結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年10月05日(水曜日)

イオンによる中四国のマルナカ/山陽マルナカ買収劇の意味

「イオン、マルナカを買収」
今日の午後からインターネットで流れた衝撃のニュース。
日経新聞は夕刊一面トップで扱った。
20111005203507.jpg
始まりは昨2010年8月11日の日経のスクープ。
このブログでは翌12日に取り上げた。

「イオンとマルナカ、包括的業務提携」

イオンは2010年度決算では、
セブン&アイ・ホールディングスに次ぐ日本第2位の小売業。

イオンは食品スーパーマーケット業態の、
ナショナルチェーン展開に力を入れていて、
北海道から九州までに子会社のマックスバリュ各社を配し、
カスミ、ベルク、いなげや、マルエツ、光洋などに資本参加。

2010年度の売上高と店舗数は、
マックスバリュ西日本 2444億円・161店
マックスバリュ東海     1564億円・90店
マックスバリュ九州     1189億円・111店
マックスバリュ中部     1184億円・88店
マックスバリュ東北      908億円・89店
マックスバリュ北海道    775億円・74店

持ち分法適用会社は、
マルエツ    3322億円・255店
カスミ        2186億円・139店
ベルク        1116億円・66店

資本提携企業は、
いなげや    2199億円・125店

そこにマルナカと山陽マルナカが加わる。
中四国最大のスーパーマーケット企業グル-プ。

香川に本拠を置く四国のマルナカと、
岡山に本部を持つ中国地方の山陽マルナカ。
両者で瀬戸内リージョナルチェーンを構築。

マルナカ       2068億円・139店
山陽マルナカ    1241億円・72店

これらをトータルすると、
イオン・グループのスーパーマーケット群は、
売上高が合計2兆0196億円、
総店舗数1409店となる。

しかしアメリカを見ると2010年度で、
クローガーの売上高821億8900万ドル、
1ドル100円換算で8兆2189億円。
総店舗数は3605。
宝石店チェーンの売上げも含んでいるが、
ほぼスーパーマーケットといってよい。

一方、セーフウェイは、売上高410億5000万ドル。
4兆1050億円、期末店舗数1694。

為替換算で1ドル76円とみると、
クローガーが6兆2463億円、
セーフウェイは3兆1198億円。

購買力平価で1ドル120円とみると、
クローガーは9兆8628億円、
セーフウェイは4兆9260億円。

人口はアメリカが3億人を超え、
日本が1億2700万人だから、
イオンも頑張っていることになるが、
1店当たり売上高で比較すると、
小型店が多いのが日本の特徴となるか。

買収の目途は11月。
多くの人が関心を持つ買収額は、
「400億円強」という報道が日経、
ロイターは「400億~500億円」と伝える。

さらにマルナカ・グループの約500億円の負債も、
イオンが肩代わりする。

マルナカ社長は、中山芳彦さん、
山陽マルナカ社長は、
その長男でマルナカ専務の明憲さん。

マルナカ・グループはいわばオーナーシップ経営で、
創業家などがほぼ全株式を所有する。

イオンは自己資金でその全株式を買い取って、
100%子会社とするが、
現経営陣は残って、
店名も「マルナカ」を変えない方針のようだ。

イオンは四国と岡山近辺の、
比較的弱い地域の店舗網を密にすることができる。
現在、四中国地方のイオングループは、
店舗数が360強に増加し、出店数トップ、
売上高も三番手からトップに躍進する。

そのことでさらに、
バイイング力がアップし、
商品調達力の強化を図ることもできる。

さらに11月に買収が完了すると、
2011年2月期連結売上高で、
セブン&アイ・ホールディングスを抜いて、
日本小売業トップになる見通し。

きわめてドライな言い方だが、イオンにとって、
「年商3300億円、210店舗の買い物」は、
ひどく安い。

イオンの大型M&Aは、
ダイエーと資本・業務提携した2007年以来。

負債を含む買収総額は、
ダイヤモンドシティの1663億円に次ぐ。

日経の記事は背景もよく抑えている。
マルナカが首都圏の「マルエツの約2%の株式を保有」。
そして「マルエツの筆頭株主は約32%を持つイオン」。
この買収によって、
イオンによる「マルエツの持ち株比率は、
間接的に3分の1を超える」。

「イオンは首都圏のカスミ、いなげや、ベルクにも出資しており、
今後、資本面を含めた関係強化に動くとの見方も出ている」

さらに、「山陽マルナカは今年6月、
独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で、
約2億円の課徴金納付と排除措置を命じられた」

イオンは人材を配置して、
コンプライアンスの徹底を図る。

今年、マルナカは創業50周年を迎える。

経営に関しては、
長男で専務の中山明憲さんへの「社長交代」が表明されている。

イオンの100%子会社になったとしても、明憲さんは、
現㈱マックスバリュ中部会長の中西進さん(元フレックス社長)らと、
同じようなルートを歩むに違いない。

もちろん本人次第。
一番プレッシャーを感じているに違いない。
頑張ってほしいものだ。
マルナカという会社にとっても、
世代交代が促進され、
私は「是」とみる。

私は1年前のブログで書いている。
「この包括的業務提携の意義は大きい」
それが一段と大きくなった。

「第一に、食品スーパーマーケットの業務提携であること。
イオンはスーパーマーケットに最大の力を入れている。
だから全国の食品スーパーマーケットに大きなインパクトを与える」
9月22日のブログで、セブン&アイによる近商ストアへの3割出資を報じた。
全国的には、こういった事例が促進されるだろう。
すこしずつ、アメリカの例に倣うことになりそうだ。

もちろんインディペンデント・スーパーマーケットには、
サバイバルの道が狭くなったわけではない。
大いに開けている。

コーネル大学ビル・ドレイク教授の言うがごとし。
「インディペンデントの優位性」
パブリックスもHEBも、
ウェグマンズもナゲット・マーケットも、
インディペンデントで十二分の仕事をしている。

