結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年07月28日(金曜日)

82年の忠実屋赤羽店が今、イオンスタイル赤羽として蘇る

今週日曜日は土用の丑。
日本中、どこの店に行っても、
鰻、ウナギ。

土用は「雑節」のひとつ。

半夏生、二百十日、彼岸、
そして土用。

土用は、
二十四節気の立春・立夏・立秋・立冬の前の、
それぞれ約18日間の期間のこと。

1年にほぼ72日。

この土用は、
陰陽五行説から考え出された。

一方、丑の日は、十二支の日。
子・丑・寅・兎・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥と、
つながっている、その二番目。

この土用と丑が重なるのが、
土用の丑。

江戸時代の平賀源内のアイデア。
土用の丑の日に鰻を食べるのが体によいと、
プロモーションを展開した。

そのときの看板が、
「本日土用丑の日」
それが大ヒット。

いまも続く。

平賀源内に感謝しつつ、
大展開したい。

さて今日は朝早くから、
商人舎編集部が東京・赤羽へ。

「イオンスタイル赤羽」
グランドオープン。IMG_6419

この店は1982年に、
忠実屋赤羽店としてオープンした。
3層の中型総合スーパーだった。

1994年に忠実屋がダイエーに吸収され、
さらにダイエーが2015年にイオンの子会社になると、
この店は2016年、
イオン赤羽北本通り店と改称され、
2020年まで営業した。

38年が経って老朽化が進み、
今回、スクラップ&ビルドされた。

「イオンスタイル赤羽」は、
都市型ワンストップショッピングストアである。

2層の「コンビネーションスト」として蘇った。

1階は旧店比1.6倍に拡張された食品フロア、
2階がドラッグストアと日用品の売場、
ヤマダ電機とキャンドゥが入居した。

1階には外食の有力店が入った。
丸亀製麺とスターバックスコーヒー。
さらにドムドムバーガー。
ドムドムは旧店時代から人気だった。

8時45分からオープンセレモニー。
地元小学生によるダンスパフォーマンス。
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この時点で気温は32度。

しかし子どもたちは元気いっぱい。IMG_6426

それを道路にまで並んだお客たちが、
一斉にスマホで撮影。
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そしてテープカット。
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井出武美イオンリテール㈱社長があいさつ。
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報道記者たちも撮影。
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9時の開店までには、
1000人ほどが並んだ。

入店制限をしつつ、いよいよ開店。
青果売場に押し寄せるお客たち。
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地元住民は、3年間、
再開店するのを待っていた。
だからとても嬉しそうだ。
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鮮魚売場もご覧の盛況。
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奥主通路の精肉売場も混雑している。
オープン日は生鮮がよく売れる。
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デリカテッセンのゾーン。
売場は旧店の1.8倍に拡げた。
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イオンの店舗は主通路が広い。
カートショッピングの高齢者にとっても、
車椅子で来店するお客にとっても、
便利な店だ。
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リカー売場も1.8倍に拡張。
男性客も多い。
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2階の日用品とドラッグの売場。
イオン薬局もある。IMG_6600

疲れて休憩するお客たち。
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ヤマダデンキテックランド。
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イオングループ入りしたキャンドゥ。
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日常使いの店揃えだ。
オープン日だから当然だが、
どの店にも満遍なくお客が入っていた。
顧客の期待の大きさが、よくわかる。

一方、報道陣は、
北区立元気プラザに移動して、
2階の会議室で記者会見。
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南関東カンパニーの大友大介さん。
東東京事業部長。
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店長の増原雄司さん。
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「お客さまからの要望に、
できるだけ応えた売場となった」

増原さんは2019年7月、
イオンリテールの米国研修会に参加した。
コーディネーターは結城義晴。
テキサスとニューヨークを回った。
「帰国してからみんなで、
アメリカで見たあんな店をつくろうと
話しあいました」
と、言ってくれた。
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私は今日、
その晴れ姿を見ることはできなかった。
けれど必ず見に行きます。

増原店長、頑張れ!!

