結城義晴のBlog [毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年4月18日(水曜日)


ちょっと驚いたニュース。
「そごう水島元会長、100歳の祝い」

「あっと、まだ生きてらっしゃったのか」
そんな感じ。

長寿そのものは、
極めてめでたいことだけれど。

百貨店そごうの元会長・水島広雄さん。
1912年生まれで、
4月15日に100歳の誕生日を迎えた。

日本興業銀行から、そごうの社長・会長へ。
2000年段階で、日本最大の百貨店グループを構築。
しかし当時、負債は戦後6番目の1兆8700億円となり、
民事再生法の適用申請。

水島そごうの「成長戦略」は、
結果として見れば、「膨張戦略」だった。

だから破綻した。

昨日、水島さんは車いすで会場に登場。
「百歳はあっという間だった」とコメント。

このコメントはすごい。
こうでなければいけない。

この一瞬の積み重ねこそ
君という商人の全生涯

<故倉本長治>

だからこそ百歳も、
あっという間だったに違いない。

しかし水島そごう「膨張理論」は、
破綻した。

ああ、100歳まで生きたんだ。
他を圧する生命力。

敬服。

一方、日経新聞は朝刊一面トップに、
「総人口、最大の25.9万人減」の記事。
2011年10月1日時点の日本の推計人口。

総務省恒例の調査発表、
総人口は1億2779万9000人。

ただし1年間に25万9000人のマイナス。

減少数は1950年以降の統計で最大。
65歳以上の老年人口は過去最高の23.3%に到達。
そごう水島さんも、老年人口の中の一人。

減少数は過去最大だが、
外国人の国外転出も過去最高を記録。
東日本大震災と福島原発事故の影響。

日本は2005年、戦後初の人口減少に見舞われた。
分かっていたことだが、ショックは大きかった。
その後、2007年以降、人口の自然減が定着。

今や、「少子高齢化」はニッポンの常識。

昨年の人口の最大の減少は、
第1に出生率の低下と高齢化、
第2に震災と原発事故による人口流出。

今年、来年と、少なくとも、
第2の原因は、なくなる。

だからこんなに急激な人口減少は、
起こらない。

都道府県のなかでは、
福島県の人口減少率が第1位で、
1.93%。

これは都道府県別の過去最大落ち込み幅。

人口減少率第2位は岩手県
宮城県が第4位。

東日本大震災で被災した3県の人口減少が著しい。

一方、年号別にみると、
「平成生まれ」が20.5%。
初めて総人口のと2割を超えた。

しかしやはり全国的に、
「老年人口」が「年少人口」を上回る。
「老年」は65歳以上、「年少」は0~14歳。
年少人口が老年人口を上回る若い県は、
なんと沖縄のみ。

そして75歳以上の「後期高齢者人口」が、
年少人口を上回るのは47都道府県中24道県。

老年人口が多いとは、
日本が長寿国という意味だ。

これは考え方によっては、
日本国の長所。

私はこの長所を生かしつつ、
出生率を上げ、なおかつ、
日本独自の移民制度を創造すべきと考えている。

20世紀にアメリカ合衆国が世界をリードしたのは、
イノベーティブな移民制度が確立されたからだ。

日本はその時代のアメリカとは異なる移民制度を模索し、
創造すべきだ。

小売流通業をみると、
まず伊藤雅俊さんが存命だ。
イトーヨーカ堂創業者・セブン&アイ・ホールディングス名誉会長。

岡田卓也さんもお元気。
イオン名誉会長相談役。

清水信次さんはいまだ現役。
ライフコーポレーション会長、日本チェーンストア協会会長。
そのうえ清水さんは生団連を立ち上げ、その会長。

商人舎最高顧問の杉山昭次郎先生は85歳。
昭和2年生まれで、昭次郎。

壽里茂先生は86歳。
私の大学の恩師・早稲田大学名誉教授。

そして私の両親・結城義登・ヨシ子も、
揃って、今年、86歳。

私は日本が長寿国であることを、
心から喜んでいるし、
身近に長寿者が多いことを誇りにしている。

そのうえで、この高齢者の知恵と力をいただきつつ、
人口の維持・増加を図りたい。

今年の人口統計が発表されたからこそ、
そのことを強く心にとめ、意思を確認したい。

去年(こぞ)今年貫く棒の如きもの
<高浜虚子 昭和25年作>

東日本大震災の去年の2011年、
そして人口減少率過去最高が発表された今年2012年。

「貫く棒の如きもの」を、
私たちは共有しなければならない。

<結城義晴>

2012年4月17日(火曜日)


木下雄治さんの「お別れの会」があった。
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昨日の12時30分から、
東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテル・ボールルーム。
元の東京急行電鉄本社跡にできたホテル。
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木下さんは㈱東急ストア社長にして、
東京急行電鉄㈱専務取締役。
東急百貨店の取締役や、
㈱八社会の社長を兼務。

一言でいえば、電鉄系小売業のトップ・リーダーで、
しかもその革新の旗手だった。

多くの人が献花に訪れた。
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シンプルな祭壇。

私が入場した時には、
ビートルズの「レット・イット・ビー」が、
弦楽四重奏で流れていた。
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それから音楽は、いつの間にか、
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」、
「ノルウェイの森」へと変わった。

木下さんが好きだったのだろうと想像しながら、
献花し、合掌。

次の間には、軽食が用意され、
木下さんをしのぶ写真が展示されていた。
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在りし日のビデオやパネルも上映され、掲示された。
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最後に木下さんの趣味。
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「愛用の包丁と料理の数々」

食品スーパーマーケット・東急ストアの社長として、
この趣味は絶好だった。

木下さんは昭和26年4月23日、横浜生まれ。
私よりも一つ上。

名門・翠嵐高校から青山学院大学へ。
私は横浜の私立聖光学院中学・高校に行ったが、
その道を歩まなければ、おそらく、
松本中学から翠嵐高校を選んだはず。
両校のそばの三ツ沢に家があったからだ。

