結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年12月31日(木曜日)

大丸の社是「先義後利」と結城義晴の[毎日更新宣言]終了! 

2015年が終わる。
21世紀15回目の大晦日。

日経平均株価の「大納会」、
終値は1万9033円。
1年前に比べると9%高。

アベノミクス効果も、
確かにあるのだろう。

金融緩和一本槍で、
二本槍、三本槍は見当たらないけれど。

もちろん民間企業の努力の成果もあろう。
そこには我が商業やサービス業も、
大いに貢献したのだろう。

今年の私は、
1月からニューヨークを訪れた。DSCN7793-5
ニューヨークでの研修は8回を数えた。

5月にはロンドンを訪問した。DSCN2270-5

都合14チームを率いて、
海外研修は過去、最も多かった。

11月には23日間連続で、
北米大陸をあっちこっちへ動いた。

私はアメリカやヨーロッパを、
教えるだけの対象とは考えていない。

彼の地で研修すること自体の、
効果と成果を最大に評価している。

違いを認識しつつ、
自分の強みを考えること、
それを活かすこと、
そして自ら変わること。

それが米欧のビジネスや商人を、
真剣に学び続けることのほんとうの意義だ。

月刊『商人舎』は、
今年も12回の特集を編んだ。

商人舎magazineの、
Monthly商人舎のページを開く。
その右サイドにあるのが、
「バックナンバー一覧」

1月号から12月号まで、
一つも手を抜くことなく、
完全燃焼ができた。

1月号の特集は、
CONSCIOUS RETAILING
最高意識企業ホールフーズ・マーケットの理論的根拠

アメリカの特集は、
8月号アメリカ小売業テキスト
11月号Kroger&HEB

2月号は、昨年の今日取材。
イオンスタイルを半裸にする
閉塞状況の日本総合スーパーに風穴は開いたか!?

企業特集は、
9月号YAOKO-Innovations
98狭山店⇒2015ららぽーと富士見店〉徹底解剖

世間の話題を独占した。

5月号は、
阪急オアシスと成城石井
何が「高級スーパー」を殺すのか?!

技術的な特集は、
3月号52週MDの錯誤
理論と実践の間に横たわる誤謬を見極めて正す

7月号惣菜ソリューション!!

10月号チラシ広告、まだ効くのか?!

ジャーナリスティックな特集は、
4月号ネットスーパー! 移動スーパー!!
ポスト・モダンのノンストアリテイリングはどっちだ?!

それから6月号、
女性が働きたい店・会社・産業
「日本小売業ダイバーシティ」を厳しく中間総括する!!

そして12月号は、
「流通革命論」の軛(くびき)を断つ
2015脱チェーンストア経営の弁証法

Daily商人舎Weekly商人舎も、
ご愛読を心から感謝したい。

さて、12月の『私の履歴書』
J・フロントリテイリングの奥田務さん。

大丸の社是は荀子の言葉「先義後利」
「常にお客様と社会のことを
第一に考え行動していれば
利益は自ずと生まれてくる」

荀子はこれも言う。
「利を先にして義を後にする者は辱められる」

奥田さんは1980年、
梅田店開設計画の主任に就任。
ブルーミングデールで研修し、
ラックマン会長が教えてくれた言葉。
「店舗コンセプトとイメージを一体化し、
商品だけでなく、売り場の内装、
販売員の服装まで統合した戦略」