編集部は生鮮市場スーパーバリューを訪問。
イオンスタイルから300m離れたところにある。
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ロピアの傘下に入って、
こちらも生鮮売場がガラリと変わった。
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さらに、赤羽駅前のダイエー赤羽店。
この店がみんながよく知っている、
あの赤羽戦争のダイエー。
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建て替えのため9月10日に営業を終了する。

9月20日から別館に移設して、
リニューアルオープンの予定。
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イオンスタイル赤羽は、
月刊商人舎8月号でスタディする。

都市部の総合スーパーは、
かつてはドル箱店ばかりだった。
しかし競争環境が変わり、
老朽化も進んでスクラップ&ビルドが進む。

再生された店はどのように変わるのか。

それにしても「店」とは凄いものだ。
41年も前にこの地に生まれた店。

経営する会社は、
忠実屋からダイエー、
そしてイオンへと変わった。

それでも店は生き続ける。

結構、たいしたもんだ。

それを生き返らせるのが知識商人だ。

増原雄司、頑張れ。

〈結城義晴〉

2023年07月27日(木曜日)

気温36.3℃/オークワでの特別講演と和歌山の店舗巡り

和歌山市のホテルで目覚めた。

20階の部屋から見下ろす和歌山城。
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徳川御三家の一つ、
紀州徳川家の居城。

紀州徳川家は、
家康の十男・頼宣を祖とし、
第8代将軍・吉宗、
第14代将軍・家茂を出した。

緑濃い場内を、
早朝に散歩する人たちがいる。
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天守閣は「おてんす」というらしい。
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和歌山空襲で焼けたが、
再現されたおてんすも見事だ。IMG_56323

今回は登ることができなかったが、
次回は必ず、と誓った。IMG_6370

朝食を済ませると、
タクシーを飛ばして、
店舗を見る。

スーパーセンターオークワセントラルシティ和歌山店。
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2014年9月にオープン。

平屋建て、屋上駐車場の2380坪。
衣食住を揃えたスーパーセンター。

オークワは2005年から、
この業態に挑戦して、
現在35店を展開している。

こちらはファッション&ドラッグ売場への入口。IMG_6392

コロナ下の2021年9月10日に改装。

食品売場は、
オークワこだわりの商品を拡充させた。IMG_6376

鮮度抜群、本日の一押し刺身。

朝からよく売れている。IMG_6384

「ネタ自慢!鮮度自慢」
本日一押しお寿司。IMG_6383
本社研修センターでいただいたランチは、
このお寿司だった。

スーパーセンターは、
米国のウォルマートをモデルにしている。

しかしこのモデルにも、
企業ごとのフォーマットが生まれている。

オークワらしいスーパーセンターだ。

再びタクシーを飛ばして、
オークワ本社へ。

その本社中島店を見る。
こちらは2017年6月21日に改装オープン。

オーソドックスなスーパーマーケットだ。

それから本社の横にある教育研修センターへ。

今日はオークワの販売会議で特別講演。

4階の大ホールには、
朝から幹部と営業部隊が参集して会議。IMG_6394

大桑弘嗣社長をはじめ
幹部が両サイドに陣取り、
真ん中に店長、営業系のスタッフたちが、
130名ほど集合。

今日は特別講演ということで、
ZOOM配信も同時に行われた。
オンラインで250名ほどが聴講している。IMG_6395

講演テーマは最近の私の主張。
「両利きトレード・オン」
13時から90分。IMG_6399

それでもオークワでの講演は初めてなので、
「結城理論」の基礎的なところから、
業態とフォーマット論まで、
同社向けにアレンジして講義した。IMG_6396

どんどん乗ってきて、
最後はトレード・オフとトレード・オン。
どちらも必要だが、
トレード・オンに挑戦しなければ、
ポストコロナ時代を生き抜くことはできない。IMG_6397

どこまで理解してくれただろうか。

次は12月のはじめに再び講義をするが、
その際にはより具体的な内容となる。

マネジメントの話もする。

講演を終えてから再びタクシーで、
和歌山のスーパーマーケットを回る。

スーパーエバグリーン宮前店。
㈱廣岡、エバグリーン廣甚㈱が運営する。
2023年2月期の売上高は880億円。IMG_56503

廣岡はトップをはじめ、
幹部や店長が商人舎の研修会に参加して、
一応のところは学んだ。

最近は出店意欲が旺盛である。
生鮮はちょっとロピアに似た店だが、
次々に出店している。
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主力はエバーグリーンのドラッグストアである。

マツゲン小雑賀店。
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シジシージャパングループの㈱松源の店。
2023年2月期売上高は670億円。IMG_6412
松源の店はずいぶん前に見たきりで、
楽しみにしていた。

