結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年06月27日(月曜日)

故斎藤眞さんの「米国空間論」による「文明宣教の意識」と商業集積の新しい大潮流と「顧客からのスタート」

Everybody! Good Monday!
[vol26]

2011年第26週、6月の最終週。
週末の金曜日から7月。

今年ももう半分が過ぎようとしている。
そして3月11日からは、16週間。

月が変わるたびに、思う。
「あれから何週間、あれから何か月」

亡くなられた魂に哀悼の意を表し、
ご冥福を祈りたい。

そして生き残った私たちは、
この命をよりよく燃やしたい。

合掌。

読売新聞の一面コラム『編集手帳』。
政治学者の故斎藤眞さんに触れた。
アメリカ研究の大御所。

その斎藤さんはアメリカを「空間論」で捉えていた。
「大西洋で隔てられ、
欧州の権力政治に関わることのなかった米国は、
欧州文明と異なる文明を広める『文明宣教の意識』をもつ」

「文明宣教」。
その文明の一つが消費産業や小売商業。

心を委ねて、
「宣教」されている気分。
この地に来たら、
それが一番。

そして日本に帰って、
冷静に「日本文明」を顧みる。

さらにヨーロッパとの対比を明らかにし、
三者の比較・検討を試みる。

消費・小売産業の視点からそれを展開すると、
自分にも仕事があるのだと自覚できる。

それが私の生きるエネルギーとなる。

私は今、サンフランシスコ。
テキサス州ダラスは35度を超える熱暑だった。
そこから朝晩は12度のカリフォルニア州サンフランシスコへ。

東京・横浜から軽井沢へ避暑に来た。
そんな感じの霧の街サンフランシスコ。

I left my heart in San Francisco
これが一番の歌詞の冒頭。
二番の始まりは、
My love wait there in San Francisco

一番は「私」が主語。
二番は「愛する人」が主語。

いい歌です。
いつもここに来ると思い出す。

その旅も、もうあと3日。

昨夜はどっと疲れが出て、
部屋に帰るなり、
まさに「バタン、キュー」。

朝4時頃起きだして、
メールをチェックし、
新聞に目を通し、
ブログに取り掛かる。

さて、この二日間。
ダラス、サンフランを駆け巡った。

ダラスでは、
朝一番でアルディの新店。
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アルディは1000店を超えてから、
ますます磨きがかかった。

その後、大注目のウォルマートの新店。
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「Appliance Market」のショップが入ったスーパーセンター。
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店全体にもイノベーションの息吹が満ち溢れている。

そして2005年オープンのウォルマート・エコストア。
マッキーニ店。
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酷暑地対応エコストアだが、
大繁盛店として地域になくてはならない店になっている。

エコストア実験店が大繁盛店。
これがウォルマートの良さ。

ちなみにウォルマートを私は、
「エブリデーロープライス宣教企業」と評する。

ダラスの最後は、
HEBの「セントラルマーケット」。
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日本語にすれば「中央市場」。
各地に「セントラルマーケット」のバナーを使う店があるが、
テキサスの雄HEBのセントラルマーケットが、
最も強烈なインパクトを発している。

それからサンフランシスコにやってきて、
昨日はまずトレーダージョー。
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すごい店長とすごい店。
トレーダージョーの357店の中で、
ニューヨーク・マンハッタンのユニオンスクェア店に次いで、
二番目の売上げを誇る店。

ユニオンスクェアの店ほどの超大商圏ではないのに、
この実績。

マニー・ボベル店長の力量が半端ではない。
1万平方フィート(280坪)の店をマネジメントしていて、
年収18万ドル、1800万円。
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このインタビューは帰国してから掲載予定。

次がスプラウツ・ファーマーズマーケット。
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Sprouts Farmers Market
年商は未公開だが、店舗数61。
ヘンリーズ・ファーマーズマーケットと合併して、
100店間近の企業となる。

何度も書くが、
「社会的機能」としてのスーパーマーケット業態が分化してきた。
その分化は「戦略行動」と「ポジショニング」によってフォーマットとして確立された。
このフォーマットの一つがファーマーズマーケット。
この店はスプラウツの最高峰。

その後、ホールフーズ・マーケットへ。
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全米チェーンストア41位。
年商80億3200万ドル(伸び率1.0%)
純利益2億8400万ドル(+20.4%)
店舗数273。

いつも驚かされる。
常にイノベーションがある。
それが売場にくっきりと出ている。

オーガニック&ナチュラル・スーパーマーケットだから、
ホールフーズが優れているのではない。

イノベーションの気運を失わないところが、
優れているのだ。

これは企業風土とマネジメントそのものである。

それから「サンタナ・ロー」へ。
2002年にオープンした「ライフスタイルセンター」。
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いま、アメリカのショッピングセンターは、
「ショッピングセンター」という呼称がつかない商業集積が伸びている。

「パワーセンター」
「アウトレットモール」
そして「ライフスタイルセンター」

古典的な分類のショッピングセンターもたくさんある。
小型のネイバーフッドショッピングセンター。
中型のコミュニティショッピングセンター。
大型のリージョナルショッピングセンター、
そして超大型のスーパーリージョナルショッピングセンター。

これらからすべて、
「ショッピング」という言葉が、
取り去られようとしている。

「物を売る商業集積」は、
パワーセンターとアウトレットセンターが受け持ち、
「安らぎや憩、癒し」を提供し、
ついでに買い物も提供するのが、
ライフスタイルセンター。

小型・中型の小商圏・中商圏の商業集積はパワーセンター化し、
大型・超大型の大商圏・特大商圏の集積は、
ライフスタイルセンターでなければ、
置き去りにされるほどのトレンド。

それがサンタナ・ローに現れている。

その後、セーフウェイの小型店「ザ・マーケット」。

さらにトレーダージョーと、
セーフウェイ・ニューライフスタイルストア。
それらが核となったコミュニティ型のライフスタイルセンターへ。
ライフスタイルセンターに出店しているから、
どちらも並み以上に繁盛している。

そう見ることができる。
最後に、サンフランシスコ市街のホールフーズ小型店。
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新バナーはつけれらていないけれど、
ホールフーズの新フォーマット。

充実した視察行だった。
私も満足。

五十嵐ゆう子さんとドライバーの杉さんに、
心から感謝。

すべての店に共通していること。
今月の商人舎標語の「顧客からのスタート」
これを忘れた店や商業集積は廃れる。

それを唯一・最大のポリシーにしている店や商業集積は栄える。

「文明宣教」しているアメリカから、
強く強く学んだこと。

Everybody! Good Monday!
今週もよろしく。

<結城義晴>

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