結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年05月06日(金曜日)

ヤマダ・ノジマ・アクシアルの決算と「時間は回っている」

黄金週間明けと考えていいのか、
まだ連休の続きと思ったほうがいいのか。

5月6日は中途半端な日だ。
今日が誕生日の人には申し訳ないけれど。

朝、出勤のときに見つけた花。
バーベナ。
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別名「美女桜」。
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それからネモフィラ。
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今日は月刊商人舎5月号の責了の日。
昨日も一昨日も書き続けて、
やっと脱稿し、責了した。
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お疲れ様とありがとう。

ご期待ください。
おもしろい雑誌です。

伊藤園の江嶋祥仁さんから、
今年も新茶をお送りいただいた。
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送り来し新茶や一人占めにせむ
〈石川桂郎の句集「高蘆」から〉

心から感謝します。

商人舎流通SuperNewsは、
3月期決算が続々。

ヤマダnews|
21年度年商1兆6194億円・経常利益25%減の減収減益

㈱ヤマダホールディングスの決算。
売上高は1兆6194億円で前年同期比7.6%減。
営業利益は657億円で28.6%減、
経常利益は741億円で25.0%減。

つまり減収減益。

営業利益率は4.1%、経常利益率は4.6%。

新フォーマットの「LIFE SELECT」は、
2021年6月18日の熊本春日店を皮切りに、
改装・増床による転換によって、
18店舗をオープンした。
自慢話になってしまうが、
私はこのブログでも言い続けていた。

ヤマダ電機は必ず、
電機を取って「ヤマダ」になる、と。

それが「LIFE SELECT」フォーマットで、
家電中心にしていることは変わらないが、
住まい用品ディスカウントストアになった。

それでも減収減益。

一方、ノジマnews|
年商5650億円8.0%増・経常利益44.5%減の増収減益

㈱ノジマは、
売上高5650億円(前年同期比8.0%増)、
営業利益332億円(2.0%減)。
経常利益359億円(44.5%減)。
経常大幅減は、
スルガ銀行株式会社の持分法適用化の影響。

営業利益率は5.9%、経常利益率は6.3%。

新宿、池袋など駅前の好立地に積極的な出店。
17店舗を新規出店し、既存店改装も進めた。

社長の野島廣司さんは、
長らく商業界で勉強し、
とくに故川崎進一先生に師事した。

その成果が出ていると思う。
うれしい限りだ。

アクシアルnews|
年商過去最高2465億円/利益は過去2番目の好業績

アクシアルリテイリング㈱の決算。
売上高は過去最高。
営業利益、経常利益、純利益は、
過去2番目の結果となった。

おめでとう。

その売上高は2465億円、
営業利益103億円(前年同期比14.9%減)、
経常利益106億円(15.5%減)。

営業利益率4.2%、経常利益率4.3%。

範囲の経済圏の中で、
寡占から鼎占へと進んでいる。

アクシアルはそこで、
実にいいポジションを得ている。

もちろん経営幹部と従業員の努力の成果だ。
胸を張っていい。

朝日新聞「折々のことば」
第2371回。

むかしは
一直線に進んでいくように
感じてたけど、
ここでは
回ってる感じがする
(『川上農園通信』第318号から)

都会から宮崎県の里山に移住し、
農園を営む夫婦。
「綾町イオンの森」の人たちだ。

「ここでは”時間は回っている”」

「毎年、同じことを同じ順にやる。
やり損なってもまたやる」

「遊びに来た学生にそれを話すと、
彼は考え込み、
時間を直線と思い始めたのは
“目標とか決めた頃”かなと呟(つぶや)いた」

「時の重心が現在から未来に移行すると、
時間も未来に引っ張られるからか」

小売業も農業と同じで、
時間は回っている。

一直線に進むばかりが、
いいわけではない。

時間は回っていながら、
少しずつ前進する。

毎月の雑誌づくりも同じだ。

それでもじりじりと前に進めばいい。
一直線の前身こそむしろ、
異様で危険なのかもしれない。

〈結城義晴〉

2022年05月05日(木曜日)