だからもしかしたら、木下さんを、
「先輩」と呼んでいたかもしれない。
そんな縁がある。

木下さんは大学卒業と同時に東急電鉄入社。

そして東急一筋。

極めて順調に階段を登り、
2009年3月、東急ストア社長、
昨2011年、東急電鉄専務に就任。

今年の1月20日、ホテルニューオータニで、
パネルディスカッションが開催された。
日本チェーンストア協会総会後の企画。
私はコーディネーター兼パネラーを務めたが、
この場で、木下さんとご一緒する予定だった。

ライフコーポレーション会長でチェーン協会長の清水信次さん、
カスミ会長の小濱裕正さんがパネラーだったが、
木下さんの突然の欠席に、
ちょっと驚きつつ、まことに残念に思った。

木下さんはこの時、体調を崩して入院し、
そのまま退院することなく、3月17日、永眠。

東急電鉄にとっても、
日本の小売産業にとっても、
本当に惜しい木下さんの早世だった。

こころよりご冥福を祈りつつ、
ふたたび合掌。

さて、昨日は大きなニュース。
記者会見が開かれ、新聞各紙が取り上げた。
「アークスとジョイスの統合」

日経新聞の記事には、
「北海道・東北地盤の食品スーパー2位、アークスは16日、
岩手県地盤のジョイスを9月1日付で買収し
完全子会社化すると発表」
アークスが株式交換の方式で、
ジョイスを完全子会社化する。
ジョイス株1株に対し、
アークス株0.293株を割り当てる。

2012年2月期のアークスの連結売上高は3481億円。
北海道・東北で253店舗の食品スーパーマーケットを展開。

ジョイスは年商373億円で、
岩手県を中心に北東北3県で36店舗を運営。

この統合で、年間売上高3855億円。

2013年2月期の見通しは4600億円。
スーパーマーケット業界第1位のライフコーポレーションは、
今年度5250億円だから、
業界第2位の規模となる。

アークスは八ヶ岳連峰経営を標榜するホールディングカンパニーで、
従ってジョイスが、そのグループに参加するという捉え方が正しいところ。

10年前、㈱ラルズと㈱福原の道内の2社が統合して、アークスが発足。
店舗運営、仕入れ、物流、情報システムなどの面で、
統合のメリットを活かして、ローコスト経営を追求してきた。

参画企業の自主性を重んじる。
アークス社長・横山清さんの基本的な考え方。
その趣旨に賛同して、
北海道内のスーパーマーケット、ドラッグストアが、
アークス傘下に入ってきた。

昨年10月には、青森に本部を置くユニバースが、
アークスに参加。
そして今回、ジョイスが参画。

いずれもシジシー・ジャパンの有力加盟企業。

CGCグループの北海道・東北のグループが統合して、
イオンに対抗するというのが今回の構図。

アークスの発表数値だが、
岩手県内の食品スーパーマーケットの市場シェアは、
ジョイスが15.6%で1位、ユニバースが11.9%で3位、
両社を合わせた新アークスグループは、27.5%のシェアを占め、
完全なる「クリティカル・マス」達成となる。

クリティカル・マスは、
横山さんの持論。
私の持論でもある。

イオンやセブン&アイ・ホールディングスは5兆円を超えるが、
アークスの総年商は今のところ両社の10分の1以下。

しかしそれぞれの地域でのシェアは、
17%のクリティカル・マスを超える。
「これで十分に闘える」。
それが横山戦略。

当然ながら、今後も、
東日本の食品スーパーマーケットと統合を進めながら、
「縮小拡大」を図る。

「縮小拡大」とはこれも横山造語で、
日本の消費市場が少子高齢化で「縮小」する中、
グループ年商規模が「拡大」すれば、
実際の数値以上の力を有することができる、というもの。

昨日、アークス横山清、ジョイス小苅米秀樹両社長が、
揃って東京・大手町で記者会見。
新体制では横山さんがアークス社長、
小苅米さんはアークス取締役執行役員に就任予定。

横山さんの弁。
「地域のシェアを握ることで収益を確保し、
地域に貢献でき、競争にも勝てる」

小苅米さんのコメント。
「統合後も、ジョイスらしいサービスを維持できる」

店のブランドのことを「バナー」というが、
そのバナーは、これまで通り。

「合併や買収、吸収」といったニュアンスよりも、
「統合、合従連衡、大同団結」と呼ぶのがふさわしい。

昨年11月、イオンは、
中四国のマルナカ・山陽マルナカを子会社化した。
平和堂は滋賀県の丸善(8店舗)を傘下に入れた。
バローも昨年、岐阜県の年商50億円ファミリースーパーマルキを買収。

昨年末から、
私が予測している「2012 5つのトレンド」の第2が、
このM&A。

ちなみにジョイスの小苅米さんは、
コーネル・ジャパン「伝説の第1期生」。
第1期生には、ラルズの猫宮一久さん(常務取締役)
福原の福原郁治さん(常務取締役)がいて、
三人は同期生。

コーネルの授業でも私は、
「クリティカル・マス」と「範囲の経済」を講義した。

日本の小売流通業は、
私の考えるように動いてはいるが、
地方のスーパーマーケットが減っていくことには、
いくばくかの寂しさを感じる。

今朝の朝日新聞のコラム『経済気象台』。
タイトルは「雨が降れば傘をさせ」
大阪・船場の古くからの格言。

「言わんとするところは、
『うろうろせずにやるべきところをやれ』」と、
コラムニストは書くが、
それよりも今回のジョイス小苅米さんの決断は、
まさに船場の格言通りだったと思う。
「雨が降れば傘をさせ」

それがアークスの傘だったということ。

最後に一言。
ジョイスの社員・従業員の人たちへ。
あなたたちには「商人の本籍地と現住所」がある。

ジョイスという本籍地があり、
現住所はアークス内ジョイスになった。

本籍地の良さ、ありがたさを忘れずに、
現住所の生活に、早く慣れることだ。

健闘を祈る。
Good Luck! Jois People!

