結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年04月18日(木曜日)

FORTUNE「働きがいのある企業100」にウォルマート初登場!

北陸新幹線上越妙高駅。
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はくたか。
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2時間で東京駅。
それから東海道線で30分。

横浜に帰ってきた。

商人舎流通SuperNews。

ランキングnews|
「働きがい2024」ウェグマンズ6位/ウォルマート初登場

アメリカのビジネス誌『FORTUNE』。
毎年恒例の調査。
「100 Best Companies to Work For」
「働きがいのある企業100」
その2024年版を発表した。
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トップ10。

1 Hilton ホテル
2 Cisco IT
3 NVIDIA IT
4 American Express 金融サービス
5 Synchrony 金融サービス
6 Wegmans Food Markets, Inc. スーパーマーケット
7 Accenture コンサルティング
8 Marriott International ホテル
9 Cadence エレクトロニクス
10 Comcast NBCUniversal 通信・メディア

ウェグマンズは6位に入った。
昨2023年は4位だった。
第1回の1998年以降、
毎年コンスタントにランクイン。

2005年には1位に輝いた。
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この栄えある賞の対象は、
米国内の1000人以上の社員を雇用する企業。

対象企業に勤める従業員約63万人に、
60の設問をアンケート調査する。
また対象企業に対しても、
6つの設問がなされ、文章回答が求められる。

今年は100位以内に小売業が8社入った。

60位:コンビニのSheetz(シーツ)、
65位:ディスカウントストアのTarget(ターゲット)
71位:自転車販売のTrek Bicycle(トレックバイシクル)
81位:スーパーマーケットのPublix (パブリックス)
87位:中古車販売のCarMax(カーマックス)

そして97位にウォルマート。
世界最大規模の企業であり、
世界小売業トップ。

この「働きがい」ランキング、初登場。
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学費補助などの福利厚生、
適切な給料支払いの保障。
これらが評価された。

ウォルマートは米国内に、
160万人のアソシエイツがいる。
店舗数は5000店を超える。

その超巨大企業が、
この「働きがい」ランキングに入るのは、
驚くべきことだ。

ディスカウントストア業態を主力にする企業は、
もう2社となった。

ウォルマートとターゲットだ。
この2社に働きがいがある。

日本の総合スーパー企業も、
これには元気づけられねばならないし、
励みにしなければならない。

さらに99位に滑り込んだのは、
Nugget Market(ナゲットマーケット)。
北カリフォルニアの19店舗のローカルチェーン。
ピカピカの床と美しい青果売場、
ファンタスティックな店でしかもお買い得。

日本中のローカルチェーンも、
ナゲットには元気づけられる。

99位でも100位以内に入ることは素晴らしい。
この調査は会社の裏表がないことを証明する。

大きくても小さくても、
それは会社として必須の条件である。

朝日新聞「折々のことば」
今日の第3060回。

毎年1年生
(漁師の言い伝え)

岡山県胸上港の漁師・富永邦彦さんは言う。
「漁師らは昔からこう言い伝えてきた」
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「自然には振り回されてばかり。
でもそのゴールのなさが逆に愉(たの)しい」

「季節は巡るが、年ごとに違う顔を見せる。
だから年長の者は年少の世代の話を、
若い世代は昔の話をきちんと聞く」

編著者の鷲田誠一さん。
「自然の厳しさが人々に相互のリスペクトを促す」
NHKテレビ「サラメシ」(4月4日放送分)から。
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漁師は自然に振り回されてばかり。
そのゴールのなさが逆に愉しい。

商売も環境に振り回される。
そして年ごとに違う顔を見せる。

漁師たちはだから、
年長の者が年少の世代の話を聞くし、
若い世代も昔の話をきちんと聞く。

自然の厳しさが人々に、
相互のリスペクトを促す。

競争の厳しさも、
相互のリスペクトを生み出す。

働きがいはそんなところに生まれる。

ウェグマンズの人たちの言葉。
「私たちはハードワーキングします。
仕事が楽なわけではありません」

楽して儲かる仕事に、
働きがいが見出せるのか。

漁師も商人も、
厳しさを共有するところから、
互いのリスペクトが生じる。

それが働きがいに直結している。

〈結城義晴〉

2024年04月17日(水曜日)