「すべての人類は児童に対し最善のものを与える義務を負う」

日本の総人口。
総務省から4月20日に発表された。
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4月1日現在の概算値は、
1億2519万人。
前年同月と比べて67万人の減少。
パーセンテージでマイナス0.53%。

確定値は昨2021年11月1日現在の数値。
1億2544万3000人で、
これも前年同月に比べると、
66万3000人の減少。

そのうち15歳未満人口は、
1476万2000人で、
前年同月に比べ25万2000人減少。
1.68%のマイナスだ。

総人口に占める割合は11.8%。

こどもの日だからこそ、
それを強く実感する。

この15歳未満人口が、
日本の未来を決定づける。

もちろん商業の未来にとっても、
一番大事な年齢層である。

ちなみに15~64歳人口は、
7445万8000人。
前年同月に比べると59万1000人減。
0.79%マイナス。

総人口に占める比率は59.4%。

この年代を「生産年齢人口」と呼ぶ。
労働の担い手だが、
一応、統計上は義務教育が終了した世代、
つまり15歳以上となっている。

一方、65歳以上人口は、
3622万4000人。
こちらは前年同月に比べて、
18万1000人増加している。

総人口の28.9%を占める。

私もここに属すことになるが、
私たち高齢者の3622万人は、
1476万人に対して、
限りなく奉仕すべきだろう。

それがこどもの日の、
高齢者の決意だ。

15歳未満が未来を、
15歳から64歳が現在を、
そして65歳以上が過去を、
それぞれ担っているし、
担ってきた。

北海道新聞の巻頭コラム「卓上四季」
タイトルは「子どもの権利」

1924年、国際連盟で、
「子どもの権利宣言」が採択された。

その草案を書いた英国人教師が、
エグランタイン・ジェブさん。
〈セーブ・ザ・チルドレンのホームページより〉
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クリミヤ戦争のナイチンゲールと同じように、
第1次世界大戦の戦災孤児を、
敵味方の区別なく救おうと、
基金を立ち上げた。

「すべての戦争は
子供たちに対する戦争なのです」

ここから国際支援団体が誕生した。
「セーブ・ザ・チルドレン」
〈同ホームページより〉
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イギリス人女性はその意味で、
素晴らしい人が多い。

第1次世界大戦では、
孤児が600万人に上った。
敗戦国ドイツの子どもたちの惨状を、
ジェブさんたちは訴えて、
難民支援に取り組んだ。

1921年にはロシア飢饉が起こった。
1917年のロシア革命のあとのことだ。

ジェブさんたちは、
ここでも30万人の子どもたちを救った。

子どもたちを救う活動は、
イデオロギーを超えていた。

ジェブさんの文言。
「すべての人類は児童に対し、
最善のものを与える義務を負う」

「子どもの権利条約」の礎となった。

コラムは最後に、
一つのエピソードを紹介する。
「英国の海上封鎖を批判する
ビラを配ったジェブは
逮捕されたことがあった。
懸命に支援を訴えるジェブの姿に
心動かされたのだろう。
罰金5ポンドの支払いは検察官が肩代わりし、
ジェブはその5ポンド分を
基金に入れたという」

「寄付第1号の原資となった5ポンドの逸話に
光明を見るこどもの日である」

私たち高齢者は、
限りなく子どもたちに奉仕すべきだ。

それがこどもの日の私の決意だ。

〈結城義晴〉

2022年05月04日(水曜日)

クリミア戦争のトルストイとナイチンゲール

みどりの日の祝日。
「自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し、
豊かな心をはぐくむ」

ゴールデンウィークも終盤。

ウクライナ戦線に異常あり。
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ウォロディミル・ゼレンスキー大統領。
ウォールストリートジャーナル開催の、
イベントにオンラインで登壇。
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「領土保全が我々の第一の任務だ。
クリミアを取り戻したいと考えているし、
それは可能だ」

