結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年08月07日(月曜日)

僕らの名前を覚えてほしい 戦争を知らない子供たちさ♪

Everybody! Good Monday!
[2023vol㉜]

2023年第32週。
8月第2週。

今週の金曜日8月11日が、
山の日の祝日。

そしてもうこの日から、
お盆期間に入る。
お盆商戦。

そして日曜日の13日が盆の入り。
14日の月曜日が盆の中日。
そして盆の明けは15日火曜日、
あるいは16日水曜日。

15日は終戦の日。

毎年この時期になると、
歴史のそれを意識する。

78年も前のことなのに、
そして自分自身は生まれていなかったのに。

なぜか、
「思い出す」といった感覚になる。
それが刷り込まれている。
不思議なことだ。

私は戦争を知らない子供たちだった。
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『戦争を知らない子供たち』
北山修作詞、杉田二郎作曲。
1970年に発表され、
71年にジローズが歌ってレコードを出した。vodl-39716-lod

気がつけば53年前のことだ。
大阪の日本万国博覧会の年。

あの時は松下幸之助翁が中心となって、
大阪財界を挙げて支援した。

いま、2025年の大阪万博には、
暗雲が立ち込めている。

しかしこの歌は最初、
70年万博のイベントステージで歌われた。

北山はステージで語りをいれてから、
最後の曲として披露した。

「僕らはおかげさまで、
戦争を知らない子どもたちと、
自分たちを呼ぶことができます」

「でも、完全に戦争を知らない、
と言えない面もあります」

当時はベトナム戦争の真っただ中だった。

「よその国では戦争を知ってる子供たちも、
たくさんいます」

「願わくば100年後、200年後、
僕たちの子どもたちがまたその子供たちが、
戦争を知らない子供たちという
この曲のタイトルのもとで
音楽会を開くことができれば凄く幸せだと、
とてもいいことだと、思います」

53年後のウクライナには、
戦争を知ってる子供たちがいる。

そのことを思うと、
考え込んでしまう。

ぼくらのなまえを
おぼえてほしい
せんそうをしらない
こどもたちさ♪

この曲を歌った人たちは、
みんなおじいさん、おばあさんになった。

作詞の北山は77歳の喜寿。
白鷗大学第六代学長、九州大学名誉教授。
日本精神分析学会元会長。
伝説のザ・フォーク・クルセダーズで、
ベースとボーカルと作詞担当。

なんだか、権威の人のようになってしまった。
悪くはないけれど。
〈白鳳大学ホームページより〉
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作曲の杉田は76歳。
ジローズのギターとボーカル。
まだミュージシャンを続けていて、
「懐かしのフォーク」みたいな番組で見たりする。
情けなくなるくらい声が出なくなった。

でも、76歳。
やるだけやればいい。

それでも私もときどき、
何気なく口ずさむ。

「戦争を知らない子どもたちさ♪」

今日も1日中、原稿書きに集中した。
終盤を迎えてノッている。

ぼくらのなまえを
おぼえてほしい
せんそうをしらない
こどもたちさ♪

では、みなさん、
商業は平和産業です。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年08月06日(日曜日)

ヒロシマの「リトルボーイ」と哲学・宗教・科学の「時間切れ」

8月6日。

1945年8月6日午前8時17分。

第二次世界大戦の終わりのとき。
連合国のアメリカ合衆国は、
枢軸国の大日本帝国に対して、
原子爆弾「リトルボーイ」を実戦使用した。
〈広島市ホームページより〉
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広島市。

人類史上初の都市に対する核攻撃。
当時の広島市の人口は35万人。
最大で16万6000人の人々が、
被爆とその後の4カ月以内に死亡した。

それから78年。

この問題に対して、
人類は反省もしていなければ、
解決の論理も見出してはいない。

現実主義者も理想主義者も。

ユヴァル・ノア・ハラリは、
『21Lessons』の中で言っている。
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「人間の愚かさは、
歴史を動かすきわめて重要な要因なのだが、
過小評価されがちだ」

「政治家や将軍や学者たちは世界を、
入念で合理的な計算に基づいて
それぞれの手が指される
巨大なチェスの勝負のように扱う」

「これはある程度まで正しい。
駒をでたらめに動かすような、
狭い意味で頭のおかしい指導者は、
歴史上稀だ」

東條英機も、サダム・フセインも、
キム・ジョンイルも、
合理的な理由に基づいて、
それぞれに手を指した。

「問題は、世界がチェス盤よりもはるかに複雑で、
人間の合理性では本当に理解できない点にある」

「したがって、合理的な指導者でさえ、
はなはだ愚かなことを
頻繁にしでかしてしまうのだ」

では、世界大戦を、
どれほど恐れるべきなのか?

