結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年03月23日(水曜日)

クルーグマン博士の「相互依存」と「らしい・くさいの違い」

横浜でも花見シーズン直前。
商人舎オフィス裏の遊歩道。DSCN9679-6

その桜木1本。
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もう、開花。
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一方、オフィス近くの新田間川。
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芽吹いてきました。
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開花寸前。
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青空に映える。
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もう一息。
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待ち遠しいような、
もうちょっと待ちたいような。
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そんな気分は、
悪くない。
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さて、ベルギーの首都ブリュッセル。
ザベンテム国際空港と、
地下鉄マルベーク駅で、
連続自爆テロ。

死者は34人、負傷者は約230人。
日本人男性1人が重傷、1人が軽傷。

ベルギー政府はテロの脅威度を、
すぐさま最高レベル4に引き上げた。

過激派組織イスラム国(IS)は、
インターネット上に公式の犯行声明を投稿。

桜に浮かれつつある日本。
私も体調は万全だし、
桜に気分は高揚気味だ。

しかしヨーロッパは再びみたび、
緊張感に包まれた。

昨年11月13日のパリ同時テロでは、
130名が亡くなった。

今年の月刊『商人舎』新年1月号
「New Year’s Impression 2016」の冒頭に、
私は以下のように書いた。
………………………
国際情勢は今も、
「混沌」の一言に尽きる。

中東のシリアを中心とした混乱は、
世界の不安定要因となった。

キリスト教社会とイスラム教社会。

資本主義と共産主義の
イデオロギーの違いとは、

まったく次元の異なる
一神教同士の宗教戦争。

その軋轢の中に、
難民と国際テロ組織が同居する。

イスラム国のIS、
国際テロ組織アルカイダ、
アフガニスタン反政府武装勢力タリバン、
イスラム過激派ボコ・ハラムなど。

シリア難民受け入れの問題は、
EU内の各国に亀裂を生じさせた。

そしてそれが相対的に、
ヨーロッパを地盤沈下させた。
…………………………
そう、ヨーロッパの地盤沈下こそ、
世界にとって憂うべき事実だ。

そんな2016年3月下旬の今、
ポール・クルーグマン博士が来日中。
ニューヨーク市立大教授、
プリンストン大学名誉教授で、
2008年、ノーベル経済学賞受賞。

目的は、第3回国際金融経済分析会合への出席。
5月26日・27日に主要国首脳会議が、
日本の伊勢志摩で開催される。
「伊勢志摩サミット」と通称されるが、
今回はその準備会合の位置づけ。

私、クルーグマン博士の見方を、
結構、信頼している。

その発言。
「世界経済は弱さが蔓延している」
これをクルーグマンは、
「日本化している」と表現する。

だから「各国が財政出動で協調すべきだ」
つまり世界経済は相互依存せねばならない。

財政出動とは、
税金や国債などの財政資金を、
公共事業などに投資すること。

それによって国家主導で、
公的需要・総需要を増加させ、
国内総生産を向上させ、
民間消費などの促進を図る。

日本も「長期的には財政状況が心配」

しかし「2~3年は収支を気にせず、
財政出動すべきだ」

さらに付け加える。
「伝統的な政策手段が効かなくなっており、
物価目標など各種政策目標の達成が
困難になっている」

インフレターゲット論に、
最初に理論的基礎づけをしたのは、
クルーグマン自身だ。
1998年の論文。

その金融政策に限界があると認め、
だから財政政策が有効と強調する。

そして会合の終了後、
首相官邸で記者団に発言。
「消費税率アップは、
いまやるべきことではない」

ブリュッセルの同時テロに対しても、
日本化する世界経済に対しても、
国家レベルでの
「相互依存協力態勢」が必須だ。

私たち民間商業者も、
それを念じなければならない。

ポリティカル・マーチャントとして。

自分の売上げや儲けばかりに、
気をとられていてはいけない。

日経新聞のスポーツ欄。
『フットボールの熱源』
サッカー専門・吉田誠一記者が書く。

「らしい」と「くさい」の違い

三島由紀夫のエッセー集『不道徳教育講座』
「芸術家にしても、昔は
芸術家らしい態度や身なりを
していることが必要でした」

「らしい態度や身なり」
なるほど。

私も故渥美俊一先生から教わった。

「この『らしい』というのと、
『くさい』というのは、
大へんちがっているのだが、
又混同されやすい」

さすが三島。

「軍人だったら『軍人らしく』あるべきだが、
『軍人くさい』のはやりきれない。
しかも『らしく』『らしく』と
つとめているうちに、一寸油断すると、
いつのまにか『くさく』なっているのである」

これだ。
「らしく・らしく」がいつの間にか、
「くさく」なってしまう。

三島曰く。
「政治家らしい」のはいいが、
「政治家くさい」のはいただけない。

吉田記者。
「最近、この『くさい』という表現は
減っているような気がする。
代わりに増えているのが
『っぽい』だろうか」

「子どもっぽい」「大人っぽい」
「銀行員っぽい」「商社マンっぽい」
「学者っぽい」「ジャーナリストっぽい」
ついでに「コンサルっぽい」

さらに吉田記者は、
「アスリートっぽい」
「ドイツ人っぽい」

「褒め言葉なのか皮肉なのかは
場合によって違う」

プロ選手の「アマチュアっぽい」は情けない。
「教育者っぽい指導者」は評価される。

話は「っぽい」に移って、専門領域へ。

湘南ベルマーレ曺貴裁監督。
「サッカーを教えるというより、
サッカーを通じて生き方を教える」

曺監督の発言。
「自分は指導者だと思っていない。
指導者だと思わないようにしている」

「自分が指導者だと思った瞬間、
地位や権威を意識して選手を下に見る。
指導とは地位や権威をもって行うものではない」

「一人の人間として選手と接する」

吉田記者の結論。
「指導者も『くさく』なった瞬間に、
ダメになるのかもしれない」

ポール・クルーグマンも、
「ノーベル学者くささ」はない。

店長も部長も社長も同じ、
そして首相や大臣も同じ。

もちろん、知識商人も同じだ。

「知識商人っぽい」は、
未熟だと見て、
まだ許されるかもしれない。

「知識商人くさい」はいただけない。

その知識商人の指導者は、
さらに「くさい」ではいけない。

以って自戒とすべし。

「らしく・らしく」で油断すると、
すぐに「くさく」なる。

あ~あ。

〈結城義晴〉

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