結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年01月06日(水曜日)

経営者の「賃上げ」発言と働く人たちの「不愉快な時代」

今日は二十四節気の「小寒」
小寒から節分までを「寒」と呼ぶ。
だから小寒の日は「寒の入り」。

一応、暦の上では一番寒さが厳しい時期。

しかし、今日の東京・横浜は、
曇ってはいたけれど、
気温は低くはない。

夕方、鈴木國朗さん来社。
ご存知、大ぶろしきを広げない、
本物の一流コンサルタント。IMG_7564-5
今年もコラボレーションの仕事、
増えそうです。

よろしくお願いします。

そして『AJSネットワーク』到着。
私の連載は第97回。
IMG_7570-5
今回のタイトルは、
2015「脱チェーンストア(!?)」論議の行方

読んでみてください。

さて、1月5日の日経新聞『経済教室』。
連載タイトルは「分断危機を超えて」
その第2回は放送大学教授の御厨貴さん。
今週月曜日から毎日、
学会の重鎮が交代で書く。

「不愉快な時代の到来である」

「日本の内外を眺めても、
自然災害、テロリズム、社会不安が
常にどこかで生起している」

日経新聞紙上にしては珍しく、
安倍政権を堂々と批判する。

「安倍政権の醸し出す雰囲気は、
成果を出しているか否かにかかわらず、
何となくそうかという感じであり、
やったなあという達成感を
もたらすものではない」

「今も支持率はほぼ50%を維持する」

しかし「政権支持の理由となると、
驚くべき内容の項目が
トップを走り続けている」

「常に最も多いのは
『前政権よりまし』という評価である」

「このあられもない理由が
3回の国政選挙を経て、
今なおトップたることに、
政権も国民もメディアも三者三すくみで、
不愉快の情を禁じ得ない」

なるほど。

ここでマスコミの現在を表す。

「メディアも安倍政権になってからは、
政権支持と政権批判に
真っ二つに分断された」

政権支持の読売、産経、
そしてやや支持派の日経。
政権批判の朝日、毎日。

「しかもそれが丁々発止と政治的論点を巡り、
生産的議論を戦わすという、
国民が目を見張る状況にはなっていない」

「むしろ各メディアはことあるごとに、
持論を独り言のように繰り返すことが多い」

「持論を独り言のように繰り返す」
御厨さんは、こういった批評が持ち味。

「メディアも相互不愉快感に満ち満ちている」

「不愉快感に満ち満ちた時代」
これは顧客の心理でもあるので、
覚えておきたい。

さて、昨日は経済三団体の新年祝賀パーティ。
経営者の「賃上げ」に関する発言が集まる。
日経が報じた。

まず経済団体トップの発言。

日本商工会議所の三村明夫会頭。
「消費者の消費行動も経営者の投資行動も
デフレマインドから脱却していない」

賃上げに冷ややか。

経団連の榊原定征会長は「賃上げ」を、
「個人消費拡大の大きな牽引役となる」と主張。

しかし「年収ベースでの賃上げ」が条件。
つまりボーナスなどで一時的に上げる方法。

ベースアップは基本給の底上げで、
それは正社員の賃金体系の場合、
ボーナスの支給額も連動して増える。
さらに社会保障関連の支出も連動する。

「このため企業の実際の人件費負担は
基本給増加分の1.6~1.7倍かかる」

企業の人件費負担は増えるが、
逆にそれは社員たちが喜ぶ。

サントリーホールディングス新浪剛史社長。
「年収ベースで3%程度賃上げする方向。
労働組合との交渉だが、ベアも検討したい」

ベースアップに肯定的。
人材も集まるだろう。

三菱地所の杉山博孝社長。
「ベアを検討する」
東京五輪関連の需要で、
不動産業界は設備投資意欲が旺盛。

こちらも肯定的。

JXホールディングスの木村康会長。
「収益状況は非常に厳しい。
景気の良い話はできない」
原油価格の下落でベア実施は難しい。

トップがこういった発言をすると、
人は集まらない。

NEC遠藤信博社長。
「GDPの伸びに合わせて年収を引き上げるが、
ベアは慎重にならざるをえない。
へたに上げると経営を圧迫する」

正直な答えなのだろうが、
残念ながら働く人々の方を向いていない。

伊藤忠商事の岡藤正広社長。
「国内景気は16年に緩やかに回復していくが、
ブラジルなど新興国経済の先行きが不安だ」

第一生命保険は、
営業職員の初任給の引き上げに動く。
こちらは人材確保を目的にした賃上げ。

新浪さん、今回の発言だけでも、
点数を稼いだ。

これからの5年間。
経営者が本当に、
働く人たちの方を向いているか。

それが問われる。

日経新聞『経済欄』
「正社員不足、過去最高に」
2015年11月の労働経済動向調査。
厚生労働省実施。

正社員が「不足している」とした回答の割合から
「過剰」との回答の割合を引いた指数は33。

3カ月前の前回調査から4ポイント上昇。

比較可能な1999年2月以降で最高。

業種別動向。
建設業が44で10ポイント上昇。
運輸・郵便業は51で6ポイントアップ。
医療・福祉は44で1ポイント上昇。

製造業は27で1ポイント上昇、
肝心の小売業・卸売業は20で6ポイント上昇。
宿泊・飲食サービス業は36で4ポイント下降。

厚労省の見解。
「大手企業より中堅・中小企業で
人手不足感が強い」

日経のCHECK & CLIP。
主婦「年収の壁越え働く」52%

今年10月に、社会保険適用の基準が変わる。
「短時間労働者に対する
被用者保険の適用拡大」

対象は従業員501人以上の企業。

主婦のパートタイマーは、
働き方の選択を迫られる。

ライフネット生命保険の調査。
パートなどで働く20~59歳が対象。

社会保険関連で意識される年収は、
現在は130万円。
原則これ以上になると社保へ加入し、
保険料を支払う。

調査ではこうした基準にふれないよう、
労働時間を制限している主婦が7割超。
10月以降、適用対象が106 万円以上に広がる。

そこで労働時間を調整するより、
年収を増やしたいという人が、
全体で52.7%、
制度改正の影響を直接受ける人たちは、
64%が年収増を望む。

日経のコメント。
「年収の壁を意識しない働き方が
実際に広がるか、
今年の注目点の一つだ」

正社員もパートタイマーも、
働き方が大きく変わろうとしている。

そして働く人々の視点からすると、
どうも、それほど、
「愉快な時代の到来」ではなさそうだ。

「人をつくる、人を残す」ためには、
経営者も経営幹部も、
それを自覚しておかねばならない。

〈結城義晴〉


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