<結城義晴>

2012年4月13日(金曜日)


大騒ぎした「北朝鮮ミサイル」が失敗。

「人工衛星」と自称する「長距離弾道ミサイル」。
発射後1分余りで空中爆発、洋上落下のオソマツ。

まずは、一安心。
横浜は、そんな騒ぎもよそに、
いたって、のどか。

商人舎近くの新田間川の「散り際の桜」。
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遊歩道に桜の花びらの斑点。
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桜を踏んでオフィスへ。
これもなかなかのもの。

桜の枝には、緑の葉がちらほら。
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対岸の見事な桜も、葉桜に。
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ああ、これから新緑の季節がやってくる。
それもまたよし。

今朝の新聞各紙でちょっと、驚いた。
朝日新聞の看板コラム『天声人語』
読売新聞の巻頭コラム『編集手帳』
完全にカブッた。

与謝野晶子の「みだれ髪」から一首。
〈清水へ祇園をよぎる桜月夜
こよひ逢ふ人みなうつくしき〉

どちらも冒頭にこの歌を使って、
京都・祇園の軽ワゴン車暴走事件を取り上げた。

歩行者7人が死亡、11人が重軽傷。

北朝鮮の「ミサイル」は、
暴走しなくてよかったが、
祇園事件は、ふたつのコラムがこれまた、
車を走る「凶器」とカブって表記。

「突然の凶器」は、
いずれにしても御免被りたい。

突然だが、「生知安行」という言葉を思った。
儒教の「四書」のひとつ『中庸』から。
「生まれながらに知り、安んじてこれを行う」

「生まれながらにして人の踏み行うべき道をよく知り、
考えることなく心のままにそれを行うこと」
三省堂新明解四字熟語辞典にある。

いわば、聖人の境地だが、これは、
ピーター・ドラッカーに通じる。
「マネジャーとして、始めから、
身に着けていなければならない資質が、
ひとつだけある。
才能ではない。
真摯さである」

「始めから身に着けていること」が、
「生知」であり、
「真摯さ(integrity)」は、
「心のままに行うこと」となる。

さて、先週から始めたメッセージ。
「facebookで友達になろう」
「知識商人の輪を広げよう」

結城義晴のフェイスブック
グランドオープン!

意外な人と「友達」になることができた。
本当によかった。

これからも、よろしく。

さて日経新聞にテーマが共通する記事が2本。
第1は、「ユニクロ、郊外店の面積倍に」
現在の標準的な郊外店舗は1000㎡弱。
その2倍の約1700㎡の店舗を、
年間に50店開発。

一部は、3000~3300㎡規模。
つまり1000坪スケール。
これで年商30億~50億円。

「3年後には都市部も含めた大型店全体の数が
現在の約2倍にあたる約300店まで増える」

今年3月オープンの基幹店・銀座店は約5000㎡。
ニューヨークでもロンドンでも、パリや上海でも、
都心部の大型店は大成功。

それを郊外に展開する。

理由は郊外店の老朽化。
この店舗大型化には、
新しいフォーマットづくりの意味がある。

故渥美俊一先生が語っていた。
「店舗の大型化は、
現在の標準店の
2.8倍まで。
それ以上にすると失敗する」

これは渥美先生の「経験法則」。
ユニクロの郊外店の2倍化。
渥美経験法則に合致している。

第2は、「居酒屋離れで変身中」
居酒屋チェーンが「新型店の出店強化」を進めている。
居酒屋市場のピークは、1992年の約1兆4600億円。
その後、減少が続き、2010年に9949億円。

記事には、従来型店舗の限界が指摘される。
それは「和食や洋食、中華などを総花的に提供する」店。

ワタミは路面店の居酒屋「和み亭」を、
ファミレスの「饗(きょう)の屋」に転換。

とは言っても、和み亭は現在、首都圏で11店。
このうち都内の3店を売上高前年比5~10%増の「饗の屋」に変える。

つぼ八は3月、パスタ店「ネオジパング」の1号店を開業。
「5分以内に12種類程度のパスタを提供」
「最低価格が500円という値ごろ感」
こちらも何でも総合居酒屋から低価格パスタ店への転換。

「甘太郎」のコロワイドは、
カフェレストラン「ケーキ&パスタ シルスマリア」開設。

コロワイドは2000年代前半に、
居酒屋業態のマルチ・フォーマット化を志向した。
それが現在、何と全部で70ほど。
そのうちの約6割が居酒屋。

これは、ちょいと厄介だが、
その整理とともに新フォーマットの展開に走る。

三光マーケティングフーズは、
低価格居酒屋「金の蔵ジュニア」を運営している。
こちらもすでにこのブログで紹介したが、
牛丼店「東京チカラめし」を、
今年末までに約40店出店。

外食業の方が小売業よりも、
業態やフォーマットのライフサイクルが短い。
これは明らかな現象。

だから必然的に、マルチ・フォーマット化が進む。
行き過ぎるとそれは、収益性を悪化させる。
コロワイドの70フォーマットは、
それにしてもちょっと激しすぎる。

ユニクロも居酒屋チェーンも、
自らのフォーマットの転換期を迎えている。

ここに求められているのは、
ライフサイクル・イノベーションそのものだ。

カジュアル・ファッションと居酒屋。
問題はそのライフサイクルを、
見通す力ということになる。

売上げが下がってきたから、
ライフサイクルの衰退期に入ったと、
認知するのでは遅い。

業態やフォーマットの、
ライフサイクルそのものへの自覚が必要だ。

ウォルマートのサム・ウォルトンは、
1945年にベンフランクリンのフランチャイズチェーンに加盟し、
1962年、自ら新業態「ウォルマート」を開発する。

その後も、1982年「サムズ・クラブ」、
1988年「スーパーセンター」と、
新フォーマットを実験準備する。

このあたり、
まるで「生知安行」の如く見えるが、
そうではない。
失敗の経験の連続が、
下地にある。

やはりサムも、
柳井正さんの『一勝九敗』が底辺にあるし、
『成功は一日で捨て去れ』の自覚もあった。

ライフサイクル概念に対する「生知安行」があるからこそ、
「成功は一日で捨て去れ」となるのかもしれない。

<結城義晴>

2012年4月12日(木曜日)


横浜商人舎の私のデスクのうしろの桜。
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もう完全な葉桜だが、
それがあっという間に、
緑色に染まってきた。

桜が散ろうが、
新緑が広がろうが、
今月2日、
結城義晴のフェイスブック
グランドオープン!

