結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年10月18日(水曜日)

「コロナ陽性」宣言とオーケー銀座店と全日食躍進チェーン大会

「コロナ陽性です」

午前中のオンライン会議を終わらせて、
発熱外来の医院に行った。
熱は上がったり下がったり、
喉は痛いし、咳も止まらない。

鼻の穴に検査の棒を突っ込まれて、
しばらく待つと、
いきなり言われた。

瞬間、志村けんのことを思った。
2020年3月29日、
新型コロナウイルス感染による肺炎で逝去。

あの時代だったら、
不安で不安で仕方なかっただろう。
そう思った。

幸いにして私は、3年9カ月間、
コロナからは逃れてきた。
しかし今初めて「コロナ陽性」を宣言された。

そのあとは診察もなく、
処方箋を貰って、病院を去った。
隣の調剤薬局で薬を貰った。

帰ってすぐに薬を飲んだ。
ゾコーバ錠。
そしてトラネキサム酸。IMG_86303
ゾコーバは、
新型コロナウイルスが、
体内で増えるのを抑える薬。
コロナ増殖に必要な酵素の働きを邪魔してくれる。
塩野義製薬の開発した、優れものの薬だ。

トラネキサム酸は、
喉の痛みや炎症を抑える。

これを規定通り飲んで、
あとは寝ている。

熱は下がってきて、
喉の痛みも少しずつ和らいでくる。
しかし咳はなかなか収まらない。
腹筋が痛くなるくらい、咳が出る。

寝室と仕事部屋に隔離されて、
人に迷惑をかけず、
治癒していくのを待つ。

志村けんのときに、
こんな薬があったらなあ。
つくづく、そう思う。

帰国すると、話題の新店オープン。

オーケーnews|
10/17「オーケー銀座店」オープン/地下2フロアに674坪IMG_8617
1984年4月27日に、
プランタン銀座としてオープンし、
2016年12月31日に閉店した。

故緒方知行さんなど、
絶賛した百貨店だった。

私は百貨店としては狭すぎると思っていた。
やはり閉店に追い込まれた。

そのあと、マロニエゲート銀座として、
リニューアルオープン。
当初はテナントビルだったが、
2020年6月19日に、
1階から4階までの1500坪に、
ユニクロが旗艦店を出した。

そして今、2023年10月17日、
地下1階と2階にオーケーが開業。
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2フロアで674坪だから、
1フロア300坪強。
天井も低い。
フロア間はエスカレーターで往来する。
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それでも初日は9000人を超える客数、
2000万円を超える売上高。IMG_8618

家にいて写真を見るかぎり、
いつものオーケーと変わりない。
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さて、それでよかったのか。
もっとやり方はなかったのか。

私はある仮説を立てていた。
それを試したか。

行ってみなければわからない。

月刊商人舎11月号で、
徹底分析とともにご披露しよう。

さて今日は、
「全日食躍進チェーン大会」
ゆりかもめの台場駅。
グランドホテルニッコー東京台場が会場。
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会場は地下1階のパレロワイヤル。
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午後2時にスタート。
2019年以来、4年ぶりのフルスペックでの開催だ。
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約2000人が参集した。
加盟店企業の赤いジャケットは壮観。
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大会は三部構成。
第1部は記念講演、
第2部が躍進チェーン大会、
第3部が祝賀会。

午後2時から7時半までの5時間半のイベント。

それぞれの部ごとに、
ジュニアボードメンバーを中心とした、
3名が司会を担当する。
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第一部は嶋津剛一全国会議副会長、
小島健太郎関東会議会員、
全日本食品(株)飯倉彩絵店舗本部担当。

開会あいさつは木村健造さん。
全日食チェーン協同組合連合会代表理事理事長。
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「メーカーや卸の方々に対して、
売っていくと数を約束したい。
全員参加型の集団になってきた」

力強い。

そして記念講演。
関西学院大学教授の村尾信尚さん。
テーマは「変わる世界、変われない日本
~私たちの生き残り戦略~」

元「NEWS ZERO」メーンキャスター。
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グローバル化が進む中で、
日本の課題とその立ち位置はいかにあるべきか。
指摘しつつ提言した。

会場前列には参加者と対面するように、
取引先のメーカーや卸などのトップが並んでいる。
これも全日食躍進チェーン大会の特徴。
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第2部はメインイベントの躍進チェーン大会。
全日本食品㈱平野実社長が、
大会会長として挨拶。
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全日食チェーンは昨年創立60周年を迎えた。
そして第12次3カ年計画の3年目を迎える。

「”2024年の物流問題”と、
“電気料金や人件費高騰”は、
全社挙げて乗り越えるべき2つの壁」
緊急の課題を挙げた。

そのうえで7つの活動方針を掲げた。
①VC再確認、②DX推進、③拠点拡大、
④店頭改革、⑤商品力追求、⑥物流改革、
⑦地域社会への貢献と地球環境への配慮

具体的な店頭改革の取り組みも、
動画で紹介された。
一つは、省人化レジの導入。
月間300時間の削減を図る。z10_IMG_5313

二つ目は電子棚札の導入。
月間36時間の削減につながる。

三つ目はゴンドラの可動式棚導入。
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導入している全日食チェーン加盟店、
㈱コーノの高野好一朗社長。
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生産性改善と商品政策推進の取り組みは、
「シャドーキャビネット」が中心になっている。
全国の14名の加盟店オーナーで構成されていて、
高野さんはメンバーの一人だ。

動画のあとは、
前列に並んだ来賓を一人一人紹介。

さらに来賓の祝辞。
甘利明、平将明、小泉進次郎、
そして土田慎の衆議院議員があいさつ。

とくに小泉代議士のあいさつは秀逸。
会場の雰囲気が変わる。
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躍進チェーン大会を締めくくるのは、
名物の大会宣言。
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全日食チェーンジュニアボード新潟会議会長、
太田雅悠さん。
力強い宣言に大きな拍手が沸いた。
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祝賀会までは約1時間の休憩。
恒例の管弦楽4重奏。
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第3部の祝賀会がスタート。z16_IMG_5330

開会あいさつは、
四国協議会代表理事の山下浩司理事長。
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それから田中彰さんのご挨拶。
全日食チェーン常勤特別顧問。

全日食チェーンの成り立ちや、
地域に必要な店として存在し続けることの意義を、
力強く語った。

今でも加盟店の勉強会では、
4時間の講義をするという。
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平野社長がじっと聞き、見入る。IMG_9277

