結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年12月22日(月曜日)

イオン関東・近畿スーパーマーケット経営統合の「膨張と成長」

Everybody! Good Monday!!
[2025vol51]

2025年第52週。
あと2週となった。

午前中、家で原稿整理。
亀谷しづえ商人舎GM執筆の記事。
良く書けている。

昼前に商人舎オフィスに出た。

さらに横浜駅から東海道線で東京へ。
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丸の内を歩く。
皇居側の空。
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7分ほど歩いて、
大手町プレイスタワー。
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今年12度目の訪問。

天を指すモニュメント。
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地下1階のオープンレストラン。
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大手町プレイス内科で血液と尿の検査。
そして田嶼尚子先生の診察。

肝心のヘモグロビンA1cは6.3。
1カ月前が6.4だったから、
0.1ポイントの改善。

いい傾向だ。

成人男子の上限が6.2で、
高齢者は6点台ならば合格。

グルコースは99、
中性脂肪は137。

田嶼先生は褒め上手だ。
「30代のような数値です」

「野菜をもっと食べて、
それから運動です」

御意。

田嶼先生は学生時代に、
米国ピッツバーグに留学した。
今もかの地にアパルトマンを持っている。

来年はピッツを訪れるそうだ。

1年間、ありがとうございました。
先生もお元気で。

来年もよろしくお願いします。

それから5時までに横浜のオフィスに戻った。

そしてオンライン記者会見。

リアル会見はベルサール秋葉原で行われ、
山本恭広編集長が取材に行った。
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「イオンのSM事業の成長戦略」

2階ホールにテレビクルーを含めて、
50名近いメディアが集まった。
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登壇者は4人。

イオン㈱吉田昭夫社長、
U.S.M.H㈱井出武美社長。
(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)
それから㈱ダイエー西峠泰男社長、
マックスバリュ関東㈱平田炎社長。

すでに発表されていたが、
その詳細が決まった。

冒頭、吉田社長が全体像を説明した。
首都圏と近畿圏で、
スーパーマーケット企業を経営統合する。aeon-yoshida

首都圏では2026年3月1日付けで、
ダイエーの関東事業およびイオンマーケットを、
マックスバリュ関東と合併させて、
(株)イオンフードスタイルを設立する。

この新会社は、
126店舗、約1800億円の事業体となる。

そしてU.S.M.Hは、
㈱マルエツ、㈱カスミ、㈱いなげや、
イオンフードスタイルの4社体制となる。

合わせると761店舗、1兆0500億円の規模、
日本第1のスーパーマーケットチェーンだ。

イオンフードスタイルは、
店舗の65%が東京都内、46%が23区内にある。
つまり圧倒的な立地の優位性をもつ。

井出社長が新会社の考え方について説明した。aeon-ide

続いて近畿圏の経営統合については、
ダイエー西峠社長が説明した。aeon-nishitoge

こちらも2026年3月1日付けで、
ダイエー近畿事業と㈱光洋が統合し、
新生ダイエーとなる。

187店舗、3000億円の規模。

店名も「ダイエー」に統合していく。

関西では「ダイエー」の名前は、
深く根付いている。

私も「ダイエー」の名称を残してもらって、
安心した。

吉田さんも井出さんも、西峠さんも、
「フォーマット」という言葉を何度も使った。

そして日本でもっとも肥沃な2大マーケットを、
「マルチフォーマット」によって占拠率を高めていく。

ダイエーは巨艦総合スーパー店舗もあるし、
スーパーマーケットもある。
光洋は小型店も中型店もある。

古い店も実に多い。

それらを再整理すると、
複数のフォーマットとならざるを得ない。

それは関東のイオンフードスタイルも同じだ。

イオンが進めるリージョナルシフトについて、
首都圏と近畿圏が大きく前進した。

とはいっても今のところは、
日本最大規模のスーパーマーケットの、
「膨張」である。

これを「成長」という評価に変えるには、
イノベーションが必須だ。

2030年問題は、
日本社会の高齢化と少子化を意味する。

しかし首都圏と近畿圏は、
人口が増加している。

人口が増える市場での商売ならば、
さまざまなポジショニングが可能となる。

そこに活路がある。

イオン全体のインフラが、
それを支える。

吉田さんはずっと、
晴れやかな表情と話しぶりだった。

それが印象に残った。

井出さんや西峠さんを、
相当に信頼しているのだろう。
手ごたえを感じてもいるのだろう。

「まいばすけっと」の話が出たが、
あれは「エクスプレスストア」だ。

つまりこのイオンの関東・関西の戦略は、
イギリスのテスコがモデルとなる。aeon-sm
記者会見のあとの質問で、
証券アナリストの一人が、
「人時生産性」を「じんじせいさんせい」と言った。

言い間違いとは思えない。
「にんじせいさんせい」である。
敢えて指摘しておこう。

では、みなさん、今週も、
イノベーションを楽しもう。

Good Monday!  