「facebookで友達になろう」
「知識商人の輪を広げよう」
よろしく。

さて日経新聞の調査。
定期的な「日経POSデータ」の宣伝くさいところもあるが、
食品40、日用品30品目の2月の平均価格は、
「4割にあたる28品目が
前年同月比で値上がり」

この調査は全国の310店から収集。
業態はスーパーマーケット・総合スーパー。

日用品は30品目中15品目で価格が上昇。
つまり値上がり確率5割。
シャンプーはプラスの18.1%、
ベビー用紙おむつ類はプラス5.1%。

食品は40品目中13品目が値上がり。
こちらはコモディティ化が進んでいる。
レギュラーコーヒー豆が4.2%増、
バターがプラス9.9%。
即席袋中華そばもプラス4.3%。

一方、値下がりは33品目。
ペットボトル入りウーロン茶飲料2リットルがマイナス3.5%、
缶入りビール350ミリリットル×6本がマイナス1.2%。
原料高の影響が少ない領域では、
価格競争とコモディティ化現象は続く。

ただし、この1年を振り返ると、
東日本大震災直後に品不足で価格上昇。
その後の供給回復で価格下落。
昨秋から再び価格上昇。

ウェーブを描いて、上がったり下がったり。
こういった時に効力を発揮するのが、
ウォルマート流のエブリデー・ロープライス。
何しろ「ほぼ1年間、売価を変えない政策」なのだから、
顧客に安心感を植え付けることができる。

3月末に発表された2月の消費者物価指数は、
20
10年を100として、
生鮮食品を除くベースで99.5。
これは前年同月比0.1%の上昇。

国会でも連日、
消費税論議が繰り広げられている。
国民は価格に、ひどく敏感だ。

このことは私たちが、日々、
肌で感じ取っておかねばならない。

もう一つの日経新聞ニュース。
「アウトレット曲がり角」

明日の13日、
三井アウトレットパーク木更津が開業。
場所は千葉県木更津市。
テナントは171店舗、
初年度売上高目標は320億~340億円。
国内最大級のアウトレットモール。
171店には、国内のアウトレット初出店の21店が含まれる。

三井不動産・菰田正信社長は
「今後さらに増床する」とコメント。
しかしそれは当たり前の常識。

ショッピングセンターも、アウトレットモールも、
グランドオープン後の拡張・増床計画は、
最低でも第1次、第2次、第3次くらいまで必要。

同社では「250店まで増やす方針」だそうだが、
テナントを増やし、あるいは入れ替え、
モールとしての魅力度を上げ続けねばいけない。

何しろディベロッパーは、
開発したらほかに大した仕事はないのだから。

2000年以降、日本でも、アウトレットモールは急成長。
記事には「デフレを背景に」と書かれているが、
そんなことは二次的な要因。

ショッピングセンター同士、業態間の競争の結果、
登場すべくして登場し、
成長すべくして成長したということ。

ただし、今年の開業はこの木更津だけ。
来年以降も、出店が決まっているのは、
「酒々井プレミアム・アウトレット」くらいだという。
こちらは三菱地所子会社のチェルシージャパンの開発。

一方、昨年6月、
「アウトレットモール・リズム」が閉鎖。
埼玉県ふじみ野市。
1993年、国内第1号としてオープンしたもの。

現在の国内のアウトレット施設数は39。
これは日本ショッピングセンター協会の発表。

全米には300強のアウトレットモールがある。
例えば私たちがよく訪れるカリフォルニア州だけでも31、
テキサス州では16。

人口比で考えると、
日本のアウトレットモールの開発余地は、
まだまだありそうにも思えるが、
記事の商業コンサルタントのコメントでは、
「アウトレットの出店余地はあと2~3カ所程度」

日本のアウトレットモール市場規模は6000億円で、
矢野経済研究所の推計では、
2011年度は前年度比3%増。

理由は「競合激化による市場の伸び悩み」。

その理由として、
インターネット通販の伸長と、
百貨店のシーズン商品のセール拡大があげられ、
「アウトレットの存在理由が希薄になりつつある」と総括されているが、
これはちょっと短絡にすぎると思う。

アウトレットモールは、
「二重価格の大義を背負った商業集積」だ。
これは私の見解。

ここでなら一流メーカーも、
プレステージストアも百貨店も、
常時、正々堂々と、
二重価格で販売し、在庫処分することができる。
そのうえ、アメリカでは今や、
アウトレットでの売り上げの方が断然、伸びている。
このメリットは計り知れない。

百貨店や専門店が、
シーズンの終わりにバーゲンを打つ。
これと常設のアウトレットとは、
まったく異なる。

顧客の気持ちになってみればわかる。
シーズンが終わるのを指をくわえて、待つのか。
それとも今すぐアウトレットに行って買うのか。
アウトレットモールの当事者たちが、
この「二重価格の大義」を意識せず、
「存在理由が希薄」だと考えたとしたら、
「ハイ、それま~でよ」

