結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年01月04日(土曜日)

2025年の「民主主義の危機」と「ほんとうの考え・嘘の考え」

1月4日の体重60.1kg。
BMI値22。
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体脂肪率16.9%。
60歳以上の標準。
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体内年齢57歳。
実年齢よりも15歳若い。
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まあまあの体調で2025年を迎えた。

健康寿命を延ばしたい。

それが高齢化社会の、
高齢者の在り方だと思っている。

1月1日の新聞の社説は興味深い。
この1年に対してその新聞が、
何をどう考えているかが主張されるからだ。

朝日新聞の社説。
米国の詩人ウォルター・ホイットマンを引いた。
「堅実な民衆ならもっと強く政治に介入せよ」
「常に投票し、常に事情に精通せよ」スクリーンショット 2025-01-05 040209
ホイットマンは説いた。
「民衆こそ民主主義の主役たれ」

日経新聞の社説
「24年は人類史上、最大の選挙の当たり年だった」
そして、
「大半の民主主義国家で政権与党が退潮した」

そこで、新年は、
「民主主義の真価が一段と問われる」

読売新聞社説。
三つの危機が同時に進行していると指摘した。
私が使う「複合危機」である。

第1が「平和の危機」
第2が「民主主義の危機」
第3が「自由の危機」

こう並べるとどの新聞も、
民主主義を2025年のテーマとしている。

しかしこれは、
政治体制や国家の在り方だけではないと思う。
産業や企業、組織の民主主義の問題でもある。
私やあなた自身の問題でもある。

荒井伸也サミット㈱元社長・会長、
作家安土敏。
「デモグラティックな会社でありたい」

とりわけチェーンストアは、
民主主義的組織でなければいけない。

読売の社説子。
「虚実の判断がつきにくく、
一部に事実が交じっている情報ほど、
真実めいた印象を与え、
流言飛語となりやすい」

「それが高じると、民衆を公衆というより、
群衆のような存在に変えてしまう」

「もしそこに特定の意図をもって
悪意ある情報を流すようなことがあれば、
ネットの言論空間はコミュニケーションではなく
一種の扇動工作の場と化してしまう」

民主主義とコミュニケーションの問題だ。

「ほぼ日」の糸井重里「今日のダーリン」

「犬が人を噛んでもニュースにならないが、
人が犬を噛んだらニュースになる」

その理由は、
「ニュース」を伝えるメディアの全体量が、
新聞、ラジオ、雑誌、テレビと限られていて、
それほどは多くなかった時代だから。

今は違う。

――「犬が人を噛んでもニュースになる」し、
「人が犬を噛んでもニュースになる」し、
なんなら、だれもなにも噛まなくても、
ニュースになります。

「いまは個人がインターネットで
いくらでも発表できます。
だれかひとりが決めたら、
それはニュースになります」

「創作でもただの嘘でも、どんなデマでも、
それを信じたい人は信じます」

「そういう人を足し算すれば、
大変な数になります」

「いまは、そういう時代に
なったのだと思います」――。

鋭い指摘だ。

糸井。
「あらゆるものごとがニュースになる時代に、
それに振り回されずに生きていくことは
簡単じゃない」

そこで吉本隆明が引用する宮沢賢治の一節。
「ほんとうの考えと
嘘の考えを分けることができたら
その実験の方法さえ決まれば」
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糸井。
「信じることは尊いけど、
信じ切っちゃうのは危ういとも思う」

その通り。

「ほんとうの考え・嘘の考え」
そしてそれを「分けるための実験の方法」。

それが民主主義の問題と直結している。

この民主主義は、
私たちの組織の問題でもある。

あなたの問題であり、
私の問題でもあるのだ。

〈結城義晴〉

2025年01月03日(金曜日)

2025年「初売り」の「損得と善悪」を考え、伝えよう

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三が日までは年賀状でご挨拶。

101回目の箱根駅伝。
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1月2日の往路を制した青山学院大学が、
3日の復路でも首位を譲らず総合優勝。

