結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年10月12日(水曜日)

TOKYO PACKの「レンゴー」と稲盛和夫の「艱難は商人を鍛える」

今日は東京ビッグサイト。IMG_60692

ここに来るとパリやケルンを思い出す。IMG_E60702
パリのシアル、
ケルンのアヌーガ。

世界二大食品フェア。

シアルはパリノール展示場、
アヌーガはケルンメッセ展示場。

私は1992年から2004年まで、
シアルドールの日本代表委員を担っていた。
だから偶数年は春と秋に、
フランスのパリを訪れた。

その間、奇数年にはドイツのケルンから、
招待されて取材した。

この東京ビッグサイトの国際展示場に来ると、
そのころのことが思い出される。 IMG_60742

1996年の開場。
建築面積約16万㎡、展示面積約11.5万㎡。
日本最大のコンベンションセンター。

しかし、世界で見ると36番目の規模だ。
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TOKYO PACK2022。
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東京国際包装展として、
1966年にスタート、以来、隔年開催。
包装資材・容器、包装機械を中心にした展示会。IMG_61032

レンゴー㈱のブースへ。IMG_60782

2022年3月期連結営業収益は7469億円。
ゼネラル・パッケージング・インダストリー。IMG_60962

デモンストレーション。IMG_60812

New Smart Display Packaging(NSD)の機械。IMG_60832

全自動でふりかけの商品が出来上がる。IMG_60852

段ボールケースをワンタッチで開封して、
そのまま陳列できる。IMG_60882

さまざまな段ボールケース。IMG_60902

細かいゴミが出ない、
片付けが楽。IMG_60912

冷蔵ショーケースでの、
段ボールカット陳列。
フクシマガリレイ㈱とのコラボレーション。IMG_60922

「デジパケ」は、
デジタル印刷活用のパッケージ。IMG_60942

藤井利明さんと岡野香織さん。
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藤井さんはパッケージング部門、
開発本部開発営業第一部次長、
開発営業第一課課長。
岡野さんは、
デザイン・マーケティングセンター、
マーケティング課課長。

山本麻依子さん。
デザイン・マーケティングセンター、
マーケティング課。IMG_E61002

凄い展示会で、
面白いものばかりだった。

会社に戻って、
月刊商人舎10月号を手に取る。
うれしい瞬間。
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今月号もいい出来栄えです。

特集は新フォーマット続々!
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それから「セルコレポート」が届いていた。
私の連載は、
「艱難は商人を鍛える」
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第六回は、
「稲盛和夫の”神の手”」

8月24日に逝去された稲盛和夫さん。
その若いころの艱難の人生を書いた。

朝日新聞「折々のことば」
第2514回にも稲盛さんの言葉。

飛び石を打ってはなりません。
(稲盛和夫)
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「囲碁に喩(たと)えれば、
“石はつないで打つ”のが肝要」

「事業を多角化する時も、
自分が”得手”とする範囲でしか
やってはいけない」

稲盛さんが、
悩める中小企業の経営者らに語る。
NHK・BS1の番組「逆襲のシナリオ」から。

チェーンストアの出店戦略も同じ。

基本は隣接する商圏に、
次々に店舗をつくっていく。
そして商勢圏をつくる。

その意味で、
「飛び石を打ってはいけない」

しかし一定の商勢圏をつくって、
ドミナントエリアが完成したら、
次の商勢圏を求めて、
飛んでもいい。

碁で言えば「地」をつくったら、
飛んでもいい。

稲盛さんの考え方と言葉は、
小売業やサービス業にも、
大いに参考になる。

しかし稲盛和夫の生き様そのものが、
何よりもいい勉強になる。

私の原稿をちょっとだけ紹介。

――家は貧しく、稲盛少年は、
紙袋の行商に勤しむことになります。
「父が内職で作った紙袋を自転車に積んで
市内を売り歩くのである」

――ヨークベニマルの「野越え山越」のようです。
「どこも品薄で飛ぶように売れ、
あまりの繁忙に中学を出たばかりの子を雇った」

――商人としての才能があったのです。
「私の一気の攻勢に
福岡からきていた同業者が撤収したと聞いた。
私の事業の原点はこの行商にある」

やはり稲盛さんは、
技術者であり、商人でもあったのです。

「艱難は商人を鍛える」

あらためて、ご冥福を祈りつつ、
心から感謝しよう。

〈結城義晴〉

2022年10月11日(火曜日)

商人舎10月号特集「新フォーマット続々!!」のポジショニング戦略

月刊商人舎10月号、本日発刊!!

