結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年04月21日(日曜日)

イオンのパートタイマー40万人の「中核業務」と「業俳と遊俳」

日経新聞日曜版の一面記事。
「イオン、パートも中核業務」

イオンは日本国内に、
40万人の非正規社員を雇用する。
国内最大のパートタイマー数である。

店舗の販売部門に、
AIの業務システムを導入している。
たとえば「AIワーク」は、
ワークスケジューリングを自動化したシステムだ。

4月末からすべてのパートタイマーを対象に、
AI活用の研修を施したうえで、
従業員の勤務計画や商品の発注、
さらに販売計画づくりなど、
店舗の中核業務を担えるようにする。

つまり正社員の仕事を移管する。

とくに販売計画は現在、正社員が担っている。
売上げや仕入れに直結する中核業務だ。

AIを使うとその作成時間は8分の1となる。
飛躍的に負荷が軽くなるため、
正社員の業務の一部を移管することができる。

月刊商人舎2022年11月号の記事。
イオンリテール「データドリブン改革」物語
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当時の天池志光ストアオペレーション部長に、
存分に語ってもらった。
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40万人のパートタイマーの人たちが活躍して、
中核の業務を担うようになる。

これからのオペレーションの方向性を示している。

さて、日経新聞の文化欄。
結構充実している。
「現代の詩人の名句」
詩人の高橋順子さんが書く。

金子兜太は俳人たちを分類した。
「彼は業俳(ぎょうはい)
「彼は遊俳(ゆうはい)
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業俳は専門俳人。
主宰誌をもったり選句をしたりして、
作句を生業(なりわい)にしている人。

遊俳は楽しみで俳句を作っている人。

現代詩の詩人たちに「遊俳」が多い。

たとえば辻征夫(つじゆきお)『貨物船句集』より。
満月や大人になってもついてくる

「いまでもそのへんの路地に、
ぼおっと月を見上げている辻が立ち止まっていて、
ぶつかってしまいそうだ」

もう一句。自由律。

雪降りつもる電話魔は寝ている

三好達治の「雪」。
「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ」

あれを前提にした句。

抒情的な雪が降っているとき、
電話魔は寝ている。

面白い。

詩人・山本楡美子(ゆみこ)の遺句集『楡の花』
夕焼けや家族の名前を書いてみる

高橋評。
「夕焼けは家族と取り合わせると、
なつかしい絵本の味わいである。
しかし家族の名前を書けと
いわれないのに書いている、
これは尋常ではない。
手元にあかあかと
悲痛な夕焼けのかげがさしている。
別れを意識しているのである」

詩人・那珂太郎の遺句集『空寂(くうじゃく)』から。

白障子あくれば虚空に通ふらし

「現実と紙一重のところに
“無”をのぞきこむ瞬間は、
短い俳句のかたちでこそ
印象がより鮮明になるようだ」

作者も俳句のつもりだが、
けれどもこの透徹した美しいイメージは、
謎をはらむゆえに現代詩でもある。

現代詩人の遊俳がつくった俳句。
実に面白い。

同じようにパートタイマーの人たちは、
日本では主婦のプロであることが多い。

その遊俳たちがつくった販売計画。
業務計画や発注計画。

面白いかもしれない。
いや、面白いに違いない。

業俳の句とは違っている。
そこがいいことも多い。

業俳と遊俳。

故金子兜太先生、さすが。

〈結城義晴〉

2024年04月20日(土曜日)

合併における「求心力の自力本願型と遠心力の他力本願型」

結城義晴の毎日更新宣言ブログに、
毎日投稿してくださる。

吉本一夫さん。

USMHにいなげやが加わるブログに対して、
コメントしてくれた。

「求心力で成長する自力本願型と、
遠心力で成長する他力活用型。
その違いがどこで生まれるのか不思議です」

「ビジョン実現のためにどちらが
より確度が高いかという単に選択肢の問題なのか、
或いは創業時からのDNAの問題なのか。
そこがよくわかっていないと、
M&Aの失敗につながる気がしています」