2年連続8度目の制覇。
10時間41分19秒の総合タイムは新記録。
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第2位は2分48秒差で駒澤大学。
駒澤は往路の優勝を果たした。

第3位は國學院大学。
大学三大駅伝の出雲と全日本を制したが、
学生駅伝三冠はならなかった。

それでも最後には今年の三強が、
順当に上位を占めた。

4位は早稲田大学で大健闘。
5位に中央大学、6位に城西大学。

いずれも満足の走りだっただろう。

駅伝ランナーのレベルは、
毎年のように上がっている。
だからタイムも、
毎年のように良くなっている。
それは凄いことだ。

そして監督や指導者によって、
駅伝チームの走力は決定的に変わる。

それを痛感した。

大学駅伝の世界では、
いい指導者が増えている。
指導者たちの切磋琢磨がある。

実に好ましいことだ。

店長によって店は変わる。
社長によって会社は変わる。

私はそれを連想した。

さて、2025年の初売り。
日経新聞が報じた。

イオンは総合スーパー380店舗が、
元日の初売りをした。
全国のマックスバリュ各社も。
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イオンリテールでは、
「福カート」の最大5割引き販売が売れた。

しかし1日正午時点の売上高は前年並み、
食品部門は前年比約5%増。
惣菜のピザ、ワイン、牛肉などが動いた。

百貨店はそごう横浜店が元旦営業。
開店前から約1万人が行列した。
それでも売上高、客数は前年比5%増。

東京都内の百貨店は、
1店も元日営業をしなかった。

伊勢丹や西武百貨店は2日が初売り。
その西武渋谷店の2日の売上高と客数は、
ともに前年比30%増の見込み。

大丸松坂屋と高島屋は3日から。

それぞれの初売り。
それはそれでいい。

倉本長治の「損得より善悪が先」

損得より善悪の方が大切である。
それは儲かるか、儲からないかと言うことよりも、
そのことが善いことか、悪いことかを
まず考えることが根本だと言うことなのである。

これまでの商人諸君は、
自分が消費生活者の隣人として、
その専門の知識と愛情とで
お客さまの生活を守ることが
務めであるという自覚が少なく、
自分自身の損得にばかり熱中してきた。

商人も人間である以上は、
自分の損得の問題よりも、
多くの人々のためになる「善」とか、
その反対の「悪」とかの問題を、
優先的に考えるのが正しいのである。

どんなに自分が儲かっても、
それが悪いことなら、
その儲けから遠ざかるような商人こそ
正しいのである。

だから商人は事を計画したり、実施する時、
「これは儲かるぞ」と思う前に、
人々のために「それは善いことか悪いことか」を
まずよく判断すべきである。

自分だけ儲かることが悪いこととは言えないが、
同時に少しでも他人に損をさせてはいけないし、
みんなが利益になるようなら、
なおよいことだと知るべきである。

「損得より先きに善悪を考えよう」
そういう商売を、
すべての商人にお勧めするのである。
(『商人讃歌』ほかより)
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元旦からの初売り。

儲かるからやるのか、
人々のために善いことだからやるのか。

人々とは誰なのか。
顧客なのか従業員なのか、
取引先なのか。

他人に損をさせてはいないか。
みんなの利益になるのか。

それらをよくよく考えよう。
そしてその意味を伝えよう。

やることとともに、
考え、伝えることを、
私はお勧めしたい。

駅伝指導者たちが全体に良くなったのは、
伝統の指導法にこだわることをやめて、
思考力と発信力をもつに至ったからだと思う。

〈結城義晴〉

2025年01月02日(木曜日)

2025年の「願はしかるべき事」は「自由であること」

1月2日。

三が日は年賀状でご挨拶。
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商業の現代化と知識商人の養成が、
株式会社商人舎のビジョンです。
結城義晴のライフワークです。