これはまさしく、
コーネル大学が提唱し、私が主張する、
小売業ポジショニング戦略だ。

「店に入ったら梅田店であると
誰もが一目でわかるようにしよう」

連載19回目に書かれている。

連載20回は「新しい売場」に挑戦し、
連載21回では「軌道修正」

ポジショニング戦略が、
一朝一夕では完成せず、
試行錯誤と七転八倒であることが、
奥田さんの経験を通して語られる。

見事な実務教科書だ。

その後、1997年、
57歳で大丸の社長に就任。

開けてみると、
本体の営業利益率は0.8%、
有利子負債は1850億円。

私にも似たような経験があるから、
読みつつ、「うんうん」とうなづいた。

奥田さんは聖域なき改革を続け、
合言葉は「顧客の最大満足を最小コストで」

奥田さん自身が、
それを言い続けた。

しかし貫かれていたのは、
「先義後利」

日経新聞『私の履歴書』
2015年最後の月も、
いい内容だった。

さて今年の最後は、
何度も引用した『パンセ抄』
ブレーズ・パスカル、鹿島茂編著。

わたしたちは現在については
ほとんど考えることをしない。
考えるとすれば、
そこから光を取りだして、
未来を照らすためである。

現在はけっして
わたしたちの目的とはなりえない。
過去と現在は
わたしたちの手段である。
唯一、未来だけが
わたしたちの目的なのである。

このように、わたしたちは
現在を生きているのではけっしてなく、
将来生きることを希望しているだけなのだ。
そして、いつもいつも
幸福になる準備ばかりしているので、
現に幸福になることなど
できはしないのもまた必然なのである。

未来だけがわたしたちの目的だ。
しかし将来の幸福の準備ばかりでなく、
手段としての現在を考え、
生きぬくべきなのだ。

その現在は、
2015年から2016年へと変わる。

では恒例のごとく、
結城義晴のブログ[毎日更新宣言]、
これにて終了。

1年間のご愛読、
心から感謝するものだ。

〈結城義晴〉

2015年12月30日(水曜日)

名古屋の年末店舗視察と「地域活性化」から学ぶこと

2015年12月30日、
朝7時の名古屋の空。DSCN8380-5
朝日が街をオレンジ色に染める。

それから1時間も経つと、
街は落ち着いてくる。DSCN8383-5
しかし暖冬。

名古屋駅のタカシマヤは、
正月明けのクリアランス・セールを告知。DSCN8386-5

1年前は岡山にいた。
話題を席巻したイオンスタイル岡山に、
3日間通った。

今年は名古屋地区。
毎年年末は店を巡っている。

イオンタウン名西。DSCN8394-5

イオンタウンはもちろん、イオングループ。
ネイバーフッドショッピングセンター専門に、

いまや北海道から九州まで、
134カ所の近隣型SCを開発運営をする。

その名古屋市西区の店。DSCN8404-5
年末年始、ショッピングセンターは、
特に力を発揮する。

核店舗はマックスバリュ・グランド。DSCN8395-5

マックスバリュ中部の運営。DSCN8396-5

イオングループの中京圏の、
スーパーマーケット事業体。
現在、愛知県46店、岐阜県8店、三重県51店、
そして滋賀県6店の、総店舗数111店舗。
年商は2015年2月期で1649億円。

もともとは三重県のフレックス。
アコレやウェルマート中部と合併して、
さらにマックスバリュ名古屋、
マックスバリュ中京を併合して、
現在の規模になった。

店づくりも年末商戦の雰囲気を盛り上げる。DSCN8402-5

おせちバイキング売場を作って、
これは意欲的だ。
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その後、競合するミユキモールへ。
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ヤマナカとエディオンが核店舗。
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モールづくりはやはりイオンに、
一日の長がある。

ヤマナカは、
中京圏のスーパーマーケットとして、
いわば老舗。

2015年度年商
957億円で67店。

創業者の故中野富彦さんは、
商業界のエルダーで、
私、ずいぶんと薫陶を受けた。

現在は、
オール日本スーパーマーケット協会の、
副会長企業で、
中野義久社長は人柄の良さで定評がある。
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そのヤマナカ庄内通り店は、
1998年11月オープン、
そして2013年3月改装。

最新のモデルになっていて、
「オーソドックス」を絵にかいたような店。
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繁盛していて安心した。

今年の商人舎標語は、
「とんがり★こだわり」だが、
それがもう一段ほしいところだ。

もう1店、ヤマナカのアップグレードモデル。
四軒家フランテ。
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私にとっては懐かしい店だ。
ヤマナカの象徴のような店舗。

しかし古くなって、
今年11月に半年かけて、
大リニューアルオープン。
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フランテのフォーマットは現在8店。
キーワードは「旬・産直・安心・品揃え」。

つまり「こだわり」を前面に出したモデル。
しかしただ高いだけだし、「とんがり」がない。
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アウトスタンディングなポジショニングが、
足りない。

残念ながら、それは、
かつての高級高額スーパーでしかない。

今年の月刊『商人舎』5月号は、
【特集】
阪急オアシスと成城石井
――何が「高級スーパー」を殺すのか?!