〈結城義晴〉

2025年12月21日(日曜日)

「構造改革」は本当に始まるか?

12月の日曜日。
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竹塀の向こうの紅葉。
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暖冬でまだ残る。
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雲の間に青空が顔を出した。
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「構造改革」が始まる?

日経新聞経済コラム「大機小機」
ウィークデーに経済の識者たちが、
匿名のペンネームでズバリズバリと書く。

一直さんは私の好きなコラムニストのひとり。

だが12月20日の記事は賛同しがたい。

「今年を振り返ると、
日本の将来を方向付ける大きな変化が
着実に進行していることに気が付く」

まず、
「なによりも日本を取り巻く
国際環境が大きく変わった」

ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官。
2023年11月29日に亡くなった。

しかし2014年に『World Order』を書いた。
伏見威蕃訳では『国際秩序』
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「民主主義と自由市場を広めれば
自動的に公正で平和で
排他的ではない世界が創れるという見方は
冷戦直後の楽観的な思い込みだったのではないか――」

その通りだ。
冷戦がソビエト連邦の崩壊と、
ベルリンの壁の撤去によって終了し、
次には思い通りの世界がやってくる。

そんな楽観的な思い込みは確かにあった。

コラムニスト。
「国際経済システムは
かつてないほどグローバル化している」

「一方で政治構造は変わらず
国民国家が土台になっている」

「加えて米国の国力、国際的指導力は、
冷戦直後に比べ大きく低下した」

それから11年。

「今年再び登場したトランプ米大統領が、
ロシアのウクライナ侵略に
歯止めをかけようと奔走しても、
いま現在、目立った成果をあげられないでいる」

トランプにも効果的な手は打てない。
世界を悪くするばかりだ。

「さらに世界第2の経済大国となった中国が
軍事的プレゼンスを急速に高めている」

フランスの人類学者エマニュエル・トッドは、
『西洋の敗北』で言い切った。71tZv7pJH6L._SL1500_

「ソ連の崩壊も西側の勝利だと誤解された」

「実際は崩壊に向かう米ソの両体制のうち、
ソ連が先に崩壊しただけだ」

そのうえでトッドは言う。
「勝ち誇った米国は、
2001年に中国を世界貿易機関(WTO)に迎え入れる
自殺行為に出た」

かくて中国がプレゼンスを高めた。

一方、一直さん。
「米国が盟主として
世界に君臨していた冷戦時代と違い、
経済グローバル化のもと
経済競争が激化し、
各国で所得格差が拡大した」

そして反動が起こった。
「その結果、ポピュリズムが政治を動かし始め、
米国含め各国が自国中心的な色彩を強めている」

日本もこのメガトレンドの渦中にいる。

「昨年の衆議院選挙、
本年7月の参議院選挙を通じて、
青壮年世代の現役勤労者、
いわゆる中間層の投票率が顕著に上昇し、
自公連立政権が崩壊、
自民主導の戦後政治体制は終わった」