実にすっきりとした店で、
ローコストに徹している。

セリアが隣接して入店しているので、
日用雑貨は思い切り絞り込んで、
食品に徹する。

改革が進んだ印象だ。

無事、講義を終え、
さらに和歌山の競争実態を見て、
大満足。

和歌山でももちろん、
ベースに節約志向と低価格競争はある。
しかしそれでもポジショニング競争が進んでいる。
つまり同質競争から脱する方向性が出てきている。

帰りの新幹線からは、
伊吹山も見えた。
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大阪の枚方では39.8℃に気温が上がった。
和歌山県内ではかつらぎ町で38.2℃、
和歌山市も36.3℃。

暑かった。

新幹線に乗り込むと、
講演で枯れたのどをビールで潤した。IMG_6413

ご清聴を感謝したい。

1.2倍のスピードアップをしよう。
全員でそれをやり遂げれば、
必ず成果は出てくる。

期待したい。

〈結城義晴〉

2023年07月26日(水曜日)

猛暑最高記録日の「Beisia Foods Park」と「ベルクのクルベ」

日本列島は猛暑に襲われた。

夏の太平洋高気圧が勢力を強めたためだ。
全国224の地点で、
35℃以上の猛暑日となった。
30℃以上の真夏日は806地点。

いずれも今年最多。

関東・東海は39℃を超える都市が続出。

全国で一番暑かったのが、
埼玉県鳩山町、39.7℃。

今年の全国最高気温タイ。

次が群馬県伊勢崎市の39.4℃。
三番目が愛知県豊田市の39.2℃。

体温をはるかに超えて、
危険な状態だ。

最高気温は名古屋市は38.2℃、
東京都心も37.7℃。

その暑さの中、
商人舎は二手に分かれて動いた。

私は新幹線で西へ。
山本恭広編集長は、
わざわざ一番暑い北関東へ。

東海道新幹線からは、
丹沢山系がくっきりと見えた。
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富士山も今日は頂まで顔を出した。IMG_55933
今、富士登山の最盛期。
八合目以上からは、
雲海が美しく見えているに違いない。

平富郎さんと登ったのは、
2009年だった。

平富郎&結城義晴・富士登山記。
3日間の連載ブログとなった。

あの時、平さんは70歳。
いまの私と同じ年だ。
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あれから14年。
私は今、登れるだろうか。
そんなことを考えて、
富士を見ていた。

東海地方の積乱雲。
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すぐに新大阪について、

特急「くろしお」に乗り込む。
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JR西日本が京都駅から新宮駅までを結ぶ。
新大阪駅・大阪駅から和歌山駅・白浜駅などを経由する。IMG_56213
1時間で和歌山に到着。

大阪よりも少し湿気が強いか。

ホテルに入ると、
眼下に和歌山城。IMG_56263

徳川御三家の一つ紀州徳川家の居城。
標高48.9mの虎伏山(とらふすやま)に築造され、
北部を紀の川が流れる。
これが天然の堀となっている。

本丸の北側に二の丸、
その外に大きく三の丸が配される。
「梯郭(ていかく)式平山城」と呼ばれる。
本丸が梯子の頂上のように、
一番奥にある形の城だ。IMG_56243

暑かったけれど、
ずっと車中で快適な旅だった。

一方、山本編集長は高崎に。
ベイシア榛名店が7月7日に改装オープン。
1995年に開業したスーパーマーケット。

それが「Beisia Foods Park」となった。beisia_facado_1564
Foods Parkはベイシアの新フォーマットだ。
昨年11月に1号店が出店した。

栃木県の大田原店。

これはスクラップ&ビルド。

榛名店はその最新モデルである。

改装のポイントは3つある。

第1は売場面積の適正化。
ベイシアは現在、4つのタイプの店を展開する。
第1が衣食住フルライン型のスーパーセンター。
5000㎡から1万㎡。

第2が大型の食品売場を持つフードセンター。
売場面積は4000㎡から5000㎡。
食品売場はスーパーセンターとほぼ同規模で、
どちらも食品だけで3000㎡を超える。

