結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年06月11日(木曜日)

AJS第64回総会とミドルマネジメント研修会最終日

昨日の東京・品川プリンスホテル。
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AJS第64期定期総会が開催された。
オール日本スーパーマーケット協会。260610134905785
私は1984年にご招待を受けて初めて参加した。
AJS第22期定期総会。
石川県片山津温泉で開催された。

故人となられた北野祐次さんが会長だった。
そして正会員企業は70社、賛助会員が72社だった。

それから42年が経過した。

今回はミドルマネジメント研修会と重なった。
そこで工藤澄人商人舎編集長が行ってくれた。

現在のAJS加盟企業は国内57社、海外3社。
合わせると60社。
総店舗数4426店舗、
総売上高3兆8501億円。

賛助会員は増え続けて369社。

田尻一会長のあいさつ。
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今回の総会では新任役員として、
林克弘㈱関西フードマーケット会長が、
協会副会長に選出された。
宇佐川浩之㈱丸久社長が理事に就任。

正会員の新入会員として、
両備ストアカンパニーが加わった。
両備ホールディングス㈱傘下。

記念講演は藤原辰史京都大学人文科学研究所教授。
「スーパーマーケットの未来像~地域からの食の変革」
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その後は19時まで恒例の懇親会。
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松本健司㈱マツモト社長。
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湯河原ではマツモトの幹部たちが、
一所懸命に勉強していた。

その、
26回商人舎ミドルマネジメント研修会。
2泊3日の缶詰セミナーの最終日。

昨日から栃木県結城市の小学生が、
修学旅行でホテルにやってきていた。

朝8時には、ロビーに集合して、
元気いっぱいに出立した。
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研修会場では、2回目の理解度テストがスタート。
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2日目の講義から出題。
計数問題もある。
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今日も私は受講生たちの奮闘をチェックする。
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テストが終わると、ほっとして笑顔があふれる。
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自分自身がどんなことを理解していて、
どんなことの理解が足りないのか。
それを知るためのテスト。

第1講義は結城義晴。
理解度テストの回答を確認し、
捕捉講義する。
これが重要だ。
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講座の冒頭で、テストの回答を示して、
一つひとつ丁寧に解説する。
そうすると受講生たちの理解はさらに深まる。
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講義はドラッカーの目標管理、
そしてコミュニケーション。IMG_7476

さらにリーダーシップ実践法。
この研修会の肝となる部分だ。IMG_7477

第2講座は井坂康志講師。
ものつくり大学教授で、
ドラッカー学会共同代表。
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ミドルマネジメント研修会は
ドラッカーのマネジメントをベースにしている。
研修会の当初は故上田惇生先生に講義していただいた。
ドラッカーをして「私の分身」と言わしめた、
ドラッカー翻訳の第一人者。ueda_shi

その上田先生が後継者として選んだのが井坂さん。
そして日本人で最後にドラッカーに会った人。
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ドラッカー・マネジメントのエッセンスを、
スライドを使ってわかりやすく講義してくれる。
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流通業向けに講義内容もアップデートしてくれる。
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講義の最後はQ&A。
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OICグループの吉川さん。
3つの質問。
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マツモトの加藤さん。
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同じくマツモトの大中さん。
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OICグループの森さん。
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4人の質問に、井坂講師は、
よく考えながら実に丁寧に答えてくれた。
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90分間の充実した講義。
終わると、名詞交換の長い列ができた。
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井坂さんに感謝。
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昼食後は結城義晴の総括講義。
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ここからはケン・ブランチャード。
「リーダーシップ・メソッド」
4つのリーダーシップのスタイル。
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ディレクティング型、
コーチング型、
サポーティング型、
デレゲーティング型。

実践してみてください。IMG_7547

それからスライドを使って、
チームマネジメントの実例、実践法。

ウェグマンズとホールフーズ、
そしてウォルマートが、
チームマネジメントを使って、
会社の運営をしている。IMG_7556
その「チームの作り方」から、
すべての段取り、注意点まで。