健闘を祈る。

日本の顧客たちは、
まだまだアウトレットモールの意義を、
知らない。

さて、昨日は入間市の㈱USEI。
立教大学大学院・結城ゼミ3期生の朝川康誠さんが、
社長を務めるパチンコホール企業。
その幹部会での講演。

GP(ゴープラ)を店名に4店を運営する。20120412145940.jpg

本部はGP入間店の2階。
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平日にもかかわらず、
550台の駐車場はほぼ満車状態。
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1円パチンコ5円スロットの専門店として、
日本有数の「稼働率」を誇る店。

本部で出迎えてくれたのは、
朝川社長と、嶋内仁財務部長兼総務人事部長。
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私と嶋内さんは旧知の仲。
ある意味でチェーンストア研究者としての同志。

会議室会場では、
店長、副店長、本社幹部の精鋭17人が、
元気なあいさつで迎えてくれた。
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はじめに朝川さんのあいさつ。
「結城先生にとっての師が、倉本長治先生、渥美俊一先生であるなら、
私にとっての師は、これからずっと結城先生です」
うれしい言葉。
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そして嶋内さんが、私を紹介してくれた。
嶋内さんは、私が商業界社長のころ、
パチンコチェーンストア協会のアメリカ視察ツアーでご一緒した。
協会の人事部会リーダーで、精力的に活躍。

だから、5年ぶりの対面。
そんな、話を織り交ぜながら、
丁寧に紹介してくれた。
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そして、この日の私のテーマは、
「基幹産業化に貢献せよ!」
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USEIのための21世紀の考え方を、
倉本長治の「店は客のためにあり、店員とともに栄える」論、
渥美俊一の「チェーンストア二段階革命論」、
そして最後に、「ドラッカーのマネジメント論」という組立てで、
できるだけ分かりやすく講義した。
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朝川さんは、立教大学院で、
私のサービス・マーケティング講座を履修した。
その講義課題でクレドを作成。
それをUSEIのクレドとして掲げ、
組織を運営している。

インターネットでUSEIのクレドを知り、
入社を希望してくる若者がいるほどだという。
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学んだことを経営実務に活かしてくれる。
そしてそのクレドがこの会社の方向性を決めている。
本当にうれしいし、ありがたい。

最後に全員で記念撮影。
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その後、取締役営業本部長の上岡次郎さんも加わり、
近くの豆腐料理の店で会食。
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講演の後のビールはうまいし、話も大いに弾んだ。
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すっかり、夜も更けた。
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朝川さんと上岡さん(右)は、
5月の商人舎アメリカ視察Basic編に参加してくれる。
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結城ゼミ生の会社での講演、これもよし。
チェーンストア研究者の同志・嶋内さんとの再会も、よし。
若い経営陣が引っ張るベンチャー企業、これもまたよし。

立教での出会いが、
実を結びつつあることを実感して、
私の気分は高揚していた。

<結城義晴>

2012年4月10日(火曜日)


メジャーリーグのルーキー、
ダルビッシュ有。
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テキサス・レンジャーズ対シアトル・マリナーズ戦に先発。
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日本人もテキサス人も、
こぞって期待し、応援した。
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「We love YU long time」
嬉しい声援。

背番号11は、たくましく見えた。
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そして世紀の第一投。
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4球連続のボール。
フォアボール。

そして千両役者・3番打者イチロー登場。
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これも世紀の対決。

イチローが現役のときに、
ダルビッシュがメジャーになってよかった。
私はそう思った。
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ドキドキ、ワクワク。

結果は、
イチロー、サードうしろへ、
得意のポテンヒット。

ここからダルビッシュが崩れた。
結局、1回表4点の失点。
2回表にもイチローに2塁打を打たれ1失点。

5回と3分の2、つまり6回ツーアウトを取ったところで降板。

しかし味方打線はメジャー随一。
ホームラン攻勢で、4回までに8点を奪取。
結局11点の猛打線。
ダルビッシュには敗戦がつかず、
オセロのようにひっくりかえって勝利投手。

変な感じのメジャー初勝利を得た。

それにしても、
あれだけふてぶてしかったダルビッシュが、
おろおろする様は、
なんだか人間らしさを感じさせたし、
日本人なんだと共感した。

イチローはむしろ、
日本人離れしたアスリートなんだと、
こちらは妙に感心。
この日3安打の固め打ち。

終わってみれば、
「ヨカッタ、ヨカッタ」

「つぎ、頑張ろうぜ」。
少年野球のようで、
これは、気分がいい。

日本はと言えば、
東京・横浜、
桜満開。
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同じアングルの夜桜も、見事。
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商人舎オフィスの近くを流れる新田間川も花曇り。
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満開の桜。
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私のデスクのうしろの早桜は、
もう赤みを帯びた葉桜。
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こうして、時間が経過し、
ダルビッシュも一流のメジャーリーガーになるに違いない。

さて、毎日、呼びかける。
結城義晴facebook、
グランドオープン。

「友達になろう」
「知識商人の輪を広げよう」

よろしく。

今日のニュース。
やはり日経新聞から拾うこと多し。
「倒産、3年連続減少」
東京商工リサーチの毎年の調査。
「2011年度の企業倒産件数は、
前年度比2.7%減1万2707件、
負債総額は15.5%減の3兆9906億円」

どちらも3年連続減少。

倒産件数は20年ぶりの低水準。
いいことです。

倒産は規模が小さいから起こるのではない。
負債がかさみ、資金繰りがつかなくなるから倒産する。

その意味で、負債総額が、
21年ぶりに4兆円を下回ったのは、
これもよい傾向。

しかし記事は釘をさす。
「ただ中小企業を取り巻く環境が改善したわけではない」

「一時的に資金繰りをしのげても、
業績不振から抜け出せない企業は多い」

根本的な問題として、
経営の構造が改善改革されない限り、
倒産の危機を免れない企業は、
ずいぶんと多い。

それに比べて、
「中国小売り大手、競合激化に布石」

「中国の小売総額を表す2011年の社会消費品小売総額は
2010年に比べ17.1%増の約18兆元だった」
17%も伸びていて、
上場企業の2011年12月期業績は軒並み増収増益。

