日経・読売両紙の「衆議院議員定数削減」批判と「ゲリマンダー」

1日、ゆっくり休養した。
家にいて、ソファーに座って、
古い映画を3本観た。
夕方、散歩を兼ねて、
まいばすけっとに行った。

さて、第219回臨時国会の会期は、
10月21日から12月17日まで。
自民党と日本維新の会が、
衆議院の議員定数削減法案を提出した。
日経新聞の政治面は最近、
よく取材して丁寧に書かれている。
「自民党は維新との連立維持を優先し、
党内の異論を押し切った」
「法案が成立・施行すれば、
1年間の『猶予期間』を確保し、
定数削減と衆院選挙制度改革に関して
超党派の合意をめざす」
維新の会の「一丁目一番地」の案件。
「法案が成立すれば与野党は2026年に、
衆院の協議会で定数削減と選挙制度改革を話し合う」
「1年以内に定数削減の具体策を
まとめられない場合は、
公職選挙法を改正した上で
小選挙区25、比例代表20を減らす」
「一方的に期限を設定して、
その間に与野党で改革案をまとめられなければ、
問答無用で衆院の定数を削減する」
読売新聞が社説で噛みついた。
与党寄りのメディアとして珍しい。
「衆院定数削減
憲政の常道に反する暴論だ」
「こんな乱暴な法案を、
政権を担っている与党が提出するとは。
見識を疑いたくなる」
「現行定数465の『1割を目標』として、
最低でも45議席を削減する」
「1年以内に結論を出せない場合には、
自動的に定数を削減する」
具体的な削減数も明記示された。
現行の小選挙区比例代表並立制を前提に、
小選挙区で[25議席]減、比例選は[20議席]減。
「選挙制度のあり方は民主主義の土俵である。
定数も含め、与野党の幅広い合意を得て
決めるべきものだ」
「そうした手続きを軽んじれば、
立法府の権威を貶(おとし)めることになりかねない」
私もこれは国会の在り方として、
おかしいと思う。
読売はそもそも論も展開する。
「そもそも衆院の定数は、
人口が7000万人余だった終戦直後の466と同水準だ。
人口比で見ると、他の主要国より少ない」
「定数を削減して国民の代表を減らすことがなぜ、
改革と言えるのか」
議員定数の話となると、
「ゲリマンダー」という言葉が浮かぶ。
綴りは「Gerrymander」。
選挙において特定の政党や候補者に、
有利になるように恣意的に選挙区を区割りすること。
高校の公民科や「政治・経済」の教科書に、
今も載っていると思う。
1812年、米国マサチューセッツ州の知事が、
自分の政党に有利なように選挙区を区割りした。
その結果、選挙区が不自然な形になってしまった。
そのうちの一つがサラマンダーに似ていた。
「サラマンダー」はヨーロッパに生息するトカゲ。
知事の名はエルブリッジ・ゲリーだった。
そこでゲリーとサラマンダーの合成造語で、
「ゲリマンダー」という言葉が生まれた。
今回のような性急な定数削減は、
「ゲリマンダー」と疑われても仕方がない。
それを読売新聞までが舌鋒激しく批判した。
小売業やサービス業、製造業の経営にも、
「スピード」は必要だ。
社会は凄い勢いで変化している。
しかし性急すぎる政策、歪な施策は、
絶対にうまくいかない。
読売新聞社説は書いている。
「自動的に定数を削減する条項は、
『身を切る改革』を掲げる
維新の要求で盛り込まれた」
「法案について、自民内からは、
『乱暴すぎる』といった反対意見が出ていた。
それでも法案提出に踏み切ったのは、
維新の連立離脱を避ける狙いからだろう」
「法案の内容に問題があることをわかっていながら、
連立維持を優先するとは自民もふがいない」
「自民と維新の危うい関係を見ていると、
長年続いた自民、公明両党の連立の協力関係が
政局や国会の運営にいかに注意を払っていたのかが、
改めてわかる」
民主主義的ではない。
デモクラティックではない。
ヒューマニスティックでもない。
それに対して私はいつも反対だ。
〈結城義晴〉