まさに、高級スーパーが陥った隘路に、
フランテはあると思う。

難しい課題に挑戦している。
まだそれは大いに評価できる。

ただし、困難な問題は、
解くのに苦労する。

さて、日経新聞のコラム『大機小機』
私の好きなコラムニスト隅田川さん。
「地域の現場から学ぶこと」を書く。

地域を活性化する考え方が、
上手に整理されている。

「誰もが考えるのが
成功した地域を視察して
そのノウハウを学ぶという方法」

島根県隠岐の海士町や
徳島県の上勝町はその代表。

年間数百人もの人々が、
見学にやってくる。

「しかし、見学した成果を活かして、
同じように地域おこしに成功した地域の話は
ほとんど聞かない」

これは小売業と同じだ。
いい店を視察研修する。
国内、国外でも。

しかし、見るだけが多い。

コラムニストは、
理由を3つ上げる。

第1は先行者利得。
「成功した地域はその分野で
確固とした地盤を築いており、
後発者にとっては
参入障壁が高すぎる場合が多い」

「上勝町の葉っぱビジネスは
誰でもできそうに見えるが、
既にシステム化され、
かなりのマーケットシェアを確立しているので、
表面的な行動はまねできても
自律的な産業としては
まねができないのである」

第2は比較優位。
「成功した地域は、自らの地域資源を
最大限にいかしたからこそ成功している。
海士町が生ガキや塩のブランド化に
成功したのは、こうした生産に
他の地域より比較優位があったからだ」

これはポジショニングの問題。

ポジショニングは、
自らの強みに根差していなければならない。

「資源の賦存状況は地域によって異なる。
見学に来る地域が、
海士町と同じような地域資源と
比較優位構造を備えていることは、
ほとんどありえない」

だから「他の地域がまねしても
うまくいくはずがない。
逆に、他の地域がやっていないことを
考えるべきなのである」

第3に、本当の地域活性化の理由は
現場を見ただけでは
わからないところにある。

「海士町は財政危機、上勝町は冷害によって
『このままではどうしようもない』と
いうところまで追い詰められ、
危機感に促されて
飛び抜けたリーダーが
思い切って地域を導いて行った」

「それが民間ベースの
持続的な産業につながって、
初めて持続的な地域の活性化
実現するのだ」

本気のプロデューサーの存在である。

「これに対して、現地に見学に行くのは
地方公共団体の職員や研究者だから、
そもそも思い切ったリーダーシップを
発揮できる立場にはない」

「日本の役人や研究者が
北欧の社会福祉制度を見学してきても、
日本の福祉制度が
簡単に変わるわけではないのと同じことだ」

「卓越したリーダーがリスクを覚悟の上で、
地域資源をいかした活性化の方策に
政策資源を集中させる。
それがうまくヒットすると
成功事例として表れる。
それは、極めて細い道なのである」

素晴らしい。

阪急オアシスは千野和利さん、
成城石井は大久保恒夫さんと原昭彦さん。

卓越したリーダー、
本気のプロデューサーが、
リスクを覚悟のうえで、
自らの経営資源を集中させる。

ただ真似をすればいいというものではない。

小売業でも、サービス業でも、
持続的な成果を上げるには、
「とんがり★こだわり」への、
卓越したリーダー・本気のプロデューサーが、
企業内部に存在しなければならない。

〈結城義晴〉

2015年12月29日(火曜日)