素晴らしいご指摘。

「求心力の自力本願型と
遠心力の他力本願型」

M&Aは経営者の意思決定によって実行される。
したがってトップマネジメントが、
もともと独立独歩型なのか、
仲間とともに歩む共同型なのか。
それが基調になる。

しかし業界や業態の競争環境が、
影響を与えている場合も多い。

小売業は有店舗事業です。
有店舗事業は一に立地、二に立地、
三四がなくて五に立地などと言われる。

つまり立地争いとなる。
先にいい立地を抑えられたら、
あとから出て行っても商売はしにくい。

それから商勢圏も早い者勝ちです。
あるエリアにドミナントを築いてしまえば、
あとからそれを食い破るには、
大変なエネルギーが必要となる。

そこですでにある店、
すでにあるドミナントを、
買収、あるいは経営統合することになる。

小売業のM&Aの特徴。

チェーンストアとなった小売業は、
経営統合こそ成長の早道なのだ。

日経新聞の今月の「私の履歴書」は、
日本製鉄名誉会長の三村明夫さん。

製鉄業でも八幡製鉄と富士製鉄が、
1970年に合併して新日本製鉄となり、
さらに2012年に住友金属工業と統合して、
日本製鉄が生まれる。

店舗事業でなくとも、
企業の巨大化と競争状況によって、
M&Aは起きてくる。

こちらは産業の中で、
トップか、2位、3位かが、
営業上も経営上も意味を持つことが根拠となる。

私の言う寡占や鼎占、複占。

都市銀行はメガバンク三行となり、
製鉄は日本製鉄、JFEHD、神戸製鋼所、
そのあとを日立のプロテリアルが追う。

食品では食肉製造業が、
日本ハム、伊藤ハム米久HDが2強で、
そのあとにプリマハム 、スターゼンが続く。

ビール業界はずっと、
アサヒ、キリン、サッポロとサントリーの寡占だ。

産業が成熟してくると、
規模のメリットが追求されて、
どうしても上位集中となる。

日経新聞の「イブニングスクープ」
「セブン、本部主導で値引き推奨」
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セブン-イレブン・ジャパンが、
5月から「値引き」を始める。

かつての鉄則が変わっていく。

システムによって商品の販売期限を店に知らせる。
仕様を統一した値引きシールを用意して、
本部主導で値引きを推奨する。

対象商品はおにぎりやサンドイッチ、弁当など。
約300品となる。

廃棄する数時間前に値下げシールを貼る。
ネーミングは「エコだ値」。
20円、30円、50円、100円の4種類の値引き。
パーセントではない。

各店の手書きするタイプも用意する。

値引きは最終的には加盟店の判断になる。

昨2023年に実験をした。
直営とフランチャイズチェーンの約220店。

店舗の廃棄額は1割程度減り、
店舗の1日当たり売上高は増えた。

現在は廃棄商品の原価の15%は本部負担だ。
廃棄が減れば本部の収益も底上げされる。
もちろん加盟店の利益も上がる。

セブンはながらく「値引き」や「見切り」を、
禁止してきた。

しかし現状は、
全体の約3割が恒常的に値引きする。

公正取引委員会が2020年に見解を示した。
本部による加盟店の値引き制限が、
独占禁止法違反に当たる可能性がある。

それが大きく変わって、
セブンは本部推奨となる。

他はまだ加盟店の判断で行う。

コンビニ産業も典型的な鼎占である。
セブン、ファミリーマート、ローソン。

そしてファミリーマートとローソンは、
積極合併の他力本願型で、
国内セブンは自力本願型だ。

『岡田卓也の十章』という本。
私が商業界社長を辞するときに、
残してきた本だ。
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その第六章のタイトルは、
「企業の成長は合併の歴史である」

この章の最後の言葉。
「絶えず、社内に危機感を持たせ、
絶えず革新していかなければ、
企業は三十年たつと必ずおかしくなる」

「だから、わたしは、そうなる前に、
会社に大きな改革を促すために、
『変化』を選択してきた」

岡田卓也の経営の神髄。
合併は社内に変化を強要するものだ。

これは単純な他力本願の合併とは異なる。

他と力を合わせるときに、
その化学反応を変化の原動力にする。

商人の本籍地と現住所。
ビジネスマンの本籍地と現住所。
社会人の本籍地と現住所。

一定の規模を超えた店舗小売業の場合、
この本籍地と現住所の概念は、
不可欠のものとなってきた。

新入社員がすぐに辞めてしまう場合は、
本当の意味の本籍地にはならない。

それは残念なことだ。

〈結城義晴〉

2024年04月19日(金曜日)