一直さん。
「世界も日本も『多党制・多様性の時代』に入った」

「各国の安全保障は
それぞれが担わざるを得ない。
米国との同盟を組む日本も
安全保障コストである防衛費を
増やさざるを得ない」

高市内閣は防衛費を前倒しで、
2%にもっていく。

やがて3.5%に増強するとみられる。

「注目すべきは、
中間層が声を上げ始めたことによって、
長期自民党政権を支えてきた既得権層が
力を失い始めたことだ」

一直さんは経済に結びつける。
「これによって経済構造は変わってゆく」

そしては続ける。
「政府による累次の規制改革策がなしえなかった
構造改革が動き始める」

安倍晋三内閣の三本の矢。

浜田宏一エール大学名誉教授。
第2次安倍晋三内閣官房参与。81biiTDsvKL._SL1500_

「アベノミクスの三本の矢を、
大学の通知表にならって採点すると、
金融緩和はAプラス、財政政策はB
成長戦略の第三の矢はEだ」

アベノミクスの成績は「ABE」。
語呂合わせ。

そのEの成績を付けられた成長戦略は、
経済の構造改革が中核となる。

安倍政権にも浜田内閣官房参与にも、
それはできなかった。

しかし一直さんは、
「状況」がそれを進めると言う。

「人口減少社会を見据えた
社会保障制度改革など長期構造改革に
政府が腰を据えて取り組む環境が整う」

最後に「大いに期待したい」

ん~、一直さんのこの見方こそ、
「楽観的な思い込み」ではないか。

私は楽観はしない。

せめて小売業、チェーンストア、
製配販の消費産業だけでも、
「構造改革」を先取りして、
その先導役にならねばと思う。

顧客に近い産業の使命である。

それが「商業の現代化」だと思う。

〈結城義晴〉

2025年12月20日(土曜日)

「買うことの精神の浄化効果」と「寒さという資源」

「オフレコ」「Off the Record」
記録をOffにすること。
記録したことをなしにすること。

発したコメントや談話などを公表しないこと。
さらに非公式なものとすること。

首相官邸で安全保障政策を担当する関係者が、
「日本は核保有すべきだ」と記者団に言った。
「最後に自国を守るのは自国だ」とも説明した。
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「オフレコで」と念を押したのだと思う。

共同通信がそのオフレコを報道した。
名前は伏せたけれど内容は配信した。

メディア各社がそれを採用した。

誰でもオフレコの発言をすることはある。
それを聞くこともある。

だが今回は論外だ。
立場、内容、タイミング。

しかも多数の聞き手に対して、
オフレコはありえない。

意識の低さ、レベルの低劣さにあきれる。

核保有の手前の論議に、
「ニュークレアシェアリング(核共有)」がある。
NATOの核抑止政策で論議は有益だが、
日本にはふさわしくないと私は思う。

オフレコは、
それを発言する者、
それを聴取する者、
両者の信頼と識見の高さが必須となるのだ。

さて日経新聞夕刊のエッセイ。
まず「プロムナード」
翻訳家の村井理子さん。

タイトルは、
「執筆に行き詰まったら」

私も興味がある。

「どうしても(翻訳の)作業に行き詰まるときがある」

「どう頑張ったって、
1文字も捻(ひね)りだすことができないと、
両目の奥からじわじわと
涙が出てくるようなピンチが
週に1度程度、必ずやってくる」

そんなときに村井さんが行うこと。
「ほぼ100%の確率で復活し、
リフレッシュした気持ちで
作業を再スタートできる魔法が存在する」

それは何か。

「『散歩』である」

「なぁんだ、
そんなことかと思われたかもしれないが、
20年超のキャリアで、
執筆に行き詰まり、
散歩に出て復活できなかったことは、
たぶん一度もない。
それほどの成功率だ」

ん~、私は散歩はしない。
そんな時間がない。

「散歩をして何をするかというと、
ただただ、景色を見つつ、
せかせかと足を動かし、
途中、自動販売機でお茶を買い、
腰に手を当ておもむろに飲んで、
そして再び歩き出す」

「意識して深呼吸して、
両腕をぐるぐる回したり、腰を捻ったり、
第三者から見たら少し怪しいかもしれないが、
自分の体にエネルギーを注ぐ感じで、
とにかく、動く、呼吸する……
こんなことを意識して30分程度、
作業場から外に出て体を動かす」