トレーダージョーは、
ドイツ系資本のアルブレヒト・ファミリー傘下で、
感動的な店舗運営を続けている。

「第二は、中四国エリアの『クリティカル・マス』突破を狙っていること」
これは明らかだし、イオン自身のサバイバル戦略のひとつでもある。

この1年の間に、私は、
マルナカの店を何度か視察したが、
イオンのプライベートブランドが、
ほとんど並んでいないことが気になった。

業務提携とは異なる動きがあるのかと思った。

1年前のブログの終わりの方に書いている。
「マルナカよ、お前もか!」ではない。
「これも一局」である。

だから私の見解は変わらない。
「少なくともアメリカのクローガー方式を採用すべきだ。
間違ってもアルバートソン型に至ってはいけない」

当面は「マルナカ」の店名で、
明憲さんが社長の役目を果たすという方針だから、
これはクローガー方式を表明している。

その後は、しかし、
現マルナカはマックスバリュ四国となり、
現山陽マルナカはマックスバリュ西日本となる可能性もある。

「それもまた、一局」だとは、思う。

<結城義晴>

[追伸]
『帰国後のアメリカ報告』は本日、休載します。
明日に続きます。

2011年10月04日(火曜日)

[帰国してからの米国報告]その1・ホールフーズ「小さな、継続的イノベーション」の悲観と楽観

「悲観の中で生まれ、
懐疑の中で育ち、
楽観の中で成熟する」

米国の「相場の格言」。

しかし、こんな意見もある。
「世界景気には緩やかな不況か、
厳しい不況しか残されていない」

ニューヨーク大学ルービニ教授。

一方、米資産運用会社ピムコのビル・グロス最高投資責任者。
「世界の政策当局者がもし構造問題の解決に注力できれば、
不況を何とか回避し、
ニューノーマルにおける成長が可能になるかもしれない」
<日経新聞「ウォール街ラウンドアップ」から>

帰国して、1日。
旅の疲れをとりつつ、
執筆、テキストづくり。

次と、次の次が、控えている。

悲観論と楽観論。
その間の懐疑論。

どうも現時点では、
悲観論一色のようだ。

穏やかな不況か、
厳しい不況か。

「最悪を覚悟して、
最善を尽くす」

しかし、日本には、いいニュースもある。

新車販売に回復の兆し。
東日本大震災の影響に限らず、
1年間、落ち込んでいた。

9月の軽自動車を含む国内販売台数。
前年同月比2.1%減の46万2192台。
13カ月連続マイナス。

だが、下げ幅が少なくなったし、
46万台も売れている。

8月は前年同月比でマイナス22.4%。
大幅に縮小。

普通車はプラス1.77%で、
これが31万3790台。

こちらは13カ月ぶりの増加。

トヨタ自動車が0.7%増、
マツダが8.4%。

全滅ではなく、どこかが良い。

「どこかで春が」なんて童謡もあるくらいで、
どこかが良くなれば、風は吹く。

ヨットなど、
まったく風がないなぎの状態でも、
操作次第で前に進む。

風があれば御の字。

穏やかな不況か、厳しい不況か、とはいっても、
特に小売りサービス業は、
操作次第。

アメリカの絶好調組の実態を写真で紹介しよう。
今日はホールフーズ・マーケット。
20111004200413.jpg
言わずと知れたオーガニック・スーパーマーケット世界第一。

2010年度の売上高90億0600万ドル。
いつものように1ドル100円換算すると、
9006億円にもなる。
売上高の伸び率は12.1%。
既存店の伸び率も7.1%。

純利益は2億4600万ドル、246億円。
この伸び率は67.3%とV字改革。
リーマンショックから完全に立ち直った。

期末店舗数も299まで伸びた。

渥美俊一先生の口癖。
「200店つくらなけりゃ、
チェーンストアじゃない」

ホールフーズはもう300店に手が届く。

店頭はハロウィン一色。
20111004200424.jpg

その徹底ぶりがすごい。
20111004200435.jpg

入り口を入ったところに、each(1コ)99セントのリンゴ。20111004200449.jpg

この店は青果部門だけ、
ワンウェイ方式で誘導するが、
左手はジュースやカットフルーツ。
20111004200755.jpg

平台で奥に誘導する。
20111004200808.jpg

入り口右手には、花売り場。
20111004202719.jpg
これはアメリカのスーパーマーケットの定石。
日本でも本格的にイノベーションを図るべき。

中央平台手前に並ぶのは、
オーガニック・マンゴー。
20111004202742.jpg

右手壁面は多段ケースで、
ピーマンやパプリカがカラーコントロールのお手本のよう。
上段はペッパー。
20111004202754.jpg

「アンディ・スコア」の啓もうにも力が入る。
20111004202810.jpg

右手のコンセプト・ボード。
オーガニックとは何か、
ローカルとは何か、
アンディ・スコアとは何か。
20111004202848.jpg
ホールフーズのパネルには、
深い深い意味がある。
思いつきの内容ではない。