平和堂春日井庄名店と「こまかく・きびしく・しつこく・なかよく」

今年最後の月刊『商人舎』の編集。
朝の4時過ぎまでかかった。

すべて私自身の原稿が遅れたため。

もう、仕事としての原稿書きは、
40年ほどやっている。

その前も、中学の終わりくらいから、
同人誌に加わって、結構、
真剣に文章や詩を書いていたから、
やがて50年になる。

けれど、ものを書くことほど、
厳しくて、細かくて、辛くて、
生産性の上がらない仕事はない。

まあ、それを職業にしてしまったのは、
私自身なのだから、仕方がない。

それでも、最高の記事を書いて、
2016年1月号は完成。

今年の書き納め。

もちろんブログは毎日、書くけれど。

明け方からちょっと仮眠して、
新横浜へ。

東海道新幹線ひかり。

年末も時間があれば、
駆け巡る。

駆け巡って、考える。
だから、書ける。

駆ける、
考える。
書ける。

乗り込んですぐに、
列車が小田原の手前に来ると、
丹沢の向こうに富士の姿。DSCN8330-5

頂付近には雪が見えて、
白い富士も美しい。
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しかし静岡側からは、
残念ながらその頂上あたりに、
雲がかかっていた。
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名古屋に着いて、
中央本線に乗り換え、
春日井から高蔵寺へ。

そこから南東2.1キロのところに、
平和堂春日井庄名店。
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今年11月26日(木)にオープン。
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愛知県内では15店舗目、
春日井市内では2店目。

5月に平和堂春日井宮町店が開店している。

店舗の北東には高蔵寺ニュータウン、
周辺には新興住宅や大規模団地が開発され、
名古屋の衛星都市の、典型的なベッドタウン。

商圏人口は、1キロ圏で1万人、3888世帯、
2キロ圏では4万1421人で1万7121世帯となる。

小商圏高シェアなど、
あまり細かく考えずに、
魅力ある品揃えと、
精一杯のフレンドリーサービスに徹する。
そんな店だ。

敷地面積7,595㎡、店舗面積1,982㎡。
鉄骨造りのワンフロア。

平和堂はこの600坪スタイルを、
ほぼ完全にものにしてきた。

道路を隔てて斜め前に、
バロー高蔵寺店がある。
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こちらはアメリカで言うコンベンショナル型。

その隣はバロー系の中部薬品。
店名は「Vドラッグ」
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平和堂の強みは、生鮮食品と惣菜。

まず青果部門はクォリティ&サービス型。
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年末だから、
もっともっとボリューム感を出してよい。

鮮魚から精肉への奥主通路は、
ご覧のような客数。
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鮮魚部門がずいぶん良くなった。

そして精肉部門のローストビーフ。
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格段に商品力がついてきた。

しかし、まだまだ。

ライバルはクローガーだし、
目標はホールフーズやトレーダー・ジョーだ。

それも平和堂ならではの「とんがり★こだわり」で、
米国トップのスーパーマーケットと競争してほしい。

店長の茨木慎吾さんと、
店次長の高橋宏尚さん(右)。
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お二人ともアメリカで研修した私の教え子。

そして福田正博さん。
東海営業部グループマネジャー。
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第1回平和堂アメリカ研修会のメンバーで、
商人舎ミドルマネジメント研修会でも、
第1回に栄えあるS級の成績を収めた。

その福田さんが今年末年始は、
この新店に特に力を入れている。

さて日経オンラインの経営者ブログ。
鈴木幸一さんは、
インターネットイニシアティブ会長。
日本のインターネットサービスの草分け。

もう、この経営者ブログを301回書いている。
今日付けのタイトルは、
「『変える』ことの難しさ」

うなづける。

「堅固で大きな組織というのは、
もともと、既存の事業を
維持、運営するためには、
極めて重要なのだが、
維持、管理という機能が濃くなるほど、
ツリー構造で与えられた組織図で言えば、
その箱の中にとどまる発想しかできなくなる」

ドラッカー先生が指摘する、
組織の陳腐化だ。

「会社という全体の中で
機能をするはずの組織図が消えて、
組織図に置かれた小さな箱の範囲内でしか
発想をせず、その行動も同じである」

「着眼大局、着手小局」
2011年10月の商人舎標語。
伊藤忠商事中興の祖・瀬島龍三さんの、
三つの心得の第一の言葉。

「そこには、仕事をする社員がもつ
ダイナミズムは消え、
ひたすら部分的な枠組みの中だけで
物を考える組織の集団が
存在することになる」

「事業の拡大に伴って生まれた組織は、
その事業の範囲内で組織の論理が働く」

だから着眼大局、着手小局。

目をつけ、判断するのは、
大きな視点と高い視野から。
実行、実践するのは、
こまかく、きびしく、しつこく、なかよく。

年末商戦を、この精神で、
駆け抜けたい。

〈結城義晴〉

2015年12月28日(月曜日)