「両極端の考え方は避けるのが最善だ」

「一方で、戦争は断じて不可避ではない」

冷戦は平和な形で終わった。

「人間が正しい決定を下したときには、
超大国の争いさえ、平和に解決できる」

その一方で、
「新たな世界大戦が
避けられないと決めてかかるのは、
とりわけ危険だ」

「それは自己成就予言となってしまう。
各国は、戦争は避けられないと思い込めば、
軍を増強し、果てしない軍拡競争に乗り出し、
どんな争いにおいても譲歩を拒み、
善意の意思表示は罠にすぎないのではないかと疑う」

そうなれば、戦争の勃発は確実になる。

さらにその一方で、
「戦争は不可能だと決めつけるのは考えが甘い」

「たとえ戦争はどの国にとっても
壊滅的な結果をもたらすとしても、
人間の愚かさから
私たちを守ってくれる神もいなければ、
自然の法則もない」

では、どうするか。
「人間の愚かさの
治療薬となりうるものの一つが
謙虚さだろう」

「国家や宗教や文化の間の緊張は、
誇大な感情によって悪化する」

「すなわち、
私の国、私の宗教、私の文化は
世界で最も重要だ、
だから私の権益は他の誰の権益よりも、
人類全体の権益よりも
優先されるべきである、
という思いだ」

ドナルド・トランプのことを言っている。

「哲学も宗教も科学も、
揃って時間切れになりつつある」

「あと数年、あるいは十数年は、
私たちにはまだ選択の余地は残されている」

「努力をすれば、私たちは
自分が本当は何者なのかを、
依然としてじっくり吟味することができる」

「だがこの機会を活用したければ、
いますぐそうするしかないのだ」

だから私は今、書いている。

今日は自宅の自室。
一歩も外に出ていない。

オフィスに行き来する時間すら、
もったいないと思う。

追い詰められている。

しかしその挙句に、
自分にはこれしかできない、と、
開き直って、やっと仕事は進む。

もっとできる。
もっとやりたい。

しかしバランスシートのように、
いまこの時点ではここまでだと、
諦念に近いものができてはじめて、
やっと一定の結論に区切りがつけられるのだ。

完全に満足はできなくとも、
ここまではできた。

欲深い人間は、
その諦めがつかず、
結論を見出せない。

私も相当、欲深い。
だから決着が付けられない。

それでも結論を急ごう。

ハラリは言う。
「哲学者というのは恐ろしく辛抱強いものだが、
それに比べると技術者はずっと気が短く、
投資家はいちばん性急だ」

投資家ほどではないにしても、
技術者レベルのスピードで、
結論を出さねばならない。

いや今の私は投資家の段階か。

だから哲学者や歴史家にあこがれる。

〈結城義晴〉

2023年08月05日(土曜日)

佐藤肇「日本の流通機構」と佐藤清詩集の「望郷」

今日も1日、
横浜商人舎オフィス。

一人で出社して、
一人で珈琲を淹れて、
一人で原稿を書く。

このところずっと、
土曜日と日曜日は、
原稿執筆に集中する。

意義のある仕事をしたい。
そればかりを考えている。

デスクの横の壁にメモを書いて、
それを備忘録のひとつにしている。
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今、調べている本の一冊が、
佐藤肇著『日本の流通機構』
(有斐閣大学双書)
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林周二『流通革命』と並ぶ、
名著のひとつである。