クリミヤ半島は黒海の北岸にある。

1853年から56年まで、
ロシア帝国が、
トルコ・イギリス・フランスなどの連合軍と闘った。
「クリミヤ戦争」と呼ばれる。

レフ・トルストイはこの戦争に従軍した。
26歳の士官候補生だった。
驚くことに陣中で『セヴァストポリ物語』を書いた。
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トルストイはその10年後、
36歳のときに『戦争と平和』を書き始めた。

フローレンス・ナイチンゲールは、
このクリミア戦争で、
敵味方の別なく傷病兵の看護に尽くした。
イギリスの看護婦で社会起業家。

「クリミアの天使」と称された。
それが後年、赤十字運動につながった。
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連合軍の戦死者は7万人、
ロシア側は13万人にもおよんだ。

国際連盟も国際連合もなかったが、
文豪は小説を公開し、
赤十字の精神が生まれた。

プーチン戦争にそれはない。
事実を隠蔽し、
無差別の殺戮を繰り返す。

人間の歴史は、
果たして進歩しているのだろうか。

クリミヤ戦争から160年後。
ロシア帝国はソビエト連邦に変わり、
さらにロシア連邦に変わって2014年、
クリミヤはウクライナ領になっていたが、
ウラジーミル・プーチンによって、
一方的に武力併合された。

国際連合にも承認されていない。

ゼレンスキーは、
それを取り戻すと宣言した。

ウクライナは「領土問題では妥協しない」。
喜んでいいのかどうか。
いずれにしろ、戦争は続く。

さて、先のナイチンゲール。
『看護覚え書』を著している。
その「ロンドンの子供たち」より。

「子供たちに、
新鮮な空気が入り、
明るく、陽(ひ)当たりよく、
広々とした教室と、涼しい寝室とを与え、
また戸外でたっぷりと運動をさせよう」

マリウポリの製鉄所から、
女性や子どもたちが避難してきて、
解放された喜びと、
地下生活の辛さを語った。

ナイチンゲール。
「たとえ寒くて風邪の強い日でも、
暖かく着込ませて充分に運動させ、
あくまで自由に、
子供自身の考えに任せて、
指図(さしず)はせずに、
たっぷりと楽しませ遊ばせよう」

「もっと子供に解放と自然を与え、
授業や詰めこみ勉強や、強制や訓練は、
もっと減らそう」

「もっと食べ物に気をつかい、
薬に気をつかうのはほどほどにしよう」

あくまで自由に。
子供自身の考えに任せる。
指図はせず、
詰め込み教育、強制や訓練は、
減らそう。
たっぷりと楽しませよう。
遊ばせよう。

明日はこどもの日だ。

〈結城義晴〉

2022年05月03日(火曜日)

75年目の憲法記念日「何はあれけふうららなり」か?

朝から自宅で原稿を書き、
昼すぎに商人舎オフィスに出て仕事。
月刊商人舎5月号を責了する。

「勝って兜の緒を締めよ」
「負けて褌を締めてかかれ」

今月の原稿では、
こんな言葉を対比的に使った。

日本語は面白い。

施行75年目の憲法記念日。
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憲法記念日天気あやしくなりにけり
〈大庭雄三〉