第3がスーパーマーケットで、
売場面積2000㎡から3000㎡。
古い店が多い。

そして第4が小型店のベイシアマート。
500㎡から800㎡。

Foods Parkは、
第3のスーパーマーケットの、
新タイプである。

ショートタイムショッピングを実現させつつ、
作業動線を短縮させる。beisia_1st_1453

Foods Parkの第2のポイントは、
若い客層の取り込みを狙った点だ。

周辺は顧客の高齢化が進む。
高齢化に対応しつつ、
若い客層のニーズに対応した売場をつくる。
beisia_end
トレードオフを進めてきたベイシアが、
トレードオンにスイッチする。

3点目が外部とのコラボレーションだ。
これは月刊商人舎8月号で解説する。

取材後、高崎周辺を回る。

高崎駅から約3km。
幹線道路を車で走ると、
グランドオープンのお知らせ。

店名は「CLBE(クルベ)」belc_IMG_1572

7月29日、ベルク江木店が改装して、
新登場する。
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「ベルク」の「クルベ」。
逆さ読みの「人を喰ったネーミング」
赤のベルク、青のクルベ。
CIも対極を表現する。

しかしこれぞ、
同じ業態の異なるフォーマット。
バナーがそれを意味している。
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さらに同じ幹線道路の200m先には、
ヤオコー高崎高関店。yaoko_IMG_1574

こちらはネイバーフッドショッピングセンター。
平面駐車場を囲むように、
ドラッグストアや100円ショップが出店。

現時点の店揃えと使い勝手は、
ヤオコーに分がある。

それに対抗すべく、
ベルクはクルベにフォーマット転換。

営業時間は旧店の9:00~0:00を、
10:00~20:00に短縮する。

明らかにローコストオペレーションを志向する。
これはトレード・オフである。

しかし「究極売価満載」。
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売場ではトレード・オンが展開される。

ヤオコーのフーコットとは、
また違ったポジショニングを狙う。

面白い。

月刊商人舎9月号で、
スタディしよう。

それにしても、
ベルクのクルベ。

行くべ!
来るべ!!

群馬弁か埼玉弁か。

誰が思いついたんだろう。
社長の原島一誠さんだろうか。

このネーミングの意味は、
Challenging the Limits of Belc。
その頭文字をとってCLBE。

故原島功さんは、
喜んでいると思う。

暑さを吹き飛ばすネーミングだ。

〈結城義晴〉

2023年07月25日(火曜日)

フォースターの「英知は人間関係から生まれる」

今日も一日、原稿執筆。

午前中は自宅で、
セルコレポートの連載を書いた。
結構いいものになった。

会社に出てからは、
月刊商人舎8月号の長編を入稿した。
常盤勝美さんに執筆してもらった記事だ。

これも力作のいい原稿です。

そのあとは、
単行本の原稿執筆。

当初、思い描いていた内容が、
どんどん深まっていく。
それは厚い本になっていくことを意味する。

私自身、不気味な感じもあるが、
それも仕方がない。

何とかしましょう。

予定通りの内容になっても、
まったく面白くはない。

セレンディピティこそ、
創作の醍醐味だ。

朝日新聞「折々のことば」
第2801回。

鷲田清一さんの編著。
今日もE・M・フォースターの言葉。

イギリスの批評家・小説家。
1879年1月1日生まれ、1970年6月7日没。
イギリスを代表するヒューマニスト。

英知は、
長いあいだ正しく維持された
人間関係から生まれるのだ。

まさにその通りだと思う。

「老年については、
やれ不機嫌だ、哀れだ、
高慢だなどといわれるが、
老年は老いぼれるのとは別に、
英知とも深く結びつく」

「それは個人が長い時間をかけて
人びとの間で培った”業績”であり、
ガイドとして役立たずとも
“見本”としては貴重だ」
(フォースターの随想「老年について」から)