「天気が悪くて外出できない場合は、
ベランダに出て深呼吸、
そして部屋のなかでストレッチ」

私はよくスクワットをする。IMG_9303

「とにかく、体を動かすことを心がける。
すると、切れていた心と頭のスイッチが再び入る」

「成功率は極めて高い。
散歩をして、体を動かして、
後悔したことなど一度もない」

もうひとつ、
心と頭のスイッチを入れる魔法。

「インターネットショッピングだ」

「なぁんだ、そんなことかと、
再び言われてしまいそうだが、
執筆が行き詰まり、
一行も書けなくなったら、
ずっと狙っていた商品を
とりあえず購入してしまう」

これはわかるし、
私もやることがある。

「クリックするだけで売買は成立だ」

「購入したら、こう考える。
『来月には支払いがあるから、
書かねばならない』」

「これだけで、いきなり
作業スピードが上がるから、
自分でも驚いてしまう」

モノを買うことは、
精神の浄化に役立つ。

モノを売ることは、
精神の浄化をお手伝いする。

食べること、飲むことも、
それに似ている。

食べるサービスの提供も、
精神の浄化に貢献する。

商売は人々の精神の浄化を促進している。
社会的機能と位置づけていいだろう。

もう一つのエッセイは「あすへの話題」

作家の多和田葉子さん。
「寒さという資源」
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「わたしは実は寒さに
魅せられているところがある」

「おそらく冬の長い土地から来た
ドストエフスキーが好きになった頃からだと思う」

多和田さんは高尚な精神の持ち主だ。

「わたしが一年のうちで
一番じっくり執筆できるのは
一番寒い1月である」

これは興味深い。

「意識が内へ内へと向かい、
素晴らしい言葉を見つけた時、
その言葉の温かさと光が身に沁(し)みる」

「寒いと空気が透き通って見え、
夏の濁りの中では見えなかったものが
見えてくるような気がする」

これは同感だ。

「寒いので腐食が進まず、
冬には古いアイデアもすぐには腐らないので
じっくり取り組むことができる」

そして結論。
「これからは寒さそのものを
地下資源のように
大切に考える時代が来るかもしれない」

温暖化の今、
寒さが資源となる。

いい視点だ。

テーマが資源となる。
故小野貴邦さんの指摘だ。

「寒さ資源」

ロシアなどが有利になることには、
ちょっと納得できないけれど、
自分では精々(せいぜい)
寒さを資源とすることにしよう。

〈結城義晴〉

2025年12月19日(金曜日)

ヤオコー年末会見の川野澄人さんと三菱食品新社長の伊藤和男さん

今年最後の商人舎入稿。
新年1月号をつくっている。

「今年」と書いてある原稿は、
「昨年」と直す。

来年になって読んでもらうのだから。

山本恭広編集長は途中で抜けて、
埼玉県の川越へ。

ヤオコー年末社長記者会見。
会場はヤオコーの「サポートセンター」。

ヤオコーは「本部」のことを、
店をサポートするセンターと位置づける。

川越駅から徒歩10分。yaoko-office

10月1日付けで、
「㈱ブルーゾーンホールディングス」設立。
ヤオコーをはじめグループ各社は、
ホールディングスの傘下となった。

サポートセンター入り口の社名。yaoko-office2
ブルーゾーンホールディングスの文字のほうが、
ヤオコーよりちょっと小さい。

会見では今年の進捗状況と来年の展望が語られる。

11月に行われた中間決算会見では、
2026年3月期の連結業績予想は、
営業収益7720億円で4.8%増、
営業利益338億円で1.2%増、
経常利益330億円で1.3%増。

通期では増収増益を見込む。

会場には約30人の記者が集まった。
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記者が順番に並んで、
まず川野社長の写真を撮る。yaoko-kawano1

冒頭、川野社長から、
営業の近況報告があった。

4月から11月までの月次数値は、
既存店売上高、客数、客単価が、
すべて前年同月を超えている。

米の単価上昇がトップラインを押し上げた。

「お客さまはより生活防衛的になった。
しかし一定の支持が得られて、
手応えを感じている」yaoko-kawano2

ヤオコーの戦略の一つ「南北政策」について、
「販促と品揃えを分けた施策を通じて、
ターゲットがより明確になってきた」

一方、昨年9月に開設した、
北の旗艦店「久喜吉葉店」は、
「まだモデル店といえるまで磨き込めていない」

南エリアのモデル店については、
既存店改装を通じてつくりあげる。

次年度について、大きな方針変更はない。
しかしマミーマートの生鮮市場TOP、
11月に関東進出を果たしたバローの名前を挙げて、
「生鮮強化と価格コンシャス対応を磨き込んでいく」。

月刊商人舎はそのあたりの企業も、
丁寧に報道している。

川野さんも読んでくれているのだろう。

さて商人舎流通SuperNews。

三菱食品news|
4/1付けで伊藤和男取締役が社長/京谷裕社長は相談役に就任

三菱食品㈱の社長が交代する。
2026年4月1日付。

伊藤和男取締役が代表取締役社長に昇格。
現在、同社の非常勤取締役、
三菱商事㈱執行役員食品流通・物流本部長。
1968年4月13日生まれの57歳。
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京谷裕社長は相談役となる。
京谷さんとは一度、対談したかった。
本当に残念だ。

