結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年07月13日(木曜日)

2023年度の食品値上げとニチリウバイヤーセミナーの「決断」

帝国データバンクは毎月、
値上げの調査をして発表している。

その7月度の主要食品メーカー195社の調査。

2023年に値上げする品目数は、
3万品目を超えた。

22年は年間トータルで2万5768品目だった。

それが7月段階で前年の総数を上回った。

原材料価格の高騰による影響は、
一部で落ち着きつつある。

しかしその半面、
電気代や人件費、物流費の負担は増している。

したがって残念ながら値上げペースは、
「引き続き高水準で推移」している。

物価上昇に伴って、
家計の食費支出は「勢い」を欠いている。
値上げ後に店頭での売れ行きが、
伸び悩む商品も出ている。
当然のことだ。

ここでそれぞれのアイテム、それぞれのメーカーの、
真価が問われる。

変な表現だが、
「値上げに対する消費者マインドは
寛容さを失いつつある」

消費者の「値上げ疲れ」と「生活防衛」志向である。

そこでメーカー側は、
コストアップ分の価格転嫁を、
躊躇するケースが出ている。

価格据え置きや値下げも、
累計1000品目に迫っている。

値上げの様相は昨年と異なっている。

帝国データバンクの予想。
2023年の食品値上げは、
22年に比べて高水準を保ちながらも、
10月をピークに一旦は沈静化する見通し。

年間累計は3万5000品目前後。

こんな時こそ、
1品1品に対するバイヤーの判断が、
重要になる。

このときこそ、
何らかの施策を講じなければならない。

昨日から大阪。

ニチリウグループバイヤーセミナー。
日本流通産業㈱主催。
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大阪クライトンホテルで、
1泊2日の缶詰型研修会。
全国の加盟企業から43名が参加。

今日2日目は鈴木哲男講師の講義。
㈱REA会長。
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講義テーマは、
「52週MD実務のセオリーと商品部の機能」IMG_6175

バイヤーのために、
52週MDの考え方と具体的なアプローチ法、
重点商品設定とその売り方などを、
わかりやすく解説。
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ときに質問をして、
双方向の講義となる。
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最後はストアコンパリゾン講義。
バイヤーはマーケッター。
マーケティングのために、
競合店調査やベンチマーキングは、
必須の技術になる。
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鈴木先生の講義は、
朝9時半から12時半までの3時間。
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受講したバイヤーたちにとって、
貴重な講義だった。

鈴木先生には、
9・12(火)
商人舎15周年記念セミナーで、

講演をしていただく。
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皆さんにも、ご参加をお願いします。

講義が終わると昼食。
酒井幸男さんを交えて、
3人で情報交換。
酒井さんは総務管理部部長。
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鈴木さん、ありがとうございました。

講義を終えて、
午後は2度目のグループディスカッション。IMG_6194

お題は「営業利益を上げる3つの施策」

9グループに分かれて、
現状の課題を整理しながら、
商品部の立場、バイヤーの立場に立って、
具体的な施策をまとめ上げる。
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活発な議論が続く。
私は会場を回りながら、
ときにアドバイスする。
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互いに情報交換し、
意見をぶつけ合って、
結論を導く。

これがこの研修の狙いの一つだ。

そしてグループ発表。
真っ先に手を挙げて発表するのは、
Eグループ。
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この積極性が大事だ。
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次々に各グループが発表する。
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1グループの発表が終わると、
質問タイム。
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1つのグループの発表と質疑応答が終わると、
私が発表内容を整理し、総括する。

これを9グループで行う。
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発表は具体性が必要だ。
具体的な行動に結びつかなければならない。

皆、発表を真剣に聞いている。
考えている。
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最後は結城義晴のまとめ。
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商売は面白い。
失敗もすぐに挽回できる。

だから、
ポスト・コロナ時代の決断とは
「不確実な成果」に対して、
目隠しで一歩、踏み込む
心の在り方である。
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最後に拍手をもらって、
すべての講義を終了。IMG_6214