今年もそれを願って、
生きていくものです。

さて今年の結城義晴の[毎日更新宣言]は、
自由であろうと思います。

たとえば全体に、
短いブログでもいい。

朝日新聞の「天声人語」は、
603字で6段構成。

読売新聞の「編集手帳」は450字。
こちらは短い。

毎日新聞の「余録」は658字、
日経新聞の「春秋」は550字。

紙の新聞だから、
スペースと字数は限定される。

徒然草の第一段は734字。

こう始まる。
「いでや、この世に生れては、
願はしかるべき事こそ多かめれ」

現代語に訳せば、
[いやはや、この世に生まれたからには、
さまざまな願望が心に去来するものだ]

そして第一段では、
清少納言の「枕草子」を引用する。

その枕草子の第一段は342字と短い。
「春は、あけぼの。
やうやう白くなりゆく山ぎは
少し明りて
紫だちたる雲の細くたなびきたる」

[春は明け方がいい。
少しずつ白み始める山の稜線が
少しだけ明るくなって
紫がかった雲が細くたなびいている]

古典のエッセイは、
734字と342字。

こんな毎日更新宣言ブログでありたい。

ほぼ日刊イトイ新聞の「今日のダーリン」は、
800字だとか1000字だとか、
それを超える場合もある。

こちらはネットなので、
ある意味で融通無碍だ。

結城義晴の[毎日更新宣言]は、
1500字から2000字。
それを超えて3000字のこともある。

写真を何十枚も使うこともある。

表したいことを表す。
だから字数が増えるときがある。

今年は自由でありたい。
目安は1000字くらいだろうか。
枕草子のように300字ほどでもいい。

とにかく自由でありたい。

穏やかな正月です。IMG_8446 (002)

昨年、手に入れたもののなかで、
一番良かったと思うのが、これ。

little Martin。
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5月15日のBasicコースの自由時間。
ラスベガスのギターセンターで衝動買い。
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満足げ。
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物欲はそれほど強くない。
けれど日常的に手軽に弾けるギターが、
どうしても欲しかった。

そしてlittle Martinは、
いつも私のそばにいる。
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人にはこんな相棒があるといい。
心が落ち着く。

物欲はないけれど、
心が穏やかになるようなモノが、
そばにあるといい。

それが自由であることにつながる。

私の「願はしかるべき事」はそんなことです。

今年もよろしくお願いします。

〈結城義晴〉

2025年01月01日(水曜日)

「一陽来復」の「2030年Vision」と「嘘のない組織」

2025年1月元旦。

結城義晴のblog[毎日更新宣言]を開始します。
1年1年、決意を新たにして、
書き続けます。
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株式会社商人舎としては、
一昨年に年賀状じまいをしました。

