結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年06月06日(月曜日)

東急ストア店長の「2週間連続休暇義務づけ」の狙いと本当の効用

Everybody! Good Monday!
[vol23]

2011年第23週、6月第2週。
梅雨の合間のすがすがしい朝。

今日は朝から横浜の商人舎オフィス。
商人舎に来て、夜、立教の講義で終わるのが、
月曜日の日課となりつつある。

出社するとき、偶然、
横浜市西区楠木町の「島田畳店」の店頭看板を見て、
懐かしさがこみ上げてきた。

宮谷小学校の同級生が、
その島田畳店の息子だった。
その店がまだ存在する。

きっとあのくりくり坊主だった島田君が、
店主をやっているんだろう。

中に入って挨拶しようかとも思ったが、やめた。
島田畳店が存続し、継続していることだけに満足して、
今日のいい日が始まった。

日本の政局は、
菅直人首相の退陣が決まって、
後継者選びが喧しい。

さらに昨日のテレビ討論会で、
「大連立」 構想が出たものだから、
それに向かっても盛んに論議が交わされ、
マスコミに政治家のコメントなどが躍る。

政治も、考えてみると、
社会のインフラそのもので、
何事も起らず機能しているうちがいい。

何か起こって、騒ぎになると、
それはそれで面白いが、
政治自体は機能していないことになる。

インフラとは「正常で当たり前の機能」
である。
なんだかんだ騒がずに、
さっさと仕事しろ。

そう言いたくなるのが、
東日本大震災後の復興を目指す現在の心持ち。

日経新聞『働く』のコーナーで、
東急ストアが取り上げられている。
「店長に連続2週間休暇義務づけ」のタイトル。

昨年5月、同社は、
「全店長を対象に連続2週間の休暇取得を義務付け」した。

「休暇の義務付け」というのも変な感じだが、
1週間の有給休暇に、
1週間のリフレッシュ期間を組み合わせて、
2週間にする。

これを2012年2月期中に、
「全店長に取得させる試み」。

この記事は新しい制度導入後1年の成果を探る。
東急ストア綾瀬店店長の小川知美氏(52歳)は、
「昨年5月末から6月にかけて同社の新休暇制度を利用」。
小川氏は正直に語る。
「30年以上勤めているが、2週間もの休暇は初めて。
取得する前は、何をしていいかわからなかった」

1週間の「リフレッシュ期間」は、
労務上の休暇扱いにはならない。

ただし出勤することはなく、
「店舗周辺の食文化や地域住民の生活実態の自由研究」に、
充てられるという。

この自由研究の結果は、
リポートなどにまとめられ、
木下雄治社長に提出される。

店長の有給休暇は年間20日間。
「半期に最低1日の取得を義務付けている」そうだが、
現実的に「長期休暇を取得する店長」は少なかった。

マクドナルド店長裁判の例もあるが、
フードサービス業も小売業も、
店長の有給休暇消化率は際立って低い。

そこでこの新制度が導入されたが、
狙いとする「幅広い視野を持つ人材育成」は、
果たされるのか。

私自身、㈱商業界時代、
2週間以上の連続休暇を2回、
とったことがある。

最初は29歳の時、
冬期休暇に絡めて、
2週間のソビエト連邦への旅行をした。

二度目は、編集長に就任する半年前の35歳の頃、
夏休みに2週間休暇をとって、リフレッシュした。

どちらも冬期休暇、夏季休暇と有給休暇を絡めて、
自分で長期休暇とした。

その時には全く仕事はしなかった。
自分の意志だったからかもしれない。
しかしそれが本当のリフレッシュになるとは思う。。

休暇の後は馬車馬のごとく働いた。
それが現在まで続いている。

取締役になる前だったと思うが、
会社に提案して、「リフレッシュ休暇」の制度を導入した。
10年間勤務したら5日間のリフレッシュ休暇、
20年ならば7日間だっただろうか。