「流通革命」に対して、
実に的確な批判をしている。
私も賛同するものだ。

佐藤肇さんは、
堤清二さんから乞われて、
西武百貨店と初期の西友ストアーで、
取締役を務めた。

その後、流通問題研究所の初代所長となった。
流通研究の巨匠だ。

素晴らしい書物だが、
あとがきに一篇の詩が掲載されている。

感動した。

詩の前に文章がある。

「私はこの機会をかりて,幼き日の私に,
生活と仕事にたいしては誠実と情熱を,
学間と芸術にたいしては畏敬と憧憬を,
深い愛をもって教えくれた
いまは亡き父への感謝の意を
表させていただきたい」

「私はちょうど1年前の早春のある日,
教室に入る前のひととき,
キャンパスの池のほとりの大木のもとに
枯草をしいて坐り,澄みわたる蒼空を仰いだとき,
ふと目にあついものがたまるのを
覚えたことがある」

「それが何を意味するかを私は知らない。
しかし,そのとき私は,
いまから50年以上も昔,
若き日の父が異国にあって
わが国を想ってうたった詩の声が
思いがけなく心のなかに
響いてくるのをきいたのである」

「そこで,ゆるされるならば,
その一篇をここに写させていただきたい。
私は詩人ではまったくないが,
この詩心に通うものが,
やはり私の心の奥の奥にもあって,
それは戦後の激動するわが国に生きながらえて
ひとつの問題と取り組んできた私を,
今日つき動かしてきたものででも
あったからである」

「1974年4月21日 佐藤肇」
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望郷

わがくにはみづきよきくに,
わがくにはやまたかきくに,
わがくにはあらしふくくに,
わがくには陽(ひ)のおほきくに。

そらあをくけむりたなびき,
野のくさのかをりよきくに,
なつかしきすあしにて,
つゆをふむさわやけきくに。

もろ手よりわれにしたしく,
いきよりもわれにしたしき,
わがかたることばをかたる
うつくしきをとめらのくに。

わがくにはわがははのくに,
なつかしきいもうとのくに,
おゝ,たぐひなくうつくしき,
わがたましひのこひびとのくに。

わがくにはわがゆめのため,
わがいのちささぐべきくに。
わがゆめをわがいのちもて,
現実にかへすべきくに。

(佐藤清第二詩集『愛と音楽』1919年より)
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自分の原稿を書きつつ、
心から感動した。

野暮な蛇足だが、
平仮名を漢字に変えて、
現代仮名づかいにした。

「望郷」

わが国は水清き国,
わが国は山高き国,
わが国は嵐吹く国,
わが国は陽の多き国。

空青く煙たなびき,
野の草の香りよき国,
懐かしき素足にて,
露を踏むさわやけき国。

もろ手よりわれに親しく,
息よりもわれに親しき,
わが語る言葉を語る
美しき乙女らの国。

わが国はわが母の国,
懐かしき妹の国,
おゝ, 類なく美しき,
わが魂の恋人の国。

わが国はわが夢のため,
わが命捧ぐべき国。
わが夢をわが命もて,
現実に返すべき国。

佐藤肇さんにもあった詩心、
その流通分析とともに、
強く響くものだ。

私も、近づきたい。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2023年08月04日(金曜日)

食品メーカー6社が北海道で進める「商品は競争・物流は協調」

今日も1日、商人舎オフィス。

月刊商人舎8月号の責了日。
執筆が残っているのは、
私の短い原稿ばかり。

表紙のCoverMessage、
Message of August、
結城義晴の述懐、
そして評論。

今月は校正をせず、
単行本の執筆。

それでも全部責了しました。
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デザイナーの七海真理さん、
本当にありがとう。

