結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年01月30日(土曜日)

「隷従と献身」のすり替えと「おひとりさま消費」の精神の自由

一月、往ぬる。
二月、逃げる。

もう2021年のキャズムの1月も終わる。IMG_17591

商人舎オフィス裏の遊歩道。IMG_17611
朝日新聞「折々のことば」
第2066回は一昨日の1月28日版。

ものと直接
向かいあうことは、
精神を自由にする。
(シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵(おんちょう)』から)418CUlHGuZL._SX353_BO1,204,203,200_
「自分の活動とその結果のあいだに、
自分のあずかり知らぬ意志が介在する」

「それが奴隷状態である」

「この隷従の構造が
抗(あらが)いえないものになると、
人は強制された事態を
自発的に選んだ事態とみなし、
隷従を献身にすり替える」

隷従が献身にすり替えられることは、
断じて避けねばならない。

それを回避するには、
「もの」と「直接」、向かい合うことだ。

ただし、編著者の鷲田清一さん。
「ものとじかに向きあうその一歩は、
よほど周到な注意と準備がなければ
踏みだせない」

シモーヌ・ヴェイユは、
1909年生まれ、1943年没。
フランスの教師、工場臨時工、組合活動家、
そして思想家、哲学者。

34歳で亡くなった天才。
自ら食を断って死を選んだ。

生まれはピーター・ドラッカーと同じ年。

カール・マルクスの共産主義も、
アドルフ・ヒトラーの全体主義も、
見事なほどに批判し、
その切り口は現在にも生きる。
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白樺派の作家・武者小路実篤に、
『真理先生』という長編小説がある。
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主人公は60歳を超えた老人で、
真理とは何かを考え、説く人物。

その真理先生が敬愛するのが、
「馬鹿一」と呼ばれる無名の画家だ。

ひたすら石や雑草などを描き続ける老人。
真理先生は彼を「石かきさん」と呼ぶ。

金もないし、才能もない。
自分の描く画に関すること以外、
何も関心を持たない変わり者。

雨ニモマケズ 風ニモマケズ

慾ハナク 決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル

アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

宮澤賢治の「雨ニモマケズ」
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真理先生の馬鹿一も、
賢治の雨ニモマケズも、
シモーヌ・ヴェイユの思想に通じる。

それこそ「精神の自由」である。

新型コロナウイルス禍の今、
「精神の自由」は、
失いたくない。
失ってはならない。

自分が成した仕事と、
その結果や成果のあいだに、
自分のあずかり知らぬ意志が介在する。

これが「奴隷状態」である。

この構造に対して抵抗できなくなると、
人間はこの強制された事態を、
自分で選んだ事態と錯覚するようになる。

それが「隷従」と「献身」の混同であり、
「すり替え」である。

一昨昨日の日経新聞。
「おひとりさま消費」に勢い

「飲食や宿泊、娯楽などのサービス消費を
1人で楽しむ消費者が増えている」

もちろんコロナ禍中の現象。

「飲食店の来店者数は
前年を大きく下回る一方、
1人での利用は最大2割増え、
カラオケや宿泊でも1人客が好調だ」

㈱テーブルチェックは、
飲食店の予約・顧客管理をする。
その調査では、
1人での来店者数が、
昨2020年10月から前年比プラスが続く。
逆に3人以上のグループ利用は、
感染拡大以降マイナスが続く。

カラオケのビッグエコー。
利用者のうち1人客の割合。
感染拡大前の昨2020年1月と、
感染第三波直前の11月を比べれば、
10カ月間で8~9ポイント上昇した。

ビッグエコーは17年4月から、
「テレワークプラン」を始めた。
その売上高は20年2月が過去最高だった。

しかし10月には、
なんとその2月の7倍を記録。
このプランは1人での楽器演奏や、
オンライン飲み会の参加にも利用できる。

内閣府のサイト「V-RESAS」。
宿泊データがわかる。

利用者分類で宿泊者数の前年比を見ると、
「1人」が「全体」を上回って推移している。

8月や10月には1人が全体より、
10ポイント以上高い週が続いた。

もともとコロナ禍前から
「おひとりさま消費」の市場規模は、
大きいうえに、拡大傾向にあった。

矢野経済研究所の20年5月の調査。
19年度の1人利用の市場規模の見込み。
外食で7兆9733億円、
カラオケで470億円。
それぞれ15年度から前年比プラスが続く。

そして日本フードサービス協会の推計。
19年1~12月の外食全体の市場規模は、
26兆439億円だった。

単純比較はできないが、
1人での利用の約8兆円は、
全体のおよそ3割を占める。

「おひとりさま消費」は
キャズムの期間が終わって、
ポスト・コロナの時代となっても、
減ることはない。

小売業もサービス業も、
業態ごとにフォーマットごとに、
「おひとりさま消費」を、
視野に入れておくべきだ。

現代人は孤独だからである。

それでも隷従と献身を、
すり替えられてはならない。

精神の自由を、
失ってはいけない。
失いたくはない。

〈結城義晴〉

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