結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年12月20日(土曜日)

「買うことの精神の浄化効果」と「寒さという資源」

「オフレコ」「Off the Record」
記録をOffにすること。
記録したことをなしにすること。

発したコメントや談話などを公表しないこと。
さらに非公式なものとすること。

首相官邸で安全保障政策を担当する関係者が、
「日本は核保有すべきだ」と記者団に言った。
「最後に自国を守るのは自国だ」とも説明した。
r_img_top_guide_pc2
「オフレコで」と念を押したのだと思う。

共同通信がそのオフレコを報道した。
名前は伏せたけれど内容は配信した。

メディア各社がそれを採用した。

誰でもオフレコの発言をすることはある。
それを聞くこともある。

だが今回は論外だ。
立場、内容、タイミング。

しかも多数の聞き手に対して、
オフレコはありえない。

意識の低さ、レベルの低劣さにあきれる。

核保有の手前の論議に、
「ニュークレアシェアリング(核共有)」がある。
NATOの核抑止政策で論議は有益だが、
日本にはふさわしくないと私は思う。

オフレコは、
それを発言する者、
それを聴取する者、
両者の信頼と識見の高さが必須となるのだ。

さて日経新聞夕刊のエッセイ。
まず「プロムナード」
翻訳家の村井理子さん。

タイトルは、
「執筆に行き詰まったら」

私も興味がある。

「どうしても(翻訳の)作業に行き詰まるときがある」

「どう頑張ったって、
1文字も捻(ひね)りだすことができないと、
両目の奥からじわじわと
涙が出てくるようなピンチが
週に1度程度、必ずやってくる」

そんなときに村井さんが行うこと。
「ほぼ100%の確率で復活し、
リフレッシュした気持ちで
作業を再スタートできる魔法が存在する」

それは何か。

「『散歩』である」

「なぁんだ、
そんなことかと思われたかもしれないが、
20年超のキャリアで、
執筆に行き詰まり、
散歩に出て復活できなかったことは、
たぶん一度もない。
それほどの成功率だ」

ん~、私は散歩はしない。
そんな時間がない。

「散歩をして何をするかというと、
ただただ、景色を見つつ、
せかせかと足を動かし、
途中、自動販売機でお茶を買い、
腰に手を当ておもむろに飲んで、
そして再び歩き出す」

「意識して深呼吸して、
両腕をぐるぐる回したり、腰を捻ったり、
第三者から見たら少し怪しいかもしれないが、
自分の体にエネルギーを注ぐ感じで、
とにかく、動く、呼吸する……
こんなことを意識して30分程度、
作業場から外に出て体を動かす」

「天気が悪くて外出できない場合は、
ベランダに出て深呼吸、
そして部屋のなかでストレッチ」

私はスクワットをする。

「とにかく、体を動かすことを心がける。
すると、切れていた心と頭のスイッチが再び入る」

「成功率は極めて高い。
散歩をして、体を動かして、
後悔したことなど一度もない」

もうひとつ、
心と頭のスイッチを入れる魔法。

「インターネットショッピングだ」

「なぁんだ、そんなことかと、
再び言われてしまいそうだが、
執筆が行き詰まり、
一行も書けなくなったら、
ずっと狙っていた商品を
とりあえず購入してしまう」

これはわかるし、
私もやることがある。

「クリックするだけで売買は成立だ」

「購入したら、こう考える。
『来月には支払いがあるから、
書かねばならない』」

「これだけで、いきなり
作業スピードが上がるから、
自分でも驚いてしまう」

モノを買うことは、
精神の浄化に役立つ。

モノを売ることは、
精神の浄化をお手伝いする。

食べること、飲むことも、
それに似ている。

食べるサービスの提供も、
精神の浄化に貢献する。

商売は人々の精神の浄化を促進している。
社会的機能と位置づけていいだろう。

もう一つのエッセイは「あすへの話題」

作家の多和田葉子さん。
「寒さという資源」
cbe2f42f0312feebce79e5446f92726d-940x1158 (1)

「わたしは実は寒さに
魅せられているところがある」

「おそらく冬の長い土地から来た
ドストエフスキーが好きになった頃からだと思う」

多和田さんは高尚な精神の持ち主だ。

「わたしが一年のうちで
一番じっくり執筆できるのは
一番寒い1月である」

これは興味深い。

「意識が内へ内へと向かい、
素晴らしい言葉を見つけた時、
その言葉の温かさと光が身に沁(し)みる」

「寒いと空気が透き通って見え、
夏の濁りの中では見えなかったものが
見えてくるような気がする」

これは同感だ。

「寒いので腐食が進まず、
冬には古いアイデアもすぐには腐らないので
じっくり取り組むことができる」

そして結論。
「これからは寒さそのものを
地下資源のように
大切に考える時代が来るかもしれない」

温暖化の今、
寒さが資源となる。

いい視点だ。

テーマが資源となる。
故小野貴邦さんの指摘だ。

「寒さ資源」

ロシアなどが有利になることには、
ちょっと納得できないけれど、
自分では精々(せいぜい)
寒さを資源とすることにしよう。

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2025年12月
« 11月  
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.