そこでこの商人舎公式ホームページで、
新年のご挨拶を申し上げます。

新年、おめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

2025年1月に考えること。

「2030Vision」を描きたい。
産業も会社も、個人も。

もちろん国も。

5年後には「2030年問題」が待ち受けています。

少子高齢化はさらに進み、
超高齢化社会がやってきます。

日本の総人口は約1億1700万人まで減少し、
国内人口の3人に1人が65歳以上の高齢者になります。

そして社会保障費の負担は急増し、
医療費や介護費、年金などに関して、
大幅な見直しが必須となります。

私自身はいつまで生きられるかわからない。
天寿を全うするだけです。

しかしできるだけ健康寿命を延ばしたい。
そのために最大の努力を払う。

一番いいのは、
仕事に邁進することだと思っています。

その一方、少子化によって、
15歳から64歳までの生産年齢人口は激減します。

ここから多岐にわたる問題が発生します。
これが「2030年問題」と呼ばれます。

そしてこの2030年は、
プレ・シンギュラリティに当たる年度でもあります。

シンギュラリティ(技術的特異点)は2045年。
人間の知性を超える人工知能(AI)が登場して、
社会が急速に変化する現象。

その前段が2030年のプレ・シンギュラリティ。
人工知能と人間との関係は、
どこまでいくのか。
どう変わるのか。

私たちは今年、確かに2030年を、
見つめなければならないと思います。

だから2030年Visionが必須です。

未来は与えられるものではなく、
自ら選んで、主体的につくっていくものです。

自らVisionを描いて、
自ら選択する。
自ら未来をつくる。

1月元旦には、
その決意をしたいと思います。

[Message of January]
嘘をつく店

倉本長治は言い放った。
「この店は滅びる」

よほど腹が立ったのか、
それともひどく悲しかったのか。
お客を無視する店。
失礼な店。

買いたい品が見つかりにくい店。
欲しいものが品切れしている店。
買った商品が傷んでいる店。
きたない店。

一番いけないのは、
嘘をつく店だ。
正直を謳っていながら、
小さな嘘を潜ませている店である。

「安い」と「良い」とは、
突き詰めると同じことだ。
品質が同等で価格が低い状態を「安い」といい、
価格が一定で品質が高い状態を「良い」という。

品質と価格の天秤で測ると、
「安い」と「良い」とは同じ価値なのである。
ただし、「安い」も「良い」も、
嘘をつかない店でのことだ。

「安いよ、安いよ」と、
大声を張り上げている者にかぎって、
嘘つきの店がある。
不実の店が多い。

こんな店には、
一瞬の「買物の得」はあっても、
一生付き合う「生活の得」はない。
そして人々はそれを瞬時に見抜くのだ。

競争はますます激しくなる。
情報は素早く広く還流する。
そして賢い消費者たちを誕生させる。
逆に、競争者たちは淘汰されていく。

それは現代社会の宿命である。
競争は進化を促す。
見えざる手がそれを後押しする。
だから私もこう言い切ろう。

嘘をつく店など、滅びてしまえ。
永遠に、この地上から消え失せろ。

〈結城義晴〉
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かつての同じタイトルのMessageを、
書き直してみました。

1年に絞って考えると、
昨年は「物流の問題」が迫っていました。
今年はどう見ても「人の問題」です。

懸案の「年収の壁」は人手不足問題でしょう。
さらに人材の獲得と人材の育成も、
大きな問題です。

そして人の問題の根本になければならないのは、
「嘘のない会社」なのです。

嘘のない会社、嘘のない組織、
嘘のない店、嘘のない職場こそ、
怖いものはない。
一番強いのです。

それが1月のMessageです。

では今年1年に向けて、
ともに第一歩を踏み出しましょう。

〈結城義晴〉

2024年12月31日(火曜日)

月刊商人舎[2024年大賞]発表と「毎日更新宣言」の終了宣言

あっという間に大晦日。

今日で2024年が終わる。

けれども今年、
やりきれなかったことがたくさんある。

大いに反省して、
その仕事は来年に託そう。

月刊商人舎は12冊、
例年よりもいい雑誌ができたと思う。

そのなかから「自分で選ぶ4つの大賞」

まず第1は「表紙大賞」

今年は結構、斬新な表紙をつくった。
もちろんデザイナーの力量がモノを言う。
商人舎専属の七海真理さん。
アメリカでデザインを学んで、
既成概念にとらわれない。
さらに色に対する感覚が凄くいい。

デザインのイラストや写真は、
編集部が全員で選ぶ。

1月号はよかった。
カラフルだ。
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6月号も私は好きだ。
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しかし2024年表紙大賞は、
11月号です。
「会社は誰のためにあるのか?」
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セブン&アイ・ホールディングスを題材に、
会社は誰のためにあるのかを考察した。

そのセブン&アイの祖業イトーヨーカ堂は、
シンボルマークが鳩だ。

白い鳩が箱舟に乗って、
荒海のなかにいる。

この特集をよく表現している。
間違いなく2024年表紙大賞です。

第2は[Message大賞]

私が毎月、巻頭に書くMessage。

これは食品商業編集長のときからはじめて、
販売革新編集長のときにも続けた。

商業界の取締役になってからも、
専務や社長のときにも、
書いていた。

それを商人舎でも続けている。

2024年のMessage。
1月号は[Message of January]
みんなで学べ。

個人が人生をかけて学ぶ。
それが組織学習の力となる。
個人の学習なしに組織の学習はない。
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1年を通した商人舎の主張となった。
とても良かった。

2月号の[Message of February]も気に入っている。
昨日を廃棄せよ

死んだ書類。
熱のない計画書。
確信のない提案。

その呪縛から脱するには、
未来を現在に集約する、
タイムマシーンに乗ることである。
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今年のMessageはなかなかいい。

