設定される。
私の場合、横浜市立港北小学校。
しかし期日前投票所は、
港北区役所。

ちょっと遠くなるが、
それほど負担になることはない。

ずいぶん多くの人が期日前投票に来ているのだなと、
ちょっと元気がでてくる。

小売りサービス業に従事する人たち、
選挙に行こう!
投票しよう!

皆さんの投票率が上がれば、
社会は変わる。

さてその公示日に新聞各紙が、
社説などで主張した。

全部読んだが、
日経新聞の論説委員長・芹川洋一さんが、
実にクールな分析をした。

「なにかがすっぽり
抜けおちているような気がしてならない」

芹沢さんは、有権者のチェックポイントを3つ上げる。
「第1は、過去の業績評価である」

「第2は、将来への期待である」
「そのとき大事なのは、
政策を個別にみて比較するだけでなく
全体としてとらえることだ」

「第3は、政党のあり方である」
「理念や価値観がちがったメンバーが、
選挙を目的にあつまったら、必ずどこかでつまずく」

そして最後に重要なこと。
「民主党政権がつづいても、
自公政権か、自公+第三極の政権になっても、
参院の構成は同じだから、
いずれも過半数には届かない。
衆参のねじれ状況がつづく。
衆院選をやっても政治の局面は転換しない」

「それが変わるのは民主と自民が組んだときだけだ」

「日本が二流国家になろうかという瀬戸際で、
政治リスクを解消するには
来年夏の参院選までは
民・自公の協力政権のかたちを探るほかない」

「おかしな話だが、
今回の衆院選は準決勝でしかない。
決勝は参院選だ。
新しい連立や政党再編で、
政治のかたちをととのえるのは、
おそらくそのあとになる」

だから、
選挙に行こう!
投票しよう!

今回の衆議院選と来年の参議院選。
準決勝と決勝を、
自分の選挙権を行使して、
参加しよう。

それが必ずや、
社会を変えることになる。

さてニュースを二つ。
いずれも日経新聞。
第1は、ユニクロの11月の既存店売上高が、
前年同月比で13.7%のプラス
になったこと。
これは3カ月ぶり。

客数は12.8%増、買い上げ点数も増、
客単価は0.9%増。

ここには、11月23日の勤労感謝の日から始めた、
全国一斉セール「創業感謝祭」も貢献。

私はユニクロの売上げ推移は、
同社だけの話ではなく、
日本の消費のある側面を代表していると考えている。
だから、この12月にかけて、
ちょっと消費が活性してきたと、期待したい。

ファーストリテイリングの社名は、
Fast=はやい
Retailing=小売業
つまり「はやい小売業」。

このスピードが11月の復活をもたらした。

もうひとつは、日経新聞『経済教室』の「経営塾」。
ジャパネットたかた社長の高田明さんが登場。
「大事なのは、客が知りたいことを『シンプルに伝えること』だ。
これは米アップルの創業者、故スティーブ・ジョブズ氏の言葉でもある」

「シンプルに伝える」

何よりも大事なこと。

ジャパネットたかたのクレド。
(1)商品の先にある「生活」や「感動」を届けること
(2)身近で便利で安心・快適な買い物手段であること
(3)商品の最大限の価値を伝えること
(4)楽しさ、面白さ、元気を与えること

4つのミッションが、
シンプルそのもの。

実に、いい。

さてさて昨日は、朝から新幹線のぞみに乗り込んだ。
横浜は雨模様、しかし静岡に入ると、
空を雲が流れ、山並みには霧が走る。
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残念ながら、富士は姿を見せなかった。

昼ごろ、新大阪に入り、
その後、堺市へ。

午後からホテル・アゴーラリージェンシー堺で、
万代ドライデイリー会総会での講演会。

この秋実施したアメリカ研修会の報告を兼ねたもの。

先に、総会が行われ、
㈱万代副社長の山下和孝さんが、
第4四半期の業績を報告。
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今年50周年を迎えた万代の記念ロゴは、
来年、3000億円達成がしるされたものになる。
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それを果たすための施策を
取引先のメーカー・卸の会員へ発表。

その後、私の講演会。
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テーマは「アメリカ小売業に学んだこと・学ぶべきこと」
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今年10月から11月初旬にかけて
私はアメリカに23日間滞在した。