私自身は、まことにタイミングが悪く、
10年段階ではこの制度がなかったし、
20年目のリフレッシュ休暇の資格が与えられる寸前に、
取締役に就任してそれを取得することはなかった。

しかし振り返ると、
あの長期休暇は自分にとって、
本当によかったのだと思う。

東急ストアのこの新制度、
高く評価したいが、
会社や店に出ないだけで、
社外で自由研修するのが、
本当にリフレッシュになるのか。
そしてそれが本当に、
「広い視野を持つ人材育成」につながるのか。

外国に行ったり、
自然に触れたり、
家族と楽しんだり、
趣味や芸術と親しんだり、
読書や音楽鑑賞に時間を費やしたり、
「仕事」がらみから脱する時間こそが、
「人間としての幅」を形成することに、
役立つのではないか。

私にはそう思えるのだが、
いかがだろう。

しかしそれでも現在の業界をかんがみると、
東急ストアの「2週間連続休暇取得制度」そのものは、
高く高く評価したい。

梅雨が終われば真夏。
今年の夏休みの過ごし方、
はては人生の楽しみ方など考えつつ、
仕事に邁進したい。

ちなみにピーター・ドラッカー先生は、
その「時間管理」の方法論のなかで、
「時間をまとめる」効用を強く説いている。

長期休暇は自分にとって、
「時間をまとめる」作業であることは確かだ。

ドラッカー先生は時間をまとめておいて、
ひたすら勉強したのだが。

さて、『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』
20110601155313.jpg
今日また、書店を通して800部の一括注文がきた。
本当にありがたいことだ。

印税を東日本大震災の義捐金にすることに、
共感をいただいたからだろうか。

もう3刷になりそうだ。

その《ドラッカー講座》は、
膨大なドラッカーの体系の中から、
小売業・サービス業の店長に絞って構成した。

上田惇生先生が、
ドラッカーの名言を整理する仕事をされているが、
7000にもなるそうだ。

私は、そこから店長に役立つものを順に集めた。
そして柱を立てた。

第1章が「お客」に関すること。
ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」という。
ならばその「顧客」とはななにか、
どうしたら「創造」できるのか。

第2章は「お店」に関すること。
ドラッカーは「お店」についてはコメントしていないので、
ここは「事業」に関することによって、
「お店」とはなにかを明らかにした。

第3章は「店長のマネジメント」。

これも店長に限った「マネジメント」を書いてはいない。
だから「ミドルマネジメント」の「マネジメント」とは何かを、
ドラッカーの考え方から導き出した。

第4章は「組織」に関すること。
店長はいかに組織を運営し、
一つの方向に持っていくか。
その組織についての考え方を記した。
組織に関して、ドラッカーの考えは、
日本のチェーンストア理論や古典的マネジメント理論とは異なる。

これは重大な問題なのだが、
それをわかりやすく表現した。

そして第5章は「マーケティングとイノベーション」。
ドラッカーは企業の目的を果たすために必要なことは、
二つしかないとさえ言いきっている。
それがマーケティングとイノベーションである。

その「さわり」の部分を店長のために、まとめた。

そして最後の第6章は、「店長の条件」。
これは故川崎進一先生の考え方に私の考察を加えたもの。

エピローグは故倉本長治の『商売十訓』と、
ドラッカー思想の共通点をまとめた。

わかりやすく、やさしく。
これを、いつも念頭に置いて、解説を加えた。

ドラッカーの真髄を、
読者諸氏が極めることの一助になれば幸いである。

この本を読むのに、
2週間はまったく必要ない。

早い人なら2時間。
ゆっくり読んでも2日。

この梅雨が終われば真夏。
今年の自分の夏休みの過ごし方、
お客様の夏の過ごし方など、
いろいろ考えつつ、
今週も仕事に邁進したい。

今月の商人舎標語。
「顧客からのスタート」
もちろんドラッカー先生の考え方。
お忘れなく。

では、Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.