USMHにいなげやが参画して1兆円を目指す時の「気概」

1年で一番快適な4月の一日のはずが、
風が強く吹いた。

そのうえ、
黄砂が東日本や関東を覆った。

午前中は新横浜へ。
横浜労災病院。
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午後、商人舎オフィスに出社。

商人舎流通SuperNews。

U.S.M.Hnews|
11/30付でいなげやと経営統合/関東SM1兆円構想に前進

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス㈱。
略称U.S.M.H。

㈱マルエツ、㈱カスミ、マックスバリュ関東㈱。
そのホールディングカンパニー。
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ここに㈱いなげやが加わった。

株式交換契約を締結して、
U.S.M.Hが株式交換完全親会社となり、
いなげやを株式交換完全子会社とした。

もちろんイオン㈱傘下の、
関東スーパーマーケット連合。

U.S.M.Hニュース
23年度営業収益7067億円0.3%減・経常利益6.0%増

営業収益は7067億円、
前期比0.3%減。

営業利益が69億円、
8.2%増。

一方、3月期決算のいなげやは、
第3四半期の通期予想で、
営業収益2590億円(前期比4.2%増)、
営業利益24億円(同26.3%増)。

単純合算すると、
年商9657億円、営業利益93億円。

両社は2023 年4月25 日付けで、
「関東における1兆円のSM構想」を掲げて、
経営統合に向けた基本合意書を締結した。

2024年度はその構想が実現する。

イオンが2023年10月に公開買付けを実施して、
2023年11月30 日時点で、
いなげやの株式の51.0%を保有した。

株式交換契約は、
U.S.M.Hといなげや、両社の定時株主総会で承認され、
株式交換の効力発生は11月30日の予定。
11月28日にいなげやは上場廃止となる。

昨年の日本スーパーマーケットランキング

①ライフコーポレーション:296店舗 7654億円
②西友:326店 7209億円
③USMH:529店 7087億円
④アークス:373店 5662億円
⑤ヤオコー:199店 5645億円