昨日は6時間の講義、
今日は2時間半の
グループディスカッションと発表、
そのコーディネートと指導。

充実しつつも、疲労困憊。

しかし参加バイヤーたちの顔つきを見ていて、
私もちょっと安心した。

大いに期待しよう。

頑張れ。
成果を出せ。
恐れずに決断せよ。

テキストのEpilogue。
ピーター・ドラッカーの言葉。

「マーケティングの理想は、
販売を不要にすることである」

「マーケティングが目指すものは、
顧客を理解し、
製品とサービスを顧客に合わせ、
おのずから売れるように
することである」

〈結城義晴〉

2023年07月12日(水曜日)

三浦紘一さん「お別れの会」とニチリウバイヤー研修6時間講義

青森県八戸市。

故三浦紘一さんの、
お別れの会が開かれた。
㈱ユニバース会長。

今年4月13日に逝去された。
享年85。

会場は八戸プラザホテル、
アーバンホール。
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笑顔の遺影が祭壇に飾られた。
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山本恭広商人舎編集長が、
私の代理として参列してくれた。

三浦建彦社長が一人ひとりに、
丁寧にご挨拶。
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会場ではさまざまな展示物が公開された。
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ユニバースのルーツは、
三萬呉服店である。

紘一氏の祖父三浦萬吉氏がその呉服店を、
昭和9年(1934年)に三萬百貨店に変えた。
八戸初のデパートだった。

終戦後、米軍に接収されたが、
1952年、㈱三萬に社名変更。
社長には紘一氏のご母堂・萬喜さんが就任。

萬喜さんの長男として生まれた紘一氏は、
青山学院大学を卒業後、三萬に入社。

1年で低価格化とセルフサービス化を断行。

1967年、姉妹会社としてユニバースを設立。
自ら社長に就任した。

そして同年、1号店の小中野店をオープン。

それがユニバースの誕生だった。

それ以来、
「Customers,our Priority」の考え方を貫いた。

三浦さんは教育に熱心だった。
「成長のために人を育てる」
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商人舎の研修にも、
多くの幹部や社員を派遣してくれた。

もちろん自分でも勉強した。

アメリカで学ぶことも大好きだった。

私が㈱商業界の社長のころ、
アメリカ研修に参加してくださった。

三浦さんに団長になっていただいた。

成田から団員とともにダラスに着いたとき、
団長は一人、先乗りして、
この都市圏を学んでいた。

自ら「流通用語集」も編纂した。
手書きの校正が残されている。
yougosyuu kaitei
言葉を大切にした。

 はじめに言葉ありき。
 言葉は神とともにあり。
 言葉はすなわち神なりき。
 〈ヨハネ福音書〉

凄い経営者だった。

心からご冥福をお祈りしたい。

一方、私は大阪。
ホテルクライトン新大阪。
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今日は
2023年ニチリウグループバイヤー研修。
日本流通産業㈱主催。
全国の加盟企業から11社42名が参加。

1泊2日で行われる。IMG_61233

日本流通産業は、
通称ニチリウグループ。
1974年に共同仕入れ機構として創業。

来年、創業50周年を迎える。

当初は、平和堂、オークワ、さとう、
ライフコーポレーションなど7社で設立された。
初代社長は平和堂の故夏原平次郎さん。

現在は18社で構成され、
加盟企業の総店舗数は2000店に及ぶ。
その総売上高は3兆2000億円規模。

現在の社長はオークワ社長の大桑弘嗣さん。

司会の酒井幸男さんが、
初めにニチリウグループを紹介。
総務管理部部長。
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スライドや動画で歴史を示し、
くらしモアブランドのリブランディングなどを紹介。

10時半から結城義晴の講義。
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はじめにスライドで、
「コロナは時間を早める」
コロナによって、
経営や消費はどのように変化したのか。
そして何が早まったのか。

それから本論。
バイヤーの仕事はマーケティングである。
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だから第一部の理論編は、
「バイイングはマーケティング」がテーマ。

バイヤーは、
マーケティングの基礎くらいは、
知っておかねばならない。

世界中のビジネスマンが常識としている、
マーケティングの位置づけから、
マーケティング4.0までの発展段階、
そしてマーケティングマネジメントの概要、
コモディティ化現象までを、
コンパクトに解説。
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第二部の実践編は、
「バイヤーズマニュアル」IMG_61483