「しかし、1~2月の社会消費品小売総額は、
前年同期比14.7%増」
伸び率において、2011年を下回るが、
現在の日本では信じられない成長。

日本の上場小売企業の決算。

ユニーは、
2012年2月期決算の営業収益は1兆570億円、マイナス2%。
営業利益が440億円で、これは25%プラス。
「減収増益」で頑張った。

何しろ1兆円企業で、
営業利益率4.16%、

前村哲路社長、ほんとうによく頑張っている。

サークルKサンクスからCVSベイエリアが脱退し、
その和解金で特別利益を計上。
純利益も38%プラスして、
83億円。

イオン、セブン&アイ・ホールディングスに次ぐ、
第3位のチェーンストア企業でありながら、
やや地味な存在のユニー。

私はこれこそ「ユニーの強み」だと言い続けている。

日経の「証券特集」に2社。
伊藤園は増収増益。
「単体の飲料販売は震災後の資材不足が響き売上高横ばい」
しかしタリーズコーヒーが好調、
乳業メーカーのチチヤスを買収し、増収。
そしてこの企業の体質で増益を果たした。

しかし茶葉から構築した「お茶屋」のブランド力。
これは他の追随を許さない。
一方、ロック・フィールドは大幅増益。
「RF1」が震災後の内食需要で好調、
駅ナカの新業態も伸びる。

RF1の既存店は、高単価惣菜の比率が高まり、客単価が上昇。
和風サラダ専門店「いとはん」のショッピングセンター出店を積極化し、
増収増益を見込む。

「惣菜専門チェーン」のマルチ・バナー戦略。

これもロック・フィールドの独壇場。
自社の強みを持つ企業が、
増収増益を果たす。

中国と異なり、
縮小均衡のマーケット日本では、
この「強み」が鮮明でなければ、
伸びることはできない。

多民族国家の新世界アメリカ。
ここで生き残り、超一流になるためにも、
自分の強みを明確にすることだ。

人間としての「ポジショニング」。
ダルビッシュ有にも、
そうあってほしい。

その意味で、
ふてぶてしさが消えた、おろおろの様。
日本人的ではあった。

謙虚で、ひたむきで、真摯。
そう、甲子園の東北高校のときのダルビッシュを取り戻し、
そこに日本プロ野球で培った投球テクノロジーを加味して、
ダルビッシュのポジショニングを確立してほしいものだ。

<結城義晴>

[追伸]
一部facebookで予告した内容と異なりました。
お詫びします。

2012年4月7日(土曜日)


東京・横浜では、
今日・明日が花見日和。
しかし「厳しい花冷え」。
私は、桜咲く立教大学池袋キャンパスへ。
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新入生を狙ったサークルやクラブの勧誘がうるさいほど。

「少しは桜を楽しめ!」
言いたくなる。

私は静かなマキムホールへ。
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今日は2012年度第1回結城ゼミ。
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とは言っても、もう既に、
キックオフ・ミーティングを2回もやっていて、
みんな方向性が少しずつ見えてきている。

日経新聞に、
「花見商戦パッと咲く」の見出しが躍る。

昨年は、東日本大震災直後の自粛で、
おおっぴらな花見も花見商戦も鳴りを潜めた。

しかし今年は、開花自体は遅れたが、
花見商戦は爆発しそうだ。

東京は、
上野恩賜公園はこの土日は45万人の人出予想。
新宿御苑は一昨日までに10万2000人、
大阪では、
有名な造幣局の「桜の通り抜け」が約60万人の見込み。

花見だけなら、金はかからない。
一方、花見商戦の方は、
西武池袋本店が、
「花見向けの弁当や総菜類を100種類」、
昨年の2倍のアイテム数。
1800円前後高価格弁当が売れ筋。

高島屋東京店でも花見関連商品は、
「一昨年比5%増」。

コンビニのセブン-イレブンでも、
800~1500円の予約弁当が前年の1.5倍。

花見スポット近くの店舗では、
ビールやレジャーシートなどが1.5~2倍の売れ行き。

オリジン弁当は、宅配用の洋風惣菜(5~7人分3500円)が、
「例年に比べて4割増える」。

少しくらい高額弁当を買っても、
花見は、割安なレジャーだ。
「酒が飲める、飲めるぞ、酒が飲めるぞ♪」
さらに「弁当食える、食えるぞ、弁当食えるぞ♪」
歌声が聞こえてきそうだ。

さてこれも日経新聞に、
百貨店業界の二人のリーダーの発言。
まず高島屋の鈴木弘治社長。
こちらは厳しい見通し。

百貨店の業界売上げ規模が、
「5年間で1兆円減り、
2016年には5兆2000億円まで縮む」

私も同意見。

そうすると、百貨店業界を総合しても、
イオンの売上高を下回る。
イオンは2014年2月期に6兆円を見定めている。

ただしこのことによって、
百貨店の業態としての価値が下がるものではない。
むしろ良い百貨店の店舗は、
ますます貴重になる。

それが百貨店業態の本質。
まるで「花見日和の厳しい花冷え」のよう。
「通」には堪えられない。
高島屋の今後の戦略は、この見通しに沿って、
国内百貨店の減収分を海外店舗とショッピングセンターの増収分で補填。

高島屋の2012年2月期連結決算は、
売上高マイナス1.3%の8581億円、
経常利益は前期比プラス8%増の243億円、
純利益は21%減の108億円。

一方、この2月就任、
三越伊勢丹ホールディングス大西洋社長。
こちらは業績好調。
理由は主に二つ。
第1は三越銀座店の改装効果。
第2は、衣料や靴などプライベートブランドの成果。

