結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年04月07日(金曜日)

林廣美の「惣菜の集大成」と「惣菜・素材のトレードオン」

林廣美先生、来社。IMG_3219 (002)3
惣菜の圧倒的な第一人者。
レジェンドコンサルタント。

85歳にして、
今も現役。

ジャストミートで商人舎に電話が入って、
林先生への講演の依頼。

日程もすぐに決まった。

今日は三つのご提案。
実に面白い。

そのなかで、
林廣美の「惣菜MD集大成」の本は、
秋までに発刊することになった。

途中、野田岩でランチ。
鰻重もペロリ。

12時半から3時半まで、
語り通し。

凄いことだ。

話のなかに、
「トレードオン」という言葉が出てきて、
「あれは結城先生の言葉」と言ってくださった。

トレードオフに対して、
トレードオン。

2021年4月発刊の拙著、
『コロナは時間を早める』の中で、
この言葉を初めて使った。

COVID-19パンデミックの最中、
日々、世界中が二つの命題の両立を考え抜いた。
感染拡大の防止と経済や消費の活性化。

感染拡大防止だけではいけない。
経済活性化も必須だ。

かつてはどちらかを切り捨ててもよかった。
むしろそれを奨励した。

中国は現在でもその考え方を優先させる。
ゼロコロナ政策がその典型である。
これは「トレードオフ」の発想である。

しかし21世紀は相反することを、
両立させねばならない。
これが「トレードオン」である。

月刊商人舎2022年1月号で、
あらためて問題提起し、
2023年1月号で、
さらに特集にした。
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林廣美先生も島田陽介先生、
そして鈴木哲男先生も、
最近は「トレードオン」の概念を使って、
それぞれご自分の論を展開する。

その共通の基礎概念のようなものとなった。
うれしい限りだ。

林先生は、
これからのスーパーマーケットに関して、
「惣菜の店となる」と主張する。

「フードコート」も欠かせない機能となる。

この主張は「惣菜の教科書」発刊のころから、
まったく変わらない。
1994年5月。

『サミットスタディ』は、
その前年の1993年4月発刊。
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「サミットスタディ」のなかで、
当時のトップ荒井伸也さんは、
「素材の時代から惣菜の時代へ」と、
スーパーマーケットは変わっていくと予言した。

その通りになった。

ヤオコートナリエ宇都宮店は、
まさに惣菜中心の店になった。 02-1IMG_1210

惣菜が第一主役で、生鮮は第二主役。
主演女優と主演男優のようなものだ。
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そしてグロサリーや日配が、
助演男優と助演女優。
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サミットが今、挑戦しているのが、
部門横断型「大総菜プロジェクト」である。
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スーパーマーケットは、
惣菜屋に変わる。

林先生や荒井さんと議論していたことが、
今、やっと実現しそうになってきた。

だからといって、
生鮮食品も重要であることは論を待たない。

考えてみると惣菜と素材は、
トレードオンの間柄である。

関西スーパーの故北野祐次さんの時代は、
生鮮食品のシステム開発に邁進した。

それは時代が要請したことだった。

北野さんは晩年、
「惣菜は自分でやってはいけません」と、
言い続けていた。

「街の惣菜屋さんをテナントに入れればいい」

当時はそれで間違いではなかった。

しかし今、トレードオンの時代。
惣菜は生鮮とともに必須となった。

そして次は店で食べてもらう時代。

米国のウェグマンズや、
イタリアのイータリーがそれを見せつける。

そしてこれは「惣菜」の延長ではない。

プロの技術が求められる。
林先生は「魚菜」の編集長をやっていた。

だから料理人の世界にも精通している。

スーパーマーケット惣菜時代が見えてくると、
フードサービスはさらに、
修行と訓練を積んだプロの時代となる。

林先生と4時間も話していて、
未来が見えてきた。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2023年04月06日(木曜日)

将棋名人戦の藤井聡太勝利とセブン&アイ11兆円の決算報告

商人舎の体育の日。

桜も終わりの季節。
芽生える新緑と散り際の桜。

そして遅咲きの桜。
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日本の桜はソメイヨシノが基準だ。
だからそれより早いのが「早咲き桜」
遅いのが「遅咲き桜」。IMG_21663

