結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年06月11日(土曜日)

震災後アンケートと消費者動向調査で明らかになった「人々は働きたがっている」――これこそ日本再生の原動力だ!

3月11日の、
あの大津波・大震災から、
3カ月が経過した。

新聞もテレビも、このニュースを取り上げ、
政治の混迷をあげつらう。

朝日新聞が一面トップで取り上げたが、
「雇用と仕事」が最大の問題であると思う。

朝日新聞が被災した42市町村長にアンケートをした。
「6割余りが被災者の生活再建の見通しが立っていない」と回答。
最優先課題の回答は約7割でトップが「雇用の確保・創出」
次が、「被災者の生活資金支援」
第3位が「仮設住宅など住まいの確保」。

ただし福島県内の首長は15人中13人が、
「原発事故の早期収束・安全確保」と回答した。

仕事ができないと収入がない。
だから生活できない。

これも大きな問題ではある。

しかし仕事がないと、
生きがいを持てない。

これこそ深刻な問題だと思う。

どんな人間も仕事を持つことが、
生きるエネルギーとなる。

利益を上げたり儲けたりの仕事でなくとも、
地域にお役立ちする仕事、
ボランティアの仕事、
社会に貢献する仕事。

だから「仕事」の問題。
「雇用」とはその仕事をつくり、
与え、雇うことだ。

生活は、例えば国や自治体が、
一定期間、ある程度、面倒を見ることもできる。

しかし仕事こそ、
人間が生きるために必要なもの
だと、
私は思う。

この震災にあって、
ご主人を亡くしたヨークベニマル中浦店のベーカリー・マネジャー。
「毎日、仕事している方がいい」と言って、
元気に働いた。

仕事が、
つらい出来事を忘れさせてくれる。

仕事に没頭することで、
自分を取り戻せる。
自分を維持することができる。

その仕事を、
一人ひとりの被災者に、
準備し、提供する。

いま、私たちがやらねばならないことは、
これだと思う。

地元の小売業やサービス業が優先すべきは、
仕事を提供することだ。

さて、5月の消費動向調査。
一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、
前月比1.1ポイント上昇の34.2。
これは消費者心理を示す指標だが、
4カ月ぶりの改善。

大震災後の自粛ムードは解消されつつある。
身の回り品の価格上昇もひとまず落ち着いた。

それでも、被災地を中心に、
「収入や雇用の先行き不安」は拭い去れていない。

消費者態度指数は4項目を調べる。
その4つの指標がすべて上向きとなった。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

それが良い方向に向かいつつある。

4つの指標のうち、「暮らし向き」は1.6ポイント上昇。
「耐久消費財の買い時判断」は2.6ポイント改善。
しかし、「収入の増え方」と「雇用環境」は、
0.2ポイントの向上にとどまる。
どうやら日本中の問題点は、
「雇用と収入」。
それを裏付ける「仕事」に、
収れんされてきた。

人々は働きたがっている
これこそ日本再生のうれしい原動力だと思う。
一方、昨日の日経新聞の『消費のなぜ』
保存食が好調な売れ行きを続ける。

保存食とは缶詰やレトルト食品など。

東日本大震災の直後、備蓄用に売れた。
買い溜めされた。

日経新聞は分析する。
「もしもの時の備えに加え、
日ごろの食卓の『もう1品』として、
活用される場面が増えた」
〝二つのニーズを持つ商品”というわけだ。

サミットとマルエツの事例が紹介される。
サミットでは震災直後の3月、
缶詰が前年同月の1.7倍に増加。
5月に入っても10%以上の売れ行きが続く。

サミットは顧客データ付ID-POSシステムを導入しているから、
どんなカスタマーがどんな缶詰を購入し続けているかは、
わかっているはずだ。

売れ筋はコンビーフやサンマ、サバなど。
おかずに使える「味付け缶」。

マルエツでは、レトルトや冷凍食品が、
3月に前年の1.5倍以上、
5月も同1割ほど上回る水準で売れている。

投稿・公開サイト「クックパッド」では
「缶詰」の検索数が震災後に約1.6倍になった。

「備蓄用に買った缶詰の活用法に気づいた主婦らが、
日々の料理に積極的に使い始めた」

日経記事は最後に、日本缶詰協会の推計データを公開。
缶詰の市場規模は2009年が約2500億円。
「近年は頭打ち傾向」ではあったが、
震災後は「便利なもう1品」となるか。

この記事が、広告タイアップ企画でなければよいのだが、
そうだとしても「保存食」の味の見直しや簡便性のニーズに、
消費者が再び目覚めたことは確かだろう。

震災後の変化に商機がある。

今週もこのブログを読んでくださって、
心から感謝。
よい週末を。

<結城義晴>

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