そこで出会った4つのことをマクラにして、
2012年末商戦に活かすアメリカの事例を紹介。
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ハロウィンから年末までのアメリカの三段階プロモーション、
ウォルマート流「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」、
コストコの祭日7日間休業の意味を語った。
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そしてアメリカ・チェーンストアランキングを解説したうえで、
視察した主な店舗を一挙にスライドで紹介。
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その数、300枚。
1枚1枚を説明した。
これだけで十分、疲れた。

しかしここからが本番。
米国スーパーマーケット戦略の大整理。
ドミナントエリア戦略、
インディペンデント・カンパニー戦略、
フォーマット戦略、
ポジショニング戦略、
プライベートブランド新戦略。
100分を超える講演で、熱が入った。
ご清聴、感謝。

そのあと、アメリカ研修会に参加したメンバーを代表し、
J‐オイルミルズの高辻慎太郎さんがスライド報告。
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私は再び登壇し、全体を総括。
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続いて、4つの分科会に分かれ、
参加者たちがそれぞれに報告と提案を行った。
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私は各会場を梯子しながら、
皆の発表を聞いた。

講演を終えて、
社長の加藤徹さんと控室で意見交換。
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講演会には、万代の主な経営幹部が参集。

秋のアメリカツアーに同行した磯田雅人さん。
現在は、万代グループの子会社㈱栄進の社長。
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そして二人の役員。
西水啓介常務取締役(右)と阿部秀行取締役。
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ユニクロのスピードと、
ジャパネットたかたのシンプルさ。
万代にも通じることだ。

〈結城義晴〉

2012年12月04日(火曜日)

「窮して変ず」のイノベーションと「誰がマックを食らったか」

第46回衆議院議員総選挙、
今日、公示。

投開票日は16日(日曜日)。
12日間の選挙戦。

2009年に政権与党となった民主党と、
その政権奪還を狙う自民・公明両党。
そして合従連衡を繰り返した「第三極」。
12政党の乱立。

小選挙区300、比例代表180の合計480の議席。
日経新聞によると、2日現在、
「1400人超が立候補を予定」。

選択がひどく難しい選挙だが、
明日から期日前投票ができる。

小売業・サービス業従事者は、
相対的に投票率が低い。

理由は明白。
投票日の日曜に、
店を開けて営業しているからだ。

しかしその投票率が低い人々が、
投票行動にでたら、
結果は変わる。

選挙に行こう!
投票しよう!

呼びかけたい。

投票行動を起こしたら、
その後の政治に関心が深まる。

そしてまた次に、投票する。
小売りサービス業従事者の多くが、
これを繰り返したら、
必ず日本が変わる。

小売りサービス業の人々の投票行動は、
無党派層のそれととともに、
日本の将来を握っている。

選挙に行こう!
投票しよう!

そしてその結果に責任を持とう。

これが良い国づくりの第一歩だ。

さて昨日の日経新聞オピニオン欄。
「核心『成長の限界』再び?」

コラムニストの土谷英夫さんが担当。
「イノベーションの停滞」説を披歴する。

タイラー・コーエンの著書『大停滞』。
米ジョージ・メイソン大学教授。
中心メッセージは、
「“容易に収穫できる果実”はほぼすべて摘み取られてしまい、
現在は経済成長をもたらす果実が手に入らなくなっている」

ロバート・ゴードン米ノースウエスタン大学教授は、
「米国の成長は終わったか?」と問う。

18世紀半ば以降の産業革命は、
第1期(蒸気機関、鉄道など)、
第2期(電気、内燃機関、上下水道の屋内配管、通信、化学、石油など)、
第3期(コンピューター、インターネット、携帯など)に分けられる。

このなかで、
「19世紀後半に起きた『第2期』の効果がずばぬけ、
1970年ごろまで成長率を押し上げてきた」
しかし「この50年の『第3期』はほぼ息切れ」

「過去250年の急速な進歩は
『人類史上の特異なエピソード』だったか」
いったい全体、果たしてそうなのか。
それがコラムニストの問題提起。

18世紀末のロバート・マルサスの『人口論』。
1972年の「ローマクラブ」の報告書。
そして先週発表の経済協力開発機構(OECD)の経済見通し。
「成長の限界」を唱える悲観論を羅列する。

しかし、ひとつの意外な驚き。
国際エネルギー機関(IEA)発表の「世界エネルギー見通し」では、
米国が最大の天然ガス産出国、産油国になる。
ロシア、サウジアラビアを抜いて。
いわゆるシェール層からガスや石油を採取する技術が普及し、
「非在来型」のガス、石油が急増。
結果、2035年までの世界のガスの増産分の半分近くは、
シュールガスになる。

