結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年04月20日(金曜日)

「正規軍は勝たなければ負けである・ゲリラは負けなければ勝ちになる」

ほんとうにうれしいニュースがあった。

渋木克久さんと杉山純子さんが、
今日、婚姻届を出して、
その足で、商人舎を訪れてくれた。
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渋木さんは、
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科8期生で、
結城ゼミの第2期生。
杉山さんは7期生で、
二人はホスピタリティ研究会というサークルで、
3年前に出会った。

そして、このたび、
めでたく結婚。
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おめでとう。

「ふるさとの海に向かいて言うことなし
ふるさとの海はありがたきかな

ふるさとの山に向かいて言うことなし
ふるさとの山はありがたきかな」

<石川啄木『一握の砂』より>
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二人を見ていて、
そんな気分になった。

いつでも君のそばに
しあわせが
いつでも君のそばに
よろこびが
あるように

<詞・曲 山崎眞幹>

ふたたび、おめでとう。

このところ、結城ゼミは、
お目出度続き。

第3期生の岡本あゆ子さんが、
ついこの間、婚約したばかりで、
facebookで、
のろけ話ばかり読まされている。

でも、結城ゼミはしあわせを運ぶ。
結城ゼミはよろこびをもたらす。

それは私の望むところ。

この写真で私が持っているのは、
杉山さんの新刊著書。
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『LCCが拓く航空市場――格安航空会社の成長戦略』
(成山堂書店刊)
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航空業界でも、
ディスカウントやロープライス戦略が注目されている。
その新しい切り口を鮮明にした本。

杉山さんは修士論文が単行本化、
同時に結婚。
お目出度続き。
まさに「言うことなし」

さて、日経MJ 一面特集は、
「アークス連合 再編誘発」の特集。

結城義晴の「2012年、5つのトレンド予測」
昨年末あたりから、講演のテーマにしているが、
その3番目が「M&Aの新たなうねり」。

第1は、東日本大震災の影響。
第2は、消費税導入論議と消費者の価格意識の強まり。
第3が、M&Aの新たなうねり。
第4が、小型店舗開発とノンストアリテイリングの隆盛。
そして第5が、食品分野の多業態間競争激化。

「アークス&ジョイスの統合」は、
まさにその典型。
日経MJもその視点で、
踏み込んで取材し、記事を書いた。

日経本紙や朝日、読売、毎日よりも、
ずっと専門的で、こういった事件が起こった時にこそ、
日経MJには頑張ってもらいたいものだ。

特集には真ん中に大きな東北の地図がある。
「東北地方の主要スーパーの勢力図」

①アークス 289店4600億円
②ユナイトホールディングス 39店620億円
③マークス 66店舗750億円

これらはグループやホールディングカンパニー。

①のアークスが、北海道を本拠にして八ヶ岳連峰経営を標榜し、
東北ではユニバースとジョイスが参画。

②は秋田県の伊徳ホールディングスとタカヤナギ。

③は盛岡のマエダ、三陸のマイヤ、
相馬のキクチ、山形のおーばんホールディングス。

以上はすべて、シジシージャパン加盟企業群。
それ以外の企業で主要勢力図に乗っているのは3社。
④マックスバリュ東北で、87店舗、919億円
これはイオン。

⑤ヨークベニマルで、176店3429億円
セブン&アイ・ホールディングス。

⑥ヤマザワ 65店舗1000億円。

こう見ると、単独のローカルスーパーマーケットは、
ヤマザワだけのようにも見える。
もちろんこれらの企業以外にも、
東北には多くの魅力的なスーパーマーケットがある。
生協の活動も活発だ。

しかし図式化すると、
勢力図ははっきりし、
寡占化の方向に進んでいることがわかる。

横山清さんの持論「クリティカル・マス」が、
日本のスーパーマーケットに及んでいることも、
イメージできる。

私は、「クリティカル・マス」はまず、
コモディティ・グッズの世界で起こると考えている。
クリティカル・マスとは「量」の問題だからだ。

そして、そのうえで、
物流のしくみや情報システムなどが完璧に整備される以前の段階、
さらにメーカーや卸の力が依然として強い場合には、
「範囲の経済」の要素が働く。
こう、付け加えている。

「コモディティ・グッズ領域」と
「範囲の経済」のなかで、まず、
クリティカル・マスの現象が起こる。

それが「M&Aの新たなうねり」となって、
現れている。

この特集の終りに横山清アークス社長のインタビューがある。
「他社のひんしゅくをあえて買う言い方になるが、
アークスは勝ち組の食品スーパーとしか組まない」
これは横山さんの逆説的な言い回し。

「M&A戦略は巡航速度で進んでいる」

自信満々。

「食品スーパーは全国の売上高が大きくても、
地域内のシェアが高くなければ卸も安く商品を提供せず、
コスト削減など規模のメリットが働きにくい」
これは私の言う「範囲の経済」と「コモディティ領域」の話。

「地域の食品スーパーは大手に勝つ必要はない。
負けなければ、事実上勝利を収めたことになる」
これは、私の言葉を裏付けにしている。

「正規軍とゲリラ」

正規軍は、勝たなければ
すなわち負けである。
ゲリラは、負けなければ、
それで勝ちになる。

ベトナム戦争におけるアメリカ軍は
明らかに前者であったし、
ベトコンは確かに後者であった。

古くは共和制時代のローマ軍とカルタゴ軍の間でも、
長らくこの対立関係が続いた。

湾岸戦争ではなぜか、
ブッシュもフセインも
正規軍とゲリラ軍に分かれつつ、
どちらも勝った気でいた。

減収減益が相次ぐ今。
そして、消費マインドが
停滞しきった観のある現在。
「勝たねば負け組」には、
つらい逆風が吹く。
「負けねば勝ち組」には、
意外にも順風が潜んでいる。

「勝ちに不思議の勝ちあり。
負けに不思議の負けなし」
この野村克也の言葉の、
勝ちの不思議は「神風」である。

「勝った負けたとさわぐじゃないよ」と
歌う水前寺清子は、
「あとの態度」を大事にする。
これは、「負けに不思議なし」を言っている。

あなたはゲリラか、
はたまた正規軍か。
逆風を選ぶか、
順風を好むか。

どちらであっても、小売流通業は常に、
不思議の神風を感じる機会にめぐまれている。
ビジネスそのものが、
不思議の神風を知るために、為されている。

しかし、そのとき、
これだけは忘れてはならない。

労働法無視のゲリラになるな。
顧客不在の正規軍になるな。

<『メッセージ』 (結城義晴著・商業界刊)より>

企業統合もM&Aも、
合併も吸収も、せんじ詰めれば、
これは組織と組織の結婚である。

今日は、その結婚を、
心から祝福しよう。

「ふるさとの山に向かいて
言うことなし」

おめでとう。
こころから。

<結城義晴>

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