3月号[Message of March]
特集は「アパレル改革」
衣料品は食品のように扱え。

衣料品は食品のように扱え。
食品は衣料品のように考えよ。
このトレードオンをやめるな。
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4月号[Message of April]は、
アルバート・ハモンドを借りて、
ちょっと毛色の変わった巻頭言を書いた。

降れば土砂降り

北海道は日本のカリフォルニア。
夢をみようよ、
大志を抱け。

そんな風に、
カリフォルニアに行く気分で、
北海道に出た。

けれど、
降れば土砂降り、
いつも土砂降り。
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ん~、迷う、困る。

けれど[Message大賞]は11月号、
[Message of November]
前略 ヨーカ堂のみなさんへ

会社は大変なことになっていますね。
ご心労、お察しします。
それでもお客さまのために、
毎日の商いを怠りなく続けてください。
お願いします。

みなさんの会社の創業者・伊藤雅俊さんには、
私自身、大変お世話になりました。
勉強もさせていただきました。

1979年、伊藤雅俊さんが、
日本チェーンストア協会第三代会長のときに、
私は密着取材をしました。
そして一冊丸ごとの「販売革新別冊号」をつくりました。
「チェーンストアフェア’79全記録」というタイトルでした。

この中で伊藤さんは求めている人材像を語りました。
第1は人間的な温かみがある人。
第2は地道に物事に取り組み、真正面から挑戦できる人。
第3に誠実で正直な人。
伊藤さんは付け加えました。
「チェーンストアを別の言葉で言えば信用業です」

伊藤さんはお取引先との四つのルールを、
社内に徹底しました。
⑴ 対等の立場
⑵ 約束は必ず守る
⑶ 接待は受けない
⑷ 返品しない

今も、これからもイトーヨーカ堂にとって、
とても大切なことです。

東日本大震災のあと、
伊藤さんとお話ししました。
「潮目が変わりました」

どういう潮目の変化ですか?
「自分たちの力が及ばないところで、
大変化が起こります」

すると新型コロナが世界を席巻しました。

預言者のような伊藤さんでした。

今、イトーヨーカ堂にも、
自分たちの力が及ばないところで、
大きな変化が起こっています。

その変化にも誠実に、正直に、
真正面から挑戦してください。
そして温かい商人でいてください。

伊藤雅俊さんのご遺志を継いでください。
ご健闘を祈ります。
いつまでも応援しています。 草々
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ヨーカ堂の皆さんへのエール。
それはチェーンストアマン全員への檄でもあります。

第3の[原稿大賞]は難しい。
候補が多すぎる。

結城義晴が毎月書くものが、
月刊商人舎の特長となっているから、
そこから選んでもいいけれど、
ん~、ん~。

[特別写真構成]
最大級MEGAドンキ成増店、
したたか!
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写真82枚を使って、
改装した成増店の全貌を明らかにした。

美しい店ではないけれど、
ポジショニングはここまでするのか、を、
まざまざと見せてくれる。

この写真構成の前に私が書いた記事は、
ドンキの本質に迫っている。
「これは魔境のポジショニング戦略だ!」

再読をお勧めします。

最後に[特集大賞]

12月号は内容の広さと深さにおいて、
他のメディアを寄せ付けなかった。
オーケー上陸!!「東大阪の陣」
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商人舎の特集が圧倒的に良かった。

8月号特集もよかった。
’24商売のヒント
経営と営業のテーマ資源「チョットいい話」実例集
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あまり表に出ない事例を集めた。

ベルクが一躍、大スターになった。

そして表紙大賞とMessage大賞になった11月号特集、
会社は誰のためにあるのか?
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これが準大賞だろうか。

けれどどこにもない特集は9月号だ。
’24アメリカの歩き方
★US-Retail視察研究ガイドブック★

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主要な17都市圏のチェーンストアガイド。
他のメディアにはつくれないものだ。