まさに「イノベーション」が起こっている。

そして結論は、中国の古典「易経」の一節。
「窮すればすなわち変じ、
変ずればすなわち通ず」。

「進退きわまれば、人間は新機軸に知恵を絞る」

コラムニストは述懐する。
「『窮して変ず』が
イノベーションのメカニズムではないか」。

果たして本当にそうなのか?
こんどは私がコラムニストに疑問を投げかけつつ、
「窮して変ず」も考えてみる。

もうひとつ昨日の日経新聞『経営の視点』。
タイトルが面白い。
「誰がマックを『食べた』のか」
書き手は編集委員の中村直文さん。
流通サービスの専門家。
私は中村さんの言説に信頼を置いている。

ただし私なら、
「誰がマックを食らったか」と下品にやる。

しかし日経新聞の用字用語らしいが、
「食べたのか」になっている。

「日本マクドナルドホールディングスの既存店売り上げが低迷している。
7カ月連続のマイナスで、
8年続いた年間の既存店売上高プラスも
2012年で途切れそうだ」

「今年は想定を見誤った」。
原田泳幸社長の総括。

昨年の東日本大震災や福島原発事故の反動で、
今年4月から売上げ回復を見込んだ。

「ところが客足はいっこうに戻らない」
そこで、「100円メニューの拡充など新たな戦略を打ち出した」
客数は増えたが、それを補うほどの伸びはなかった。

「いったい誰がマックの売り上げを『食べた』のか」
これが中村さんの問題提起。

コンビニエンスストアか?
マック自身はこれを否定。

同社が「中食市場」の動向を調査した。
コンビニ食や牛丼、カフェチェーンなど競合する業態の売上高を合算。
すると「中食市場そのものが落ち込んでいる」
それが判明した。

コンビニやスーパーマーケットの弁当・惣菜やファストフード、
それらを合わせた「中食マーケット」が縮んでいる?

「厳しく出費を抑えている消費者の姿が浮かび上がってくる」
中村さんは語る。

とりわけ「20~30歳代の食生活」が変わりつつある。

しかしここに面白い現象がある。
主婦向けの雑誌を手がける『オレンジページ』が、
今年6月から『食べようび』を月刊化。

出版不況を尻目に絶好調。

まず第1に、20~30代をターゲットとした。
第2に、「とことん読みやすさを追求」。
従って、「使用する素材や調味料の形、
量から料理の流れまですべて図解で記載」。

図解や分解写真の多用。
これは私がかつて、
㈱商業界の『販売革新』や『食品商業』で採った手法。

いま、私の最初の部下の町田成一君が、
月刊『danchu』編集長として、
極めて上品に実行しているメソッド。

『食べようび』は、
「火の強さ、時間まで事細かく示し、
一切迷うことなく1人分のメニューを作ることができる。
しかも低額で」。

『dannchu』の読者を、
さらにセグメントし、ターゲティングし、
そうしてポジショニングした。

「重ねるごとに部数は増え、すでに8万部」

花村哲編集長は「10万部までは伸びる」と自信満々。
「単身者が多い若い層は、
家で簡単に安く済ませる合理的な食志向を強めているため」

つまりは巨大ではないけれど、
拡大しているマーケットがある。
そこにスポットを当て、際だった。

電通総研の大屋洋子主任研究員の分析。
「食への欲求が低下している」

「いつでもどこでも食べられる環境で、
3食をしっかりとる生活パターンが崩れた」

電通が食生活について調べたところ、
10~20代の女性では7割が、
「食事を抜くことがある」と回答。

しかし、中村さんは追い打ちをかける。
「内食志向が強まったとはいえ、
スーパーでも1人当たりの購入量は減少し、
値下げ頼みだ」

マクドナルド原田さんの戦略。
「目先の売り上げを落としても
長期的な成長戦略が不可欠」

そこで、「宅配強化などに取り組む方針」。

しかし私は原田泳幸のこの言葉。
真に受けたりはしない。

原田経営はもっと奥が深い。

「長期的成長戦略」が必須であることは同感だが、
「宅配強化」が根本的な長期戦略とは思えないからだ。

徹底した低価格戦略で、
コンビニ、スパーマーケットを巻き込んで、
業態間の泥沼戦に持ち込む。
最後の最後には体力勝負で事が決する。

それを考えのなかに入れている。

「窮して変ず」を冷徹に、
自分の組織に課している節がある。

それが原田泳幸の経営だと思うが、
いかがだろうか。

〈結城義晴〉

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