「地産地消」のLocal(ローカル)のパネル。
ホールフーズはファミリー・ファームをサポートする。
20111004202837.jpg

左翼壁面はホールフーズ自慢のオーガニック野菜売場。
20111004203231.jpg

平台の前面はアーティチョーク。
20111004203247.jpg

平台にはアスパラガスとトウモロコシ。
20111004203304.jpg

左が赤いトマト、中央が緑と黄色のレモン、
右が深緑のアボカド。
これをカラーコントロールという。
20111004203316.jpg

ホールフーズのバナナ売り場。
左から黄色、青と、食べごろが違う。
それをお知らせしている。
20111004203336.jpg

バナナが「フェアトレード」であることを訴えている。
20111004203348.jpg

「Quality & Convenience」と訴求されたカット野菜のコーナー。
20111004203424.jpg

左上からオレンジジュース、
左下は卵、
真ん中からサラダ葉物。
20111004203451.jpg

そして朝食の提案。
20111004203504.jpg

フレッシュ・ディップとカットフルーツ。
20111004203527.jpg

真ん中は「オーガニック・ココナツ・ウォーター」。
20111004203542.jpg

バケツに盛られた根菜類の島陳列が青果部門の最後にくる。
20111004203644.jpg

この一角が新設された「ドライフルーツ・デポ」。
20111004203558.jpg

「100%オーガニック・ビーガン・フード」と看板がある。
「べーガン」とは純粋ベジタリアンのこと。
20111004203622.jpg

ドライフルーツが大量に保管された、まさに「デポ」。
20111004203727.jpg

上段はパックに入ったドライフルーツ。
最下段はバルク販売。
20111004203741.jpg

対面方式の鮮魚売り場。
これほどの品ぞろえも鮮度も、
他社にはない。
「シーフード・マーケット」と名付けられている。
20111004203800.jpg

切り身はトレー陳列。
20111004203837.jpg

フレッシュ・フィッシュは敷き詰められた氷の上に並べられている。
20111004203820.jpg
真ん中の青い帯には、
「MSC」など環境・安全の説明。

対面売り場の鮮魚とシーフード・スープバー。
20111004203930.jpg

青果部門と鮮魚部門の間に、
北米伊藤園の「ティーズティ」のペットボトルのアイランド。
20111004203914.jpg

シーフード・マーケットの前には、
イートインの店内レストラン。
20111004203948.jpg

ぐるりと囲むように、
テーブル席が設けられている。
この時、テーブルと椅子の位置が、
通行する顧客の目線よりはるかに高い。
それが大原則。
20111004204009.jpg

Dairyは乳製品の売り場。
20111004222724.jpg
大量のプライベートブランドが並ぶ。

ケージ・フリーなどが主体となった卵売り場。
20111004222740.jpg

そして店舗中央壁面の精肉対面売り場。
20111004222756.jpg

最近の工夫、
ガラスのRケースにペインティングしてアピール。
「Local Beef」
20111004222812.jpg

飛び切りの豚肉、鶏肉売り場も商品は縦陳列。
20111004222830.jpg

質問すれば必ず丁寧に答えてくれる。
試食を頼めば、快く提供してくれる。
20111004223215.jpg

これもガラス・ペインティングされた自家製ソーセージ。
20111004223228.jpg

対面に多段ケースのロテサリーチキン。
20111004223243.jpg

生パスタ・ショップ。
20111004223322.jpg

これだけ集めると他の追随を許さない。
20111004223334.jpg

ワインショップにつながる。
20111004223419.jpg

精肉とチーズ、デリとにまたがっているワインショップ。
20111004223432.jpg

ワインショップを抜けると店舗右翼のサービスデリのコーナーへ。
20111004223358.jpg

真っ先に目に飛び込んでくるのが、
円形の寿司コーナー。
20111004223712.jpg

チーズ売り場も広大で幅広い品揃え。
20111004223738.jpg

「The ABC’s」と名付けられたショップ。
20111004223753.jpg

その真ん中の売り場。
20111004223931.jpg

量販するチーズは2種類。
20111004223945.JPG

サンドイッチ用のハム売り場。
20111004224000.jpg

大皿盛りのデリ。
オーガニック素材で調理されている。
20111004224012.jpg

ビストロメニュー。
20111004224043.jpg

注文に応じてサンドイッチをつくってくれる。
20111004224029.jpg

続いてピザの対面売り場。
20111004224339.jpg

最後はナチョス(Nachos)の対面コーナー。
これにも人が集まっている。
20111004224601.jpg

サービスデリの中央にはバーが並ぶ。
20111004224353.jpg

サラダバー。
もちろんオーガニック野菜を使っている。
20111004224403.jpg

温野菜のバー。
こちらもオーガニック主体。
20111004224426.jpg

メニューはこんな感じでカラフル。
20111004224657.jpg

デリとスープバー。
20111004224709.jpg
ホールフーズの青果売り場を見て、
「ロスはどのくらいあるのか」との質問が多い。
大半はデリとして商品化するから、
ロスはほんのわずかとなる。

入り口近くにケーキ売り場。
20111004224727.jpg

そして当然ながらバゲット。
20111004224739.jpg

インストアベーカリー。
20111004224801.jpg

クッキー売り場。
20111004224750.jpg

中通路を戻ると、ゴンドラエンドは高い。
20111004224835.jpg

人がついてジュース販売。
20111004224919.jpg

ワインショップのエンド。
20111004224929.jpg
チーズが関連販売されている。
スキンケアも健康志向。
20111004224940.jpg

そしてリーチインケースの冷凍食品。
20111004224951.jpg

リーチインケースの通路には、
1品大量の島陳列。
リーマンショック以降、
スーパーマーケットの原則回帰。
20111004225003.jpg

大量陳列のエンド群。
20111004225017.jpg

エンドはペットフード。
20111004225027.jpg

これも伊藤園の「ティーズティ」のエンド。
伊藤園の売り込みはすごい。
20111004225038.jpg

青果部門の裏側に戻って、
バルク売り場。
20111004225049.jpg

レジはいつも混んでいるが、
顧客を待たせない。
20111004225122.jpg

右翼入り口付近が人の出入りが激しい。
20111004225132.jpg

店舗入り口横に料理教室。
20111004225101.jpg

キッチンがあり、調理道具とテーブルが並んでいる。
20111004225110.jpg

ホールフーズはこの2年ほどで、
すっかり元気を取り戻した。

悲観論から楽観論へ。
そのイノベーションの推移を私は見てきた。

それは小さな継続的な改善の繰り返しと積み重ねだった。
20111004225141.jpg

小さな変化を見逃してはいけない。
小さな改革を見過ごしてはならない。

自分のイノベーションへの挑戦を考えれば、
それはすぐにわかる。

小さなことの継続、積み重ね。

それが悲観を楽観に変えてくれる。
(明日につづきます)