昨日から、
第81期将棋名人戦。
七番勝負の第一局。
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渡辺明名人の初手。
「2六歩」IMG_21763

挑戦者の藤井聡太竜王の第一手は、
いつものように「お茶」。
つまりまずお茶を一口飲む。

それから本当の初手は、
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持ち時間はそれぞれに9時間。
2日にわたって指される。

将棋界で一番古い歴史を持つタイトル。
江戸時代初期の1612年から、
家元制として名人位が受け継がれている。

実力名人制は1937年に始まって、
今、81期。
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2日目も午後になって、
わずかに差がついてきた。

「藤井曲線」と言われるが、
ちょっとだけ生まれた差が、
どんどん開いて大勢が決まる。

戻ることはほとんどない。
つまり逆転の可能性が少ない。

虚空を見つめる渡辺名人。IMG_21723

そして投了。
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史上最年少の20歳の名人に向けて、
藤井聡太が先勝。

七戦のうち4勝すれば、
将棋タイトルの七冠を獲得することになる。IMG_217533
38歳の渡辺名人の奮起が望まれる。
それを期待する。

そのほうが面白いから。

さて私は夕方から、
決算説明会。
㈱セブン&アイ・ホールディングス。

いつものように電話会議。
冒頭に井阪隆一社長が、
顔を出して一言挨拶。

それからはずっとパソコンに、
パワーポイントの画像が映された。
音声は電話を繋いで、
手元のスマホから聞こえてくる。

商人舎流通SuperNews。
セブン&アイnews|
2023年2月期営収11兆円超/米国コンビニ効果で最高益

2023年2月期決算。
営業収益11兆8113億円。
日本の小売業史上初めて、
売上高が10兆円を超えた。

対前年比35.0%増。

営業利益5065億円。
30.7%増。
経常利益4759億円、
32.7%増。
当期純利益2810億円、
33.3%増。

すべて過去最高を更新。

井阪さんも幹部の人たちも、
もっともっと胸を張っていい。

セグメント別実績にそれが顕著に出ている。

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増収増益の推進役は、
米国コンビニエンスストア事業である。
2021年に約2兆円を投じて、
Speedway(スピードウェイ)を買収した。

もちろん7-Eleven, Inc.は、
全米トップのコンビニチェーンである。

海外コンビニエンスストアの営業収益は、
8兆8461億円。
前年比70.3%増。

これだけでイオン㈱を凌ぐ。

もちろんここには、
1ドル131円換算のレートが影響した。
ガソリン売上げ増も大きく貢献した。

それでも11.8兆円のうち、
8.8兆円が海外コンビニだ。

胸を張るのは恥ずかしいか?

同社の分類の「スーパーストア事業」は、
イトーヨーカ堂と、
ヨークベニマル、ヨーク。

総合スーパー業態とスーパーマーケット業態。

その営業収益は1兆4492億円、
前年比20.0%減。

営業利益は1億2107万円で、
マイナス35.4%。

イトーヨーカ堂はすでに、
首都圏にネットワークを集中し、
直営アパレルから撤退する意志を表明している。

社内は混乱し、もめている。

ヨークベニマルは、
既存店売上げは前年を下回ったが、
営業利益は180億円で22.5%の増益。
子会社のライフフーズと、
昨2022年3月1日付で合併した。
それによって商品粗利益率も改善した。

百貨店・専門店事業は、
営業収益4637億円、34.9%減。

売却先も見つかって、
最終段階の詰めをしている。

一応の決算説明が終わってから、
質疑応答の時間が設けられた。

その質疑の間、パソコンには、
この画像が出ていた。
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井阪さんの顔が見たかったが、
声が聞こえてくるだけだった。