意図的に「対立(conflict)」をつくって、
集団思考を避ける。
発散思考と集中志向を繰り返す。

それがプロジェクトチームの要諦だ。

最後に流通理論。
ゴドフリー・レブハーの『チェーンストア』が、
すべての原点だと思う。

レブハーのチェーンストアの定義こそ、
断じて忘れてはならない。IMG_7559
最後の最後はいつものように、
「自ら、変われ!」

そして「祈り」。

総括講義を終えると、
受講生からのスタンディングオベーション。
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第26回ミドルマネジメント研修会。
2泊3日の17講座が無事に終了。
専用バスに乗った受講生たちを見送る。IMG_7570

今回はいつもの研修会より参加者が少なかった。
しかし、それが密接なコミュニケーションを生んだ。

いい研修会だった。

自分が変わらねば、
仲間を変えることはできない。

自分が変わらねば、
職場を変えることはできない。

自分が変わらねば、
会社を変えることはできない。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2026年06月10日(水曜日)

商人舎6月号発刊と26回ミドルマネジメント研修会2日目

月刊商人舎6月号本日発刊!!202606_coverpage

特集は、
’26日本小売業トップ100
1位イオン、2位セブン、そして98社のダイナミズム

[Cover Message]
2025年2月期・3月期、およびそれ以前の1年以内の本決算の営業収益、売上高の多寡を順位付けして、100社までを発表しよう。
第1位はイオン、第2位はセブン&アイ・ホールディングス。断トツの2社が入れ替わった。それでも10兆円の大台を死守する。
第3位アマゾン・ジャパン、第4位にファーストリテイリング。第5位パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。一方、100位にフィールコーポレーション、第99位にエコスのスーパーマーケット2社が入った。97位はひとまいる(旧カクヤス)。1位から100位までの小売業企業を俯瞰しつつ、そのダイナミズムを解き明かそう。ランクそのものよりも全体の上昇ベクトルと下剋上のエネルギーが日本商業の未来を決める。

[目次]202606_contents

巻頭の「Message of June]は、
さようなら、鈴木敏文さま
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それから今月の、
このひと・の・このひとこと
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そして特集。

日経新聞の小売業調査は、
毎年、7月15日に発表される。

そのまえに日本の小売業100社を調査し発表する。

アメリカでは全米小売業協会(NRF)が毎年、
「Top 100 Retailers」をランキングして、
それがいろいろな分析の基準となる。

同じように日本小売業トップ100を、
いち早く商人舎が公開する。

まず「日本小売業トップ10」
2026026_top10

それから90社。

さらに業態別のランキングとその分析。
これは業態の趨勢を知るにはよい。
⑴総合スーパー
⑵スーパーマーケット
⑶コンビニエンスストア
⑷ドラッグストア
⑸百貨店
⑹ホームセンター
⑺家電チェーン
⑻専門店チェーン

私が書いたのが、
決算書の見方と「トップ100」のKPI比較
202606_KPI
久しぶりに決算書の見方を書いた。

特別企画は、
紙のチラシは 減っても死なず
しぶとい「ペーパー広告」の集客力chirashi_sato_title
チラシのプロ・コンサルタント、
佐藤勝人さんが持論を展開。
さらに有力チェーンの実際のチラシを、
分析し、評価した。

佐藤勝人流「現代チラシ集客論」
売れ個数ベスト100商品を載せよ!

実に面白い。

ご愛読をお願いします。

さて、
第26回ミドルマネジメント研修会。

2日目の朝は理解度判定テスト。IMG_7376

初日の結城義晴と鈴木哲男講師の講義から、
記述式の5問。
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どの問いに苦戦しているのか。
会場を見て回って、状況を確認する。
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30分間のテスト。
時間ぎりぎりまでペンの音が響く。
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テストが終了すると、
回答について皆で語り合う。
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2日目の講義はまず、
高野保男講師、タクト企画代表。
テーマは、
「作業とオペレーション・システム」
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高野さんは元サミット㈱取締役。
そのレイバースケジューリングプログラムを構築。
独立後は、60社以上の企業を指導してきた。

作業の原理原則を講義してくれて、
さらに具体的な動画事例による解説。
わかりやすい講義だ。
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最後は質問タイム。
真っ先に質問したのはOICグループの笹さん。
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同じくOICグループの川崎さん。
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さらに同じく吉川さん。
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高野先生は、それぞれの質問に、
丁寧に答えてくださった。
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ありがとうございました。
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3講義目は結城義晴の担当。
初めに理解度判定テストの回答を確認する。
一問一問、かなり丁寧に解説を加える。
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そのあとの講義は産業ビジョン。
「戸籍を得たスーパーマーケット」から、
産業構造とサービス業化、
流通の多段階性など。