<結城義晴>

2011年10月03日(月曜日)

アメリカ小売業の小さな持続的イノベーションを学習し、実感し、その実行を決意しつつ、帰国しました。ありがとう。

Everybody! Good Monday!
[vol40]

2011年第40週。
10月第2週の始まり。

帰国しました。
関西国際空港に。
20111003213644.jpg
サンフランシスコから10時間58分のフライト。

私はむしろこのフライト時間を、
楽しむようにしています。

だからこれ自体は辛くもないし、
疲れもしない。

それでも積み重なった旅の疲れをとって、
また明日から、元気いっぱい、頑張ります。

さて今週は、
来週月曜日の「体育の日」を控えた週。

1年で一番さわやかな季節。
食欲は旺盛になる。
体は動く。
気持ちも充実。

だから目いっぱい、
発散したいのが顧客の気分。

それに応えるのが、
小売業、サービス業の役目。

目いっぱいの商売に徹したい。

週末の三連休を目指して、
来週月曜日までを一区切りにして、
全開の元気で顧客を迎えたい。

私の今週は、
溜まりきった執筆、テキストづくりをこなしつつ、
来客を迎える日々。

今週末の日曜日から、
今度はドイツ・フランスへの出張。

苦しくも、辛くもありません。
楽しいことばかり。
嬉しいことばかり。

楽しく生きる、嬉しく暮らす。
もちろん辛いこと、苦しいことにも、
そうした気構えで立ち向かう。

それでいて、謙虚に、謙虚に。

integrity[真摯さ]には、
必ず謙虚さがなければならない。
自ら傲慢さを退けなければいけない。

それにしても、今回も、
アメリカ小売業のイノベーションを、
堪能した。

ウォルマートのあくなきイノベーションへのチャレンジ。
20111002200646.jpg

ウォルマートのライバルターゲットは、
イタリアのブランド「ミッソーニ」導入のイノベーション。
20111003210049.jpg
評判は芳しくないけれど。

コストコの精肉「プライム」グレード採用のイノベーション。
20111003210209.jpg
この1年くらいでずいぶんと定着してきた。

テスコ・フレッシュ&イージーは、
北カリフォルニアに進出しつつ進化を遂げている。
20111003211804.jpg

クローガーもセーフウェイも。
20111003210239.jpg

HEBのダラス出店には、
「自らの強み」が強調されていて、
感動した。
20111003211644.jpg

ホールフーズは一段と、
「ローカル」(地産地消)を強調し始めた。
20111003211731.jpg

トレーダージョー
は、
マネジメント・イノベーションに挑戦している。
20111001224737.jpg

スプラウツは「ファーマーズ・マーケット」のフォーマットを、
連続的な小さなイノベーションによって、完成の領域に引き上げつつある。
20111003211716.jpg

リミテッド・アソートメント「ボックスストア」のアルディも。
20111003211654.jpg

「スーパーウェアハウスストア」のウィンコ・フーズも。
20111003211742.jpg
ウォルマートをしのぐディスカウントに磨きをかける。

規模は小さいが、
不可能を可能にするナゲット・マーケットにも、
20111003211751.jpg
ローカルチェーンの「ニューフォーマット」マーケット・ストリートにも、
20111003212847.jpg
日々、小さな、継続的イノベーションがある。

日々の小さなイノベーションは、
「鳥の目・魚の目」と「虫の目」が揃わないと、
見えない。

しかし小さなイノベーションが続けられると、
それは大きなイノベーションとなる。

大きなイノベーションだけに目を向けようとしていると、
小さなイノベーションは見えない。

ピーター・ドラッカー先生の言葉。
「イノベータ―はリスク志向ではない。
イノベータ―は機会志向である」

ショッピングセンターはますます、
ライフスタイルセンター化している。
20111002200800.jpg
これはアメリカ流通産業で今、
見逃せない、大きなイノベーションだ。