伊藤和男さんは慶応義塾大学経済学部卒業。
ライフコーポレーションの岩崎高治社長の後輩。

㈱OICグループの髙木勇輔社長には先輩にあたる。

1991年4月に三菱商事入社。
最初から食品トレーディング部で食品畑。
2001年5月、イギリスのPrinces Limitedに出向。
2007年4月、同社のチェアマンとなった。
前任は岩崎高治さんだった。

2011年と2013年に私はヨーロッパを訪れて、
伊藤さんと会った。

万代ドライデイリー会のグループに向けて、
ヨーロッパ事情をレクチャーしてもらった。
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的確な情報といい分析だった。

伊藤さんは2018年3月に日本に戻ってきて、
2019年4月、三菱商事の食糧本部長。
2021年4月、グローバル食品本部長。
2024年4月、執行役員食品流通・物流本部長。
そしてその6月に三菱食品取締役に就任。

伊藤さんとは、対談を実現させたいものだ。

来年は卸売業の多くのトップと対談するつもりだ。
よろしくお願いします。

私は「商業の現代化」をテーマにしている。

その商業は小売業と卸売業で成り立つ。
だから卸売業も「近代化」の次に、
「現代化」を目指す。

1962年に林周二著『流通革命』で、
両者は交錯した。

「問屋無用論」なども、もてはやされた。

しかし林周二は将来「超卸売業」となって、
重要な社会的機能として繁栄すると論じた。
「トンネル口銭」に甘んじる問屋がなくなると言った。

その通りになった。

しかし「現代化」とは何か。
今のトップたちに直接聞いてみたい。

商人舎1月号でも、
それをテーマにした。

しかし1月号の特集は、
タイトルや切り口で、
まだ悩んでいる。

商人舎オフィスの近くの「晴れ坊主」
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最近発見した凄い居酒屋。
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ここで実にいいアイデアがひらめいた。
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楽しみにしてください。

来年を通したテーマは何か?
それをどう表現するか?

〈結城義晴〉

2025年12月18日(木曜日)

成城石井・イオンリテール・ニトリの「食衣住」三者三様Marketing

12月中旬としては暖かい。

家のそばの妙蓮寺境内のこぶしの木。
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題目の碑がある寺の辛夷(こぶし)かな
〈政岡子規〉

商人舎流通SuperNews。
今日は衣食住の商品開発のニュースが並んだ。

成城石井news|
今季のチョコカテゴリー最大250品ラインアップ

㈱成城石井のチョコレート。
今季は最大250品をラインアップする。
凄い、魅力的だ。
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自社輸入・自社加工など、
独自の仕組みを最大限に活かす。

今季のテーマは、
「多彩なフレーバー」
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菓子担当バイヤーが世界中を探し歩いて、
定番から非定番までを厳選して品揃えする。

新商品は30品。
チョコレートトリュフ、
一口サイズの板チョコレートなど、
他の食材の味わいや風味を組み合わせた。

自社輸入の商品。
「マテス ファンタジートリュフ
ラズベリーフレーバーマカロン」
971円/170g。
「ピュア ミルクチョコレートトリュフ
ベルジャンクッキークリーム」
1178円/148g。
「パティスイス」各種
1070円/80ℊなど。