チェーンストアにおける、
バイヤーの位置づけと役割。

そしてバイイングの基本、
バイヤーの行動。
バーチカルマーチャンダイジング、
プライベートブランド、
サプライチェーン・マネジメント。

必須の知識と技術を、
ふんだんに事例を交えて講義した。
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PFグラフを使ったストアコンパリゾン。
その具体的な注意点などを指摘する。
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最後はバイヤーのためのコミュニケーション。
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10時半から17時半まで、
昼食休憩などを挟んでの6時間の講義。

全員が最後まで集中して聴講してくれた。
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日本流通産業㈱専務の田淵寿さん。

バイヤーの役割やモチベーションについて、
意見交換をした。
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最後に受講生は9グループに分かれて、
ディスカッション。
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課題をテーマに今日と明日、
ディスカッションして、
最後に班ごとに発表してもらう。
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その間、事務局と談笑。IMG_61633

午後7時から、
ホテルのレストランを借り切って、
夕食懇親会。IMG_61643

くらしモアのビールや酎ハイで乾杯。
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グループに分かれて交流する。

私は事務局と同席。
酒井さんと松吉佐知子さん。
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大阪の長い一日だった。

三浦紘一さんの言葉。

「店にとって何が大事か、
企業にとって何が大事か。
価格政策はどうあるべきかと言えば、
価格を第一にして成立できる企業は、
ひょっとしたら日本中で、
1社だけになるかもしれない。
何十年かしたら世界中で、
1社だけになるかもしれない」

「だから、価格を第一にというのは、
やるつもりはない」

「しかし、
スーパーマーケットができ上がったときから
価格は重要な要素だったし、
今でもそうです」

「安さは大事にしていかなければいけない。
だけど価格だけではだめだと思っています」

講義をしながら、
この言葉をかみしめていた。

合掌。

〈結城義晴〉

2023年07月11日(火曜日)

日本食糧新聞社「食料産業特別貢献大賞」の食料産業に幸あれ!

今日は午前中は自宅で原稿執筆。
集中的に書いている。

そして午後から、大阪へ。
新横浜から乗り込むと、
すぐに丹沢山系が見える。
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いつも新幹線の窓から、
東海道の景色を楽しむ。

残念ながら富士は雲の陰。

名古屋を過ぎて、
伊吹山。

いい山だなあ。
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そして新大阪に到着。
明日から2日間のセミナー。

一方、東京のホテルニューオータニ。
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日本食糧新聞社が80周年を迎えた。
お目出度い。

その記念に設けられたのが、
「食料産業特別貢献大賞」
その授賞式と「感謝の集い」が開催された。

山本恭広編集長が出席してくれた。

冒頭はもちろん、この人。
今野正義日本食糧新聞社会長CEO。
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この賞は名前の通り、
日本の「食料産業」に対して、
永きにわたって貢献した人や企業を顕彰する。

「食糧新聞」だけれど、
表彰は「食料産業」の方々。

食品製造業から食品流通業、外食産業、
さらに食品関連機械・資材・素材、
そして食生活まで。

その振興や発展に貢献した人々。

栄えある80周年の受賞者は53名。
さらに特別賞は8社。

受賞式の前に、
林芳正外務大臣の記念講演。
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大賞受賞者はおひとりずつ、
スクリーンで紹介された。

岡田卓也さん。
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鈴木敏文さん。
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横山清さん。
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荒井伸也さん。
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大髙善興さん。
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千野和利さん。
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そして小濵裕正さん。

席を立って会釈する川野幸夫さん。kawano2

ほかにもメーカーや卸売業の経営者の皆さん。
商人舎の発起人になってくださった方々も多い。
安藤宏基ホールディングス㈱会長兼社長、
垣添直也日本水産㈱(現ニッスイ)元社長、
国分勘兵衛国分グループ本社㈱会長、
中野勘治㈱菱食(現三菱食品㈱)元社長、
本庄八郎㈱伊藤園会長、
茂木友三郎キッコーマン㈱名誉会長。

誰が見ても異論のない皆さんの受賞。
80年の時間の流れを感じさせられる。

中内功さん、
伊藤雅俊さん、
堤清二さん、
西川俊男さん、
そして清水信次さん、
北野祐次さん、
亡くなられた皆さんのことも、
思い出された。

夏原平和さんは、
まだまだ活躍していただきたかった。

受賞者を代表して、
茂木さんが表彰状を受け取った。
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授賞式のあとは、感謝の集い。
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受賞者同士の交流もあって、
会は盛り上がった。
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参加できなくて、本当に残念だった。

