結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年05月30日(月曜日)

「安近短」消費と「居心地のいい店」、日米の格差を思う

Everybody! Good Monday!
[vol22]

昨日、帰国しました。
体も神経も疲れ切ってはいますが、
充実感でいっぱいです。

この勢いで、6月に突入し、
また6月20日からテキサス・カリフォルニア、
そして7月下旬にはコーネル大学RMPジャパン卒業旅行。

今年はアメリカ、ヨーロッパへの旅が増えそうです。

それでも、すぐに、
元気を取り戻して、
また走り始める。

日経MJのコラム「底流を読む」を、
白鳥和生さんが書いている。
その冒頭に「がんばれ、元気を出せ」に違和感を感じるとか。

私も、盛んに「がんばれ」を連発し、
「元気を出そうよ」と呼び掛けた。

それは堺屋太一さん言うところの5段階に従っていた。
第1の救助の段階には、
「頑張れ、頑張れ」と応援する。

第2段階の救済の段階では、
「共に頑張ろう」と呼びかける。

ショックが激しいから、
シンプルな言葉しか聞こえない。

そして第3の復旧の段階では、
「ひとつずつ、すこしずつ、一歩ずつ」と励ます。

第4の復興の段階は、
共に新しいグランドデザインを語り合う。

さらに第5の振興の段階では、
「世界のモデル」になることを祈念しつつ、
議論を深める。

こんな応援、支援の段階を踏んで、
私たち個々も、成長する。

第4、第5の段階の「頑張れ、負けるな」には、
違和感があるかもしれないけれど、
救助、救済の段階には、
この掛け声、必要なのです。

さて、2011年5月も最後。
今週から6月に入る。
そして今週は2011年第22週。

アメリカに行っているうちに、
関東地方も梅雨入りしてしまった。

このホームページの「常盤勝美の2週間天気予報」に、
そのあたりのことが書かれている。

ぐずぐずした天気だからこそ、
店にはスッキリした雰囲気を満ち溢れさせたい。

さて日経新聞の「私の履歴書」。
アサヒビール元社長の瀬戸雄三さんが、
最後から2本目の原稿を書いている。
あすで1カ月の連載が終わる。

『昨日の自分とどう変わったか。
去年の自分とどう変わったか』
と言い続けてきた」

「アサヒのどん底を知る社員はわずかになった。
逆戻りは絶対にしてほしくない。
変化し続けていくことしか道はない」

変化し続ける。
それしか道はない。

まったくの同感。

その勇気を失ってはならない。

日経新聞が主要30業種の「4~6月期の産業天気」を発表。
「9業種で、4~6月期の景気予測を
1~3月期実績に比べ引き下げた」
一方、「引き上げたのは3業種」

コンビニエンスストアは、「曇り」。
「弁当などの委託生産工場や物流センターがほぼ復旧。
5月中に食品は平時の供給体制に戻る。
酒やつまみを買って自宅で飲食するニーズが生まれている」

コンビニは「安近短」消費の代表。

同じ日経にファミリーマートの記事。
「震災で被災した東北3県(岩手、宮城、福島)での出店数を今年度、
当初計画に比べ5倍の85店に増やす」

「出店形態は土地や建物を同社が用意し、
フランチャイズチェーン(FC)契約するオーナーに貸し出す方式が中心」

被災者の中からコンビニ・オーナーを募ろうという意図。

「2階を住居にした店舗を用意するほか、
初期投資にあてる資金がゼロでも開業できる優遇制度を導入」
これも復旧・復興へのサポートではある。

「産業天気」では、
ネットサービスが「薄日」。

仮想商店街「楽天市場」は、
「震災直前週を100とすると4月は112~113程度で推移」
5月もその流れは続いている。

「安近短」の最たるものはネットである。

「産業天気」に関連して、
トップの一言コメントがある。
岡田元也イオン社長が、「中部以西のてこ入れ」の必要を強調。
「復興需要のある東北や関東の消費は強いが西は弱い」
その理由は「関東以北を基準に小売業が販促計画を立て、
メーカーが新商品投入や広告を展開しているためだ」

だとするとこれは大いなる判断ミス。

「頑張れ、西日本」と、
叫ばねばならない。

「ショッピングセンターは『安近短』の施設として
震災後にぎわっている」

「安近短」はショッピングセンターに限らない。
「店」と称するものはみな、「安近短」である。

その店が顧客にとって、
「第三の場所」になってほしい。

これは私の切なる願いだが、
このニーズの強さに対応した自覚があるようには見えない。

アメリカの小売業を見てきたばかりだから、
余計にそう感じるのかもしれないが、
商品や売場づくりはどんどん良くなっても、
居心地のいい場所になることに関して、
鈍感な店が多い。

しかし現状の日本国民の求めるものは、
「居心地のいい場所」である。
それが「安近短」という概念に表れている。

今週は、順次、アメリカの「第三の場所」の紹介を続けていく。
乞う、ご期待。

ただし、ただ写真を眺めるだけ、
記事を読むだけではなく、
「居心地のいい店」を、
アメリカの小売業が全体・全員で、
追い求めていることを知ってほしい。

その「違い」こそ、
日米の「格差」である。

手が届きそうにも感じるが、
まだまだ格差はある。

では、今週も。

Everybody! Good Monday!

<結城義晴>


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