ミドルマネジメントも、
そういった構造問題を知っておいてほしい。

昼食をはさんで午後は、
「計数の基礎」2講義。
山本恭広講師。
商人舎流通スーパーニュース編集長兼R&D担当。
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ミドルマネジメント研修会の計数は、
白部和孝先生が長い間、
講師を担当してくださった。
白部さんが引退されてからは、
山本編集長がその講義を引き継いでいる。
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現場の計数として、
必須の「商品と人」に関する計数が中心。
粗利益率と商品回転率と交叉比率。
人件費に関しては、
労働分配率と人事生産性。

実際に問いを設けて演習してもらう。
これも白部スタイルを継承。

コーヒータイムをはさんで、
夜8時までは結城義晴の講義。

現場の計数を発展させて、
ミドルマネジメントの経営数値。
今回は「財務三表」をわかりやすく、丁寧に講義した。
借り方、貸し方からはじめて、
それぞれの原理や数字の在り方を、
私流のたとえ話を含めて解き明かす。
それから総資本回転率、営業利益率、経常利益率。
さらにROAとROE。

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トップ企業群のKPIを一覧表にして解説した。

年々、経営数値の講義時間が長くなる。

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休憩を挟んでいよいよ、
「マネジメント理論の転換」

これは深刻で重要な問題だ。
アダム・スミスからフレデリック・テイラー、
さらにヘンリー・フォード、
そしてアンリ・ファヨール。
ファヨールの「管理過程論」が一世を風靡した。
日本では「MTP」と略されて紹介され、
多くの大企業や行政府に普及した。
初期のチェーンストアにも導入された。

しかしファヨール以降、
人間の研究が進んで、
人間関係論、動機づけ理論、
リーダーシップ論などが登場し、
ファヨールの理論は否定されていった。

それらに決定的で総合的な意味づけをしたのが、
ピーター・ドラッカーだった。
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ここから解き明かさねば、
チェーンストアのマネジメントは、
改革されることはない。

それから本格的な「ドラッカーのマネジメント」

「店長のためのやさしいドラッカー講座」、
最後はファヨールとドラッカーの比較。

この講義は私の独自のストーリー。
本来はトップマネジメントにも、
了解してもらわねばならない。

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受講生たちは実に熱心に聴いてくれた。

朝8時15分のテストから夜8時までの講義。
夕食は駿河湾の海の幸などの料理。
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疲れも見せず、みんな笑顔。IMG_7448

「美味しい?」
「Good!」
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夕食後は2日目の講義の復習タイム。
自習室にも風呂上がりの人たちが、
三々五々集まってくる。IMG_7456

京都の㈱マツモトのメンバーは、
グループで学び合う。
これもいい。
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2日目の夜は学習意欲にあふれて、
静かに熱く更けていく。

頑張れ。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2026年06月09日(火曜日)

第26回ミドルマネジメント研修会の「賢者は歴史に学ぶ」

新横浜から新幹線に乗った。

そして熱海駅。
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車で湯河原に向かう。
相模湾は静かだ。

右手に初島が見える。
その奥には伊豆大島も。
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今日から、
商人舎ミドルマネジメント研修会。
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6月9日~11日の2泊3日の缶詰セミナー。

2012年5月に1回目を開催して、
毎年2回ずつ実施している。

コロナ禍中は中止したものの、
14年目の今回で第26回を数える。
2000人以上の修了者を輩出している。

会場は「ニューウェルシティ湯河原」
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神奈川県と静岡県の境界線にある。
もちろん、住所は静岡県。

梅雨空だが、新緑はみずみずしい。

しかしこの周辺にも、熊が出没したらしい。
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会場はいつものように、
天井高のある大観の間。
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2008年2月1日に商人舎を設立した。
そして4月17日に発足の会が開催された。
結城挨拶