イノベーションがあるから、
店が輝いている。

それが喪失すると、
店から輝きが失せる。

今回の平和堂研修会第2班。
セミナーでは、しっかりと学んだ。
20111003213530.jpg

司会は、副団長の販売促進部部長・杉崎邦彦さん。
20111003213501.JPG

集中して聴講するメンバー。
20111003213510.jpg

難しいことをやさしく、
優しいことを面白く、
面白いことをより深く。
20111003213521.jpg

結城理論を完全マスターしてくれた。
20111003213540.jpg

そしてバスでの遠距離走行。
20111003211824.JPG
バスの中でも、休まない、
結城義晴と五十嵐ゆう子のセミナー。

研修が終わったら、楽しんだ。
20111003211626.jpg
ステーキレストラン「Trail Dust」。

テキサスのカウボーイ・レストランだから、
ネクタイを締めてやってくる北部エリートたちの、
そのネクタイを切り取ってかざる。
20111003213405.jpg

飛び切りのポーターハウスステーキを楽しむ。
20111003213434.jpg

店内にある滑り台を、
大の大人が楽しむ。
20111003213444.jpg

そして誕生日、おめでとう。
岡晃敏さん。
20111003213415.jpg

川那辺潔さん。
20111003213423.jpg

最後の最後に、サンフランシスコ空港で、
総括と行動提起。
20111003213602.jpg

団長の常務取締役・平松正嗣さんが、
的確に、丁寧に、
イノベーションの継続を訴えた。
20111003213611.jpg

そして団長、副団長と最後の写真。
20111003213620.jpg

サンフランシスコ空港には、
現地在住の浅野秀二先生が、
見送りに来てくださった。
20111003213553.jpg

11時間のフライトのあと、
関空から、さらに羽田への空中移動。
20111003213651.jpg
大阪の街は日本の大都市だった。

クレイトン・クリステンセンが訴えるイノベーション。
破壊的イノベーションと持続的イノベーション。

破壊的イノベーションが、
ひっきりなしに起こることは絶対にない。

大抵は小さな持続的イノベーションだ。

持続的イノベーションが、
地道に地道に、コツコツと実行されると、
それが大きなイノベーションにつながる。

人間も組織も会社も、
段階的に成長する。

この持続的で小さな改革を軽んじる者は、
イノベーションの本質を理解してはいない。

今回の渡米は、
とりわけて私たちに、
このことを教えてくれた。

アメリカの小売業とわが同志たちに、
心から感謝したい。

それを日本の皆さんに伝えつつ、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

[追伸]
今週いっぱい、アメリカ報告を続ける予定です。
ご期待ください。

2011年10月02日(日曜日)

ジジとライフスタイルセンター[2011日曜版vol40]

おとうさんですか?
20111002195937.jpg
でかけてますよ。

どこへって?20111002200219.jpg

ボクには、
よくわかりませんが、
いつものところでしょう?
20111002200236.jpg

ヒコーキにのって。
20111002200321.jpg

空のむこう。
20111002200348.jpg

もちろん、
こんなところには、
いません。
20111002200412.jpg

やっぱり、
空のむこうのほう。
20111002200458.jpg

そぅです。
20111002200531.jpg

アメリカ。
20111002200546.jpg

アメリカはいま、
ハロウィン一色。
20111002201032.jpg

おとうさんは、
シゴトです。
20111002200602.jpg

だからボクは、
さびしくなんか
ありません。
20111002200730.jpg

おとうさんは、
みんなといっしょです。
20111002200646.jpg

そして、ライフスタイルセンターにいった。
20111002200800.jpg

あたらしいタイプのショッピングセンター。
20111002200713.jpg

モノを売ったり、
サービスを売ったりではなくて、
憩いを提供するところ。
20111002200838.jpg

だから、チョーコクがあったりします。
20111002200930.jpg

おおきなおおきなゲイジツ。
20111002200943.jpg

こんなのも。
20111002200822.jpg

ニッポンにも、いつか、
できるんでしょう。
ライフスタイルセンター。
20111002201007.jpg

おとうさんは、
講義をしたり。
20111002201047.jpg

インタービューをしたり。
20111002201102.jpg

もうすぐ、
かえってきてくれるはずです。
20111002201127.jpg

ボクはいつも、
まつばかり。

それでいいんですが。

< 『ジジの気分』(未刊)より>

2011年10月01日(土曜日)

トレーダージョー売上げ第2の店舗のクルーマネジャー・ポールが語る「顧客の創造」と「顧客との対等な関係づくり」

今日から10月1日。
いまサンフランシスコ。

こちらに来ていると、
もう年末商戦に入っていることを、
つくづくと実感する。

ウォルマートではないが、
景気が良くないときには、
「早仕掛け」が必須。

先頭を走っている企業は、
みな、早仕掛け。

しかし早仕掛けといっても、
拙速はいけない。

私の言葉で言えば、
「慌てず、急げ」

その10月の商人舎標語
「着眼大局 着手小局」

今回のツアーのスローガンにもしたが、
伊藤忠商事中興の祖・瀬島龍三さんの三つの心得の第一。

目をつけ、判断するのは、
大きな視点、高い視野から。

実行、実践するのは、
小さく、細かく、厳しく。

Think global,Act local に通じる。

もちろんアメリカ研修の極意にも、
繋がっている。

「鳥の目」「魚の目」と、
「虫の目」。
そして「心の目」。

さて10月のおさらい。

商売上は、2つの山がある。
第1が、10月2週の土曜日から「体育の日」にかけての3連休。
8日(土曜日)、9日(日曜日)、10日「体育の日」祝日(月曜日)。

第2は、10月31日の「ハロウィン」。
アメリカにいるからいっそう、そう感じるのだろうが、
日本でも、ハロウィンは広がってきた。
外国文化を積極的に取り込むのが日本人。
ここに躊躇はいらない。

商売にも欠かせないプロモーションである。

私自身の10月のスケジュールは、
このツアーが終わって、3日に帰国し、
5日後の9日から16日まで、
ドイツ・フランスの研修。

20日は、流通科学大学のセミナー。
21日は、コーネル大学のセミナー。

22日、23日は立教大学の結城ゼミ合宿。

そして28日から、11月6日まで、
商人舎USA研修会。

「着眼大局、着手小局」で、
1カ月を有意義なものにしたい。

さて平和堂アメリカ研修。
私と五十嵐ゆう子さんを入れて、53名。
バスの中も満杯。
20111001224737.jpg
それは熱気を意味する。

トレーダージョーの前で写真。
20111001224750.jpg
良い店です。
良い企業です。

そのトレーダージョーも、
10月1日からマネジメントシステムを変え、
人事評価を変える。

こちらは365店・年商85億ドルのトレーダージョーの中で、
2番目の売上げを誇る店。

20111001224804.jpg

1番は、ニューヨーク・マンハッタンのユニオンスクェアの店。
世界最大都市のど真ん中の店が、
一番の売上げを上げることは分かる。

しかしサンフランシスコは大都市といえど、
この店は、ど真ん中にはない。

サンフランにもユニオンスクェアはあるが、
そこにある店ではない。
立地背景が違うからこそ、
この店の凄さがうかがわれる。

店頭にはハロウィンのディスプレー。
20111001224817.jpg

入り口から店内をうかがうと、
1万平方フィート(280坪)の店舗面積の店にしては、
広々としている。
20111001224832.jpg

壁面をご覧いただきたい。
20111001224854.jpg

たのしい。
20111001224907.jpg

右側から見て。
20111001224924.jpg

左側から見て。
20111001224938.jpg

正面から見る。
20111001224951.jpg
そう、サンフランシスコ湾が、
立体的に表現されている。

リカー売場の背景も、
この店だけの世界をつくっている。
20111001225003.jpg
この店のオリジナリティ。
それでいて、まぎれもなく、
トレーダージョー。