とくに年季の入った商人は、
人びととの間に、
業績として人間関係を培っている。

岡田卓也さんが今、
その最高峰ということになる。

伊藤雅俊さんも、
清水信次さんも、
業績としての人間関係において、
独自の、多大な「業績」をもっていた。

まさに英知の人たちだった。

だから私など70歳となっても、
足元にも及ばない。

彼らのことを思うと、
いつも恐縮せざるを得ない。

そして石原靖曠、島田陽介、
両先生も英知の塊のような人たちだ。

石原先生が87歳、
島田先生が86歳。

現役コンサルタントだ。

どれだけの人間関係か、
どれだけの英知か。

それに鈴木哲男先生。
74歳。

9・12(火)
商人舎15周年記念セミナー
20230912_Shoninsha_Seminar1-448x635
もう、これ以上のプログラムはない。

商人舎発足の会の発起人の皆さんも、
ご参加くださる。

ヤオコーの川野幸夫さん、
エコスの平富郎さん。
イシダの石田健二さん、
ライフコーポレーションの岩崎高治さんも。

玉生弘昌さんも、
松井秀夫さんも、
村上徳三郎さんも、
そして宮本洋一さんも。

フォースター。
「知恵は増えて精力は衰える」

精力も衰えない人たちばかり。

楽しみだ。

そのときに合わせて、
原稿執筆も最後の追い込み。

頑張ります。

佐藤一斉の「言志四録」
(わ)かくして学べば、
すなわち
壮にして為すこと有り、

壮にして学べば、
すなわち
老いて衰えず、

老いて学べば、
すなわち
死して朽ちず。

やはりこれです。

学び続けます。

〈結城義晴〉

2023年07月24日(月曜日)

夏目漱石の「白きもの着る涼みかな」と「暴力の休止期間」

Everybody! Good Monday!
[2023vol㉚]

2023年第30週。

1月から数えて30週。
7月最終週。

大暑の暑さ。
お見舞い申し上げる。

お店で働いている限り、
オフィスにいる限りは、
それほど暑さが堪えることもないだろう。

しかし屋外の仕事はきつい。
冷房が利かない職場での勤務も大変だ。

私は午前中、自宅で原稿執筆。
午後はオフィスに出てまた執筆。

夏目漱石が芥川龍之介にあてた手紙。
「自分はこの夏は、午前中創作を書き、
午後は籘椅子を持ち出して
庭の緑蔭を楽しむのであるが、
午前中の創作活動が、
午後の休息の肉体に
愉悦を与えるのを例としている。
自分は文学は
ここまで来なければうそだと思う」

漱石の午前中の創作は、
午後の休息の肉体に愉悦を与える。

凄い集中力だ。

1916年12月9日、49歳で没した。
遺作の『明暗』は書きかけだった。

その漱石の夏の二句。
(われ)も人も白きもの着る涼みかな

暑い時には白い衣服を着る。

能もなき教師とならんあら涼し
自虐ネタの句だ。「坊ちゃん」に通ずる。

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漱石に関しては、
ひとつだけ、みなさんにお勧め。
この夏目漱石全集。
kindle版を買っておいた方がいい。
122作品が、200円です。

もちろんときどき読む。
これがいい。

さて、
商人舎15周年記念セミナー。
9・12(火)
20230912_Shoninsha_Seminar1-448x635
このレジェンドの先生方が揃うのは、
おそらく最後だと思う。

是非、講演を聞いておいてください。

それから商人舎発足の会の発起人の皆さんも、
数多くご参加くださいます。

一緒に学ぶチャンスです。

まだまだ申し込みを受け付けております

発起人93人の皆様のなかで、
お亡くなりになった方々。

渥美俊一さま
伊藤雅俊さま
井上 保さま
遠藤須美夫さま
緒方知行さま
加藤榮一さま
北野祐次さま
倉本初夫さま
齋藤充弘さま
捧 賢一さま
清水信次さま
杉山昭次郎さま
壽崎 肇さま
寿里 茂さま
田村弘一さま
夏原平和さま
西端春枝さま
原 信一さま
宗像 守さま

ありがとうございました。
15年が過ぎました。
ご期待にお応えすべく、
これからも日々、精進いたします。

ご霊前にご報告させていただきます。

それから秋の海外セミナー。
ダラス&ニューヨーク。
10月10日(火)~16日(月)

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コロナ明けのダラスとニューヨーク。
これは私も体験しておかねばと思っています。

アメリカ小売業の節目です。

幹部・トップの皆さん、
是非、ご参加ください。

さて朝日新聞「折々のことば」
第2800回。

偉大な創造的行為や
まっとうな人間関係はすべて、
力が正面に出てこられない
休止期間中に生まれるのである。
(E・M・フォースター)

「社会の基盤はたしかに
力によって支配されるものだが、
大事なのは”それが箱から
出てこないようにする”ことだ」

「”文明”とは、ほかでもないこうした
暴力の”休止期間”を意味する」

「暴力が眠っていない間は、寛容や善意も
“軍靴に踏みにじられる一本の花”にひとしい」

評論「私の信条」(小野寺健訳)から。
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フォースターは「インドへの道」が有名だ。
映画にもなった。

