結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年10月27日(木曜日)

関西スーパー&H2O資本業務提携と商人の本籍地・現住所

関西スーパーが、
エイチ・ツー・オーリテイリングと、
資本業務提携する。

日経新聞が報じて、
両社がホームページ上で、
ニュースリリースとして発表した。

そのうえで、
関西スーパーマーケットの福谷耕治社長は、
大阪市内で記者会見して、
意思決定を明らかにした。

いい判断だと思う。

福谷さんは、
コーネル大学ジャパン伝説の一期生で、
実にしっかりした考え方をしている。

資本提携の内容は、
関西スーパーがまず、
320万株の第三者割当増資を実施する。
それをH2Oリテイリングが引き受ける。

シンプル。

期日は今年11月14日、
発行価額は1株につき1616円で、
結果として総額は51億7120万円となる。

関西スーパーにとっては調達資金となり、
H2Oにとっては出資額となる。

日経新聞は、
H2Oが「第2位株主」と報じたが、
これは間違いで、
10.02%保有の筆頭株主となる。

筆頭株主にならねば、
H2Oにとってメリットはない。

第2位株主は、
関西スーパー取引先持株会9.04%、
3番目にオーケー株式会社7.23%。

今年の夏、オーケーが、
関西スーパー株の5.60%を取得、
9月2日には保有比率を8.04%に引き上げ、
取引先持株会に次ぐ2位株主に急浮上。

そのうえで、オーケー側は、
資本業務提携を打診したもよう。
これには将来的な経営統合も、
視野に入っていた。

しかし、関西スーパーは、
H2Oとの資本業務提携を選択した。

福谷さんのコメント。
「今後の成長戦略の中で
関西に基盤をおく企業同士で
相乗効果が見込めると判断した」

これがいい。

関西経済圏での、
相乗効果を志向する。

その中で、
関西スーパーらしさを追求する。

オーケーのやり方は、
資本の論理が優先されて、
関西スーパーにとって好ましいものとは、
受け止められなかった。

ちなみに11番目に、
従業員持株会が入っているが、
私は今後、この比率を、
上げていったらいいと思う。

業務提携の内容は今のところ6点。

第1に、H2Oの商品を取扱う。
品ぞろえの強化だ。

第2に、商品の共同仕入れを行う。
規模のメリットを生かす。

第3に、H2Oの「Sポイント」を導入する。
先にセブン&アイ・ホールディングスと、
H2Oリテイリングが提携していて、
関西セブン-イレブンでも導入されるから、
関西スーパーにとっても有利になる。
その店数は2000店。

第4は、次世代型レジスターを共同開発する。
これも実務改善に貢献する。

第5は、中元・歳暮商品を取扱う。
関西スーパー店頭で、
H2Oブランドのギフト商品が販売される。

第6は、その他両社間におけるシナジーの創出。

さらにこの資本業務提携の一環として、
相互に人材交流や共同研修等を行う。

これも関西スーパーにとって、
有益な内容だ。

そしてこれらのために、
業務提携推進協議会が設置される。

H2Oのスーパーマーケットは、
阪急オアシス。
イズミヤもその傘下にある。

関西スーパーは当面、
このグループに入って、
企業の再生に取り組む。

そしてそのリーダーは、
千野和利阪急オアシス会長。

千野さんのリーダーシップは、
関西経済界でも高く評価されている。

それが関西スーパーにとって、
一番の利点だと考えることができる。

阪急オアシスには、
かつてのニッショーストアが、
今や完全に同化している。

そしてニッショーは、
オール日本スーパーマーケット協会に加盟、
関西スーパーと研鑽した仲間だ。

少なくともオーケーと提携するよりも、
いいだろう。

関西スーパーは、
兵庫県伊丹市に本部を置く。
故北野祐次さんが1959年に創業して、
「関西スーパー方式」を生み出した。

いわば日本のスーパーマーケット近代化の、
草分けのような会社だ。

もともと、
イノベーションを、

そのDNAとしている。

現在66店舗だが、
このところ低迷。

問題はDNAとしての、
イノベーションのマインドを、
取り戻すこと。

千野さんはそれを、
後押ししてくれるに違いない。

H2Oリテイリングは、
中期計画を策定している。
ネーミングは「GP10-IIフェーズ1ver.2」
関西ドミナント化戦略を骨子として、
関西における生活総合産業の構築を推進。
その中核に「食」が位置付けられている。

関西スーパーとの資本業務提携は、
この中期計画推進に大いに貢献する。

両社のマリッジは、
幸運なものになるだろう。

私は1978年の春、
関西スーパー広田店で、
1週間の研修を受けて、
スーパーマーケットに目覚めた。

北野さんをはじめ、
二代目社長の故井上保さんなど、
多くの人にお世話になった。

関西スーパーのDNAが復活することは、
そのライバルたちにとっても、
切磋琢磨の砥石となる。

最後に二つ。
結城義晴の見解。

第1は、「商人の本籍地と現住所」の問題。
本籍地の価値を強く持ち続けてほしい。
そして現住所を愛してほしい。

第2は、ホールディングカンパニーの、
マネジメント力。

こちらはアメリカのクローガーが、
一番のお手本になるだろうが、
事業会社のインディペンデント性は、
何よりも優先されねばならない。

今回、関西スーパーがH2Oの、
連結子会社や持分法適用会社に、
なるわけではないけれど。

さて、私は朝一番で東京タワーの下。DSCN9610-6

愛宕ヒルズも秋晴れの空に輝く。
DSCN9612-6
カスタマー・コミュニケーションズ㈱へ。
恒例の取締役会。

今日はミッションの重要性を強調した。

それから一度、
横浜商人舎オフィスに戻って、
さらに松井康彦さんの車で、
千葉県へ。

夕方の空。
DSCN9616-6

夕焼けに映える。
DSCN9614-6

名門グレートアイランド倶楽部。
DSCN9613-6

オール日本スーパーマーケット協会の、
経営トップ有志の会。
「マスターズ」を超える「ドクターズ」
IMG_9812-6
かつては井上保さんも、
この仲間のひとりだった。

商人の本籍地と現住所。

飛び切りの料理と酒を堪能しながら、
私はそれを考えていた。

〈結城義晴〉


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