中締めは杉田尚日本食糧新聞社社長。
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90周年、100周年と続いて、
日本食糧新聞社も100年企業を目指す。

日本の食料産業に、幸あれ。

そんなことを思った。

〈結城義晴〉

2023年07月10日(月曜日)

商人舎7月号「Outlet Center Age」とイオンネクスト誉田CFC

Everybody! Good Monday!
[2023vol㉘]

2023年第28週。
七夕の小暑を過ぎて、
7月第3週。

梅雨明けは間近だ。

月刊商人舎7月号、
本日発刊!!
2023-7hyousi

特集は、
Outlet Center Age
三井・三菱&イオンのそれぞれ

表紙はアウトレットパーク木更津。

[Cover Message]
御殿場プレミアム・アウトレット(静岡)と三井アウトレットパーク木更津(千葉)。今、日本の二大アウトレットセンターだ。そして御殿場は日本のショッピングセンターとしても第一位の売上高を誇る。803億円。その二強の牙城にイオンが「The Outlet」で参入。アメリカには約300のアウトレットモールが現存する。日本は33カ所。単純に人口比で考えても、まだまだ開発余地はある。そのうえアウトレットの成立条件の一つが「観光客の誘因」である。大衆が、イミテーションではなく、本物を安く入手できる。「一物二価」が正々堂々と謳われる。この「パラドックスの商売」が繁栄する、面白い時代がやってきている。

目次。2023-7mokuji

特集の前の巻頭には、
[このひとのこのひと言]2題。
岡田卓也氏旭日大綬章「お祝いの会」の言葉

「伊藤雅俊お別れの会」の鈴木敏文氏の弔辞

どちらも7月3日の言葉。
急遽、ページを算段して、入稿した。

素晴らしい。
感動した。

日本の小売産業が、
士農工商の序列を乗り超えた。

うれしいことだ。

この特集は、
2023年時点で、
ショッピングセンター全体を理解するのに、
もっとも適したテキストだ。

新入社員、中堅幹部も、
メーカーや卸売業の人たちも、
是非、読んでほしい。

先輩たちは後輩に、
お勧めしてください
読ませてください。

Outlet Centerを中心に描いているが、
ショッピングセンターそのものの成り立ちも、
成長しつつ分化してきたプロセスも、
この特集だけで理解できる。
イオンモール㈱社長の岩村康次さんには、
よく語ってもらった。

感謝したい。

それから最後の特別鼎談。
「守りの運営×攻めの経営」とその優先順位!?

鈴木國朗さん、新谷千里さん、
ありがとうございました。

良い雑誌になりました。

役に立ちます。

さて今日は横浜から総武本線で千葉へ、
千葉で外房線に乗り換えて誉田(ほんだ)へ。

イオンネクスト㈱が開発したのが、
誉田カスタマー・フルフィルメントセンター。
略称は誉田CFC。
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オンラインマーケット「Green Beans」の、
グランドオープンセレモニー。

関東は猛暑日。
千葉も雲一つない天気。

記者席にはテントが張られた。IMG_6017

日差しはさえぎられているが、
11時の屋外はゆうに35度を超えている。
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テレビのカメラクルーも入った。 IMG_10632

セレモニーを待つ。
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隣のテントには、来賓席が設けられ、
イオン関係者と並んだ。IMG_6029

グランドオープンセレモニーは、
イオン㈱吉田昭夫社長のあいさつから始まった。IMG_6024

続いて千葉県の熊谷俊人知事の祝辞。
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さらに千葉市の神谷俊一市長の祝辞。IMG_6036

誉田CFCは最終的に、
1000人の雇用を創出する。
さらにオンラインマーケットの
「Green beans」では千葉の産物「千」を扱う。
千葉県知事も千葉市長も、
それぞれの言葉に期待が込められていた。

そしてテープカット。
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報道陣が殺到した。
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その後、配送車の出発式。
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野澤知広イオンネクストデリバリー㈱社長が、
合図を送ると車は順次、出発。IMG_6052

その車に次々に手を振って見送る。
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野澤さんはイオンイオンネクスト㈱の副社長でもある。

その様子を撮影する報道陣。IMG_6053

無事、配送車を見送って
セレモニーは終了。
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センター内に戻って、
プレゼンテーション。
それからCFC内のメディアツアー。