天気も怪しくなったが、
憲法論議も怪しくなりにけり。

憲法記念日何はあれけふうららなり
〈林 翔〉

ゴールデンウィークの中の憲法記念日。
何はあれ、今日、うらら。
それでいいか。

憲法記念日罐詰にもある裏表
〈佐藤正賢〉

缶詰にも裏表がある。
憲法にも裏表あり。
裏表の論議あり。
それでいいのか。

憲法記念日鴉は黒かむらさきか
〈星野麥丘人〉

これも同じ。
カラスは黒色か紫色か。

読む気せず憲法記念日の社説
〈井出和幸〉

そこで各紙の社説。
今年はタイトルのオンパレード。
それだけで中身はおおよそ見当がつく。

「人権守り危機に備える憲法論議を深めよ」
〈日本経済新聞〉

「憲法記念日に
浮足立たず、向き合う時だ」
〈京都新聞〉

日経と京都新聞は、
向き合いつつ、論議を深めよ。

「憲法施行75年
激動期に対応する改正論議を」
〈読売新聞〉

読売は改憲派だ。
故渥美俊一先生は、
読売の記者だったが、
改憲派だったのだろうか。
聞きそびれた。

「揺らぐ世界秩序と憲法
今こそ平和主義を礎に」
〈朝日新聞〉

「危機下の憲法記念日
平和主義の議論深めたい」
〈毎日新聞〉

朝日、毎日は「平和主義」を主張する。

「きょう憲法記念日
平和の理念今こそ大切に」
〈北海道新聞〉

「どうしん」はいつも平和理念を謳う。
それがブロック紙として、いい。

「憲法記念日に考える
良心のバトンをつなぐ」
〈中日新聞・東京新聞〉

発行部数は実は、
中日新聞・東京新聞が第3位だ。
そして結構、リベラル。

その社説。
「民主主義は”現在”の多数派が
少数派の意見を踏まえつつ権力を行使します。
それに対し、憲法を力にする立憲主義は
“過去”が未来を拘束します」

「例えば”過去”が保障した基本的人権は、
“現在”の多数派がたとえ奪おうとしても、
奪うことができません」

「人間は愚かで移ろいやすいゆえに、
憲法原理は変えられないようにしているのです」

これ、護憲派の主張。

日本国憲法の基本的な考え方は定着した。
国民主権、平和主義、基本的人権の尊重。

これを変える意味はない。

しかし戦後の憲法制定時の想定を、
はるかに超える状況が生まれた。

新型コロナウイルス感染拡大は、
「個人の自由」と「社会の安全」の、
トレードオンを要求している。 tobira
大震災などの災害、テロリズム、
そしてロシアのウクライナ侵攻。

とくに「プーチン戦争」は、
「法と正義」に基づく国際秩序を揺るがしている。
日経新聞号外ウクライナ侵攻
憲法9条が定める戦争の放棄、
そして戦力および交戦権の否認は、
日本の国土と国民を守る防衛力強化と、
どう整合性をとるのか。

ここでもトレードオンが求められる。
tobira
カラスは黒か紫かと、
どちらかに決めることではない。
両方だ、と言っていい。

立法府たる国会での真摯な論議は、
不可欠だし、
私たち国民も一人ひとり、
この考察を深め、
議論に参加すべきだと思う。

さて、「読む気せず」と詠んだ俳人は、
どの新聞を読んでいたのだろう。

日本新聞協会の2021年12月下旬の調査。
一般の日刊紙97紙の総発行部数は、
3065万7153部。

前年に比べると179万7643部減で、
これは5.5%の減少。

20年前の2001年は4700万部、
10年前の2011年は4400万部。

3000万部割れ目前。

高度経済成長期の1966年に、
3000万部台に乗った。

そして1990年代末は5000万部超のピークだった。

不思議な同期現象だが、
日本の総合スーパーのピークは、
1997年だった。

その後、新聞も総合スーパーも、
現在まで下降が続く。
部数減、売上げ減が止まる気配はない。

しかしそれでも新聞は、
3000万部も読まれている。
こちらのほうが不思議か。

私も新聞は、
ネットで読むことがほとんどだ。

そのネットで知る世界の動向、
ウクライナの情勢。
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「何はあれけふうららなり」とはいかない。

〈結城義晴〉

2022年05月02日(月曜日)

イビチャ・オシム逝去/その語録「走って走って走れ!」

Everybody! Good Monday!
[2022vol⑱]

2022年第18週。
5月第1週。
ゴールデンウィークの後半。

商人舎裏の遊歩道。
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緑が深くなって、
しかもその緑がまぶしい。IMG_27072