残念だ。

米国の物言う株主バリューアクトからは、
定時株主総会に諮る書面が届いている。
「取締役の選任に関する株主提案」

このバリューアクトの選任案の名簿には、
井阪社長と後藤克弘副社長、
社外取締役の伊藤邦雄氏と米村敏朗氏が、
含まれていなかった。

この件に関しては、
NHKなどから、
質問が出たが、
答えはなかった。

歴史に残る決算説明会のはずが、
「言い訳」に終始した観がある。

もっと胸を張っていい。

そのためにも、
顔を出して自信をもって発言すべきだ。

「男の顔は履歴書である」
故大宅壮一氏の名言。

11兆円の顔なのに。
その顔を晒さないのはもったいない。
ああ、もったいない。

〈結城義晴〉

2023年04月05日(水曜日)

サンエー・しまむらの本決算と渡辺明名人の「責任」

日本の誇り、奈良の吉野桜。IMG_2148

松本隆文さんから、
またまたお送りいただいた。
㈱マツモト会長。

ほんとうに、ありがとうございます。

桜の花もよく開いた。
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名勝、一目千本。
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山又山山桜又山桜
〈阿波野青畝(あわのせいほ)〉

「やままたやま
やまざくらまたやまざくら」

さて商人舎流通SuperNews。
次々に決算が発表されている。

そのなかで、
サンエーnews|
営業収益2135億円4.5%増・経常利益115億円13.8%増

㈱サンエーが新城健太郎新社長のもと、
2023年2月期決算を発表。
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営業収益が2135億円で、
前年同期比4.5%増。

営業利益は112億円で、
この営業による儲けが34.4%増。
立派なものだ。

経常利益は116億円(13.8%増)、
純利益は75億6900万円(13.6%増)。

増収増益。

今期のサンエーは外出機会の増加で、
衣料品の販売が増加した。

イトーヨーカ堂が、
総合スーパーを止めることを発表しているが、
それとは反対の結果を生み出している。

入域観光客数も前年を上回った。

昨日、田崎正仁専務と、
電話で話した。

田崎さんも代表権をもって、
新城社長を支える。

トップマネジメントは、
テニスのダブルス型でなければいけない。
ピーター・ドラッカー先生が言っている。

新城さんと田崎さんは、
まさにそれだ。

それぞれに「責任」をまっとうしつつ、
実にいいコミュニケーションをしている。

田崎さんは、
インバウンドの顧客が戻ってきたことを、
言っていた。

私も沖縄に行きたくなった。

決算に関してはもう1社。
しまむらnews|
年商6161億円5.6%増・経常利益7.5%増の増収増益

売上高は6161億円で5.6%増、
営業利益は533億円で7.9%増、
経常利益も544億円で7.5%増。

営業利益率8.7%、経常利益率8.8%。

主力のしまむら事業が4.9%増。

売筋商品の在庫管理は、
約40日で追加生産して再投入する仕組み、
「短期生産サイクル」を、
サプライヤーと連携して構築した。

都市部と郊外、寒冷地域と温暖地域など、
店舗立地に応じた商品管理を強化した。

またPBやJBは、
ブランド別の売場づくりをする。
在庫管理も徹底して、
値下げを抑制した。

PBは自社開発ブランド(Private Brand)、
JBはサプライヤーとの共同開発ブランドで、
Joint Development Brand。

総合スーパーのアパレルは、
このしまむらを研究するのがいい。

広告宣伝に関しても、
天候や商品の売行きに応じて、
機動的に配信した。
時期と広告量、配信メディアを見直した。

SNS販促にも力を入れて、
新規媒体を導入した。
ホームページやアプリもリニューアルした。

さらに販促は都市部限定、地域限定と分けて、
それぞれに展開を変えた。

ヤングカジュアルのアベイル事業は、
売上高600億円、10.2%増。

子ども用品専門店のバースデイ事業は、
売上高723億円、4.0%増。

雑貨と婦人ファッションのシャンブル事業は、
売上高146億円、10.4%増。

実質的な創業者の藤原秀次郎さんが、
取締役に復帰したのが2020年。
コロナパンデミックが始まった年だ。

その20年2月期決算は、
3期連続で減収減益となっていた。

5月15日付で取締役相談役に就くと、
しまむらはガラリと変わった。

藤原さんの復帰で、
「権限」と「責任」がはっきりした。

その藤原さんは、
1990年5月から2005年4月まで社長を務め、
05年5月から09年4月まで、
代表取締役会長を務めた。

現在、82歳。

実務をするわけではないが、
締役会の中での存在感が、
しまむらを蘇らせた。

トップマネジメントの機能を、
あらためて考えさせてくれる事例だ。

最後に、
将棋名人戦。
第一局が始まった。
渡辺明名人に、
藤井聡太竜王が挑戦する。
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渡辺は史上4人目の中学生プロ棋士。
竜王・王将・棋王と三冠に輝き、
その後、名人位を獲得した。

