結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年05月12日(木曜日)

知る人ぞ知るスーパーマーケットを行く! その②コンパクトな必需の150坪・吉野ストア[奈良]

今日は、大阪へ日帰り。
チャリティセミナーが開催される。
「ひとつになろう日本! 商人支援プロジェクト」

その第1回。

趣旨に賛同し、
ご参集くださった皆様に、
心から感謝したい。

その報告は明日のブログで。

さて今日の朝日新聞のコラム「経済気象台」。
「震災が問いかけた『消費』」
コラムニストほろほろ氏が書いている。

氏は阪神大震災を経験して、確信した。
「生きていられるだけで幸せ」と。

そして「生きていくためには余分なものはいらない。
必要最低限のものがあればいい」
と考える。

今回の東日本大震災に際しても、
「いままでの便利さや快適さに
こだわった生活を悔いている」

「文明の針を少し戻してもいいのでは」といった意見もあるという。

これに対して、
「自粛生活は経済を停滞させ、
景気をさらに悪化させる。
自粛せずに消費をしよう」
という声も紹介。
私は、どちらかといえば、この立場にある。

コラムニスト氏は、最後に主張する。
「今まで自分たちがわずかな欲に踊らされ、
必要のないものまで消費し、
いかに資源を浪費し環境に負荷をかけてきたかを反省し、
本当に必要な消費を見極めようとしているからではないか」

さて、読者のみなさんは、
どう考えるだろうか。

ほろほろ氏はそう考えるかもしれない。
しかし、そうではない消費者もいる。

消費者、顧客は、
リアリズムに満ちている。

絶対に不必要なものを浪費はしない。
それでいて、楽しみたいとも欲している。

ギリシャ哲学のストア派とエピクロス派の論争に、
最後の結論はない。

ウィキペディアによるが、
ストア派は「ストイック」の語源となった禁欲的な思想と態度。
エピクロス派は、「快楽主義」として通俗化された思想を指すともされるが、
エピクロス自身は、
「真の快とは、精神的なものであって徳と不可分」との立場。

今回の震災の後、今一度、私は、
「商業哲学」の必要性を痛切に感じた。

常に考え続け、
論議し続け、
実務を通して、
実証し続け、
そのうえでそれぞれが、
確立しなければならない。
「商業哲学」

さて「知る人ぞ知るスーパーマーケット」
その②吉野ストア㈱。

奈良県吉野郡で展開する7店の企業。
年間売上高は約40億円。
従業員276人。

代表取締役社長は安川光男さん。

1951年、安川善永氏によって、
駄菓子屋と食堂を兼ねた食料品店として開業。
その後、1970年、菓子卸売業の橘髙が、
ボランタリーチェーンで展開するKマートチェーンに加盟。

このあたりからスーパーマーケットに転換。
その後、橘髙の破綻。

吉野ストアは1989年、CGCジャパンに加盟。

現在、奈良県の一番奥のエリアから中央に向けて、
しっかりと役割を果たすスーパーマーケットとなった。

その吉野ストア五條店。
1989年にオープンし、
2008年にリニューアル。

さらに今年3月、期待の再リニューアル。

売場は150坪ほどだが、
食品スーパーマーケットとして不可欠の部門構成。
当然ながら絞り込んだアイテム構成。

それがこの一番奥まったエリアで、
効果を発揮している。
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店舗の左サイドに広い駐車所を取った。
これがとてもいい。
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右翼から店に入ると、青果部門。
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150坪の店とは見えない。
明るくて清潔で、
なおかつコンパクト。

柑橘類のプロモーションが目に飛びこんで来る。
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左手には花卉のコーナー。
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右手は多段ケースの果物コーナー。
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主通路のセンターには島陳列の野菜売場。
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商品のフェースがしっかりしていて、
実によく管理されている。
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奥主通路には平オープンの鮮魚売り場。
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壁面が美しい。

そして「厳選こだわり品」のコーナー。
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精肉部門は奥主通路沿いの多段ケース。
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店舗左翼は日配品から、惣菜コーナーへ。
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「デリカテッセン」と称する左翼の売場は、
商品化と味の基準を上げる必要がある。

売場面積や品ぞろえでは格差がつかない部門。
1品であっても、顧客の支持が得られる部門。
その代表が惣菜部門。

小型スーパーマーケットにおいては、
なにをおいても、惣菜・デリの1品からの強化が必須。

1品からできるのだから、企業サイズには関係ない。
この店のこの売り場の、この商品で、
勝負がつくのがこの部門だから。
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コンパクトな店だから、
レジチェックスタンドは極めて重要だ。
店の元気はここから発信されるからだ。
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「買物代行のまわるくん」を導入。
NPO法人大和社中が運営する。
高齢者のための宅配事業サービス事業。
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私は現状の「ネットスーパー」には、
いまだ、全面的な賛成はできないが、
こういったエリアの吉野ストアの政策としてならば、
必要なサービスであり、おおいにやるべきだと思う。

このエリアにも、
オークワやマツゲン、
ライフコーポレーションといった競合店がある。

そういった上場企業や規模の大きな企業に対抗するためにも、
地域の顧客のためにできることは何でもやる。
とくに吉野郡においては。

吉野のことを一番知っている企業。
そんな企業が全国に必要だと思う。

右から吉野ストア㈱取締役運営本部長の西本幸浩さん、
五条店店長の藤本敏さん、
私の隣が取締役運営部長(教育担当)の吉田政巳さん、
いちばん左が五條店食肉バイヤーの藤永章徳さん。
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こちらは最大店舗の高取店。
いちばん右が、高取店店長の井上現さん。
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吉野ストアには若い役員や社員が多い。
西本さん、吉田さんがその代表。

私は、小さくて若い企業に可能性を見る。
それは伸びシロを持っているからだ。

吉野ストアはその典型的な企業である。

<結城義晴>

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