ランチは北海道らーめん「楓」。IMG_27022

堪能しました。IMG_E27032

毎年書いているし、
昨日も書いたけれど、
今週は子と母の週。

5月5日のこどもの日は、
国民の祝日に関する法律第2条の趣旨は、
「こどもの人格を重んじ、
こどもの幸福をはかるとともに、
母に感謝すること」

自分自身もその感謝の気持ちを持つとともに、
われわれの武器である店舗では、
母と子のためのプレゼンテーションを、
精一杯、盛り上げたい。

イビチャ・オシム氏が亡くなった。
サッカー元日本代表監督。
80歳だった。
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ユーゴスラビアのサラエボ生まれ。
64年の東京五輪に同国代表として出場。
90年のワールドカップイタリア大会では、
監督としてストイコビッチらを擁して、
ベスト8の快挙を成し遂げた。

Jリーグにやって来て、
2003年から監督業。

ジェフユナイテッド市原を率い、
ユニークなチームづくりで快進撃。

私は日本リーグ時代から、
父が務めた古河電工のファンだった。
そのチームがJリーグでは、
ジェフユナイテッドとなって、
リトバルスキーなどが活躍した。

だから新監督のオシムに期待した。

オシムはジェフでの手腕を買われて、
2006年のW杯ドイツ大会後に、
日本代表監督に就任。

「オシム語録」はいつも印象に残った。

2003年1月、ジェフ監督就任あいさつ。
「君たちはプロだ。
休むのは引退してからで十分だ」

ジェフの監督時代に故障者が続出した。
「肉離れ?
ライオンに襲われた野うさぎが
逃げ出すときに肉離れしますか?
準備が足りないのです。
私は現役のとき1度もしたことはない」

「レーニンは、
勉強して勉強して勉強しろと言った。
私は選手に、
走って走って走れと言う」

「疲れているのはわかるが相手も同じ。
走りすぎても死なない」

「サッカーは
危険を冒さなければならないスポーツ。
でないと塩とコショウのないスープになる」

「こぼれたミルクは元に戻らない。
うちは勝ち点を失ってきた。
電車は行ってしまった。
駅に着いたのが遅かった」

オシムはアナロジーの達人だ。
たとえ話が実に的確だ。
オシム
新加入選手懇親会で両親たちには?
「あなたは息子さんを
最後まであきらめずに走る子供に
育てましたか?
もしそうでなければ
期待をしない方がいいでしょう。
もしそうなら、
私が責任を持って育てます」

2003年5月、Jリーグ戦は、
中断期間を設けた。
「残念なことに7、8月は選手に休みを与える。
ただ忘れてほしくないのは、
休みから学ぶものはないという点。
選手は練習と試合から学んでいくものだ」

ジェフの成功を評価されて一言。
「つくり上げることは難しい。
でも、つくり上げることの方がいい人生だ」

2006年6月、日本代表とジェフの
兼任監督を要請された。
「2つの車を同時に運転することはできない」

2006年W杯ドイツ大会で、
日本は1次リーグ敗退した。
それを嘆く日本全体の風潮に対して一言。
「物事を客観視すればいい話ができる。
自分たちの能力以上のものを
期待して盛り上がると、
失望することになる」

2006年7月、日本代表監督内定のとき。
「古い井戸には水が少し残っている。
それなのに、古い井戸を完全に捨てて
新しい井戸を掘りますか?
古い井戸を使いながら
新しい井戸を掘ればいい」

日本人選手の特長を指摘する。
「世界基準があっても、
日本は誰のまねもしない方がいい。
ほかの国にないものを持っている。
俊敏性、積極的な攻撃、高い技術。
でも、教育の段階から
自由に判断することを許されていない」

「チームを“日本化”させること。
つまり日本代表が本来持っている力を
引き出すことが必要だ。
そして初心に帰ることも大切。
日本人らしいサッカーをしようということだ」