それらは今、藤井の手中にあり、
この名人戦で負ければ無冠となる。

38歳。

一方、20歳の竜王は、
羽生善治以来の七冠に挑む。

渡辺の弁。
「藤井さんがこれだけ勝って
七冠に向けて出ていくところで、
自分が名人を持っているという状況に
責任を感じます」

ここで渡辺が使った「責任」という言葉。
実に素晴らしい。

朝日新聞「天声人語」
「世代交代を阻むのか、
許してしまうのか。
将棋史に刻まれる対戦を見られる幸運を思う」

同感だ。

この責任の意味、
トップマネジメントの在り方につながる。

〈結城義晴〉

2023年04月04日(火曜日)

「25大阪万博キャッシュレス化」より時代の足取りは早い!

2025年開催の国際博覧会。
通称、大阪・関西万博。

25年4月13日に開幕。
同10月13日に閉幕。

合計153の国・地域、
8つの国際機関が参加し、
2800万人の来場を想定している。

関西だけでなく、西日本も、
そして日本全体の活性化を図るチャンスだ。

1970年の大阪万博には、
私も行った。
高校生だった。
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来場者数は6421万8770人だった。

高度経済成長の真っただ中で、
その成長に拍車をかけた。

鉄道や高速道路が整備され、
大阪の街にはさらに活気がもたらされた。

今回もそんな効果が見込まれる。

その万博会場は、
完全キャッシュレスになる。

クレジットカードの国際ブランドから、
交通系IC、QRコード決済など、
60超の事業者が参画。

海外からの事業者も参加する。

キャッシュレス化で、
レジは時間短縮され、
釣り銭も不要になる。

大阪万博を起爆剤にして、
キャッシュレス決済推進を図る考えのようだ。

しかし私は、
その前にキャッシュレス化はどんどん進むと思う。

この1月から2月にアメリカに行って、
それを確信した。

2年後にはすでにキャッシュレスが当たり前になって、
万博の全面キャッシュレスなど、
珍しくもない状態になっているかもしれない。

それでも準備段階のプロセスは、
キャッシュレス化を進めることに貢献する。

日本政府は25年までに、
日本のキャッシュレス決済比率を、
現在の3割から4割程度に高める目標を掲げる。

これはいかにも遅い。

その日本のキャッシュレス事情。
2022年の決済額は111兆円となって、
過去最高を更新した。

消費全体に占めるキャッシュレス比率は、
初めて3分の1を超えて36%に高まった。

クレジットカード決済は93兆7926億円。
前年比16%増。

QRコード決済は7.9兆円、50%増。
電子マネーは6兆円の2%増。
デビットカードは3.2兆円で19%増。

QRコード決済とデビットカードが、
まだまだ増える。

そして万博のときには、
欧米並みの6割、7割になるか、
5割には届くだろう。

2025年、待ち遠しいくらいだ。

さて今日は朝から記者会見。
私は原稿書きに勤しんでいたが、
山本恭広編集長と亀谷しづえGMが行ってくれた。
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商人舎流通SuperNews。
イオンnews|
オンラインマーケット「Green Beans」今夏始動