特集は、
新フォーマット続々!

アパレル/ホームセンター/家電ストア/
ワンコインストアのニューエイジ
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[Cover Message]
「ワークマンプラス」の快進撃は止まらない。「職人の店ワークマン」がポジショニング戦略によって突然、「ワークマンプラス」に変貌した。そのワークマンプラスはさらに「#ワークマン女子+WORKMAN Shoes」へと「加速の加速」を見せる。
一方、9月に合併によってアークランズ㈱へと躍進したホームセンター企業は、〈スーパービバホーム+ヤマダテックランド〉の「総合生活提案スクエア」を開発して、新しい競争力を獲得しようとする。
さらにダイソーは「Standard Products by DAISO」を創造し、良品計画は「無印良品500」を出店した。こちらは「ほぼワンコインストア」の進化型である。
人々のライフスタイルは急激に変わろうとしている。感度のいいチェーンストアはそれを捉えて「新フォーマット」を続々と登場させている。
スーパーマーケットが先陣を切った「フォーマット戦略」と「ポジショニング戦略」がNon-Foods Retailerの世界に現れた。

目次。
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今月はケーススタディ特集。

その店舗ケーススタディにも、
結城義晴の「分析や述懐」が入っている。

[特集のまえがき]は、
誰も書かなかった「フォーマット戦略概論」
もちろん結城義晴執筆。
私の持論をこれまでで一番短くまとめた。

ケーススタディ①は、
「ワークマンプラス」の「加速の加速」
「#ワークマン女子+WORKMAN Shoes」開発で群を抜く
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ケーススタディ②
ビバモール多摩美大前のコラボ戦略
スーパービバホーム+ヤマダテックランドの「総合生活提案」
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ケーススタディ③
ヤオコー八王子鑓水店「普通の店の強さ」 
節約とハレのどちらにも対応できる684坪標準店01_front_yaoko

ケーススタディ④
Standard Products by DAISOの「第三の必然」
日本型バラエティストアに新標準フォーマットが登場した!
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ケーススタディ⑤
「無印良品500」の「ほぼ均一価格」のインパクト
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ケーススタディはいずれも、
大量の写真を使って、
ビジュアル構成になっている。

ぜひ、ご覧ください。

特集のほかは年末商戦対策の2本。
提言「複合危機」の年末年始商戦に備えよ 
結城義晴

[特別寄稿]コロナ禍3年目の正月商戦総合作戦
堀内慎也
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そして[Message of October]
売り方を変えれば2倍売れる!

商品は変わらなくとも、
売り方を変えれば、
売れ行きが変わる。

商品は絞り込んでも、
売り方を大きく変えれば、
売れ行きは大きく変わる。

商売は面白い。
商売は奥深い。
商売は不可思議だ。

ワークマンプラスは、
ワークマンの商品1700品目を、
320アイテムに絞り込んだ。

コンセプトを変え、
顧客ターゲットを変え、
ポジショニングを変えた。

そのうえで、
外装を変え、内装を変えた。
什器を変え、陳列を変えた。

マネキンを使い、
プレゼンテーションを変え、
別世界をつくりあげた。

それによって、
売れ行きが爆発的に変わった。
2倍売れた。

商売は面白い。
商売は奥深い。
商売は不可思議だ。

売り方を変えれば、
商品は変わらなくとも、
売れ行きが変わる。

売り方を変えれば、
商品は2倍売れる。
それこそがポジショニング戦略だ。
商人舎10月号目Message

職人の店ワークマン。
商品そのものはまったく変えずに、
1700品目を320アイテムに絞り込んで、
看板を変え、店づくりを変え、
内装も什器も照明も陳列方法も変えた。
POPやマネキンを多用した。
「味もそっけもない作業服の店」が、
「アスレジャー」のカジュアルな店に変わった。