「4年目のアベノミクス相場」と堤清二「わが記憶、わが記録」

Everybody! Good Monday!
[2015vol52]

2015年の最終週。
第53週目。

今日12月28日は、
民間企業は仕事納め、
行政府は御用納め。

小売業、サービス業は、
明日明後日と年末の際の勝負。

日経新聞の『羅針盤』は、
「4年目のアベノミクス相場」のタイトル。
編集委員の北沢千秋さんが書く。

「30日は大納会。大波乱がなければ
日経平均株価の年足チャートは
4年連続で陽線となりそうだ」

「陽線」とは、株取引の用語で、
その期間に始まった株価よりも、
終わった株価が高かった場合のこと。

新年1月4日を「大発会」、
そして12月30日を「大納会」と呼ぶ。

日本の株価は4年連続で、
大発会の平均株価よりも、
大納会のそれの方が高かった。

第2次安倍政権は、
2012年12月26日に始まった。
民主党からの政権交代だった。

そしてアベノミクスは4年目に入る。

北沢さんは、
証券会社の専門家の声を拾いつつ、
そのアベノミクスに評価を下す。

「目立つのは官による民事介入」
企業に賃上げや設備投資を求める。
賃上げには百歩譲って、
分配政策の一環だと考えることができる。
しかし企業への設備投資要求は、
「市場原理にそぐわない」

「企業は海外投資やM&Aなどを積極化し、
リスクを取っている」
それがエコノミストの意見。

安倍政権は「国内総生産」の拡大を望む。
それは「国内で生み出された付加価値」である。

民間企業は「国民総所得」に貢献している。
こちらは「国民が国の内外で生み出す付加価値」

両者にズレがある。

「株式市場が
アベノミクスに賛同してきたのは、
異次元緩和による円安や成長戦略が
投資リターンの増大をもたらす
と考えてきたからだろう」

北沢さんは市場の声を代弁する。
「企業への圧力は
アベノミクスの限界を表している」

最後は再び、相場格言。
「大回り3年」
意味は、「相場の大きな波は
3年で転機を迎える」

「政権交代から丸3年。
来年はアベノミクスの賞味期限が
市場で試されそうだ」

落ちは残念ながら、つまらない。

もう一つ、毎日新聞の『余禄』が、
堤清二さんのインタビュー本を取り上げた。
書名は『わが記憶、わが記録』
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あのセゾングループの元代表で、
ペンネーム辻井喬(つじいたかし)の作家。

一昨年、86歳で逝去。

サブタイトルがいい。
「堤清二×辻井喬オーラルヒストリー」
(中央公論新社刊)

Oral Historyとは、
「直接話を聞き取り、
記録としてまとめること」

堤清二という経営者・個人と、
辻井喬という作家・詩人。

両面を持つ人物に、
ジキルとハイドにインタビューするごとく、
しつこく迫った。

迫ったのが、三人の学者。
それも超一流。
政治史学者・政治学者の御厨貴さん、
経済学者の橋本寿朗さん、
そして哲学者・倫理学者の鷲田清一さん。

「家族のこと、
経営の成功と失敗、セゾン文化、
作家活動を縦横に語る」

これは、読もう。

「時に『辻井喬』の世界から動かない語り手を
聞き手が『堤清二』に連れ戻す様子は、
緊張感がある」

これは、読まねばならない。

そしてコラムニストの思い出。
堤さん自身は革新支持でも、
こう語った。
「人間としてまっしぐらに
生きようとしていれば、
右でも左でも構わない」

最近の私の考え方は、
故渥美俊一先生よりも、
堤さんの方が近いかもしれない。

何しろ「流通産業の現代化論者」なのだから。

そして私は、堤さんが登場すると、
必ず上野光平さんを思い出す。

西友の実質的創業者で、
経営者・堤清二の右腕。

コミュニストとしては、
堤清二の師匠。

上野さんこそ、現代化を志向し続けていた。

コラムの最後。
「諸事、二項対立で
論じられることが多かった年が暮れゆく。
腰を据え、来し方行く末を思うには、
堤さんの夢の跡を追った書がふさわしい」

こちらは落ちも、よろしい。

「二項対立」では割り切れない世相を、
二項対立で論じる。

堤さんが最も嫌った論旨だ。

割り切れないことを、
割り切ってしまってはいけない。

そんな風に考えて、
私も来し方行く末を思うことにしよう。

では、みなさん、あと少し。
今週も、Good Monday!