今、ウクライナは、
“軍靴に踏みにじられる一本の花”である。

ウクライナにかぎらない。
アフガニスタンもミャンマーも。
シリアも、クルド対トルコも、
リビアもイエメンも。

そしてロシアも中国も北朝鮮も、
決して「暴力の休止期間」ではない。

 

少なくとも私たちは、
創造的行為やまっとうな人間関係を、
自分の生活でも社会的な仕事においても、
実現させていきたいものだ。

では、みなさん、今週も、
商売は文明だ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年07月23日(日曜日)

日曜出勤の「原稿執筆」とひまわり回廊の「菜の花の子」

今日は二十四節気の「大暑」

暦の上では、
1年でもっとも暑い時期。
酷暑の時期。

今日からその15日間。

次は立秋。
8月8日。

私は昨日も今日も、
横浜商人舎オフィス。

外は暑いが、
室内は快適。

私のデスクの大型モニターに向かって、
キーボードを叩く。

原稿執筆。

調べては書く。
書いては調べる。

古い本も読む。
貴重な本ばかり。
いずれも絶版の書物だ。
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しかしこの至福のときは、
あっという間に日が暮れる。

この大暑にふさわしい花。
それがひまわり。

千葉県習志野市。
鷺沼ひまわり回廊。IMG_5550

織戸菜園が、
7月15日から一般開放を始めた。

今年で3年目の開催。
しかし今年が見納め。
しかも7月いっぱいで閉園。

新しいまちづくりのために、
「鷺沼特定土地区画整理事業」が始まるからだ。

広さは約1ヘクタール。
回廊エリアと迷路エリアがある。

回廊エリアには、
ジュニアスマイルとサンマリノの品種。
170センチ前後。

迷路エリアはNSクルナという品種。
背が高くて2mくらいになっている。

2万5000株のひまわり。IMG_5556

ひまわりは緑肥(りょくひ)となる。
植物そのものが肥料の一種として利用される。

織戸菜園も昨年までは、
秋冬野菜のための緑肥として、
ひまわりを栽培していた。

看板の下に植物用はさみが置いてある。
100円を払えば5本まで持ち帰ることができる。

「たかい、たかーい!」
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青い空と白い雲。
黄の花と緑の葉。

大暑の日のひまわり回廊に、
菜の花の子が映える。

ありがとう。

執筆は進んだ。

〈結城義晴〉

2023年07月22日(土曜日)

日経新聞流通記事に「三言」、指摘と感謝を。

今日は日経新聞に三言。
指摘と感謝と。

第一に土曜日の「社説」
「流通業が好業績を続けるには」

小売業や流通業への社説でのメッセージ。
感謝したい。

しかし全体に文章がヘタクソ。
社説なのに、なっていない。

ああいったかと思えば、
今度はこういう。

「イオンやローソンなど大手小売業の、
2023年3~5月期の連結決算で
好業績が相次いでいる」

いきなり、
「イオンやローソンなど」と書くけれど、
これは意味がない。

この社説の事例はイオン、セブン&アイ、
セブン-イレブン、ローソン、
ライフコーポレーション、
そしてファーストリテイリング。

「大手小売業の2023年3~5月期の連結決算は、
好業績が相次いでいる」
これでいい。

「物価高に対して所得の伸びは鈍い」

そのあとすぐに、
「消費者の外出が増え、
スーパーと映画館など
娯楽サービス事業がけん引した」

「最大手のセブン—イレブン・ジャパンを傘下に置く
セブン&アイ・ホールディングスは
海外コンビニの苦戦で
全体の営業利益は20%減となったが、
国内は好調だった」

酷い文章だ。

「好業績の理由を見ると物価高の中、
価格戦略が顧客から一定の支持を得ている」
と言ったかと思うと、
「もっとも3~5月期は反動増の側面も強い」

結論は、
「物価高は続く見通しで、
所得改善には時間がかかる。
好業績を続けるには
消費者離れを招かない企業努力が必要だ」

なんだ、結論は。
当たり前のこと。

消費者離れを招かない企業努力。
誰でもそれをやっている。

正確に言えば、
「顧客が離れない企業努力」である。

消費者は不特定多数。
顧客は特定多数。

最後に、
「機動的な顧客対応力が
好業績を続ける条件になる」

「消費者離れ」と言ったり、
「顧客対応力」と言ったり。

うちの山本恭広編集長が、
万一こんな文章を書いたら、
初めからやり直してもらう。

第二は[Deep Insight]
「”イオン型再編”阻む消費の波」

こちらは編集委員の中村直文さん。

「イオンが4月にいなげやの子会社化を発表し、
再びスーパー再編の機運は
高まったかにみえる」

「事はそう単純ではない」

原和彦アクシアルリテイリング社長。
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2021年秋、新潟県南魚沼市内に新店オープン。
「原信 川窪店」
商圏人口は2km圏で7000人。