USMHはいなげやの参画によって、
第1位に躍り出る。

私には感慨深い。

1877年に商業界に入社して、
首都圏のスーパーマーケットを取材し始めた。

西友は総合スーパー主体のチェーンストア、
東急ストアも総合スーパーの「とうきゅう」と、
スーパーマーケット業態の東急ストア。

だからSM専業チェーンは、
マルエツ、いなげや、プリマート、
サミットストア、とりせん、カスミなどなど。

マルエツは高橋八太郎さんが陣頭指揮を執り、
いなげやは三代目社長の猿渡清司さんが、
社長就任したばかりだった。

マルエツは1978年にプリマートを併合し、
2014年にはカスミとともにUSMHをつくり、
このたび、いなげやまで傘下に入った。

その背景にイオンがある。

残ったのがサミットととりせん。
オール日本スーパーマーケット協会の同志企業。

ベルクやマミーマート、エコスなどは、
当時はまだまだ目立たなかった。

ヤオコーやオーケーはむしろ後発のチェーンだ。

そしてロピアはもっともっと後から出てきた企業だ。

関東・首都圏も栄枯盛衰は激しい。

そのなかでUSMHが、
首都圏のチェーンが合同して、
日本で一番規模の大きなスーパーマーケットとなる。

ただし、企業の成長には、
2つのパターンがある。

第1は企業統合による拡大、
第2は自前出店による拡大。

アメリカでは前者の代表がクローガー、
後者はウォルマートである。

USMHとアークスがクローガー型、
ライフ、ヤオコーがウォルマート型。

いなげやは経営が停滞していた。
しかしイオンが株式の大半をもち、
USMHに参画すると決まってから、
不思議なことに成績が上がってきた。

後れを取ってはならない、といった意識が、
全社に浸透しているのだろうか。

コロナ禍明けという環境も、
最近のいなげやに追い風となっている。

それでもいなげやの頑張りは目立つ。

私がいつも言うけれど、
「商人の本籍地と現住所」を忘れずに、
いなげやらしさを追究してもらいたいものだ。

日経新聞「大機小機」
「ドラッカー氏の扉たたいた経営者」

70年前の1954年、ニューヨーク。
ピーター・ドラッカーを、
ソニーグループの創業者・盛田昭夫氏が訪ねた。
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まだ30歳代の盛田氏との最初の出会いを、
ドラッカー自身が後に明かしている。

盛田氏がドラッカーに語ったのは「ビジョン」だ。

トランジスタの可能性、
日本社会がコミュニケーションを求めていること、
グローバルな資金調達など。

「正直にいって、
『ずいぶんと野心的なことを言うなあ』
くらいにしか思っていなかった」

ドラッカーは振り返っている。

54年はドラッカーの代表的著書『現代の経営』が
刊行された年にあたる。
(日本版は56年刊行)
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「ビジョンを掲げ、
懸命に知見を築いていく中で
盛田氏は第一線の経営学者の
オフィスの扉をたたいた」

コラムニスト。
「体当たりで新市場に挑む盛田氏のような風景は
今も世界中で起きているに違いない。
次世代の主役を狙う企業は胎動している」

いなげやにもUSMHにも、
それ以外の企業にも、
「体当たりで新市場に挑む」気概が必要だ。

その時期だと思う。

〈結城義晴〉

2024年04月18日(木曜日)

FORTUNE「働きがいのある企業100」にウォルマート初登場!

北陸新幹線上越妙高駅。
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はくたか。
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2時間で東京駅。
それから東海道線で30分。

横浜に帰ってきた。

商人舎流通SuperNews。

ランキングnews|
「働きがい2024」ウェグマンズ6位/ウォルマート初登場

アメリカのビジネス誌『FORTUNE』。
毎年恒例の調査。
「100 Best Companies to Work For」
「働きがいのある企業100」
その2024年版を発表した。
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トップ10。

1 Hilton ホテル
2 Cisco IT
3 NVIDIA IT
4 American Express 金融サービス
5 Synchrony 金融サービス
6 Wegmans Food Markets, Inc. スーパーマーケット
7 Accenture コンサルティング
8 Marriott International ホテル
9 Cadence エレクトロニクス
10 Comcast NBCUniversal 通信・メディア

ウェグマンズは6位に入った。
昨2023年は4位だった。
第1回の1998年以降、
毎年コンスタントにランクイン。

2005年には1位に輝いた。
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この栄えある賞の対象は、
米国内の1000人以上の社員を雇用する企業。

対象企業に勤める従業員約63万人に、
60の設問をアンケート調査する。
また対象企業に対しても、
6つの設問がなされ、文章回答が求められる。

今年は100位以内に小売業が8社入った。

60位:コンビニのSheetz(シーツ)、
65位:ディスカウントストアのTarget(ターゲット)
71位:自転車販売のTrek Bicycle(トレックバイシクル)
81位:スーパーマーケットのPublix (パブリックス)
87位:中古車販売のCarMax(カーマックス)

そして97位にウォルマート。
世界最大規模の企業であり、
世界小売業トップ。

この「働きがい」ランキング、初登場。
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学費補助などの福利厚生、
適切な給料支払いの保障。
これらが評価された。

ウォルマートは米国内に、
160万人のアソシエイツがいる。
店舗数は5000店を超える。

その超巨大企業が、
この「働きがい」ランキングに入るのは、
驚くべきことだ。

ディスカウントストア業態を主力にする企業は、
もう2社となった。

ウォルマートとターゲットだ。
この2社に働きがいがある。

日本の総合スーパー企業も、
これには元気づけられねばならないし、
励みにしなければならない。

さらに99位に滑り込んだのは、
Nugget Market(ナゲットマーケット)。
北カリフォルニアの19店舗のローカルチェーン。
ピカピカの床と美しい青果売場、
ファンタスティックな店でしかもお買い得。