〈結城義晴〉

2015年12月27日(日曜日)

ジジの入院[日曜版2015vol52]

ジジです。
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ボク、ビョーキです。

目は網膜剥離だけど、
内臓は腎臓病。

だから入院しました。
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横浜ねこ病院。

ここがボクの病室。
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安静にしています。
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おとなりにも、
病気のおともだち。
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入院して点滴。
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右手にしてもらいます。
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管がつながってる。
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ソルラクト。
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ボクはじっとしています。
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さみしい。
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入院してから、
二日目はちょっと、
元気になった。
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よるは、このカゴのなかで、
ねむりました。
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三日目は、ずいぶん、
元気になりました。
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すこしカラダがかるい。
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年末には退院して、
お正月はおうちで、
むかえたい。

そんな心づもりです。
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ご心配、おかけします。

でも、ことし1年のご愛読を、
感謝します。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2015年12月26日(土曜日)

「史上最も暑い年」の総括イメージは「黄色信号」だった

「史上最も暑い年」
今年はこう、呼ばれることとなった。

今年の漢字一字は「暑」が、
よかったのかもしれない。

アメリカ海洋大気局の月例気象報告書。
「過去136年間で最も暖かい11月」だった。
7カ月連続で月平均気温の最高記録を更新。

11月の世界の地表気温と海面水温は、
20世紀平均を上回り、
観測史上最も暑い年になる可能性が高い。

24日のニューヨークも、
最高気温は22度。

アメリカ合衆国の観測史上、
最も暖かいクリスマスイブだった。

暑い年の原因は、エルニーニョ現象だ。
熱帯太平洋東部の海水温が、
平年に比 べて高くなる現象。

それが世界各地に異常気象を引き起こし、
北半球では暖冬となる地域が多い。

エルニーニョは、
スペイン語で「神の子」を意味する。

その神の子の手は、
世界経済の波乱要因となった。

例えば天然ガス価格は16年ぶりの安値。
暖房需要の減少観測が原因。

日経新聞によれば、
「原油先物相場も軟調に推移」。
しかし天然ガスは暖房需要が多く、
その落ち込みは一段と鮮明。

この天候異変で、
世界的な農作物の不作。
だから食料品のインフレ圧力が懸念される。

環太平洋の農業国も、
軒並み不作や不安を訴える。

フィリピンでは、
「エルニーニョ現象の長期化で、
景気の下振れリスクがある」

タイではコメ農家が水不足に苦しむ。
7・8・9月期の農業部門はマイナス5.7%。

インドネシアでは雨期入りが 大幅に遅れ、
野焼きによる煙害が拡大。

ベトナムの稲作地帯メコンデルタでは、
主要な川の水位が過去90年で最低となり、
穀物や酪農に深刻な被害が出始めて いる。

オーストラリアは乾燥した気候が、
穀物生産に影響を与えている。

ブラジルでは大雨や干ばつで、
サトウキビや大豆の生育が遅れた。

日本の小売業がやはり、
11月の暖冬で不振。

私は嘆いた。
「あ~あ、お天気産業よ!」

しかし「史上最も暑い年」