「巻には何もいうことはない。
巻はジダンにはなれない。
でもジダンにはないものがある」
巻はジェフのエースストライカーで、
ジャパンのエースでもあった。

2007年3月、天才中村俊輔のプレーを語った。
「天才ぶりを発揮する機会は何回かに一度。
いつも天才であろうとすると、
結果は無残に終わる」

2007年7月、アジア・カップ初戦。
カタールと引き分けた時に選手たちに。
「お前たちはアマチュアか。
プロの私は死ぬ気でこの試合に臨んだのに、
そういう気持ちがあったのか」

「勝つと大切な直すべき点が見えてこない。
歴史、戦争、原爆の上に立って、
考えるべきだ。
負けたことから、
最も教訓を学んでいる国は日本だ。
今は経済大国になっている。
失敗から学ぶ姿勢がなければ、
サッカーは上達しない」

最後に90年代、
祖国の内戦を乗り越えて、
欧州でクラブ監督に歴任したとき。
戦争から何を学んだのか、と聞かれて。

「戦争から学べたとすれば、
それは必要なものになってしまう」

そう。
戦争から学べるものなんて、
何もない。

イビチャ・オシム。
ご冥福を祈る。

では、みなさん、今週も、
走って走って走ろう。
考えて考えて考え抜こう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年05月01日(日曜日)

丘浅次郎の「信ずる働きと疑う働きとを適当に養うこと」

いやはてに
鬱金(うこん)ざくらのかなしみの
ちりそめぬれば
五月(さつき)はきたる
〈北原白秋〉

ウコンザクラはバラ科サクラ属の植物。
オオシマザクラをもとに、
日本原産で生まれた栽培品種、
サトザクラ群のサクラ。

鬱金色はやや赤みを帯びた黄色。
だからウコンの別名は「浅黄(桜)」。

白秋はその浅黄の桜が散る中で、
五月が来たことを思う。

その5月です。

ゴールデンウィークが、
5月5日のこどもの日で終わると、
3日後の8日の日曜日は母の日。

毎年のように言っているが、
だから今週は子と母の日、
母と子の日。

日経新聞巻頭コラム「春秋」

日本画の大家・鏑木清方(かぶらききよかた)。
その随筆「若葉」から。
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「五月という月は
若いものだけに許された
季節のような気がする」

「鮮やかな緑、強く匂う花々、きらめく光」
それが5月だ。

一方、ビー・ジーズの「ファースト・オブ・メイ」
「5月になると若い頃を思い出す――」と歌う。
ビージーズ

邦題は「若葉のころ」。

1971年の映画「小さな恋のメロディ」で、
主人公のダニーとメロディが、
並んで下校するシーンで流れた曲。
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「古い因習にあらがい、
自由を求める子供らの奮闘ぶりが
歌と相まって共感を呼んだ」

「若者らが思い切り手足を伸ばし、
誰もが心躍り風薫る初夏」

それが5月だ。

コラム。
「観光船の遭難も軍事侵攻も、
これから人生で若葉の季節を迎えるはずの
子供や若者が犠牲になった」

「国民への奉仕者であるはずの
政治のリーダーを、
王様のように子供や若者にあがめさせる。
そんな映像も海外から伝わる」

「時代錯誤だと思うものの、
自由を尊んできた国々に
同種の窮屈さが広がる兆しもある」

「安全でのびやかな世界を
子供らに渡すという責任を、
大人はきちんと果たしているか。
自問すべき5月になった」

「春秋」に同感して、
ほぼ全文をダイジェストした。

丘 浅次郎。
1868年(明治元年)~1944年(昭和19年)。
動物学者であり、
高等師範学校教授だった。
〈出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」(https://www.ndl.go.jp/portrait/)
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「初等教育においては、宜(よろ)しく、
信ずる働きと疑う働きとを、
いずれも適当に養うことが必要である」

素晴らしい。

「疑う理由の有ることは
何所(どこ)までも疑い、
信ずべき理由を見出したことは
(たしか)にこれを信じ、
決して疑うべきことを
疑わずに平気で居たり、
また信ずべき理由の無いことを
軽々しく信じたりすることの無い様に、
脳力の発達を導くのが、
真の教育であろう」
(「疑いの教育」より)