イチコ協力会総会の講演と「藩単位」の地方スーパーマーケット論

朝から東京・芝。
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久しぶりに芝大神宮。IMG_36844

㈱True Dataの取締役会。

いつもオンラインで参加するが、
今回はリアル参加。

会議の内容は充実している。
毎月のように新しいアイデアによる、
サービス商品が生まれてくる。

中小食品メーカーのための、
マーケティングツールが開発される。
「イーグル・アイ・ダッシュボード」

私も楽しみにしている。

12時過ぎに終わって、
玉生弘昌さんと二人でランチ。
玉生さんは㈱プラネット会長で、
True Dataの取締役。

今度、面白い単行本を出すそうだ。

楽しみだ。

そのあと東京駅で、
宮本洋一さんと待ち合わせ。
ブルーチップ㈱社長。

北陸新幹線に乗って、
上越妙高駅まで。

ほぼ2時間。

ここでブルーチップのお二人に迎えていただいて、
そのあとはずっとお世話になった。
常務取締役の中野茂さんと、
関東営業部部長の平野博宣さん。

車で上越市西城町のデュオ・セレッソへ。

第43回イチコ協力会総会。
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㈱イチコは上越市に本部を置く、
ユニークなスーパーマーケット企業だ。
私はマーケットニッチャーと位置付けて、
その経営の在り方を評価している。

コロナ前の2015年と2016年に、
同じようにこのイチコ協力会総会で講演した。

コロナで5年間開催されていなかったが、
今年再開した。

そしてみたび、講師として呼ばれた。

タイトルは、
「両利きトレードオンのススメ」
この2年ほどの私の持論。
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会場に250名以上の取引先幹部が参集。IMG_3705

1時間15分の講演。
内容を絞り込んで、
エッセンスをわかりやすく、
丁寧に語った。
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イチコとその取引先の皆さんに、
ふさわしい事例を選んで、
「膨張と成長」の違いや、
「トレードオフ」からの脱却を説明した。IMG_37034

会場が一体となって、
実に熱心に聴いてくれた。

だから講師の私も力が入る。

ご清聴、感謝したい。

講演会が終わると懇親会。
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これも250人が着席して、
オーソドックスな食事と懇親。IMG_3712

料理も堪能したし、
「岩の原ワイン 深雪花(みゆきばな)」の赤もよかった。
上越市の特産ワインだ。

会もお開きになる前に、
竹内寿会長と懇談。
隣は宮本さん。

竹内会長は86歳。
米づくりや農業、畜産業を指導し、応援している。
その結果、イチコにしかない商品が開発される。IMG_3706
農畜産業の再生と地方創生が、
竹内会長のライフワークになっている。

竹内一夫社長は、
懇親会の席も私と隣で、
ずっと話していた。IMG_3708

この会の会長は、
国分関信越㈱社長の前原康宏さん。

鳥山畜産食品㈱社長の鳥山真さんは、
竹内会長の愛弟子で高い問題意識を持っていた。
プロダクトアウトの畜産業ではなく、
マーケットインのミート産業をつくる。
そんな理想に燃えていた。

懇親会の二次会では、
㈱平八代表取締役の横山亘さんと、
膝詰めで話した。

私の横にはずっと宮本さんがいてくれて、
サポートしてくれた。

いい夜だった。

上越市は新潟県で、
新潟市、長岡市に次いで第3位の人口を有する。
内陸の城下町・高田市と沿岸の港町・直江津市が、
1971年に対等合併して発足した。

高田出身の児童文学者は小川未明。
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直江津生まれの作家は坂口安吾。
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私はどちらも好きだ。

「秘密のケンミンSHOW」という番組がある。
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タレントが都道府県の出身別に出演して、
その土地特有の行事や習慣、食べ物、
そして県民性を紹介する。