来賓者を仕切る田中さん。
すこぶるお元気だ。
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昭和、平成、令和と全日食チェーンを
支えてくれた来賓の方々6名を紹介。
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左から、
ユアサ・フナショク㈱諸澤隆芳名誉相談役、
ヤマサ醤油㈱濱口道雄会長、
㈱寺岡精工寺岡和治会長、
シマダヤ㈱木下紀夫会長、
㈱明治屋の磯野計一相談役、
全国中小企業団体中央会大村功作前会長。

乾杯はカルビー㈱の江原信社長兼CEO。
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その後、懇親。
衣装替えをした管楽4重奏。
その横では大型画面に、
懇親の模様が映し出されている。
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久々にフルスペックで開催された大会は、
懇親会も大いに盛り上がった。

中締めはアサヒ飲料㈱米女太一社長。
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力強い、万歳三唱。
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会場の皆も万歳!
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閉会あいさつは
中国協同組合の岸本孝弘代表理事理事長。
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創立60周年を迎えた全日食チェーン。
地域の食のインフラとしての機能を果たしてきた。
平野社長の言葉通り、
「”one for all, all for one”の想い・絆の根底に、
全日食チェーンの理念が培っている」

私は『チェーンストア』の「まえがき」に書いた。
「一人は万人のために、万人はひとりのために。
チェーンストアの本質はここにあると思う」

思いは平野さんと同じだ。

〈結城義晴〉

2023年10月17日(火曜日)

ミュージカル「MJ」と帰国までに思ったこと

無事、帰国しました。
みんな意気軒高。
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帰国前夜。
店舗訪問からホテルに戻って、
14時半から自由視察。
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私はホテルで仕事をこなして、少し仮眠。

夜はミュージカルを観に行った。
ニューヨークとロンドンは、
ミュージカルだ。

ニューヨークは雨模様で、
どんどん気温が下がってきた。
薄着の山本恭広編集長は急きょ、
隣の土産物屋でフード付きのトレーナーを購入。
2Xのサイズはこちらではすぐ手に入る。
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ホテルのすぐそばのアジアンフードホールで、
軽食をとって、雨の中、劇場へ向かう。
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土曜の雨の夜。

タイムズスクエア方面はネオンが鮮やかだ。
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ミュージカルを見に行く人で、
人があふれている。
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ステーキハウス「ギャラガーズ」。
1927年創業。
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通りに面して熟成庫がある。
凄い。
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今回はここで食べなかったが、
次はこの店のポーターハウスを食べに来よう。

そして見えてきました。
ニール・サイモン・シアター。
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そう、「MJ」です。

マイケル・ジャクソンの物語。
そのムーンウォークのシルエット。
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パンフレットをもらって、席に着く。
ワクワクしてきた。
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私の席は前の方の真ん中。
いい席だ。
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モノクロの工場のようなステージセット。
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劇場自体はそんなに大きくはない。IMG_8550

クラシックな内装だ。IMG_8551

開演5分。
出演者たちがばらばらに登場して、
静かにパフォーマンス。
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次々に出演者が現れて、
ウォーミングアップをする。IMG_8560

ストレッチをしたり、
何やら議論したり。IMG_8558

ほぼ全員がステージに上がって、
準備はできた。
あとはマイケルの登場を待つばかり。IMG_8564

そして夜8時。
MJがスタート。
ここから撮影はNG。

2時間半ほどのミュージカル。
マイケル・ジャクソンのヒット曲を中心に、
マイケルの半生が描かれる。
1958年8月29日生まれ、
2009年6月25日没。

亡くなってから24年が過ぎる。

歌も踊りも物語もすばらしかった。
主演のマイルズ・フロストは、
昨年、トニー賞を受賞。
MJ
ムーンウォークも見事だし、
話し方はよく特徴を捉えていた。

マイケル・ジャクソンになりきっていた。

感動した。

終わると全員がスタンディングオベーション。IMG_8566

観客をバンドが演奏して見送てくれる。
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大満足だった。
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ニューヨーク最後の夜を堪能した。

そして日曜の朝9時45分。
今日は、帰国の日。
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延泊する福島道夫さんと固い握手。
ツアーをずいぶんと盛り上げてくれた。
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福島さんと浅野秀二さんは
10月18日オープンのウェグマンズを視察する。
二人に見送られて出発。
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バスは一路、JFK国際空港へ。
チェックインを済ませて、
全員で記念写真。
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㈱関西スーパーマーケットの皆さんと。
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出原健二さん、河合俊和さん、
山田源さん、和田勇樹さん。

㈱伊藤園の宇宿亨さん。
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少し出発は遅れたが、
全員JL005便に乗り込む。IMG_51153

機影を残して、離陸。IMG_51303

マンハッタン島が見える。
今度来るのは、来年の1月だ。IMG_51363

そして海上へ。
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14時間15分のフライト。
日本が見えてきました。
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夕方の4時半、到着しました。
羽田空港の美しい夕日が迎えてくれた。
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3年ぶりのニューヨーク、ダラス。

HEBもウェグマンズも、
大きく変わっていた。
HEBはダラス都市圏への本格的な進出。
ウェグマンズはブルックリンに出て、
マンハッタンへの歴史的出店を控える。

いずれも実にいい店、強い店だ。

もちろんウォルマートとクローガーは、
巨大な者が変化するという難事業を果たしている。

トレーダー・ジョーとホールフーズは、
それほど変化していなかった。
それでいいのか、悪いのか、
わからない。

ゼイバーズは変わらない。
これは変わらないほうがいい。

フェアウェイマーケットとシタレラ。
苦境が鮮明になった観がある。

中小規模の企業の生き残り方、
反面教師となるだろう。

ダラスではアルディも変わっていた。
ニュージャージーのリドルも強力になっていた。
プライベートブランド開発が進んだ。

やっぱり、そうだと思った。
「コロナは時間を早めた」

〈結城義晴〉

2023年10月16日(月曜日)

最終日のホールフーズとウェグマンズの「マンハッタンの未来」

Everybody! Good Monday!
[2023vol㊷]

2023年第42週。
10月第3週。

帰国しました。
ジョンFケネディ空港から14時間余のフライト。

疲れが溜まっていたのだと思うけれど、
ちょっと熱が出た。

ブログはまだまだニューヨーク3日目、
視察最終日の最後。

雨が降りしきるニューヨークの朝。
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午前中はブロードウェイの
ゼイバース、フェアウェイマーケット、
トレーダー・ジョーを徒歩で南下。
そしてシタレラを視察した。
昨日のブログで紹介した。

