結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年12月07日(土曜日)

アフガン中村哲医師のメッセージと谷川俊太郎の「平和」

横浜に初雪。

「初雪」と言う言葉は、
ふたつの意味を持つ。

第1は「その冬に初めて降る雪」。
だから今日は横浜の初雪。

第2は「新年になってから初めて降る雪」。

日本語はボキャブラリーが豊富だから、
異なる表現があってもいいところだが、
「初雪」はひとつでいい。

美しい言葉だ。

初雪や水仙の葉のたわむまで
〈松尾芭蕉〉

貞享3年(1966年)、43歳の句。
芭蕉はこのころ文京区関口に住んでいた。
のちに「芭蕉庵」と呼んだ。
index

その芭蕉庵に暮らしていた旧暦12月8日。
待ちに待った初雪が降ってきた。

この初雪は第1の意味。

雪の重みにたわむように、
水仙の葉が折れ曲がっている。

「初雪」と「水仙」。
ふたつの季語が使われているが、
細かで正確な観察が、
初雪の嬉しさを静かに表している。

秀句。

中日新聞と東京新聞の巻頭コラム。
一昨日の「中日春秋」と「筆洗」

谷川俊太郎さんの詩「うそとほんと」を引用。

うそはほんとによく似てる
ほんとはうそによく似てる
うそとほんとは
双生児
うそはほんととよくまざる
ほんとはうそとよくまざる
うそとほんとは
化合物

うその中にうそを探すな
ほんとの中にうそを探せ
ほんとの中にほんとを探すな
うその中にほんとを探せ

五十年以上前の作品。
「情報社会の金言に思える一節もある」

ほんとの中にうそを探せ
うその中にほんとを探せ

本当のなかの嘘を見抜け。
嘘のなかの本当を見出せ。

これも正鵠を射た観察だ。
素晴らしい。

谷川俊太郎の詩集、
「地球へのピクニック」。
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この中にいい詩がある。

平和

平和
それは空気のように
あたりまえなものだ
それを願う必要はない
ただそれを呼吸していればいい

平和
それは今日のように
退屈なものだ
それを歌う必要はない
ただそれに耐えればいい

平和
それは散文のように
素っ気ないものだ
それを祈ることはできない
祈るべき神がいないから

平和
それは花ではなく
花を育てる土
平和
それは歌ではなく
生きた唇

平和
それは旗ではなく
汚れた下着
平和
それは絵ではなく
古い額縁

平和を踏んずけ
平和を使いこなし
手に入れねばならない希望がある
平和と戦い
平和にうち勝って
手に入れねばならなぬ喜びがある――

アフガニスタンで、
中村哲さんが亡くなった。

西日本新聞は、
中村さんの活動を支援し続けた。
定期的に連載で中村さんの文章を掲載した。
中村さんが福岡生まれだったことも、
もちろんある。

一昨日のその西日本新聞の社説。

「中村哲氏死去 
その志は暴力に屈しない」

「あまりに突然で痛ましい知らせに、
悲憤と悔しさがこみ上げて仕方がない。
その活動は、世界にも類例のない
草の根の国際貢献だった」

「戦火と干ばつによって荒廃した
アフガニスタンの大地で、
人々の暮らしを支え続けた
福岡市の非政府組織”ペシャワール会”
現地代表、中村哲医師がきのう、
現地で凶弾に倒れた」
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「車で移動中に武装した男らに襲われ、
中村さんを含む計6人が死亡した。
事件が起きたのは
イスラム過激派組織などが活動し、
治安が悪化している
東部のナンガルハル州である」

心から哀悼の意を表したい。

「困っている人を見捨てられない。
“義”と”情”に突き動かされた活動だった。
かつて北九州・若松で
港湾荷役を取り仕切った
玉井金五郎を祖父に持つ人らしい、
気概であろう」

中村哲は九州男児だった。
川筋気質の福岡県人だった。

「1984年、アフガン国境に近い
パキスタンのペシャワルを拠点に
ハンセン病患者らの治療活動を始めた。
そこで知ったアフガン難民の窮状が、
地域を再建していく壮大な支援へと
中村さんを駆り立てた」

「ペシャワール会の支援で、
アフガンの無医地区に
診療所を開設する一方、
干ばつに苦しみ、
水の確保もままならない人々のために
自ら井戸を掘り、農作物の作り方を教え、
現地の人々と手を携えて、
幾多の水路を完成させた」

中村さんは、
江戸時代に福岡の筑後川で構築された、
山田堰(やまだぜき)の技術を復活させて、
アフガニスタンに水をもたらした。
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「すると、
大干ばつで無人となった村々に
住民が戻り始めた。
赤茶けた荒れ地が
緑の農地としてよみがえった」

「政治的な背景を伴いがちな
国際社会のアフガン支援とは距離を取り、
独立独歩を貫いた」

「国家に頼らない。
あくまで人と人の
“泥くさい義理人情や素朴な共感”」

この義理人情や共感に支えられて、
中村哲はアフガンの大地に立ってきた。

「その志を30年以上にわたり持続した」

「中村さんが最初に現地に入ったのは、
旧ソ連の介入で深刻化した
アフガニスタン紛争のまっただ中だった」

「2001年に米中枢同時テロが起きると、
米軍はアフガンの首都カブールへの
空爆を開始した」

「長期にわたる政情不安の始まりだった」

「中村さんの活動は、
戦争や内戦がもたらす恐怖と悲惨の
すぐ傍らで続けられてきた。
文字通り命懸けの
“丸腰の途上国支援”だった」

「アフガニスタンの人々は
日本に親密な感情を抱いている。
“戦争をしない平和な国”のイメージが、
友好関係の下地にある」

「それだけに、
安倍晋三首相による
安全保障政策の転換には
強い懸念を示してきた」

「中村さんは、武力や軍事力で
自分を守ることができるという考えを
“迷信だ”と一蹴していた」

「暴力に対して
暴力で報復するのではなく、
人が餓死するような状態を
解消しなければテロは根絶できない」
中村
「平和の維持には戦争より
勇気と忍耐がいる」

「非業の死を前に、
私たちは中村さんから託された、
このメッセージを決して
手放してはならない」

ふたたび谷川俊太郎。

平和を踏んずけ
平和を使いこなし
手に入れねばならない希望がある
平和と戦い
平和にうち勝って
手に入れねばならなぬ喜びがある――

合掌。

〈結城義晴〉

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