結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年05月14日(火曜日)

「両利き経営」の新製品比率基準と15%ルール、ラスベガスに出発

日経新聞の連載『一目均衡』。
「両利きの経営」を、
編集委員の西條都夫さんが書く。
英語で、Ambidexterity。
ニューヨーク州立大学助教授の入山章栄さんの解説。

知的活動には両極がある。
自分の専門領域を究める「知の深化」
自らの知の範囲を横に広げ、
多様性を高める「知の探索」

成功企業は成功体験を持つがゆえに
「深化」に集中しがちだが、
それだけでは行き詰まる。

「シンカ」をどんな言葉に置き換えようと、
専門を掘り下げることに他ならない。

それと対極にあるのが、
横展開する「知の探索」。

「両利き」の人は右手も左手も器用に使う。

同じように「深化と探索をバランスよくこなす」ことが、
イノベーションを生み、企業を成長させるカギ。
それが入山助教授の説。

記事には米国優良企業として
ミネソタ州に本社を置くスリーエム(3M)が紹介される。

売上高は日本円で約3兆円、
営業利益率20%を超える。

手掛ける商品の幅が広すぎて、
既存の業種分類には当てはまらない。

3Mの経営は一見、脈絡はないし、
雑多なビジネスの「寄せ集め」の観がある。

しかし、1本軸が通っている。
「イノベーションの促進」である。

3Mが重視するのは、全売上高のうち、
「発売から5年以内の新製品が占める比率」。

足元の実績は33%だが、
近く40%に高めるのが全社の目標だ。

小売業でいえば、
「店齢」だろうか。

「5年以内の新店や大型改装店が全体の4割」
こんな尺度。

100店あれば、
40店が5年以内。

とすれば、
1年に8店ずつ、
新店や改装店を準備し、
それを実行する。

50店ならばこれが1年に4店舗になるし、
150店ならば、12店になる。

いい目安だ。

全店の平均店舗年齢が、
小学校低学年、高学年だとか、
中学校、高校などと表現するが、
この3Mの考え方は、
現実的だ。

幼稚園・保育園生が3分の1、あるいは4割、
小学校も、中学・高校生も、時には成人もいる。

4割の幼稚園生・保育園生が、
全体のイノベーションを誘引し、
イノベーティブな体質をつくる。

これはいい目安だと思う。

3Mの「新製品5年以内比率」は、
イノベーションの生産性を落とさない効果をもつ。

そのカギを握るものは、
組織に根づいた一種の「緩さ」。

例えば同社の「15%ルール」

「エンジニアは勤務時間の15%を
自分の好きな研究に使ってよい」

だから開発テーマが、
性急に絞り込まれることもない。

個人に委ねられている。
外山滋比古さん言うところの、
「脱グライダー化」が図られている。

重視する技術領域は一応、決まっている。
「接着」「フィルム」など46の分野。
それが今後も、さらに増えていく。

「異質な技術の掛け合わせから、
思わぬ発見、発明が生まれる」

これはチェーンストアにたとえれば、
商品部バイヤーの「商品開発15%ルール」となろうか。

アメリカのトレーダー・ジョーは、
プライベートブランドの比率がもう、
9割に届くが、そこには、
マーチャンダイザーの「自由度」がある。

例えば、15%の時間は、
自分の好きな商品を探してよろしい。

結語として、記者は書く。
「ゴリゴリした『集中と選択』ではなく、
緩やかな『多様性』こそ
イノベーションを産む母体である」

新聞記者の書きそうなことだ。

それはそれで当たっているかもしれないが、
この話の本質は、
「集中と選択」、
および「緩やかな多様性」の、
Ambidexterityである。
「両利き」である。

「15%ルール」を持つ企業であるからには、
「5年以内の新製品比率」には厳密なはずだ。

それが「両利き経営」の本質であると思う。
もちろん一人ひとりの個性や独自性を活かしつつ。

さて今日から、
商人舎USA研修会ベーシックコース。
ラスベガス1カ所に滞在し、
アメリカ小売業の主だった企業、業態・フォーマットを、
くまなく視察し、原理原則、基礎基本を体得する好評企画。
今年で3回目となる。

横浜ワイキャットを12時15分に出発。
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車中でブログを執筆。

今日は、夏のような暑さ、
京都では30度を超すらしいが、
横浜でも朝から、
ぐんぐん気温が上がり、
うだるような暑さ。

横浜ベイエリアもかすんで見える。
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今回は、事務局を入れて、
総勢50名。

3日目の朝、
「理解度テスト」を実施する。
それにもかかわらず、
参集してくれた。

勉強熱心な企業ばかりだと期待している。

テスト結果は、
本人の理解度を、
本人に知ってもらうことが第一の目的。

そしてそれが、
一人ひとりの理解度を、
飛躍的に高めることになる。

知識商人が養成される。

私の願い、私の目的。

何をするか、
何をしたかではなく、
何のためにするか、
何のためにしたか。

それがこのbasicコースで、
示されることになる。

全員が定刻前に集合し、
事前ミーティング。
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事務局からのガイダンス。
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その後、1人1人名前を紹介し、
顔合わせ。
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そして30分ほど、私の講義。
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テキストは376ページ。
20130514154341.JPG

皆、熱心に聞いてくれた。
20130514154431.JPG

ミーティングを終わらせて、
最初の記念写真。
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では、行ってきます。

3Mに負けないイノベーションを起こしに。

〈結城義晴〉

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