結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年06月04日(土曜日)

日本と米国の小売業や消費産業を学ぶときに必須の「抽象化と具象化」、「鳥の目・虫の目・魚の目」

枝野幸男官房長官や岡田克也民主党幹事長が発言して、
管直人首相の退任の時期が、「夏頃」と明確化したようだ。

それにしても迷走した。
さらにまだ迷走は、
終わっていないのかもしれない。

管直人自身にも、
何が何だかわからなかったと思う。
不信任案決議の日、
完全に、眼が泳いでいた。

朝日新聞のコラム『経済気象台』は最後の決め台詞を、
「涙に迷う」と私にはわからない言い回し。

意味はどうも「涙の海にさ迷う」というところを、
簡略化した表現らしい。

そういえば最近の若い人の表現は、
頭の部分を使って略す。

『もしドラ』が典型で、
「就活・婚活」「アラフォー」なども、
同じ傾向を示した略語。

何でも詰めて簡略化するのが流行っていて、
想像力豊かに感じ取っていれば、
クイズのようで結構楽しめるが、
にわかにはわかりにくいことも多い。

しかしそれに慣れると、
便利で使いやすい。
「鳩菅」などもそれだが、
今回は、両者は離反した。

さて、週初めにアメリカから帰ってきて、もう週末。

かの地の主要小売業の5月売上高が発表された。
既存店売上高は前年同月比でプラス5.4%。
前年同月比の数値は18カ月連続で増加。

国際ショッピングセンター協会が毎月初めに、
小売業27社の集計を発表している。

その集計値。
4月はプラス8.5%だったから、
3.1ポイントのマイナス。

業態別ではメイシーやノードストロームなど百貨店がプラス10.4%。
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メンバーシップホールセールクラブのコストコがプラス12.3%。

衣料品チェーンのギャップはマイナス4.0%、
GMSのJCペニーもマイナス1.0%。
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価格帯の高い業態フォーマット、圧倒的な低価格の業態フォーマット、
そしてその業態特性を徹底的に生かした企業が成績良好。
中価格帯を狙った業態やフォーマットは、
軒並み悪い。

アメリカ人の所得はもともと二極化しているが、
それが日本の次元とは比べられないほど極端だ。

この人口動態が業態やフォーマットの盛衰に大きく影響を与える。
残念ながらウォルマートは月別決算を発表していないので、
正確には分からない。

それにしても前年同月比5.4%増。
東日本大震災をこうむった我が国とは、
ずいぶん違う。

今回、私と同行してくれた人々に、
帰国後1週間が経過する前に、
もう一度、確認のためにコメントしておこう。

日米の違い、
そして日欧の違い、
欧と米の違い。

それぞれの基本的な差異を理解したうえで、
自国、自社、自分の役に立てるという姿勢がなければならない。
その時に役立つのが、
「鳥の目」「魚の目」であり、
「虫の目」である。

何度も何度も書く。
「鳥の目」は、大局を見る力。  
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。

「魚の目」は、流れを見る力。  
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。

「虫の目」とは、現場を見る力。  
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。

鳥の目や魚の目は、
抽象化の能力である。

抽象化の後でこそ、
具象化が役に立つ。

抽象化の欠けた観察は、
それはそれでいいが、
間違いを起こしやすい。

だから例えば日本在住の主婦が、
アメリカのスーパーマーケットを見て、
好き嫌いを云々するのはまだしも、
経営や品揃えを語ってはいけない。
かの地の現象を一度、抽象化する。
そのうえで、こちらの条件を入れてから、
具象化する。

このプロセスが必須である。

例えばもともとアメリカ小売業の1店舗当たりの客数は、
それほど多くはないから、
大繁盛店などめったにお目にかかれない。

それでもきちんと利益は出していて、
アメリカに慣れない人々にとっては、
何とも珍しい現象に見えるらしい。

だから単位当たり売上高や単位当たり営業利益、
単位当たりSKUに抽象化し、
それを業態別に比較検討することで、
業態やフォーマットの差異の説明に使うことができる。

しかしこの抽象化を経ずにストレートに紹介してしまうと、
客数の多寡や売上高の大小が、
理解できないことになる。

売価に関しても、日本のレートと比較して、
高いの安いのと評することは危険である。

だから渥美俊一先生が多用した「商品構成グラフ」が役に立つ。
価格と在庫との折れ線の「形」で、
それぞれの店や企業の政策を抽象化しつつ、
理解できるからだ。

マーチャンダイジングに関しても同様。
代表的な例が、牛肉の「赤身嗜好」。
アメリカ人の主食は赤身牛肉といってよい。
さしの入った霜降りなど大量に食べられるものではない。
だから100年も前から赤身中心。

ラウンドやランプなどモモの部位も、
フランクやブリスケットも、チャックも、
そしてリブやロインも、
赤身中心に肥育され、商品化される。

それを知らないと、
最近急に赤身肉が増えたように見える。

アメリカと日本の違いだけではない。

私がこの世界に入った30数年前には、
牛肉と豚肉の比率が、
関東と関西では正反対だった。

関西は牛が7割、豚が3割。
反対に関東は豚が7割、牛が3割。

日本の関東と関西でこれだけ違うのだから、
アメリカと日本ではさらに次元の違いがある。

これは牛肉と鶏肉の価格の違いにも出ている。

私は、1979年にアメリカ牛肉産業を、
肥育から解体、流通、消費まで、
バーチカルに徹底取材した。

まさにアメリカの牛肉産業は、
巨大な工業のようなもので、
だから一般の牛肉はコモディティ・グッズとなった。

したがって同じくブロイラーに代表される工業型鶏肉も、
当然、コモディティ・グッズとなる。

ただし「ケージ・フリー」などの鶏肉が工業型牛肉よりも、
価格が高くなるのは当たり前。
これに驚いていてはいけない。

商品構成は、
その店の顧客の嗜好に合わせる。

これは日米の違いに限らず、
マーケティングの鉄則だ。

そして顧客の嗜好に合わせることを学ぶ必要はあるが、
「アメリカがこうだから日本もこうなる」というのは間違いだ。

もちろんピーター・ドラッカー教授が言う如く、
「ノンカスタマー」こそ「未来のお客」ではある。
これは断っておかねばならない。

アメリカから帰って、
ものを考えたり、
報告をしたり。

その際、
今一度、
思い出してほしい。

「鳥の目」
「魚の目」
「虫の目」

「心の目」
ではよい週末を。

<結城義晴>

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