そして売上高は2倍になった。
売り方を変えれば2倍売れる。

それが「ワークマンプラス」。

何とも痛快な商売の話。
それがポジショニング戦略だ。

〈結城義晴〉

2022年10月10日(月曜日)

ロシアのウクライナ爆撃の「悪徳」と首相の「リポート・トーク」

Everybody! Good Monday!
[2022vol㊶]

2022年第41週。
三連休の最終日が、
スポーツの日。
1964年の東京五輪開会式の日が、
10月10日だった。

今でも思い出すけれど、
私は横浜の小学校の6年生だった。

父に連れられて近くの三ツ沢球技場に、
五輪サッカーの試合を見に行った。

この開会式の日は、
2年後に「体育の日」として、
国民の祝日になった。

それが2000年から、
10月第2月曜日に変わった。

ハッピーマンデー制度だ。

2020年から、
「スポーツの日」に名称変更された。

しかし今日の横浜は、
朝から雨模様。

昼頃、雨はあがった。

今年最後の三連休、
商売の成果は上がっただろうか。

その日本のスポーツの日。
ロシアがウクライナに、
83発のミサイルを撃ち込んだ。

クリミヤ大橋の爆発は、
ウクライナが仕掛けたこととして、
それへの報復攻撃である。

何とも言いようのない、
不快なことだ。

ウラジーミル・プーチンは、
70歳になったばかり。
私と同年だが、
権力をもつ者のエゴイズムが、
むき出しになっている。
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ブレーズ・パスカルの「パンセ抄」
「人は悪徳の中で迷子になる。
もはや、
美徳の姿など見えない。

人は完全な徳さえ
批判するようになる」
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気を取り直して、
スポーツの日。

日本プロ野球。
クライマックスシリーズに入って、
パリーグはソフトバンクホークスが、
ファイナルステージ進出を決めた。

ペナントレースを闘ってきて、
そのあと上位の3位までのチームが、
3ゲームのトーナメント方式で対戦する。

まったく論理性のない、
理不尽なアイデアだが、
パリーグは2位のホークスが、
3位の西武ライオンズを破って、
順当にファイナルステージに進んだ。

一方のセリーグは、
3位の阪神タイガースが、
2位の横浜DeNAベイスターズを、
逆転で破って、
ファイナルに進出。
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タイガースのペナントレースは、
68勝71敗4引き分けで、
勝率4割8分9厘。
負け越している。

それなのに、
ファイナルステージに出られる。
それは6ゲームだ。

万が一にもここで勝って、
日本シリーズに進んで、
パリーグの覇者に勝利してしまえば、
1年間で負け越したチームが、
日本一になってしまう。

1年間の闘いは一体、
何だったのか。

論理破綻している。

私はタイガースのファンでもあるから、
それはちょっとうれしいことだが、
論理性のない社会は、
好きではない。

しかしパスカルは言っている。
「二つの行き過ぎ。
理性を排除すること、
理性しか認めないこと」

私も残されたタイガースの試合を、
楽しむことにしよう。

日経新聞の「核心」
「首相に欲しい”話す力”」
原田亮介論説主幹が書く。
1958年、新潟県生まれ。

岸田文雄首相も、
就任1年になる。
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「内閣支持率低下の一因に
首相自身の”聞く力”ならぬ
“話す力”を挙げる声がある」

この「声がある」といった表現は、
論説主幹として少々よろしくないと思うが、
原田さんは問題の所在を探す。

そして東照二ユタ大学教授の言葉を引く。
小泉純一郎元首相の発言分析などで知られる、
社会言語学者である。
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話術には2通りある。
「リポート・トーク」と、
「ラポート(共感)・トーク」