結果として、2012年3月期連結営業利益は、
「前期比2倍の220億円からさらに10億~20億円程度上振れ」。

大西社長の言。
「日本を元気にしようという消費者が多いのではないか。
価格に見合う価値があれば多少高くても買おうという人は大勢いる」
威勢がいい。

「当社のPB商品はデザイン性を重視しており、
一般的なアパレルメーカーの商品より
価格が高くても販売は伸びている」

「基幹3店舗の売上高に占めるPB商品の比率は、
現在7~8%だが、3年間で2割に引き上げる」

さらにプライベートブランドは利益にも貢献する。
「年間20億円程度の営業利益押し上げ効果を見込んでいる」

さて、昨日夕方5時から、
日本チェーンドラッグストア協会の緊急記者会見。
「医薬品の安全で円滑な提供方法を考える有識者会議」からの報告。
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メディアの関心は高く、参加人数が増えたため、
急きょ、グランドパレスホテルのチェリールームに、
会場が変わった。
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会場は定例記者会見以上の参加者。
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小田兵馬協会副会長・㈱小田薬局社長(中央)、
根津孝一常任理事・㈱パパス社長(右)、
宗像守協会事務総長の3名が記者会見に臨んだ。
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有識者会議は、改正薬事法によって、
購入が困難となった消費者救済の視点から議論された。

昨年10月から9名の委員によって、5回行われている。

議論は主に、
「販売方法の必要性」と「それを満たす許容性」について。

その議論の結果、今回報告された内容は以下の通り。
電話による通信販売、ネット販売ともに条件として、
①営業する店舗を有し、
②その店舗に陳列、備蓄する医薬品に限定し、
③初回の販売は対面を原則とし、
④販売数量の上限を決め、
⑤ホームページ上で医薬品の添付文書を閲覧できるようにし、
⑥販売記録や相談カードを指定期間保存し、
⑦購入は消費者の自己責任を伴うことを明らかにし、
⑧しかし苦情相談窓口を設け、
⑨副作用被害救済制度の周知とその対応体制を整備すること。

消費者の安全性を担保しながら、
提供方法を増やし、購入者の利便性を高めるために、
以上の9つの条件が必要になる。

いわば、店頭販売業を補完するものとして、
郵便・ネット等通信販売を行うことをよしとする。
これが「有識者会議」の結論だ。
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宗像事務総長は、
「この報告書から議論をしていただけないかという投げかけ」と発言。
この報告書は、厚労省をはじめ関係団体に配布される。

改正薬事法施行から丸3年。
「良い制度、便利な制度に作り上げるのはこれから」

「業界の内輪の発想から、
真に生活者の求める『安全で円滑な医薬品提供』について、
議論し実現してほしい」

高齢化社会の日本。
セルフメディケーションの実現を目指す日本。
「業界発想から生活者発想へ」
さらに「ソーシャル発想へ」。
有識者会議が関係者に要望する言葉は、
マーケティングのセオリーそのものだ。

4月に入った今週、
「facebookで友達になろう」と呼びかけた。

「友達になろう」は、
今月の商人舎標語「シンプルに。」そのままだ。

来週も、再来週も、
まだまだ、続けよう。

そしてこのブログにも、
わざわざやってきて読んでくださった皆さんに、
心から感謝したい。

良い週末を。
良い花見を。

<結城義晴>

2012年4月6日(金曜日)


今朝、横浜駅西口裏手で、小火騒ぎ。
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ビルが密集して、
飲食店、サービス業、小売業が集積している辺り。

写真の右下が新田間川。
その左岸に屋台群。

救急車も出動して消し止め、
大事には至らず。
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一安心。

新田間川縁を歩くと、
桜が七分咲きか。
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こちらはのどかな風景。

遊歩道と対岸の桜。
毎年、一番先に美しく咲き乱れる。
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今週末くらいが満開で、
まさに花見頃。
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しかしそのウィークエンドにかけて、
「花冷え」らしい。

きれいな日本語です。
この感覚を味わえるだけで、
日本に生まれて良かったと思う。

あと何回、満開の桜と花冷えを堪能することができるのか。
私も今年、還暦です。

さて、今朝、ふと考えた。
小売流通業・サービス業の社員・従業員のこと。
社員は正社員、
従業員はパートタイマーやアルバイトを含めた人々のこと。
明治・大正・昭和の時代も、
もちろん商売は存在した。

しかし戦後間もないころまで、
ほとんどの小売りサービス企業・事業の従業員は、
若年層に絞られていた。

若年労働者を丁稚として採用し、
こき使って働かせ、
年月を経て給料が高くなると、
ほんの一握りの番頭候補だけ残して、
退職させてしまう。
首を切る。
あるいは辞めていく。

