結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年09月24日(木曜日)

大阪店舗クリニックと北野祐次さん・壽崎肇さんのこと

昨日から大阪に来ている。

幸いなことに台風12号が外れて、
こちらはそこそこに残暑。

しかし関東は急に寒くなったようだ。

やっと、秋本番という気分になってきた。
温暖化のせいで季節はズレる。

さぬきうどんの「粂屋」。
やってまっせ!
感染症対策。
安心して来てや! IMG_8640
いいねぇ。

今日は一日、
大阪を店舗クリニック。

商人舎を創業してから12年。
毎年、10回以上は海外に行っていた。
アメリカ、ヨーロッパ、アジア。

今年はそれがない。

そのうえコロナ禍で、
国内でも店舗を巡ることは少ない。

だから体力は落ちている。

それでも店を訪れると、
妙な元気が出て、
ずんずん歩く。

しかしひどく疲れた。
それではいけない。

故北野祐次さんの晩年を思い出す。
壽崎肇さんの80代を思い起こす。

北野さんは関西スーパーマーケットの創業者。
壽埼さんは九州の寿屋の創業者。

北野さんは1924年(大正13年)生まれ。
イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんと同年。
2013年2月12日ご逝去。88歳だった。

関西スーパーマーケット名誉会長、
オール日本スーパーマーケット協会名誉会長。
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日本の食品スーパーマーケット産業に、
これほど重大な影響を与えた人はいない。

北野さんが創り出した「システム」が、
日本のスーパーマーケット全体に普及し、
産業は明らかに進化した。

スーパーマーケット業界は、
悪い意味での「職人の世界」にあった。
そこにシステムの概念をもちこんだのが、
北野さんだった。

生鮮食品部門の鮮度管理システムは、
間違いなく世界最高峰である。

アメリカやヨーロッパよりも、
もちろん中国をはじめとするアジアよりも、
はるかに完成度が高い。
世界一厳しい目を持つ日本の消費者を、
十二分に満足させる仕組みは、
北野祐次によって生み出された。

それはまったく、
信じられないほどのイノベーションだった。

その北野さんが2002年に、
代表取締役を引退して、
会長になって、
さらにしばらく経って、
名誉会長に就任したころから、
急に元気がなくなってしまった。

「目が悪いので、見えにくい」と、
しきりに目を気にしていた。

しかしそんな北野さんも、
いったん店に入ると、
背筋がピンと伸びて、
早歩きになって、
元気を取り戻した。

店長や売場の担当者に、
事細かに指示を出した。

「店は北野祐次を元気にする」
私はそう思った。
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一方の壽崎肇さん。
1926年(大正15年)生まれ
ライフコーポレーションの清水信次さんと同年。
故渥美俊一先生とも、
私の大学の恩師・壽里茂先生とも、
そして私の両親とも同じ。

しかし、現在も健在。

1957年に、九州・熊本で寿屋を創業して、
1000億円を超える小売企業集団をつくった。
それは九州第一のチェーンストアとなった。

倉本長治と渥美俊一に学んで、
壽崎さんは九州一の流通王となった。

1992年に社長を退いたが、
残念ながら2001年に寿屋は、
民事再生法を適用申請した。

その壽崎さんは今、94歳。
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しかし80代までは毎年のように、
海外視察研修に参加して勉強を続けた。

そして訪れた全店舗の全通路(アイル)を、
相当のスピードで、くまなく歩いた。

「これが健康法です」と言っていたし、
どんなに早歩きしても、
隅々まで歩くだけで、
「その店や売場はわかります」と、
つぶやいた。

私は初渡米の1978年9月に、
壽崎さんとご一緒した。
ロサンゼルスとサンフランシスコ。

最後にフィッシャーマンズワーフで、
マルガリータをごちそうになって、
あの街の夜の坂道をふたりで登った。

懐かしい。

月刊商人舎の今年の5月号。
特集「コロナは時間を早める」
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壽崎さんが、
残っていた5月号の在庫を、
全部買い取って、
商業界九州連合会の皆さんに配った。

だから1冊も残っていません。

壽崎さんは現在も、
商業界同友会九州連合会長を務める。

「いい教科書です。
私は二度読みました。
みんなに勉強してもらいたい」

そう言ってくれた。

壽崎さんは雑誌や本を読むときにも、
店回りと同じで、
速読で、くまなく目を通す。

北野さんや壽崎さんを思うと、
68歳の結城義晴、
まだまだ「疲れた」などと言っていられない。

今日は森川泰弘さんが、
ドライバー兼案内係。
㈱JTB大阪第三事業部の商人舎担当。

海外研修が再開したらご一緒して、
いろいろと世話を焼いてくれる。

今日はその大阪版予行演習。
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私はリラックスしてジーパンとボーダー。
森川さん、ありがとう。
心から感謝します。

北野祐次さんも壽崎肇さんも、
そして渥美俊一先生も、
みな、私にとって父のような存在だ。

渥美先生が永眠されたときに、
私は五七五の句をつくった。

亡き父よ
店見るたびに
見るたびに

今日はそんな気持ちで、
15店の店舗を巡った。

そして何度も反芻した。
神は現場にあり。

ありがとう、店舗たちよ。

合掌。

〈結城義晴〉

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鈴木哲男・著

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