ありがたいことに、
93人の発起人のみなさんが、
商人舎の在り方を支持してくださった。

その93名の方々のうち、
23人のみなさんが亡くなられた。

心から感謝しつつ、
志を新たにした。

この発足の会で私は、
3時間の講演をした。
「小売流通サービス業
21世紀の日本を救う」講演4

私は一世一代の講演をした。
講演会

ミドルマネジメント研修会の冒頭はいつも、
この発足の会の講演の再現。

志を共有したいからだ。IMG_7316

商業の基幹産業化のために必須のこと。
それが近代化の精神。

そしてそれは倉本長治の考え方だ。
イオンの岡田卓也さんは、
長治先生の一番弟子だった。
「エルダー」と呼ばれた。

伊藤雅俊さんも大髙善雄さんも、
倉本長治の教えを受けた。

だから現在のチェーンストアは、
みな、商業近代化の思想をベースにしている。

それが「店は客のためにある」

そして「商売十訓」

これらが不思議なことに、
ピーター・ドラッカーの考え方と同期している。IMG_7312

それから商業近代化の歴史を辿る。
「賢者は歴史に学ぶ」

私はいつも、
「三井高利」の「店前現金掛値無」から始める。

イノベーションのルーツは、
ここにある。

歴史の合間には、
ラストワンマイルの「勝者総取り」の話が出てくる。

さらに1980年から、
アメリカでコンビネーションストアが登場する。
ここからチェーンストア3.0が始まる。IMG_7331

さらに基幹産業化のためには、
顧客満足と従業員満足が不可欠だ。IMG_7334

2時間の講義が終わると、
30分のコーヒータイム。

16時からは鈴木哲男講師。
㈱REA会長。

ご存じ、52週マーチャンダイジングの大家。
講義は52週MDとストアコンパリゾン。
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具体的な事例と図表を駆使して講義してくれる。
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52週MDは組織風土を変える活動だ。
そのための「作・演・調」の役割、
目指すべき風土、
スーパーマーケットのポジショニング分析など、
その講義は多岐に渡る。

けれども実践的だから、わかりやすい。
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商人舎刊の『流通RE戦略』を、
サブテキストにして講義。
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3講義、3時間半。
すべての講義が終了したのは20時。

お疲れさまでした。
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すぐにレストランで夕食。
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刺身、豚鍋、ローストビーフ、釜飯と、
盛りだくさんの料理。
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会話しながらも、食は進む。
湯河原で開催するのは、
この食事と癒しの温泉があるからだ。

缶詰セミナーだからこそ、
こうした環境が必要なのだ。
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講師陣と事務局はビールをいただく。
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年に二度、この研修会で会うのが、
鈴木講師と高野保男講師。
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高野さんは明日午前の講義を担当する。
お二人とも年に二回の逢瀬を、
楽しみにしてくださっている。

26回目の講義、ありがとうございます。

食事のあと、受講生たちは、
それぞれに復習に勤しむ。

明日の理解度判定テストのためだ。
部屋で、ホワイエで、
自習室として開放された研修会場で。
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23時前にその様子を見に行く。
みな、真剣に復習している。
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健闘を期待している。

朝日新聞「折々のことば」
今日の第3655回。

英知は、長いあいだ
正しく維持された人間関係から
生まれるのだ。
〈エドワード・M・フォースター〉

「人の英知はたしかに
『年月の産物』ではあるが、
必ずしもつねに経験の蓄積や
知識の多寡に拠(よ)るわけではなく、
それ故『予言者やガイド』の役を
果たしうるものでもない」

「それは人と人との交わりの中で
数知れぬ訂正を経て育まれるもので、
その意味で、関係において
最後まで破られなかった何かだと言えよう」

評論『老年について』(小野寺健訳)から。
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歴史は、
人の英知の積み重ねによってできている。

その英知は、
正しく維持された人間関係から生まれる。

私たちはそれを伝えていきたい。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2026年06月08日(月曜日)

商人舎6月号巻頭Message「さようなら、鈴木敏文さま」

Everybody! Good Monday!!
[2025vol㉓]

2026年第24週。
6月第2週。

横浜も梅雨入りしました。

今週は火曜・水曜・木曜が、
商人舎ミドルマネジメント研修会。

来週は水曜・木曜が、
商人舎バイヤー研修会。

2週連続のセミナー。

その間の今週6月10日に、
月刊商人舎6月号発刊。

巻頭の[Message of June]に追悼文を書いた。
発刊前だが一足先に紹介しておこう。
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さようなら、鈴木敏文さま