その前の休憩時間に、
商品説明と試食をしてくれた。
そしてわずかな時間の交流。

イオンネクスト副社長の太田正道さん。
今年5月号の取材記事を、
とても喜んでくれた。IMG_6078

プレゼンテーションは、
はじめにOcado Group plc のトップ。
ティム・スタイナーCEO。
イギリスから来日。

誉田CFCはオカドと提携して、
そのノウハウによってつくられている。
しかもアジア初のCFCだ。

イオンネクストへの期待を語った。IMG_6080

イオンネクストのバラット・ルパーニ社長。
Green Beansが提供する価値と、
目指す姿を丁寧に説明。IMG_6088

質疑応答には太田さんが加わって、
詳細な説明をしてくれた。

プレゼンテーションが終わって、
パネルの前で野澤さんと写真。
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最後にイオン㈱広報部長の吉田和弘さん。IMG_6075

その後報道陣は4班に分かれて、
CFCの視察ツアー。

凄いセンターだ。

その内容は月刊『商人舎』で存分に紹介しよう。
ご期待願いたい。

暑い暑い千葉・誉田の1日。

その暑さを吹き飛ばす誉田CFCだった。

では、みなさん、今週も、
暑さを吹き飛ばして仕事に励もう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年07月09日(日曜日)

夾竹桃の花が咲いた。

夾竹桃の花が咲いた。IMG_52373
キク類キョウチクトウ科の常緑広葉樹。
花は6月から9月に咲く。

強い経口毒性がある。
花、葉、枝、根、果実すべての部分、
それから周辺の土壌にも毒性が生じる。
腐葉土にしても1年間は毒性が残る。
さらに生木を燃やした煙も有毒である。

それでも乾燥や大気汚染に強い。
工業地帯や市街地の緑化に、
街路樹として利用される。

燃えにくいうえに火に強い。
したがって防火樹としても活用される。

広島市は原爆投下で焼け野原になった。
75年間、草木も生えないとさえ言われた。
しかし被爆焼土に夾竹桃はいち早く咲いた。

そこで復興のシンボルとなり、
広島市の花に指定されている。

夾竹桃の二面性。

こういった二面性は、
どんなものにも確かに存在する。

ほぼ日の糸井重里さん。
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エッセイは「今日のダーリン」

「犬が人を噛んでもニュースにならないが、
人が犬を噛んだらニュースになる」
よく言われることだ。

「珍しいことがニュースになるというのは、
当たっている」

「当たり前のことは、
わざわざ言う理由がないからだ」

私たちもニュースを記事にするときには、
それが珍しいからだ。

新店オープンは珍しい。
既存店改装も珍しい。

普通の店の毎日の売場は、
珍しくはない。

「ということは、
黒いものばかりが目立つのが、
ニュースであったり、
みんなの読んでいる
ネットの世界なのだとしたら、
実際の、当たり前の社会は、
ほとんどが白いということだ」