結構な高額品も多い。

セントラルキッチンで小分け包装する商品。
「成城石井 チョコバラエティアソート BOX」
1610円/(小)154gなど。

年が明けた2026年1月9日(金)からは、
バレンタインデー向けに、
「成城石井推しチョコ★発見フェア」を開催。

異様な執着。
それだけ売れるのだろう。

凄い。

イオンリテールnews|
女子小中学生向けの新アパレル「Giselly」12/23誕生

イオンリテール(株)は、
「Giselly(ジゼリー)」をリリースする。
女子小中学生向けの新ファッションブランド。20251218_aeon-giselly

SNSでの拡散などの影響で、
日本の小中学生にも、
韓国トレンドが取り入れられている。

オーストラリアでは、
16歳未満のこどもに、
原則的にSNSを禁止する法律を成立させたが。

イオンのジゼリーは、
韓国のストリートファッションと、
日本のガールズトレンドのポップさを、
ミックスした。

「Genuine(本物)」
「Shiny(輝き)」
「Lovely(かわいさ)」

この3つの言葉を組み合わせた造語。

ボトムスはウエストゴム仕様、
紐によるサイズ調整など、
着やすさとデザインを両立させる。

通学や外出の時にも合わせやすいスタイル提案。

商品ラインアップは、
「ハート刺繍プルオーバーアンサンブル」
「ヴィンテージサテンカーゴパンツ」
「ショート丈ZIPフーディ 」
「クロスモチーフミニスカート」
など、18種類。

サイズは130~160cmを用意する。

イメージモデルには、
「あいみお」として活動している、
双子モデルのあいなさんとみおなさんを起用。

デジタルサイネージやSNSを通して、
情報を発信していく。

私には予測できない。
ヒットするのかどうか。
しかし開発の意欲は評価しよう。

ニトリnews|
工具不要「組合せ自在な収納ボックス」12上旬発売

㈱ニトリが新発売するのは、
「組合せ自在な収納ボックス」シリーズ。

部屋のスペースに合わせて、
自由に組み合わせができる。

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リビングや子供部屋では、
成長やライフスタイルの変化に合わせて、
収納方法を柔軟に変えたいというニーズが高まる。

収納家具は収納物を「見せる」ことで、
インテリアの一部として楽しむニーズもある。

このような要望に対して、
➀使う人が自由に組み合わせを選択できる
②どの部屋にもなじみやすいシンプルなデザイン
③組合せ自在な収納ボックス

シリーズは3種類。
3マスタイプ・6マスタイプ・16マスタイプ。

縦方向への積み重ねは最大4段まで可能。
各ボックス1個あたりの耐荷重は約2kg。
雑貨や本、おもちゃなど。
日常的によく使うアイテムの収納には、
十分な強度が確保されている。

成城石井、イオンリテール、ニトリ。

三者三様の商品開発。
12月商戦の中でのお披露目。

「バイイングはマーケティングである」
商人舎バイヤー研修会の結城義晴の主張。

そのMarketingに関して、
フィリップ・コトラーは言う。
「マーケティングの基本となる
最も重要な概念は、
人間のニーズである」

コトラーは続ける。
「市場の変化とは、本質的に、
顧客の行動の変化である」

三者三様のマーケティングの意欲は、
大いに評価しよう。

成果は未知数だ。

それもマーケティングである。

〈結城義晴〉

2025年12月17日(水曜日)

「民主主義に二度万歳」とチェーンストアの「正月休業」

朝からオンライン会議。

㈱True Dataの取締役会。
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ビッグデータマーケティングは今、
最もトレンディな「仕事」です。

だから多くの企業から、
アライアンスの申し込みがあります。

ありがとうございます。
精一杯、お応えします。

午前中、Teamsで会議をして、
それから商人舎オフィスに出社。

冬空。
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月刊商人舎1月号の原稿が上がってきている。
二人の筆者の原稿と、
編集部の取材記事。

それらを読んで、手直しをして、
タイトルをつける。
そしてデザイナーに入稿する。

夜まで集中して「仕事」した。
3本仕上げた。

順調だ、気分がいい。

夜の新田間川。
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寒い。
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さて朝日新聞「天声人語」

「民主主義には二度万歳をしよう」
20世紀のイギリスの作家、E・M・フォースター。
(1879年~1970年)

「私の信条」と題したエッセーに、
その理由を説明した。
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一度目は多様性を許すから。
二度目は批判を許すから。