オンラインスーパー事業のイオンネクスト㈱。
新ブランド「Green Beans」を立ち上げた。
“オンラインマーケット”である。

カスタマーフルフィルメントセンターも稼働する。
最先端のAIとロボティクス機能が導入されている。

グリーンビーンズは、
生鮮、日配と加工食品、日用品など。
スーパーマーケットの品揃えで、
顧客が望むタイミングで届けする。

2019年11月、イオンは、
英国のOcado (オカド)と提携した。

その子会社オカドソリューションが、
最新デジタル技術を提供した。

吉田昭夫イオン社長。
「中期計画の中でも、
デジタル戦略の強化を最も重視している」

オカドのデジタル技術は、
10カ国12社のグローバル小売企業で使われている。

そのテクノロジーを使って、
「世界レベルの買物体験を提供する」

首都圏、特に東京23区の、
共働き、子育て世帯をターゲットにする。

イオンは本腰を入れている。
それがくっきりとした記者会見だった。

夕方からはオンライン記者会見。

平和堂news|
営業収益4156億円・経常利益130億円/経常利益率3.1%

平松正嗣社長がどんな質問にも、
的確に明確に答えて好感が持てた。IMG_21323

平和堂の2023年2月期の本決算。
連結業績は営業収益4156億7500万円、
営業利益112億7900万円、
経常利益130億6900万円、
純利益75億1600万円。

平松社長。
「既存業務のマンアワーを削減して、
その分を新しいMDに振り向ける」

「これからの2、3年は、
投資を優先させる時期。
成果はその後に出る」

これも固い決意だった。

私は原稿を書き上げ、
最後のゲラも責了した。

お疲れ様。
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今月号もいい雑誌です。
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ご期待ください。

時の足取りは早い。

自分で言っておきながら、
その時間に自分が追い越されそうだ。

そんなときには、
慌てず、急げ。

25年の万博のキャッシュレス化。
多分、時代のほうが足が速いと思う。

〈結城義晴〉

2023年04月03日(月曜日)

訃報/坂本龍一と統一選挙のマーケティング

Everybody! Good Monday!
[2023vol⑭]

2023年第14週。
4月が始まった。

新年度だ。

今日も1日、
商人舎オフィスで原稿執筆。

いい原稿が1本、書けました。
イトーヨーカ堂問題。

どう考え、どう対処したらいいかを、
率直に書いた。

商人舎の社内では、
原稿を読んで、
「手厳しい」だとか、
「激しい」だとか、
いろいろな意見が出た。

それでも伊藤雅俊さんが亡くなって、
その伊藤さんへの思いもあって、
率直な言説となった。

そしてまた、訃報です。
坂本龍一、逝去。
71歳。
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今年1月11日には、
高橋幸宏が亡くなったばかりだ。
70歳で私と同年だった。

Yellow Magic Orchestraの仲間。
1978年から細野晴臣と3人で、
世界的なテクノブームを巻き起こした。
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坂本は独自の世界観を持った天才だった。

幼いころからの天才ぶりを示すエピソード多数。

クラシックを学び、作曲法を学習し、
あらゆるジャンルのミュージックを、
分け隔てなく、楽しみつつ極めた。
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忌野清志郎とのデュエットは良かった。
「い・け・な・いルージュマジック」
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映画「戦場のメリークリスマス」では、
映画音楽に初挑戦し、
デビッド・ボウイとキスシーンを演じた。sennmeri

坂本の好奇心の強さこそ、
その本質だったのだと思う。

そして坂本は愛猫家だった。
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しかし、なぜ70歳そこそこで、
次々に亡くなってしまうのだろう。

「戦メリ」でも、
監督の大島渚をはじめ、
出演したデビッド・ボウイや、
ジョニー大倉、内田裕也が、
この世を去った。
そして坂本龍一までも。

「残ったのは俺一人」と、
ビートたけしが言った。

ご冥福を祈りたい。

さて、4月には、
統一地方選挙がある。
4月第2日曜日の9日と第4日曜日の23日。

9日は都道府県及び指定都市の
議会議員及び長の選挙。
23日は指定都市以外の市、特別区、
及び町村の議会議員及び長の選挙。

小売業も協力する。

商人舎流通SuperNews。
イオンnews|
全国138のイオン商業施設内に統一地方選「投票所」を設置

イトーヨーカ堂news|
ヨーカドー、アリオ19施設に期日前投票所を設置
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ユニーnews|
選挙に行ってmajicaポイントをもらおうキャンペーン
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ユニーは「センキョ割」に参画する。
センキョ割学生実施委員会などが取り組む運動。