前者は情報を伝える話術。
後者は個人の気持ちを込めて、
情緒で聞き手を引き付ける話術。

「岸田首相に欠けるのはラポート・トークだ」

東教授はラポート・トークの好例として、
安倍国葬の菅義偉前首相の弔辞をあげる。
「個人的なエピソードを多く交えて、
聞き手の記憶に残る弔辞だった」

あんなに棒読み首相と批判されたのに、
首相を降りたあとで、
時間をかけて書いた弔辞なら、
ラポート・トークにもなる。

これに対して、
リポート・トークの岸田首相は、
「話が一方通行になり、
聞き手の共感を得て
心を動かすということにならない」

「首相は度々『国民に丁寧に説明する』というが、
それは1回言えば済む」

東教授は厳しい。

何よりも政策の実行力が問われている。

それを支えるのは、
「国民世論から共感を得る力」である。

首相周辺の人物の発言。
「後ろ盾だった安倍元首相が亡くなったことで
“(元首相と)テニスをやっていればよかったのが、
急にラグビーをやらなきゃいけなくなった」

このネタは面白いが、
原田さんが「核心」として書く内容は、
伝聞情報が多い。

最後の段落。
「どの課題も賛成と反対が分かれ、
最適解を見いだすのは簡単ではない」

「だからこそ首相は
決断への率直な思いや信念を語った方がいい」

「”聞く力”より”話す力”なのだ」

「耳を傾けるだけでは、
効果的なコミュニケーションは
実現しない」

ピーター・ドラッカー。

テニスもラグビーも野球も、
コミュニケーションなしでは、
勝利することはできない。

商人にもラポート・トークは必須だ。

そして独裁者こそ、
コミュニケーションを欠く者だ。

そのために独裁者は、
最後の最後には、
無残な姿で舞台から去って行く。

それは歴史が示している。

では、みなさん、今週も、
ラポート・トークを。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年10月09日(日曜日)

「人生とは飽きとの戦いなのだ」と脱「やらされ感」

ほぼ日の糸井重里のエッセイ。
「今日のダーリン」
10月4日の「飽き」についての考察。
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「いろんなことを、
飽きもせずにやっている」

「ぼくは、実は、
もともととても飽きっぽい」

私も実は飽きっぽい。
周辺からは「三日坊主」だとか、
「三週間坊主」などと言われる。

自分では「三カ月坊主」くらいに思っている。

糸井さん。
「たいていのことは
飽きるのがわかっているし、
飽きないためには
どうしようかばかり考えている」

「だから、やっと飽きないでやれている。
他の人だって、たぶんそうなんだと思う」

「人生は飽きとの戦いだ」

同感だ。

「飽きているのに
やり続けることはつらい。
しかし、飽きはじめてからこそ
身につくこともある」

これにも同感。

「まったく変化がないことに、
人は耐えられないだろう」

「だから飽きているところで、
変化を見つけたりもする。
飽きそうになったとき、
新しい問題を探し出す。
いままでよりも、
難しいことをやってみたくなる」

「難しさに対面することで、
飽きから解放してもらえる。
やったことのない難しい問題は、
つらいことも多いけど、
飽きからは救われたりする」

「人生はつらさとの戦いよりも、
どうやらやっぱり
飽きとの戦いだ、と思う」

子どものころから、
結構、何でもできた。

いや、何でもすぐに、
一定のところまでは、
できるようになった。

しかし、そのあとが続かない。

バイオリンも習った。
習字や絵も習った。

野球もサッカーもバスケットボールも、
仲間内ではうまいほうだった。

勉強も。

だから子どものころからの、
昔の友達に会うと、
「お前は何でもできた」と言われたりする。

自分ではそうでもなくて、
すぐに限界が見えていたのだと思う。

だから飽きやすくなったのかもしれない。

糸井。
「人は小さな子どものころから、ずうっと、
“できるようになりたい、
わからないから知りたい”
ということと付き合ってきている」

「それはもう
子どもにとっての遊びそのものだ。
だけど、これって
大人になっても同じじゃないか」

お孫さんができてから、
糸井さんは子どもから着想することが多い。

「飽きかけているときには、
“できるようになりたい、
わからないから知りたい”が、
どこかに蒸発しかけているような気がする」

そう、そう。

大人になってから始めたゴルフなんか、
難しいことだらけで、
「できるようになりたい」が実に多い。

だから飽きずに続けている。
ゴルフスイング

糸井さん。
「子どもたちが遊んでいるように、
大人たちだって、
毎日の遊びや生活のなかに、
仕事や計画のなかに、
“できるようになりたい、
わからないから知りたい”
があるものなんだと思うよ」