これはチェーンストアの極意。

クルー・マネジャーのポール・チャイさんにインタビュー。
20111001225016.jpg
場所がないので立ち話だったが、
1時間にも及んだ。

通訳は五十嵐ゆう子さん。
20111001225040.jpg
この店は280坪に、
170人のクルーとマネージャーがいる。

「自分がここで働いているのは、
お客様が来てくれるから。
カスタマーが来ることがプライオリティだ

ピーター・ドラッカーの言葉。
「企業・事業の目的は、
顧客の創造である」

倉本長治。
店は客のためにある」
ポールさんが自分の言葉で説明してくれた。

「我々はカスタマーを、
自分の家に大切な友人を迎えた時と
同じように店に迎える」

これはホスピタリティの極意。
「顧客はゲスト・私はホスト」
ホストとゲストは対等である。

この「ホスト」という言葉から、
「ホスピタリティ」は派生した。

すなわち、顧客とマーチャントは、
対等な関係にある。

「サービス」は「サーバント」から生まれた言葉。
サービスする側と、される側。
ここにあるのは「主従の関係」。

ホスピタリティは「対等の関係」。

これがトレーダージョーの根本姿勢である。

ポール・チャイはクローガーで20年働いた。
その後、カブフーズに2年。
それからトレーダージョーにやって来た。

しかしこのトレーダージョーが、
一番好きだ。

私は想像した。
確信に近いインスピレーション。
「顧客との対等な関係」がトレーダージョーにあるからこそ、
彼はトレーダージョーを、
最後の働き場所と決めたに違いない。
20111001225056.jpg
店のデコレーションが、
トレーダージョー第2の売上げをつくっているのではない。
それは二次的な条件だ。
もちろん二次的な要素も大切だし、
この二次的要素を完璧にして、
ゲストを迎え入れる舞台とすることも重要だ。
顧客との関係づくり。
クルーやマネジャーがそれをする。

このカスタマー・リレーションが、
結果として売上げにつながるのだ。

平松正嗣団長、杉崎邦彦副団長とも、
握手してくれた。
20111001225116.jpg
本当は全員と、
対等な関係の同志として、
握手したかった。

ポール・チャイとトレーダージョーに、
心から感謝。

すごく良い10月の始まり方だった。
(つづきます)

<結城義晴>

2011年09月30日(金曜日)

ウォルマートの実験場「プラノ店」でのなりふり構わぬ「売り込み」作戦・後編

昨日29日、午後8時のユナイテッド航空で、
ダラスを発って、デンバー経由、
サンフランシスコ着。

時差が2時間あったので、
国際空港に着いたのは、
こちらの時間で23時30分。
20110930203032.jpg
朝から1日ダラスを視察し、
バスの中でも解説し通しで、
話す側、聞く側、
ともに強行軍。

サンフランシスコは、
いつものホテル日航に落ち着いて、
一安心。

さて、米国の第2四半期の国内総生産(GDP)が発表された。
第2四半期とは4月から6月までのこと。

年率換算で前期比プラス1.3%。
8月末に発表された改定値に比べると、
0.3ポイント上方修正された。

この中で、米国GDPの7割ほどを占める個人消費支出は、
0.7%プラス。

改定値は0.4%増の見立てだったので、
0.3ポイント上方修正。

これが景気変動のカギを握る。
そして個人消費は小売業、サービス業が担う。

失業率は9%台で米国経済の問題点のひとつだが、
その雇用情勢も若干改善。

輸出のプラス幅は3.6%だが、
第1四半期の1~3月期よりも縮小。

アメリカ合衆国は消費大国だ。
しかしGDPの伸びに関しては、
このところ輸出に依存してきた。

外需で稼ぎ、景気回復を図り、
それが個人消費に反映されて、
小売業もサービス業も潤う。

これを逆にしなければいけない。

ノーベル経済学賞のポール・クルーグマンは、言い切る。
「米国にとって国際競争力は幻想だ。
国内のサービス業の生産性があがることが、
国民の生活の豊かさにつながる」

一方、日本では総務省から、
8月の全国消費者物価指数が発表された。
2010年を100として指数化すると、
生鮮食品を除く総合指数は99.9%。
前年同月よりも0.2%上昇。

2カ月連続アップだが
「足元の物価の動きは小さい」。
つまり「変わらず」ということ。

さらに8月の家計調査は、
1世帯あたり消費支出28万2008円。
物価変動を調整した実質ベースで、
前年同月比マイナス4.1%。
6カ月連続マイナス。

日本も小売業、サービス業の奮闘が望まれる。

さてその米国個人消費を刺激する筆頭株のウォルマート。
2900店を超えるスーパーセンターの先導役を担うのがプラノ店。
何しろ「実験はここから始まる」からだ。
20110929190312.jpg
そのプラノ店がなりふり構わぬ「売り込み」態勢に入った。

第1に「アプライアンス・マーケット」の新設。
20110929190501.jpg

第2は、
アクション・アレーの完全復活。
全コンコースの
島陳列販促。
20110929190957.jpg
ほとんどすべてのコンコース上に、
アクション・アレーを復活させて、
これでもかと、売り込む。