9月号が刷り上がってきたら、
山本恭広編集長が言った。
「涙が出てきました……」

彼はそれくらい感動した。

アメリカ特集は、
執筆していても、編集していても、
とても夢があって、楽しい。

今年も苦労して雑誌をつくり続けた。
ご愛読とご支援、ありがとうございました。

そしてこの結城義晴のブログも、
なんとか閏年の366日間、
書き続けることができました。

2007年8月23日、
まだ㈱商業界代表取締役社長のころ、
結城義晴の[毎日更新宣言]をしました。

それから数えても6341日間、
エブリデーの更新を続けてきました。

ご愛読に心から感謝しつつ、
[毎日更新宣言]の終了を宣言します。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2024年12月30日(月曜日)

ロピア話題の新店巡りと福島道夫の「いつも考えている」

いよいよ2024年の年末際の商戦。

私は20代の駆け出しのころから、
年末には店を回った。

1977年から1980年代は、
毎年、関西スーパーマーケットの店舗を巡った。

そのあとは、関西スーパーとともに、
ニッショーも訪れるようになった。

当時、関東では、
サミットストアが抜きん出ていた。

関西スーパーとニッショーは、
販売革新から丸々一冊の別冊号を出した。
『関西スーパースタディ』
『ニッショースタディ』

サミットは食品商業から、
『サミット・スタディ』を発刊した。

これらは米国Progressive Grocer誌の、
「コロニアル・スタディ」を模倣し、
さらに深く追求した雑誌だった。

PGを超えたと私たちは誇らしく思っていた。

年末にヨークベニマルを訪問することもあった。

それから最近はヤオコーを見る。

関西では万代の阿部秀行社長の臨店に、
同道させてもらって、ライフなども見る。

今年は関東のロピアを巡った。
福島道夫取締役が、
車を出してくれる。

福島さんの臨店に便乗する。

年末の売場は情報の宝の山である。
各社が力を入れて、
最高の売場をつくろうとするからだ。

そのロピア黒川店。IMG_8366 (002)

月刊商人舎12月号で詳解した。IMG_8375 (002)

朝9時15分ごろ到着して、
オープン前の売場を見る。

10時開店だがその前に顧客が並ぶと、
店を開ける。IMG_8376 (002)

すぐに青果部門の八百物屋あづまには、
顧客が入ってくる。
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年末の開店直前でも、
オペレーションは淡々としている。
かつては火事場のようにバタバタとしていた。
けれど今はそれがない。

「肉のロピア」の精肉部門も、
売れ筋満載。
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日本橋魚萬も準備は整っている。IMG_8371 (002)

惣菜だけ少し空きがあるが、
それでも主要アイテムは並んでいる。IMG_8370 (002)

冷凍太巻き。
ロピアオリジナルの道場六三郎監修。IMG_8369 (002)

崎野敬紘さんも臨店している。
神奈川・千葉・埼玉統括営業本部の鮮魚事業部長。
先日、商人舎に新製品を届けてくれた。IMG_9960 (002)

福島さんにはアドバイスを受けて、
早朝から年末用の買物をした。
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ロピア店舗開発部の鈴木義和さんも、
黒川店の助っ人に入っていて、
私たちの面倒を見てくれた。IMG_9965 (002)

たっぷりと買物して、
次はスーパーバリュー国立店。
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商人舎流通SuperNews。
スーパーバリューnews|
ロピアとコラボ/国立店12/4リニューアルオープン

ロピア傘下の㈱スーパーバリューは、
今年、内田貴之社長のもとで、
店舗改装に精を出した。

12月4日(水)、スーパーバリュー国立店を、
ロピアモデルに改装した。IMG_8404 (002)

八百物屋あづまは、
YAOMONOYA AZUMA。
ローマ字表記が新しさを出す。

私も写真を撮った。IMG_8377 (002)

トマト売場も美しい。IMG_8382 (002)

そしてNIHONBASHI UOMAN。IMG_9970 (002)

鮮魚部門は年末商戦の花だ。
国立店は完全に蘇った。IMG_8384 (002)

精肉部門は「MEAT LOPIA」
すべての売場に顧客が入っている。IMG_8387 (002)