こちらは商売と結びつける。
それも悪くはない。

こういった形で地域に貢献してほしい。

ところで私の弟子の内田憲一郎君。
立教大学大学院の結城ゼミ4期生。
東京都板橋区議会議員だが、
面白いマーケティングをしている。
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高島平生まれ、高島平育ち。

その高島平をより良くしようと、
立候補し、当選した。

そのチラシが丁寧だ。

高島平の1丁目・9丁目、
2丁目・3丁目、4丁目・5丁目、
6丁目・7丁目、
そして西台1・2・3・4丁目などと、
細かい地域別に具体的な政策を示す。

内田君は地域を丁寧に歩いて、
声を聞き、問題を発見する。

そして地域ごとの解決策を見つける。

マーケティングは、
細かくなくてはいけない。
丁寧でなくてはいけない。

そして政治こそ、
マーケティングである。

住民の要望を吸い上げて、
それを政策として実現する。

小売業やサービス業と同じだ。

内田君は優れた修士論文を書いて、
マスターを取得した。

何よりうれしいのは、
そのマーケティングを、
実務に活かしてくれていることだ。

そう考えると、
坂本龍一はマーケティングも超一流だった。

では、みなさん、今週も、
マーケティングしよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年04月02日(日曜日)

江川卓の始球式投球に思うこと。

江川卓の始球式。

開幕第2戦のジャイアンツ対ドラゴンズ戦。

昭和の怪物、67歳。
ジャイアンツの背番号30。egawasuguru

ピッチャープレートの前から振りかぶった。
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左足を高く上げた。
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現役時代と変わらないダイナミックなフォーム。egawa2

そして投げた。
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ふわりとボールは浮いた。egagagagaga4

投げ終わった。
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しかしボールはホームベースの前に落ちた。egaw4

肩を抑えながら帰ってくる。egawa5

ひどく残念そうだった。egawa6

作新学院の高校時代。
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公式戦のノーヒットノーラン9回、
完全試合も2回。

県予選トータルの被安打2で、
夏の甲子園出場。

選抜高等学校野球大会では、
一大会通算最多奪三振60個。

法政に進んだ大学時代。
東京六大学野球リーグ17完封。

そして巨人軍のエース時代。
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日本プロ野球史上6人目の投手5冠。

ずっと見続けてきた。

この始球式にはがっかりしたけれど、
それは江川自身が一番感じたことだろう。

亡くなった村田兆治は最後まで、
マサカリ投法で130キロは投げた。
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江川の現役時代の最速の球は、
1981年9月9日の大洋戦とされる。
20勝を達成した登板の最後の投球が、
158キロだった。

江川は回を追うごとに、
球速が上がる投手だった。

球の回転は史上最高だった。

大谷翔平や佐々木朗希の、
164キロくらいの威力はあった。

高校からプロ時代まで、
肩を酷使した。

それがこの始球式の球だ。

酷く悲しい気がしたが、
江川は余力を残さずに、
現役を引退したのだと思った。

巨人軍入団のとき、
「空白の一日事件」が起こった。

江川は巨人に入りたかった。

1977年度の大学4年のドラフト会議では、
ライオンズから指名されたが、
それを拒否して1年間浪人した。

1978年度の2回目は、
ドラフト会議の11月22日の前日の21日に、
巨人軍と電撃契約した。

前年のドラフト会議の期間が切れたものと、
巨人軍が勝手に解釈して、
「空白の一日」に契約してしまった。

ナベツネの意向だ。

それはリーグ事務局が無効としたが、
今度はドラフト会議で、
阪神タイガースが指名権を得た。

江川は交渉権を持つ阪神と契約を結んだ。
そして一旦、阪神に入団したうえで、
エースの小林繁との交換トレードによって、
巨人に移籍することになった。

明らかな不正入団だ。

しかしそれが通ってしまった。

以来、「巨人・大鵬・卵焼き」の反対の、
「江川・ピーマン・北の湖」と嫌われた。

この事件があったからだと思う。
江川は肩を酷使し続けた。

そして引退してからも、
ジャイアンツの監督になれなかった。

悲劇の人・江川卓。

それらのことがすべて、
この始球式の一投に込められていて、
私は心の中で泣いた。

もう、許すよ、江川。

まだまだ人生は長い。
頑張れ。

〈結城義晴〉

2023年04月01日(土曜日)