車中ではこれらの店舗について、
結城義晴なりの分析を解説。
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私の海外視察研修は、
バスの中で1日中、講義する。

店に訪れる前には、
その会社や店の概要を説明する。

そして店を見終わったら、
その店の状態を評価する。

1店ずつの直後の評価が、
参加者の理解を倍増する。
それをせずに、ただただ見ているだけでは、
実務に活かすところまで行かない。

たとえば歌舞伎や能、
オペラやミュージカルでも、
初心者には解説がいる。

ラグビーでもサッカーでも、
解説のための裏番組が組まれる。

それが私の研修の方法だ。

上級者ばかりの視察の場合には、
互いにディスカッションする。

それが成果をもたらす。

その後、ウエスト33通りへ。
ホールフーズの新店。
昨年6月1日オープン。
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「ハドソンヤード」は、
ハドソン川沿いの再開発プロジェクトだ。
民間による開発で総投資額は250億ドル。
ニューヨーク史上最大の投資。
完成は2025年だからまだその途上にある。

すでに第1段階の開発が済み、
周辺はモールやオフィス、
マンションなどが建ち並んでいる。
人気の観光スポットだ。

ホールフーズはその中核を担う。
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ハドソン通り側の入口1階が、
デリや飲料などのコンビニフーズ。
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朝食やランチの買物にはここだけで完結する。
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エスカレーターで顧客を2階に誘導する。
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2階の導入部は鮮魚と精肉の売場。
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精肉売場の牛肉はヘルシーな赤身肉が中心だ。
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オーダーされたカッティング作業を見せるブース。
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店舗奥に青果売場。
ハドソン川の側にもう一つの入口がある。
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最近のホールフーズはボリューム感が半減した。
しかしカラーコーディネートはやはり秀逸。
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真っ白な什器で果物や野菜のカラーが映える。IMG_9182

バナナの吊り下げ売場。
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天井はむき出しで、
2階といえども開放的な空間だ。IMG_9170

レジの手前に広大なデリ売場。IMG_9175

対面ショップも配置する。
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中央はセルフデリ。
サラダなどの冷惣菜や主食にもなる温惣菜、
スープなどのセルフバーが並ぶ。IMG_9174

惣菜を購入してフードコートでランチ。
イートインスペースは、
2階フロアの3分の1ほどを占める。
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そのフードコートの一角に
オンライン注文の配送スペース。
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都心部のホールフーズは徹底して、
イートイン需要とオンライン需要に対応する。

ホールフーズと道を挟んで、
20ハドソンヤード。
高級ショッピングモールだ。
高級百貨店のニーマンマーカスをはじめ、
ハイエンドブランド、高級飲食店などが入る。
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ここでの目的はこれ。
人気の大展望台「エッジ」。
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ここで全員で記念撮影。
みんなにポーズを指示する。
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決まりました!
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このエッジ。
残念なことに自殺者が相次いで、
1階にしか入場できなくなった。
そんな名所になったのは不本意だろう。
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そんな人たちの冥福を祈った。

そして最後はここです。
ウェグマンズ。
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マンハッタン初の出店。
場所は百貨店ワナメイカー跡地。

ワナメーカーは百貨店の先駆者。
フィラデルフィアで百貨店事業を成功させ、
1896年ニューヨークへ進出した。
その後、この物件にKマートが入居したが撤退。
この10月18日にウェグマンズに変わる。
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隙間からかろうじて、
チェックスタンドだけが見えた。
レジは38台、銀行方式のレジだ。
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福島道夫さんは、
オープンに立ち会うために滞在を延長している。
その福島さんから写真が届いた。
オープンまであと2日のカウントダウン。
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オープンの模様を報告してもらう約束をした。
あぁ、ウェグマンズのオープン、
見たかったなぁ。

それにしてもマンハッタンの食品小売業。
伝統的なフェアウェイやシタレラが、
同じような競争を展開しているときには、
勝利を収めた。

しかし、トレーダー・ジョーが出てきて、
拍手喝さいを浴び、
ホールフーズが登場して、
こちらも人気を博する。

そこに満を持して、
ウェグマンズが進出した。

マーケットニッチャーは、
多様に存在する。

しかしそれでも個性が、
際立っていなければならない。
ポジショニングが確立されていなければならない。

たった1店のゼイバーズが光り輝いていて、
資本を増強することで、
多店化を目指したフェアウェイやシタレラは、
結局、落ち込んでいく。

出店経費と不動産コストを吸収すれば、
ウェグマンズはマンハッタンの王者になるだろう。
(つづきます)

では、みなさん、今週も。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年10月15日(日曜日)

マンハッタンの老舗店とトレーダー・ジョーの「シビアな戦い」

イスラエルが、
パレスチナ自治区ガザを砲撃している。

この地区を支配しているのが、
イスラム組織のハマス。

そのハマスが民間人を殺傷している。
それに対してイスラエルが報復をする。

こちらのテレビニュースでも、
トップの扱いだ。
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アメリカとイギリス、フランスは、
イスラエルを支持し、
ロシアと中国はパレスチナを支援する。

世界は二つに分かれて、
戦争や紛争は終わらない。

私たちはアメリカに来てから5日目となる。
ニューヨークは3日目だ。

今日はマンハッタンを巡る。
伝統的なスーパーマーケットと、
大人気の全国チェーンの闘い。

ブロードウェイを歩いて、
比較しながら視察する。

これも3年ぶり。
どんな変化が起こっているのか。

朝8時過ぎに、
ゼイバーズ。
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ユダヤ人のゼイバー兄弟が開いた店。
はじめは珈琲とスモークフィッシュの店だった。
それが独特の商品を増やしていって、
スーパーマーケットになった。
1店舗しかないけれど、
マンハッタンの人たちから愛されている。

入口を入るとこの対面のチーズ売場。IMG_83423

セルフサービスのチーズ売場。IMG_83433
珍しいチーズにも、
それぞれに顧客がついている。

売れるから並べる。

惣菜売場も対面方式。
ゼイバーズだけの味を提供する。
不思議なことに私たち日本人も、
とてもおいしく食べられる。IMG_83453

そして圧巻のスモークフィッシュ対面売場。IMG_83463

今日は二人の調理人。
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福島道夫さんが注文したのが、
スモークサーモンと、
ホールのスモークトラウト。
すぐに食べやすく調理してくれる。IMG_83493