今月号も、
いい雑誌になりました。

表紙はとても気に入りました。

さて今日は将棋の王座戦の、
挑戦者決定戦。

将棋界には八つのタイトルがある。
そのうちの七つは、
藤井聡太が保持している。

だから七冠と呼ばれる。
名人、竜王、王位、王将、
棋王、棋聖、叡王。

残るたった一つの王座を、
永瀬拓也が持っている。

その永瀬王座への挑戦者。

トーナメントを勝ち抜いて残った二人が、
藤井名人・竜王、21歳と、
豊島将之九段、33歳。

豊島は攻守のバランスが良くて、
「序盤・中盤・終盤すべてに隙がない」。

2014年からすでに、
将棋ソフトを使って研究を始めた。
将棋ソフト研究の先駆的存在だ。

竜王、名人を獲得し、
三冠だった。

それらを結局は藤井に奪取された。

愛知県一宮市出身で、
岐阜県瀬戸市生まれの藤井とは隣県人。

ともに中京圏の棋士。

共通点が実に多い。

藤井が先手。
いつものように「初手お茶」のあと、
いつものように2六歩。

豊島は8四歩と応じた。IMG_5764

最後は両者1分将棋。

逆転逆転の目まぐるしい闘い。IMG_5765

藤井が最後に、
9八角という妙手を放って勝ち切った。

そして挑戦者となって記者会見。
どんな問題にも、
謙虚に丁寧に答える。IMG_5773
いつも思うけれど、
日本の若者は素晴らしい。

さて、食品メーカー6社が、
北海道で共同配送の再構築を進める。

味の素㈱(藤江太郎社長)
カゴメ㈱(山口聡社長)
日清オイリオグループ㈱(久野貴久社長)
㈱日清製粉ウェルナ(岩橋恭彦社長)
ハウス食品グループ本社㈱(浦上博史社長)
㈱Mizkan(吉永智征社長)

10月から北海道の2つの物流拠点を、
1カ所に集約する。
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共同出資の物流会社F-LINEが仲介をする。
現状と比べると配送件数は約21%減、
二酸化炭素排出量は約16%減。

とくに北海道では2024年問題が深刻だ。

配送の人手不足、
物流コストの上昇、
脱炭素への対応。
この課題を克服するために、
共同物流が広がっている。

さらに商品の保管拠点、配送車両を、
共同利用する。

狙いは3つ。
⑴6 社共同配送の推進
⑵中・長距離幹線輸送ルートの再構築
⑶物流の整流化・各種標準化の実現
(伝票電子化・外装サイズ標準化など)

2016年4月からすでに、
2拠点での共同配送は始まっていた。

商品は競争。
物流は協調。

それはメーカーも小売業も、
さらに卸売業も同じだ。

困っているところから、
イノベーションは起こる。

これは全国的な傾向となる。

F-LINE(エフライン)の旧商号は、
味の素物流。

2019年4月に、
カゴメ物流サービス、
ハウス物流サービスの運送・倉庫事業を統合。

共同配送だけでなく、
物流機能自体の会社統合も進むだろう。

それはやがて、
巨大なインフラとなる。

情報分野のプラネットのようになる。

それはもう明らかだ。

コロナは時間を早めたのだ。

〈結城義晴〉

2023年08月03日(木曜日)

私の信条「追い詰められること」と菊竹清訓の「狂気」

今宵の月。
右上が少し欠けた。??????????