徒然草の「昔より賢き人の富めるは稀なり。」

4月に入った。

日本社会全般で新年度が始まる。

学校では新学期が始まる。

3月決算の企業は、
4月からが新年度だ。

キリがいい。

この1年、どう変わろうか。
どんな新しいことをしようか。
どう成長しようか。

この1年、どんな人に会うのだろうか。
どんなものが現れてくるのだろうか。
どんな所に行けるのだろうか。

想像は膨らむ。

㈱商人舎を発足させて、
ちょうど15年が過ぎた。
0369

その発足の会で私は、
次の30年、現役を続けると宣言した。

そして多くの皆さんに、
励ましていただいた。
0452

それまでの30年間は、
㈱商業界にいた。

発足の会のときは、
社会人になって仕事を始めてからの、
折り返し点のつもりだった。

それから15年が経過した。
今度は次の30年における折り返し点だ。

今年やることは決めた。
それがポストコロナと合致した。

4月半ばごろに発表する。
楽しみにしていただければ幸いである。

1977年の4月1日に、
私は㈱商業界に入社した。

あのころは、
今の自分のようになるとは、
考えもしなかった。

不安だらけだったが、
夢らしきことも抱いていたし、
時間は無限にあると思っていた。

それから46年が経過して、
当時の不安は消え去ったが、
かわりに夢も小さくなった。
時間には限りがあることを知った。

今は、やれることを、やる。
若い人たちに期待する。

最近、「徒然草」を、
しみじみと読む。
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その「第十三段」

「一人、燈火の下に、
文を広げて、
見ぬ世の人を友とするぞ、
こよなう慰(なぐさ)む業(わざ)なる。」

これはわかりやすい。

書物を開いて、
見たことのない時代の人を友とする。
それがこよなく慰められることになる。

見たことも会ったこともあるけれど、
亡くなってしまってもう会えない人も、
その人が書いた本を広げると、
親しい友とすることができる。

これもうれしいことだ。

だから私も本を書いておこうと思う。

「第十五段」

「いづくにもあれ、
(しば)し旅立ちたるこそ、
目覚(めざ)むる心地(ここち)すれ。」

どこであろうと、
しばらくの間、旅をすることは、
目が覚めるような新鮮な気分になる。

コロナ禍が終わって、
旅ができるようになった。
うれしい限りだ。

「さやうの所にてこそ、
(よろず)に、

心遣ひ(心づかい)せらるれ。」

そんな旅先だからこそ、
すべてにわたって心が鋭く働く。

「持てる調度まで、
良きは良く、

能ある人、容貌良き人も、
常よりはをかしとこそ見ゆれ。」

持ってきた身の回りの品なども、
良いものはより良く感じられるし、
能力のある人や容姿の優れた人は、
いつもよりも素晴らしく見える。

旅は心が鋭敏になる。

その鋭敏な心で、
私たちは人やその土地を見る。
ときには店を見る。

素晴らしさが倍増する。

「第十八段」

「人は、
己れを約(つづま)やかにし、

(おご)りを退(しりぞ)けて
(たから)を持たず、

世を貪(むさぼ)らざらんぞ、
いみじかるべき。」

人は自分の生活を質素にし、
贅沢を退けて、財産を持ちすぎず、
私利に貪欲でないことが、
とても良い。

財産があることは、
悪いわけではない。

「貧すれば鈍す」に陥ってはならない。

しかし私利に貪欲すぎるのは、
「いみじかるべき」だ。

「昔より、
賢き人の富めるは、

(まれ)なり。」

ん~、ズバリ。

吉田兼好は当時の社会では、
いわば敗者だった。
だから、の発言であるかもしれない。

富める者で、
なおかつ賢き人は、
稀であってもいた。

46年前の4月1日。

徒然草はもちろん読んだことがあったが、
それを真に理解はしていなかった。

今年度もやれることを、やろう。

〈結城義晴〉

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