いかがでしょう?
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福島さんはベーグルも20個買って、
それに合う味のクリームチーズも購入。IMG_83583
みんなに振る舞ってくれた。
食べなければわからない。
だから食べる。

パン売場も独特の味が揃う。
近くの工場から届けられる。IMG_83513

この品揃えと対面サービス。IMG_83563

一番奥が珈琲売場。
私も必ずこのコーヒーを買って帰る。
みんなにもお薦めした。IMG_83533

売場でポジショニングについてレクチャー。IMG_90733

それぞれに次の店に歩いていく。
私はゼイバーズカフェに入った。IMG_83623

先ほどのコーヒーが飲めるし、
パンやペストリーが食べられる。IMG_83633

私はコーヒーを一杯。
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歩いて5分ほどでシタレラ。
マンハッタン育ちのデリショップ。IMG_83643
デリを核商品にするけれど、
どの店も総合化していって、
スーパーマーケット形式になる。

隣接して、
フェアウェイマーケット本店。IMG_83903
マンハッタンの王者。
典型的な地元スーパーマーケット。
生鮮食品の鮮度と価格で他を圧倒していた。

そこで次々に支店を出した。
投資会社に会社を売却して、
ニュージャージーなどにも出店した。

そしてナスダックに上場した。

そこでまた多店展開を図った。

しかし郊外では、
フェアウェイの良さは発揮できなかった。

上場3年で倒産。
チャプター11を適用申請。

その後、二度目の倒産。

店頭と入口に青果のボリューム陳列。IMG_83653

通路奥のコーナーにオーガニック野菜。IMG_83673
しかしコロナ前までは、
中2階にオーガニック専用売場があった。

野菜と果物の売場からは、
ボリューム感がなくなった。IMG_83693

以前の売場はこんなにすごかった。???????????????????????????????

惣菜は対面売場で独特の味を提供する。
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チーズ売場も、
ゼイバーズに引けを取らなかったが、
それが貧弱になった。
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鮮魚と精肉売場もスペースが半減した。
この対面売場にずらりと鮮魚が並べられ、
裏側にこれでもかと精肉が品揃えされていた。

それがこちらの面に、
肉と魚が隣り合わせとなった。
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裏側にはリーチインケース。
ガッカリだ。
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中2階のオーガニック売場は、
飲料コーナーに変わった。IMG_83823

以前はすべてがオーガニック青果だった。
そしてオーガニックは毎年3割伸びていた。???????????????????????????????

変わらないのはエレベーターの写真。
ジョディ・フォスターが微笑む。IMG_83853

チェックスタンドには、
セルフレジが導入された。
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改装とは本来、店をより良くするものだ。
ところがフェアウェイは、
店の魅力を削ぐ方向で、
何度も改装が加えられた。

悲しいくらいだ。

その理由の一つが、
この店の登場だ。

5分ほど歩くと、
トレーダー・ジョー。

地下1階と地下2階の2層店舗。
地上1階と2階にはデュアンリード。
マンハッタンのドラッグストア。
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エスカレーターで地下1階に降りる。
花と乳製品から始まる。
まだ朝の9時前だ。
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それから青果部門。
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通路の真ん中にバナナの島陳列。
1本19セントの売り方は変わらない。
キングコングがバナナを持って、
エンパイヤステートビルを登るイラスト。IMG_83993

平台の青果は精肉部門の前まで広がった。
完全にフェアウェイから青果を奪っている。IMG_84013

BUTCHER SHOPは多段ケース。
すべてセンター供給だ。IMG_84023

エスカレーターで地下2階に降りると、
グロサリー売場が広がる。
全品がプライベートブランドで、
人気が高い。
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今は、パンプキンのアイテムが、
売場を席巻している。
ハロウィンを控えて、
トレーダー・ジョーの客数はさらに増える。
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冷凍食品もすべてプライベートブランド。
生鮮以上に評価が高い。
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冷凍冷蔵アイテムも、
頻繁に新製品が開発され、
強くアピールされる。
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エスカレーターで地下2階に上がる。
カート用のエスカレーターも並んで設置されている。IMG_91083

チェックスタンドからは、
朝の9時過ぎなのに、
長い行列ができている。IMG_91133

久しぶりの買物で、
私も120ドル以上買ってしまった。IMG_91123
ワイン抜きでこれだけ買うことは、
あまりない。

私はコロナ前に年間30回ほど、
トレーダー・ジョーを訪れた。
長いブランクもあって、
家のトレジョ在庫が切れた。
だから大量に買ってしまった。

ありがとう。

フェアウェイ本店が負けてしまうのも、
よく理解できる。

伝統の老舗も、
「良いものを安く」のPBにはかなわない。

地上1階のデュアンリード。
ここはコンビニエンスストア機能を果たす。
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2階が日用雑貨と化粧品。IMG_84123

そして調剤薬局。
この売場はウォルグリーンの店名。
ディアンリードが、
ウォルグリーン傘下にあるからだ。IMG_84163

そしてトレーダー・ジョーと、
デュアンリードは、
ネイバーフッド型の商業集積である。

フェアウェイの単独店は、
利便性の面でも負けている。

フェアウェイは歯を食いしばってでも、
生鮮三部門を縮小してはいけない。

鮮度と安さを追求し続けねばならない。

トレーダー・ジョーには、
生鮮の強みはないからだ。

私たちはシタレラの、
やや大型の店を訪れた。
フェアウェイの隣の店は、
2層で300坪ほどである。

こちらは1フロアで400坪くらい。IMG_84333

入口に精肉部門。
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そして圧巻の鮮魚部門。
これはトレーダー・ジョーとも戦える。IMG_49523

そしてデリ部門。
シタレラの味は他の真似を許さない。IMG_84303

しかしこの店はセルフデリの売場をつくった。
ホールフーズが開発した販売方式だ。IMG_84293
しかしそれは失敗した。
セルフデリの売場のままに、
パック商品が並んでいた。

自分の強みを忘れて、
ホールフーズの真似をしても、
顧客が離れていく原因をつくるだけだ。

青果部門はもともと狭い。
それなりに維持しているが、
全体に普通のスーパーマーケットに、
近づいてしまっている。IMG_84273

グロサリーなどは、
マンハッタンの店らしい、
密度の濃い品揃えだ。

しかし「自分の強み」を喪失した店は、
限りなく普通になっていく。
IMG_49763
シタレラとフェアウェイが、
そのことを示している。

ゼイバーズは絶対に方針を変えない。
ブレることがない。
1店だけだがしっかり顧客を捉える。
それがサバイバルの道だ。

自分の強み、他との違い。
それを堅持することこそ、
ポジショニングの本質である。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2023年10月14日(土曜日)