明治の人だが、
教育の本質を言ってくれている。

仕事でも商売でも同じだ。
アカデミズムもジャーナリズムも、
つまり大人の世界でも、
まったく同じだ。

疑う理由があるときには、
どこまでも疑う。

信じるべき理由が見つかったら、
確かにこれを信じる。

疑うべきことを、
疑わずに平気でいる。

また信じるべき理由がないことを、
軽々しく信じたりする。

これらの行為がなされないように、
自分の脳の力を養い、鍛える。

つまり盲信や盲従をしない。
自分の頭で論理的に考察する。

すぐ役に立つことは、
すぐに役立たなくなる。

その理由を追求する。

そのためにいい本を読む。
優れた人の話を聞く。
美しいものを見る。
聴く。触れる。

いい店を見るし、
いい商品を愛でる。

真理を追い求めながら、
仕事に邁進する。

そんな5月にしたいものだ。

〈結城義晴〉

2022年04月30日(土曜日)

セブン&アイの「27億円の男」か「お客様最上位の組織」か。

2022年4月最後の日。

二月の雪、三月の風、四月の雨が、
輝く五月をつくる。
内館牧子さんのエッセイにある。

黄金週間の土曜日だけれど、
商人舎オフィスに出て、
原稿執筆と原稿手直し。
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編集作業をして、
デザインの七海真理さんに入稿した。
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疲れた。
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今日の朝日新聞「折々のことば」
第2365回。

やっぱり仕事は
命に
目立てをかける事なんだなァ
(土田一郎の父)

「鋸(のこぎり)目立て職人の父は、
親からもらった体は
減らないものと思っていたが、
鋸と同じで、
いい仕事をしようとつい酷使するうち
やっぱり細ってくると嘆いていたと、
跡を継いだ息子はいう」

「根を詰めればいやでもタコはできるし、
持病も出てくる」

「それでも人が働くのは、
命を削ってでもそれに
張りをもたせようとするからだ」
(『職人衆昔ばなし』から)
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命を削ってでも、
商品に張りをもたせる。
売場や店に張りをもたせる。

本や雑誌、文章に張りをもたせる。

そのために人は働く。

今日の気分にぴったりだ。

今月の日経新聞に、
セブン&アイ・ホールディングスの、
組織や役員会についての、
署名記事が2本掲載された。

対照的で面白い。

セブン&アイにとっても、
これは有益だった。

ひとつの原稿は今日の記事。
「セブン&アイ、外国人が社長になる日」
論説委員の中村直文さんが書いた。

ふたつめは4月15日に発表された記事。
「セブン&アイ、逆三角形の組織図の思想を保てるか」
編集委員の田中陽さんの筆。

中村記事はこう始まる。
「セブン&アイ・ホールディングスの役員は
かつてこう話していた」

この語り口は、
新聞記者や雑誌記者がよく使うが、
私は嫌いだ。

名前を明かさない裏話。

その匿名の役員は言う。
「投資家やアナリストの話ばかりを聞いていたら、
経営革新なんてできないよ」

これは、その通り。

しかしこれ、
言ったのは鈴木敏文さんだと、
私は推測する。
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「そんな同社が米アクティビスト(物言う株主)の
バリューアクト・キャピタルなどの声を受け、
取締役の過半を社外人材にする。
隔世の感がある」

そのあとに鈴木さんの記述がある。

「セブン&アイは少なくとも
6年以上前までは自信に満ちていた。
創業者の伊藤雅俊氏による
イトーヨーカ堂の業務改革、
鈴木敏文氏が主導したセブンイレブンの導入など、
日本の流通業界をけん引し続けてきた」

この表現は厳密に言えば間違っている。

業革もセブン-イレブンも、
伊藤さんが容認して、
鈴木さんが実行した。

「外部から招いた
サラリーマン経営者の鈴木氏を
絶対的なリーダーとして、
2005年にイトーヨーカ堂から
セブン&アイへ社名変更まで認めたことも
実に革新的だ。
創業一族の”イトー”(伊藤)を
表看板から消したわけだから」