あなたは「コンビニの父」と呼ばれました。
あなたがつくったセブン-イレブンは、
あなたのたぐい稀なる経営力によって、
商業史に燦然と輝く企業となりました。
祖業のイトーヨーカ堂を凌ぐ小売業となりました。
さらに日本のすべてのコンビニエンスストアは、
先陣を切るイノベーターをひたすら追いかけながら、
立派なフランチャイズチェーンとなって成長しました。
その結果、コンビニエンスストアは、
日本小売産業を代表するトップ業態となりました。
最も小さな売場と最も狭い商圏の店舗によって、
あなたは日本最大の小売りビジネスをつくりました。
チェーンストアの革新的なモデルを創造しました。
しかもあなたは専門経営者でした。
ほとんどがオーナートップのこの商業世界のなかで、
あなたはサラリーマンとして統率力を発揮しました。
それを決意し、それをやり遂げました。

しかし際立った事業家である以上に、
あなたは現代の社会革命家でした。
あなたは日本国民の生活をガラリと変えました。
365日24時間を当たり前のライフスタイルにしました。
休日にも深夜にも人々はコンビニに立ち寄って、
おにぎりや弁当やサンドイッチを手に入れました。
手軽な挽き立てコーヒーを楽しみました。
コンビニエンスな生活の糧を獲得しました。
あなたは小さな店を銀行に変え、
役所にし、郵便局にしました。
あくまでもお客さまの立場に立って、
仮説をつくり、それを実践し、
検証を繰り返しました。
その日々の活動によって、
日本の国民が欲するであろうニーズを先取りし、
その問題解決に勤しむ組織を育てました。
国民が抱える問題を解決するために、
セブン-イレブンの社員だけでなく、
すべての加盟店オーナーを顧客志向に変え、
メーカーやベンダーの人々を巻き込み、
多くの若者たちを育てました。
革命は一人では成就しません。
あなたは多くの同志たちを叱咤し、
奮い立たせたのです。

あなたは原則に忠実な人でした。
あなたは厳しい人でした。
あなたは妥協を許しませんでした。
自分に厳格な人でした。
それらによってまた、
数多くの人たちが去っていきました。
けれどあなたはそんなことには目もくれず、
自分の信じることを貫きました。
あなたは孤独な人でした。
それが傑出した経営者であり、
優れた革命家であるための条件だったからです。
今、その孤独から解放されてあなたは、
多くの人々の記憶の中に残ることとなりました。

鈴木敏文さま。
ありがとうございました。
さようなら。  〈結城義晴〉2019120501-448x264

セブン-イレブン・ジャパンをはじめ、
米国のセブン-イレブン・インクも、
それからヨーク・ホールディグンスも、
鈴木さんの遺志を継いでほしいものだ。

もちろん先に亡くなった、
伊藤雅俊さんのご遺志を継承することも、
極めて重要だ。
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伊藤雅俊さんと鈴木敏文さん。
このお二人こそが、
セブン&アイ・ホールディングスをつくった。

それは「基本の徹底」と「変化への対応」を、
同時にやり遂げることだ。

あちらを立てて、
こちらも立てる。
「トレードオン」を実現させることである。

セブン-イレブンならば、
まだまだ執拗に、徹底的に、
コンビニエンスストアの可能性を、
追い求めることだ。

ファミリーマートやローソンに、
勝とう、負けないと考えることではない。

おにぎりの安売りをすることではない。
半額揚げ物販売タイムセールをすることではない。
お菓子無料クーポンなど効果があるか。

梅雨寒で気温が下がったら、
レジ横ホットドリンクやカップ麺を、
丁寧に売ることではないのか。

基本アイテムの品切れを防ぐことではないのか。

加盟店オーナーの負担を減らすことではないのか。
パートさんやアルバイトさんの、
仕事を軽減することではないのか。

フィールドカウンセラーが、
もっともっと頭を使い、
配慮をすることではないのか。

インフレの時に顧客はどう動くか。
仮説を立て、実行し、検証する。

基本を徹底し、
変化への対応をする。

そういった面で、
図抜けたチェーンストアでなければならぬ。

それは他の小売業も同じだ。

では、みなさん、今週も、
お客様の立場で、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2026年06月07日(日曜日)