「こんなに悪いやつがいましたよ」
「みんなこんな汚いことを考えてますよ」
そんな情報がやたらに目につくかもしれない。

毎日のように報道される。

「けれど、それは、
めずらしいことだから目に入る、
ということだ」

その通り。

「めずらしく見える話題が
目立っているだけで、
ほとんどの犬は人を噛んでいないし、
ほぼすべての人は
犬を噛んだりなんかしていない」

お店はそんな珍しいことばかりでは、
できあがっていない。

お店は当たり前のことでできている。

「最近ではみんなやってますよ」
というようなことは、
「ほとんどのみんなはやってない」
と思ったほうがいい。

「これ、売れてますよ」
という決め台詞。

ほんとうに売れている品だけにしたい。

「ごくごくふつうの人は、
悪いことをしたがらないし、
それほどバカじゃないし、
ちょっとやさしい」

「そのくらいに思っているのが、
ちょうどいいのだと思う」

ごくごく普通の人が、
ごくごく普通の店をやっていて、
ごくごく普通のお客様を迎える。

けれどとても感じがいいだとか、
とても親切だとか、
ちょっと気が利いているだとか、
そんなところで顧客と接点をもつ。

それがいいお店というものだ。

「悪いことをするにしても、
バカであることにしても、
ちょっといじわるであることにしても、
それは、”じぶんと同じくらい”だと
思っていればいい」

「こんなことを言ってると、
底の浅い、こどもっぽい考えだと
思われるかもしれないけれど、
こう思ってたほうが圧倒的に
生きやすいとも言えるのだ」

「”ご町内”は”暗黒街”じゃぁないんだからさ」

そうアルカポネ時代の禁酒を売る酒屋ではない。

そして糸井のいつものキメの言葉。
「”人間は人間を好きでいたい”、
そのほうが生きやすいから」

生きやすいからだけではない。

人間を好きな店であることが、
店が存在する最大の理由になる。

夾竹桃だって、
中毒の事例はわずかしかない。

1877年の明治10年。
西南戦争のときの官軍の兵が、
折った枝を箸代わりに利用して、
中毒した。

1980年、千葉県の農場。
牛の飼料の中にキョウチクトウの葉が混入した。
乳牛20頭が中毒を起こし、
そのうちの9頭が死んだ。

2017年、香川県高松市内の小学校。
校庭に植えられたキョウチクトウの葉を
3枚から5枚食べた2年生の児童2人が、
吐き気や頭痛などの中毒症状を起こした。

中毒事例はこれくらいだ。

夾竹桃はヒロシマのシンボルだ。
そのほうが大切なことなのだ。

〈結城義晴〉

2023年07月08日(土曜日)

安倍晋三元総理死去から1年後の「グランドデザインと現代化」

安倍晋三元首相は、
昨年の今日、銃撃され、死去した。

謹んでご冥福を祈りたい。
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死去の直後の参議院選挙は、
与党の圧勝。

ロシアのウクライナ侵攻は、
泥沼化し、エネルギー危機が訪れた。

多くのメディアで、
安倍政治とその後の総括が展開される。

政治学者の御厨貴さん。
朝日新聞に語った。

1951年生まれ、東京大学名誉教授。
専門は近現代日本政治史。
政治家などの口述記録を歴史研究に生かす、
いわゆるオーラルヒストリーの第一人者。
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「あの瞬間、日本の政治が大きく変わる、
激動の1年を迎えるのではないかと
予測しました」

「日本の政治が混沌とするんじゃないかと
当初は思いました」

「しかし、そうはなりませんでした」

「確かに安倍氏という存在は
いなくなったけれど、
そのまま政治は凍結されているようです」

「そのまま凍結」なるほど。

「岸田文雄首相のもとで
政治が奇妙に『行政化』され、
躍動感が失われた結果だといえるでしょう」

「政治の行政化」を、
御厨さんは指摘する。

賛成だ。

モンテスキューの三権分立。
立法権、行政権、司法権。

国会と内閣と裁判所。

しかし「安倍後」は、
政治が行政化してしまった。
つまり立法権の本質が薄弱化した。

それは三権が分立していない状態である。

内閣の官僚化である。

「良きにつけ、悪しきにつけ、
安倍氏の政治は、彼なりの
イデオロギーや思い入れに
深く彩られていました」

「それに対して岸田氏は状況追従型で
やらなければならないことを
ただ進めているようです。
そこには情熱も深い思い入れも見えません」

「これは理想を掲げる
本来の意味での政治ではなく、
行政のやり方です」

企業の経営も行政化してしまったら、
その本質を失う。

「政治的な動機をむき出しにせず、
まるで大きな政治課題ではなく
小さなことをやっているような形で、
あまり力を込めずに説明を繰り返します」

「安倍氏も菅義偉前首相も、
思いがあるだけに、
つい力を込めて言い募ってしまうんですが、
岸田首相にはそれがありません。
淡々と説明して打ち切りますね」

それでいいのだろう。

「いま政治に求められているのは、
安倍氏が進めてきた分断の政治の
帰結があらわれていることを直視して、
抜本的な対策を示すことです」

「安倍氏の政治手法は
敵と味方をはっきりさせて、
対決姿勢を鮮明に打ち出す政治でした」

「対立と分断をどうすれば緩和できるのかが、
問われています」

「右肩上がりの時代は終わり、
世界の中で日本の立場は
とても難しくなっています」

「実は90年代からもう経済の成長は難しい
ということが分かっていました」

「それなのにずっと
問題は先送りされています。
ちょうどその時代に、
私たちは政治改革に随分
時間とエネルギーを費やしましたが、
そのころから日本経済は縮小し、
埋没を続けています」