これもニュアンスが違う。

鈴木さんは「外部から招」かれたわけではない。
若いころに東販を辞めて、
イトーヨーカ堂に転職しただけだ。
あとは自力でのし上がった。

「かつて役員が語ったように、
鈴木氏は二番煎じを嫌い、
誰もが反対してきた事業で
成功を収めたとの自負が強かった」

ここで「かつての役員」は鈴木さん自身だから、
これは鈴木さんが自分を語ったものだ。

「恐らく鈴木氏自身が内部にいながら
“アウトサイダー”という
自覚があったからだろう」

中村記事は、
鈴木=アウトサイダー、
=外国人取締役⇒外国人社長と、
ストーリーが続く。

そしてこれが結論。
「カギを握るのは”27億の男”と呼ばれる人物だろう」

「セブン&アイの取締役にして、
米セブン-イレブン社長の
ジョセフ・マイケル・デピント氏だ」

週刊誌的な記事だ。

「デピント氏は02年に入社し、
米国事業の基盤を固めてきた。
直近の報酬は約27億円で
井阪隆一セブン&アイ社長の約20倍を手にしている」

一方の田中陽原稿の冒頭は、
「セブン&アイは取締役会の過半数を
社外メンバーにする方針だ」

同じテーマ。

「先進的なガバナンス体制をつくります」
井阪隆一社長が力を込めて語った。

しかし田中原稿の主役は、
創業者の伊藤雅俊さんだ。
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一般の会社組織は、
「三角形の樹形図」のようになっている。

頂点に株主や株主総会が構える。
その下には会長や社長、
その下に総務部、人事部、営業部、
企画部などが横並びで配置される。
さらに一段下がって、
三角形の底面には各部の課や室や研究所などが
末広がりにぶら下がる。

それに対して、セブン&アイの組織は、
「逆三角形」になっている。

「まず最上部は、
全国にある店舗や地域が横一線に並ぶ。
その下には店舗や地域のオペレーションを支える部署、
その下に本社や本部の管理部門がある。
そして逆三角形の下の部分には
社長(会長)があり、一番下には取締役会、
そして株主」

「”お客さま”は最上位の位置づけだ」

これは伊藤さんの考え方だ。

田中原稿は、
伊藤さんの30年以上も前のコメントを書く。
「会社の利益の源泉は
お客様の買い物金額から生まれます。
そこから、仕入れ先への支払い、
従業員への給料や賃料などに使い、
残ったお金を株主への配当に回します。
だから一番、偉いのは
お客様や地域の皆さんなのです」

この逆三角形の組織図が導入されたのは
1968年だった。

1978年、イトーヨーカ堂は、
日本企業として戦後初の無担保社債を
米国で公募発行した。

この時の伊藤さんの感想。
「企業として下着まで脱がされた気がした」

伊藤さん、いい表現するねぇ。
そして田中さんもよく覚えているねぇ。

伊藤雅俊さんの述懐。
「上場すると内なる規律と
外からの規律に縛られる」

「そんなセブン&アイHDが、
消費者(お客様)から遠い取締役会に
外部人材を多く登用する」

そして田中陽、渾身の一言。
「そこに魂は入るのか」

「決算発表の翌日のセブン&アイHDの株価は
強烈な売りを浴びせられた」

「おそらくヨーカ堂やセブン-イレブンで
買い物もしたことがないような
海外の投資家などから学ぶことが
どれほどあるのか」

同感だ。

日経新聞の二つの記事は、
対照的だ。

一方は鈴木敏文の言葉を、
匿名性を出し入れして書かれる。

一方は伊藤雅俊の述懐を、
掘り起こしつつ綴られる。

27億円の男が社長になるか。
それとも、
お客様を最上位にした組織が蘇生されるか。

私の答えははっきりしているが、
セブン&アイも「解」を求めておくべきだ。

命を削ってでも、
張りをもたせる会社と組織が、
つくられねばならない。

〈結城義晴〉

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