「フォースターは民主主義を擁護しつつ、
その限界も認識せよと説いた」

最近の世界中の動向を見ていると、
その限界を強く感じさせられる。

フォースターは釘を刺す。
「ただし、二度で充分。
三度も喝采することはない」

文学ならばそれでいい。

コラムニスト。
「多様性と批判を許容し、
見解が異なっても議論を尽くすのは
民主主義の根幹だ」

問題はその先だ。

「フォースターの小説は、
価値観が異なる者たちが出会い、
わかり合えずに衝突、葛藤する描写が秀逸だ」

「二度にとどめた万歳は、
理想と現実を冷静に見据えて
たどりついた境地だったか」

会社や組織の民主主義は、
多様性を認め、批判を許しつつ、
結論を出し、実行される。

そしてそこに成果を求める。

成果がよく見えるところで使われるとき、
デモクラシーは最良の手段なのだと思う。

一方、「折々のことば」第3543回。
明日には目が見えなくなる
かもしれない
と思って、
世界を見てください。
〈ヘレン・ケラー〉

見えず、聞こえず、
当初は話すこともできなかった米国女性。

「もし3日間だけ視力が与えられたら、
まず自分を支えてくれた大切な人を見たい」

「翌日は人類のこれまでを見るため
博物館や劇場を」

「3日目は働く人を見るため大都会を訪ねたい」

三番目が、とくにいい。

『もしも3日間だけ目が見えたなら』から。
原題は「Three Days to See」
この直截的な英語の方を味わってください。
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「目が見えない私から、
目の見える宝物を与えられた皆さんへ」

「貴方が持っている
当たり前の機能を最大限に活用し、
全てのものに目を向け、
本当に価値のあるもの、
大切なものを見極めてください」

「 私は、全ての感覚の中でも、
自分の目で見る光景こそが、
人生に最大の喜びを与えてくれるものと
信じています」

ヘレン・ケラーさんが見たいもの。

第1は、大切な人。
第2は、人類の歴史。

第3が、働く人。
それも人が集まる大都会の。

人のために働くことの価値を、
ヘレンは訴えた。

商人舎特任研究員が送ってくれたのが、
チェーンの年始の営業日リスト。

元旦から営業するのが、
イオンとマックスバリュ各社。
イトーヨーカ堂。

報告にはないがハローズも、
年中無休だ。

1月1日休業で2日から営業するのが、
ヤオコー、マルエツ、いなげや。

1月2日まで休業するのが、
バローと関西フードマーケット。

一番多いのが三が日休業の会社。
ライフコーポレーション、サミット、オーケー、
関西では万代、アプロ。

そして1月4日まで休業するのが、
ロピア、コノミヤ、エイビイ。

私は「それぞれ」でいいと思う。

故上田惇生先生がドラッカーを読むとき、
「それぞれのドラッカー」をお薦めしていた。

ちなみに㈱商人舎は4日まで休業。
5日が仕事始めだ。

営業日に関しても、
意図をもって休業日を決め、
それを働く人たちに了解、納得してもらう。
お客様にもお知らせする。

それでいい。

自社らしさがあれば。
その自分らしさが、
想定した成果につながれば。
それもポジショニングである。

しかしヘレン・ケラーは、
目が見える3日のうちの最後の日に、
働く人を見たいと思う。

モノをつくる、
モノを運ぶ、
モノを売る。

これはみな、仕事だ。

「仕事」とは、
するべきこと、
しなければならないこと。

「働く」とは、
精出して仕事すること。
他人のために奔走すること。
効果を出すこと。

「働く」ことこそ、
人間の価値を示すものだ。

休むときは休む。
働くときは働く。

それを見ているのは、
気分がいいものだ。

成果が出ていればなお、
いい気分だろう。

〈結城義晴〉

2025年12月16日(火曜日)

ウォルマート「NYSEからNASDAQへ」の証券市場転換の意味

商人舎流通SuperNews。

ウォルマートnews|
株式上場先をニューヨーク証券取引所からNasdaqへ変更

ウォルマートのダグ・マクミロンCEO、
多分、最後の仕事だ。

12月9日(火)、株式上場先を変更した。
ニューヨーク証券取引所からナスダックへ。
前者はNYSE、後者はNASDAQ。
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アメリカの2大証券市場。

2025年5月末時点で、
両市場の時価総額は、
約62兆ドル。

1ドル150円で換算すると、
9300兆円。

凄い市場だ。

ウォルマートは1972年10月1日に、
ニューヨーク証券取引所に初上場した。

1株は16ドル50セントをつけた。

1945年の創業は、
ベンフランクリンの加盟店だった。
1962年にディスカウントストアを開発した。
「ウォルマート」の店名だった。

それから10年後に、
ニューヨーク証券取引所に上場を果たした。

ナスダックは1971年に設立された。
世界で初めて完全電子取引を採用した市場だった。

しかしまだまだ圧倒的にニューヨークが、
社会的権威と資金調達力を持っていた。
NYSEは1792年の設立だ。

だからサム・ウォルトンは迷わず、
NYSEに上場した。
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それから8年後にサムは、
店舗フォーマットを改革した。
「1980年代対策店舗」と呼んだ。