しかしよく見ていると、
県民性でひとくくりにできない場合が多い。
基本は江戸時代の藩の単位である。

もちろん鹿児島県の薩摩藩や、
高知県の土佐藩など、
大きな藩は県と一致している。

しかしたいていの県は、
いくつもの藩で構成されていた。

新潟県の越後には13の藩があった。
そのなかで上越市の高田藩は最大で15万石、
新発田藩が10万石、長岡藩が7万4000石。

この大きな藩ごとに、
食生活には違いがある。
食は全体的に見れば保守的である。

だからスーパーマーケットの場合、
藩ごとにローカルチェーンが成立する。

イチコはそれを体現している。

範囲の経済理論で、
旧高田藩の上越市をとらえると、
イチコはマーケットチャレンジャーとなる。
原信ナルスのアクシアルがマーケットリーダーだ。

新潟県の範囲の経済ならば、
イチコはマーケットニッチャーである。

それが竹内寿会長、竹内一夫社長の経営に、
よく表現されている。

M&Aが頻発しているけれど、
こういう地方スーパーマーケットは、
日本の消費社会に必要であると思う。

リージョナルチェーンは、
ローカルチェーンを集めたチェーンストアだ。

ローカルチェーンが基礎単位である。
それを忘れてはならない。

〈結城義晴〉

2024年04月16日(火曜日)

クルーグマンの「米億万長者への警告」と「日本の規制緩和」

桜の季節も終わります。
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かわりにサトザクラが咲いた。
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今日は東京・小平。
第一屋製パン㈱。
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毎月の取締役会。
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お陰様で役員、社員、
皆、頑張っている。

横浜商人舎オフィスに戻ると、
裏の遊歩道に、
ハナミズキが咲いた。
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風に揺れて美しい。
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花は次々に咲き乱れる。
季節は移ろっていく。

しかしこのところ心は晴れない。

午後2時半ごろ突然、
㈱プログレスデザインの皆さんが来訪。
大歓迎。

中が社長の西川隆さん。
右が取締役営業部長の柳本浩三郎さん、
左がエグゼクティブアドバイザーの工藤敏晴さん。IMG_4889 (002)4

3時には北村純一郎さん来社。
商業界元営業部長。IMG_4892 (002)4
現在は広告プランナー。
月刊商人舎の営業も担当してくれている。

さて ニューヨーク・タイムズ。
有名な「コラムニストの眼」

ポール・クルーグマン博士が書いている。
ニューヨーク市立大学大学院センター教授。
2008年度ノーベル経済学賞受賞。
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このコラムが「市場を動かす」と言われるほど。

日経新聞に掲載。

タイトルは、
「なぜトランプ氏を支持する
億万長者たちがいるのか」

面白い。

「トランプ前米大統領の陣営が
資金繰りに行き詰まっていると報じられている」

「そこで、彼は右派の億万長者たちを口説いている」

たとえばイーロン・マスク。

「少なくとも一部の億万長者たちが、
前回の選挙を覆そうとし、
司法省を使って政敵を追及したり、
何百万人もの不法移民を一網打尽にして
収容所に入れたりするなどの
権威主義的な意図を隠そうともしない人物に、
多額の資金を提供することはかなりありそうだ」