昨夜の満月。
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今日も1日、原稿と取り組む。

月刊商人舎8月号は、
私の原稿を口述筆記にしてもらった。

構想を練ってメモを書いて、
それを見ながら、
山本恭広編集長に向かって、
講演のように語る。

それを編集スタッフの鈴木綾子が、
原稿に起こしてくれる。

出来上がった原稿をみんなが手直しして、
最後に自分で完成させる。

いいものになった。
ありがとう。

でも、これが一番時間がかからない。

それから特集タイトルは、
亀谷しづえGMが、
凄くいいアイデアを出してくれて、
決まった。

最後の追い込み。

それが終わってから、
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帰ってからブログを書く。

いつものことだけれど、
そしてずっとやってきたことだけれど、
二つも三つも同時並行で仕事をする。

しかし、それが結局、
もっとも成果が上がる。

原稿書きは世の中で、
もっとも生産性が低い種類の仕事だ。

そんな職種の人は、
自分を追い詰めながら、
仕事を多能にこなして、
能率を上げるしかない。

1977年4月1日に㈱商業界に入社して、
販売革新編集部に配属された。

そして最初の雑誌の編集後記に、
自己紹介の記事を書いた。

販売革新1977年5月号。
今、その雑誌は手元にはないが、
こんなことを書いたと記憶している。

「博多生まれの横浜育ち。
学生時代は無頼派。
信条は追い詰められること」

それ以来46年間、
私は締め切り主義者である。

46年前に自ら書いた信条は、
いまも私を縛っているし、
私を支えてくれている。

ビル・ゲイツも語っている。
「なんでもギリギリにすると、
一番スピードが上がって効率がいい」

ゲイツの言葉は、
このブログで何度か紹介した。

いまもそれを実感している。

日経新聞の「私の履歴書」
先月は建築家の伊東豊雄さんだった。

基本的にこの1カ月の連載は、
毎月、自慢話のオンパレードだが、
中に、きらめく日がある。

伊東さんの連載は第7回。
「建築の師 身体的な思考法を学ぶ」

1965年、伊東豊雄は、
菊竹清訓建築設計事務所に入社する。

私も販売革新の駆け出しのころ、
菊竹清訓事務所で、
対談に立ち会ったことがある。

そのときに「カ・カタ・カタチ論」を、
直接聞いて教わった。
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「菊竹さんのもとで、僕は、
身体的にものをつくる姿勢を教えられた」

若い頃はこれが大事だ。

「言葉で説明するのは難しいのだが、
菊竹さんがつくる建築は、
コンクリートにまで
菊竹さんのアイデアが染み込んでいる気がする」

「実施設計まで進んだプロジェクトであっても、
しっくりこなければ白紙に戻す」

「すでに建設が進んでいた建物に
菊竹さんが不満げなので、
担当の遠藤勝勧さんがゼネコンに内緒で
夜中に梁を壊しにいったという伝説も残る」

凄い。

周りの人も、
それがわかっていた。

「論客ではあるが論理や理性だけで
建築をつくりあげることはしない。
まるで建築の内部に身体ごと入り込んで
設計するその手法は、
若い僕の身体に染み込んだ」

私もその内部に身体ごと入り込んで、
本や雑誌をつくりたい。

「福岡の旧家だった生家は、
戦後の農地改革で没落。
戦後の民主主義が日本の伝統文化を破壊した
という怒りが菊竹さんの仕事の核にあった」

「いつも笑顔をくずさない温和な人だが、
設計となると満身から毒気を放ち、
狂気をみなぎらせた」

私がお会いしたときにも、
温和な人だった。

けれど仕事においては、
満身から毒気を放ち、
狂気をみなぎらせた。

その点で菊竹さんは、
セゾンの堤清二さんと意気投合した。

これです。
大事なのは。

これからの5日間が私のそのときだ。

〈結城義晴〉

2023年08月02日(水曜日)

「うそは、ばれます」と「ほんと」の雑誌「ぐ~す~月刊とくし丸」

8月2日目。

今夜は美しい満月。
「スタージェン・ムーン」
Sturgeon Moon。
チョウザメの月。
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今年の8月はラッキーな月だ。

もう一回満月を見ることができる。
8月31日。
同じ月の二度目の満月を、
「ブルームーン」という。

しかもそれはスーパームーンだ。
今年一番大きな満月。

やはり8月はラッキーな月だ。
良いことがあるに違いない。

今日も1日、
単行本の原稿執筆と入稿。
章が一つ増えてしまった。

それから月刊商人舎の入稿。

今月号は私の執筆を最小限に抑えて、
山本恭広編集長と亀谷しづえGM、
そして編集スタッフの鈴木綾子が、
頑張ってくれている。

ありがたい。

朝日新聞「折々のことば」
昨日の第2808回。
「うそは、ばれます」
(俳句の師匠)

作家のくどうれいん。
「ありふれた料理や食材について書く時も、
ありきたりの描写にならないよう
心がけている」
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以前、俳句の会でみんなに褒められた時、
師匠に呼ばれこう釘を刺されたから。
「頭のなかで作っただけの
きれいな言葉を書いていないか。
本当にあなたの手触りがあるのか」
と糾(ただ)されている思いがした。