惣菜は商品ががらりと変わった。IMG_8389 (002)

GOCHSOU MARCHE。IMG_8391 (002)
ロピア中部営業本部の店づくりを採用している。

日配品の平ケース売場。IMG_8394 (002)

グロサリーには汽車の模型。
これもロピアの象徴。IMG_8397 (002)
スーパーバリュー
は完全にロピア化した。

そしてホームセンター部門は、
コーナンを誘致した。IMG_8400 (002)

スーパーバリュー直営のホームセンターより、
品揃えが専門化し、PBも入って、
マーチャンダイジングが強力になった。 IMG_8403 (002)

さらにダイソーも150坪ほどの面積をとって入居。IMG_8401 (002)

スーパーバリュー国立店。
凄くいい店になった。

来年は収益店舗に変わるだろう。

そのあと横浜に戻って、
港北ニュータウンへ。

東急SC。
2011年4月29日にリニューアルオープン。
そのときにロピアが入居した。
ブログに書いた。
IMG_8411 (002)

ロピアの躍進の原動力になった店だ。
そして現在もロピのドル箱店舗。IMG_8413 (002)

最新のリニューアルで、
鮮魚の日本橋魚萬は、
ワンウェイコントロールになった。IMG_8416 (002)

ロピア名物「生本鮪ブーメラン」
正月にはもってこいの一品。IMG_8417 (002)

菓子売場は床のイラストが美しい。IMG_8418 (002)

正月用に衣替えした冷凍食品売場。IMG_8420 (002)

グロサリー売場には、
どのカテゴリーにも顧客がついている。IMG_8424 (002)

そしてレジの行列ができる。IMG_8426 (002)

最後の最後に握り寿司を買った。

そして福島さんとツーショット。IMG_9973 (002)
ロピアは正月は4日まで休業する。

しかし関東営業本部では、
ららぽーとTOKYO-BAY店、
ららぽーと海老名店、
ららぽーと堺店が、
1月1日から営業をする。

ショッピングセンターの店だからである。

その1月1日の店には、
幹部が勢揃いして売場づくりをする。

1月1日に休みたいパートタイマーさんがいる。
彼女たちを休ませるために、
幹部や本部スタッフが集合して、
商品をつくり、店を運営する。

これはロピアらしい制度だ。

年末の忙しいときに、
福島さんに案内していただいた。

売場でも車中でも、
いろいろ話をした。

戦略的なこと、
そしてポジショニングについて、
ディスカッションした。

福島さんはいつも考えている。

糸井重里さん。
マンガを描くのを仕事している人だとか、
お笑いの人たちの『ネタ』のメモだとかも。
サービス業の人が微笑みを絶やさないように、
人間が呼吸をするように、
アイディアを考えてる」

これが福島道夫だ。

今年も本当に、
ありがとうございました。

いつも考え続ける。
来年もそんな年にしたい。

〈結城義晴〉

2024年12月29日(日曜日)

野中郁次郎「二項動態経営」と結城義晴の「トレードオン」

野中郁次郎先生の新刊本。
『二項動態経営』
野間幹晴さん、川田弓子さんとの共著。IMG_8355 (002)
野中先生はもう89歳。
しかし研究意欲は衰えない。
一橋大学名誉教授、
カリフォルニア大学バークレー校特別名誉教授。

野間さんは一橋大学院教授、
川田さんは一橋ビジネススクール研究員。

「二項動態経営」の説明が冒頭に出てくる。
――組織のあらゆるレベルのメンバーは、
動く現実の流れのなかで
さまざまな矛盾やジレンマに直面する。
その個別具体の文脈のなかで、
共通善に向かって、
「あれかこれか(either/or)」の
二項対立(dichotomy)ではなく、
「あれもこれも(both/and)」を追究する
二項動態的な集合「実践知」創造を通じて、
葛藤を超えて「より善い」をめざし、
新たな価値創造への道を
他者とともに切り拓くのである――。