日本中のローカルチェーンも、
ナゲットには元気づけられる。

99位でも100位以内に入ることは素晴らしい。
この調査は会社の裏表がないことを証明する。

大きくても小さくても、
それは会社として必須の条件である。

朝日新聞「折々のことば」
今日の第3060回。

毎年1年生
(漁師の言い伝え)

岡山県胸上港の漁師・富永邦彦さんは言う。
「漁師らは昔からこう言い伝えてきた」
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「自然には振り回されてばかり。
でもそのゴールのなさが逆に愉(たの)しい」

「季節は巡るが、年ごとに違う顔を見せる。
だから年長の者は年少の世代の話を、
若い世代は昔の話をきちんと聞く」

編著者の鷲田誠一さん。
「自然の厳しさが人々に相互のリスペクトを促す」
NHKテレビ「サラメシ」(4月4日放送分)から。
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漁師は自然に振り回されてばかり。
そのゴールのなさが逆に愉しい。

商売も環境に振り回される。
そして年ごとに違う顔を見せる。

漁師たちはだから、
年長の者が年少の世代の話を聞くし、
若い世代も昔の話をきちんと聞く。

自然の厳しさが人々に、
相互のリスペクトを促す。

競争の厳しさも、
相互のリスペクトを生み出す。

働きがいはそんなところに生まれる。

ウェグマンズの人たちの言葉。
「私たちはハードワーキングします。
仕事が楽なわけではありません」

楽して儲かる仕事に、
働きがいが見出せるのか。

漁師も商人も、
厳しさを共有するところから、
互いのリスペクトが生じる。

それが働きがいに直結している。

〈結城義晴〉

2024年04月17日(水曜日)

イチコ協力会総会の講演と「藩単位」の地方スーパーマーケット論

朝から東京・芝。
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久しぶりに芝大神宮。IMG_36844

㈱True Dataの取締役会。

いつもオンラインで参加するが、
今回はリアル参加。

会議の内容は充実している。
毎月のように新しいアイデアによる、
サービス商品が生まれてくる。

中小食品メーカーのための、
マーケティングツールが開発される。
「イーグル・アイ・ダッシュボード」

私も楽しみにしている。

12時過ぎに終わって、
玉生弘昌さんと二人でランチ。
玉生さんは㈱プラネット会長で、
True Dataの取締役。

今度、面白い単行本を出すそうだ。

楽しみだ。

そのあと東京駅で、
宮本洋一さんと待ち合わせ。
ブルーチップ㈱社長。

北陸新幹線に乗って、
上越妙高駅まで。

ほぼ2時間。

ここでブルーチップのお二人に迎えていただいて、
そのあとはずっとお世話になった。
常務取締役の中野茂さんと、
関東営業部部長の平野博宣さん。

車で上越市西城町のデュオ・セレッソへ。

第43回イチコ協力会総会。
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㈱イチコは上越市に本部を置く、
ユニークなスーパーマーケット企業だ。
私はマーケットニッチャーと位置付けて、
その経営の在り方を評価している。

コロナ前の2015年と2016年に、
同じようにこのイチコ協力会総会で講演した。

コロナで5年間開催されていなかったが、
今年再開した。

そしてみたび、講師として呼ばれた。

タイトルは、
「両利きトレードオンのススメ」
この2年ほどの私の持論。
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会場に250名以上の取引先幹部が参集。IMG_3705

1時間15分の講演。
内容を絞り込んで、
エッセンスをわかりやすく、
丁寧に語った。
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イチコとその取引先の皆さんに、
ふさわしい事例を選んで、
「膨張と成長」の違いや、
「トレードオフ」からの脱却を説明した。IMG_37034

会場が一体となって、
実に熱心に聴いてくれた。

だから講師の私も力が入る。

ご清聴、感謝したい。

講演会が終わると懇親会。
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これも250人が着席して、
オーソドックスな食事と懇親。IMG_3712