「なぜ億万長者たちは
そのような人物を支持するのか」

「単純な答えの一つは、
バイデン氏が再選する場合より
トランプ氏が勝つ場合のほうが、
富裕層の納税額がほぼ確実に減り、
企業の規制も緩和されるということだ」

「しかし、億万長者が
トランプ氏を支持するには、
減税の見込みだけでは十分ではないはずだ」

いろいろと理由を上げる。

だが言いたいことはこれだ。
「トランプ氏が政権に返り咲けば、
米国はもっと恐ろしい場所になるだろう」

「それは億万長者にとっても、
税率が数%下がることよりも
ずっと重要なはずだ」

「トランプ氏が米国の民主主義にもたらす危険は明白だ」

クルーグマン教授は主張する。
「プーチン大統領が権力の座につくのに貢献した、
ロシアのオリガルヒたちの経験から学ぶべきだ」

「オリガルヒたちは結果的に、
ひとたび独裁者を擁立してしまえば、
自分たちの富は思ったほど盾にならず、
シベリア送りになる可能性があることを知った」

クルーグマンの言い回しが面白い。
翻訳がもうちょっと上手なら、
もっと面白いのに。

結局、トランプは、
「億万長者からの支持を得るだろう」

「もしトランプ氏が勝てば、
彼らは自分たちの選択を
後悔することになるだろうか」

「私の推測では、そうなるだろう。
だが、その時にはもう手遅れだ」

クルーグマン、悲観的だ。

米ミリオネアたち、
露オリガルヒの轍を踏むな。

頼む。

一方、日経新聞の「大機小機」
こちらはコラムニスト一直氏。
匿名コラムニストだが、
多分、経済学者。
「成長力アップに政治改革不可欠」

「規制緩和といえば、
英国のサッチャー政権の”小さな政府”、
新自由主義の考え方のもとで、
第2臨調が進めた国鉄民営化を思い出す」

その後、経済的規制の原則自由化、
社会的規制の最小限化を目標に、
規制緩和が行われてきた。

細川政権も橋本、小泉両政権も、
経済構造改革を重要な政策課題に掲げた。

小売業にとっては、
大店法の規制緩和、
酒類免許の緩和や薬事法改正などなど。

「しかし、第2次安倍政権以降、
規制緩和や規制改革という声を
あまり聞かなくなった」

そして岸田政権の「新しい資本主義」も、
規制緩和から離れている。

「現在の政治構造では
これが簡単ではない」

「自民党など主要政党が
それぞれ強力な利益集団や組織を
選挙母体としているからだ」

今回の自民党の派閥と裏金問題も、
規制緩和できない構造をあぶり出している。

根本はそこにある。

一直氏。
「現在の選挙制度に問題があるのなら
国民が声をあげなければならない」

同感だ。

福沢諭吉は150年以上も前に述べている。
「政治が悪いのは
政治家を選んだ国民が悪いのだ」

米国ミリオネアたちも、
日本国民も、
学ぶことができないのか。

このまま悲観していていいのか。

心が晴れない理由は、
世界の政治にある。

せめて規制の緩和だけでも、
頼む。

 

〈結城義晴〉

2024年04月15日(月曜日)

“過去の延長”ではなく“未知の世界”ではトップの役割は大きい。

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑯]

2024年第16週。
4月第3週を迎えて、
横浜の桜の季節は終わる。

ツツジのシーズンがやってきて、
同時に新緑の季節。

商人舎オフィス裏の遊歩道。
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2週間後にはもうゴールデンウィーク。

今、1年で一番過ごしやすい時期だ。

去年はどうしていたのだろう、
一昨年はどうだっただろう。

振り返ってみると、
COVID-19 の影響下にあった。
だからこんなに解放された気分ではなかった。

新型コロナウイルスの感染法上の分類が、
昨年連休明けの5月8日から5類に変わった。
季節性インフルエンザと同じとなった。

今、この晴れ晴れしい気持ちは、
コロナ禍から脱したからだろう。

しかしロシアによるウクライナ侵攻は終わらない。
イスラエルによるガザ地区への攻撃も、
イランによるイスラエルへの爆撃も、
深みにはまっていくばかりだ。

世界はどこに向かっているのだろう。

商人舎流通SuperNews。

スーパーマーケットの決算発表が続く。
2024年2月期決算。

アークスnews|
売上高5916億円4.5%増・経常利益184億円12.1%増

㈱アークスの売上高5916億円、
前期比4.5%増。
営業利益168億3100万円(前期比13.5%増)、
経常利益184億3900万円(前期比12.1%増)。

営業利益率2.8%、経常利益率3.1%、
それぞれ0.2ポイントの改善。

既存店客数が前期比1.2%増、
1点単価6.4%増。

1人当たり買上点数同3.2%減、
客単価同3.1%増。
既存店売上高4.3%増。

グループの期末総店舗数は377店舗。

良い成績だった。

なお横山清アークス社長は、
5月の株主総会で代表取締役会長に就任、
子会社の㈱ラルズの猫宮一久社長が、
アークス代表取締役社長に就任する。
古川公一アークス副社長は、
代表権のない副会長に就く。

横山さんは88歳の米寿。
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猫宮さんは63歳で、
コーネル大学RMPジャパン「伝説の一期生」。
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かつて北海道は、
「日本のカリフォルニア」と言われた。
総合スーパー企業が残らず進出した。

その総合スーパーの競争は、
一応の決着がつきそうだ。
最後に西友が9店舗を、
イオン北海道に売却し、
イトーヨーカ堂も撤退する。

スーパーマーケットは鼎占の状況だ。
猫宮さんの真価が問われるときがきた。

月刊商人舎1月号で、
横山さんのインタビューをした。
タイトルは、
横山清の「競合は成長の粮」
「似て非なるもの」を追求し続ける!