頭の中でつくっただけの、
きれいそうな言葉。

ありきたりの描写。

俳句の師匠はそれらを「うそ」と表現する。

それは物書きとして、
駄目です。

商売の実務でも、
POPをつくるときも、
報告書を書くときも。

自分の手触りのある言葉。
それが「ほんと」。

「ほんと」がなければ駄目です。
原稿執筆のときは、もちろんのこと。

「うそは、ばれます」

さて、
住友達也さん。
とくし丸の創始者。

また新しいことを始めた。

雑誌の創刊だ。

その雑誌が送られてきた。
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「ぐ~す~月刊とくし丸」IMG_E57433

とくし丸の全国稼働台数は、
8月1日時点で1147台。

雑誌の見開きで、
そのスーパーマーケットが一覧できる。IMG_E57483

北は北海道のダイイチから、
南は沖縄のりうぼうまで。
凄いラインナップ。
全国141社、2500店舗以上。
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とくしまるは1000台を超えて、
その伸びは止まらない。

1台約150人の顧客がいる。
だからざっと17万人以上のお客さん。
3日もあれば全員と顔を合わせ会話できる。
そんなネットワークが確立された。

住友さんはずっと言っている。
「とくし丸はインフラでありメディアだ」

それも唯一無二のネットワーク。

このネットワークに向けて、
雑誌を創刊した。

凄い。

「ぐ~す~」は「偶数」のこと。
偶数月に隔月刊で発行する雑誌。

読者対象はとくし丸の顧客、
そしてとくし丸予備軍。
つまりスーパーマーケットに来店する、
高齢のお客さんたち。

デジタル化の時代に、
あえてアナログ雑誌で臨む。

それは読者対象が高齢者だから。

住友さんは言う。
「正直、雑誌が売れない時代です」

しかしそれは、
「置いておくだけでは」という条件がつく。
つまり本屋の棚に置いておくだけでは売れない。

新聞は毎日、自宅まで宅配してくれる。
販売店網を確立している。

だから激減したとはいえ読まれていた。

「ぐ〜す〜月刊とくし丸」は、
独自の販売網をもつ。
「今月、こんなのが出たよ」と、
毎回お届けできる。

「活字好き、雑誌好きの方々は、
年齢を問わず3〜4割はいます」

雑誌も同じ。

この雑誌は、
とくし丸提携スーパーマーケットのみの販売。
他では買えない。

その「ぐ~す~月刊とくし丸」には、
3つの「初」がある。

「初1」
80歳前後の高齢者を読者対象にしている。

「80歳前後の読者」を想定した雑誌は、
世界中見渡しても存在しない。

雑誌作りで重要なのは、
「ターゲットを限りなく絞り込む」こと。
つまりSTPマーケティング。

「ボンヤリしたターゲット設定だと、
結局は誰にも刺さらない誌面になりがちです」

「初2」
本文文字の大きさが、最大級である。

高齢者の方々でもとても読みやすい。

「おかげで誌面編集には、
おおいに苦労させられています」

わかる。
それでも各ページの袖には、
「つぶやき」とタイトルされた、
とくし丸関係者の言葉が入っている。
結構、細かい芸を見せている。

「初3」
とくし丸提携スーパーマーケットだけで販売する。
141社、店舗数2500、
とくし丸のバンを合わせると、
3600拠点。

書店でもコンビニでも買えない。
とくし丸ネットワークでしか買えない。

「たぶん出版業界では、
初の試みではないでしょうか」

実に面白い発想だ。
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住友達也さんは1981年、
23歳の時に徳島でタウン誌「あわわ」を創刊。
そして出版社を創業した。

もともとは出版人だ。
私と同じ。
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そのキャリアと情熱が込められた雑誌。
「ぐ~す~月刊とくし丸」

うそのない、ほんとの雑誌です。

〈結城義晴〉

2023年08月01日(火曜日)