料理も堪能したし、
「岩の原ワイン 深雪花(みゆきばな)」の赤もよかった。
上越市の特産ワインだ。

会もお開きになる前に、
竹内寿会長と懇談。
隣は宮本さん。

竹内会長は86歳。
米づくりや農業、畜産業を指導し、応援している。
その結果、イチコにしかない商品が開発される。IMG_3706
農畜産業の再生と地方創生が、
竹内会長のライフワークになっている。

竹内一夫社長は、
懇親会の席も私と隣で、
ずっと話していた。IMG_3708

この会の会長は、
国分関信越㈱社長の前原康宏さん。

鳥山畜産食品㈱社長の鳥山真さんは、
竹内会長の愛弟子で高い問題意識を持っていた。
プロダクトアウトの畜産業ではなく、
マーケットインのミート産業をつくる。
そんな理想に燃えていた。

懇親会の二次会では、
㈱平八代表取締役の横山亘さんと、
膝詰めで話した。

私の横にはずっと宮本さんがいてくれて、
サポートしてくれた。

いい夜だった。

上越市は新潟県で、
新潟市、長岡市に次いで第3位の人口を有する。
内陸の城下町・高田市と沿岸の港町・直江津市が、
1971年に対等合併して発足した。

高田出身の児童文学者は小川未明。
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直江津生まれの作家は坂口安吾。
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私はどちらも好きだ。

「秘密のケンミンSHOW」という番組がある。
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タレントが都道府県の出身別に出演して、
その土地特有の行事や習慣、食べ物、
そして県民性を紹介する。

しかしよく見ていると、
県民性でひとくくりにできない場合が多い。
基本は江戸時代の藩の単位である。

もちろん鹿児島県の薩摩藩や、
高知県の土佐藩など、
大きな藩は県と一致している。

しかしたいていの県は、
いくつもの藩で構成されていた。

新潟県の越後には13の藩があった。
そのなかで上越市の高田藩は最大で15万石、
新発田藩が10万石、長岡藩が7万4000石。

この大きな藩ごとに、
食生活には違いがある。
食は全体的に見れば保守的である。

だからスーパーマーケットの場合、
藩ごとにローカルチェーンが成立する。

イチコはそれを体現している。

範囲の経済理論で、
旧高田藩の上越市をとらえると、
イチコはマーケットチャレンジャーとなる。
原信ナルスのアクシアルがマーケットリーダーだ。

新潟県の範囲の経済ならば、
イチコはマーケットニッチャーである。

それが竹内寿会長、竹内一夫社長の経営に、
よく表現されている。

M&Aが頻発しているけれど、
こういう地方スーパーマーケットは、
日本の消費社会に必要であると思う。

リージョナルチェーンは、
ローカルチェーンを集めたチェーンストアだ。

ローカルチェーンが基礎単位である。
それを忘れてはならない。

〈結城義晴〉

2024年04月16日(火曜日)

クルーグマンの「米億万長者への警告」と「日本の規制緩和」

桜の季節も終わります。
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かわりにサトザクラが咲いた。
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今日は東京・小平。
第一屋製パン㈱。
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毎月の取締役会。
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お陰様で役員、社員、
皆、頑張っている。

横浜商人舎オフィスに戻ると、
裏の遊歩道に、
ハナミズキが咲いた。
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風に揺れて美しい。
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花は次々に咲き乱れる。
季節は移ろっていく。

しかしこのところ心は晴れない。

午後2時半ごろ突然、
㈱プログレスデザインの皆さんが来訪。
大歓迎。

中が社長の西川隆さん。
右が取締役営業部長の柳本浩三郎さん、
左がエグゼクティブアドバイザーの工藤敏晴さん。IMG_4889 (002)4

3時には北村純一郎さん来社。
商業界元営業部長。IMG_4892 (002)4
現在は広告プランナー。
月刊商人舎の営業も担当してくれている。

さて ニューヨーク・タイムズ。
有名な「コラムニストの眼」

ポール・クルーグマン博士が書いている。
ニューヨーク市立大学大学院センター教授。
2008年度ノーベル経済学賞受賞。
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このコラムが「市場を動かす」と言われるほど。

