結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年03月25日(水曜日)

アベノミクスと小売企業経営とゴルフ・スウィングの「合成の誤謬」

アイダスグループ第30回研修会・交流会。
鈴木國朗さんが主宰するコンサルティング会社。
アイダスグループは、
昨2014年2月に30周年を迎えた。

そのアイダスグループが主催する研修会。
東日本大震災後、開催を控えていたが、
記念すべき第30回。

2日目は交流会のゴルフプレー。

私自身は商人舎サイトへの、
「総当り攻撃」と闘いつつのラウンド。

それでも千葉県市原市の、
浜野ゴルフクラブ。

井上誠一設計の名門。

堪能した。

最近、スウィングを変えている。
ヒップターン理論をベースに、
ヘッドスピードを上げて、
飛距離と正確性を両立させる。

クラブは全て変えた。

夏くらいまでかかりそうだが、
いい兆候が出てきた。

その結果、これをいただいた。
DSCN9779-5

とはいっても、30回記念のため、
参加者全員に「優勝トロフィー」。

本当の優勝は、
㈱セイブ前社長の荻澤誠さん、
準優勝は、
ケーマート社長の千葉喜夫さん。

おめでとうございました。

さて日経新聞の『大機小機』。
経済コラム。

3月21日のタイトルは、
「『ばらまき』の定義と実例」
コラムニストは私の好きな隅田川さん。

今日25日のタイトルは、
「地方は本当に厳しいのか」
こちらの書き手は和悦さん。

隅田川さんは、
国の予算への「ばらまき」批判を考察する。

定義が不明確なまま、
「ばらまき」という概念を使っていることに、
問題点を求める。

「ばらまき」とは、政策の対象が、
「広く薄く拡散している場合を指す」

こう思われがちだ。

しかし「広くて薄いから駄目」とはいえない。

例が挙がる。
「農産物の関税引き下げ」。
その効果は消費者全体に広く薄く及ぶ。
しかし国民福祉を高めるうえで、
重要な政策である。

だから「広くて薄いから駄目」とはならない。

したがって、
駄目なばらまきの定義は、
「政策の対象が広がっており、
そのため効果が、
小さなものになってしまうこと」

再び例が挙げられる。
全国各地で配布・販売されるプレミアム付き商品券。

1万2000円の商品券を1万円で販売し、
その上乗せ分の2000円を
国が交付金で助成する。

大義名分は、
「地元の消費拡大を通じて
地域振興に効果がある」

そのために、2014年度の補正予算で、
新交付金4200億円が、
緊急経済対策の一環となった。

ほとんど全ての自治体が実行する。
広くて薄い政策だ。

しかしこれは、
経済学でいう「合成の誤謬」(ごびゅう)。
「部分だけ見ると合理的だが、
全部を足すと必ずしも合理的でなくなる」こと。

さらに「代替効果」も検討されねばならない。

「商品券の使い道が、
もともと買うはずだったものに向けられた場合は、
商品券の分は実現するはずだった買い物を
代替しただけで終わり、
消費を刺激する効果はない」

広く薄くて効果が小さい。

これは典型的な「ばらまき」。

論理的、実証的検討が不十分なまま
政策が立案され実行されると、
「駄目なばらまき」となる。

一方、こちらも決まり文句の錯誤を指摘する。
「アベノミクスの恩恵は
地方に及んでいない」

果たして本当か。

政府の2015年度「地方財政計画」は、
地方税収を合計37.5兆円と見積もる。

14年度に比べて2.5兆円の税収増。

日本企業の経常利益は、
14年10~12月期に18兆円余り。
四半期ベースで最高を更新。

この経常利益更新分の税収も高まる。

ところが企業業績が好調でも、
本社所在地の多い東京にしか
恩恵は及ばないと思われている。

実態はどうか。

人口約70万人の島根県。
15年度の県税収入は653億円、
前年度に比べ15%増の見通し。

伸びが大きいのは、法人二税。
つまり法人県民税と事業税。
15年度は170億円と同33%増。

さらに人口60万人足らずの鳥取県。
15年度の県税収入は510億円、
前年比11%の伸びを見込んでいる。

ここでも法人二税は117億円、
11%増の見通し。

さらに東京都や愛知県に比べて、
出遅れ気味の大阪府。
15年度の府税収入の見積もりは
19%増の1兆3962億円。

うち法人二税は3541億円、
9%増の見込み。

「企業は津々浦々で仕入れ・生産・販売をし、
従業員を雇っている」
小売サービス業も、
卸売業も、製造業も、
貢献している。

コラムは、
地方企業が元気になれば、
その好業績の余沢が、
税収に及ぶと指摘する。

地方産業、地方小売業、
そしてローカルチェーンの元気が、
アベノミクスを推進するし、
それは実現されつつある。

結びは、「地方創生を
単なるバラマキに終わらせては
元も子もない」

コラムニスト隅田川さんの指摘と、
つながってくる。

広くて薄くても、
効果があるばらまきは、
地方を元気にさせる。

広くて薄くて、
効果が小さいばらまきは、
地方を弱体化させる。

「合成の誤謬」は、
避けられねばならない。

これは政府の政策だけに、
適応されるべきことではない。
小売企業経営そのものにも、
当てはまることだ。

そして私のゴルフ・スウィングにも、
「合成の誤謬」は、
ぴたり、当てはまる。

優勝トロフィーを眺めながら、
そんなことを思う。

〈結城義晴〉

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