イータリーからウェグマンズ・リドル・S.レオナードまで。

ニューヨーク2日目。

8時にホテルを出発。
最初の視察地はバッテリーパーク。

ハドソン湾に自由の女神が見える。
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思い思いにマンハッタンの空気を吸っている。IMG_80733

それから自由の女神を背景に、
全員写真。
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今日は快晴。
その中にそびえるワールドトレードセンター。IMG_80933

 

視察の最初の店は、
アマゾンゴー。
ご存知、キャッシャーレス店舗。IMG_80873

最初はアプリがないと入店できなかった。
今、入店は自由。

商品を手に取って、店を出るときに、
クレジットカードかアマゾンゴーアプリを、
スキャンさせて、決済する。
IMG_8735

飲料や菓子、サンドイッチなどの、
ほんの限られた商品が並ぶ。
イートインスペースもある。IMG_43883

ホールフーズマーケットのPB「365」を品揃え。
この水はよく売れる。
IMG_8074.3

団員は菓子や飲料を手に取り、
実際に買物体験。IMG_8084.3JPG
Amazon Goはいま、
ジャストウォークアウトシステムの、
デモンストレーション店舗となった。

向かい側にあるのがイータリー。
ワールドトレードセンター4の、
3階に入居している。IMG_81313

エスカレーターを上がると、
EATALYのロゴが迎える。IMG_44063

店に入って右手に、
コンパクトな青果のセルフ売場。IMG_44103

イタリアン青果と加工食品以外は、
対面方式の売場。

チーズ売場にはさまざまなイタリアンチーズ。
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売場をつなぐ通路の壁面には、
調理器具やキッチンウエアが展開される。IMG_44313

壁面には、
イタリアの食文化の紹介パネルがある。
「学び、食べる、買う」が、
イータリーのコンセプトだ。IMG_44303

9時に訪問したので、
レストランはオープンの準備段階。IMG_81103

唯一開店していたカフェ。
エスプレッソとサンドイッチを楽しむ。
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そして9・11跡のグランドゼロに向かう。
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貿易センターのツインタワーで、
亡くなった人の名前が刻まれたプール。
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慰霊プールに手向けられた花。
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そしてターミナル駅舎のオキュラス。
設計はスペインの建築家、
サンティアゴ・カラトラバ氏。
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その屋根は毎年9月11日に、
犠牲者を追悼して開かれる。
オキュラスはラテン語の目を意味する。
年に一度、その目が開かれる。

ポーズを決めて記念撮影。
IMG_8743

朝の観光を兼ねた視察を終え、
一路ニュージャージー州へ。

マンハッタンを後に、
ハドソン川を越えて約1時間の移動。

その時間を車中講義にあてる。IMG_44423

そして着きました。
ショップライト。IMG_81343

ショップライトはコーペラティブチェーン。
ニュージャージー州の8つ食品店が、
1940年代に協同組合を結成した。
現在はウェイクファーンという会社が、
調達、物流を担っている。

この店は、グループの最高峰店舗だ。
入口入ると右手にファーマシーがある。IMG_45003

顧客が必要とする処方せん薬局を、
店舗奥ではなく、入口に配置した。

青果売場の導入部はバナナの島陳列。IMG_81493

果物のカラーコーディネーションは見事。IMG_8807

インストアベーカリーで、
ケーキやクッキーなどを提供。
店内加工のスイーツが充実している。
IMG_8804

デリカテッセンのコンセ「ボアーズヘッド」。
視察してきた店舗のなかで、
どこよりも大きな看板だ。IMG_4455

内装や装飾品で店内はきらびやかだ。IMG_8806

対面の鮮魚売場コーナー。
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売場は良く管理されている。
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そしてレジ前のハロウィンプロモーション。
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イートインスペース。
ウッドのテーブルや椅子が設けられている。IMG_82123

ショップライトのすぐそばに、
リドル。
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アルディと並ぶドイツ発のディスカウンター。
リミテッドアソートメントストア。
ドイツ小売業第1位のシュワルツグループの、
有力フォーマットだ。

2017年にアメリカに進出して、
2023年現在、約170店舗を展開する。

入口のインストアベーカリー。
1個79セントが値ごろ。
49セントや99セントのアイテムもある。
しかも「1buy 1get free」「2buy 1get free」の、
プロモーションを展開。
試食をかねて買ってみた。
おいしかった。IMG_82563

ベーカリーから青果部門につながる。IMG_4512

今週のセール品は、
赤い大きなトップパネルで訴求。
エブリデーロープライスが基本だが、
1週間ごとのハイ&ロー販促を加えている。IMG_45183

売場中央に縦に配置された平台プロモーション。
今週の新商品、売り切れ御免の特売品が並ぶ。IMG_82213

商品は100%センターからの納品。
PBの構成比は約6割程度。
アルディよりPB比率は低いが、
その分、品ぞろえは豊富だ。IMG_82313
売場面積は約800坪。
1店当たりの売上げはアルディの約4倍。

強烈な店だ。

トロイヒルズのウェグマンズ。
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ロゴの前で写真撮影。
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売場は横長の長方形。
中央に青果、
右翼がフードサービスデリと酒売場、
左翼がグロサリー。

入口の広大な青果部門。IMG_8948

単品量販の平台をセンターに配置。IMG_45853

右翼のフードサービス部門入口は、
中華、チキンなどが島ごとに配置される。IMG_45503

セルフデリコーナーでは顧客が、
設置された蓋つき容器に詰めていく。IMG_45533

サービスデリゾーンに沿って、
惣菜、鮮魚、精肉などの生鮮・準生鮮の対面売場が、
右サイドに並ぶ。IMG_45633

平オープンケースのアイスベッド上に、
鮮魚の丸物や切身が陳列される。IMG_45653

グロサリーゾーンは手を掛けずに、
ローコスト、ロープライスを提案する。
ウォルマートにも負けないマーチャンダイジング。IMG_46093

ウェグマンズのデリでランチを楽しむ。
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食べることこそ勉強である。
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このエリアのマーケットリーダーだけに、
全方位型のマーチャンダイジングで対応する。
そうしてウェグマンズは1店で、
1億ドル=140億円(1ドル140円)を売り上げる。