冒頭で横山さんは語った。
「これから起きることは
“過去の延長”というよりも
“未知の世界”になってきます」

その通り。

「そういう時代では
トップの役割は大きい」

横山清が選んだ、その「トップ」こそ、
猫宮一久である。

頑張れ。

アークス以外にも決算発表があった。

リテールパートナーズnews|
年商2522億円7.4%・経常利益25.0%/増収増益

営業収益2522億円(前年同期比7.4%増)、
営業利益67億4000万円(27.6%増)、
経常利益77億2500万円(25.0%増)。

営業利益率2.7%、経常利益率3.1%。

㈱丸久、㈱マルミヤストア、㈱マルキョウの、
3スーパーマーケットチェーンの持ち株会社。

増収増益の着実な成果を上げた。

アークスおよび㈱バローホールディングスと、
「新日本スーパーマーケット同盟」を形成する。

昨2023年3月に㈱ハツトリーの株式を取得し、
6店舗を傘下に加えた。

2月29日時点の店舗数は240。

さらに、
エコスnews|
営業収益1300億円5.9%増・経常利益59億円31.1%増

連結営業収益1300億円(前期比5.9%増)、
営業利益57億1400万円(30.6%増)、
経常利益59億2800万円(31.1%増)。

当期純利益は35億7800万円で、
122.2%増だった。

営業利益率4.4%、経常利益率4.6%。
収益性が高まった。

期末のグループ店舗数は130店。

アークス377店、
リテールパートナーズ240店、
エコス130店。

スーパーマーケット産業も、
三桁チェーンが当たり前になってきた。

感慨深い。

“過去の延長”ではなく、
“未知の世界”。

トップの役割は大きい。

では、みなさん、今週も、
頑張れ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年04月14日(日曜日)

イトーヨーカ堂に「財務的な規律を働かせる」ことに反対する。

今年の桜も終わる。
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それでも空に映える。
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桜前線は北に向かう。IMG_E36324

夕暮れが迫ってくる。
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夕陽が沈む。
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今日の日経新聞「社説」
「ヨーカ堂の遅すぎた経営改革を教訓に」

いつも書くけれど、
この新聞の社説で、
小売商業を取り上げてもらうのは、
とてもありがたい。
感謝している。

セブン&アイ・ホールディングスが、
傘下の「スーパーストア事業」に関して、
株式の上場を検討すると発表。

社説はこの問題を取り上げた。

「祖業のヨーカ堂が長く低迷し
分離せざるを得なくなった原因は、
構造改革の遅れにある」
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「構造改革」?

ん~、そう簡単に片づけてほしくはない。

社説。
「かつて小売りの優等生とされたヨーカ堂は
2000年代以降、縮小の道をたどった。
時代の変化への対応が遅れた結果だ」

「時代への変化の対応」?
これも簡単に言い切れる問題ではない。

「衣料品や雑貨、食品を扱う総合スーパーは
消費者ニーズからずれていった」

これは「総合スーパー業態」の問題を指摘しているようだ。

「過去の成功体験が
経営改革を遅らせた面もある」

「過去の成功体験」を目の敵にしていたのは、
鈴木敏文前会長である。

社説は「2000年代以降」と言うけれど、
鈴木さんは2015年まで現役会長として、
イトーヨーカ堂も統括していた。

「昨年には衣料品の自主企画をやめ、
今年に入って北海道や東北、信越からの撤退を表明した。
24年2月期まで4期連続の最終赤字だ」
これは最近のイトーヨーカ堂のこと。

「不採算事業を抱えながら抜本的な改革を先送りし、
縮小均衡に陥ったのは多くの日本企業にあてはまる」
いつの間にかセブン&アイと、
日本の小売業全体の話になっている。

