村木厚子の「人生の主導権を手放してはいけない」

一月、往ぬる。
二月、逃げる。
三月、去る。
その三月が終わる。
1日中、商人舎オフィス。
月刊商人舎4月号の入稿。
近くを流れる新田間川。
川端の柳が雨と風に揺れる。

その川に面したレストラン。
ローストチキンクラブ。

鶏肉尽くしのメニュー。

原稿を1本ずつ、
丁寧に整理して、
デザイナーに渡した。
お疲れ様。
もう少しです。
雨の中を帰宅。
夜桜。 
もうすぐ桜の季節が終わる。
さて、 日経新聞「私の履歴書」
今月は村木厚子さん。
元厚生労働省事務次官。

最終回のタイトルは、
「自立 人はもっと頼っていい」
身に覚えのない罪で逮捕された。
女性刑務官の方々にお世話になった。
それから拘置所にいた164日間。
多くの方が面会に来てくれた。
「不思議なのは、
助けてくれた方のほとんどが、
無理なお願いを聞いてもらうなど
日ごろから私がお世話になってきた人だった」
「村木が大変らしい、また助けてやるか、
とわざわざ来てくれていた」
ずっとお世話になっていた人が、
助けてくれる。
不思議なことだ。
村木さん。
「どうしても人は、
『give&take』にしなければ、と思いがちだ。
でも、それができない時はある」
「人生は貸し借りではない。
ときに『take&take』でいいのだと思う」
まったくその通りだ。
差し入れてもらった本の中に、
『花さき山』という絵本があった。

ふもとの村で誰かが良いことをすると、
花さき山に花が咲く。
貧しい女の子が、妹のために、
自分が着物を欲しいと言わずに、
我慢したときも、花が咲いた。
「与えるものが何もなくても花は咲く。
拘置所ではなんのお返しもできない。
そう固くなっていた心が、緩んだ」
東大教授の熊谷晋一郎さんの「自立の定義」
「自立とは、
依存しないことではない」
「自立とは、
たくさんのものに少しずつ、
依存できるようになることだ」
村木さん。
「頼ることをためらう必要はない。
たくさんのものに少しずつ
依存できるようになれば、
頼られるほうの負担も軽くなる」
大事なことだ。
助けてもらうこと、頼ること。
それをためらってはいけない。
どんどん、頼れ。
そのうちに、
頼られることになる。
事件で逮捕されてから約17年がたつ。
「あなたが何をしてても、
あるいはあなたになんの罪もなくても、
生きてれば多くのことが
降りかかってくるわ」
「だけど、それらの出来事を
どういう形で人生の一部に加えるかは、
あなたが自分で決めること」
『サマータイム・ブルース』
サラ・パレツキーの小説のなかで、
主人公の女性探偵が語る言葉。

村木さん。
「拘置所で読んで、響いた。
危機になっても、
自分がコントロールできることが
まだ残っている。
そこでがんばればいい」
「人生の主導権は手放すなと、
叱咤(しった)された気がした」
そう、人生の主導権を、
手放してはいけない。
人生は自分のものだ。
「そして、苦労した経験は次に生きる」
人生は貸し借りではない。
頼ってもいい、依存してもいい。
けれど自立せよ。
人生の主導権は手放すな。
1カ月、とてもいい履歴書だった。
珍しく、自慢話ではない物語。
それが響いた。
ありがとう。
〈結城義晴〉