そごう・西武の林拓二社長解任に思う

8月1日。

今日も一日、横浜商人舎オフィス。
単行本の原稿と入稿。

さらに月刊商人舎の原稿を手直しして、
タイトルをつけて入稿。

二つの仕事をやっている。
まあ、いつものこと。

頑張ります。

昨日の「徒然草」の続きが面白い。
昨日は「第四十五段」だった。

公世の二位のせうとに、
良覚僧正と聞えしは、
極めて腹あしき人なりけり。

僧正の寺のそばに大きな榎の木があった。
そこで人々は「榎木の僧正」と呼んだ。

そのニックネームが気に入らぬ良覚は、
榎木を切ってしまう。

人々は残った切杭(きりくい)を見て、
「切杭の僧正」と呼ぶようになる。

ならばと僧正は、
掘り返して切杭を捨てる。
すると大きな穴ができて、
今度は「堀池の僧正」と呼ばれるようになる

「榎木僧正」と呼ばれ、
「切杭の僧正」と言われ、
「堀池僧正」になった。

自業自得。

その次の「第四十六段」

柳原(やなぎはら)の辺(ほとり)に、
強盗(ごうとう)法印(ほういん)と号する
僧ありけり。

度々強盗にあひたるゆゑに、
この名をつけにけるとぞ。

「柳原町に強盗法印という坊さんがいた。
たびたび強盗被害に遭っていたので、
こんなあだ名を付けられたそうだ」

さらりと、これだけの話。

強盗法印も何か展開があるのかと思ったら、
たびたび強盗に遭うだけ。

なんとも拍子抜けするが、
そこが実に面白い。

さて、
そごう・西武の社長が交代した。
林拓二代表取締役社長は解任された。
私と同じ70歳。
〈そごう・西武ホームページより〉
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商人舎流通スーパーニュース。
セブン&アイnews|
そごう・西武新社長に田口常務が昇格/西武出身

㈱そごう・西武のホームページには、
まだ林社長が写真入りで載っているし、
リリースでの発表はない。

セブン&アイ・ホールディングスが、
ニュースリリースで発表した。
「当社子会社の経営体制の変更について」と。

新社長は田口広人取締役常務執行役員。

その他に山口公義取締役が、
取締役副社長に昇格する。

実施日は今日の8月1日。

日経の記事によると、
現在の役員体制は8人で、
そごう・西武側が6人、
セブン&アイ側が2人だった。

新たにセブン側から3人の取締役が就任して、
今度はそごう・西武が5人、
セブン&アイが5人となる。

田口新社長は1985年、西武百貨店入社。
いわばプロパーの人材だ。

そして2014年、
セブンネットショッピング取締役常務執行役員、
16年セブン&アイ・ネットメディア社長。

セブン&アイグループに約10年間在籍。

そごう・西武は米国のファンドに、
売却が決まっている。
フォートレス・インベストメント・グループ。

しかしその手続きを巡って、
決着が遅れている。

もともとは2022年11月、
フォートレスと基本合意がなされた。
売却完了日は23年2月1日とされた。

しかしそれが「3月中」に延期され、
さらに再度延期されている。

そごう・西武労働組合は、
7月下旬にスト権を確立して、
勝手な売却は許さないという姿勢。

出店予定のヨドバシホールディングス。

行政の東京都豊島区と、
地権者の西武ホールディングス、
そしてそごう・西武労組。

そごう・西武経営陣と、
親会社のセブン&アイ。

このなかで林前社長は、
西武池袋本店の改装について、
慎重姿勢を示したらしい。

それが解任の理由であるようだ。

セブン&アイには、
誰か短気な人間がいるのか。
ここは慎重に粘り強く、
話し合わねばならない。

この解任は反発を強めるだろう。

行方が心配だ。

西武池袋本店は、
新宿伊勢丹、日本橋三越、
阪急梅田、高島屋日本橋などと並んで、
日本を代表する百貨店だと思う。

最新の売上高順位は、
1位 伊勢丹新宿本店3276億円
2位 阪急うめだ本店2610億円
3位 西武池袋本1768億円

この日本第3位の百貨店の地下1階と1階に、
ヨドバシカメラが入るのは、
いかがかと思う。

ヨドバシは上階でもいいと、
妥協しているとも聞く。

強盗法印とまではいかないが、
良くないあだ名がついてしまうかもしれない。

堤清二さんが育てた百貨店、
上野光平さんが新入社員として働いた百貨店。
NYのブルーミングデールのようなデパート。

じぶん、新発見。
不思議、大好き。
おいしい生活。
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私の池袋西武を、
守ってくれ!

〈結城義晴〉

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