ニューヨーク視察2日目の最後は、
ヨンカーズのスチュー・レオナード。IMG_89503
牛乳酪農家が始めた食品小売店。
スチュー・レオナードさん。
今年亡くなった。

その店がスーパーマーケットに転換し、
顧客最優先の楽しいスポットに変わった。
そして1988年代には、
ニューヨークタイムズに、
「ディズニーランドのような店」と評された。

おなじみのポリシーロック。
右上にレオナードさんの遺影。IMG_83003
原則1 顧客はいつも正しい。
原則2 万が一、顧客が間違っていると思っても、
原則1を読み返せ。

入口のところのソフトクリーム売場で、
必ず食べます。
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売場は完全なワンウエーコントロール。
NEBセントラルマーケットも、
このスチュー・レオナードを真似た。IMG_46683

ベーカリーのケーキ、ドーナツと続く。
買物客を飽きさせない試食、試飲が、
コーナーごとに配置され、実施される。IMG_46733

オリジナルキャラクターが、
ダンスしながら、演奏しながら歌う。
子どもたちは大喜び。IMG_46983

有名なバナナ娘。
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鮮魚の対面売場。IMG_47213

エージドビーフは凄い。
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子ども連れのファミリーが、
立ち止まりたくなる仕掛けが、
売場の随所にある。IMG_47263

そしてチェックアウト。IMG_47593
しかし、スチュー・レオナードは、
どこか空しい。

レオナードさんが亡くなったからだけではない。
進化が止まってしまったからだ。
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創業者には破壊的イノベーションがあった。
それを持続的なイノベーションで、
少しずつでも進化させねばならない。

それが止まると、
店は下降線をたどる。

残念なことだが、
それが現実である。

夕食は韓国BBQ「WONJO」
IMG_83403

ニューヨークで大人気。
ny_2nd
浅野秀二先生と福島道夫さん。
今回は受講生とともに参加。

イータリーとウェグマンズ、
そしてスチュー・レオナード。
さらにショップライトとリドル。

ポジショニング戦略のトップ企業を巡った。

コーペラティブチェーンのショップライト、
コロナ禍後も大健闘している。
感動した。

リドルはアルディより強いかもしれない。

そしてスチュー・レオナードさんの逝去に合掌。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2023年10月13日(金曜日)

NYに移動してウェグマンズ/ホールフーズ/トレジョ訪問

商人舎US研修Specialコース。
3日目はもうニューヨークへ移動する。

朝5時45分にホテルフロントに集合して、
ダラスフォートワース空港へ向かう。

アメリカンエアライン2847便で、
ニューヨーク・ラガーディア空港までの、
約3時間半の旅。

ダラス上空は雲海。
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1時間ほど飛ぶと青空。
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ニューヨークに近づいてきた。
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そしてマンハッタンの摩天楼が見えてきた。
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無事にラガーディア空港に到着。

ニューヨーク市には2つの空港がある。
国際線のJFK空港と、
国内線専用のラガーディア空港。

マンハッタンが見える。
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2022年にターミナルの大改装が完了して、
驚くほど洗練された空港に変わった。
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バッゲージクレイム。
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噴水のオブジェ。IMG_4198

視察のための専用バスに乗り込む。IMG_4199

ニューヨーク最初の視察店舗は、
ブルックリンにあるウェグマンズ。
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2005年にはフォーチュン誌の
「最も働きがいのある企業100」で、
ナンバーワンに選ばれた。
2017年、2018年は2位。
そして2023年にも4位。
小売業ではトップの常連企業だ。

顧客に愛される店づくり。
従業員が働き甲斐を実感する会社づくり。
私たちがずっと目指してきた企業だ。

入口中央に市場のような青果部門。
右翼がフードサービスと呼ばれる惣菜売場、
左翼が冷凍食品、グロサリー、雑貨など。

店は大きく2つのゾーンに分かれる。

導入部の青果売場は巨大な農産市場だ。
鮮やかなりんごの平台が顧客を迎える。IMG_4204

青果売場を進むとチーズの対面売場。
多品種多品目多SKU。
それがマーチャンダイジングポリシーだ。
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ピンからキリまでそろえる。

青果とチーズの売場を右に折れると、
フードサービスゾーンになるが、
そのトップは精肉部門。
壁面に設けられた対面売場。
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それから鮮魚売場に続く。
部門がいずれもショップ形式で展開される。
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氷を敷いて鮮度感を出した、
対面販売コーナー。
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自慢のフードサービスゾーン。
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セルフのデリも多品種多品目。
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最後がインストアベーカリー。
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惣菜部門はカテゴリーごとに、
ショップ形式の対面方式で展開される。
寿司、惣菜、ピザなど、いずれも美味しい。
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PIZZA(ピザ)とBUZZ(コーヒーショップ)。
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左翼のグロサリーゾーンは、
「Consistent Low Prices」
一貫した低価格。
つまりエブリーデーロープライスを謳う。
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ネットスーパーにも力を入れる。
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セルフレジも導入した。
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屋外のイートインコーナー。
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ニューヨーカーたちの要望に応えて、
ウェグマンズはどんどん進化している。

次にダンボ(DUMBO)地区に移動。
ダンボはブルックリン地区で最も変貌したエリアだ。
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治安が悪かった地域は、
いまや周辺に高所得層が住む高層マンションが建ち、
多くの観光客が訪れる人気スポットとなった。

私たちも記念撮影。
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商人舎メンバー。IMG_79923

タイムアウトのフードコートでランチ。IMG_8680

ブリスケットとポークリブ、
そしてサンドイッチをシェアした。

団員たちもそれぞれオーダーして、
ランチを楽しむ。
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ランチと言っても、
午後3時になろうという時間。IMG_8682

私も山本恭広編集長も大満足。
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マンハッタンブリッジを渡って、
マンハッタン中心部へ入る。

ユニオンスクエア地区へ。
ガーデン・オブ・エデン。
東14丁目ストリート沿いに立地する、
グルメ志向型の小型スーパーマーケット。
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青果売場の見事なプレゼンテーション。
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このプレゼンテーションを見てもらうために、
訪問する。
IMG_8698