私の場合、
仕事に関しては、
「飽き」はこなかった気がする。

「飽き」との戦いを、
必死でやってきたのだろう。

今はもう、あまり思い出せない。

しかし勉強には、
確かに「やらされ感」があった。
仕事にはそれがなかった。

だから私にとって、
「仕事」は尊いものだ。

糸井。
「じぶん自身が、
飽きとの戦いをずっとやってきて思う。
すべてに飽きたら、
死んじゃうってことだもんねー」

これを「厭世」(えんせい)という。

糸井。
「締めにもう一度言っておこう。
人生は飽きとの戦いだ、と」

若い人たちで、
仕事に飽きを感じたら、
「できるようになりたい」、
「わからないから知りたい」を、
思い出すことだ。

もう一つは、
ライバルをつくることだ。

「あいつには負けない」
「あの連中には負けない」
「あの店には負けない」
「あの会社には負けない」

これが「飽き」との戦いには、
効果があると思う。

ここで私もお決まりの締め。

「商い」は「飽きない」である。

商売には、
「お客さんを喜ばせるようになりたい」、
「もっといいやり方を知りたい」、
「あの店には負けない」がある。

だから「商い」は「飽きない」なのだ。
仕事も「飽きない」なのだ。

糸井さんも結城義晴も、
飽きもせず毎日、
今日のダーリンや毎日更新宣言を書いている。

飽きっぽい二人が、
「飽きない」ことを書く。

そこで一番大事なのは、
「やらされ感」から脱することだ。

大人になって、
自分で稼ぐようになったからこそ、
「飽きない」ようになった。

仕事でも、
「やらされ感」があったら、
「飽き」がくる。

自分で決めた、自分の仕事。
それが「飽き」とは、
無縁の時間をもたらしてくれる。

しかしそんな仕事でもある程度になると、
やっぱり「飽き」がやってくる。

だから人生は飽きとの戦いなのだ。

〈結城義晴〉

2022年10月08日(土曜日)

三枝富博チェーン協会長と’19岡田元也発言の「消費者の立場」

白露。

二十四節気は「立春」から始まる。
白露はその立春から数えて第15番目。
「大気が冷えてきて、露ができ始めるころ」

今年は三連休が9回あったが、
白露から始まる最後の三連休。

そのハッピーマンデーは、
スポーツの日の祝日。

それでも北海道以外全国的に、
雨模様が予想されている。

日経新聞「ニュース一言」
日本チェーンストア協会の三枝富博会長。
㈱イトーヨーカ堂会長。
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「原材料価格や物流コストの上昇に加え、
円安も進行している。
経営や家計への影響は、
ひたひたと迫る足音ではなく、
猛烈な勢いで現実のものとなっている」