それが会社や店の収益を確保する手段だった。
経営者や店主だけは太っていった。

つまり収益性が低いうえに、
経営者のモラルも低い。
それが大半の小売商業・サービス業だった。

商業界の倉本長治、
ペガサスクラブの渥美俊一、

多くの経営指導家は、
この状態からの脱出を提唱した。
商業の近代化はそれを志向した。

大卒を採用し、教育・訓練を施し、
高齢者にもポストを用意し、
キャリアを積ませ、
そんな高齢者が定年を迎えると、
退職金を支払う。

団塊の世代が定年を迎え、
しかも彼らの自らのスキルで、
定年後も働くことができるようになった。

これは商業近代化の成果である。

だから現在の企業群を見渡して、
若年層の社員・従業員しかいない会社があるとしたら、
それはいまだ、前近代的なものだと考えてよい。

経営者一族だけが、
懐にため込んで、
若年労働者たちから搾取している。
サービス残業も当たり前。

労働基準法をはじめとする法律や労働組合の存在の意義は、
この悪徳資本家然とした経営者を駆逐することにある。

私は「商業・サービス業の現代化」を標榜している。
近代化を「モダン」といい、
現代化は「ポスト・モダン」と称する。

現代化はしたがって、
近代化が果たされた後の、
いわば理想郷の世界を目指す。

私の中学高校の友人たちも、
今年、還暦を迎える。
一流企業の役職員や公務員として、
60歳まで働いた。

しかし彼らの多くは、
いま、新しいことを一から始めて、
わずかな収入を得ようとしている。

小売り・サービス業のスキルを持つ人たちの方が、
定年後の仕事の範囲は格段に広い。

かつての番頭さんと丁稚どんの時代と比べると、
隔世の観あり。

倉本長治先生、岡田徹先生、新保民八先生、
川崎進一先生、渥美俊一先生、
さらに多くの先生たちに、
心から感謝しつつ、
あらためて商業現代化への志を固めたい。

桜の季節。
還暦を迎える結城義晴、
物思いにふける。

さて、商人舎ホームページ巻頭テロップの『流通ニュース』
アクセス数は絶好調の伸びで、
小売流通・サービス業界トップ。

その流通ニュースの昨日の年度末決算発表の見出し。
まず、セブン&アイホールディングス。
セブン&アイ/2月期は売上高6.5%減、営業利益2割増の2920億円
イトーヨーカ堂/2月期は売上高0.9%減、営業利益5.8倍
セブン-イレブン/2月期は売上高4.9%増、営業利益8.3%増
そごう・西武/2月期は売上高1.9%減、営業利益51.1%増
イオンモール/2月期は売上高4.0%増、営業利益2.5%増
ヨークベニマル/2月期は売上高1.5%増、営業利益68.5%増
セブン&アイ・フード/2月期は売上高1.8%減、営業利益2200万円

イオンのグループ企業の2月期決算。
マックスバリュ西日本/2月期は売上高4.4%増、営業利益4.9%減
イオン九州/2月期は売上高2.2%減、営業利益2.4%増
マックスバリュ九州/2月期は売上高6.1%増、営業利益7.9%増
CFS/2月期は売上高12.2%減、営業利益3.5%減
イオンクレジット/2月期は売上高0.4%増、営業利益17.2%増
マックスバリュ東北/2月期は売上高1.2%増、営業利益25.8%増
サンデー/2月期は売上高8.2%増、営業利益4.8倍

そして、ファッション専門店の雄。
しまむら/2月期は売上高6.0%増、営業利益10.3%増

見出しだけでも、有益だ。
是非とも『流通ニュース』を、
ご愛読いただきたい。

先日、㈱伊藤園副社長の本庄周介さんと話した。
本庄さんは『流通ニュース』を絶賛してくれていて、
社員にも愛読を薦めているとか。

今朝の日経新聞にも決算情報。
『決算 深読み』の見出し。
「セブン&アイ、5期ぶり
経常益最高前期2931億円

スーパー・百貨店が復調 構造改革の成果じわり」

事業別業態別の営業利益は、
「スーパーと百貨店の復調が鮮明」。

もういい加減に、日経にも業態を理解してもらいたいところだ。
「スーパー」と表現されているが、
ここには「総合スーパー」と「食料品スーパー」が包含されている。

「総合スーパー」「食料品スーパー」は経済産業省の業態用語。
国際的な専門用語は前者を「ハイパーマーケット」、
後者を「スーパーマーケット」と区別し、
荒井伸也さんが指摘した社会的機能の違いが、
明確に認識されている。

「スーパー」が良かったといっても、
食品が好調だったのか、
衣料品・住関連品が復調したのかは、
全く分からない。

「スーパーマーケットが好調」ならば、
「ああ、食生活関連分野が堅調なんだ」とわかる。
「ハイパーマーケットが復調」ならば、
「生活全般に大衆品が伸びつつあるんだ」と理解できる。

食品は好調なのに、衣料品が絶不調で、
全体で低調だった場合、
「スーパー」は不調となってしまう。
例えば、数年前のように、
ヨークベニマルやヨークマートがまあまあ、
イトーヨーカ堂が落ち込んだ結果として、
セブン&アイの「スーパーは不調」と、
一括されてしまうことがある。
これはおかしい。
業態概念でものを書いてほしいものだ。

さて記事にもどって、
「コンビニの10%増(2146億円)に対して、
スーパーは2.1倍の324億円、
百貨店は77%増の99億円
と伸びが目立った」

「イトーヨーカ堂の営業利益は5倍の105億円」。
だからヨークベニマルとヨークマートを合わせると、
営業利益219億円ということになる。

イトーヨーカ堂は「キャッシュバックセール」などを止めた。
これで年間50億円以上が浮いた。
粗利益率が29.7%になった。
0.6ポイントの改善。

「そごう・西武」は営業利益111億円、51%増。

結果、フリーキャッシュフローは1200億円。
これは新規出店や改装に投資される。

日経の決算関連記事の二つ目は、
「イオンモール、経常益最高
前期390億円 既存SC堅調」

さらに「ABCマート、
経常益最高前期8期連続」

売上高は11%増の約1410億円。
前期末の店舗数は13%増の650。
売上高総利益率は微減の57%台半ば。

そして「しまむら、前期3期連続で
純利益最高 PB商品伸びる」

前期の売上高(営業収入を含む)は6%増の4673億円。
営業利益は10%増の439億円。
純利益が前期比7%増の252億円。
全店舗数は2月末時点で1742。
新規出店数は台湾の4店を含めて73店。

しまむらの最近の大変身は、
プライベートブランドの売上高比率が、
45%
まで高まっていること。
これは前期比約4ポイントの上昇。

ユニクロは100%プライベートブランドで、
しまむらは仕入れ商品。
この対比が鮮明だったが、
しまむらも45%に伸びてきて、
今年度には5割を超えそうだ。

セブン&アイ、イオン、しまむら、ABCマート。
その過去最高の決算。

そして社員・従業員の採用・教育・待遇改善と、
収益性の上昇。

どれも商業近代化から現代化への必須条件だ。
いまだ前近代の会社もあるけれど、
そんな会社に我が物顔させて、
のさばらせておいてはいけない。

そして万一、そんな会社を継いだり、
そんな会社に入ってしまった人は、
まず謙虚に、近代化を志向してほしい。

桜の季節の、
私の思い。

<結城義晴>


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