商人舎流通スーパーニュース。
原信news|
「365×朝昼晩」テーマの「原信 川窪店」(580坪)10/16開設

開業当時の年商目標は16億円だったが、
23年2月期には18億円にまで達した。

「今や田舎でも大都市でも
情報量は変わらない。
減塩などの健康対応や環境配慮など
価格以外の訴求力も必要だ」

素晴らしい。

ヤオコーの小澤三夫取締役。
メーカー並みの製造力を追求する。
「メーカーのタレでは
我々の目指す品質と価格の商品が
実現できなかった」

これは惣菜部門の最重要命題だ。
さすが小澤さん。
〈古い写真で恐縮。でもいい写真だ〉
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ベイシア。
「物価高で、
メーカーのNB商品の依存度が高いと
個性を出せないと判断。
3月から”ベイシアプレミアム”を打ち出した」

「安いだけでは売れない。
素材などを厳選し、NBと同等品なら
割安感もはっきり出るレベルにする」
「例えばNBで800円なら、
PBは500円台で開発するという具合だ」

エコノミーブランドと、
クォリティブランドが、
混同された表現だ。
わかっていない。

「とりわけイオンは
PB供給とM&Aをセットで
業界再編をもくろんできた」

イオンを悪者に仕立てる。
こんな言説は他社からは受ける。

PB供給とM&Aはセットにはならない。
イオンの持分法適用会社のベルクは、
イオンのPBはほとんど扱わない。

「ヤオコーやベイシア、
ライフコーポレーションのような
有力チェーンは
製造・物流コストの効率化を実現しつつ、
NBではつかみきれない
細かいニーズに入り込んでいる」

それはイオンも同じこと。

そしてここで取り上げた企業群は、
すべてリージョナルチェーンだ。

それはイオンのリージョナルシフトと、
実は同期する戦略である。

ナショナルチェーンは、
いいリージョナルチェーンが集まったもの、
そしてリージョナルチェーンは、
強いローカルチェーンの集積である。

「スーパーのような日常に根ざす業態は、
イオン一色に染まらない」

当たり前だ。
アメリカですら、
ウォルマート一色ではない。

セイコーマートの丸谷智保会長。
「地域密着の対応をしてきたつもりだが、
顧客ニーズはまだまだあった
コロナ下で気づかされた」

「マーケットは2次元ではなく、3次元。
顧客のニーズに潜むミクロやナノの世界は無限だ」

実にいい観察だし、鋭い指摘だ。

大阪屋ショップの尾﨑弘明社長。
変わらぬ地域性、複雑化する消費の波を前に
局地戦に強い会社が勝ち残りの条件」
尾﨑さんも正しい。

書き手の総括は、
「今後もスーパー業界で
全国標準的な”イオン化”と
ミクロ・ナノ化のせめぎ合いは
続くだろう」

しかしこういった二極化視点は、
もう古すぎる。

結論は、
「ただ、細かな対応を重ねる小売りモデルは
収益面で見劣りしやすい。
顧客に豊富な選択肢を示しつつ、
収益力も兼ね備えた”二刀流”経営が
これからの消費を制する」

私の「両利きトレード・オン」と、
最後は同じ指摘だ。

第三に金曜日の夕刊[追想録]
「伊藤雅俊さん 夫婦で歩んだ商いの道」
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編集委員の田中陽さんが書いてくれた。

伊藤さんとの自身の交流も盛り込まれていて、
とても読みやすい。
上から目線のような言い方で恐縮だが、
いい文章だ。

日経本誌を読んでもらいたい。

最後の一文。
「昨年1月に先立った伸子さんと、
再び一緒になった」

ありがとう。

みんな年下の後輩だから、
偉そうに書いてしまった。

許してください。
お互いに文章修行、
続けましょう。

〈結城義晴〉

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