「セブン&アイの井阪隆一社長は10日の記者会見で、
上場によって財務的な規律を働かせる考えを示した」

「高収益のコンビニエンスストア事業に依存したままでは、
ヨーカ堂再建のスピードは上がらない」
これもセブン&アイの話だ。

ただしこの件に対してだけ、
社説は褒める。
「妥当な経営判断と言える」

イトーヨーカ堂の再建に際して、
財務的な規律が有効なのだろうか。

「そごう・西武の売却の過程では
従業員との対話不足が目立ち、
ストライキにまで発展した。
今回のスーパー事業の再編について、
必要性と将来像を社員に
丁寧に説明することが欠かせない」

社員に丁寧に説明することは欠かせない。
けれどそのまえに社員からの信頼こそが必須だ。

「上場後は連結対象とすることに
こだわらないとしつつも、
持ち株の一部は保有し続けるという」
――財務的な規律を働かせつつ、
支配は継続する、ということか。

「食品でコンビニとの連携を重視するためだが、
『親子上場』では
親会社と子会社の一般株主の利害が対立しかねない」

「連携効果を説明できなければ、
完全分離を求める声が強まることも想定すべきだ」

今のイトーヨーカ堂の幹部や社員にとって、
「上場」はモチベーションになるだろうか。

私はそうは思わない。

しかもヨークベニマルまで、
一緒くたにして中間持ち株会社の傘下にするらしい。

ヨークベニマルの幹部や社員は、
納得するのだろうか。

そのうえ社説は言う。
「上場の前提となる収益改善は容易ではない」
またイトーヨーカ堂の問題に戻る。

ヨークベニマルは、
着実に収益性を担保している。

そして最後に、
マーケットの悪条件を並べ立てる。

「物価高を背景に、
消費者は売り手や商品を厳しく選別している。
売場の魅力を高めるのが急務であり、
効率化へデジタル化投資も欠かせない」

「消費は節約とこだわりの二極化が進む。
安値競争で消耗戦に陥らないために、
付加価値戦略が欠かせない」

何が言いたいのか。
まったくわからない。

「すべての小売業に共通する課題である」

ん~、残念。

私は小売業の改革には、
現場の意志こそが大事だと考えている。
ずっとそのことを言っている。

トップが現場を信じて、
ともに汗をかく。

そうすれば不思議なことに、
小売業やサービス業は、
少しずつ蘇ってくる。

それがスタートである。

イトーヨーカ堂は、
まだ復活することができる。

ヨークベニマルは、
今も日本有数のスーパーマーケットだ。
こちらの上場ならば、
そう時間はかからない。

総合スーパーも、
スーパーマーケットも、
その違いもわからない人間たちが、
構造改革を唱えても、
財務的な規律を持ち込んでも、
社員や顧客や取引先の信頼が得られる店にはならない。

朝日新聞「折々のことば」
昨日の第3056回。

「同じところ」を
答え合わせ的に探すだけだと
もったいないな
〈柴崎友香〉

「『共感』というのは、
他人と同じ思いになること、
そこに自分の気持ちを探し当てることではなく、
むしろ『わからないからこそわかりたい』と
願うところに生まれるものだ」

「そこに必要なのは、向き合うというより
『横に並んで佇(たたず)む』ような姿勢なのだ」

『新潮』2018年11月号、
小説家・滝口悠生との対談、
「エモーショナルな言語を探して」から。

日経の社説に、
横に並んで佇むことを求めるのは、
無理なのかもしれない。

しかし流通担当の論説委員が書いているはずだ。
横に並んで佇んでほしいものだ。

さらにセブン&アイの経営陣も、
現場の中間管理職や社員と、
「共感」することが先決である。

小売業は共感の仕事である。

〈結城義晴〉

2024年04月13日(土曜日)

ブッダと聖書と論語と「商売」

ブッダの言葉。
「いかなる生物生類(しょうるい)であっても、
(おび)えているものでも
強剛(きょうごう)なものでも、
(ことごと)く、
長いものでも、
大きなものでも、
中くらいのものでも、
短いものでも、
微細なものでも、
粗大なものでも、
目に見えるものでも、
見えないものでも、
遠くに住むものでも、
近くに住むものでも、
すでに生まれたものでも、
これから生まれようと欲するものでも、
一切の生きとし生けるものは、
幸せであれ」
〈岩波新書〉
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ブッダは仏教の開祖。
ゴータマ・シッダールタ。