「明治以来の日本は
国家として大きくなること、
発展をすることを主眼に
さまざまな政策を進めてきましたが、
このように小さくなることへの対応は
したことがありません」

「成長しているときは様々な問題を
成長と分配が解決してくれますが、
知恵を絞らなければならないのは
縮小するときです」

会社も同じ。

だからチェーンストアは、
なんとしても店数を増やす。
あるいは事業を増やす。

成長モードにもって行く。

国も同じだ。

けれどその成長の方向は、
かつてとは異なる。

それがわからない。
政治家にも官僚にも。

だから今、行政化しているのだとも考えられる。

御厨さん。
「明治以来、この国を支え、
55年からは自民党と政策を担ってきた
霞が関の官僚組織も
根っこから劣化していると思います」

「例えば日本の国土計画については
『全総』と呼ばれた全国総合開発計画を
60年代からほぼ10年ごとに策定し、
大きな絵を描いていました」

グランドデザインだ。

「旧通産省も世界で競争できる産業や
中小企業政策などの大きなプランを、
有識者や族議員と呼ばれた政治家の力などを
総動員して練り上げていました」

「しかし今世紀に入ってから
そうした霞が関の機能は
見えなくなっています」

「いまは護送船団方式を組めず、
業界への行政指導もできなくなっていますし、
時代が変わっているのは事実でしょう。

かつてと違って大学生が官僚になることを
希望しなくなっているのも明白です。
官僚組織もこのままでは危うい状況です」

悪しき官僚化である。

安倍元首相死去の1年で、
そんなことが明らかになった。

少なくとも小売業やサービス業。
チェーンストアや商業の世界は、
そんな隘路にはまることなく、
未来志向でありたい。

そのために必要なことは、
現時点の総括である。

私は商業の近代化は進んだが、
いまだ現代化は成し遂げられていないと思う。

商業現代化の姿を明らかにする。

そのこと自体が、
産業のエネルギーになりうる。

その一端を担うのが商人舎でありたい。
その一助となるのが私たちの役割である。

安倍晋三一周忌に、
そんなことを思った。

〈結城義晴〉

2023年07月07日(金曜日)

True Data In-House Event 2023の「存在価値と社会的意義」

七夕。

関東は晴天。
まずは愛でたい。

織姫と彦星。
織女星はこと座のベガ、
牽牛星はわし座のアルタイル。

それれを眺めることはなかったが、
頭の中をロマンティックな物語がよぎった。

朝から商人舎オフィス。

ランチはみんなで、
インドカレーとナン。

午後、當仲寛哲さん来社。
USP研究所所長。
(ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所)
秘書広報の馬場優子さんが一緒に来てくれた。
IMG_59223
近況を報告してくれて、
その話が実に面白かった。

私は「當仲さんは天才である」と公言している。
チェーンストアの情報システムを、
根本のところから解き明かして、
システム化する。

それが他の追随を許さぬというか、
代わるもののない、
當仲さんの機能だ。
IMG_59243

月刊商人舎に原稿を書いてもらうことになった。

その後、夕方、
東京・信濃町から、
明治記念館へ。
IMG_51983

入口のところで写真。IMG_52003

空を見上げると、
秋の雲のようだった。IMG_52013

㈱True Data。
「見えない真実を、見に行こう」
IMG_52023

右が「代代乃櫻」、左が「あらはれ」IMG_52033

True Data In-House Event 2023。
つまり社員と応援団のイベント。

社外取締役の私も呼ばれた。IMG_59273

同じテーブルには、
上席執行役員の越尾由紀さん。
「越尾さんも天才だ」と私は言っている。IMG_59423

開会のあいさつは、
代表取締役社長の米倉裕之さん。IMG_59333
2000年に発足した通称CCL。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。

この会社の社長を引き継いで、
ビッグ・データマーケティングの会社として、
True Dataへと発展させ、
2021年12月16日に、
マザーズに株式公開を果たした。

乾杯の音頭は越尾さん。IMG_59523
2003年にCCLに入社して、
20年間、この会社の発展を推進してきた。

おめでとう。

私も2008年6月に社外取締役に就任した。
㈱商人舎をつくったばかりだった。
だから15年もかかわっている。IMG_59543
商業界社長の時代、
その商業界から一冊の本が発刊された。
『顧客識別小売業』
著者はゲーリー・ホーキンス。
511zzbcxHnL._SX354_BO1,204,203,200_
そしてこの本の翻訳者たちが、
CCLという会社を創業した。