「ひたひたと迫る足音」ではなくて、
「猛烈な勢い」と表現する。

しがたって「企業努力だけで、
価格を維持することが困難」である。

そんななかで、
「足元では値上げの動きも相次ぐ」

賃金はすぐには上がらない。
顧客の生活は苦しくなる。
それを支えるのがチェーンストアの役目だ。

「価格維持」もその使命の一つである。
それでも「値上げ」の動きは相次ぐ。

三枝さんは言う。
消費者に近いチェーンストアは、
「適切な価格を常に
自問自答することが必要だ」

チェーンストア協会長としての発言だろう。
それぞれに「自問自答」してほしい、と。

それでもチェーンストア協会が、
一丸となって取り組むテーマはなかったか。

1967年8月2日、
日本チェーンストア協会が発足した。
ダイエーの故中内功さんが初代会長で、
1976年まで9年間、会長職を担った。

二代目会長は当時ジャスコの岡田卓也さん。
私はこのころ、㈱商業界に入社して、
チェーンストアの世界に接することになった。

岡田さんが2年間、会長を務めた。
そして次の2年間は、
イトーヨーカ堂社長の伊藤雅俊さん。

このあたりまで、
チェーンストア協会は、
一丸となっていた。

イトーヨーカ堂からはその後、
第11代と第15代会長に鈴木敏文さん、
第22代に亀井淳さんが就任。

三枝さんは伊藤、鈴木、亀井各氏に次ぐ、
4人目のイトーヨーカ堂からの会長だ。

1996年にイトーヨーカ堂が、
中国進出した時からのメンバーで、
総経理や董事長を歴任。

中国の専門家だ。

2017年にイトーヨーカ堂社長、
今年3月1日に同会長に就任し、
5月20日にチェーンストア協会会長となった。

日本チェーンストア協会発足のとき、
声明書が発表された。

起草したのが故渥美俊一先生だ。
「いかなる場合も消費者の立場に立って、
考え、決断し、行動することこそ、
我々のつねに変わらぬ商業者としての姿勢」

三枝会長の言葉は、
その「消費者の立場」を表明している。

しかし未曽有の円安や値上げが続く。
「小売業の複合危機」のときである。

「消費者の立場」に立って、
一丸となるわけにはいかないか。
それぞれに自問自答するだけでなく。

もちろん現在は一丸となって、
たとえば「価格凍結宣言」をする時代ではない。

声明文。
「日本のチェーンストアは
消費者の満足とより高い生活水準こそ、
我々の創り上げるべき価値である」

2019年10月、消費増税のとき。
その直後の10月9日、ベルサール東京日本橋。
イオン㈱の中間決算発表の記者会見。

今のようなオンラインではない、
リアルの会見だった。

岡田元也社長兼グループCEO。
消費増税だけでなく、
軽減税率やキャッシュレス問題に関して、
政府の対応は不可解だった。

月刊商人舎2019年11月号で特集した。
「波の下にある潮流」
消費増税直後の小売業トップマネジメント発言集
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岡田元也イオンCEOの発言。
「消費増税や軽減税率導入が
良かったのか悪かったのか、
キャッシュレスポイント還元で
得をしたのか損をしたのか。
こういった話はイオンにとって、
大したことではありません。
まして9月の駆け込み需要はどうだったか、
10月以降の対応はどうかということも、
大した話ではありません」

「問題は、消費増税に当たって、
今回のような無茶苦茶なことが
堂々と行われたということです」

「もし今後、二度あるならば、
イオンとして考えをもって
対応しなければならない」

怒りの発言。
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キャッシュレスのポイント還元問題、
軽減税率とイートインの問題、
コンビニ24時間営業への経産省の関与の問題。

岡田さんはそれぞれに根拠を示して、
そのあとで言い切った。

「今回の問題で
取り戻さなければならないのは、
民主主義だと思います」

強く同感するものだ。

「霞が関も永田町も両方ともが、
民主主義と離れた方向に流れている。
ついでに言えば、
そういうことに対するマスコミの批判も
非常に少ないのではないかと思います」

「しかしこれ以上のことを今後、
絶対させてはいけないと思っています」

今、この小売業複合危機に対して、
岡田元也さんはどう考え、
どう発言するのか。

最近は、ほとんど表に出てこない。
淋しい限りだ。

〈結城義晴〉

2022年10月07日(金曜日)

オーケー「’24東大阪出店」とセブン-イレブン・ローソンの「差」

久しぶりに商人舎Web会議。IMG_60372
猪股信吾さんとは1年半ぶりくらい。
猪股さんはWebコンサルタントであり、
商人舎の広告営業マネジャー。
そして立教大学院の結城ゼミ2期生。
実に優れた修士論文を書いた。

商人舎もポストコロナ時代に向けて、
一歩一歩変わっていく。

それは皆さんと同じだ。

山本恭広商人舎編集長、
亀谷しづえゼネラルマネジャーと、
4人で写真。
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さて、商人舎流通スーパーニュース。
オーケーnews|
東大阪に店舗用地を落札/2024年に旗艦店出店予定
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オーケー㈱の関西エリアでの出店用地が決まった。
東大阪市の保有する土地を入札で落札。
JRと地下鉄の高井田駅の至近。