つまり1972年から8年間は、
株式市場から調達した資金をもとに、
ハイ&ローで成長した時期だった。

この成長をばねに1980年から、
エブリデーロープライス戦略に転換する。

ウォルマートは投資家たちの需要に応えるため、
何度も株式分割を実施した。

実際に2024年に12回も、
株式分割をしている。

イトーヨーカ堂時代の伊藤雅俊さんは、
同じように株式分割を繰り返して、
株主の期待に応えた。

株主の多くが従業員だったからでもある。
これもサムと同じだ。

サムは40年以上連続で、
株主への年間配当を増額した。

マクミロンCEOは、
その伝統のニューヨーク市場から、
ナスダックへの変更を決定して、
花道を飾る。

そして語る。
「人間主導でテクノロジーを活用する
オムニチャネル小売業者として、
ウォルマートがイノベーションと成長に
深くコミットしていることを反映しています」

上場変更の理由は一言で示せば、
オムニチャネルリテーラーとなったからだ。

「ナスダックのテクノロジーへの注力と、
デジタル変革を推進する企業への支援は、
ウォルマートの戦略ビジョンと
完全に一致しています」

「お客さま、会員さま、アソシエートたち、
そして株主の皆さまにとって、
スムーズで円滑な摩擦のない
未来を築き続ける上で、
ナスダックへの上場は
新たな章の始まりです」

「新たなチャプターを準備して、
私は去ります」

マクミロン(右)の誇らしげな顔が思い浮かぶ。
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ニューヨーク証券取引所には、
グローバル大企業が上場している。
ジョンソン&ジョンソンやコカ・コーラ、
日本のトヨタなどもニューヨーク市場組だ。

一方、ナスダック(NASDAQ)には、
GAFAを始め、名だたるIT企業が並ぶ。

12月時点の時価総額をランクすると、
1 エヌビディアNASDAQ
2 アップルNASDAQ
3 マイクロソフトNASDAQ
4 アマゾン・ドット・コムNASDAQ
5 アルファベットGoogl NASDAQ
6 アルファベットGoog NASDAQ
7 ブロードコムNASDAQ
8 テスラNASDAQ
9 メタ・プラットフォームズNASDAQ
10 イーライリリーNYSE

10位がやっとニューヨーク市場の薬品会社だ。

そして11位がウォルマート(NYSE⇒NASDAQ)。

以下、
12JPモルガン・チェースNYSE
13バークシャーハサウェイNYSE
14ビザNYSE
15オラクルNYSE
16ジョンソン・エンド・ジョンソンNYSE
17マスターカード NYSE
18エクソン・モービルNYSE
19ネットフリックスNASDAQ
20パランティア・テクノロジーズNASDAQ

24コストコ・ホールセールNASDAQ
25ホーム・デポNYSE
26プロクター・アンド・ギャンブルNYSE
30ユナイテッド・ヘルスNYSE

かつてのアメリカでは、
大企業の「オールドエコノミー」がNYSE、
新興企業の「ニューエコノミー」がNASDAQだった。

棲み分けがあった。

しかし、現在は、
いやウォルマートの変更以降は、
その垣根は全くなくなったと言っていい。

もちろんNASDAQは、
電子取引システムを活用する。
取引スピードが速く、コストが低い。

だから多くの投資家にとって魅力がある。

NASDAQは革新性がある。
常に新しいテクノロジーやビジネスモデルの企業を、
市場に招いている。

これがアメリカ経済のダイナミズムをつくっている。

NYSEの通常取引時間は、
午前9時30分から午後4時まで。
NASDAQはこの時間帯以外に、
プレマーケット(通常取引前)と、
アフターマーケット(通常取引後)もある。

この延長取引の時間帯に、
迅速な投資活動が進む。

ウォルマートのNASDAQへの移行は、
当然の流れであると考えられるし、
新しい企業への転換であるとも判断できる。

ダグ・マクミロンは、
サム・ウォルトンのつけた社名から、
「ストアーズ」を削除し、
サム・ウォルトンが果たした上場市場も、
NASDAQに変えた。

ウォルマートの新しい「章」が始まる。

〈結城義晴〉

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