過去と未来の間の「人生の平衡感覚」

沖縄は5月4日に梅雨入りした。

九州南部が6月1日、
四国が6月2日、
九州北部、中国、近畿が4日に梅雨入りした。

東海と関東甲信は、
そろそろ梅雨入り。

急に寒くなった。
梅雨寒(つゆざむ)か。

ゼイバーズのコーヒーを淹れて飲んだ。
梅雨寒の朝の珈琲まるやかに

〈安立公彦〉

それから音楽でも聴くか。
梅雨寒や部屋いっぱいにビートルズ
〈岡山敦子〉

今週は国会の衆議院と参議院の予算委員会で、
酷いやり取りを見せつけられた。

朝日新聞「折々のことば」
鷲田誠一さんが続けて、
同じ作家の言葉を紹介してくれた。

第3652回。
人は……過去(うしろ)へ引っぱられ、
未来(まえ)へ引っぱられ、
いわば前後に存在をひろげて
生きている。
〈古井由吉(ふるいよしきち)

「だがこの広がりが急に狭まると、
人は『現在地、現在時』を見定められずに
前後不覚に陥る」

「そして時に思いもしない凶行に及びさえする」

ん~、文春砲が報じた事件もこれに違いない。

「齢(よわい)を重ねると
『情熱の尽きた故の興奮』なるものに
襲われたりするが、これを抑えるのは
存外難しい」

これはドナルド・トランプだ。
わが女性首相も。

「脈絡を見失うと
人生の平衡感覚も崩れてしまうから」

人生の平衡感覚は、
いくら歳をとっても、
崩してはいけない。

随筆集『裸々虫記(ららちゅうき)』から。
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つづいて第3653回。

過去は、
現在生きやすいようには、
積み重ねられていない。
蒲団(ふとん)を押入(おしい)れの中に
片づけるのとわけが違う。
〈古井由吉〉

「取り違えに物忘れ。
その一方で、知らないはずが知ったつもり」

「不安が濃くなるにつれて依怙地(いこじ)になり、
似ても似つかぬものの中に
『過去との符合』を強引に見てとる」

「前者では既知のものが消され、
後者では偽の既知感に覆われる。
だが根は一つ」

「年月が積もると、その重みに拉(ひし)げ、
歩行も鈍る」

これも随筆集『裸々虫記』から。

古井由吉は日比谷高校から、
東京大学文学部、同大学院。
立教大学助教授。

1971年、『杳子』で芥川賞。
「内向の世代」と呼ばれた。
自己の内面に入り込んで描く作風の作家たち。

『裸々虫記』は古井49歳の随筆。
1937年生まれの作家は、
若いころから老成していた。

人生の平衡感覚。
現在地と現在時の認識。

49歳くらいから、
強く意識しておいたほうがいいだろう。
商人にとってこの平衡感覚はとても大切だ。

私くらいの歳になると、
それは必須の感覚となる。

年月を重ねてこれが失せると、
思いもしない凶行に及びさえする。

だから自分で珈琲を淹れ、
好きな音楽でも聴いて、
平衡感覚を取り戻す。

ありがたい。

〈結城義晴〉

2026年06月06日(土曜日)

就活イベント「AEON Group Day 2026」と小嶋千鶴子の「愛情」

東京ドームシティプリズムホール。prismhall

「AEON Group Day 2026」
イオングループ合同採用イベント。

山本恭広編集長が取材に行った。aeon-enter

イオングループは約300社の規模となった。

そこで採用する学生に対して、
グループの理念やビジョンを紹介しつつ、
事業フィールドを知ってもらうイベントを開催した。

昨2025年に続く2度目の開催。

基本的に2027年以降卒業の学生が対象となっている。

イオンの人事部門が中心となって企画され、
グループ30社が参加して開催された。kaijo-zenkei

イオンリテール、イオン九州、
マックスバリ東海、カスミ、ウエルシア薬局、
イオンモール、イオンディライトなど、
主要の小売り企業や機能会社が出展した。

そのオリエンテーション会場。aeon-seminar

展示ブースを紹介し、
その回り方をガイダンスする。

そのなかでイオンリテールは、
食品、H&BCに分けて出展した。aeon-retail

U.S.M.Hは、
首都圏のスーパーマーケット4社の持ち株会社。
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス。