あなどれない。

日経オンラインの経営者ブログ。
宮内義彦さんが、
今年1年を振り返りつつ、整理する。
オリックス・シニアチェアマン。

「今年は『難しい年だった』との、
一言に尽きるような気がします。
なおかつ、来年に向けても
世界がより良くなるという確信が持てない」

まず第1に政治面。
「シリアを中心とした混乱が
世界の不安定要因となりました」

世界のテロ組織を挙げる。
まずイスラム国のIS、
国際テロ組織アルカイダ、
アフガニスタン反政府武装勢力タリバン、
イスラム過激派ボコ・ハラムなど。

「世界の混迷はさらに深まる」

シリア難民受け入れ問題は、
欧州連合内で亀裂が生じた。

相対的に欧州の地盤沈下が進んだ。

今年の政治をめぐる全体的な情勢。
「国際協調より
国同士の対立色が強く出ている」

混迷、混沌。

残念ながら、
世界の情勢は、
ここから抜け出せない。

第2に経済面。

「中国が世界経済の主役に躍り出ている」
しかし、今年は中国の経済が停滞し、
それがインドを除くBRICsなど
新興国の力も削いだ。

「結局のところ、先進国に
頼らざるを得なくなった感があります」

では先進国は何をしているのか。
「すべての国が金融緩和を
徹頭徹尾進めてきました」

「それによって経済が
壊滅的な状況になる場面は避けられた」

けれど「金融緩和の結果が
どう帰結するかは分かりません」

「来年も金融緩和に頼った経済運営
という流れは変わらない」

「問題はどの国も本格的な
成長戦略を打ち出すだけの力がなかった」

「欧州の多くの国の経済は
腰砕けのような状態になっています」

宮内さんは、世界経済に対しても、
やや悲観的だ。

日本は、日銀は、どう判断するのか。

安倍政権の「新三本の矢」
➀名目国内総生産(GDP)600兆円
②出生率1.8
③介護離職ゼロ

これらの実現。

「そもそも人口が減っていくのに、
GDPを増やすということ自体
あまりにハードルが高く、
達成する見込みが小さすぎる」

「日本は人口問題に対する
危機意識がなさ過ぎる。
来年には欧米を参考にした
移民政策の是非を
議論すべきだと思います」

私も同感。

「介護離職ゼロの達成にしても、
実現までの手立てがみえない」

「これまでの実績からみると、
種々小粒の前向きな政策は生まれますが、
日本の根本的な課題については
避けて通っている感が拭えません」

「結局、経済を支えるのは
金融緩和の1本だけになりかねない」

第3に企業レベル。

「大手企業を中心に
業績は上向いてきました」

株価も日経平均が2万円に近づいた。

「多くの企業が収益の向上に注力し始めており、
日本経済の浮揚に向けた
若干の追い風になっている」

つまりは金融緩和と、
民間企業の努力が、
じわりじわりとプラスにもってきた。

「その間に本格的な成長戦略を
つくる必要があります」

これらを総合して、
宮内義彦の2015年のイメージは、
「黄色の信号」
signalmodel2

「前に進む青色の信号でもなく、
進まない赤色の信号でもありません」

「世界は混沌としており、
注意のランプがともっています」

見識と実績を備えた経営者の、
2015年の見方。

うなづけるところばかりだ。

注意ランプといえば、
山下達郎がコンサートを、
途中で中止した。

原因は喉の不調。
「どうしてもGの音がでない」

「このまま公演を続けることは
お客さまに対して不誠実」

「許されるなら、最初から
もう一度、演奏したい」

山下自身が判断し、盛岡公演は、
予定時間の半分の約90分で終えた。

振り替え公演を開催し、
チケットの払い戻しにも対応する。

山下は、エンターテイナーではなく、
ストイックなアーティストなのだろう。

「Gの声が出ない」
芸術家にとっては、
深刻な「黄色信号」だ。
smie074t319進めか、止まれか。

来年は、ひとつひとつ、
その場その場で、
判断しなければならない。

Think One Thing at a Time.

〈結城義晴〉

2015年12月25日(金曜日)

パート組合員100万人超と来年4月電力小売り全面自由化

2015クリスマス。

一般には、今日まで学校。
小学生も、中学・高校生も、
よく学べ、よく遊べ。

私は朝から、東京・御成門。

東京タワーが美しい。DSCN8273-5

もう正月2・3日の箱根駅伝の、
交通規制のお知らせが出ている。DSCN8272-6
この地点の交通規制は、
2日には7時50分から9時、
3日には12時20分から14時まで。

もうお正月気分が盛り上がる。

今日は最後の取締役会。
Customer Communications。

いい人材が次々に入ってきて、
頼もしい限り。

さて、厚生労働省の労働組合基礎調査。
労働組合加入のパートタイマー従業員。
その数は、前年比5万5000人増の102万5000人。
全組合員に占める割合は10.4%。

