結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年01月27日(水曜日)

「教訓得られぬコロナ禍」とUAゼンセン木暮弘副会長対談

COVID-19感染者数。
世界で1億人を超えた。
ジョンズ・ホプキンズ大学の集計。
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100年前のスペイン風邪のときには、
世界で5億人が感染したと言われる。
世界人口の27%だった。

新型コロナウイルスも予断を許さない。

昨年11月上旬に5000万人に達した。
それから約2カ月半で倍増した。

ワクチンの接種は進んでいるが、
コロナウイルス変異種の脅威もあって、
混沌としている。

英国フィナンシャルタイムズ。
ジャナン・ガネシュ氏が、
昨年12月30日に書いている。
「教訓得られぬコロナ禍の悲劇」

「人類が過去100年ほどで経験した
世界的危機のほとんどは、
少なくとも我々に教訓を与えてくれた」

第1次大戦。
「帝国主義を失墜させ、
植民地での民族自決運動を加速させた」

第2次大戦。
「国連など、民族主義に
歯止めをかけるための法的な枠組み作りを
後押しする結果をもたらした」

1970年代のスタグフレーション。
「ケインズ主義的な
経済政策の限界を露呈させた」

2008年の金融危機。
「ケインズ的政策の再評価につながった」

「危機的状況に陥るたび、
人類は何かを学んできた」

「ところが新型コロナウイルスの
パンデミックという現在の危機は、
こうした学びを得られない点で
これまでと明らかに異なる」

「特定の政治体制や経済モデルが
他より常に優れているといった、
わかりやすい答えがないのだ」

同感だ。

個々の指導者も評価は分かれる。
ドイツのメルケル首相らは、
比較的成功した人。
ジョンソン英首相らは、
あまり成功していない人。

しかし、社会システムや制度として、
「パンデミックの一年を
その優位性で制したものもなければ、
決定的に敗北したものもない」

ドイツははじめのころには、
比較的感染拡大の抑え込みに成功していた。
そのころは、
「欧州の社会民主主義の有効性が
示されたとみられていた」

だが、イタリアもフランスも、
公的社会投資が多いにもかかわらず、
人口当たりの死亡者数は多い。

「人口当たりの死亡者数や累積感染者数、
第3の指標である致死率をみても
“大きな政府”の国の方が
“小さな政府”の国より
感染対策で成果をあげているとは言えず、
その逆とも言えない」

国家による統制と自由市場のバランス、
その適正な在り方に関しても、
「パンデミックはこの問題に
スポットライトを当てたものの
適正なバランスの問題への答えは
依然としてわからないままだ」

さらに、市民の自由を、
国家がどの程度認めるのが適正か。
この問題についても同じことが言える。

「国家主導の徹底的なアプローチで
感染拡大を抑え込んだ中国の成功は、
権威主義国家に懐疑的な人々にも
体制の一定の有効性を印象づけた」

「ただ、ニュージーランドなど
比較的うまく対応している民主国家も、
多数ある」

ガネシュ氏は冷静だ。
「パンデミックのどの指標をとっても
多元的な民主国家と権威主義的な国家の
どちらか一方が他方より優れていると
断定できる根拠はない」

「誰もが当然成り立つべきだ
と考える相関関係も、
今回は成立していない」

意外なことだが、
「裕福な国の方が中所得国より
コロナへの対応力が高いかも
わかっていない」

英国はインドネシアより感染者数が多い。
スペインの感染者数もコロンビアを上回る。
米国の感染者数は群を抜いて世界最多だ。

「米国内のデータを分析しても、
感染率や致死率の分布状況に
明確な論理性はみられない」

「この混沌としたデータの中で
パターンと呼べるものがあるとすれば、
東アジアと東南アジアでの
にわかには信じがたい成功だろう」

解明の糸口か。

「だが、この地域には
共産主義国家の中国と
複数政党による民主国家の韓国のほか、
さらに様々な政治体制が存在する」

ガネシュ氏は悲観的だ。
「世界はこの地域の成功から
どのような体系的教訓を
得られるというのだろうか」

「データが一定の形へ収束していかない限り、
何をどう変えるべきかという道筋も
わからないのが実情だ」

それどころか、
「ウイルスの脅威に対して
政策的に対応するうえで
守るべき確固たるルールすら
示されることはない」

「特定の社会組織モデルが
他より優れているかなど
判定するすべもない」

そこでガネシュ氏の結論。
「”良い政府は悪い政府より良い”といった
当たり前のこと以外、
新型コロナウイルスに苦悩した一年から
世界が得た学びは驚くほど少ない」

生活の現場でも仕事場でも、
店舗や売場でも、
マスク、手洗い、
三密を避ける。

そして徹底して、
接触感染と飛沫感染を遮断する。

それ以上でもそれ以下でもない。
そんなことしかわかっていない。

ガネシュ氏。
「我々が現在試されているのは、
ある一連の事実に対して
それとは因果関係のない架空の物語を
無理やり押しつけないよう
自制できるかどうかだ」

そう、一連の事実と、
その因果関係を考察すること。

そしていまでも、
「冷静に恐れる」ことだ。

「人間にとって
曖昧さと混乱ばかりの毎日を生きるのは
かなり大変なことだが、
架空の物語から導き出した
誤った変革に向かって突き進むのは、
それよりもはるかにまずいことだ」

同感だ。

「架空の物語と誤った変革」といえば、
ドナルド・トランプが表舞台から退いたことは、
幸いだと思う。

今日は東京・市ヶ谷へ。
IMG_17211

ゼンセン会館。IMG_17221

いつ以来だろう。
久しぶりだ。
IMG_17231

UAゼンセンの木暮弘副会長。
マイカル出身で流通に関する労働問題の専門家。
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もちろんUAゼンセンは、
日本最大の産業別労働組合だ。
現在、組合員178万9695人。

2012年11月に、
UIゼンセン同盟と、
日本サービス・流通労組連合が、
組織統合して誕生した。

そのUAゼンセンのなかで、
流通部会は組合員105万1105人。
58.7%を占める。

それから新井美穂さんは、
流通部門執行委員で、
労働政策委員会事務局長。
ダイエー出身。
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コロナ禍の労働界。
お二人から現下の情勢についてお聞きし、
私も「コロナによる時間軸の短縮」や、
「キャズム」現象をベースに、
意見を言った。
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ずいぶん重要な発見があった。

ありがとうございました。

曖昧さと混乱ばかりの日々を生きるのは、
大変なことだ。
しかし架空の物語から導き出された
誤った変革に向かって突き進むのは、
まずいことだ。

〈結城義晴〉

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