結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年12月08日(日曜日)

「回遊魚女子」と「タレスの落とし穴」と「人間のちょぼちょぼ」

久しぶりに土日を家で過ごす。

月刊誌の締め切りや、
海外出張があると、
土日も何もなくなる。

そんな1年を過ごしてきて、
もう師走。

あっという間に1日の夕方。
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上弦の月。
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昨日の「大雪」(たいせつ)には、
文字通り横浜で雪が降った。

ゴルフに行く予定もなかった。

しかし、こんな時には、
何かをやりたくなる。

商人舎オフィスのメンバーからは、
「先生はマグロです」
と言われる。

マグロは「回遊魚」だ。
回遊魚はコトバンクで、
「定まった季節または時期に、
広い範囲のほぼ一定の経路を移動する魚」

サンマ・イワシ・サバ・アジ・サケ、
そしてマグロ・カツオなど。

このうちマグロやカツオは、
「眠っている間も泳ぎ続ける」

泳いでいないと息ができないからだ。
動きを止めたらエラ呼吸ができない。

最近はそんな「回遊魚女子」がいるという。

男は昔から、
回遊魚のように仕事し、
遊びまくる者が多い。

しかし女子にそれが出てきたらしい。
毎日息をつく暇もなく、
アクティブに飛び回っている女性。

その実態は、守備範囲が広いこと。
ゴルフ、テニスから、登山やサーフィン、
ダンスやフィットネスなどの体育会系から
フェスやアートなど文化系のイベントまで
何かとイベントに積極参加するらしい。

「誘われたらとりあえず行く」
「来るもの拒まず」

しかしひとつの趣味に
のめり込むことは少ない。
交際範囲が広くて人付き合いもマメ。

そんな女子だそうです。

私も昨日今日、
何度目か、何十度目かの決意で、
スクワットを始めた。

さて中日新聞と東京新聞。
巻頭コラムが同じ日がある。
「中日春秋」と「筆洗」

私は結構、好きだ。
昨日のそのコラム。

「古代ギリシャの賢人で、
哲学の祖ともされるタレスに、
失敗談がある」
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「空を見上げて、
星の運行を考えている最中に
穴に落ちた」

召使いが失笑した。
「あなたさまは熱心に
天のことを知ろうとなさいますが、
ご自分の面前のことや足元のことには
お気づきにならないのですね」

「高みにある理想を見上げるのはいいが、
身近で現実的な問題が
おろそかであれば危うい」

ソクラテスは、
「知を追い求める人への戒めのように、
この挿話を語る」

それを弟子のプラトンが、
著作に書き残した。

タレスも面白いが、
ソクラテスもプラトンも面白い。

私はそんな哲人ではないが、
タレスとおんなじだ。

日常生活に関しては、
「事務処理能力なし」と、
これも商人舎スタッフに、
決めつけられている。

実際、トイレの電気は消し忘れる。
しょっちゅう、モノを忘れる。
新しいことに対応できない。

まあ、アルツハイマーの気(け)が、
混じっているかもしれないが、
すこしは年も取った。

しかし「仕事」に関してはいまでも、
事実も数字も全部、
一度聞けば頭に入る。

偏りがあるのだろう。

「ほぼ日」の糸井重里さん。
「今日のダーリン」で書く。
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「そんなに”たいした人”とか
いないです」

「立派な人、たいした人、
大物、偉人、すごい人に、
思わせたいという人は、
けっこうたくさんいますよ」

「あと、そういう”たいした人”を中心に据えて、
そのありがたみで、
金や権力を集めようという人もいる」

「でも、ほんとに”たいした人”が
いるわけじゃない」

「語源は知りませんが、
昔のおやじとかがよく言う
“人間、みんなちょぼちょぼ”
という考え(思想)は、
見事だなぁと、ぼくは思います」

同感だ。

だから私もいつも言う。
「自分で考えろ」
「グライダー商人になるな」

糸井さん。
「ぼく自身にも、大好きな人、
尊敬する人はいますが、
“たいした人”と祭りあげるに
相応しい人はいません」

「たいしたことをしちゃったり、
すごいなぁという考えを
持っていたりはしたとしても、
“ちょぼちょぼ”の範囲の人に
ちがいないと思うのです」

「そういう範囲を超えてるかのように
振る舞うとしたら、それは、
そうするべき動機や事情が
あるんだろうなぁ」

「だれか、人のことを、
尊敬するまではいいけれど、
それを”たいした人”だと
思わないほうがいいよ、と。
なんとなく若い人には、
伝えておいたほうがいいな」

同感だなあ。

「いろんな意味で、
“畏怖(おそれ)”につながることは、
ないほうがいいと思うんです」

「どれだけすごそうな人を見ても、
“ちょぼちょぼ”から、
ここまで歩んできたのか、
と感じるほうがいいですよね」

ソクラテスもプラトンも、
もちろんタレスも。

安倍さんもトランプさんも、
習さんも金さんも、
ほんとうは、
「ちょぼちょぼ」なんでしょう。
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アフガンの中村哲さんも、
「ちょぼちょぼ」の医者が、
あそこまでやった。

だからわたしたちも、
自分なりに中村哲の遺志を継げるし、
自分らしく継がなければいけない。
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もちろん回遊魚おじさんも、
回遊魚おじいさんも、
回遊魚女子も、
「ちょぼちょぼ」です。

ちょぼちょぼだから、
時には休んだほうがいい。

ありがとう。

〈結城義晴〉


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