日経新聞に掲載。

タイトルは、
「なぜトランプ氏を支持する
億万長者たちがいるのか」

面白い。

「トランプ前米大統領の陣営が
資金繰りに行き詰まっていると報じられている」

「そこで、彼は右派の億万長者たちを口説いている」

たとえばイーロン・マスク。

「少なくとも一部の億万長者たちが、
前回の選挙を覆そうとし、
司法省を使って政敵を追及したり、
何百万人もの不法移民を一網打尽にして
収容所に入れたりするなどの
権威主義的な意図を隠そうともしない人物に、
多額の資金を提供することはかなりありそうだ」

「なぜ億万長者たちは
そのような人物を支持するのか」

「単純な答えの一つは、
バイデン氏が再選する場合より
トランプ氏が勝つ場合のほうが、
富裕層の納税額がほぼ確実に減り、
企業の規制も緩和されるということだ」

「しかし、億万長者が
トランプ氏を支持するには、
減税の見込みだけでは十分ではないはずだ」

いろいろと理由を上げる。

だが言いたいことはこれだ。
「トランプ氏が政権に返り咲けば、
米国はもっと恐ろしい場所になるだろう」

「それは億万長者にとっても、
税率が数%下がることよりも
ずっと重要なはずだ」

「トランプ氏が米国の民主主義にもたらす危険は明白だ」

クルーグマン教授は主張する。
「プーチン大統領が権力の座につくのに貢献した、
ロシアのオリガルヒたちの経験から学ぶべきだ」

「オリガルヒたちは結果的に、
ひとたび独裁者を擁立してしまえば、
自分たちの富は思ったほど盾にならず、
シベリア送りになる可能性があることを知った」

クルーグマンの言い回しが面白い。
翻訳がもうちょっと上手なら、
もっと面白いのに。

結局、トランプは、
「億万長者からの支持を得るだろう」

「もしトランプ氏が勝てば、
彼らは自分たちの選択を
後悔することになるだろうか」

「私の推測では、そうなるだろう。
だが、その時にはもう手遅れだ」

クルーグマン、悲観的だ。

米ミリオネアたち、
露オリガルヒの轍を踏むな。

頼む。

一方、日経新聞の「大機小機」
こちらはコラムニスト一直氏。
匿名コラムニストだが、
多分、経済学者。
「成長力アップに政治改革不可欠」

「規制緩和といえば、
英国のサッチャー政権の”小さな政府”、
新自由主義の考え方のもとで、
第2臨調が進めた国鉄民営化を思い出す」

その後、経済的規制の原則自由化、
社会的規制の最小限化を目標に、
規制緩和が行われてきた。

細川政権も橋本、小泉両政権も、
経済構造改革を重要な政策課題に掲げた。

小売業にとっては、
大店法の規制緩和、
酒類免許の緩和や薬事法改正などなど。

「しかし、第2次安倍政権以降、
規制緩和や規制改革という声を
あまり聞かなくなった」

そして岸田政権の「新しい資本主義」も、
規制緩和から離れている。

「現在の政治構造では
これが簡単ではない」

「自民党など主要政党が
それぞれ強力な利益集団や組織を
選挙母体としているからだ」

今回の自民党の派閥と裏金問題も、
規制緩和できない構造をあぶり出している。

根本はそこにある。

一直氏。
「現在の選挙制度に問題があるのなら
国民が声をあげなければならない」

同感だ。

福沢諭吉は150年以上も前に述べている。
「政治が悪いのは
政治家を選んだ国民が悪いのだ」

米国ミリオネアたちも、
日本国民も、
学ぶことができないのか。

このまま悲観していていいのか。

心が晴れない理由は、
世界の政治にある。

せめて規制の緩和だけでも、
頼む。

 

〈結城義晴〉

2024年04月15日(月曜日)

“過去の延長”ではなく“未知の世界”ではトップの役割は大きい。

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑯]

