結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年09月09日(金曜日)

「産業の空洞化」は「商業の現代化」につながり「紀文お正月フォーラム2011」で講演

ほぼ日刊イトイ新聞、通称『ほぼ日』で、
糸井重里さんが増田恵子さんと連載対談。
増田さんはピンク・レディーのケイちゃん。

53歳になったケイちゃん、
表現力豊かで、素敵。

その対談の中に出てくるのが、
復活したピンク・レディーの100カ所200回公演の凄い話。

「ただ楽しい、そんなことというのは、
まぁ、ないんですけどね。
ちっちゃなことならありますけど、
大きな歓び
というのは
たいてい
『苦しい』
が混じってますよね」

糸井さんの言葉だけれど、
増田恵子が乗り移って発せられた。

今日の日経新聞夕刊。
落語家桂三枝が、
亡くなった桂枝雀のサービス精神を語っている。
日経は経済記事だけでなく、
生活や文化面でもいいものを載せる。

「枝雀カムバック2」は枝雀の落語3席を映像で楽しみ、
ゲストがトークする。
三枝が枝雀の凄さを、つくづくと述懐。

そして最後にぼそっと、言う。
「昔、2人で川柳の会に出たことがあった。
お題は『傘』。
その時の師の作品を今でも覚えている。
舞台に出たからには徹底的に笑わせる姿勢が、
『傘』の川柳に表れている」

「持って出たからにゃ 降ってもらわにゃ」

もう一つ日経新聞夕刊の「追想録」
佐々木力さん(リンク・セオリー・ジャパン前社長)。
ファーストリテイリングの柳井正さんとご一緒に、
何度かゴルフを楽しんだことがある。
細やかな配慮のある人だった。

「米国で1997年に創業し、
働く女性の支持を集めた婦人服ブランド『セオリー』。
これを99年にいち早く日本に紹介、
2003年にはファーストリテイリングと共同で買収」
そして社長に就任。

「日本のアパレル業界では珍しい根っからの国際派。
細やかな気配りと人当たりの良さで、
内外に幅広い人脈も築き上げた」

「セオリーも日本人仕様に変えず、
斬新な米国のデザインをそのまま移入」

このあたり、いかにも佐々木さんらしい。

「これが『格好良いワーキングウエア』を求める日本の女性の心をつかんだ」

柳井正さん。
「義侠心の強い、色気のある、
優秀なアパレル経営者だった」
8月9日没、享年60。
ご冥福を祈りたい。

さて朝日新聞のコラム「経済気象台」と日経新聞の「大機小機」。
今朝は互いに呼応した。
私にはそう感じられた。
「経済気象台」は「G7の没落」を語る。
「途上国では『成長の経済』という要因が働く」
「先進国では『衰退の経済』というべき要因が働く」

当たり前のようだが、
この親潮と黒潮の交差のごとき現象が、
今、世界経済の大潮流となっている。

そしてここに「後進の先進性」現象が現れる。
三菱食品特別顧問の廣田正さんの鋭い指摘。

一方、大機小機は「空洞化のプラス面」を考察。

「第1は、企業活動のグローバル化である」
「日本企業の海外進出を抑え込もうとするよりは、
海外企業の日本進出を促進すべき」

「グローバル化の流れを促進しつつ、
国内経済の空洞化を防ぐことができる」

「第2に、ある程度の空洞化は必要である」
「企業が海外に出て行くのを防ぐより、
他の分野を伸ばしてその穴を埋めていくべきだ。
そうすれば、時代の要請にあった産業構造になるはず」

「空洞化」は巨大製造業の危惧すること。
商業・サービス業の基幹産業化を構想すれば、
「空洞化のプラス面」は大きい。

「第3は、制度間競争を活発化させることだ」

「企業が活動しやすい制度的環境の整備が必要」
具体的には「税制、金融規制、各種参入規制など」

「海外投資を呼び込み、
国内の資源の流動性を高め、
制度間競争に応えていけば、
空洞化の脅威を経済の活性化に結び付けていくことができる」
コラムニスト隅田川氏の意見、貴重。

発展途上国の「成長の経済」と、
先進国の「衰退の経済」のはざまで、
「空洞化のプラス面」に、
「商業の現代化」が浮かび上がる。

ずっと、頭の中に置いておきたい理屈だ。

さて昨日午後は、
「紀文お正月フォーラム2011」で講演。
場所は東銀座にある時事通信ホール。

㈱紀文食品が年末商戦に向けて、
その年のトレンドや売り場づくりを提案するこのフォーラム。
今年で4回目。
今年のテーマは、
「東日本大震災後の正月商戦を考える!」。

7日、8日の両日開催で、
スーパーマーケットの経営トップや担当幹部130名ほどが参加。

はじめに、代表取締役専務の髙市泰明さんがご挨拶。
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第1部の講師は民族研究家の神崎宣武先生。
「ニッポンの生活文化の代表〝お正月”を継承することの意義」。
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日本の共同体行事は全て祭りと呼ばれ、
地域社会の全員が休みを取って、
皆でごちそうを食べる習わしがあった。

日常(気=ケ)ばかりでは気が枯れる(ケガレル)。
だから祭り(ハレ)で元の気に戻す(元気)。
とりわけ、年を重ねる正月祭りは酒とごちそうで、
心身を元に戻す大切な行事だった。
こうした正月の謂れや、言葉の意味を解説。

お正月を迎える家族の団らんの場で、
こうした日本の文化を語り継いでいきたいものだ。

今年末は、家族・故郷・日本がキーワードになりそうだ。

第二部は私の講演。
テーマは
「消費トレンドが変わる・購買マインドを変える」

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ドラッカーのマネジメントをベースに、
震災を経験した後の日本の消費者のマインドに、
いかにマーケティングとマーチャンダイジングを適応させていくか。
今年は前年比で考えるのではなく、
イノベーションをもった年末・年始商戦を企画し、
同時に組織風土改革を志向してほしい。

そんな内容の話だった。
60分の短い時間だったが、
提案したいことを簡潔に話した。
ご清聴、感謝。

第三部は紀文からのプレゼンテーション。
「正月の謂れ訴求による正月市場拡大のご提案」
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プレゼンは商品開発室商品企画三部の山本真砂美さんと坂上美樹さん。
2011年末向けの市場動向や店頭事例を紹介しながら、
年末商戦の具体的な提案が展開された。

こういったメーカーからの提案。
季節の風物詩的なものになってよい。

フォーラム終了後は懇親会。
㈱エコス社長の平邦雄さんとグロサリー部長の齋藤直之さん(左)、
そして髙市専務(右)。
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私の講演を企画担当してくれた山本真砂美さん。
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お疲れさま、ありがとう。

㈱関西スーパーマーケット店舗運営部マネジャーの岡秀夫さんも来場。
岡さんはコーネル・ジャパン第三期生。
岡さんとは3日間、ご一緒したことになる。
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お疲れさまでした。

今週も、充実していた。

ありがとう、心から。

<結城義晴>


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