商売は幸せを供するものだ。

イエス・キリストの言葉。
マタイによる福音書、その6章。

「だから、言っておく。
自分の命のことで
何を食べようか何を飲もうかと、
また自分の体のことで
何を着ようかと思い悩むな。
命は食べ物よりも大切であり、
体は衣服よりも大切ではないか」

商売は命と体を与えるものなのだ。

「だから、明日のことまで思い悩むな。
明日のことは明日自らが思い悩む。
その日の苦労は、その日だけで十分である」

マタイによる福音書7章。
「求めよ、そうすれば、
与えられるであろう。
捜せ、そうすれば、
見いだすであろう。
門をたたけ、そうすれば、
あけてもらえるであろう」

「すべて求める者は得、
捜す者は見いだし、
門をたたく者はあけてもらえるからである」

これは、生き方の極意であり、
仕事の極意である。

「あなたがたのうちで、
自分の子がパンを求めるのに、
石を与える者があろうか。
魚を求めるのに、
へびを与える者があろうか」

そしてジェームズ・キャッシュ・ペニーの、
「ゴールデンルール」が以下だ。
「だから、何事でも
人々からしてほしいと望むことは、
人々にもそのとおりにせよ」

そして再びマタイの7章。
「狭い門からはいれ。
滅びにいたる門は大きく、その道は広い。
そして、そこからはいって行く者が多い」

「命にいたる門は狭く、その道は細い。
そして、それを見いだす者が少ない」

これは、大きな門はレッド・オーシャンであり、
狭い門とはブルー・オーシャンである。

7章の続き。

「偽(にせ)預言者を警戒せよ。
彼らは、羊の衣を着て
あなたがたのところに来るが、
その内側は強欲なおおかみである」

キリストは学び方を教えている。
学者やジャーナリスト、
コンサルタントの見分け方に通じる。

「あなたがたは、
その実によって彼らを見わけるであろう」

「茨(いばら)からぶどうを、
あざみからいちじくを集める者があろうか」

「そのように、すべて良い木は良い実を結び、
悪い木は悪い実を結ぶ」

「良い木が悪い実をならせることはないし、
悪い木が良い実をならせることはできない」

「良い実を結ばない木はことごとく切られて、
火の中に投げ込まれる」

「このように、あなたがたは
その実によって彼らを見わけるのである」
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kindleで0円で読むことができる。
手に入れておくことをお薦めしたい。

倉本長治。
「バイブルや論語には
金儲けは書いてない

でも金儲けの中には
バイブルや論語が

必要なのである」
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聖書や論語に、ブッダも加えておこう。
ユヴァル・ノア・ハラリも、谷川俊太郎も。

ときどき読むと心が休まる。
そしてやる気が出てくる。

最後に論語から。
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「子曰く、君子は義に喩(さと)り、
小人は利に喩る。」
〈論語第二巻「里仁」第四16〉

「損得より先に善悪を考えよ」は、
ここに発想を得たと思う。

「子曰く、これを知る者は
これを好む者に如(し)かず。
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」
〈第三冠「雍也」第六20〉

知るより、好む。
好むより、楽しむ。

人生も仕事も、
こうありたい。

「子曰く、君子は和して同せず、
小人は同して和せず。」
〈第七巻「子路」 第十三23〉

世の中でも、組織のなかでも、
和して同ぜず、でありたい。

〈結城義晴〉

2024年04月12日(金曜日)

レンゴーとベイシアのネット会議と日本ホームセンター業界事情

オンライン会議、
オンライン記者会見、
オンライン取材。

毎日、それが増えた。

昨日は商人舎オフィスで、
レンゴー㈱の皆さんとの会議。
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右から縄田幸男さん、山本麻依子さん。

先日、京都の㈱マツモトの取材で同行した。
その取材記事の内容を確認し合った。

今日は朝から、
㈱ベイシアの幹部の皆さんの取材。

太田善治さんは、
執行役員食品本部長。
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そして大澤正樹さんは、
執行役員オペレーション本部長。IMG_3622 (004)4