天井は低いが、
かごのディスプレイで変化をつけ、
圧迫感を与えない。IMG_4307

鮮魚、精肉、デリ、ベーカリーは対面販売。
ダウンタウンならではの濃密な売場。IMG_4323

さらに14丁目ストリートを徒歩で北に進むと、
ホールフーズマーケット。IMG_4352

地下1階から地上2階までの3層店舗。
コロナ禍の間に改装した。

その1階のインストアベーカリー。IMG_8710

地下1階は生鮮3部門とグロサリー。
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そして1階にあったセルフデリを、
2階にもってきた。
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2階のイートインコーナーとあわせて
フードコートのようなつくりになった。IMG_4333

アマゾン傘下に入った2017年以降、
ホールフーズの店頭は、
明らかに客数が減った。

オンライン利用者が増えたことも理由だが、
イノベーションが停滞している。IMG_4349

歩いてトレーダー・ジョーへ。IMG_8721

ニューヨーク進出1号店。

売場壁面にはユニオンスクエアが描かれる。IMG_4357

店内は夕方で混みあっている。
コの字型の動線に沿って、
レジ待ちの顧客が並ぶ。
最後尾は青果売場まで伸びる。IMG_4356
トレーダー・ジョーは、
コロナの間に10m離れたワイン店を閉鎖した。

ウォルグリーンも撤退していた。
道を挟んだフード・エンポリアムは、
ターゲットに変わっていた。

ユニオンスクエアは、
大変化を遂げていた。

コロナは時間を早めた。

ニューヨーク視察の初日。
朝5時45分に集合して移動したが、
皆、元気。
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ホテルは、
THE MANHATTAN AT TIMES SQUARE GARDEN。
タイムズスクエアに近い伝統のホテルだ。

今日から3日間、ここを拠点に店を巡る。
ニューヨークでは夕食は各自。
自分で調べて食べ歩く。
これも学習になる。

浅野秀二さんと福島道夫さん、
事務局は「秀ちゃんラーメン」で夕食。IMG_4367

私はビールと味噌ラーメン。
疲れ切っていたが、
おいしかった。

ウェグマンズ、ホールフーズ、
トレーダー・ジョー。

イノベーションなき者は、
滅びる。

彼らとて例外ではない。
(つづきます)

〈結城義晴〉

 

2023年10月12日(木曜日)

Special2日目/ダラス都市圏の選りすぐり10店舗を駆け巡る


コロナは時間を早めた。

ダラスでそれを再確認した。

商人舎US研修会スペシャルコース2日目。

ホテル内のミーティングルームで、
早朝セミナーを開催。IMG_3568

朝8時から10時まで2時間の講義。IMG_8273

370ページ2分冊のテキストを使って、
一気に講義する。
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アメリカ視察の基礎知識と戦略的な話を中心に講義した。

ホテルでの講義が終わると、
視察スタート。
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しかしバスの中でも1日中、講義は続く。
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最初の視察はダラス市内、
クローガー。
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周囲にはマンションや戸建てが並ぶ。
競合店はトムサムとホールフーズ。

アシスタントマネジャーのチェースさんが、
インタビューに応じてくれた。
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34歳だが、17年間、クローガーに勤務する。
つまりは17歳の高校生の時から、
クローガー一筋に働く。
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この店の客単価は約35ドル。
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通常店より低いが、足元商圏が厚いため、
来店頻度は高い。

2番目も市内の店。
トムサム。
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セーフウェイに買収され、
そのセーフウェイがアルバートソンと経営統合。
さらにそのアルバートソンが今、
クローガーに買収されようとしている。
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売場は整っているし、一定の客数はある。
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だがコンベンショナル型スーパーマーケットで、
「時代遅れ感」が漂う。
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プライスカードは二重価格になっている。
クラブカード会員には割引特典がある。
顧客を囲い込み作戦だが、
売価の二重表記は顧客の信頼をなくす。
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トムサムの入るショッピングセンターに、
ダイソーが出店する。
アメリカでは1ドル75セントで売る。
ダラーストアの1.5倍の売価の店だが、
人気だ。
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3番目は、
ホールフーズマーケット。
オーガニックスーパーマーケットのトップランナー。
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2017年にアマゾン・コムの傘下に入った。
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店舗内外装の洗練されたデザインは、
マーチャンダイジングと相まって、
十二分にポジショニングの要件を満たす。
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2階のレストスペースから売場を望む。
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アマゾン傘下に入って、
ネット販売の構成比が増えた。IMG_8376

そのため客数は低下して、
やや賑わい感を喪失した。
生鮮部門など店頭の在庫も減った。

それでもホールフーズのグロサラントは健在だ。
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ネット顧客は大喜びで、
売上げは上がっているはずだ。

4番目はホールフーズと競う、
H.E.Bセントラルマーケット。
都市型のアップスケールタイプの大型店。
売場面積は2000坪。
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H.E.Bはこのフォーマットを現在、
10店舗展開する。
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ワンウェイコントロール方式を採用していて、
全部門・全売場に顧客を誘導する。
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そのトップは圧倒的な青果売場。
売上高構成比は約15%くらいにはなるだろう。
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精肉、鮮魚売場は主通路の両サイドで展開。
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そしてリカー売場、グロサリー売場、
乳製品売場などを巡る。IMG_8406

そしてベーカリー売場に到着すると、
広々とした空間に、
焼き立てパンの香りが漂う。
強力なマグネット売場だ。
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このセントラルマーケットには、
購買したアイテムを食べるフードコートがある。
そこで今日のランチ。
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美味い昼食で、みんな満足げだ。
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5番目は、
ウォルマート・マーケット。

1998年に開発されたスーパーマーケットだ。
「ネイバーフッドマーケット」と、
ネーミングされたが、
今、「ウォルマート・マーケット」に変更中。
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青果売場は平台1基に1アイテムの品揃え。
つまり単品量販。
それはスーパーセンターと変わらない。
平台側面の価格表示は実にわかりやすい。IMG_3866

売場最終コーナーの主通路には、
ハロウィンをテーマにした島陳列が続く。
「アクション・アレー」と呼ばれる。
強力な磁石であり、売上げへの貢献度は高い。IMG_3884

さらにハロウィンのプロモーションコーナー。
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このウォルマート・マーケットも、
オンライン販売の基地になっている。

そして6番目は期待の店。
トレーダー・ジョー。
例外なく、どの店も大人気を博している。IMG_3927

店内に一歩入ると、
ひと目でトレーダー・ジョーとわかる店づくり。
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壁面上部のディスプレーは、
ハロウィン仕様となっている。IMG_3899

エンドにはパンプキン(かぼちゃ)がらみの商品が並ぶ。
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商品はすべてセンターから供給される。
つまり全店共通。
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だがプレゼンテーションは、
各店舗が独自に企画し、展開する。