傘下のスーパーマーケットでは、
カスミとイオンフードスタイルが出展。aeon-food&kasumi

まいばすけっとのブースには、
学生の立ち寄りが目立つ。aeon-mybas

イオングローバルSCMは、
サプライチェーンの中核となる会社。
学生の関心が高い。aeon-scm

イオンスマートテクノロジー。
グループのデジタル戦略の中核を担う。
aeon-ast

販売と接客から商品開発、物流、デジタル、
さらに農業まで。

イオンはあらゆる人材を受け入れる。
その領域の広さと懐の深さが表現されたイベント。

広報グループマネージャー末吉真さん(右)と、
リーダー壬生雅洋さん。koho
ていねいなご案内、感謝します。

6月13日には大阪で開催する。
東京・大阪の2会場で、
1000人の学生の参加を見込んでいる。

イオンの合同採用イベント。
社会に向けて小売業の存在を示す。

実にいい試みだ。

とりわけ人事部門が企画したことに意義がある。
人事がやることは組織づくりだけではない。
異動、採用などに関与するだけではない。

自ら組織の在り方を、
学生や世間に主張する。

それも有益なことだ。

月刊商人舎2018年1月号。
特集は「2018真の人間産業へ」
201801_coverpage-448x634
この号の[Message of January]
人の強みを発揮させよ。

人間の、
人間による、
人間のための産業。
それが小売流通サービス業だ。

AIが仕事を変えようと、
IoTが広がろうと、
ビッグデータが活用されようと、
ロボットが現場に導入されようと。

人間の、
人間による、
人間のための産業。
それは変わらない。20180110_cover_02

この号の「特集のまえがき」を私は、
「真の人間産業構築を決意する」と題した。

その最後の文章は、
『あしあと』という本からの引用である。
イオン名誉顧問だった故小嶋千鶴子さんの著書。
非売品ながら正真正銘の「名著」。
IMG_19741
小嶋さんは岡田卓也名誉会長相談役の姉上。
戦前の1939年、㈱岡田屋呉服店の社長を務めた。

ジャスコ時代にも人事責任者として、
ヒューマンリソースマネジメントの、
基礎を築いた人だ。

この本の一節。

「人事は人間を知ることから始まる。
人間を知ることは、
人間を愛することから始まる。
愛することは理解することである。
よりよく知ることである」

人間を愛することから始まる――
小売業の在り方の根本だ。

「個々人は個々に違う。
違うことを知ることである」

「一人一人について、
過去どのように生きてきたかを知り、
今後どのように生きていきたいか
という希望を知り、
今どうしているかを知り、
目標をもたせることである」

イオンの基本のこの言葉、
すべての学生に知ってほしい。

小嶋さんは言い切る。
「人事担当者は知ることから始める。
そのためには、聞くことから始める。
注意深く見ることから始める。
基本は、愛情である」
IMG_32342

この「まえがき」を書いた結城義晴は、
感動している。

「人間の、人間による、
人間のための産業は、
ここから始まる。
すなわち一人ひとりを注意深く
見、聞き、知ることから始まる」

「AEON Group Day 2026」
来年も再来年も、
すっと続くのだろう。

そこで貫かれるものはこれだ。
「真の人間産業の基本は、
愛情である」

〈結城義晴〉

2026年06月05日(金曜日)

ヤマダ&エディオンの経営統合と「感動の正体」

台風が去って、
紫陽花の花が目立つ。

梅・桜からツツジ、
そして紫陽花。
IMG_3417

日本は四季がなくなって、
二季になったなどと言われるが、
花の移り変わりを見ていると、
確かに四季はある。

ツツジの色変化(へんげ)。
IMG_3418

淡い紫。
IMG_3419

紫。
IMG_3421

青。
IMG_3420

商人舎流通SuperNews。

ヤマダホールディングスとエディオンが、
共同記者会見を開いた。

ヤマダnews|
エディオンとの経営統合合意/2027年10月に持株会社設立

ヤマダホールディングスは、
山田昇会⻑兼CEO。
スクリーンショット_6-6-2026_182928_www.yamada-holdings.jp
エディオンは、
久保允誉(まさたか)会長兼社長。
スクリーンショット_6-6-2026_183328_www.yamada-holdings.jp.jpg22