「二項動態」コンセプトの着想は、
もともと野間さんにあったようだ。
それを野中先生が見つけて、
「面白い主張をしているじゃないか」とコメントした。

野間さんは財務会計を専門とする。
1974年生まれの50歳。

第1章は「二項動態経営と組織的知識創造。

第2章は「二項動態経営の実践」
ここで日本の企業が列挙される。
エーザイやホンダ、ソニーは野中本の常連。

セブン-イレブン・ジャパンと、
セブン&アイ・ホールディングスも登場する。

ん~、過去の実践はよかったが、
現状はどうか。

第3章は「ヒューマナイジング・ストラテジー」
「人間くさい」経営のこと。

第4章は新しい「日本的経営」の創造。
この章の最後に「二項動態経営モデル」が示される。

とてもいい本だ。
私の研究に取り入れさせていただきたい項目が多い。

何しろ私は言い続けている。
「あちらを立てて、こちらも立てる」

二項動態の発想は、
まったく同じだ。

最初は1995年10月の「食品商業」の巻頭言。
「あちらを立てれば、こちらが立たず」

その後、1999年ごろ、
販売革新の巻頭に書いた。
「エディターズ・ボイス」

そしてそのまま二つの短文を並べて、
2004年刊の『Message』に載せた。

「あちらを立てて、こちらも立てる」

あちらを立てれば、こちらが立たず。
こちらを立てれば、あちらが立たず。

ならば、あちらを捨てましょう。
あるいは、こちらを切りましょう。

それが二〇世紀だった。
いわば「トレードオフ」に象徴された時代。

もちろん商品開発における「トレードオフ」は、
強力な手段であることに変わりはない。

しかし、この時代をとらえて「全体最適」を実現させるには、
「トレードオフ」では問題解決にならない。

二律背反の事象が、
溶け合う糸口のポイントを見つけていく。

正反対の主義主張に、
優先順位をつけながら一本にまとめていく。

対立する考え方に「最適化」の網をかぶせていく。
実現不可能に見える問題を、実現可能に変えていく。

環境問題も、安全安心問題も。
少子高齢化問題も、健康問題も。

あちらを立てて、こちらも立てる。
こちらを立てて、あちらも立てる。

二一世紀の百年間に、私たちは
丹念に、至難の仕事に挑まねばならない。
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私は倉本長治から学んだ。
「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」

これこそ、
「あちらを立てて、こちらも立てる」だった。

客を立てて、店員も立てる。
カスタマー・サティスファクションと、
エンプロイー・サティスファクション。

「創意を尊びつつ、良いことは真似ろ」は、
「創意と模倣」の二項動態だ。

「文化のために経営を合理化せよ」も、
文化と合理化の二項動態である。

ウォルマート創始者サム・ウォルトンは、
1962年のウォルマート第1号店で、
店頭に次の二つの言葉を掲げた。

We sell for less.
Satisfaction Guarantee.

「私たちは、安く売ります。
同時に顧客満足を提供します」

サムも、
「あちらを立てて、こちらも立てる」である。

最近では、商人舎2023年1月号。

’23両利きトレードオン
二兎を追いつつ両立させる「経営と運営」
202301_coverpage-448x634 (1)
『両利きの経営』は2022年、
チャールズ・オライリーとマイケル・タッシュマン。

私は「商業の近代化」から、
「商業の現代化」に進むために、
是非とも必要となるのがこれだと考えた。
いや、考え続けた。

近代化はトレードオフ。
現代かはトレードオン。

「あちらを立てて、こちらも立てる」

ついでに「オクシモロン」もトレードオンだ。
ギリシャ語のパラドックス(逆説)。
oxy[鋭い・賢い]とmoron[鈍い・愚かだ]の合成語。

野中郁次郎が、
「二項動態経営」を言い始めたのは、
心強いし、ここから学ぶことは多い。

2024年の年末押し迫ったときに、
またまた一段と意欲がわいてきた。

やります。89歳の野中先生に負けてはいられない。

「今日も一日、優しく強く」

そして、
「今日も一日、慌てず急げ」

これらも二項対立の「トレードオン」だった。

〈結城義晴〉

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