デモンストレーションも復活した。
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280坪の店舗が今、
ハロウィン一色。
試食も復活。
それがトレーダー・ジョーの、
他社にない楽しさとなる。

7番目は、
ウィンコフーズ。
店舗面積7500㎡の倉庫型スーパーマーケット。
スーパーウェアハウスストアと呼ばれる。
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スケルトンタイプの天井、
ノンフリルの店づくりに徹する。
つまり低投資。
その上でディスカウントに挑戦する。
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店舗に入るとすぐに、
ウォール・オブ・バリュー。
つまり価値ある壁。IMG_3932

高いラック什器に、
競争価格のアイテムが連続して陳列される。
これはエンドが並んだ壁である。IMG_3934

そしてこれでもかと、
価格比較広告POPが付けられている。
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ナショナルブランドアイテムに関して、
ウォルマートはいくら、
クローガーはいくら、
HEBはいくら。
ウィンコはいくらで、
これだけ節約になる。
そんな比較広告だ。

カートを使って価格比較をしている。
同じ品目がカートに詰められていて、
ウォルマート(左)はいくら、
HEB(中)はいくら、
ウィンコフーズ(右)はいくら、と比較する。
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ウィンコは24時間営業で、
決済は現金かデビットカード。
クレジットカードは使えない。

低コストを武器にした安さづくりによって、
価格差を生み出す。
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売上げ規模は70倍のウォルマートとも、
互角の戦いを展開する。
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それがウィンコのポジショニングである。

8番目は、
クローガーマーケットプレイス。
道路を挟んでH.E.Bの新店と対峙する。IMG_4036
クローガーの非食品強化タイプの大型店だ。

フットボールのダラスカウボーイズは、
この地域で大人気のチームだ。
そのカウボーイズを応援するディスプレイ。

メジャーベースボールは、
テキサスレンジャース。
そのレンジャーズは地区優勝を果たした。
しかしアメフトのほうが人気がある。
だからクローガーはカウボーイズ推しだ。
それが売場全体に出ている。
顧客もそれに共感している。IMG_4023

非食品の中では、
自社アパレルの強化に努める。
まだ改良の余地は大いにある。
しかし隣接した化粧品の売場とともに、
女性客をターゲティングして、
クローガーのマーケティング姿勢を鮮明に出している。
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ウォルマートは全客層を狙う。
そして男性客も多い。

対してクローガーは、
女性客に集中する。

マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャーの闘いである。

そこに割って入るのが、
9番目の訪問店H.E.Bだ。
そのフード&ドラッグ。
1週間前にオープンしたばかりの最新店である。
ダラス・フォートワース商勢圏の4号店。
クローガーと至近で競合する。
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店舗右手の入口には、
ファストフードレストランのBBQ。
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店内で加工・調理した肉料理を提供する。
新店では常設となっている。
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サンアントニオ都市圏に本拠を構えるH.E.Bは、
本拠地で5割のシェアを誇る。

そのH.E.Bがオースティン都市圏を制圧し、
ヒューストン都市圏では三つ巴の闘いを展開する。

そしてコロナ禍が明けた2022年、2023年と、
ダラス・フォートワース都市圏への侵入を図る。
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コロナは時間を早める。

H.E.Bの経営スピードは、
確かに早まっている。

精肉の牛肉売場は3つの強みを強調する。
⑴WAGYU(和牛)
⑵プライムビーフ
⑶グラスフェッド(放牧牛)
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地元テキサス州のチェーンストアだから、
精肉のベンダーとの絆が強い。
そのH.E.Bの強みを明確にした訴求だ。
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ウォルマートにもクローガーにも、
真似ができないポジショニングである。

壁面上部にそれが、
メッセージとして告知されている。
「NO STORE SELLS MORE TEXAS BEEF」
私たち以上にテキサスビーフを打っている店はない!IMG_4090

コロナ禍はH.E.Bを変えた。
強みを磨き続ければ、
ローカルチェーンやリージョナルチェーンも、
ウォルマート、クローガーを凌ぐことができる。
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それによって強みはさらに磨かれて、
次の新店に活かされる。

移動バスの車中講義でも、
そのことを強調した。
IMG_4134
外は真っ暗。
視察時間は延長したが、
成果は実に大きかった。

ここで参加者に、
視察の感想を話してもらう。

㈱関西スーパーの出原健二さん。
「H.E.Bはファミリー層をよくつかんでいる。
エンドやPOPにそれがよく表現されている。
来店客と売場がマッチしている」IMG_4144

最後に10番目の視察店はホテルの近隣。
スプラウツファーマーズマーケット。
オーガニックスーパーマーケットで、
ホールフーズとトレーダー・ジョーを急追する、
三番手として躍進してきた。IMG_4154

フロアレイアウトがユニークだ。
青果部門とバルク売場が、
店の中央をレジに向かって、
縦に貫通している。
IMG_8560

精肉やデリカテッセン、ベーカリー、
乳製品、グロサリー、サプリメントなどは、
両サイドに配置されている。
IMG_8572

定石を外した変則的な店で栗だが、
大型の八百屋だと考えると合点がいく。IMG_4166
この店も他との違いを追求している。
模倣する者は衰退する。
それがアメリカの闘いだ。

20時半にホテルに到着。

今夜の夕食は各自自由行動。

私たち事務局は、
視察店舗で購入した食材を試食しつつ、
とびきりのワインをいただく。

調理をリードするのは、
ご存知、福島道夫さん。

H.E.Bセントラルマーケットでは、
豚骨付きももスライスを購入。
これが絶品。

トレーダー・ジョーのトルティーヤも旨かった。

ワインはOverture。
これはナパのオーパスワンのワイナリーで、
福島さんが直接購入してきた。
IMG_7926

福島さんも今回の参加者で、
サンフランシスコに先乗りし、
ダラスで合流した。

見事な包丁さばきで手際よく切り分けてくれた。IMG_4188

商人舎スペシャルコースは、
参加者に、自分で考えることを求める。

そのための情報を十分に提供する。
そして選りすぐりの店舗を次々に訪れる。

重要な企業の店は、
複数回訪れる。

全員が「アメリカ通」になる。
そのうえで、
自分の目で見て、
自分の耳で聞いて、
自分の頭で考える知識商人を目指す。

収穫は大きかった。
3年ぶりにダラスに来てよかった。
本当にそう思った。
(つづきます)

〈結城義晴〉

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