「対等」を基本方針とする経営統合。
合意書を締結した。

それぞれに取締会で決議して、
締結に至った。

山田さんは「くらしまるごと戦略」を掲げる。
久保さんは地域密着・アフターサービスを強みとする。

営業の親和性と経営の方向性が合致している。
だから相互補完でシナジー効果を追求することができる。

共同株式移転によって持株会社を設立する。
そして両社を完全子会社とする。

持株会社の商号は全く別とする。
それがいいだろう。

それくらいの対等合併である。

代表取締役会長に山田さん、
代表取締役社長に久保さん。

これもいい。

山田さんは83歳。

久保さんが76歳。

カリスマ二人で、
仲良く経営してほしい。

2026年3月期売上高は、
ヤマダが1兆6918億0800万円、
エディオンが7937億4600万円。

単純合計で約2兆5000億円の、
断トツ家電チェーンが誕生する。

2位のノジマは売上高9828億円。
その2.5倍のスケールとなる。

経営統合と新会社設立のあと、
2027年10月1日付けで、
統合会社の上場を目指す。

会社の融合こそが大事だ。

1位と5位の統合によって、
家電業界のM&Aは、
さらに加速するに違いない。

さて日経新聞夕刊のエッセイ。
「あすへの話題」
推理小説作家の今野敏さん。
「感動の正体」

「最近、ある文学賞の選考会のために
候補作を読んでいたときのことだ。
時代小説の短編集にいたく感動してしまった」

「なぜかは自分でもよくわからない」

「もちろん書き手が達者だったということもあるが、
そんなことが理由ではないはずだ」

「だいたい、感動の正体そのものが
よくわからない」

ここから小説に限った話。
「時折、不意討ちを食らうように
感動してしまうことがある」

「それも、(たぶん)作者が意図していない、
さりげない描写や台詞(せりふ)で、
まんまとやられることが多い」

わかる。

「長年創作を続けてきたので、
他人の作品を読んでも、
ここは力を入れているなとか、
ここが泣かせどころだなというような
作者の企(たくら)みはよくわかる」

「だから、逆にそういう場面では
あまり心が動かない。
本当に、不意討ちのようなものなのだ」

これも、わかる。

感動させるためのノウハウはある。

「まず、読者の意表をつくことだ」

「お約束の流れだと思わせておいて、
少しばかりひねりを加えるのだ」

「だが、企みはたいてい滑ってしまう。
あくまでも、自然な流れの中に、
意外性がなければならない」

「ここまで書いて、ふと思った。
不意討ち、相手が意図しない動き、
相手の意表をつくこと、
流れを敢(あ)えて断ち切る……」

「まるで、武道か格闘技の話をしているようだ」

今野さんは武道家でもあって、
少林流空手今野塾を主宰する。
konnno-1

「そうか、感動が生まれる瞬間というのは、
武術や格闘技に通じるものがあるのかもしれない」

「まあ、それに気づいたからといって、
すぐに読者に感動してもらえるものが
書けるとは限らない」

結論。
「妙な企みなどせず、
常に真剣勝負をするしかないようだ」

この話は商売に通じる。

店や売場や商品で、
顧客に感動してもらいたい。

その感動の正体を知りたい。

まず、顧客の意表をつくこと。

お約束の流れだと思わせておいて、
少しばかりひねりを加える。

だが、見え見えの企みは、
たいてい滑ってしまう。
あくまでも、自然な流れの中に、
意外性がなければならない。

売場の中での不意討ち、
顧客の意表をつく。
流れを敢えて断ち切る。

ウォルマートにはそれがある。
サム・ウォルトンは、
この意表を突く売場づくりが大好きだった。

だからいまでも、

DNAとして残っている。

山田昇さんも久保允誉さんも、
そんなものをもっているに違いない。

それらのDNAを伝承してほしい。

極めてオーソドックスに進めておいて、
突如、意表を突く。

それが感動の正体なのだから。

〈結城義晴〉

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