100万人で10%。

覚えやすい大台超え。

日本全体の組合員数は988万2000人。
1000万人には至っていない。

組合数は2万4983。
こちらも2万5000直前だが、
296組合が減少している。

雇用者数に占める組合員数の割合を、
推定した数値を「推定組織率」というが、
それはパートタイマーで7.0%。

全国の労働組合の推定組織率は、
過去最低の17.4%。前年比マイナス0.1%。

つまりパートタイマー組合員は増えているが、
組合数と組織率は低下している。

日本の完全失業者数は11月末段階で209万人。
前年同月に比べ10万人の減少。
66カ月連続の減少。

そして失業率は3.3%。

2012年が4.3%、
2013年が4.0%、
そして2014年が3.6%。

世界的に見ると驚異的な数値。

だから、人も集めにくい。

組合という身分保障の組織は、
人を集める際にも必須だ。

小売サービス業の現場は、
パートタイマーによって運営されている。

だからこそ、その組織率も重要になる。

年の暮れ。

来年に向けて、
そんなことを考える。

しかし失業率3%というレベルは、
いい国なんだと思う。

政府の政策というよりも、
国そのものとして、いい。

さて日経新聞に、
すかいらーく社長の谷真さん。

外食は、軽減税率の適用外になりそうだ。
したがって消費増税後、
「価格に見合うだけの価値ある料理を、
提供できない店は淘汰される」

そしてこれまでの「客単価を上げる戦略は、
通用しにくくなる」と見る。

谷さんの実感。
「消費者のメニューや価格をみる目が
厳しくなってきた」

だから今後は、どう、
「客数増を追求していくか」

「期間限定で値のはる料理を出して
客単価を上げるよりも、
手ごろなメニューをそろえる」

もちろん2017年4月に向けて、
国民の価格コンシャスは高まる。

「価格に見合うだけの価値」
これは変わらないし、
バブリーな期間限定高額品は、
拒否される。

ただし「うまい、やすい」という商品が、
減るということではない。

そのすかいらーくは、
電力コストを削減するため調達先を、
大手電力会社から新電力に切り替える。

来年2016年2月から3月にかけて、
新電力のエネットや伊藤忠エネクスに、
電力の調達先を切り替える。
これで1年に1億円程度のコスト削減が見込まれる。

一方、三菱商事とローソンは、
電力小売りを手掛ける会社を設立。
社名はMCリテールエナジー。

MCはMitsubishi Corporationの頭文字で、
三菱商事の略称だから、
「三菱商事のエネルギー小売業」の意味。

三菱商事が84%、ローソンが16%出資し、
資本金は2億5000万円。

MCはすでに2000年に、
新電力ダイヤモンドパワーを設立している。
現在は中部電力が8割の株を保有しているが、
MCリテールエネジーは、
ダイヤモンドパワーから電力を調達し、
まず関東の4000店のローソンで小売りする。

すかいらーくやローソンの動きは、
来年4月の電力小売り全面自由化に対応したもの。

まず2000年3月に第一弾。
fig_history_1

第二弾。
fig_history_2

第三弾が来年4月。
fig_history_3

「電力の小売全面自由化」では、
家庭や商店が対象となる。

2016年1月から、
新規参入の電力会社や地域の電力会社から、
新しい料金プランとサービス内容が、
順次発表される。

そして、2016年4月からスタートし、
様々な料金メニュー・サービスが登場する。

例えば、
電気とガス、電気と携帯電話など、
組み合わせによるセット割引、
ポイントサービス、
家庭の省エネ診断サービスなど。

太陽光、風力、水力、地熱など、
再生可能エネルギー事業者から、
電気を買うことも可能となる。

「電気の地産地消」も可能になる。

そこには当然、既存小売業も参入するが、
ローソンがコンビニとして、
最初に電力事業に参入の意思表示をした。

電力料金は大手電力会社よりも割安にし、
共通ポイントPontaを付与。

来年の春は、
電力小売りの競争が激化する。

もちろんイオンも、
子会社のイオンディライトで、
「エネルギーソリューション」事業構想をもつ。

今年7月には関西電力と組んで、
電力小売りに参入し、
WAONのポイントを付けると発表。

電力全面自由化。
小売店頭での販売。
そして電子マネーとポイントの付与。

こういった流れが、
年明けとともに急激に始まる。

〈結城義晴〉

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