結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年12月14日(日曜日)

浜田宏一の「アベノミクスのABE」とケインズの「あなたはどうか」

長野の善光寺から帰ってきたら、
横浜の妙蓮寺。

その竹垣。IMG_9147 (002)

氷雨が降って、木々も寒そう。IMG_9149 (002)

日経新聞の「大機小機」
このところの指摘は共感できる。

12月11日は「市場の反乱を招く前に」
コラムニストは希さん。

とてもいい。

「アベノミクスの師と呼ばれた浜田宏一氏が
高市早苗首相の経済政策を批判して、
日銀に利上げを求めたことが注目されている」

浜田宏一氏は東京大学名誉教授、
エール大学名誉教授。
第2次安倍晋三内閣官房参与。
89歳。
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「事実が変われば
私は考えを変える。
あなたはどうか」
ジョン・メイナード・ケインズの言葉。
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浜田教授もこの忠告を守っている。
だから今、高市経済政策を批判している。

コラムニスト。
「浜田氏の提言は経済学の教科書通りであり、
驚くことは何もない」

「アベノミクスが始まる頃、
日本経済の最大の問題はデフレであり、
産業界は円高を恐れていた」

2011年が1ドル79.7円。
2013年でも97.6円だった。

「だから金融緩和、財政出動という、
政策の方向感に関する異論はなかった」

「論点は政策金利がゼロにある中で、
これ以上の金融緩和に効果があるか否かだった」

日銀の黒田東彦前総裁のもとで、
量的緩和などの実験が試みられた。
結果は円安・株高などで、
デフレではない状態にはなったが、
2%のインフレターゲットとはほど遠かった。

「国債市場の機能不全など、
副作用も無視できなかった」

「現在の日本のマクロ経済環境は、
その頃とは大きく違っている」

2025年12月現在、155.8円。

「2%超のインフレが3年半以上続き、
人々は円安に伴う物価高に不満を募らせている」

「この状態で金融緩和を続け、
財政支出を膨らませれば、
円安・物価高に拍車をかけることは
明らかだろう」

正論だ。

「確かにインフレの結果、
政府債務残高の対名目GDPの比率は、
低下している」

「しかし、これは名目成長率が高まると、
直ちに税収が増える一方、
国債の金利負担は新発債の分しか増えない」

タイムラグがある。

「おまけにマクロの需要不足もほぼ解消した」

「だから、マクロ経済学の教科書に従えば、
今は財政赤字を抑制して、
金利を引き上げるべき時だということになる」

「ここで積極財政を唱えて、
経済対策の規模を21兆円超に膨らませた、
高市政権の経済政策には、
批判が高まってもおかしくない」

週明けの国会で決まってしまう補正予算は、
一般会計の総額で約18兆3000億円となる。

「筆者が知る限り、経済専門家の大多数は、
今年の経済対策に批判的な立場だ」

「それでも表立っての反対が目立たないのは、
高市首相への支持率が著しく高いことが
影響していよう」

期待は大きくても、
間違いは間違いだ。

コラムニスト。
「だが、外交問題などと違って、
経済政策には市場という審判がいる」

「ここ2カ月ほど円安が大きく進み、
国債の利回りが急上昇していることは、
金融市場が高市政権の財政運営に
強い不安を抱いている証左だ」

「首相には、市場の反乱を招く前に、
経済政策の弾力化を進めてほしいと願う」

実に正当な見解だ。

先述の浜田教授は2013年11月15日、
中央大学で講演して語っている。
「アベノミクスの三本の矢を、
大学の通知表にならって採点すると、
金融緩和はAプラス、財政政策はB
成長戦略の第三の矢はEだ」

あわせると「ABE」というダジャレ。

実際に第1の矢によるトリクルダウン効果が、
具体的に現れて国民生活を潤した。

トリクルダウンとは、
「富める者が富めば、
貧しい者にも自然に富がこぼれ落ち、
経済全体が良くなる」という、
シャンパンシャワーのような理論。

しかし第3の矢の成長戦略は、
Eの成績のごとく実行されなかった。
だからシャンパンは流れてこなかった。

それから12年、コロナ禍もあって、
富める者と貧しい者の格差は広がった。

現在の根本的な状況はここにある。

浜田教授も今年10月31日、
ニューズウィーク日本版Comに自ら書いている。
「SANAENOMICS AND ABENOMICS」
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「経済政策の舵取りとしては、
私は金融緩和でなく、むしろ、
円高を目指す金融引き締めへの転換を
高市政権には選択してほしいと思う」

安倍時代は円高、高市時代は円安。
真逆の経済の中にある。

「事実が変われば
私は考えを変える。
あなたはどうか」

もちろん私は、考えを変える。

〈結城義晴〉


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