ここまでが昨日のブログ。

第3は、精肉のイノベーション。
店舗入り口付近の青果物陳列のトップに、
「You’ll love our new beef」の呼びかけ。
「あなたは私たちの新しい牛肉を好きになってくれるだろう」
20110929191141.jpg

米国農務省認定の牛肉を、
大々的に売り込む。
20110929191218.jpg

そのうえ、「100%マネー・バック保障」。
20110929191232.jpg

理由のいかんを問わず、
すべての商品の返品を受け付け、返金する。

これによって、牛肉は3割伸びた。

豚肉も鶏肉も、
「100%保障」を行っていて、
精肉部門の改革は急だ。

5ドル以下の商品だけ集めたコーナー展開
20110929191249.jpg
この売り場も回転率を高めている。

精肉売り場の最後には、
職人が握る寿司売り場。
20110929191308.jpg

グロサリーのゴンドラアイルでは、
商品の入れ替えと売り場の変更を行っていた。
20110929191333.jpg
ハロウィンからサンクスギビングデーに向けて。
秋の品ぞろえへの変更をする。

加工肉からパッケージ・デリまでの売場は、
ウォルマートの重要部門だ。
20110929191351.jpg

乳製品売場のコンコースで、
アメリカンフットボールのダラス・カーボーイズのプロモーション。
20110929191417.jpg
これまた「売らんかな」の姿勢。

玩具売場は全米ナンバーワン。
何しろトイザらスを経営不振に追い込んだほど。
20110929191440.jpg

そのToys売り場には、
最新の売れ筋製品がズラリ
「NEW」のスポッターが一斉に並んだ。
20110929191456.jpg
9月の終わりの時期に、
これだけアピールすると、
サンクスギビングデー後のブラックフライデーや、
クリスマス商戦で、マーケットをリードすることができる。

またまた「売らんかな」むき出し。

そして、ハロウィン売り場。
20110929191532.jpg
オレンジ一色。
20110929191550.jpg
ウォルマートは他のどの企業よりも、
ハロウィンは派手に、大げさに展開する。

車内でも、プレゼンテーション・コンテストを実施する。
20110929191616.jpg

しかし今年は、さらに展開を変えた。
これだ。
20110929191633.jpg

ガーデン売場に続く祭事スペースに、
なんとクリスマスツリー。
20110929191652.jpg

ウォルマートの「売らんかな」改革の第4は、
このプロモーションの「早仕掛け」。
20110929191708.jpg

もちろんそれによって、
クリスマスツリーの隣に、
夏・秋のバカンス用品のバーベキュー調理台が並ぶ、
という違和感は生まれた。
20110929191723.jpg

しかしそれも148ドルの超お買い得。
20110929191741.jpg

ウォルマートの「売り込み」姿勢、
早仕掛けにとどめを刺す。

グリーティング・カード売り場も、
ご覧の充実ぶり。
20110929191803.jpg

店舗出口付近では、
クリアランスセール。
20110929191818.jpg

プラノ店コ・マネジャーのシェイさん。
マーカス店長に代わって、
丁寧に説明してくれたうえ、
店内ツアーもしてくれた。
20110929191836.jpg
心から、感謝。

なりふり構わぬ「売らんかな」の姿勢が見えるが、
ウォルマートの余裕の部分も、
彼女から感じ取った。

やるとなったら、かつての方法も復活させる。
シアーズを徹底的に叩きに走る。
精肉は100%保障を展開する。
そしてクリスマスの早仕掛け。

「米国個人消費振興を支える」
そんな気概すら感じさせてくれたウォルマート。

これこそ、私たちが学ぶことである。
(明日につづきます)

<結城義晴>

2011年09月29日(木曜日)

ダラス地区の定点観測「ウォルマート・プラノ店」のなりふり構わぬ4つの「売り方」イノベーション

Homecoming?
USA Todayの今朝の記事。

オークランド・アスレティックスの松井秀樹。
来年の開幕戦がイチローのシアトル・マリナーズと、
東京ドームで開催される。
松井は里帰りできるのに、
それは大丈夫?

松井の去就がはっきりしないというニュース。
日本の朝日『天声人語』や日経『春秋』が、
イチローの200本安打が途絶えた話題を扱ったのに、
こちらは松井への皮肉。

松井の注目度も大したものだが、
皮肉っぽい切り口こそが、
米国メディアの真骨頂なのかもしれない。

一方、商業販売統計速報。
8月の日本小売販売額、
10兆9480億円。
前年同月比2.6%マイナス。
3カ月ぶりの減少となった。

しかし落ち込みの主因は、
自動車小売販売のマイナス18.8%や、
家電など機械器具小売業のマイナス19.3%。

とはいっても、
車は昨年の買い替え補助制度終了前の駆け込み需要の反動、
家電は地上デジタル放送移行前の駆け込みの反動。

百貨店や総合スーパーなど、
大型小売店は1兆5573億円の売上げで、
これは前年比マイナス1.8%。

日本の小売りはマイナストレンドだが、
アメリカも決してよくはない。

だからイノベーションへのチャレンジが、
様々に展開されている。

昨日は夜遅くダラスのヒルトンホテルに到着して、
今日から実質的な研修。

朝一番で、私の講義。
2時間10分ほど。
20110929190221.jpg
私はいつも、
儲かる作戦や目先のトレンドを語ることはない。

「鳥の目、虫の目、魚の目」を強調しつつ、
データや事実を積み重ねながら、
小売業やチェーンストアの体系を整理する。

「虫の目」とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。

「鳥の目」は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。

「魚の目」は、流れを見る力。
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。

そして、四つ目の目は、

謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」。

そのうえで今回のスローガン、
「着眼大局 着手小局」。

しっかり聞いてくれて、
全員に活力がみなぎっているのがわかった。
20110929190235.jpg

イノベーションを起こす。
それも持続的、継続的、自発的、自律的に。

そのための考え方、モノの見方。
それが身につかねば、
持続的イノベーションとはならない。
20110929190249.jpg
講義には終わりがない。
続きは1日中、バスの中で。