その会社に私は社外取締役として、
呼ばれた。

私は立教大学大学院の特任教授となって、
マーケティングの講義の中で、
この本をテキストの一部に使った。

米倉さんや越尾さんにも、
私の講義でゲスト講師を務めてもらった。

発足にも縁があったし、
成長の段階もずっと見てきた。

CCLの時代に、
創業10周年記念の集まりが実施された。
取引先を集めて、
越尾さんが講演をした。
私も講演をした。

それ以来、20周年記念式典や、
上場記念のイベントもやらなかった。

すべては新型コロナウイルス感染症拡大のためだ。

しかしその間にも、
お陰様で事業は発展し、
業容は拡大して、
社員は80名を超えた。

新卒採用も定期的に実施して、
将来有望な人財がどんどん入社してきた。

True Dataの特長は、
そんな新しい若い人財にも、
どんどん仕事を提供できることだ。
新しい会社だからである。

社風がそれをさらに奨励する。

もちろんスカウトで、
優秀な人財も入社してくる。

マーケティングやITだけでなく、
マネジメントや営業のプロの集団となった。

コロナの中でも、
そういった陣容が整って、
やっと社内を挙げて、
イベントができるようになった。

ポストコロナの時代に向けて、
全員が一堂に会して、
意思を統一することができる。
それがこのIn-House Eventである。

そのTrue Dataの沿革が、
動画で流された。

ハイライトは上場のとき。IMG_59653

米倉さんが東京証券取引所の鐘を鳴らした。IMG_59663

食事は明治記念館のフルコース。
シャンパンからビール、白赤のワイン。

若手社員2グループのインタビューの企画。
True Dataの取引先や応援団のトークセッションなど、
楽しい企画が展開された。

私のところにやって来てくれたのが、
坂本光さん。
リテールDX部の営業グループと、
リテールマーケティング部のリーダー。IMG_59713
小売業との接点にいて、
True Dataの問題解決力を発揮するセクション。

よろしくお願いします。

将来を嘱望されている。

それからそれぞれに小売業の担当をもった面々。IMG_59753
よろしくお願いします。

越尾さんがカメラの画面に侵入してきた。

このメンバーとともに定期的に、
勉強会や交流会を開催したいなあ。
私は勝手にそう思った。

宴もたけなわ。

玉生弘昌さん登壇。
もちろん㈱プラネット会長で、
True Data取締役。
IMG_59783

玉生さんの決断で2008年、
プラネットがCCLの最大の株主となった。

そしてTrue Dataは躍進し始めた。

谷あり、山あり、また谷あり。
そうしながらここまで来た。

いろいろな事件が起こった。
いろいろな人間のドラマがあった。

いろいろな投資が行われ、
いろいろなイノベーションが生まれた。

玉生さんは、
米倉さんの人間性を高く評価している。

話がその段になると、
玉生さん、こみ上げるものがあって、
声が詰まった。

私もそれを見ていて、
涙が止まらなかった。

実に圧倒的なスピーチだった。

プラネットの存在価値と、
True Dataの社会的意義を、
見事に表現した。

いい話だった。

玉生さんのスピーチが、
このIn-House Eventの価値を高めた。

若い人たちも新しい人たちも、
このスピーチを覚えておいてほしい。

このイベントに名を連ねたことを、
誇りにする時代がやって来るに違いない。

最後に中締めとお礼のあいさつは、
島崎尚子さん。
取締役上席執行役員。
データマーケティングと営業の要。IMG_598423
いい会だった。

米倉さんとツーショット。IMG_59853

もちろん玉生さんとも写真。IMG_59953

みなさん、True Dataをよろしく。

1+99。

まだまだ1のTrue Dataです。
しかしこれから99をつくって100となります。
いやこれから999をつくるし、
やがて9999をつくります。

ゼブラ企業でありながらも、
成長は無限だ。
それを望むならば。

ゼブラ企業は、
トレード・オンを志向する。

そのスピードをもった人間集団です。
本当にほんとうにご期待ください。

〈結城義晴〉

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