そしてこの地は、
㈱万代の本拠地のど真ん中。

2024年前半のオープン予定。
関西エリアの旗艦店をつくる。

住所は東大阪市高井田本通7-5-1。
地積(土地の面積)は3626.35㎡。

凄い闘いが待っている。

チェーンストア各社の第2四半期報告。
ベルクnews|
第2Q営業収益1508億円・経常利益6.6%減・経常利益率4.8%

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㈱ベルクの2023年2月期第2四半期決算。
収益認識に関する会計基準を適用している。

営業収益1508億円、
前年同期は1491億円。

営業利益は70億9300万円、
前年が73億9200万円だから減益。
経常利益72億7100万円で、
前年同期比6.6%減。

しかし営業利益率は4.7%、
経常利益率も4.8%。

8月末現在の店舗数は128店舗で、
手堅い経営は変わらない。

もうひとつはコンビニ。
ローソンnews|
第2Q営業収益4835億円38%増/経常289億円8.6%増

㈱ローソンの第2四半期決算。

営業総収入は4835億円(38.6%増)、
営業利益は290億円(8.6%増)、
経常利益289億5100万円(4.0%増)、
四半期純利益154億900万円(11.5%減)。

増収増益だが、純利益は減少。

国内コンビニ事業は、
営業総収入3433億円(前年同期比58.8%増)、
セグメント利益212億円(同14.4%増)。

期末店舗数は、
ローソン1万3854店、
ナチュラルローソン133店、
ローソンストア100が668店。

ナチュラルローソンの出店スピードは、
ひどく遅い。

株式公開を予定している㈱成城石井は、
営業総収入534億5700万円(0.8%減)、
セグメント利益は52億4400万円(同2.5%減)。
巣ごもり特需の反動で減収減益。

一方、セブン-イレブン・ジャパン。
第2四半期の営業収益は4468億円(前年同期比100.2%)、
営業利益は1267億円(同102.7%)。

チェーン全店売上高は2兆5885億円(同103.1%)。

店舗数は9月段階で2万1353店。

セブン-イレブンとローソン。
第2四半期の営業収益は、
4468億円と3433億円。
営業利益は、
1268億円と212億円。

利益はセブンが6倍で、
1000億円の差がある。

しかし営業収益は、
セブンが1.3倍程度で、
ローソンがずいぶん迫ってきた。

それに店頭のレベルも、
かつては失礼ながら、
天と地ほどの差があったが、
現時点でローソンが追い付いてきた。

感慨深い。

私は㈱商業界の時代、
1998年8月に食品商業臨時増刊号として、
「季刊コンビニ」を創刊した。

それまでCVSと略したり、
Cストアと呼ばれたり。

「コンビニエンスストア」は長すぎるので、
一番シンプルなタイトル「コンビニ」にした。

当時、私は食品商業編集長で、
取締役編集統括でもあった。

その2年後に「隔月刊コンビニ」になり、
さらに2002年8月に編集部として独立し、
月刊化して「月刊コンビニ」となった。
鈴木由紀夫編集長が誕生した。

私は専務取締役に就任して、
発行人となった。

山本商人舎編集長は、
その創刊メンバーだ。

だからセブンとローソンの現状は、
二人ともに感慨深い。

ファミリーマートを含めて、
コンビニは今、「鼎占」である。

このあと、どのようなプロセスを経て、
「複占」へと移行するのか。

ミッションが貫かれるか。
マネジメントレベルが高次であり続けるか。
そして加盟店の幸せを維持できるか。

ここにかかっている。

たとえGlobal10の大企業となっても、
加盟店の犠牲の上に成り立っていては、
ゴーイングコンサーンは実現されない。

〈結城義晴〉

2022年10月06日(木曜日)

セブン&アイ電話会見の「世界トップ10」と「逆転のダイナミズム」

今日も雨。

急に寒くなった。

気象予報コンサルタントの常盤勝美さんが、
「今年の秋は短い」と言っていたはずだが、
その通りになってきた。

その雨の中を、
松井康彦さんがやってきてくれた。IMG_E60252
商人舎エグゼクティブプロデューサー。
アド・パイン代表。

これから月刊商人舎は、
アドバタイジングを強化する。

広告出稿大募集!!!