最初に訪れたウォルマート・プラノ店。
20110929190312.jpg
ダラス地区、テキサス州に限らず、
全米の最注目店を定点観測する。

この店でウォルマートの実験が行われる。
この店で成功すれば全米に展開する。
失敗すればすぐに止めて、
次のイノベーションに臨む。

今回、様々な新しい試みが、
プラノ店に出現していた。

私は驚いた。
20110929190328.jpg

ロープライス・エブリデー。
オン・エブリシング。

20110929190533.jpg
ウォルマートのキャッチフレーズ。

インタビューに答えてくれたのは、
コ・マネジャーのシェイさん。

この店にはストアマネジャーのマーカス氏のほかに、
3人のコ・マネジャーがいる。
20110929190354.jpg
インタープリターは五十嵐ゆう子さん。
的確な質問と的確な通訳。

全員がメモをとりながら、
熱心に聴講。
20110929190412.jpg

さてプラノ店イノベーションの第1は、
「アプライアンス・マーケット」の新設。
20110929190430.jpg
このショップは、
以前マクドナルドがはいっていたスペースをあけて、
設けられた。
20110929190501.jpg
白物家電のショップ。

今年5月にプレストン・ロードの店で実験し、
その結果がよろしかったと見えて、
いよいよプラノ店にお目見えした。

10日前のこと。
20110929190639.jpg

商品供給は、主にゼネラルエレクトリック社。
冷蔵庫、洗濯機、洗浄機などなど。

商品陳列は少ないが、
カタログがあって、その品ぞろえは豊富。
しかもコンサルティングセールスのために、
GEから派遣された人員が、
ふたり配置されている。
20110929201324.jpg

家電販売は、シアーズローバックの得意分野だ。
「ケンモア」というブランドを持っている。

いまやシアーズと兄弟会社になってしまったKマートにも、
ケンモアの売り場がある。

そのシアーズ・Kマート連合軍、
大きく客数を落としている。

ウォルマートは、このシアーズから、
白物家電を奪い取る作戦に出た。

パートナーは、LED電球を共同開発したGE。
それがこのショップとなった。
20110929190639.jpg

ウォルマートは家電においても、
専門店のベストバイに負けない売上げを上げてきた。
しかしそれはオーディオビジュアルやパソコンにおける売上げだった。
洗濯機、冷蔵庫、洗浄機といった白物家電は扱わなかった。

シアーズがあまりに強かったからだ。

しかしなりふり構わず、
弱りつつあるシアーズを叩きに出た。

私はそう感じた。
20110929190703.jpg

しかしただ白物家電を並べて売るだけではない。
三つの販売政策を加えた。

第1がリース・トゥ・オン。

家電は価格が高い。
だから自家用車と同じ売り方を導入した。
まずリースしてもらって、
それを最後に買い取る方式。

第2は、レイ・アウェイ。
頭金だけ入れてもらって、
支払いの先払いをする方式。
1930年代に採用していたやり方だそうだが、
クレジット・カードが激減した今のアメリカのクリスマス商戦に向けて、
レイ・アウェイは、有効な購買動機となる。

第3は、オンライン特売との連動。
「ピック・アップ・トゥ・デー」と呼ぶ。
オンラインで販売する場合、
何%か安く価格設定する。
顧客は、オンラインで申し込んで、
受け取りだけ指定の店舗でする。
そうすると店舗で購買するよりも、
安くなる。
20110929190725.jpg

この三つの売り方、買い方を提案するために、
コンサルティング・セールスマン、セールスウーマンが配置されている。
20110929190738.jpg

シアーズの売り場には、
そんな仕組みやコンサルティングセールスはない。

真ん中にカタログのカウンターがある。
20110929190753.jpg
何しろウォルマート&GEの最強コンビ。
しかもウィンウィンの関係が構築されている。

白物家電のマーケットシェアが変わることになりそうだ。
ダラス地区で、年末までに30店のウォルマートに、
アプライアンス・マーケットが導入される。

一方、本体の家電売り場は、
テレビなどオーディオビジュアル中心。
20110929190849.jpg
そのそばのコンコース沿いの島陳列にも、
洗濯機が置かれていて、
アプライアンス・マーケットとの関連付けがなされている。
20110929190811.jpg

もちろんその隣の島陳列は、
薄型テレビの目玉商品。
20110929190832.jpg

iPadのコンサルティング売り場も、
急きょ設けられて、
万全の態勢。
20110929190909.jpg

プラノ店の第二の大変化は、
島陳列の販促が全面復活したこと。
20110929190941.jpg
これをウォルマートでは、
「アクション・アレー」と呼ぶ。
20110929190957.jpg

かつてはウォルマートの象徴のように見られたアクション・アレー。
2005年のこのプラノ店から影を潜め、
それがプロジェクト・インパクトの大改革につながった。

失敗だったという総括がもっぱらだが、
私は「一つのステップ」だったと思う。

小売業経営はいつも、
アコーディオンのように、
開いたり閉じたりする。

プロジェクト・インパクトで、
ぜい肉を落とした。

ちょっと落としすぎたかもしれないが、
以前のままよりもずっと良くなった。
なりふり構わずのウォルマート。

それはかつての姿をほうふつとさせるところもあるが、
しかし、振子は、戻ってきたものの、
元の位置と同じではない。

それが2011年9月末のウォルマートである。

全員で集合写真。
20110929192216.jpg
このチーム、大きな成果をあげそうだ。
(つつきます、あと二つのイノベーションがあります)

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人
海外研修会
2026年USA研修会
国内研修会
第18回 ミドルマネジメント研修会

東北関東大震災へのメッセージ

商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2026年8月
« 7月  
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.