凄くいいインタビューで、
座談会のようになった。

お二人とも30年選手。

人柄がとてもいい。
そのうえ論理的に語る。

当然ながら意気投合。

月刊商人舎5月号で、
全容を掲載します。

ありがとうございました。

さて、商人舎流通SuperNews。
チェーンストア中心の即日ニュース配信。
正確で素早い報道を売り物にしている。

今日は1日に34本の記事が載った。

決算発表の時期には、
ニュースが増える。

そのなかで、
DCMnews|
’23年営業収益4886億円2.5%増・経常利益7.3%減

2006年9月1日に㈱カーマ、㈱ダイキと、
㈱ホーマックが経営統合。
「DCM」の由来は、
「Demand Chain Management」。

2017年に㈱ケーヨーと資本業務提携し、
今年1月に子会社にした。

ホームセンター業態の勃興期には、
ドイト㈱が先駆者となり、
ケーヨーとカーマがリードした。

ドイトが1972年にホームセンター1号店を開発し、
カーマは1973年にホームセンター事業に進出、
ケーヨーはガソリンスタンド業から、
1974年にホームセンター業に参入した。

ドイトはPPIHからコーナンへ転売され、
カーマはDCMへと成長し、
この度、ケーヨーと経営統合した。

私は1977年に㈱商業界に入社し、
販売革新編集部に配属されると、
スーパーマーケットとホームセンターを、
メインに取材することになった。

だからホームセンターでは、
ケーヨーの岡本正さんや、
カーマの鏡味順一郎さんには、
ずいぶん勉強させてもらった。

ドラッグストアはまだ、
成長の前段階だった。

だから感慨深い。

そのDCMホールディングスは、
営業収益4886億円、前年同期比102.5%。
営業利益286億8500万円、95.4%、
経常利益274億1200万円、92.7%。

営業利益率5.9%、経常利益率5.6%。
収益性は悪くない。

店舗数はケーヨーを加えて840店。

日本のホームセンター産業は、
4兆円を超えるマーケットサイズで、
コロナ禍以降、DIYが復活して、
業界も好調に推移している。

コーナン商事news|
23年度年商4727億円7.7%・経常利益9.0%の増収増益

アークランズnews|
’23年営業収益3249億円、主力ホームセンター2.6%減

結果として順位は、
第1位カインズ、
第2位DCMホールディングス、
第3位コーナン商事、
第4位コメリ、
第5位アークランズ。

カインズは非上場、コメリは3月期決算。

いずれも5%以上の経常利益で、
好調に推移する。

アメリカのホームセンターは、
ホームデポとロウズによる「複占」である。

さて日本のホームセンターはどうなるか。

いまのところ5社が3000億円以上、
その下にナフコ、アレンザホールディングス、
ジョイフル本田などが続く。

「寡占」とみていいだろう。

昨年の商人舎6月号特集。
「2023日本小売業ランキング」
ポストコロナ時代の「業態」それぞれの理由
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この号の「ホームセンター」の項。

ホームセンターが
食品との親和性を高める理由

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結論は、
「ホームセンター全体の出店傾向として、
スーパーマーケットの誘致や共同出店が目立つ」

「アークランズはビバモール名で商業施設を開発して、核店舗としてスーパーマーケットを誘致している。近畿圏では万代、首都圏では昨年オープンした八王子でヤオコーを入れている」

「またニトリもニトリモールを開発して、万代、平和堂フレンドマート、オーケーを誘致する。2020年12月にニトリ傘下となった島忠にはロピアが出店している」

「カインズはベイシアとのコンビネーション出店が多いし、ジョイフル本田はジャパンミートとの共同出店が定石化している。どのスーパーマーケットも高い集客力と販売力で知られる企業ばかりである」

「ホームセンターの来店頻度を高める集客装置として、強いスーパーマーケットが欠かせなくなっているのだ。親和性の高い業態同士の相思相愛の出店戦略は、ウォルマートのようなスーパーセンターが存在しない日本ではきわめて有効である」

47年前に私が担当した2つの業態。
親和性を高めて好調である。

まだまだ上位集中は進みそうだ。

〈結城義晴〉

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