そのための態勢を整える。
その打ち合わせ。
IMG_60262

打ち合わせのあとのランチは、
カニパスタのイタリアン。
IMG_60212
みんな㈱商業界出身。

全員満足。
IMG_60232

最後の原稿を執筆しつつ、
午後4時からオンライン記者会見。

今日は、
㈱セブン&アイ・ホールディングス。
2023年2月期第2四半期。

毎回、言わせてもらっているが、
セブン&アイの記者会見は最近、
映像はオンラインだが、
音声は電話回線を使う。

ちょっと遅れてはいないか。

しかもパソコンに映る画像は、
パワーポイントばかりで、
話し手の表情やしぐさが見えない。

つまりコミュニケーションが、
片肺飛行で行われている。

しかも語り手は、
あらかじめ書かれた文章を読み上げる。

表情やしぐさや口調や話しぶりから、
受け手は何かを読み取る。

それがない。

すると伝わりにくい。

残念なことだ。

セブン&アイの上期決算は、
営業収益5兆6515億円で、
前年同期比55.0%増。
営業利益2348億円で26.1%増、
経常利益2198億円で26.7%増。

親会社に帰属する当期利益1361億円で27.8%増。
これは過去最高益。

伊藤雅俊さんは喜んでいらっしゃるだろう。セブン&アイ決算2

井阪隆一社長が何度も強調したのは、
「世界トップ10」に入ったことだ。
message_im01_202108

そのほとんどすべては、
米国のセブン-イレブン・インクの貢献である。

セブン-イレブン・インクは、
SBIと略され、
セブン-イレブン・ジャパンは、
SEJと略される。

決算説明資料でも略語で示されるし、
音声による説明でも、
「エス・ビー・アイ」だとか、
「エス・ビー・ジェイ」だとか、
そんな用語が飛び交う。

社内や証券業界では、
もう当たり前なのだろうが、
私などどうも違和感があるなぁ。

世界トップ10に入ったから、
重要な指標はEBITDAとなった。

これも「イービットディーエー」と言ったり、
「イービッタ」と読んだり、
「エビーダ」と詰めて発音したり。

井阪さんは、
「イービッダー」と発音しているように、
電話では聞こえた。

国際企業になると、
営業利益や純利益よりも、
EBITDAを重視する。

それぞれの国によって、
金利水準はもとより、
税率や減価償却方法などが異なる。
だから単純に純利益を合算しても、
異なる国で事業を営む企業の分析には適さない。

EBITDAの指標は、
国の違いによる影響が最小限になる。

セブン&アイは上期のEBITDAは、
4683億円で前年比37.2%増。
これもいい成績だ。

EBITDAは、
Earnings Before Interest Taxes Depreciation Amortization。
その頭文字をとってEBITDA。

Earnings Before Interest Taxesは、
利払い前・税引前利益。
Depreciationは有形固定資産の減価償却費、
Amortizationは無形固定資産の減価償却費。

簡単に言えば、
〈営業利益+減価償却費〉だ。

セグメント別の実績は以下のパワポ。セブン&アイ決算3

スーパーストア事業は、
営業収益7150億円で前期比79.3%。
つまり20.7%のマイナス。
1861億円の減収。
営業利益は42億円で前期比39.0%、
61.0%のマイナス。

イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークの合算。

伊藤雅俊さんは、
悲しんでいらっしゃることだろう。

イオン㈱の吉田昭夫社長は、
「マルチ・フォーマット」を強調した。

セブン&アイは、
コンビニエンスストアの一本足打法だ。

両者の最高益の中身は異なる。

月刊商人舎5月号の特別企画は、
セブンとイオン「逆転のダイナミズム」
私は書いた。
「この熾烈な競争は、それぞれに
異なる特徴を有することによって、
日本のチェーンストアの世界に
ダイナミズムを生み出す」

「異質性をもつ者同士の
コンペティションは、
同質で量的拡大一辺倒の
従来の競争を凌駕して、
それぞれにさらなる進化と深化を
求めるからである」

セブン&アイの記者会見を聞いてから、
商人舎10月号の最後の入稿。

夜食は定番の鍋焼きうどん。
IMG_60332
午前零時前に責了した。

お疲れさん、
ありがとう。

〈結城義晴〉

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