2024年第16週。
4月第3週を迎えて、
横浜の桜の季節は終わる。

ツツジのシーズンがやってきて、
同時に新緑の季節。

商人舎オフィス裏の遊歩道。
IMG_3661 (002)4
2週間後にはもうゴールデンウィーク。

今、1年で一番過ごしやすい時期だ。

去年はどうしていたのだろう、
一昨年はどうだっただろう。

振り返ってみると、
COVID-19 の影響下にあった。
だからこんなに解放された気分ではなかった。

新型コロナウイルスの感染法上の分類が、
昨年連休明けの5月8日から5類に変わった。
季節性インフルエンザと同じとなった。

今、この晴れ晴れしい気持ちは、
コロナ禍から脱したからだろう。

しかしロシアによるウクライナ侵攻は終わらない。
イスラエルによるガザ地区への攻撃も、
イランによるイスラエルへの爆撃も、
深みにはまっていくばかりだ。

世界はどこに向かっているのだろう。

商人舎流通SuperNews。

スーパーマーケットの決算発表が続く。
2024年2月期決算。

アークスnews|
売上高5916億円4.5%増・経常利益184億円12.1%増

㈱アークスの売上高5916億円、
前期比4.5%増。
営業利益168億3100万円(前期比13.5%増)、
経常利益184億3900万円(前期比12.1%増)。

営業利益率2.8%、経常利益率3.1%、
それぞれ0.2ポイントの改善。

既存店客数が前期比1.2%増、
1点単価6.4%増。

1人当たり買上点数同3.2%減、
客単価同3.1%増。
既存店売上高4.3%増。

グループの期末総店舗数は377店舗。

良い成績だった。

なお横山清アークス社長は、
5月の株主総会で代表取締役会長に就任、
子会社の㈱ラルズの猫宮一久社長が、
アークス代表取締役社長に就任する。
古川公一アークス副社長は、
代表権のない副会長に就く。

横山さんは88歳の米寿。
202401_yokoyama (1)

猫宮さんは63歳で、
コーネル大学RMPジャパン「伝説の一期生」。
ralse_top-message_2023024

かつて北海道は、
「日本のカリフォルニア」と言われた。
総合スーパー企業が残らず進出した。

その総合スーパーの競争は、
一応の決着がつきそうだ。
最後に西友が9店舗を、
イオン北海道に売却し、
イトーヨーカ堂も撤退する。

スーパーマーケットは鼎占の状況だ。
猫宮さんの真価が問われるときがきた。

月刊商人舎1月号で、
横山さんのインタビューをした。
タイトルは、
横山清の「競合は成長の粮」
「似て非なるもの」を追求し続ける!

冒頭で横山さんは語った。
「これから起きることは
“過去の延長”というよりも
“未知の世界”になってきます」

その通り。

「そういう時代では
トップの役割は大きい」

横山清が選んだ、その「トップ」こそ、
猫宮一久である。

頑張れ。

アークス以外にも決算発表があった。

リテールパートナーズnews|
年商2522億円7.4%・経常利益25.0%/増収増益

営業収益2522億円(前年同期比7.4%増)、
営業利益67億4000万円(27.6%増)、
経常利益77億2500万円(25.0%増)。

営業利益率2.7%、経常利益率3.1%。

㈱丸久、㈱マルミヤストア、㈱マルキョウの、
3スーパーマーケットチェーンの持ち株会社。

増収増益の着実な成果を上げた。

アークスおよび㈱バローホールディングスと、
「新日本スーパーマーケット同盟」を形成する。

昨2023年3月に㈱ハツトリーの株式を取得し、
6店舗を傘下に加えた。

2月29日時点の店舗数は240。

さらに、
エコスnews|
営業収益1300億円5.9%増・経常利益59億円31.1%増

連結営業収益1300億円(前期比5.9%増)、
営業利益57億1400万円(30.6%増)、
経常利益59億2800万円(31.1%増)。

当期純利益は35億7800万円で、
122.2%増だった。

営業利益率4.4%、経常利益率4.6%。
収益性が高まった。

期末のグループ店舗数は130店。

アークス377店、
リテールパートナーズ240店、
エコス130店。

スーパーマーケット産業も、
三桁チェーンが当たり前になってきた。

感慨深い。

“過去の延長”ではなく、
“未知の世界”。

トップの役割は大きい。

では、みなさん、今週も、
頑張れ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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